ICカード技術の現状と課題
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(2) 接触型. S型 ISO 7816型. 非接触型. 密着型 近接型. Type A Type A'. 遠隔型. ICテレフォンカード Type B. 複合型. ハイブリッド型. コンビネーション型. -1. モリにおいては Flash メモリ等の大容量技術により従. 対応した IC チップを 1 つ搭載したコンビネーション型が. 来主流であった 8KB から 32KB 以上,大きいものでは. ある.. 1MB の容量を持つ IC カードが出現してきている.ま. このように,IC カードにはさまざまな種類があり,. た,FeRAM(Ferroelectric RAM)の技術は高速である. また,同じ種別でも,メモリ容量や CPU 速度などの性. という特徴に加え低消費電力といった特徴も併せ持. 能によって価格にも差がある.IC テレホンカードで使. つために,携帯端末やカードのメモリとして有望と. われているカードは,単機能で,性能もあまり要求さ. 考えられている 6).. れないため,メモリ容量は 128bytes で,8bit CPU を搭 載している.それに対して,NTT サイバースペース研 究 所 が 開 発 し た E LW I S E カ ー ド 7 )は メ モ リ 容 量 が 1Mbytes,16bit CPU を搭載し,暗号処理のためのコプ ロセッサを搭載している.また,交通系で定期券など に利用する場合は,改札機で高速に処理する必要があ. IC カードは,ハードウェアの側面からみると. -1. IC カード技術の現状と課題. 近傍型. るため,非接触カードを使用し,高速なシステムで運. のように分類される.接触型はカードの表面に接触. 用する必要があり,逆に金融系ではデータの漏洩防止,. 端子があり,この端子を介してリーダライタとカー. 本人認証データの格納が要求されることや,金融系サ. ドの間で電力供給と通信を行うタイプの IC カードで,. ービスの標準仕様にあわせるため,接触型カードを使. 種類としては,S 型および ISO/IEC 7816 型がある.. 用し,バイオメトリクスなどのデータも格納できるよ. S 型カードとは,ISO で仕様が規格化される以前の. うな十分なメモリ容量が必要である.このように,シ. 1980 年代に日本国内のメーカ 16 社で仕様を策定した. ステム要件やコストにあわせてカードは使い分けがさ. もので 1,600 万枚以上の発行実績がある.その後,. れると考えられる.. 1995 年に国際標準規格の ISO 7816 が制定され,現在 の主流となっている. 非接触型はカードの表面には端子がなく,リーダ. IC カードに関して大量生産によるコストダウンや相. ライタとは無線で電力供給と通信を行うタイプの IC. 互利用による利便性向上の観点から,標準化が進めら. カードで,通信可能な距離によって密着型,近接型,. れている.ここでは,国際標準,国内標準,サービス. 近傍型,遠隔型に分類される.中でも近接型はさま. ごとの業界標準の観点でまとめる.. ざまな用途で利用しやすい通信距離(10cm 以下),高 速なデータ転送速度,電池が不要などの理由により, 多くのサービスにおいて有効であると考えられる. また,接触および非接触両方のインタフェースを. ISO/IECでは,JTC 1/SC 17 で ICカードの国際標準の 策定作業を行っている.接触型カードについては ISO/IEC 7816 が策定されている.ISO/IEC 7816 は現在. 持つ「複合型」と呼ばれるカードも存在し,接触・非. 10 のパートからなり,それぞれのパートの内容は. 接触のインタフェースごとに 1 つずつの IC チップを搭. に示すとおりである.また,非接触型カードでは,先. 載したハイブリッド型と,両方のインタフェースに. で述べた種類ごとにそれぞれ密着型(ISO/IEC 10536), IPSJ Magazine Vol.43 No.3 Mar. 2002. −2−. -1.
