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海岸ツィムシアン語の所有表現

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(1)

Title 海岸ツィムシアン語の所有表現 Expressing Possession in Coast Tsimshian Author(s) 笹間 史子 (Fumiko Sasama)

Citation 大阪学院大学 外国語論集(OSAKA GAKUIN UNIVERSITY FOREIGN LINGUISTIC AND LITERARY STUDIES),第 62 号:29-46

Issue Date 2010.12.31

Resource Type Research Note/ 研究ノート Resource Version

URL Right Additional Information

(2)

大阪学院大学 外国語論集 第62号

2010年

12月

海岸 ツィム シア ン語 の所有表現

Expressing

Possession

in

Coast Tsimshian

Sasama, Furnlko

l はじめに

本稿は、海岸 ツィムシアン語の所有表現、とくに名詞 と後続の所有

(人称)

接尾辞 との間にあらわれる要素について記述することを目的とする。

海岸ツィムシアン語 は、カナグ北西部で話され る北米先住民語のひとつであ

る。

1海

岸 ツイムシアン語において、所有 は、名詞に所有人称接尾辞をつけるか、

あるいは所有接尾辞をつけて所有者を表

│す

名詞を後続 させることによって表さ

れる。所有に用いられる接辞を

(1),(2)に

、例を

(3),(4)に

あ―

げる。

(3)

2単

1複

m

2複

som

3単

/複

‐t 所 有 接 尾 辞 ―

a

普 通 名 詞 の前:

s

固 有 名 詞 の前 nokW`:t―ul father-lsg Pos

my father

ksl滅:sk―o―s T3//aん

shirt IV―

Pos Tiffany

Tiffany's shirt

│:Tri[fi「

、計

,■

:littifl文

i:llil{ii

に海岸 ツィム シアン語化 されない形であ らわれる場合には、英語の綴 りをそのまま用い、 イタ リック 体 にて示す。

2 1人

称単数所有人称接尾辞が母音 または14母音 に後続す る場合には、 uのかわ りにぅuが用いら れる。

3「

普通名詞」 と「固有名詞Jの別は、一般 に考え られているものとはやや異なる。固有名詞 とし て扱われるのは、基本的に人名のみであり、それ以外は普通名詞 として扱われる。他の言語で しば し ば固有名詞 として扱われる地名や民族名は、海岸 ツィムシアン語では普通名詞 として扱われる。 2セン トある独立人称代名詞の うち、 自動詞主語 。他動詞主語 。他動詞 目的語を表すのに用いられるセ ット は固有名詞扱い、斜格に用いられるもう一方のセ ットは普通名詞扱い(ただ し3人称を除 く)である。 普通名詞/固有名詞のどちらとして扱われるか一貫 しないのは親族名称で、所有者を明示 した親族名 称 は特定の人間を指すため、固有名詞 として扱われ ることがある。(2人称の所有接尾辞かついた親 族名称 は、固有名詞扱 いされるのが一般的である。) なお、所有接尾辞aは、母音または共鳴音のあとで/となる。

4

以 ド、海岸 ツィムシアン語の例は、特に明記 しないかぎり筆者の現地調査で得たものである。海 岸 ツ ィム シア ン語の現地調査は、文部 (科学)省科学研究費補助金 (特定領域研究(A)(2)「 アラス カとカナ ダ北西部 の先住民言語 の緊急調査J#12039222、 基盤研究 (C)「 品詞の通言語 的研究J #22520414)の援助 により、カナダ、 ブ リティ ンシユ・ コロンビア州ハー トレイ・ ベイおよびプ リン

ス・ ルバー トにてお こなわれた。調査に協力 して くださった Mildred Wilsonさ ん、Velma Nelson さんをは じめとする話者の方々に感謝 したい。

所有人称接 尾辞

1単

G)u12

(4)

