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Cyberspace としての病院情報システム

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Academic year: 2021

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Cyberspace

としての病院情報システム

Hospital Information System as Cyberspace

津本周作,平野章二,阿部秀尚

Shusaku Tsumoto, Shoji Hirano, Hidenao Abe

島根大学医学部医療情報学講座

Department of Medical Informatics, Faculty of Medicine, Shimane University

Abstract: This paper shows the status of hospital information system in which all the clinical

data are stored: this can be viewed as mapping all the clinical records into cyberspace composed of huge spatiotemporal databases. Thus, spatiotemporal data mining plays an important role in analyzing complex data, which will lead to a new style of hospital management.

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はじめに

診療情報の電子化に伴い,すべての診療行為とその 結果が病院情報システムに蓄積される時代が来ようと している.たとえば,島根大学医学部付属病院 (外来: のべ 1000 人/日,病床数 618) は,図 1 で示されるよ うなシステムが平成 19 年 5 月から稼働しており,さま ざまな部門のデータが分散型データベースシステムと して蓄積されている. 現在稼働しているシステムで調査したところでは,診 療報酬に伴う診療行為が 1 日あたり 7000 件登録され, 1 日あたりで約 160MB のテキストデータと約 10GB の 画像データが蓄積されている.これは一年で,それぞれ 10GB, 3TB のデータとなり,これらのデータの有効活 用は今後の病院情報システムでの大きな課題となって きているが,大きくは次の二つの目標があげられよう. 診療支援 これまで,我々は慢性疾患の病像をスナッ プショット的にしか観測することができなかった.長 期間に蓄積された慢性疾患のデータをマイニングする ことで,その慢性疾患の全体像 (治療例/未治療例を含 めて) を把握することが可能となる.慢性疾患の長期 予後についての知識を発見することで,より質のよい 診療を支援できうる.さらには,全体像を横断的に調 べることで,医師が直観的に把握していた疾患の概念, および疾患分類について,その概念の再構築も期待で きる. 病院管理 一方,これまででも報道されて問題となっ ている院内感染および医療事故についても,診療行為 の電子化によって蓄積されたデータをマイニングする 連絡先:島根大学医学部医療情報学講座       〒 693-8501 出雲市塩冶町 89-1        [email protected] ことで,これらの事象のパターンを抽出し,感染・事 故を防止することが可能となってきている.ここで用 いられるデータは診療資源の配置に関わる病院管理の データであり,ここでのマイニング技術の適用はデー タに基づいた病院管理という新たな展開を生む. したがって,人という大規模系 (複雑系) と病院とい う大規模系 (複雑系) についてのデータが病院情報シス テムとして蓄積され,それぞれの複雑系 (あるいは複合 系) についての情報を再利用でき,それぞれについての 知識がデータマイニングによって発見できる.この意 味で,病院情報システムという対象は直接的に人間を 扱うものではないが,間接的な形で複合医工学の対象 となりうるものである. 著者らは,この二つの視点に着目し,前者について は,実際に病院情報システムに蓄積された検査データ を元にしたデータマイニングによる診療支援および後 者については,紙媒体で蓄積されたデータを電子化し たデータを元にした病院管理として,プロトタイプ的 な研究を重ねてきた [津本 05, 津本 07b, 津本 07a]. 本稿では,これまで蓄積されたデータから病院全体 の業務がどのように見えるかを概観する.

2 Cyberspace

からの病院の観測

2.1 オーダ

病院におけるすべての臨床行為は,異なる職種間の オーダを介している.これまでオーダは伝票を介して 伝えられてきたが,この伝票を電子化することが病院 情報システムの当初の目的であった.例えば,処方箋 は,医師から薬剤師へのオーダと考えることができる. 患者は医師から処方箋を受け取り,それを薬剤師と医 人工知能学会研究会資料 SIG-DMSM-A703-03 (2/28)