(3) ている.非接触型(近接型)と接触型では,単に電力 パート. 概 要. およびデータ転送を接点を介さずに無線で行うという. Part1. カードの物理特性(形状・材質など). 点だけではなく,近接型のデータ転送速度は接触型の. Part2. カードの電気的特性. 9.6Kbpsに対して約 10倍の 106Kbpsであること,また,. Part3. データ伝送プロトコル. 非接触型に適した伝送プロトコル(T=CL)を新たに規. Part4. ファイル構造および共通コマンド. 定している点(接触型では T=0,T=1)がある.. Part5. アプリケーション識別子(AID). Part6. 業務/サービスにかかわらず共通に使用するデー タ要素. Part7. SCQL(カード向けクエリー言語). Part8. セキュリティ関連共通コマンド. Part9. 追加共通コマンドおよびセキュリティ属性. 協議会(JICSAP)が中心となって標準化作業を行って. 同期式ICカードの電気的特性および伝送プロトコ ル. きた.ISO 規格の JIS 化作業や,実装依存の部分が多. Part10. ISO/IEC 14443 はパート 2 および 3 での規定により, タイプ A および B の 2 つの方式に分類され,これらの 国際標準化は完了している. 一方,日本国内では,IC カードシステム利用促進. い ISO 規格よりも相互運用性の高い仕様を目指した. -1 ISO/IEC 7816. JICSAP IC カード仕様の策定を行っている.1998 年 JICSAP IC カード仕様 V1.1 を策定し,現在,JICSAP 項 目. 密着型. 近接型. 近傍型. IC カード仕様 V2.08)が公開されている.JICSAP IC カ. ISO規格番号. 10536. 14443. 15693. ード仕様 V2.0 の構成および概要を. ISO審議組織. V2.0 では従来の V1.1 に比べて,セキュリティ関連等. 【WG8/TF1】【WG8/TF2】【WG8/TF3】. 周波数(クロック) 4,92MHz. 13.56MHz. 13.56MHz. 通信距離. ∼2mm. ∼10cm. ∼70cm. データ通信速度. 9.6Kb/s. 9.6Kb/s. ∼26Kb/s. -3 にまとめる.. のコマンドおよび接触・非接触インタフェースなど, 大幅に追加・変更されている. また,金融,通信等それぞれのサービスごとに ISO. -2. 規格などをもとに標準化がすすめられている.ここで は例として EMV と携帯電話用の SIM カードを紹介す 表 題. 内 容. る.EMV は,金融分野での IC カード仕様の国際デフ. 接触型カードの標準仕様であるISO 7816-1∼3をもとに,接触型カード 第1部 接触型ICカード の物理特性,電気特性,伝送制御に ついて規定 第2部 非接触型 ICカード. 非接触近接型カードの標準仕様であ るISO 14443-1∼4をもとに,非接 触型近接型カードの物理特性,電気 特性,伝送制御などについて規定. 第3部 共通コマンド. ISO 7816-4, 8, 9をもとに,接触 型,非接触型に共通なファイル構造, コマンドインタフェース,セキュリ ティ機能などを規定. 第4部 高速処理用 ICカード. ァクトスタンダードである.これは Europay Int., MasterCard Int.,VISA Int.の 3 社により制定された仕 様で,その管理は EMVCo 9 )により行われている. 1998 年 5 月に EMV3.1.1,2000 年 12 月に EMV2000 が制 定された.また,携帯電話で使用される SIM カード の仕様は,ETSI(the European Telecommunications Standards Institute)10)が規定している.これらの規 格は基本的に ISO/IEC 7816 をベースにしており, 各々の業界の中での相互運用性を確保するために,サ. 日本鉄道サイバネティクス協議会IC カード規格書に基づき,鉄道の改札 などに使用できるような高速処理に 特化したカード仕様について規定. ービスを提供するためのファイルの構成や,追加しな ければならないコマンドなどを規定している.. -3 JICSAP V2.0. 近接型(ISO/IEC 14443),近傍型(ISO/IEC 15693)の標 準がある.なお,遠隔型の標準化は未着手である.そ れぞれの特徴を. 非接触 IC カードは先で述べたように,リーダライ. -2にまとめる.. ISO/IEC 14443 では大きく 4 つのパートからなり,パ. タと IC カードが無線で通信し,カード表面に接点が. ート 1 は物理形状,パート 2 は電力伝送および信号イン. ない.そのため以下のような特徴がある.. タフェース,パート 3 は初期化および衝突防止,パート. • IC カードをリーダライタに差し込む必要がなく,. 4 は伝送プロトコルを規定している.また,これより上 位の共通コマンド等規定は接触型 ISO/IEC 7816 に準じ 43巻3号 情報処理 2002年3月. −3−. 近づけるだけでデータのやりとりが行える. • 物理的な接点を持たないため,寒冷地などの悪条件.