海岸 ツィムシアン語の所有表現

31

しか しなが ら、 これ までの調査 において、名詞語幹 と所有 (人称

)接

尾辞 の 間 にkま た は

kh(一

部 の例 で

tk)を

観 察 す る ことが あ った。 以下 、 名詞 語幹 と所有 (人称

)接

尾辞 の間 にあ らわれ る要素 を ド線 にて示 し、

Kと

グ ロ スす ることにす る。 hh:s-k*-u dog-K-1sg.Pos

my

dog

c6m-kh-e-s

Kayla

jam-K-IV-Pos Kayla

Kayla's

jam

この要素 は、hゝIsのよ うに阻害音 で終 わ る名詞 に後続す る場合 には無声無気音 ∼ 半有声音 の

k[k∼ g](ま

た はtk[tk∼

tg])と

して'、

Camの

よ うに共 鳴音 また は母音で終 わ る名詞 に後続 す る場 合 には無声有気音 のkh[kh]と して あ ら われ る。 名詞 と所有 (人称

)接

尾辞 の間 にあ らわれ る要素 につ いて は、

Boas(1911)

を除 き、 これ まで ほとん ど記述 が な されて こなか った。

BOas(1911)は

、 名詞 と所有 (人称

)接

尾辞 の間 にあ らわれ る要素 の形 と機能 につ いて短 い記述 をお こな っているが、筆者 が現地調査 で二人 の話者 か ら得 たデー タは これ と多少異 な るのみな らず、二人 の話者 の間 に も多少 の差異がみ られ る。 本稿 で は、

Boasを

は じめ とす る先行研究 が所有表現、 そ して問題 の要 素 を どの よ うに記述 してい るかを紹介

(2節

)し

たの ち、筆者 の得 たデー タにお け る この要素 の形 とあ らわれ を観察 し

(3節

)、 最 後 に語 形 と機能 。あ らわれ の 変化 につ いて考察 す る。

5

例(5)における円唇化 は後続の母音uによる。

(5)

2.先

行 研 究

海 岸 ツ ィ ム シア ン語 の 所 有 表 現 に つ い て の記 述 を含 む 文 献 に は、

Boas

(1911)、

Dunn(1979)、

Ⅳlulder(1994)、 Stebbins(1999)、

Sasama(2001)

が あ る。 これ らにおいて、所有 を表す のに用 い られ る接辞 (所 有接 尾辞6と所 有 人称 接尾辞、 さ らに可譲渡 (分離

)所

有 に用 い られ る所有接頭辞

)の

形 とい くつ か の例 が あ げ られて い るが、

Boas(1911)と

Sasama(2001)を

除 き、 名 詞 と所 有 (人称

)接

尾辞 の間 にあ らわれ る要素 につ いての記述 はみ られ ない。

Sasama(2001)は

、 この要 素 の存在 を指 摘 し、 この要素 を と る名詞 の例 を あ げ る と と もに、_kと _khが それぞれあ らわれ る音韻 的環境 に触 れて い る。 し か し、 そ もそ もどの よ うな場 合 に―k/―khが 用 い られ るか につ いて は、「一部 の 名詞 」 と して い るに とどまる。

Boas(1911)は

、 名詞 と所有 (人称

)接

尾辞 の間 にあ らわれ る―k/― tk/―sに言

及 して い る。

Boasは

、海岸 ツ ィム シア ン語 が分離可能 な所有 (separable pOs―

session)と

そ うで な い所 有 、 さ らに対 象 が 有 生(animate)の 所 有 と無 生

(inanimate)の

所有 を区別す ること、分離可能 な所有 は接頭辞nЭ_によ ってマー クされ る こと、有生 名詞 を対 象 とす る分離可能 な所有 は接頭辞 nO_と 受動7の 接尾辞―k/― tk/―s、 そ して所有接尾辞8によ って表 され ると述べている(pp.392-3)。 所有表現 にお いて、身体部位名称や親族名称 な ど、所有者か ら切 り離す こと ので きない対象 の所有 (不可譲渡所有 inalienable possessionと も

)と

、 それ 以 外 の対象 の所有 (可譲渡所有 alienable possession)を 区別す る言語 は世界 に多 くみ られ る。何 を可譲渡所有

/不

可譲渡所有 とす るか、両者 を どの よ うな 方法 で区別 す るか等 の詳細 は言語 によ って異 な る ものの、北米先 住民 諸語 に も 可 譲 渡 所 有 と不 可 譲 渡 所 有 を 区 別 す る言 語 は少 な くな い (例 え ば

