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横溝正史「蔵の中」論(その二) ―同時代の主流文学の動きと、夢野久作「ドグラ・マグラ」から―

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Academic year: 2021

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(1)

横溝正史﹁蔵の中﹂論(その二)

1同時代の主流文学の動きと、夢野久作﹁ドグラ

本論ぢは、一武庫川倫文﹄第%号(平塾 編であり、棚満正史﹁蔵の中﹂、夢野久作 容に触れているところがあります。 注意 小島河太郎がこのように古くのは、以下の卜条見られるからであ ろう0

﹁曾小﹂において注Uすべき復作品が、竺の手紙から、作

小の現実世界(第一次物語世界)に戻るかに古かれているのだが、 注慈すべき点は、伶二の原稲などに見られる、第一次物語世界から

第二次物語世界への移行の譜と述って、ここで鞭誓人ってお

らず、一行空いているだけである。 つまり、この加稲は、小説と見せかけた列劾の文章だったことに なるが、思い当たるところのある磯貝はしぱらくしてから、ニ、三 、 度自動車を乗換えて、その、本郷の家に行く。するとその家の鯏命 2 裁前)

Ⅱ)に発表の論文倫

﹁ドグラ・マグラ﹂の内 敷には蕗谷伶二が待っていた。蕗谷に対して、山己の殺人を告血し て、﹁さて、私は今、前の一、つの殺人亊件の露見を防ぐためには、 一体どういう千段をとれぱいいのだろうね﹂と言い、それに対して、 蕗谷は自己ガ陛中に易っていた十枚ば力りの短い東稲を夜り山し、 その乎段は、この原稿の小に詳しく轡いてあると言う。そして、そ の希を陛始めるのだか、それは、磯貝が例の空き家へ駆け着け て来て、その磯貝の前で笛二が原稲を読む、という、それから先の 物語の展開を先取りしたものだったのである。つまり、笛二の語る 物語世界の中で、笹二は作品内世界に添った原稿三乢むわけであ る。それについて徳二は、﹁妙だね、その原稿は、原稿の中にまた 練稿があるのかい﹂という磯貝の言菜に刈して、﹁そうなんですよ、 そしてまたその原稲の小で原稿を毓む事になっているんです。つま り何ですね、ほら、よく小ノ年難、岫の表紙なんかにあるじやありませ んか。一人の小ノ年が雛乢を持っている、ところがその小ノ年の持って いる葬乢の表紙というのがまた (略)つまり無際限に拡大で 、 きる虫眼鏡で見ると、そこには無際隈に同じ表紙があるわけなんで すか、私の小説というのがやっぱりそれな人ですね。﹂と答え、そ の後は、飾二の毓む原稲に添った形で、磯貝は雨戸を閉めたりし、

.

