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研究会千夜一夜 : インタフェースからインタラクションへ -ヒューマンインタフェース研究会-

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Academic year: 2021

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(1)Column. 研究会千夜一夜 HI. インタフェースから インタラクションへ. ~ヒューマンインタフェース研究会~. あります.人間と情報技術との 「インタラクション(相互 作用)」 そのものを考えることによって情報技術を考える, という多くの研究の視点の変化に伴い,わたしたちの研 究会の名称も,<インタフェース>から<インタラクシ ョン>へと,より実態に即したものへと変更することと しました.<インタフェース>が 「面」 を強調する言葉で あるのに対し,<インタラクション>では「時間」や「流 れ」, 「変化」をより強く意識します.人間がいて,技術 が存在して,その間のインタフェースを考えるのみでは なく,人間と技術との相互作用としての系そのものを研. 中小路久美代 東京大学先端科学技術研究センター/ (株)SRA 先端技術研究所. 研究分野の概要  ヒューマンインタフェース (Human Interface : HI)研究会 (www.sighi.jp)は,ソフトウェアをはじめとする情報技 術とそれにかかわる人間との諸課題に取り組む研究者お よび実務者のためのコミュニティです.研究課題としての, 人間と情報技術とのかかわりには,大きく 2 種類が考え られます.第 1 は,人間側から情報技術側へのかかわり です.人間の身体的,認知的,社会的特性を考慮するこ とによって,情報技術の在り方を考えることとなります. HI. 第 2 は,情報技術から人間へのかかわりです.情報技術 の発展に伴い可能となる,人間の新たなアクティビティを 探求します.情報技術によって,これまでになかった知 識活動や社会活動の形態が可能となります.たとえばソ フトウェアの使いやすさを考えるのは前者,ソーシャルネ ットワーキングシステムを考えるのは後者にあたります.  我々の研究会では,情報技術によってどのように人間 が変化していくかに興味のある人たちと,人の特性に応 じてどのような新たな情報技術を作っていけばよいのか に興味のある人たちとが集まって,サイエンスとエンジ ニアリングという 2 つの領域にまたがるような研究を 進めています.共通した興味は,人間と情報技術とが双 方向にかかわることによって,人間と情報技術とから構 成される系そのものがどのように発展していくのか,発 展していくべきなのか,を考えるところにあります.こ のような問題意識を共有する,デザインやアートにかか わる研究者,実務者たちも多く参加しています.  ヒューマンインタフェース研究会は,2007 年度より, 「ヒューマンコンピュータインタラクション(HumanComputer Interaction : HCI)研究会」と改称します.イン タフェース研究は,人間が,情報技術を利用する際に必 要となる,人間と技術との間の界面 (インタフェース) に 関する研究として発展してきました.しかしながら,情 報技術の多様化と発展に伴い,情報技術そのものの在り 方と人間とのかかわりへと,その問題意識は変化しつつ. 202. 48 巻 2 号 情報処理 2007 年 2 月. 究の対象とするコミュニティの現状を,より適切に表現 する名称となると考えています.. 主な研究会活動  現在研究会に登録する会員数は 600 名ほどです.そ のうちの 1 割強が学生会員です.現在主な活動は次の 3 つです.5 名の幹事と,40 名ほどの運営委員によって 運営されています. (1)隔月で開催する研究発表会:毎回テーマを決めて研 究発表を募集します.各テーマは,既存の研究分野に はない切り口で,担当運営委員によって決めています. たとえばここ数回のテーマでは, 「誘う」 「受け容れる」 「取り巻く」 「かえりみる」といったキーワードが使用さ れています.毎回,10 ∼ 15 件の発表があります.各 研究会では,それぞれのテーマに沿った招待講演を企 画しています.招待講演では,関連研究分野以外をご 専門とされる方々に,ご講演いただいています.これ までの招待講演者は,脳科学者,メディアアーティスト, プログラミング言語デザイナ,CM プランナー,有人宇 宙技術専門家,認知科学者,といった多彩な顔触れと なっています.招待講演を目的に研究会に初めて参加 したり登録したりする参加者も少なくありません. (2)毎夏に開催するヒューマンインタフェースプロフェ ッショナル (HIP) ワークショップ:年に 1 回合宿形式で, テーマを決めてインテンシブに議論を行うイベントを 開催しています.参加者はあらかじめポジションペー パーを提出し,テーマに関して熱い議論を繰り広げま す.毎年少しずつ形態は異なりますが,たとえば夕飯 をいただきながら各自が短いポジションステートメン トの発表を行ったり,グループに分かれて議論を行い その結果を発表したりしながら,インフォーマルなデ ィスカッションを通して,最新の研究トピックの共有 や,参加者間の親睦を深める機会ともなっています. (3) 毎年初春に開催するインタラクション会議:2007 年 で 11 回目を迎えるインタラクション会議は,ヒュー マンインタフェース研究会が,グループウェアとネッ トワークサービス(GN)研究会およびユビキタスコン ピューティングシステム(UBI)研究会と共催する最大 のイベントです.例年 2 日間の期間中,600 名前後の.