(4) 変調部. ICカード. メモリ. 制御部. 電源部. 復調部. 電磁誘導. 磁界 リーダライタ. 上位の システムへ. 変調部. 復調部. 制御部. -2. 下での利用も可能.. 符号化方式が異なっている.カードからリーダライタ. • 通信速度が高速.. への送信については,いずれも副搬送波を利用してい. • リーダライタと IC カードが接点端子で接続される. るが,副搬送波の変調方式と符号化方式が異なる.ま. 必要がないため,リーダライタのメンテナンスコス. た,衝突防止処理は,タイプ A ではビットコリージョ. トが低くなる.. ン/タイムスロットが,タイプ B ではスロットマーカが. これらの特徴を持つ非接触 IC カードは,高速性お. 用いられる 13).. よび取扱いの容易さにより,通信分野では IC テレホ. IC. ンカード,交通分野では JR 東日本の定期券や香港な どの地下鉄の乗車券などに用いられている.. 非接触 IC カードは,電力やデータが無線にて送られ. また,接点端子がないため取扱いが容易であるこ. ることから,CPU や暗号演算用コプロセッサの動作に. とから,日本では公共分野の IC カードが非接触カー. 対する電力制限等が懸念されていたが,それらを解決. ドになっていくと思われる.. する技術が開発されている. IC テレホンカード(IC テレカ)14)およびこの方式と互. IC. 換性を有した CPU 搭載の非接触 IC カード,コンビネー. ここでは,最も有用であると思われる近接型の非. ションカード 15)が開発されている.当初この通信方式. 接触カードについて述べる.近接型の非接触 IC カー. は,リーダライタからの信号が ASK100% 変調であるこ. -2 に示す.IC カー. とから,CPU 搭載カードに対して不向きであると考え. ドにはコイルが埋め込まれており,リーダライタが. られていたが,消費電力を 10 数 mW まで低下させ,電. 発生する搬送波によりコイルで電磁誘導が起こり,. 力伝送効率を向上させる工夫によって,給電能力に制. 電力が供給される.また,データ通信もこの搬送波. 限のある IC 公衆電話機でも通信が可能になった.これ. を用いて行う.リーダライタからカードへの通信は,. ら IC テレカ互換カードの特徴として,①全国に設置し. 搬送波の振幅変調で行い,逆にカードからリーダラ. てある IC 公衆電話機を端末として利用できるポテンシ. イタへの通信はカードのコイルの負荷を変化させる. ャル 11),②複数枚での利用を前提に設計,③カードや. ことで磁界を変化させ,リーダライタ内のコイルで. リーダライタに対する互換性規定・評価法の充実等が. それを読み取ることで行う.近接型非接触カードの. 挙げられる.. ドシステムの一般的な構成図を. 場合,1 台のリーダライタの通信可能範囲に複数の IC. また,2001 年 11 月より導入された JR 東日本の IC カー. カードが存在する場合がある.これらと通信する際. ド定期券(Suica カード)12)では,高速処理に特化され. に,誤って別のカードと通信を行わないようにする. た IC カードが利用されている.これは 1997 年に香港で. 処理が必要である.これを衝突防止処理という.. 交通系カードとして導入されているものと同じ. ISO/IEC 14443 の Type A と Type B では,信号の変. FeliCa 16)というカードで,改札ゲートでのスムーズな. 調方式と符号化方式,および衝突防止処理のアルゴ. 通過を優先するため,データ転送速度を初期応答時か. リズムが異なっている.リーダライタからカードへ. ら 212Kbps とし,カードとリーダライタ間で 100ms 以. の送信について,タイプ A と B では信号変調度および. 下の迅速な処理を実現している.また,独自の信号符 IPSJ Magazine Vol.43 No.3 Mar. 2002. −4−. IC カード技術の現状と課題. デ ー タ.
