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1,8-ナフチリジン骨格を有する新規ACAT阻害剤の探索合成と大量製法に関する研究

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(1)

1,8-ナフチリジン骨格を有する新規ACAT阻害剤の探

索合成と大量製法に関する研究

著者

坂 仁志

496

発行年

2005

URL

http://hdl.handle.net/10097/15723

(2)

名(本

籍)

学 位

の 種 類

学 位

記 番 号

学 位 授 与 年 月 日

学 位 授 与 の 要 件

士(薬

学)

第496号

成18年1,月18日

学 位 規 則 第4条 第2項

該 当

学 位 論 文 題 目

1,8一ナ フ チ リ ジ ン骨 格 を有 す る新 規ACAT阻

害 剤 の 探 索 合 成

と大 量 製 法 に 関 す る研 究

論 文 審 査 委 員

(主 査)教

(3)

論 文 内 容 要 旨

動 脈 硬 化 性 疾 患(虚 血 性 心 疾 患)に よ る 心 イ ベ ン ト発 症(心 臓 死,心 筋 梗 塞 ま た は 不 安 定 狭 心 症 な ど) の 一 つ の 要 因 で あ る 高 脂 血 症 の 予 防 な らび に 治 療 を 行 うた め,近 年,様 々 な 作 用 機 序 を 持 つ 高 脂 血 症 治 療 剤 が 開 発 され て い る 。 し か し,依 然 と し て 心 疾 患 が 死 亡 原 因 の 上 位 を 占 め て お り,さ ら に 効 果 の 高 い 治 療 剤 が 必 要 と され て い る 。 こ こ で コ レ ス テ ロー ル を コ レ ス テ ロー ル エ ス テ ル に 変 換 す る 酵 素acyl-CoA :cholesterolacyhransferase(ACAr)の 阻 害 に 興 味 が 持 た れ て い る 。ACAr阻 害 剤 は,小 腸 で コ レ ス テ ロ ー ル の 吸 収 阻 害 作 用 を 示 す と と も に,肝 臓 で は コ レ ス テ ロ ー ル の 分 泌 阻 害 作 用 を 示 す の で,二 つ の 作 用 に よ り高 い 脂 質 低 下 作 用 が 期 待 で き る 。 ま た,血 管 壁 に お い て は,マ ク ロ フ ァ ー ジ の コ レ ス テ ロ ー ル の 蓄 積 阻 害 作 用 を 示 し,動 脈 硬 化 病 変 改 善 作 用 を 持 つ と も 考 え ら れ て い る 。 私 の 研 究 は,高 いACAr阻 害 作 用 と 良 好 な 経 口 吸 収 性 を 有 す る 新 しい ナ フ チ リ ジ ン ウ レア 誘 導 体 の 探 索 合 成 と大 量 供 給 法 の 開 発 に 関 す る も の で あ る 。 1.新 規ACAr阻 害 剤SMP-797の 開 発 先 に,ナ フ チ リ ジ ン ウ レ ア 誘 導 体SM-32504が 高 いACAr阻 害 作 用 を 有 す る こ と が 見 出 され て い た 。 し か し,SM-32504は,水 溶 性 が 低 い た め に 全 く 経 口 吸 収 性 され な か っ た 。 そ こ で,私 はSM-32504を リー ド化 合 物 と し て,1)3位 の2,6一 ジ イ ソ プ ロ ピル フ ェ ニ ル ウ レ ア 部 位 に ア ミ ノ 基 を 導 入 す る こ と,2) 4位 フ ェ ニ ル 基 上 の3'一 メ トキ シ 基 を 水 溶 性 基 に 変 換 す る こ と を 計 画 し,様 々 な 水 溶 性 ナ フ チ リ ジ ン ウ レ ア 誘 導 体 の 探 索 合 成 を 行 っ た1(Figure1)。   む

勢 驚/謬 癌 罫:掌

SM-32504 Fig血re1. そ の 結 果,SM-32504の'3位 フ ェ ニ ル ウ レ ア 部 の4'位 に ア ミ ノ 基 を 有 し,4位 フ ェ ニ ル 基3'位 に3一 ヒ ド ロ キ シ プ ロ ポ キ シ 基 を 有 す る,SMP-797カ ミ高 いACAr阻 害 活 性(IC50値21nM)と 良 好 な 水 溶 性 を 有 す る こ と を 見 出 し た(肱ble1)。 SM-32504と 堵 較 す る とSMP-797で は 経 口 吸 収 性 が 格 段 に 向 上 し た 。SMP-797を 投 与 量30mglkgで gマ ウ ス に 単 回 強 制 経 口 投 与 す る と,Cmax値 は2L3μglmLで あ っ た 。 ま た,ウ サ ギ にlmglkg連 続 強 制