マグラ﹂からー

西

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また、やはりその原稲に添った形で、磯貝が、伶ご力ら受け取った 岬稿の続,ーむことになる。そして、岬稲にある築Uきに示岐さ れる形で、磯貝は飾二J急め殺すのである。竹小の原稲四横は、 次のように結ぱれる。﹁1 介山二さん、飾一さん。何をあなたはそ んなに託しているのです。さあ、早く私のそぱへおいでなさい。 しと あなたをあの悩みの多い桟土からこの玉の浄士へお迎えしたのは、 みんなこの私の業ですよ。ここにはあなたを苦しめる加八も、あな 緒にい つまでも、綾取り たを困らす人岡もありません。さあ私と一 をしたり、お千.、、をしたりして遊びましょう)/1私はあまりの冷 ,,ノしⅡ 虻さ、恭なさに思わずハラハラと落涙いたしました。そして明喉に 力つぜ人 から 絲まる・茨火をふっ切らんものをと、喝然と声をあげて叫んだので す。/1 (お姉さん、お姉さん、私もすぐに参ります) 1﹂ この後で内び、物語の上伶豊いを表す鷲祉が人る。 そして、﹁磯1四郎氏は漸く原稲﹃傍小﹄.1念わった。﹂。 磯貝は不肺氏であったが、それは、この好稲には、肝枇と"美力Υ 分ずつ拙かれていたからで、磯Π<かその火人や愛人を殺したという ことは全くの艀qΠであったが、しかし彼か、火人の死後、一迦剛 に二、子以愛人の家に油まりに行くこと、その女性の啼心やその家 の位櫂はだいたいこの棟稲^蔵の小^に冉かれていることと向じで あった。磯貝は﹁あの士戯の小さい窓から、励・抽小署噛有の冷督な もワそ,つ 希心と、界<俤な幻剣とを以って、'U分たちの怜痴の川界を測力れて いたかと思、つと、(略)何かしら忌わしい物にでも刺されたような 亜美を全牙に成どじ、﹁こ、ついう原稿を麗々しく向分の眼の前につ きつけようとする杣乎の小可田纖な心小﹂を了解することができな 磯貝は、﹁この剛応壁至で会った小ノ年の、噺甥の腹のようなキ 0 い ラギラと光っている、、一力白の眼を思い出すと、何かしらゾーツとす るような己怠しさを感じ﹂、その原稲を送り返す。そして、それか ら一週冏後、笛二が﹁﹃長の病気を苦にした給果﹄向宅の蔵の中で ,Π殺を遂げたという記小か新開に川﹂る。笛二はルN女していた人 十コ一^む一りり﹂,﹂ 形などの﹁さまざま六飽去の幻や魁魅魁恕に取り剛まれ、姉の形見 の友禅の誓袖を身にまとい、﹂美しく化材をし気動脈を掻き斬っ て拘殺を遂げていたのである。 小W治の﹁解脱﹂での﹁トランスヴエスティズムの揣写﹂の場 而は、﹁蔵の小﹂では、蕗谷符二が磯貝に渡した雌初の原稿の中の 前半部と作者名1の作品とある﹁曾中﹂の最後の場而に揣かれ ることが分かる。つまり、第二次物語世界と、第一次物語世界の両 名の境界を越えて拙かれるのである。それに対して、この作品では、 硫かに毓者をあえてとまどわせるように冉いてはいるのだが、往・愆 深く統めぱ(或いは、 N亭るならば)、堕次物語世界と第二次 物研Ⅲ界との境界は、明暸に禦松での区切りで尓されていることか 分かる。 先ほ三及した可院﹂(横淌正央﹃鬼火﹄角W店︹角川文庫︺ 所挟)で小品河太鄭は、﹁彼か".岫に札ちこんだ小説は、作品 、 刊 の小にまた作品かあるという凝った枇成である。(略)作品と・一際 との切れΠをほかして、統老を戸惑いさせ慈外な結末に導いてい る。/茗曹の粘りつくような文体は、主人公の性格を浮彫りにした ぱかりか、病著村有の奇怪な妄懇を、現笑と臣ね合わせた契丸眛さ が、そくそくとして迫ってくる。﹂と述べていたのであるが、硫か にこの作品は、笛二の﹁持ちこんだ小説は、作品の中にまた作品か あるといった凝った州成である。﹂のはその通りではあるが、しか

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-4-しそれをもつて、﹁作品と,災際との切れ何をぼかして﹂おり、かつ それを溺老"村の人様な妄想を、現笑と重ね合わせたN八味さ﹂ と告咲つけることができるであろうか。 或いは、枇淋の犯いは小島の述べる通りだったのかもしれない。 しかし、この作品で﹁作品の小にまた作県ある﹂のは、 作中作 (第 二次物胎Ⅲ界)である芭のーの小だけであり、作品(第二次物 .詔世^^と・^^^知^汎^^一1脚世^^とのW^目を^^^ように占^ れてはいない。その述いは、明俳に禦松で区Wられている(初めて、 この作口Ⅲを統んだ者には、この鷲称の土徐かはっきりとせず、一 度 目の鷲松と二gきに扶まれた部分を第二次物語世界、すなわち、 飾丁の作品の山界と思いこんでしまうかもしれないが、しかし、ニ 厘Πの禦称で、それが誤りであったことは理解できると忠われる)。 それゆえ、口澗者村有の奇堂生急﹂にょって岱二の作県成り立っ ているのだとしても、それを直接﹁現'尖﹂(第一次玖叩世界)と重 ね合わせるのには、加堺かあるとⅢ劣れる。それよりも、この乍Π川 て典に太崔で﹁現,災と重ね介わせた契入味さ﹂が兇られるのは、佑 二の小説四聖を占める小田耕治が言うところの﹁トランスヴエス ティズムの揣写﹂が、第、一次物抗W界だけでなく、作品の結末の第 一次物語殴界でも捕かれることである。つまり、中島の吾う﹁病者 特有の太様な妄愆を、現実と重ね介わせたN丸味さ﹂は、岱二の作 品で揣かれていることと現尖との一致であり、そうすれぱ、作中作 で^^^^何"したという^貝ご四^の^^か灸祭に村ったことな の力どう力(竹中では儀貝のケ捻として、﹁不愉侠なのは臼介か没 人犯人に擬せられているというⅢでなく、自八刀の私中舌かかくも奇 妙な力法で覗かれていたかというψである。﹂とあって、この部分 は、あくまでも磯貝の告誠を通した叙述であり、公平な第、二岩的な 記述とは戸えない。また、この笛二の原稲を読んだ後、磯貝は、そ の愛人の家には行かないままで、新剛に笛二の死が縦道される)と い、つことなのではないだろ、つか。つまり、この作品では、そのよ、つ な犯叩背体をカモフラージユするために、以上のよ、つな複雑な古き 方か採用され、そこに施筆﹁帷様先生砂物訥﹂で沓いたような、拠 満白身の好みの物を織り込んだのではないかと考えられるのであ ︹ι7︺ る。 それでは次に、汀戸川乱歩や巾島河太郎か指抽している谷崎閏一 郎の﹁呪はれた戯仙﹂令小央公沌火8 ・ 5)とは、どのような作 品なのだろうか。こちらについても、可能な隈り鮪潔に梗概をまと