Mithun

6

所有接尾辞は、 しば しば「所有連結辞possessive connectivesJと 呼ばれ、 ときと して接辞 とい うよりはク リティ ンクとみなされて きた (たとえばDunn 1979や Stebbins 1999)。 しか しなが ら筆 者は、音韻規則や複合語形成等か らみて、これ らはクリティックではなく接辞とみなすべ きと考える。 「所有接頭辞Jを接辞 とみるかクリティックとみるかについて も議論の余地があるが、紙面の都合上、 これ らについての詳 しい議論は号1稿にゆず りたい。 7 Boasは これ らの接尾辞を、中動的・ 半再帰的とも説明 している(Boas 1911:354)。

8

所有人称接尾辞を含む。

(6)

海岸 ツィムシア ン語の所有表現 1999:251ff参 照)。 海岸 ツ ィム シア ン語 で は、 す ぐLで も述 べ た よ うに、接 頭 辞nO_が 分離可能 な所有 、 す なわ ち可譲渡所有 を表 す と記述 され て きた'。

Boasは

、 受 動 の接 尾 辞 ―k/― tk/―sのうち、_kは阻害 音 の後 で、 ―tkは共 鳴音 と母音 の後で、―sは軟 口蓋・ 口蓋垂阻害音 の後

mで

ぁ らわれ るとす る。 これ は、 筆者 の観 察 した「 阻害音 の後 で は―k、 共 鳴音 。母音 の後 で は―kh」 とやや異 な る。

Boasの

あ げた9つの例 の うちの

4つ

を以下 にあげ る。 本稿 で用 いた音素 表記 に合 わせ て筆者 が表記 を修正 す る と と もに、 グ ロスをつ けた。 (前 節 に引 き続 き、―k/― tk/―sに も

Kと

グ ロスをつ ける。)

(7)

ne-hb:s-k*-u Pos-dog-K-1sg.Pos

my

dog

(8)

ne-h6rn-tk-e-n

Pos-fish-K-IV-2sg.Pos

thy

salmon

(9)

ne-me*i:k-s-u Pos-steelhead-K- 1 sg.Pos

mv

steclhcad

snlmon

(10)

ne-i6p-s-u

Pos-tribe-K-lsg.Pos

people

of my

village

(Boas 1911:393)

(7)と(10)は不可譲 渡 所有 と考 え る ことが可 能 か も しれ な いが、 どち らに も可 譲渡所有 を表す とされ る接頭辞nЭ_がっ いて い る。 なお、

Boasは

この他 に

mmy

seal",Hmy bear',Hmy herring‖ ,‖my beざ ',Hpeople of my house"を 例 にあ

9

ただ しSasama(2001)は 、nOの可 譲渡所 有表 示機 能 が か な り弱 ま って い る ことを指 摘 して い る。 これ につ いて は後 で も触れ る。

(7)

げ て い る。

3

筆者 の現地調査 か らの デー タ これ まで筆者 がお こな って きた現地調査 にお いて、所有表現 の例 を提供 して も らった話者 は

2名

い る。話者

Aは

、 2005年 まで10年 以上 にわ た リ コ ンサ ル タ ン トと して調査 に協力 して くれた。彼女か らは、多数 の所有表現 の例 を得 た が、 その うち_k/‐khをとることが観察で きた名詞 は10数 個 であ った。話者

Bは

話 者

Aと

同 じ村 の出身で、

Aよ

り も数歳若 い。

Bに

は2010年 は じめて調査 に 協 力 を依頼 した。本節 では、筆者 が この二人か ら得 た所有表現 を記述 す る。

3.1.話

Aか

らの デー タ 話者

Aか

ら得 た所有表現 のデー タにおいて_k/_khを とることが観察 で きた名 詞 は10数 個 あ った。 その多 くは、人称接尾辞 や語彙 の調査 をお こな うなかで観 察 され た り、 テキ ス ト中 にみつか った り した ものであ り、 この要素 に焦点 を当 て た調査 は ご く短時間 しかお こな っていない。 話者

Aの

デー タにおいて、_k/_khを とることが観察 された名詞 は以下 の通 り で あ る。 なお、 同 じ名詞 が異 な る接尾辞 とと もに観察 され た場 合 (例 えば、 hゝ:s‐kW―u ''my dogn, hゝ :s_k_a kapotk61:lk "the kids' dog", hゝ :s―k―o―s Kθ77