(2) BS. 1001 SIG Nights. SE. 参加者があります.このインタラクション会議を,年. ことは,我々の研究分野の永遠の課題であるように感じ. ARC. 中行事として研究室の年間予定に組み込んでいるグル. ます.. OS. ツールとしての情報技術. SLDM.  最後に,私がかかわる研究トピックに関連して昨今感. HPC. ープも少なくありません.これについては,2006 年 11 月号で IE 領域における研究活動において紹介され ていますので詳述は控えます.. 具体的な研究テーマ. じていることに少し触れたいと思います.. PRO.  これまで,アプリケーションソフトウェアを知的創造.  研究分野の概要で述べたように,本研究会は,. 作業のための「ツール」 として人間の知的活動を支援する. ・(情報技術を使う)人間のこと. という研究テーマに携わってきています.一貫して, 「人. ・(人間が使う) 情報技術のこと. 間が産み出し得る表現や知識は,環境としてのツールの. という,それぞれの側面に興味のある人たちが集うコミ. 在り方によって本質的な規定を受ける」というスタンス. EMB. ュニティです.したがって,関連する研究分野も多岐に. をとってきました .. 渡ります..  人々の多くが,仕事や勉強,研究といった知的生産活動. DPS.  情報技術のことを理解して発展させるためには,計算. において,アプリケーションソフトウェアを利用するよう. HI. 機科学,ソフトウェア科学,情報科学やソフトウェア工. になってきています.ヒューマンインタフェース研究会. CG. 学が関連してきます.人間のことを理解するために,認. でもしばしば発表されるような,知的作業支援のための. 知科学,社会科学,哲学,文化人類学,教育学や学習理. ツール研究の多くは,情報技術を導入することによって. 論などが深くかかわります.人間のアクティビティとし. 知的活動がどう改善され,拡張され,効率化されているか,. て情報技術を利用する側面を考えるためには,組織論,. に着目してきています.しかしながら,利用するツールに. 経営学やメディア論,芸術といった人文科学を適用する. よって,いかに思考が阻害され,フローを感じたり集中. ことが必要となります.. できなくなったりするか,といったことについては,あ. GN.  これらを有機的に融合することによって,人間と情報. まり注意が向けられてきていないように感じます.また,. 技術とのかかわりのための理論の構築,モデル化,技術. ツールが,その利用によって人間にある種のスキルを獲. DSM. の実装,応用および評価手法の検討と実施,といった側. 得させるものなのか (筋肉を鍛える 「ダンベル」 ) ,ツールを. 面から研究が行われています.たとえば,. 利用することによって既存の方法論やプロセスをより効. (1)可視化,可聴化や可触化,仮想/拡張現実といった マルチメディア/マルチモーダル表現処理技法 (2)入出力デバイスやウェアラブルコンピューティング, ユビキタスコンピューティングといった情報処理技術 (3)それらを利用した情報や知識の探索/表出/創造/ 共有/共創/学習/理解の支援技法 (4)ユーザビリティデザインやユニバーサルデザインと いったデザイン手法 (5)インタラクションデザインやエクスペリエンスデザ インといったデザイン方法論とアプローチ. AL MPS. 1). 果的に実施できるようにするものなのか(より速く走れる. IS FI AVM. DD HI. 「ランニングシューズ」 ) ,あるいはこれまでになかった思 考過程の体験を可能とするものなのか( 「スキー体験」を初 めて可能とする「スキー」 )の区別. がされないまま,その. 2). MBL. 是非を問うような研究も少なくないように思います.. CSEC.  知識活動が現代人の生活の根幹を支えるとするならば,. ITS. それに「影響」 を与えるツールをきちんと理解し,取捨選 択することは,現代人としての責務であるように思いま す.そのために必要な素養はどういうことで,それをど う教えたり学んだりすればよいか,を考えていくことは,. QAI EVA UBI. (6)インタラクティブアートやオンラインコミュニティ. 本研究会,そして情報処理学会が担うべき役割であるよ. といった計算機技術により可能となる人間のアクティ. うに思います.人間と情報技術とのインタラクションを. NL. ビティの実現/モデル化. テーマとする本研究会は,今後その重要性がより一層増. ICS. などといった研究テーマは,ヒューマンインタフェース. すこととなると考えます.. 研究会で扱っているものです.. 参考文献 1)阿部卓也:技術と人間のインタラクションをめぐって 2,知のデジタル・ シフト:誰が知を支配するのか?,石田英敬編 , II-2, 光文堂 (2006). 2)中小路久美代:「ツール」による「支援」とそれを「使う」ということ , エ ンタテインメントコンピューティング 2006 予稿集 , 情報処理学会 , pp.3-4,Tokyo, Japan (Sep. 2006) . (平成 19 年 1 月 9 日受付).  これらの研究の難しさの 1 つは,まさに人間と情報 技術とがインタラクションをする点にあると考えられま す.人間 (に関して今ある理解)に合わせて情報技術を作 る,ところがその技術を人間が使っているうちに人間の 側が(考え方やものの見方,作法,生活形態などさまざ まなレベルで)変わっていく,そうすると元々想定して いた人間側のモデルと齟齬が生じてくる … 構築するシ ステムやツールのデザインや評価を行う際に,このよう な相互関係をどう取り扱っていくべきかについて考える. CVIM CE CH MUS SLP. 中小路久美代(正会員) [email protected]  1993 年コロラド大学より Ph.D.現在(株)SRA 先端技術研究所主幹. 東京大学先端科学技術研究センター特任教授を兼任.ナレッジイン タラクションデザイン等研究.2005 年より HI 研究会主査.. EIP GI EC. IPSJ Magazine Vol.48 No.2 Feb. 2007. 203. BIO.

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