めたい(引用文は、千一松'四郎ラビリンスⅧ器鴛

集﹂ 平W・W 3ヰ央1社︹中公文重︺刊、に拠る)。 作小の*付とは池接には関わりのない﹁私﹂にょる説明 ノレロ叩は 口叩 から始まる。その説明の小で、まず、嘗て知人であり範璽永であっ た佐々木にょって、佐々木の貞淑な亥である玉子が殺されたことが 姑響に知らされる。そして、昨年の製、佐々木の霽と亜ごという 判作の悲劇か上減され、その作品翻一術的価価からすればかなり傑 ^し^^尻とし^、^^^^^^^^L^田^^^^^^ら^るよう^ なった。その霽と悪﹂を﹁私﹂はあえて﹁呪はれた戲曲﹂と呼ぶ。 なぜ﹁呪はれ姦仙﹂なのか。その戲油が、佐々木の妻殺し上深く 関わっていたことか、以後、﹁私﹂にょって説明されていくのである。 ﹁私﹂が、なぜ今更それ(すなわち、佐々木が殺人者であること) について語るのかについて、佐々木自身がこの戲曲を隻口にかけた 後料判§鷲をきたして白殺し、被の犯罪の直接原因となった、

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彼の再婚夘手の襟子からこの物語を俐成するに足る材料を川佃たから ということもあり、佐々木も玉子も魯十この世に存在していない以 上、この小件の秘,樒を﹁私﹂か小説の形に仕雜んだとしても、誰か らも抗議を受けることはないだろう、という前判きめいた文章の 後、一打空きで、殺人についての物託か始められる。 この午口川内の玖器訊分(第二汰玖"氾外は、竹牙一次物研世界で ﹁私﹂か井いたことになっている)は、訊り千か仏々木に寄り添っ の た形の二人称となっている。佐々木は、女の玉子を疎んじながらも、 件て二人か相思相愛であった頃の名残として、自分にたいする玉子 の気持が推測できる。そのため、玉子を殺すしか、この気持を断ち 切って全くの赤の他人として玉子を感じることができない。佐々木 は﹁悪魔の心﹂を岡め、﹁呪はれた戯曲﹂の執筆を始める。この戲 脚(孔式なタイトルは﹁舛と聖)か半分ぱかり川来あがった時卜幻で、 ページに縦の長いトニ松が入って、それ力らしはらく、その戲仙の内 一谷(第一涙セ川Ⅲ界)か読者に知らされる。それは、佐々木がこれ から行おうとする玉子殺しを、人物の名前は変えながらも、笑墜第 二次物^叩世界^に先行して^,訂いたものなのである、その^山の小で、 井上(佐々木を共した人物)は,ーの冉いた﹁筈と恕﹂としうタ イトルの戲岫の内容について赤子(玉子を枳した人物)に話し、﹁そ ん六'よりも、お前は今の話を開いて別.壗心いとは思わないかね。﹂ と言い、界子の﹁え\気味の恕い筋だと思いますわ。﹂とい、つ吾 菜に対して、﹁いや、筋の小を云、つのではない。何か外に恐いと思 う出はないかと云うのさ。ーその脚本を書いた人開は現に此処に 居る雉なのだ。そうしてお前も共の脚本の中の細右のように、ヒス テリーを畑って赤城山へ述れて来られて居る。お前と己とは今、脚 本の巾の夫婦と全く同様に、同じ時却に祠じ場可に立つて居る﹂ 七謂り、﹁い、え、ちつとも恐かありませんわ。﹂と言って、﹁そん なつまらない小で、かりにもあなたを疑つたりしちや済みません ﹁そうかね、きつとそ、つかね。 井上は わ。﹂とも一喬、つ赤子に対して、 そんなら此処で此<の脚本を小ノし跳んで開かせよ、つか。﹂と語りス外 套の内隠しより厚く絵じた原稿を取り出し、それヰ際の上にひろげ る)﹂ということになる。この、井上か統みあげる戲仙の内系第 四次物諦世界となるのだか、その火場人物名である﹁青年文学名井 上﹂と﹁井上の妻春子﹂は、第三次物胎世界(佐々木の書い驫油 の内容)鑾場人物と同じ名前である。ただ、この第三汰物語世界 參場人物である井上か役いた﹁善と悪﹂という作品での(すなわ ち、第四次物研世界での)、井上と春子の厶局は、第三次翻叩世界 での井上と春子の厶局と全く同じというわけではない。その点で は、横洲の﹁蔵の小﹂の第二次物"界の人物である笛二の当いた 原稲命淡玖叩世界)とは述う。契一次玖叩世界の訓士か、春子 を前にして、向﹁﹂のヤ^吋いた^^Uと.^^^第四^伏^^叩^^^を^ん一ぐ いる途小で、一行空いて、物語は、第一次物語Ⅲ界へと戻る。佐々 水は、この什口川を、﹁最初は戯山の仮而を新た粘判なる討山腎の励 りで冉き、小途で危険を纈みず雛向へ発表しようとする虚態長 られ(倉.兇・この作品が、屍際﹂の刺戟に依って﹁藝術﹂とし ても侵れた^品になりつ、ある皮肉な^{^に動かされ^たため^、 最後には危ゆの女ガ一男向まりつ、あるのに熊して池刈に秘密に しなけれぱならない必要を悟つた。﹂。その後、また一露工いて、佐々 木(第二次玖叩世界の人物)の沓いた﹁善と悪﹂の続き■般心に示 される。その中で、作中の井上(筈次物"界の人物)の沓いた

