奈良産業大学『産業と経済』第11巻第 2 号(1996年12 月) 63-93
プラザ合意後の東アジア域内分業の新展開
はじめにI
東アジア地域の工業化と域内貿易の進展 (1) 東アジア地域の経済発展と貿易 (2) 東アジア域内貿易の進展E
東アジア地域の商品貿易構造の変化 (1) 日本の商品貿易構造 (2) NIEs の商品貿易構造 (3) ASEAN ( 4 J ・中国の商品貿易構造河
企』 口 亜 日本. NIEs の直接投資と東アジア域内分業の新展開 (1) 日本経済の構造変化と域内投資 (2) NIEs 経済の構造変化と域内投資 (3) 日系企業の行動様式 (4) NIEs 系企業の行動様式一一香港系企業を事例に おわりに はじめに和
男
近年,アジアは世界経済の成長センターと目され,その成長潜在力から 21世紀はアジアの時 代とまで言われるようになっている。現在のところ,その主要な担い手は日本を含む*東アジ ア地域 (NIEs , ASEAN ,中国〉であるが,経済変動の波は他の東南アジア諸国やイシドな どにも及び,アジアでの国際分業も急激に進展している。それは,とりわけ 1985年 9 月の G5 (先進 5 カ国蔵相・中央銀行総裁会議)でのプラザ合意以後の円高を契機に加速された。実際, 東アジア地域における急速な工業化と貿易の拡大には目を見張るものがある。また,長期的な 円高と 90年代前半のパプル崩壊の後遺症に坤吟する日本も,自らの再生の活路をこれら地域の 工業化と貿易の拡大に見いだして,生産拠点移転と製品逆輸入,資本財輸出を行って,アジア における国際分業を推し進めている。さらに,米国との貿易摩擦が激化した NIEs も域内貿易 や米国への迂回輸出を目的とした ASEAN, 中国向け直接投資を拡大している。こうしたア ジアにおける国際分業の進展には,言うまでもなく ASEAN や中国が 80年代後半に打ち出し た輸出指向工業化政策や外資導入政策と密接に絡まっている。 保 NIEs (新興工業経済群〉は韓国,台湾,香港,シンガポールを指す。 ASEAN (東南アジア諸国連合〉は原加盟国のインドネシア,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイに加 えて 84年, 95年にそれぞれ加盟したプルネイ,ベトナムの 7 カ国から成っているが,ここでは シンガポールを含めていなし、 σ また,とくに ASEAN [4J と表記した場合はインドネシア, マレーシア,フィリピン,タイを指す。 本稿は,
G
5 のプラザ合意以後急激に変貌を遂げつつあるアジア,とりわけ日本を含む東ア ジア地域における域内貿易の展開と商品貿易構造の変化,およびそれらを加速させている主要 な要因で、ある域内投資について概観したい。I
東アジア地域の工業化と域内貿易の進展 (1)東アジア地域の経済発展と貿易 まず,表 1 によって東アジア地域の経済発展の特徴をみると,次の 3 点が指摘できょう。(1
)GD
P 増加率をみると, 80"-'93年平均で,世界の GDP の 18%以上を占める日本はかつ ての高度経済成長期に比べると低いものの 4.0% で世界平均よりも高く, NIEs は 6.5"-'9.1%, ASEAN 諸国はフィリピンを除いて 5.8"-'8.2%で世界平均を大きく上回っている。 ASEAN 諸国は80年代末以降, NIEs を凌ぐ勢いをみせ,またそのなかで長らく低迷していたフィリピ ンも 90年代前半以降成長率を高めている。さらに人口約 12億人を擁する中国では実に 9.6% の 表 1 東アジア地域を中心 人口 G D P 年平均増加率 工業の占めるシェア 対 GDP 比(%) 年平均輸出 (百万人) (億ドル) (%) (%) 輸出 輸入 増加率(%) 1993年央 1993年 1970-80年 1980-93年 1970年 1993年 1993年 1993年 1970-80年 1980-93年 韓 国 44. 1 3.308 10. 1 9.1 29 43 24. 9 25.3 22. 7 12.3 4口a、 湾 20.9 2.1222) 9.9 7.83) 37 402) 38.42) 33.92) 15.6 11.03) 香 港 5.8 900 9.2 6.5 36 21 150.3 154. 1 9. 9 15.8 シンガポール 2.8 552 8.3 6.9 30 37 134.2 154.5 4. 2 12.7 マレーシア 19.0 645 7. 9 6.2 25 73.1 70.8 3.3 12.6 タ イ 58.1 1.249 7.1 8.2 25 39 29.5 36.9 8.9 15.5 フィリピン 64.8 541 6.0 1.4 32 33 20.5 34. 7 7.2 3.4 インドネシア 187.2 1.447 7.2 5.8 19 39 23.2 19.4 6.5 6. 7 中 国 1.178.4 4.256 5.5 9.6 38 48 8. 7 11.5 日 本 124.5 42. 142 4.3 4.0 47 41 8.6 5. 7 9.2 4.2 米 国 257.8 62.599 2.8 2.7 34 7.4 9. 6 7.0 5.1 ーーー・ーーーーーー・・ーーーーーー ーー・・・・・・----ー・・・・・・---ー---ーー・・・・・・・・"ーーー・・・・ー___ー-ーー___ー・ーーー・,ーー,喝.__ーー 岨__・ー-ー・ー・・ーー__ーー--- -世 界 5.501.5 231. 126 3.6 2. 9 39 16.0 16.3 4.0 4.93) 注) 1)カッコ内は機械・輸送機器のシェア。 2) 1992年の数値。 3) 1980-92年平均の数値。 4) 1 人当たり GDP 。 出所)世界銀行『世界開発報告.ß 1994, 1995年版, および Counci1 for Economic Planning and Development,プラザ合意後の東アジア域内分業の新展開 伸びを示し,1..-かもそれ以前よりも成長が加速されている。また70年と 93年を比較すると, G DP に占める工業のシェアは日本や近年脱工業化を目指している香港を例外として,いずれも 著しく上昇している(ただし,他の NIEs も近年ではその比重は低下しつつある〉。成長の中 心,さらには工業化の担い手が日本から NIEs へ,さらには ASEAN,中国へとあたかも継起 的に伝播していくような現象を呈している。 (2)輸出入の対 GDP 比は国ごとにかなりの差があるが,いずれも世界平均よりも高L 、。ま
た輸出入増加率も,多くの場合,世界平均のみならず各国の GDP 成長率をも上回っており,