"Ken's dog")は

、 それ らをすべ て あ げ る ことはせず、基本 的 に一 例 をあげ る に とどめた。 所有者 の人称・ 数、 人称接尾辞

/独

立 名詞 の別 な どの条件 は、 _k/_khのあ らわれ に関係 しないと思 われ る。 (11)hゝ:s―kW_u dog―K-lsg Pos

my dog

(*hゝIs‐u)

(8)

海岸 ツ ィム シア ン語 の所有表現 (12)t`Is―kW―

u

cat K,lsg Pos

my cat

(13)66:`―kW―u bird_K_lsg Pos

my bird

(14)lkWusll:s―kW―u niece/nepheW― K-lsg Pos

my niece/nephOW

(15)nЭ ‐p6:s―kW=u Pos―bossiK-lsg,Pos

my boss

(16)su― η “ rsθ=k-0.m

new―nutte・K IV-lpl.Pos

our(new)nuF"

(17)ιθαOんθr kh-5-m teach釘―K‐IV lpl,Pos Our teacher

(13)na_れοれβッーkh‐0‐ n ll

Pos―honey―K IWr_2‐sg,Pos

your honey (spouse or boy―/girlf五end)

(19)no‐

″ο

θ

ι

οル

kWh―

u

Pos・doctor―K-lsg.P6s

my doctor

(9)

(20)Marι

んα kh_Э

_m

Martha K IV lpl.Pos

our Martha

(*几イαrιんα_m) (21)Cんrjs―k‐ o‐

m

Chris―K―IV lpl Pos our Chrls (*Cん rJs Э―

m)

(22)c`m―kWh―

u

iam―K-lsg Pos

my Jam

(23) θんθrrJθs―k―o―s ?aputh`

cherries K IV―

Pos Abuta

Abuta's cherries

(24)a no‐won6ja―kh‐

Э

t

Pos―food―

K IV 3Pos

hiS/their(own)food

b.win6ja‐kh‐o‐s A10r772

food― K― IV―

Pos Norm

Norm's groceries _k/_khを とる名詞 には、hゝ:s‖dogn,p6:s"boss"な ど有生の ものが多いが、

cam

"jam",cんθrrjθ

sな

ど、 無生 名詞 も観 察 され た。 中 に は、 lkWuslis"niece/

nephew"や

んοんの のように不可譲渡名詞 とも考え られるものが含まれてお り、 可譲渡所有を表す とされるno―が用い られている例 も少数であった。 これ らの 例か ら、「nO‐は可譲渡所有を、―k/― tk/―sは 有生の可譲渡所有を表す」 という原 則がだ いぶ変化 して きていることが推察 され る。 上 にはあげていないが、

(10)

海岸 ツィムシア ン語の所有表現

h61n_u ''Iny fish"(fish-lsg.Pos), nЭ -6`p_0_n "your people, people of your tribざ'(Pos―tribe―

IV-2sg Pos)の

よ うに、―k/―khを とらな い有生名詞 の例 も得

られて い る。 英語 か らの借用語 が多 く観察 され た こと も興 味深 い。 話者

Aか

ら得 た例 の 半数以上 が英語 か らの借 用語 で あ った。 形 の面 で は ど うだ ろ うか。

Boasが

‐k/_tk/―sの形 を あ げた の に対 し、 話者

A

か ら観察 され た形 は基本 的 に―

kと

―khで あ った。

Boasが

―kと―

sが

あ らわれ る と した条件 (阻 害 音 の後

)で

は‐

kが

Boasが

_tkが あ らわ れ る と した条 件 (共鳴 音 。母音 の後

)で

は‐khが 観察 され た。一般 の所有表現 にお いて―k/_kh以 外 の形 が観察 され る ことはなか ったが、次 の例 にお いて―tkの 形が観察 され た。 (25),(26)は過去 お よび未来 にお ける所有 を表 してお り、現時点 で な い (過去 または未来の