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-86-^曲の^^^^^ある^^^光四^^^叩世^の人^^^、^^^の ポッケットから、自分の古いた脚本の凉稿を出して兄せる。﹂と作 中の井上(第一次物語世界の人物)が赤子§Uう。それに対して、 呑子瓦.、次物江叩世界の人物)は﹁まあ、随分入り釦んで居るのね。 脚本の小に叉脚本が出て来るなんて。﹂七盲い、それに対して井上 は﹁そうさ、そうして共の脚本の中にも亦井上に春子という夫婦が あるのさ。﹂と答える。そして、井上の読瓢ける﹁哲と悪﹂では、 その中の第四次物語世界が、第三次物語世界を先取りした内容とな り、井上と春子との会話なぜ井上か春子を殺そうと思うのかとい 、つ^^^^^くま^も^^^^^^^^・^ロ、^と^う^^^さ^、ノぐ れかそのうちに、第四次物語世界の人物である井上の厶村か、それ とも第二次物語世界の小の井上の高か分からなくなるような霄き 方か為され(呉体的には、それまで、第四次物誘世界の人物の厶局 には鍵括弧か村されていたが、︽串からそれ礎一くなってしまうと 同叫に、﹁(いつの岡に力馴本の厶罷を.活而するような、拘分自身の 章米のような、秋方にも兄られるような口洲になって居る)﹂とい う説明か、ム舗の前に入る)、最後には、おののく春子を井上鳶 から突き落として、佐々木の戲曲は甃和する。その後一行空いて、 詔りは最初の第一次物語世界、つまり﹁私﹂の語る世界に戻る。そ して、佐々木(第一次物江叩世界の人物)が襟子に血内したところで は佐々木力玉子を殺した順序・形式よ、この﹁哲と悲﹂という岐 舶そのままであったことと、佐々木か生前一,契けこの戯仙を劇場 で発表した(堂Uでは、赤城山を粘根山と変えただけであった)の は、彼か瓶価永としての功名心に駆られた一梨であり、この戯曲の ^ニロ^^ロ^も^つ^^^、^^^^を^^刀^一小さ^、フぐ^^^、 術・家としての価伯ナ点められただけでなく、辧厶県督としての技雌 も玄人の岡に買いかぶられたと語られて、この作品は終わる。 桜満自身僻叩っていないか、この﹁呪はれた戯曲﹂が、かなり直 接に﹁蔵の小﹂に彬郭をりぇたことは、五止できないだろう。特に ﹁呪はれた戲曲﹂の後半で、戚曲が多重の入れ子俳Nとなるように Ⅱ盲かれていること、そのような戚舶が、現・災世界(正しくは、水準 が一つ上の作品世界)を先取りしている点などがそうである。 し力しながら、そのような明捺な叱範関条あることから、誓 両者徐いもはっきりとする。例えぱ、﹁呪はれた戲曲﹂の方が、﹁蔵 の中一よりも、一見人れ子俳地が複雑である。それは、入れ子状態 の数が多いことに関係がある。しかしながら、﹁呪はれた戯帥﹂の 方は、第一次物語Ⅲ界が一人称であるがゆえに、作品内現,笑とされ る第一次物語隆界は、揺るぎない*実(勿論フィクションの中で の小笑)を示しているのだと言える(第一次セ問世界における語り 手の﹁私﹂むを詔っている場介はこの限りではないか、しかし、 この﹁私﹂礎を吐いているとすると、その後の物語に破綻窒じ ることになる。勿論、この﹁私﹂'を吐かせ工響を幻惑させる 方法もあるか、その場合は、第一三仇物語世界以降との間に、ズレや 解決できないものが生じることになる。﹁晄はれた戲曲﹂の場合、 そのような、スレなどは見られない。逆にそのようなズレがなく安定 させるべく書こうとしたからこそ、この作品でハ高は、多重の入れ 子嫌地の作品を創ったのではないかJ。そのため、笆次物語世界 と第二次^あるいは、第ごソ仇^物梧世界との用に、基^的に一^陳を 引く必要はなく、一露言だけの墨じ済むことになる。﹁呪はれた