しかも輸出の伸びのほうが輸入の伸びよりも高L 、。とくに 80"""'93年のマレーシア,タイおよび 中国の輸出増加率は NIEs と同じく 2 桁成長を記録しているだけでなく, 70"""'80年平均も凌駕 している。そのうえ,東アジア諸国は例外なく 70年から 93年にかけて輸出に占める工業製品, とりわけ機械・輸送機器のシェアを増加させている。すなわち, NIEs のうち韓国,台湾,香 港では 90%を超え,またシンガポールで、は主要な輸出品目である石油製品が統計上工業製品に 含まれないために93年時点で、も工業製品のシェアは80% であるが,その伸びは急激である。ま た ASEAN は 70年時点では 8% 以下であったが, 93年には世界平均に迫る勢いを示している。 これらは,東アジア地域の経済成長と工業化が工業製品輸出の急増によって牽引されているこ とを意味している。 (3)1 人当たりの GNP は世界銀行の定義によれば,東アジア地域は高所得国グループに日 とする経済基礎統計 一人当たり GNP 所得または消費に占める 年平均輸入 工業製品のシェア(%)1) 年平均 最低分位20% と最高分位 増加率 20% のシェアの格差 増加率(%) 輸出 輸入 (ドル) (%) 1970-80年 1980-93年 1970年 1993年 1970年 1993年 1993年 1980-93年 (カッコ内は調査年) 13.2 1l.4 76(7) 94 (43) 55 (30) 63 (34) 7,660 8.2 5.70(1988年) 12. 2 10.63) 76 (17) 93 (40)2) 63 (35) 76 (40)2) 10,852 4.94(1 989年) 7. 9 1l.9 96(12) 93 (26) 69(17) 89 (33) 18,0604) 5.4 8.70(1 980年) 5. 0 9. 7 31(11) 80 (55) 58 (23) 80 (49) 19,850 6.1 9. 59(1 982年度) 7. 7 9.7 8 (2) 65 (41) 59 (28) 84 (54) 3, 140 3.5 1l.67(1989年) 6. 8 13.8 8 (0) 73 (28) 79 (36) 81 (45) 2,110 6.4 8.31(1 988年) 5.3 4.5 8 (0) 76(19) 68 (35) 75 (32) 850 -0.6 7.35(1 988年) 12. 1 4.5 1 (0) 53(5) 85 (40) 76 (42) 740 4.2 4.86(1 990年) 11.1 9. 7 70(15) 81(16) 82 (39) 85 (42) 490 8.2 6. 53(1 990年) 5.1 6. 3 94 (41) 97 (68) 25(11) 49(17) 31,490 3.4 4.31(1 979年) 5.8 6.0 70 (42) 82 (49) 64 (28) 81 (38) 24,740 l.7 8. 91(1 985年) -・・・・・・・・・・・・・・ーー・--- -・・・・・・・---・・・・・・・・・・・ F ・--- ---ー・・・ーーーーーーーーーーー・.ーーーーーーー軍司・・・・・・・・・・・・・・・・・・ーー噌ー・ F ーー 4.0 4.93) 63 (29) 76 (37)2) 60 (27) 75 (35)2) 4,420 1.2R巴public of China, Taiwan Statistical Data Book 1994. - 65 ー
本,香港,シンガポール,台湾,上位中所得国グループ (93年時点で 1 人当たり 2, 785 ドル超, 8, 626 ドル以下〉に韓国,マレーシア,低位中所得国グ、ループ(同, 695 ドル超, 2, 785 ドル以 下〉にタイ,フィリピン,インドネシア,低所得国グループにベトナム,中国などさまざまな グループに分かれているが,年平均増加率はフィリピンを除いて世界平均よりも格段に高い数 値を示している(最近ではフィリピンもその伸び率を高めている〉。一般的にいって発展途上 国は平均所得が高くなるほど階層間の格差が拡大する傾向にあり,南北問題での国際的不平等 の解消とともに,途上国内部では開発の進展と平行させてこの国内的不平等を L 、かに解決する かが極めて重要な課題として厳存しているが,アジア地域では所得配分もしくは消費における 不平等係数は概して小さし米国や日本と比較しても遜色がな L 、。この点,ラテンアメリカ諸 国,たとえば 1 人当たり GNP が93年時点で 2, 930 ドルで、上位中所得国に属すブラジルの不平 等係数が32.1 (調査年89年〉とかなり高いのと対照的である。逆説的ではあるが,工業化や 1 人当たりの GNP に段階的な格差があり,しかもこの不平等係数が比較的大きくないことが今 日の東アジア地域の工業化と貿易拡大におけるダイナミズムを生み出している原動力のひとつ 表 2 東アジア地域の世界貿易に占めるシェアの変化〈単位;合計欄は億ドル,その他は%) 年
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出所) IMF. Direction 01 Trade Statis/ics Yearbook 1990, 1993, 1995, 1996. (1) 本多健吉『資本主義と南北問題〈改訂増補版)J1新評論, 1992年, 102"-'105ページ。プラザ合意後の東アジア域内分業の新展開 であるといってよいかもしれなし、。ただし,たとえば台湾でもこの不平等係数は80年の 4.17を 底にして以後は高くなっており,今後この問題が深刻化する可能性がある。 以上のように,東アジア諸国は L 、わば継起的波及の現象を呈しつつ,工業製品輸出の急増を 通じて工業化と経済成長を同時に達成してきたといえる。 その結果,東アジア諸国の世界貿易に占めるシェアはしだし、に高まっている。表 2 によれば, アジアの途上国の世界貿易に占めるシェアは一貫して上昇している ι とくに, NIEs のシェア の増加は著しく,輸入では 87年以降,輸出では 92年以降日本を上回り, 93年以降は輸出入とも に世界の 10%以上を占めるようになった。また中国で、は輸出が着実に増加し,
ASEAN
[4J で は輸出入ともに86年以降シェアを伸ばしている。 NIEs ,ASEAN
[
4
J ,中国合計で輸出では85 年の 10.3%から 95年には 17.6%へ,輸入では同期間に 9.9%から 17.8%へと急増している〈日本 を含めた東アジア全体では,世界貿易の 4 分の l 以上を占める〉。それに対して,先進工業国の シェアは輸出では86年,輸入では87年をピークに減少に転じている。この先進工業国のシェア の低下は 70年代中葉以降にも一時的にみられたが,それは資源ナショナリズム高揚期の原油を 中心とする一次産品価格の高騰に伴う中東産油国等のシェアの上昇によるものであった。 80年 代後半以降の場合はアジア諸国,とりわけ NIEs , ASEAN,中国の工業化を反映した工業製品 輸出入の急増によるものであり,一過性に終わった 70年代とは様相を異にしているといえよう。 (2) 東アジア域内貿易の進展 次に, 80年代後半以降の東アジア地域の域内貿易の動向を図 1 の主要貿易相手先構成の変化 からみてみよう。 まず日本の貿易についてみると,輸出では米国のシェアが 86年の 38.9%をピークに低下し, 95年には 27.5% となった。それに対して, NIEs 向けが 85年,ASEAN
[4J 向けが 86年, 中 国向けが90年を底にして増加し, 95年にはそれぞれ25.1%,1
2
.