)所

有 に‐tkを用 いて い る可能性 が考 え られ る。 (25)na-7tο72θν―tkj―i=ta2

Pos―honey―K-lsg Pos=Past

my deceased honey

(26)tom ti nOtha―

h6in_tk―Э―

s Lα

ltl′θんCθ tis TO″ν

Future on its.part receptacle―fish―K IV―

Pos Lawrence and Tory

La、vrence and Tory's canned fish

(canned fish which is to be Lawrence and Toryis)

残念 なが ら話者

Aは

2006年 に亡 くな り、 この点 につ いて さ らな るデ ー タを集 め ることはで きな くな って しま った。

(11)

32

話者

Bか

らの デー タ 話 者

Bに

は2010年 夏 には じめて調 査 への協力 を依頼 した。 所有 表現 にあ ら わ れ る一k/―khに つ いて エリシテー シ ョンをお こない、有生 。無生 を問わず、 日 常 的 に用 い られ る名詞 の所有表現 を集 めて、 どの名詞 に―k/―khがあ らわれ るか を観察 した。 その結果、予想 していた以上 にさまざまな名詞が この要素 を とる ことが明 らか にな った。 この要素 を とる名詞 の多 くは不可譲渡名詞であ ったが、 有 生 名詞 だ けで な く無生 名詞 も数 多 くみ られ た。 また、 ―k/_khに加 え、

Boas

が あげて いた―tkの形 も観察 された。 以下、身体部位名称、親族名称、 その他 の名詞 に分 けて例 をみて い く。 身体部位名称 身体部位名称 は、親族名称 とともに不可譲渡名詞の代表的な 2010年夏の調査 において、 日常的に用 いられる身体部位名称の多 認をお こな ったが、_k/_kh/―tkをとる例 は全 くみつか らなか った。 (27)お

mq`ws_u

head-lsg Pos

my head

(ホお

mqaws_kW_u)

(28)w6:px―u forehead-lsg.Pos

my forehead

(*w6:px―kW‐u) (29)60w`11_u finger-lsg.Pos

my finger

(*60w`:1_kWh_u) もの で あ る。 くにつ いて確

(12)

海岸 ツィム シア ン語の所有表現 (30)↓ `:n_u teeth-lsg Pos

my teeth

(*寺 `:n_kWh‐ u) 親族 名 称 親 族 名 称 も不 可 譲 渡 名 詞 の 代 表 的 な もの で あ る。 親 族 名 称 に も―k/―kh/―tkを

と る例 は観 察 され な か った。 話 者

Aか

ら観 察 さ れ たlkWuslis_kW―

u(上

記 例

(14))が

、 話 者

Bに

よ って不 可 と され て い る (例

(33))こ

と に注 意 され た い。 (31)16ms‐ u in-law-lsg Pos my in―law (*l`ms‐kW―u) (32) nЭ616_u

grandmOther-lsg Pos

my grandmother

(*n0616_kW_u) (33)lkWuslis―u niece/nepheW lSg Pos

my niece/nephew

(*lkWuslis_kW_u) 一部 の親族 名称 につ いて は、筆者 が‐k/‐kh/_tkを つけた所有 表現 を提 示 した と ころ、話者

Bに

よ って複数 と解釈 され た。 例 (34)と (35)は そ う した例 の う ちの二 つである。 いずれ も単数 と解釈す るには無理 が あ るとい う。 単数 の所有 を表す上 の例(31)。 (32)と 比較 され た い。 (36)に は―sが用 い られて い る。

(13)

(34)1`ms―kW―u

in-law―K?-lsg.Pos

my in―

laws (*my in―

law) (35)qa―no616‐kW_u

pl―

grandmother_K?-lsg.Pos

my grandmothers (*my grandmother)

(?n0616_kW_u13) (36)lok‐lk`:wk―s―u Rdp―sister_K?-lsg Pos my sisters そ の他 の名 詞 身 体 部 位 名 称 、 親 族 名称 以 外 の名詞 の所 有 表 現 を調 べ た と ころ、 httsの よ う な有 生 名 詞 以 外 に も、 ―k/―kh/―tkをと る例 が い くつ も得 られ た。 まず 、 有 生 名 詞 の例 を あ げ る。 (39)の よ うに、―k/―kh/―tkあ り 。な しの両方 が観察 され た ケー ス もあ った。 (37)hゝ:s―kW―u dog―K-lsg.Pos

my dog

(38)t`:s―kW―u cat―K-lsg.Pos

my cat

(39)a lkWullk― o-ln-66:6_kW_u

child IV―Comp―bird―K-lsg.Pos

my pet bird

13 複数接頭辞のqaをつけずにnЭ

`“

―kW_uと言うことも不可能ではないが、qaと kを同時につけ た方がよいという。

(14)