(5) 号化方式(カードとリーダライタの双方向で“ManchesMF. ter”符号を採用)で副搬送波を用いないことから,将来, リーダライタ相互の通信もカードと同様に行うことが できる. ニューメディア開発協会によって開発された新世代. EF. DF. DF. IC カード 17)は,電子政府等の公共系多目的サービスを 想定したものであり,高性能 CPU,公開鍵と共通鍵等 DF. を搭載し,①電子署名,② 2 枚同時処理,③カードプラ. EF. EF. ットフォームとの連携利用によるアプリケーションダ ウンロード等の機能を実現している.また,タイプ B 通 信方式の互換運用に向けて実装規約が策定されている.. EF. EF. -3 ISO 7816. IC. ム格納型とは,IC カードの中にアプリケーションプ. 従来,磁気カードや IC カードは特定の 1 つのサービス. ログラムの実行環境があり,その上でユーザの作成し. 専用で利用されたり,多目的利用であっても,企業内. たアプリケーションプログラムが動作するもので,. あるいは特定エリアでの入退室管理,食堂や自動販売. JavaCard18)などがある.. 機支払いなどに限定した利用のみであった.しかし,. 従来は,データキャリー型の IC カードが主流であ. IC カードは,磁気カードに比べて大容量であるため,. ったため,多目的利用の試みもデータキャリー型のカ. 1 枚のカードをある程度広範囲にわたって多目的に利用. ードで行われていたが,IC チップの性能も向上した. する試みも以前より行われている.たとえば交通系で. 現在では,プログラム格納型の IC カードを利用した. は,1 枚のカードでバス,鉄道等で利用でき,かつ売店. 多目的利用が実現している.. 等の少額決済にも利用できるようにする検討や,自治. プログラム格納型カードでは,サービスごとに IC. 体等が発行する公共系カードで住民票取得や図書館等. カード内で動作するアプリケーションプログラムを作. の公共施設利用等の複数サービスでの利用の検討がさ. 成し,カード内に実行可能な状態で格納する.カード. れており,今後,サービス分野や企業を跨った IC カー. を複数の用途で利用する場合は,複数のプログラムが. ドの広域・多目的利用が普及すれば,利用者の利便性. カードに入れられ,サービス利用時にプログラムを選. 向上,システム構築者/サービス提供者の投資コスト. 択する.このとき,あるプログラムで保持している情. 低減といった観点より,徐々に少数の IC カードにサー. 報が他のサービスからアクセスできないようにするこ. ビスが集約されていくものと考える.. とが必要である.そのため,プログラム格納型カード. IC カードを多目的に利用するためには,以下の要件. の OS はアプリケーションファイアウォールと呼ばれ. が必要である.. る他プログラムからのアクセスを制限する仕組みが必. • IC カード内に格納されているサービス用の情報をコ. 要である.また,現在のところ,後述する JavaCard のようにプログラム選択時にはアクセス制御を行わな. ンテキストに応じて選択すること. • 他のサービスの情報が盗聴・改ざんされないこと. 以降に IC カードを多目的利用するためのカード OS 技. いものが一般的であるため,IC カードのプログラム 設計者はプログラムが選択されてもユーザ認証をしな いとその後の処理ができないような設計にするなどの. 術およびプラットフォーム技術について述べる.. 注意が必要である.. IC. OS. ここではデータキャリー型の例として ISO 7816 を,. IC カードはソフトウェアの観点からみると,データ キャリー型とプログラム格納型に分類できる.データ キャリー型とは,IC カードをファイルシステムを持つ. プログラム型の例として JavaCardについて解説する. ISO 7816 データキャリー型カードの主流カードである ISO. セキュアなストレージとして利用するものであり,フ. 7816 型では,ファイルが. ァイル構造,セキュリティ機能,および IC カードにア. 理され,カードを複数の用途で使用する場合には,. クセスするためのコマンドを規定している.具体例と. DF ごとに 1 サービスが割り当てられ,サービスの利. しては ISO 7816 などがある.それに対して,プログラ. 用時には,まず該当するサービスの DF を選択し,そ. 43巻3号 情報処理 2002年3月. −5−. -3 のように階層構造で管.