1
%,
5.0%,東アジア地域全 体では 42.2%を占め,米国のシェアを大きく上回った。また輸入では当初から東アジア地域の シェアは米国のシェアを上回っているが, 91年以降はその差を広げている。これは ASEAN[4
J ,とくに中国からの輸入が増えたからである。ただし,地域別貿易収支をみると対中国収 支は 88年以降赤字となっているが,対 NIEs 収支は対米収支と同様に常に大幅出超で,また長 らく赤字であった対 ASEAN [4J 収支も 93年以降は黒字に転化した(これは,インドネシア に対しては終始赤字だが,タイでは常に黒字であり,さらにフィリピンでは 89年以降,マレー シアでは 90年以降黒字に転換し, 出超幅を拡大させていることによる〉。対東アジア地域全体 の収支でも大幅出超である。 次に, NIEs についてみると,日本と同様に輸出入とも 80年代後半以降東アジア地域のシェ アを高めている。これは対日比重がほぼ一貫して減少しているものの,他の東アジア地域,と くに中国や NIEs 相互間貿易が急増したからであった(前者では輸出が 86年 6.1%→95年 13.3-
67 ー図 1 東アジア地域の域内貿易の変化 (a) 日本(輸出) (a) 日本(輸入) %
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95 年 注) NI Esの中国貿易については, 1990年までは香港, シンガポールの合計, 91-94年は韓国,香港, シンガポール の合計。台湾の ASEAN (4) 貿易では 94年まではマレーシアを含んでいない。シンガポールの ASEAN (4) 貿易ではインドネシアを含んでいない。中国の NIE,貿易については 1989年までは香港, シンガポールの合計。 出所)表 2 と同じ。-
69-%.輸入が87年7.9%→95年15.2%. 後者では輸出が85年8.9%→95年16.1%. 輸入が同期間に 8.2%→11.8%) 。それに対して,米国のシェアは輸出では86年,輸入では88年をピークに低下 に転じている。とくに,輸出は86年37.2%→95年20.8% と 16.4ポイントも低下している。 NIEs 個々にみても,ピーク年と 95年の対米輸出シェアは,韓国が 86 年 40.0%→19.3%. 台湾 85 年 48.1%→20.1%. 香港86年31. 3%→21. 8%. シンガポール 87年24.4%→18.3% と一様に低下し, とくに台湾,韓国は大きく落ち込んでいる。中国のシェアがとくに高いのは香港で,輸出で86 年21. 3%→95年33.3%. 輸入で85年25.5%→95年36.2%へと増大している。また相互間貿易の 比重は. 95年時点の輸出で台湾29.6%. 韓国 16.9%. シンガポール 15.4%. 香港7.1% で,とり わけ台湾の比重が高く,そのうち香港向け輸出が台湾23.4%. 韓国8.5%. シンガポール 8.6% を占めている。対中国貿易,相互間貿易では香港を基軸に展開しているが,これは後述するよ うに香港が中国と他の世界との結節点として機能しているからであり,台湾をはじめとする他 の NIEs も香港のこの機能を利用しているからにほかならな L 、。また対 ASEAN [4J 貿易の 拡大はシンガポールによる (95年時点でシンガポールの輸出の 26.6%. 輸入の 2 1. 5%がマレー シア,フィリピン,タイで占められており,そのうちマレーシアのシェアはそれぞれ 19.2%. 15.5% となっている〉。対 ASEAN [4J 貿易の場合は,シンガポールとマレーシアを基軸に展 開しているといえよう。なお. NIEs 全体の貿易収支は対 ASEAN [4J 収支が黒字であるが, 対日,対中国収支が赤字であるために東アジア地域では赤字になっている。 ASEAN[4J の場合,東アジア地域のシェアは輸出入とも大きいが,日本. NIEs の場合と 異なって輸出の比重が低下している。これは NIEs のシェアは 88年から 93年まで増加したもの の,対日輸出シェアがほぼ一貫して減少しているためである。それに対して,対米輸出シェア は91年を底に増加に転じている。輸入では NIEs. 日本の比重が80年代末以降増加し,とくに 90年代前半からの対日シェアの伸びは注目される。逆に対米シェアは 80年代後半以降低下傾向 にある。なお.
ASEAN
[4J 相互間,対中国貿易は低位に推移している。 最後に中国についてみると,対 NIEs 貿易を基軸に展開しているのを反映して輸出入ともにASEAN
[4J の場合以上に東アジア地域の占める比重が大きし、。 80年代中葉以降輸出入とも 急増させてきた NIEs のシェアが90年代に入って低下しているが,それは香港の比重で輸出が 92年43.9%から 93年24.1%へ,輸入で同じく 25.1%から 10.1%へと急減したことによるもので, これは対外貿易を急速に拡大させている中国が香港経由の中継ぎ貿易以上に直接貿易を増やし ていることの結果であろう。また近年では ASEAN [4J と同様に対米輸出シェア,対日輸入 シェアを高めているが.ASEAN
[4J の場合とは異なり, 同時に対日輸出も著しく上昇させ ている。 以上のように,東アジア地域は全体として世界貿易に占めるシェアを高め,さらに域内貿易 を急速に展開させていったので、ある。こうしたなかで,東アジア地域の商品貿易構造はどのよ うに変化しているのであろうか。次に,この点について各国の貿易統計に依拠してみてみよう。プラザ合意後の東アジア域内分業の新展開 なお,そのさい韓国,台湾,タイ,インドネシアについては 80年, 85年は CCCN(関税協力理 事会品目分類表), 90年以降は HS (国際統一商品分類〉による 2 桁分類, また香港,シンガ ポール,マレーシア, 中国については SITC (標準国際貿易分類〉による 2 桁分類に基づいて 検討する。
1
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東アジア地域の商品貿易構造の変化 (1) 日本の商品貿易構造 50年代中葉から 70年代前半にかけて「投資が投資を呼ぶ」とし、う民間設備投資主導型の発展 パターンによって高度経済成長を達成した日本は,その過程であらゆる工業分野をうちにもつ いわゆるフルセット型工業構造を,また同時に対外的には原燃料や食料品を輸入して加工組立 図 2 日本の商品別貿易構造の推移 出 品別 ふ取す 句止 (単位%) ー その他 16.4 9.8 , ・. , , , , ,.