海岸 ツィムシア ン語の所有表現

b‐. lkWullk―o―ln―c`:o=u

child IV―Comp― bird-lsg.POs

my pet bird

(4o)nЭ早t6ktha― kW11-ll

Pos―doctor K lsg,Pos

my doctor

(41)na― んοんθ夕=kWh_u

Pos―honey_K-lsg POs

llly honey (spOuse Or boy― /girlfriend)

次 に無生名詞 の例 を あげ る。 ‐k/―kh/―tkをとる無 生 名詞 に は、 英語 か らの借

用語 または英語か らの借用語 を含む ものが きわめて多 くみ られ た。 これ らに は、

11:m(rum力

)ら)、

t`la(dollaFか

ら)、 sw続ノ

swiis(sweetieか

)の

よ う

に音 韻的 に海岸 ツ ィム シア ン語化 され た ものも あれば、cοοた′θs,ωrθαιんの よ

う│こ 英語発音 のまま用 い られて いるもの もあ った。

(42)w,p-11:m.kh―o‐

s Jο

んん

house liquor― K IV―Pos JOhll

Johnis liquor stOre (*wap-11lm―s JOんん)

(43) a. nOtla_t`:la‐ s m6:li

receptaclё inolley―

POs Ⅳlary

ルIary's purse

b nOtha‐t`:la‐kh-3-S m6:li

FeCeptacle money‐ K IV」Pos A/1aFy

(15)

(44)a.swii:‐kh‐Э‐

s m6:li

candy―K― IV―Pos lⅦary

Ⅳlary's candies b.swii:s―k―o―

s m6:li

candy―K―IV―Pos Nlary ⅣIary's candies (45)pins―kW‐u beans―K-lsg Pos

my beans

(46) εοοた」θs―kW―u cOokies―K-lsg Pos

my cookies

(47)ω′θ

αιん―kW―u wreath―K lsg Pos

my wreath

一 方 で、 同 じ無 生 名詞 で も、 古 くか ら使 わ れ て いた と思 わ れ る語 に は、_k/ _khを と らな い もの が 多 か っ た。 次 に あ げ る名 詞 は

Beynon(19321939)や

Boas(1912)に

もみ られ、 少 な くと も100年 以 上 は使 わ れ て きた と考 え られ る。 (48)w`:p―u house-lsg.Pos

my house

(*w`:p―kW―u)

(16)

海岸 ツィムシアン語 の所有表現 (49) 66:xs=u shoos‐1,g.Pos

my shoes

(・66区s‐kW‐u) (50)6olll可

u

basket-lsg,POs

my basket

(*`o161_k"h_u)

このことからも、以前は有生の可譲渡所有に限 られていた‐

k/・kl/‐tkの

使用が、

近年、とりわけ英語か らの借用語を申心に、無生名詞にまで広がってきている

ことが推浪

Jさ

れる。

形の面ではどうだろうか。話者

Aは

、基本的に二

k/・khを

用い、発話時点より

も過去または未来の所有を表す ときにのみ―

tkを

用いていた。 しか し、現在の

所有を表すい くつかの例において、話者

Bが

khの

かわ りに―

tkを

用いるのが

観察された。 いずれ も共鳴音の後であった。

(51)a.o`m―

kWh二u janl‐K lsg.Pos

my]am

b. 0`m―tk―o―s m61‐li jam―K‐IVLPOs LIlaFy

MaFyts iam

(52)a.