(6) JavaCard アプレット. 外部端末. JavaCard アプレット ICカード. JavaCardクラスライブラリ ディスパッチャ (JCRE). 下位モニタ. AP#1. AP#1. AP#1. ハードウェア アプレット ファイアウォール. (a) JavaCardの論理構成. シェアラブル インタフェース. (b) アプレットの共存 -4. IC カード技術の現状と課題. JavaCard VM. の後,実際にデータが格納されている EF に対して書. るようなモデルを考慮する必要がある.さらに多目的. き込み・読み出しなどの処理を行う.DF ごとにアク. IC カードは,発行時に固定的に複数のサービスを IC カ. セス権を設定することにより,他のサービスとの独. ードに搭載する方式と,発行後に動的に複数のサービ. 立性が保たれ,EF ごとにアクセス権を設定すること. スの搭載および削除を可能とする方式の 2 つが考えら. により,同一サービスでもデータごとに複数のアク. れ,また,発行後にサービスを搭載・削除する場合,. セス権が設定できる.. IC カード発行者だけが搭載・削除する方式と,IC カー. JavaCard. ド発行者が IC カードサービス提供者に搭載・削除を許. JavaCard とは,IC カードなどのようにメモリが小. 可し,サービス提供者が処理を実行できる方式がある.. さく CPU 性能が低いデバイスで Java を動作させるた. これらの機能を実現し,IC カードの発行・管理と,IC. めの仕様で,Sun Microsystems 社が中心となって策. カードへサービスを搭載・削除するための仕組みが提. -4(a)に JavaCard の典型的な構成図. 案されている.これらは IC カードプラットフォームと. 定している.. を示す.IC カード上に JavaVMのサブセットを搭載し,. 呼ばれる.. -5 に IC カードプラットフォームの構成例. Java 言語でコーディングされたプログラム(Applet と. を示す.現在提案または運用されている代表的な IC カ. いう)が IC カード内で動作する.したがって,開発者. ードプラットフォームは,MULTOS,GP/VOP(Global. は IC カードのハードウェアの違いを考慮する必要が. Platform/Visa Open Platform),Network-based IC. なく,また,Java 言語を使用するため,一般的なJava. Card Environment(NICE)などがある.. プログラムの開発環境を利用することができ,開発. MULTOS. 効率が向上する.また,JavaCard は,当初から複数. MULTOS19)は,ISO 7816 をベースにマルチアプリケ. のプログラムを格納し実行する環境を提供する目的. ーション対応した IC カード OS およびプラットフォーム. で仕様が策定されているため,ある Applet の使用し. であり,MasterCard 社などが中心となった MAOSCO. ているメモリ領域を他の Applet が使用できないよう. コンソーシアムで仕様が決定されている.MULTOS の. に , Applet Firewall を 定 義 し た り , カ ー ド 内 の. 特徴は以下のとおりである.. Applet 間でデータの共有をするためのインタフェー. • IC カード OS である MULTOS OS でハードウェアを隠. スを定義したりするなどで,IC カード内のプログラ. 蔽し,MEL という言語で書かれたアプリケーション. ムの独立性および利便性を確保している(. -4(b)).. はすべての MULTOSカードで動作する. • アプリケーションの搭載・削除などのカード内での管. IC 従来の IC カードを利用したサービスにおいて,IC. 理は,MULTOS OSで行う. • 世界唯一の認証局(MULTOS KMA)が存在し,運用. カードの運用管理システムはそのサービス専用のシ. 方法も細かく規定されている.. ステムとして実現されていた.しかし,多目的 IC カ. MULTOS では,カード発行者のみがカードへのアプ. ードでは,1 枚のカードで複数の事業者がサービスを. リケーションの搭載・削除の権限を持つ.また,その. 提供することが考えられるため,IC カードを自ら発. 際にも MULTOS KMAから ALC(アプリケーションロー. 行せず,サービスを提供するだけの事業者が存在す. ド証明書)や ADC(アプリケーションデリート証明書) IPSJ Magazine Vol.43 No.3 Mar. 2002. −6−.