, 〆 2.8: 8.1 (17.5) ; (17.9) 8.5 8.3 50% 100% (2) 輸入 その電.0.1 1.I 1 主 2.2 56.9 市.3了;(5.9):(1.3): 。% 注) ( )内の数字は構成比(%)を示す。 出所〉通産省『通商白書〈各論)~ 1996年版, 773ページ。 7 1-工業製品を輸出する加工貿易型構造を作り上げていった。さらに70年代前半の「第一次石油危
機」を契機に,世界にさきがけて OA (オフィスオートメーション),
N C
(数値制御〉工作
機械,産業用ロボット導入などの省力化投資・省エネ投資を行って国際競争力を高め,そして減量経営による内需不振から輸出圧力を強めていった。それが集中豪雨型輸出や巨額の貿易収
支の黒字となってあらわれ,主として不況と高い失業率に直面していた欧米先進国とのあいだ に貿易摩擦をひきおこすとともに,円高を進行させることになった。言うまでもなく,円高は 外貨表示での日本の輸出商品価格の上昇と円表示での外国輸入商品価格の低下を意味する。と りわけプラザ合意以降の円高は急激で,しかも 85年 9 月からの「第一次円高」局面と 93年 2 月からの「第二次円高」局面とが連なり著しく長期性を帯びている。これに伴って日本の商品貿
易構造も大きく変化することになった。それはまず製品輸入の急増となってあらわれている。図 2 によれば, 80年には2 1. 8% にすぎ
なかった製品輸入比率が90年に47.6%,さらに95年には56.9% となった。その比率が80%を超
える米国や EU と比べればまだ低いが,増加速度は急激で,とくに機械機器の伸びは著しし、。 地域別製品輸入比率も表 3 のように米国,とくに EU はやや高止まりの感があるが,中国やASEAN
[4J の伸びは顕著である。 NIEs も 90年に減少したが, 93年から再び上昇している。 これを反映して日本の製品輸入に占める各地域のシェアでは米国, EU の比重が低下している のに対して, NIEs が 88年をピークに若干減少に転じているものの,中国や ASEAN [4J は 86年を底に急増し, 95年には東アジア地域全体でほぼ半分を占めるに至っている。 表 3 日本の製品輸入比率の推移 〈単位; %) 各地域ごとの製品輸入比率 製品輸入に占める各地域のシェア 年 米国 E U N1
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出所)日本貿易振興会『日本の製品輸入』各年版。プラザ、合意、後の東アジア域内分業の新展開 この束アジア地域へのシフトは製品別でもみ てとれる。図 3 によれば,自動車,産業用機械, 図 3 日本の製品別輸入額に占める 地域・国別シェアの推移 (%)米国 医療用器具など技術集約的製品は米国の比重を 100 さらに高めているが, 88年時点ですでに東アジ ア地域が過半を占める VTR ,電気冷蔵庫,半 導体,一眼レフカメラ,複写機は特化の度合い を一層強め,また従来米国に特化していたコン ピュータ, IC も東アジア地域の比重が高まり, 米国と括抗している。しかも注目すべきは,東 アジア地域の比重の増加が単に域内からの製品 輸入を比例的に増大させているのではなく,
NIEs
,ASEAN [
4
J ,中国からの輸入製品に 大きなシフトを伴って生じていることである。 すなわち, NIEs と ASEAN [4J との関係で は技術集約度が高い 1 C は NlEs の比重が高 まっているが, 88年時点で NIEs に特化してい た電卓, VTR ,テープレコーダーが急速に ASEAN[4J にシフトし,エアコンは ASEAN [4J の比重が一層高まり,また冷蔵庫,半導体 も ASEAN[4J のシェアが NIEs に迫る勢い で増加している(一眼レフカメラも NIEs の比 重が高くなっているが,ASEAN
[4J からの 輸入増加率のほうが高 L 、〉。さらに ASEAN [4J と中国との関係をみると,図 3 で列挙して いる製品は電気アイロンを除いていずれも両地 域ともシェアを上昇させているが,なかでも中 国は比較的労働集約的な繊維製品,履物,電気 アイロン,ASEAN
[4J は冷蔵庫のシェアを 急速に高めている。また, 電卓, へアドライ ヤー,一眼レフカメラ, AV 機器は ASEAN [4J の伸びのほうが高いが, 中国の伸びも高 く, これらの製品では ASEAN [4J と中国が 競合関係にあるといえよう。 (米国・東アジア)o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) 東アジア(%) ASEAN (ASEAN ・アジア NIEs) 100 n H v n H u n H u n H u nunD7 ・ pnu VTR 電卓 n u n u n u n u n U 4 晶司 υ けL14
o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) アジア NIEs (%) ASEAN 70 ,-一一一一-60 50 40 30 20 10 0 (ASEAN ・中国)o
10 20 30 40 50 60 70(%) 中国 注) 起点は 88年,終点は 94年 1-9 月を指す。 出所)日本貿易振興会『世界と日本の海外直接投資』 1995年版。 (2) 日本貿易振興会『世界と日本の海外直接投資jJ 1995年版, 59 ページ。 - 73 ーこうした東アジア地域からの日本の製品輸入の急増,ならびに輸入製品のシフトは,言うま でもなく当該地域の工業化を反映するものであるが,単にそれだけでなく,日本企業がプラザ 合意以降の円高に対応して,当該地域との聞に製品差別化分業と工程間分業を推し進めていっ たこととも深くかかわっている。すなわち,日本企業は円高に対して国内では高度に知識・技 術集約的な高品質・多機能・高付加価値製品の生産に特化 L ,さらに新商品の開発に錆を削る 一方で,比較劣位化した労働集約的な単機能・低品質製品や低位標準化製品は生産拠点を東ア ジア地域に移してそこから低価格製品を輸入するといういわゆる製品逆輸入を行うことによっ て対応した。また,こうした製品の多様化・高付加価値化に伴って多数の部品や半製品が必要 となり生産工程が複雑化しているが,技術の標準化やオートメーション化等によって生産工程 の分割・移植が可能となり,労働集約的な生産工程を東アジア地域に移 L ,そこから半製品や 部品を調達していったのである。 さらに,東アジア地域の工業化や日本企業の当該地域への生産拠点の移転は日本の商品輸入 構造だけでなく,輸出構造も同時に変化を促すことになった。さきの図 2 にあるように,日本 の輸出は圧倒的に工業製品で占められているが,そのなかで融維製品や金属製品(とりわけ鉄 鋼)のシェアは大幅に低下し,逆に機械機器は 80年代にさらに比重を高めている。機械機器は 90年代に入って停滞しているが,それは輸出花形産業であった自動車がとくに低下したためで, 一般機械や電気機械のシェアは一貫して増え続けている。 94年時点の主要輸出品目は,一般機 械ではコンピュータ・同部品,自動車用エンジン・同部品など内燃機関,産業用機械,工作・ 加工機械,機械類の部品が,また電気機械で、は集積回路・ 1 C などの電子部品, AV 機器,配 電・制御用機械,通信機器などであるが,これら部品や生産設備などの資本財が東アジア地域 向けに多く輸出されている。それらは東アジア地域の工業化や同地域への日本企業の生産基地 移転にとって不可欠なものである。東アジア地域からの製品逆輸入を含む製品輸入は,日本に とってむしろ機械機器輸出の増加に,ひいてはそれを通じての経済の再生に大きく寄与してい ると言えよう。