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内視鏡検査室 内視鏡検査室 病理部病理部 病院情報システム 病院情報システム 薬 剤 部 生理・内視鏡オーダ 放射線オーダ 輸血オーダ 処置オーダ 診療情報システム DPCオーダ 手術部 手術部 カルテ記載ツール カルテ表示ツール スタンプ機能 患者選択 看護管理支援システム 看護業務支援システム 栄養管理室 栄養管理室 中央放射線部 各撮影機器 インターフェース 画像読影レポーティングシステム 参照画像・所見入力システム 放射線業務システム 理学療法部 理学療法部 医療情報部 医事会計システム (医事会計・仮レセチェック) 臨床検査システム 細菌検査システム 心電図ファイリング システム 肺機能ファイリング システム 超音波システム 輸血部 輸血部 中央検査部中央検査部 シェーマツール 中央採血室 電子カルテシステム 電子カルテシステム 検査オーダ 食事オーダ 入退院オーダ 処方オーダ 予約オーダ 病名オーダ 病理オーダ 注射オーダ リハビリオーダ 診療文書・ファイル取込 クリニカル・パス 電子ファイリングシステム データマイニングシステム 給食システム 薬品在庫管理システム 薬剤部業務システム 薬剤管理指導支援システム 治験実施管理システム 注射自動払出システム 散在監査システム 麻薬管理システム 病理検査システム 内視鏡画像システム 輸血管理システム 採血管準備BCロボ リハビリシステム 画像システム 地域連携システム 手術部門システム 経営分析システム 診療録管理システム インシデントレポート 物流システム 医事システム 手術オーダ 感染症コントロールシステム 生理検査システム 自動精算支払機 再来受付機 データウェアハウス 診察券発行機(エンボス) 看護支援システム 電子カルテ入力支援システム オーダシステム ベッドサイドエントリ メモ記入ツール 退院サマリ管理 図 1: 島根大学医学部附属病院病院情報システム概要 療事務に渡すことによって,薬を受け取り,処方代を 支払う.この処方箋の流れは: 1. 診察 2. 処方箋の記入 3. 処方箋を事務へ 4. 処方箋を薬局へ 5. 薬局での薬の選択/ 詰め合わせ 6. 薬を患者様へ となる.この流れは,処方箋が電子化されれば,ネット ワークを介して,その電子化文書を送ることで,診察, 薬の梱包,薬の引き渡しを除いて,自動化できること がわかる.この自動化がオーダエントリシステムと呼 ばれる病院情報システムの重要な骨格をなしている. これは処方業務の省力化という目的があったが,一 方,上記の各ステップの情報が時間情報とともに計算 機に蓄積されることで,その業務の時間の流れを把握 できることになる.また,そのオーダにおける業務の 実態を病院全体の統計情報として把握できる.例えば, 図 2 は島根大学の 2006 年 11 月から 2008 年 2 月 8 日 までのオーダ数を,図 3 には,2008 年 2 月 4 日から 2 月 8 日に時間あたりのオーダー平均数をプロットした. これらから,一日のどの部分に業務が集中しているか, ということが明らかにできるが,一方,計算機への負 荷がどこにあるかをも知ることができる.また,処方 箋の流れが一つのパケットに対応していることを考え れば,パケット数を計測することで,その業務数を計 測できる可能性がある. 以上のように,病院情報システムに蓄積されたデー タを利用することで,病院の業務を計量化する可能性 が見えてくる.

2.2 ログイン数

図 4 は島根大学の 2007 年 8 月から 2008 年 2 月 8 日 までの時間あたりの平均ログイン数を,図 5 には,病 棟別のログイン数をプロットした.

参考文献

[津本 05] 津本 周作, 平野 章二, 高林 克日己:ラフ集 合に基づくアクティブマイニングによる診療情報生 成システムの開発, 人工知能学会誌, Vol. 20, No. 2, pp. p.203–210 (2005) 16

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図 2: オーダ数 (2006 年 11 月 1 日から 2008 年 2 月 8 日) [津本 07a] 津本 周作:リスクマイニングとその医療応 用, 人工知能学会誌, Vol. 22, No. 5, pp. p.677–682 (2007) [津本 07b] 津本 周作, 平野 章二:複合医工学としての データマイニング, 人工知能学会誌, Vol. 22, No. 2, pp. p.201–207 (2007)

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図 3: オーダ数 (2008 年 2 月 4 日から 2008 年 2 月 8 日)

図 4: 平均ログイン数 (2007 年 8 月から 2008 年 2 月 8 日)

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図 2: オーダ数 (2006 年 11 月 1 日から 2008 年 2 月 8 日) [津本 07a] 津本 周作:リスクマイニングとその医療応 用, 人工知能学会誌, Vol
図 3: オーダ数 (2008 年 2 月 4 日から 2008 年 2 月 8 日)
図 5: 平均ログイン数 (2007 年 8 月から 2008 年 2 月 8 日)

参照

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