(7) サービス サーバ1. ICカード運用管理サーバ. サービス サーバ2. ネットワーク. カード情報 サービス 個別情報. RW. アプリケー ション (AP). 運用端末. サービス端末 AP. CM. CM. ICカード. ICカード ① ICカード発行 ② アプリケーションダウンロード ③ サービス実行. -5 IC. を取得する必要がある.. ーションカードである ELWISE カードを対象として. GP/VOP. いる.. GP(Global Platform)20)は,JavaCard および Win-. • アプリケーションの搭載・削除などのカード内での. dows Powered Smart Cards をターゲットにしたマルチ. 管理は,カード OS 上で動作するカードマネージャ. アプリケーション運用管理システムの仕様を策定して. が行う.. いる団体である.GP には,IC チップベンダ,カードベ. • カードへのアプリケーションの追加・削除はカード. ンダ,システムベンダおよび金融などのユーザ企業な. 発行者が権限を持つが,カード発行者がある事業者. ど,幅広い業種から約 40 社が参加している.仕様は. に IC カード内のメモリ領域を貸与したときに,そ. Visa International が開発した VOP をベースとしている.. のメモリ領域にアプリケーションを搭載するときに. GP の特徴は以下のとおりである.. はカード発行者ではなく,メモリ領域を借り受けた. • カード OS に非依存な,マルチアプリケーション管理. 事業者の権限で行うことができる.. のフレームワークを提供する.プログラムのポータビ リティは,JavaCardなどのカード OSに依存する. • アプリケーションの搭載・削除などのカード内での管. このシステムは,先で述べた IT 装備都市研究事業 で使用されるプラットフォームの 1 つに採用されて いる.. 理は,カード OS 上で動作するカードマネージャが 行う. • アプリケーションの追加・削除などはカード発行者が 権限を持つが,セキュリティドメインという仕組みを 使用すれば,サービス提供者がカードにアプリケーシ. 多目的 ICカードでは,以下のような課題がある.. ョンを追加できる. GP には,上記の MAOSCO で中心となっている MasterCard が参加したため,今後,MULTOS の技術も含め. 非接触カードは電源供給を無線で行っているため,. たより適用範囲の広い仕様になることが期待できる.. 処理がすべて終わる前にカードがリーダライタから離. Network-based IC Card Environment NICE. され,カードへの電源供給がなくなってしまうことが. NICE21),22)は,NTT 情報流通プラットフォーム研究. あるため,カード内のデータの状態が不安定になる場. 所が開発した多目的 IC カードシステムで,以下の特徴. 合がある.処理中の障害からの復旧や,破損時対応等. を持つ.. の異常処理について,IC カードおよびシステム全体. • 仕様としてはカード OS に非依存.実装としては,. でどのようにカード内のデータを保証していくかとい. NTT が開発した 1MB の大容量を持つマルチアプリケ. う課題があり,トランザクション保証等の技術が検討. 43巻3号 情報処理 2002年3月. −7−.