(2)
NIEs の商品貿易構造 60年代に入ってそれまでの輸入代替工業化政策から輸出指向工業化政策へと転換し,輸出産 業奨励政策や,外資導入法と輸出加工区の設置とを組み合わせた積極的な外資導入政策によっ て輸出を通じた労働集約的な最終消費財の工業化を達成した NIEs は, 70年代前半以降,重化 学工業化,しかも,それを輸出に特化した産業として育成するという輸出主導型重化学工業化 を目指していった。もっとも,自由放任主義を掲げる香港では輸出産業に対して特別な優遇措 置が採られることはなかったが,企業活動の自由は外資・内資の別なく認められ,関税は無税 で,所得税も低く押さえられ,しかもインフラ整備が香港政庁によって積極的になされていた (3) 日本貿易振興会『日本の製品輸入~ 1994年版, 6"'9 ページ。プラザ合意後の東アジア域内分業の新展開 表 4 台湾の主要貿易晶目構成 〈単位; 100万新台湾元,
%)
年 1980 1985 1990 1995 輸出 711,214 1.221.370 1.802, 781 2,949,580 1 位 電気機器 15.7 電気機器 15.4 電気機器 17.5 原子炉・ボイラー 22.3 -機械類 2 位 メリヤス類 7.9 ボイラー・機械類 8.2 原子炉・ボイラー 16.9 電気機器 21.4 上 -機械類 3 位 はきもの・ 7.4 はきもの・ 7. 7 プラスチック・ 5.8 プラスチック・ 6.4 位 ゲートル ゲートル 同製品 同製品 4 位 玩具・ 5.4 メリヤス類 6.2 はきもの・ 5.2 鉄道・電車道以外 4.4 ロロロ スポーツ用品 ゲートル の車輔 5 位 ア J~ レ Jレ 4.4 玩具・ 5.8 玩具・ 4.3 人造繊維糸 3.4 (メリヤス類を除く) スポーツ用品 スポーツ用品 目 6 位 ボイラー・機械類 4.3 アパレル 5.3 鉄道・電車道以外 4. 1 鉄鋼製品 3. 1 (メリヤス類を除く) の車輔 7 位 木材・木製品・ 4.2 人造樹脂・ 4.3 人造繊維糸 3.0 玩具・ 2.5 木炭 フ'ラスチック スポーツ用品 輸入 709,003 801.847 1.471.804 2,742,850 1 位 鉱物燃料・鉱物油 25.5 鉱物燃料・鉱物油 21.5 電気機器 16.5 電気機器 21.6 2 位 電気機器 10.3 電気機器 11.3 原子炉・ボイラー 13.5 原子炉・ボイラー 12.6 上 -機械類 -機械類 3 位 ボイラー・機械類 10.1 ボイラー・機械類 10. 1 鉱物燃料・鉱物油 10.9 鉱物燃料・鉱物油 6.9 位 4 位 鋼鉄・同製品 7.0 鏑鉄・同製品 4.5 有機化学 5.5 有機化学 6.4 ロロロ 5 位 有機化学 3.8 穀 類 3.3 鋼 鉄 5.3 鋼 鉄 6.2 目 6 位 穀 類 3.6 船 舶 2.9 鉄道・電車道以外 5.2 鉄道・電車道以外 4.5 の車輔 の車輔 7 位 木材・木製品・ 3.5 木材・木製品・ 2.5 宝石・貴金属 2.6 光学・映写・精密 3.6 木炭 木炭 -医療器具 出所)中国海関『中国進出口貿易統計年刊(台湾区)J 1980, 1985年版,財務部関税総局統計室『中華民国台湾地区出口 貿易統計月報.JJ 1990年 12月, 1995年 12月版,同『中華民国台湾地区進口貿易統計月報J 1990年 12月, 1995年 12月版. から,もともと対外指向的工業化戦略を採っていたともいえる。 それでは NIEs の商品貿易構造は80年代以降どのように変化しているのであろうか。この点 についてみてみよう。 台湾の場合〈表 4 ),輸出品目では80年に 6 位で全輸出の 4.3%であったボイラー・機械類が 急増して 91年以降は首位を占め,さらに80年代を通じて首位の座を維持していた電気機器は90 年代に 2 位に転落したが,その後もシェアを高めている。これに対して,伝統的輸出商品であ ったメリヤス類,履物・ゲートル,玩具・スポーツ用品などはいずれもシェアを低下させ,9
5
年には玩具・スポーツ用品がやっと 7 位にランクされているにすぎない。輸入品目では 80年に 全輸入の 4 分の 1 以上を占めていた鉱物燃料・鉱物油のシェアが急減し, 95年には 3 位となり シェアも 7%以下となった。それに代わって 80年に 2 位, 3 位であった電気機器,ボイラー・ 機械類が今や 1 位, 2 位となっている。とりわけ電気機器の伸びは著しい。台湾では輸出入と も電気機器,ボイラー・機械類の特化度が高く, 95年にはこれら両品目だけで輸出の 43.7%, -75 ー輸入の 34.2%を占める。両品目とも貿易収支は黒字であるが,電気機器の黒字幅は急減して 95
年には収支がほぼ均衡している。逆に80年代後半まで赤字品目であったボイラー・機械類は黒
字に転じ今や最大の外貨獲得源となっている。韓国の場合は(表 5 ),台湾と同じく輸出入
とも 80年代後半以降電気機器,ボイラー・機械類の比重が増加し,また輸出ではメリヤス類,
履物・ゲートルが,輸入では鉱物燃料・鉱物油がシェアを低下させている。ただし台湾とは異
なり, 95年時点で輸出では電気機器が30.4% と圧倒的シェアを誇っているのに対して,ボイラ ー・機械類は 2 位となっているもののそのシェアは 9.9% にすぎなし、。輸入では上位からボイラー・機械類,電気機器,鉱物燃料・鉱物油の )1買で,これら 3 品目の集中度が高L 、。また品目
別貿易収支も電気機器が最大の外貨獲得源になっているが,ボイラー・機械類は鉱物燃料・鉱
物油に次ぐ大幅な赤字となっている。次ぎにシンガポーノレの場合,地場輸出が70年代半ばには再輸出を凌駕し, 80年代を通じて全
輸出の 3 分の 2 を占めていたが, 90年をピークにやや減少して 95年には60%を割っている。商
表 5 韓国の主要貿易品目構成 (単位; 100万ド‘ル,%)
年 1980 1985 1990 1995 輸出 17.505 30.283 65.016 125. 058 1 位 鋼鉄・同製品 12.3 船 自自 16.6 電気機器 22. 7 電気機器 30.4 2 位 電気機器 10.7 電気機器 11. 6 原子炉・ボイラー 8.0 原子炉・ボイラー 9. 9 上 -機械類 -機械類 3 位 アノ f レ Jレ 9.5 鋼鉄・同製品 10.0 はきもの・ 6.6 鉄道・電車道以外 7.5 位 (メリヤス類を除く) ゲート Iレ の車縞 4 位 はきもの・ 5.2 アノ f レ lレ 7. 5 アノ f レ Jレ 5. 1 人造繊維糸 4. 9 ゲートル (メリヤス類を除く) (メリヤス類を除く) ロロロ 5 位 メリヤス類 4. 7 はきもの・ 5.2 鋼 鉄 4. 7 船 自白 4.4 ゲートル 目 6 位 人造繊維(製糸) 3. 7 メリヤス類 4. 7 船 自白 4. 3 プラスチック・ 4. 1 同製品 7 位 船 自白 3.5 ボイラー・機械類 3. 7 人造繊維糸 4.0 鋼 鉄 3.8 輸入 22. 292 31. 136 69.844 135.119 1 位 鉱物燃料・鉱物油 29.8 鉱物燃料・鉱物油 23. 