俗﹂での入れ子枇祭﹁傍小﹂よりも祭多いのも、そのよう

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な第一次玖叩世界とそこで語られる、佐々木の玉子殺しといった作 品内現・災が、そのよ、つな譜りの仙造にょって、安定しているからだ 七盲える。 それにたいして、﹁牙巾﹂では、第一次物W界が三人称であ るのに剣し、第二次物橘世界に仕捌けか施してある。つまり、一 打 空きまでの岱二の原荏一人称で、命一本人である﹁私﹂が諦るの 气Ⅱ 'L に対して、一行空きから後の部分では、三人称の彬一が取られてい るのである。これは、どこからか第一次物語Ⅲ界なのか航老を惑わ ーリ,ゾ せる災の役割を米たし、什ΠⅢⅢ界拘付を一小・,女{疋なものにし力ねな い。それゆえ、桜満は、染二次物゛世界と染一次物硫也外との削に 禦私を悦いて、その跿の御明かしをすることとなる。それとともに、 ブ度不安定なものとなった第一次物詔Ⅲ界に対する討者の仁頼度も 下^らざるを刊ない。^^、^・^の小^の^^の後で指^した、 作 圷竹^じ^^^^Π^、^し^と^、?^H^む、^^^^垪力一^野^^つ^、﹂ となのかどうかということの疑念が、この第一次物詔胆界では鮒決 できないこととなるのではないだろうか。 それはまた、﹁蔵の小﹂における第二汰玖叩川界と第.一、次物研Ⅲ 界との関係も関わっているのではないか。この祚品では、第二次物 沼世界での小来小を第三次物儒Ⅲ界^先灰りするように冉力れてし た。唯にそれだけならぱ、谷岫の﹁呪はれた戲岫﹂における、第四 次物江桜界が第三汰物'桜界を光取りしているように香かれている ことと同じであるが、先ほど﹁呪はれた戯曲﹂の梗槻でも説明した ように、第四汰物●世界での井上と赤子とのA磊は、大枠では第三 次物語世界での井上と春子との会活と同じではあるか、全く同じで あるように県臼かれていない。それに対して屈の中﹂における第 、一次物語川界での磯貝と飾二の、暴は、第二次物語世界での二人の 豆水と全く同じなのである。両名を比較した場合、﹁呪はれた戯曲﹂ の力が、よりりアリスティックであると井えるのではないか。﹁蔵 の小﹂の岩は、全く同じであることにょって、却って不自然気 墜昔が、読岩に伝わってくるのである。それはまた、登場人物の 名前についても一1る。第二次物諏世界の佐々木の沓いた﹁誓と悪﹂ (このタイトルは、第二次玖山世界でのタイトルと同じではあるが) の光剪人物は、井上と赤子であって、佐々木と玉子ではない。つま り、このような形で谷崎は、毓者が混乱しないような指椴を尓すと Wに、作晶の茶化を図っているのである。それにたいして﹁蔵 の小﹂では、磯貝と蕗︽岳二という名前は、各物語世界を、一呉し てnいている。そのうえに先ほど指摘した﹁トランスヴエスティズ ムの揣ゼの越境がある。以1をまとめるならば、見かけとしては、 第四次物江叩世界まである﹁呪はれた戲曲﹂の方が複雑な作品に思え るが、しかし錦一次物語世界までの二戚の中﹂のほうか、敢えて不 安ノ.止に冉力れているのだ七、話えよう。ハ介岫の災Πこれは竹・泳とし ての作品に対する在り力で、さして意識していないものだったのか もしれないか、横揣の場介は、ハ介崎の竹Π川を加っていて、それを、1 ^きにする時に、^えてこのような、作品世界の不安定さを^つた と薪えるのではないだろ、つか。 この﹁藏の小﹂について横符は、小林信彦との刈紗﹁枇網正史の ^一^肖^^^^^片^力ら,^^ま^^^^^難喝^^ 部