(8) 内部情報を読み出そうとする外部からの攻撃を困難にするような対策のとられた装置. タイプ A 方式における R/W からカードへの通信方式.キャリア振幅に対する信号振幅の変化の割合が 100 %である. ISO/IEC 7816-4 における IC カード内の階層ファイルシステムのファイル規定.EF は実際にデータを格納するファ イルを指し,DF はファイルの管理情報が格納されているファイルであり階層構造におけるルートの DF を特に MF と いう.. されている 23).. 挙げられる.. IC カードを盗難・紛失したときには,通常カードを 再発行してもらう.カードの再発行時には,再発行 前の IC カードの状態を可能な限り復元することが望. IC カード技術について,特に非接触カードと多目的. ましい.従来のカードサービスでは,1 枚のカードの. カードについて紹介した.IC カードはセキュリティを. コンテンツは一事業者がすべて管理していたが,上. 保ちながら持ち運びが容易であるため,ネットワーク. 記のような IC カードプラットフォームを利用した場. 社会における個人認証のツールとしての重要度がます. 合には,複数の事業者が 1 枚のカードのコンテンツを. ます高くなると考えられる.限られた誌面で全体を概. 管理しているため,再発行前のカードの状態を復元. 観したため,より詳細な情報を得られるように多くの. するときに,カード発行者がサービス提供者の管理. 参考文献を紹介した.本稿によって読者の皆様方が IC. するコンテンツをカードに搭載して再発行するのか,. カード技術に興味を持ち,IC カード技術を理解すると. また,サービスの利用状態などの個人情報をカード. きの一助になれば幸いである.. 発行者がすべて集めてくる場合に,プライバシーの 問題はないかなど,さまざまな問題が発生する.. 前にも述べたように,現状 IC カードはさまざまな 種類があり,用途によって使い分ける場合もあり統 一化は難しい状況である.それぞれの IC カードはデ ータ転送方式やコマンドインタフェースが異なって おり,同一のシステムで扱うことは難しい.IC カー ドが普及し個人認証のインフラになったときに,IC カードプラットフォームでは複数種類の IC カードを 扱うことが考えられるため,その運用管理方法が課 題である.. IC カードの大量導入時代に向けて,従来のサービ スだけでなく,インターネット利用のバーチャルな 空間も含めて,魅力あるサービスを創出し,またい つでも・どこでもサービスを受けられるようにする ために,街頭情報端末ならびに家庭用リーダライタ 等インフラ設備の普及促進をするなど,ユーザにと って魅力的な利用環境を整備することが課題として. IC カード技術の現状と課題. もの.. 1)シーメディア: IC カード総覧(2001) . 2)地域自治情報センタ(LASDEC): http://www.lasdec.nippon-net.ne. jp/rpo/rss/system_gaiyo/system_gaiyo.htm 3)IC カードの普及等によるIT 装備都市研究事業, http://www.itcity.jp/ 4)eurosmart, http://www.eurosmart.com 5)eEuropeSmartcard, http://www.cordis.lu/ist/ka2/smartcards.html 6)FeRAM の容量が毎年 4 倍, ケータイのメモリに変革, NIKKEI ELECTRONICS, pp.33-34(2001) . 7)竹田ほか: 接触型超多目的 IC カードシステムの開発, NTT 技術ジャー ナル, Vol.49, No.12, pp.733-739(2000) . 8)IC カードシステム利用促進協議会: JICSAP IC カード仕様 V2.0(July 2001) . 9)EMVCo, http://www.emvco.com/ 10)ETSI, http://www.etsi.org/ 11)IC カ ー ド 公 衆 電 話 の 新 サ ー ビ ス , NTT 技 術 ジ ャ ー ナ ル , pp.28-31 (June 2001) . 12)Suica: http://www.jreast.co.jp/suica/ 13)織田, 鮎川, 苅部: セキュリティ IC カードの基礎と応用, シーメディア (2000) . 14)伊達, , 下山, 菅野, 土橋: IC テレホンカードの開発と展開, NTT R&D, Vol.12, pp.626-633(1999) . 15) , 鈴木, 大谷, 永井: コンビネーション IC カードシステムの開発, NTT R&D, Vol.12, pp.745-751(2000) . 16)FeliCa: http://www.sony.co.jp/Products/felica/ 17)電子署名や 2 枚重ね読みなどの機能を搭載した「新世代 IC カード」, Card Wave, p.40(Jan. 2001) . 18)JavaCard: http://java.sun.com/products/javacard/ 19)MULTOS, http://www.multos.com/ 20)GlobalPlatform: http://www.globalplatform.org/ 21)山本, 田路, 平田, 庭野: IC カード情報流通プラットフォーム: NICE, NTT 技術ジャーナル, pp.14-18(Dec. 2001) . 22)山本, 細田: IC カード情報流通プラットフォーム, 電気通信協会 (2001) . 23)吉田, 鈴木, 平田, 山本: ICカードトランザクション処理方式の考察, 信 学技報, SS2001-25/KBSE2001-27, pp.19-26(2001) . (平成14 年1月16日受付). IPSJ Magazine Vol.43 No.3 Mar. 2002. −8−.
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