7 原子炉・ボイラー 17.7 原子炉・ボイラー 17.6 -機械類 -機械類 2 位 ボイラー・機械類 10.4 ボイラー・機械類 11. 4 鉱物燃料・鉱物油 15.8 電気機器 14.3 上 3 位 電気機器 6.6 船 自白 11. 1 電気機器 12.5 鉱物燃料・鉱物油 14. 1 位 4 位 鋼鉄・同製品 6.2 電気機器 8. 7 鋼 鉄 5. 1 鋼 鉄 5. 1 ロロロ 5 位 有機化学 4.4 鋼鉄・同製品 5.4 有機化学 4.9 光学・映写・精密 4.4 -医療器具 目 6 位 木材・木製品・ 4.0 有機化学 4.5 光学・映写・精密 3.3 有機化学 4. 1 木炭 -医療器具 7 位 綿 花 2.9 穀 類 2.9 生 皮 2.6 宝石・貴金属 2.3 出所) Office of Customs Administration,Statistical Yearbook 01 Foreing Trade, 1980, 1985.199α1995.プラザ合意後の東アジア域内分業の新展開 表 6 シンガポールの主要貿易品目構成 〈単位; 100万シンガポール・ド‘ル,
%)
年 1980 1985 1990 1995 地場輪出 27,063<65.3> 32, 918 く 65.6> 62,754<65,9> 98,473<58,8> l 位 石油・同製品 42.4 石油・同製品 39. 1 石油・同製品 27.1 事務・ 34.0 上 データ処理機器 2 位 電気機器 11. 1 電気機器 12.8 事務・ 23. 1 電気機器 19.5 位 データ処理機器 3 位 通信・音響機器 7. 7 事務・ 7.6 電気機器 12. 1 石油・同製品 13. 7 口口口 データ処理機器 4 位 アノ守レ lレ 2.8 通信・音響機器 6.9 通信・音響機器 11. 3 通信・音響機器 10.2 目 5 位 天然ゴム 2.5 アパレル 2. 7 アノ号レ Jレ 2.9 雑製品 2.5 再輸出 14.388<34.7> 17,261<34.4> 32, 450 く 34.1> 69,042<41. 2> l 位 天然ゴム 18.2 電気機器 8. 7 通信・音響機器 13.4 電気機器 24.4 上 2 位 通信・音響機器 5.9 天然ゴム 8.3 電気機器 9. 8 通信・音響機器 12.0 位 3 位 産業機械類 5.3 通信・音響機器 5.2 事務・ 6.5 事務・ 10.9 データ処理機器 データ処理機器 口口口 4 位 電気機器 4. 9 産業機械類 4. 7 一般産業機械類 4. 7 一般産業機械類 4. 2 白 5 位 一般産業機械類 3.9 一般産業機械類 4.3 天然ゴム 4.4 産業用機械類 3.8 輸 入 51. 345 57,818 109,806 176,313 l 位 石油・同製品 29.0 石油・同製品 29.4 石油・同製品 15.8 電気機器 24.5 上 2 位 電気機器 8.3 電気機器 10.4 電気機器 13. 1 事務・ 10.6 位 データ処理機器 3 位 輸送設備 4.4 輸送設備 4. 6 通信・音響機器 7.5 石油・同製品 8.1I ロロロ 4 位 一般産業機械類 4. 3 通信・音響機器 3. 9 事務・ 7.2 通信・音響機器 7.4 データ処理機器 目 5 位 天然ゴム 4. 2 一般産業機械類 3.5 一般産業機械類 4.3 一般産業機械類 4. 1 注)<
>内の数値は総輸出に占める比率(%)。出所) Singapore Trade Statistics, Jmports and Exports, December 1980,1985,1990,1995.
品貿易構成の推移をみると(表 6 ),地場輸出では 80年には 42% 以上のシェアをもっていた石 油・同製品がとくに 80年代後半以降減少し, 92年には 2 位に, 94年には 3 位に転落した。それ に代わって事務・データ処理機器,電気機器,通信・音響機器が増加して L 、る。とくに事務・ データ処理機器の輸出は 80年代半ば以降急増して 92年からは首位となり, 95年は 34.0% を占め るに至っている。電気機器も 90年代に入って急増している。 95年にはこれら機械機器の 3 品目 だけで地場輸出の 63.7%を占め,石油・同製品を加えた 4 品目では実に 77% に達する。また再 輸出では天然ゴ、ム,輸入では石油・同製品の比重が低下し,それに代わってともに上記の機械 機器の 3 品目が増え, 95年には上位を独占している。とりわけ 90年代に入ってからの電気機器 の伸びは高 L 、。品目別貿易収支では,事務・データ処理機器が最大の黒字品目となっており,
-77-表 7 香港の主要貿易品目構成 (単位; 100万香港トツレ,
%)
年 1980 1985 1990 1995 地場輸出 68. 171 <69.4> 129.882<55.2> 225. 876 < 35. 3 > 231. 657<17. 2> 1 位 アパレル 34.1 アノ f レ Iレ 34.6 アノ苛レ Jレ 34.2 アパレル 31. 9 上 2 位 写真・光学・ 10.4 写真・光学・ 8.4 写真・光学・ 9.5 電気機器 13.8 精密機器 精密機器 精密機器 位 3 位 通信・音響機器 7.4 電気機器 7. 7 電気機器 7.7 雑製品 8.6 ロロロ 4 位 紡 織 6.6 通信・音響機器 6.9 紡 織 7.5 事務・ 7. 7 データ処理機器 目 5 位 電気機器 6.6 紡 織 6.0 通信・音響機器 7.3 写真・光学・精密機器 7.4 6 位 事務・ 3.0 事務・ 5.4 事務・ 7.2 紡 織 6.1 データ処理機器 データ処理機器 データ処理機器 再輸出 30.072<30.6> 105.270<44.8> 413.999<64.7> 1. 112.470<82.8> 1 位 紡 織 14.3 紡 織 15.2 アノ f レ lレ 11. 6 雑製品 12.8 上 2 位 写真・光学・ 9.3 電気機器 8.5 紡 織 11. 4 通信・音響機器 位 精密機器 3 位 非金属鉱物製品 7.9 アノ f レ Jレ 7.3 電気機器 9.0 電気機器 10.3 ロロロ 4 位 電気機器 6.5 写真・光学・ 6. 9 通信・音響機器 8.8 紡 織 8.3 精密機器 目 5 位 アノ f レ 1レ 5.2 通信・音響機器 6.6 写真・光学・ 3. 7 アノ f レ Iレ 8.2 精密機器 輸 入 111. 651 231. 420 642.530 1. 516. 972 1 位 紡 織 13.3 紡 織 14.5 紡 織 12.4 電気機器 12.3 上 2 位 写真・光学・ 6.8 電気機器 8.3 電気機器 9.9 通信・音響機器 9.6 位 精密機器 3 位 石油・同製品 6.8 写真・光学・ 5.9 アノ f レ Jレ 8.4 紡 織 8.6 ロEロ3 精密機器 4 位 電気機器 6. 7 アノ f レ Jレ 5.6 通信・音響機器 7.7 雑製品 6.8 目 5 位 非金属鉱物製品 6.2 通信・音響機器 5.2 写真・光学・ 5.4 アノ f レ Jレ 6.5 精密機器 注) く >内の数値は,総輸出に占める比率(%)。出所) Census & Statistics Department.Hong Kong Trade Statistics, December 1980, 1985, 1990, 1995.