秘密第

・iノ訂^、^^一勇,^ナ・^^^U^^^^^"^^^^・ 9

10 1 ︹角川文庫︺刊、に拠る)で、次のように語っている。 川冉店 小林先ルの、この第二期の作品では、ぽくはあれが好きですね、 5町 2j

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-88-﹃蔵の中﹄。 横溝夢兄て覚めたと思ったら、また見てるときあるでしょう。 あれですよ。 小林なんか厶度ぐらいひっくりかえる 0 横溝そうそ、つ。それはあの塒期、ご,十幾つでわたし社をやめて ますけど、北Πだから数え年で、いまですと三十くらいでや めてます。その午でしょう、それで子供が二人ありますか ら村当すXになりますよね。その峪血する前に而膨双紙﹄ 古いてるでしょう。だからちょつと変わりかけた頃だろう 小林が届の小﹂について水を向けたのに対して、織満のほうは、 博文鯨を蔀めて乍一木となって、・家族をかかえてヌぐ、つとう深刻に なり﹂、而飯紙一以罪の作品を峡めた形で﹁だからちょつと変わ りかけた頃だろうね。﹂と答えているように、郡しくは工扣つていな 0 これは敢えて、答えることを避けているというよりも、この対 い 談の岫刈の枇満は、さしてこの作品を玉要祝していなかったから、 とも忌えそうである。この対訣糧満の龍笵﹁私の推理小税1ど などを見て^ると、この^^^^^の^'う^第二一^^の^品^、 峪血の思い出とともにΠ.取も思い川の洪のはア諜郎﹂であるから であろうが、しかし、全く語っていないわけではない。横Mは、﹁梦 見て党めたと思ったら、また見てるときあるでしょう。﹂と、多少 分かりにくい溌明を偽単におこなっている。つまり、少の世界では、 木来の﹁私﹂も﹁私﹂とし喜場することがある。ヌ見めたと忠っ たら、また見てる﹂というのは、そのような﹁私﹂が多爪俳心の世 界父﹂き込まれていると老えることができ、その多重俳山の小で 20 オ ﹁私﹂は﹁私﹂として一賀した存在であり続け、しかしその﹁私﹂ の見る世界は変わって行く。これは、木来の﹁私﹂に会感を与え るものであり、それゆえ、このような多重俳地の夢は、亜芽である ことが多い。 つまり、枇澁はこの対談で、﹁聖の形を佶りて、﹁蔵の中﹂とい う^口川一ぐ^^ん^^、^,^な^、^^心も'^,^女,^一^な^^にさ^る^^吐^を 誘っているのだと思われるのである。 7 注 随第﹁様様先生捗物語﹂も﹁傍小﹂もそれぞれ、端和十年 一打号と八河号の、同じ﹃知U年﹄に発太されている。 (くらにしさとし・本四罷教受)

参照

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