た●″ω れ・k・h―

u

ice ceanl―K‐lsgiPos

my lCe CFeam

(17)

b. jcθ crθα″ι―tkW―u ice.crealln K lsg Pos

my lce cream

(53)no―m611-tk―o―

s m6:li

Pos mail K IV―

Pos Mary

ルIary's mail 4。 ま とめ 以 上 、 名 詞 と所 有 (人 称

)接

尾 辞 の 間 に あ らわ れ る要 素 に つ い て 、

Boas

(1911)の

記 述 お よ び筆 者 が二 人 の話 者 か ら得 た デ ー タを も とに、 ど の よ うな 形 が どの よ うな場 合 にあ らわ れ るか を み て きた。 そ の結 果 、 以 下 の こ とが観 察 され た。 形 に つ い て

Boasが

あ げ て い る‐k/‐ tk/‐sに対 し、 現 在 観 察 され る形 は―k/―kh/ ‐tkであ る。

Boasが

共 鳴音 の後 に あ らわ れ る と述 べ た―tkは、 現 在 で は ほ とん ど有 気 音 の_khに と って か わ られ て い る。 現 在 、 ―tkは 共 鳴音 の あ とに まれ に用 い られ る一 方 で、話 者 に よ って は過 去 また は未 来 の所 有 を表 す場 合 に の み用 い る よ うで あ る。 機 能 。あ らわ れ に つ いて

Boasは

有 生 名 詞 の可 譲 渡 所 有 を表 す の に用 い られ る要 素 と して い るが 、 現 在 で は厳 密 に有 生 名 詞 の可 譲 渡 所 有 を表 す要 素 で は な くな って い る。 不 可 譲 渡 名詞 で あ る身 体部 位 名 称・ 親 族 名称 の所 有 表 現 に は今 も―k/―kh/‐tkがほ とん ど全 く用 い られ な い ことか ら、 この要素 は現 在 も可 譲 渡・ 不 可 譲 渡 の 区別 を あ る程 度 は示 して い る と思 わ れ る。 とは いえ 、 可譲 渡 名詞 で あ りな が ら‐k/―kh/‐tkをと らな い例 ("fish")や 、 不 可 譲 渡 名 詞 で あ りな が ら ―k/―kh/―tkをと る例 ("honey","pet bird")も み られ 、 この区 別 が 厳 密 に お こ な わ れ て い る とは いえ な い。

(18)

海岸 ツィムシア ン語 の所有表現 これ は、現在 の海岸 ツ ィム シア ン語 にお け る所有接頭辞nЭ_のあ らわ れ と も 関連 して いよ う。nЭ―は、可譲 渡所有 を表す要素 とされて きたが、現 在 で は可 譲渡所有 であ りなが らこれを と らない例 が数 多 く観察 され る。逆 に、不可譲渡 所有 に もかか わ らず nO_が 用 い られて い る例 もみ られ る。 有生 。無生 の別 は、 さ らに曖 昧 にな って い る。近 年 の デ ー タをみ るか ぎ りで は、―k/―kh/―tkのあ らわれ を有生 。無生 の別 と関連 づ けるの はか な り難 しい と 思 われ る。 それで は、‐k/―kh/―tkのあ らわれ に は他 に どの よ うな要 因 が関係 し て い るのだ ろ うか。 今後 さ らな るデ ー タを集 めて確 か め る必要 が あ ると思 われ るの は、 海岸 ツ ィ ム シア ン語固有 の語

/借

用語 の別、 および音韻 的 な要 因 で あ る。 2010年 夏 に こ の要素 のエ リシテー シ ョンをお こな った際 に 目を引いたの は、英語 か らの借用 語 に‐k/―kh/―tkがつ く例 が きわめて多 く観察 され た こと、 そ してsや

mで

終 わ る名詞 には―k/―kh/―tkがつ きやす い ことであ った。―k/‐kh/‐tkのあ らわ れが、語 種 や音韻 的要 因 によ る ものへ と変化 して きて い る可能性 が あ る。 多 くの話者 たちが この要素 を用 いてい ることは観察 して いるが、方言差 も個 人差 もあ るで あろ う。 で きるだ け多 くの話者 の協 力を得て、現在 この要素 のあ らわれが ど うな って い るのか、 そ して今後 どの よ うに変化 して い くのか、調べ る ことを これか らの課題 と したい。 記 号 。略号一 覧 ― affix boundary

Comp compound

Pos possessive

:

clitic

boundary

IV

inserted

vowel

Rdp

reduplication

l/2/3 l"/2*/3

person

pl

plural

sg

singular

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参照

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