および Hong Kong External Trade. Decemder 1980, 1985, 1990, 1995.
また通信・音響機器も黒字であるが,電気機器は常に赤字となっている。同じく都市経済であ り,自由貿易港として発展してきた香港の場合(表 7 ),シンガポールとは反対に70年代後半 以降再輸出が急増して 88年には地場輸出を上回り, 90年には全輸出の 64.7%, 95年には 82.8% を占めるに至っている。これは後述するように香港が中国で委託加工貿易を行っていることに よるが,それにしても驚異的な伸びである。香港の場合も電気機器や通信・音響機器などの機 械機器の貿易は増加しているが,他の NIEs 程の伸びはなく,雑製品,アパレル,紡織もかな りの比重を占めている。
78
-プラザ合意後の東アジア域内分業の新展開
(3) ASEAN
[4J ・中国の商品貿易構造 ASEAN 諸国は 80年代初頭までは外資に対しては出資率制限などの措置を採り,基本的に輸 入代替工業化を目指していた。そして貿易に関しては,その枠内においてではあるが,豊富な 天然、資源を基礎に一次産品,ならびにその半加工・加工製品の輸出を通じて比較的順調な経済 成長を遂げてきた。これには70年代における世界的な資源ナショナリズムの高揚によって石油 をはじめとする一次産品価格が上昇したことも有利に作用した。 ASEAN 諸国の工業化の場合, 輸入代替を目指しつつ,同時に H ・ミントが提唱した「輸出代替工業化J (\,、ままでの一次産 品の輸出に代わってそれを加工ないし半加工した製品の輸出を通じる工業化〉戦略をも採って きたといってよし、。ところが, 80年代前半以降一次産品価格が下落したため輸出が減少し,経 済も低迷した。そこで ASEAN 諸国は工業化政策を輸入代替から輸出指向へ, それも従来の 表 8 マレーシアの主要貿易品目構成 (単位; 100万マレーシア・ドル,%)
年 1980 1985 1990 1995 輸出 28,172 52,444 79,646 185,304 1 位 石油・同製品 24.5 石油・同製品 18.5 電気機器 17.8 電気機器 2 位 天然ゴム 16.4 電気機器 9.3 石油・同製品 14.9 通信・音響機器 上 3 位 コルク・木材 14.1 固形植物性油脂 8.8 通信・音響機器 10.9 事務・自動データ 位 処理機器 4 位 固形植物性油脂 10.7 コルク・木材 7.5 コルク・木材 9.6 固形植物性油脂 ロEロZ 5 位 電気機器 9.1 天然ゴム 5.5 固形植物性油脂 8.2 石油・同製品 自 6 位 非鉄金属 9.0 非鉄金属 3.3 アノ喧レ Jレ・ 4.5 コルク・木材 同付属品 7 位 コルク製品・ 1.7 通信・音響機器 1.8 天然ゴム 3.8 アパレ Jレ・ 木製品 同付属品 輸入 23,451 30,438 79, 119 194,496 1 位 石油・同製品 14.9 電気機器 16.9 電気機器 19.4 電気機器 2 位 電気機器 12.1 石油・同製品 11. 8 産業用機械 6.6 産業用機械 上 3 位 道路用車柄 8. 1 産業用機械 5. 7 道路用以外の 5.2 適信・音響機器 位 輸送車両 4 位 産業用機械 6.5 道路用車輔 4.9 非鉄金属 4.9 道路用以外の 品 輸送車両 5 位 鉄 鋼 5. 7 一般機械 4.9 金{非貨幣用) 4.9 一般機械 目 6 位 一般機械 3.8 鉄 鍋 4.5 一般機械 4. 7 鉄 鋼 7 位 穀 物 3.0 通信・音響機器 3. 7 石油・同製品 4.6 事務・自動データ 処理機器出所) Dept. of Statistics, Kuala Lumpur, Malaysia External Trade Statistics, 1980, 1985, 1990 , および
External Trade Summary, Disember 1995. 22.0 16. 7 9. 7 5.3 5.0 3. 7 3.1 28. 1 5.8 5.0 4.6 4.4 4. 1 3.6 (4) H ・ミント〈小島清監訳) W70年代の東南アジ 7経済』日本経済新聞社, 1971年(原著は 1970年)) 53"-'54ページ。 一 79
-輸出代替だけでなく,先進工業国や NIEs で比較優位を失った労働集約産業や電気・電子部品
の組立のような労働集約度の高い生産工程における輸出指向工業化戦略へと大きく旋回させ,
同時に外資の積極的な導入を図るに至った。 ータイは83年に,マレーシアは86年投資促進法によって輸出比率80%以上,フィリピンは87年包括投資法によって輸出比率70%以上の場合には,いずれも外資の出資比率を 100% まで認め
るようになった。またインドネシアも 87年末に製品の 65% 以上を輸出する製造業の場合には95 %の外国人所有を認めた〈生産開始から 15年後に持ち株の 51%を現地パートナーに委譲する義 務がある。ただし, 5 年延長可能。また保税加工区に進出し, 100% 輸出している企業につい ては現地側への資本委譲の義務はない〉。各国によって違いはあるが,外資に対して輸入関税 や法人税の減免など税制上の優遇措置を採っている。 表 9 タイの主要貿易品目構成 〈単位; 100万パーツ,%)
年 1980 1985 1990 1993 輸出 133.197 193.366 589.813 939. III 1 位 穀 物 20.6穀 物 16.1電気機器 11.6電気機器 15.5 2 位 食用野菜 11.5 食用野菜 8.3 原子炉・ボイラー 9.6原子炉・ボイラー 11.8 上 -機械類 -機械類 3 位 天然・合成ゴム 9.8天然・合成ゴム 7.7 ア r:: レ Jレ 7.3 ア/'1:レ Jレ 6.4 位 (ニット以外) (ユット以外) 4 位 スズ 8.5電気機器 6.1真珠・宝石・ 6.3魚介類 5.9 貴金属 ロt:lロ 5 位 電気機器 5.2 アパレル・ 5. 7 魚介類 5.5真珠・宝石・ 4. 7 同付属品 目 貴金属 6 位 宝石・貴金属 4.5魚介類 4.6穀 物 5.4 ゴム・同製品 4.3 7 位 美術・骨董品 4.0宝石・貴金属 4.5 ゴム・同製品 5. 1 穀 物 3.6 輸入 193.618 251.169 852.982 1.170.846 1 位 鉱物燃料 30.5鉱物燃料 22.7原子炉・ボイラー 17.6原子炉・ボイラー 18.2 -機械類 -機械類 2 位 ボイラー・機械類 9.3 ボイラー・機械類 13.3電気機器 13. 7 電気機器 16.8 上 3 位 鉄 鋼 7.4鉄 鋼 9.3鉱物燃料 9.2乗り物 7.9 位 4 位 電気機器 6.9電気機器 7.4鉄 鋼 8.6鉄 鋼 7.6 ロt:lロ 5 位 乗り物 5.2美術・骨董品 4.9乗り物 7.9鉱物燃料 7.4 目 6 位 有機化合物 3.2乗り物 4.6真珠・宝石・ 4.3 プラスチック・ 3.3 貴金属 同製品 7 位 航空機 2. 7 有機化合物 3.8 プラスチック・ 4. 1 有機化合物 3.0 同製品 '--ーーー出所) Dept. of Customs, Bankgkok. Foreign rrade Statisticsof rhai加ul,1980.1985.1990, 1993.
(5) 小浜裕久編著『直接投資と工業化一一日本. NIES ・ ASEANJI 日本貿易振興会, 1992年,各章参 照。
プラザ合意後の東アジア域内分業の新展開 表10 インドネシアの主要貿易品目構成 (単位; 100万ドソレ,
%)
年 1980 1985 1990 1995 輸出 21, 909 18,587 25,675 45,418 l 位 鉱物燃料・鉱物油 71.9 鉱物燃料・鉱物油 68.6鉱物燃料・鉱物油 43.8 鉱物燃料・鉱物油 25.3 2 位 木材・木製品 8.0 木材・木製品 6.4 木材・木製品 13.6 木材・木製品 11.1 上 3 位 ゴム・同製品 5.4 コーヒー・茶・ 4. 5 アノ f レ Jレ 4.0 電気機器 5.6 位 香辛料 (ニット以外) 4 位 コーヒー・茶・ 3.9 ゴム・同製品 3.9 ゴム・同製品 3.6 ゴム・同製品 4.9 口口口 香辛料 5 位 スズ・同製品 2.0 動植物性油脂 2.2 魚介類 3.6 アノ f レ Jレ 4. 7 (ニット以外) 目 6 位 動植物性油脂 1.3 アルミニウム・ 1.4 コーヒー・茶・ 2. 7 はきもの 4.5 同製品 香辛料 7 位 金属鉱物 1.1 アノ f レ 11/・ 1.4 アノ守レ lレ・ 2.4 鉱物類 3.5 同付属品 同付属品 輸入 10, 834 10,259 21, 837 40,629 1 位 ボイラー・機械類 16.8 ボイラー・機械類 20.0 原子炉・ボイラー 25. 1 原子炉・ボイラー 22.4 -機械類 -機械類 2 位 鉱物燃料・鉱物油 16.2 鉱物燃料・鉱物油 12.6 鉱物燃料・鉱物油 8.9 電気機器 8.8 上 3 位 鉄 鋼 11.1 鉄 鋼 9. 7 電気機器 7.0 鉄道以外の車輔 7.4 位 4 位 乗り物 8.8 電気機器 6.3 鉄道以外の車麟 6.5 鉱物燃料・鉱物油 7.4 ロ口ロ 5 位 穀 物 7.9 有機化合物 5.4 鉄 鋼 5.1 有機化合物 6. 1 目 6 位 笥気機器 6.5 合成樹脂・ 4.8 有機化合物 4.8 鉄 鍋 5.6 プラスチック 7 位 有機化合物 3.8 乗り物 4.1 プラスチック・ 4.6 フ。ラスチック・ 3. 7 同製品 同製品出所) Biro Pusat Statistik (Central Bureau of Statistics), Jakarta, lndonesia Foreign Trade Sta!Ístics, Exports, および lndonesia Foreign Trade Statistics, lmports, 1980, 1985, 1990, 1995.
ASEAN
[4J のうち, 紙幅の関係からマレーシアとタイ, インドネシアの商品貿易構成の 推移を表 8 '"'-'10によってみると, 80年時点の輸出構成はマレーシアでは石油・同製品,天然ゴ ム,コルグ・木材,固形植物性油脂が,タイでは穀物,食用野菜,天然、・合成ゴム,スズが,またインドネシアでは鉱物燃料・鉱物油,木材・木製品,ゴム・同製品,コーヒー・茶・香辛
料が上位を独占していた。これら 4 品目だけでそれぞれ65.8J,b,50.4
J,b,
89.2J,bを占め,一次 産品主導型の輸出構造をもっていた。上位 7 品目のうち工業製品ではマレーシアとタイで 5 位 に電気機器がランクされているにすぎなし、。他はすべて一次産品もしくはその加工製品であっ た。とりわけインドネシアの場合は鉱物燃料・鉱物油だけで7 1. 9J,bも占めていた。それが,マ レーシアでは80年代後半から電気機器,通信・音響機器が,また90年代に入って事務・自動デ ータ処理機器が急増1...., 95年にはこれら 3 品目が上位を独占している。そしてかつての輸出主 力商品であった石油・同製品,固形植物性油脂,コルク・木材は 90年代にシェアを大幅に低下 させ,ランクも 4"-'6 位に落ちている。またタイでも電気機器,原子炉・機械類が急増して 90-81-年代には 1 位と 2 位を占めている。なおアパレル(ニット以外)は 3 位で,シェア・ラングと もマレーシアよりも高いが,マレーシアと同様に90年代に比重を低下させている。インドネシ アでは鉱物燃料・鉱物油が依然として 1 位であるが,シェアは95年には 25.3% と大きく低下し ている。木材・木製品も 2 位であるが, 80年代後半以降はむしろシェアを高めている。これは, タイおよびインドネシアで徐々にシェアが増加している魚介類と同様に (95年のイシドネシア における魚介類輸出シェアは3.5% で, 8 位),日本などからの需要が増えたためで、ある。工業 製品ではアパレル関係,履物などの軽工業品がとくに伸びている。重工業分野では電気機器が 急増して 3 位にラングされ,シェアも 5.4% を占めるようになっている。輸入構成をみると, 3 カ国とも 80年には 1 位か 2 位であった石油・同製品もしくは鉱物燃料・鉱物油の比重が低下 し,電気機器や機械類等が上位を占めるに至っている。 以上のように,