経 口 投 与 す る と,21日 間 後 のCmax値 は16.0μglmL,AUC伽24hは39.8ng・hlmLで あ っ た 。 そ こ で,伽'りo 脂 質 低 下 作 用 を 調 べ た 。SMP-797を1日1回 投 与 量1.Omglkgldで,カ ゼ イ ン 食 と と も に ウ サ ギ 内 因 性

(4)

Table1.ACATInhibitoryActivityandSolubilityofNaphthyridylUreas

ー Y o R 1 0 H N O ぎ

.

compoulldR1 R2 ACAT inhibitory acHvitye IC50(nM) solubilityb(mg1血L) pH7.4pH5.5pH2.5 SM-32504MeH SMP-797/へ 〉 〈OHNH2Hq 11 21 <0.001<0.001<0.001 0.0100.014>1.0 aACAThlhibitionhlvitromeasu爬di皿ratmacrophages. bSolubilityinphosphatebuffer(5.53%aq.citricacid/1.75%aq.Na211PO4)atrtwasdeterminedbyHPLCanalysis. 高 脂 血 モ デ ル に3週 間 連 続 強 制 経 口 投 与 し た 。SMP-797は,対 照 群 と 比 較 して 血 清 コ レ ス テ ロ ー ル 値 を 57%低 下 さ せ た 。 こ れ は 強 力 な 脂 質 低 下 作 用 を 持 つ ス タ チ ン 系 薬 剤 ア ト ロ バ ス タ チ ン と同 程 度 の 活 性 で あ る 。 2.SMP-797の 効 率 的 合 成 法 の 開 発 SMP-797は4一 ア リ ー ル ー1,8一ナ フ チ リ ジ ン ー2(1H)一 オ ン 部 と4一 ア ミ ノ ー2,6一 ジ イ ソ プ ロ ピ ル ア ニ リ ン 部 か ら 構 成 さ れ る ウ レ ア 誘 導 体 で あ る 。 探 索 合 成 段 階 に お い て,4一 ア リ ー ル ー1,8一ナ フ チ リ ジ ン ー2 (111)一 オ ン 部 は 古 典 的 なFriedlander反 応 を 用 い て 合 成 し た 。』ま た,4一 ア ミ ノ ー2,6一 ジ イ ソ プ ロ ピ ル ア ニ リ ン 部 は,2,6一 ジ イ ソ プ ロ ピ ル ア ニ リ ン8よ り ア ミ ノ 基 の 保 護,脱 保 護 の 工 程 を 含 め た5段 階 を 経 て 合 成 し た 。し か し,い ず れ も 比 較 的 工 程 が 長 い と い う 問 題 が あ っ た 。 そ こ で,SMP-797の 合 成 を 効 率 化 す る た め に 新 規 な 方 法 を 開 発 し た 。2一 ク ロ ロ ニ コ チ ン 酸1を 出 発 原 料 に 用 い,無 水 酢 酸1酢 酸 を 用 い た 改 良Friedl盗nder反 応 に よ り1,8一 ナ フ チ リ ジ ン ー2(iH)一 オ ン 骨 格 を 構 築 し た 。続 い て1,4一 ジ オ キ サ ン 中, 5mo%Pd(PPh3)4存 在 下,炭 酸 セ シ ウ ム を 用 い た 鈴 木 反 応 に よ り ア リ ー ル 基 を 導 入 し た 。 こ の 方 法 に よ っ て, 様 々 な4一 ア リ ー ル ー1,8一ナ フ チ リ ジ ン ー2(1H)一 オ ン 誘 導 体5が 合 成 可 能 と な っ た(Scheme1)。 FriedlanderreactionSuzukireaction む

㏄ ㎝

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R1=『Bロ,Bn.Ph ⇒  ヨ

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5 2R=H ,NO2 X自Br,CI R3=H,OMe,CF3,F,Ac、CN ノ(〉(OBn 占∼ 。翫 ⊃ 自 黛 黛NH21 NκNO

〈る

Scheme1.

(5)

ま た,臭 化 シ ク ロ ヘ キ サ ジ エ ン11を 用 い た2,6一 ジ イ ソ プ ロ ピル ア ニ リ ン8の4位 選 択 的 ニ ト ロ化 法 を 確 立 す る こ と で,8か ら4一 ア ミ ノ 誘 導 体10を2段 階 で 合 成 す る こ と に も 成 功 した 。 従 来,ア ニ リ ン の ア ミ ノ 基 を 無 保 護 の ま ま4位 選 択 的 に ニ ト ロ化 す る こ と は 困 難 で あ っ た が,11を 用 い て こ れ を 実 現 し た も の で あ る 。(Scheme2.)。 directnitra重ion〆 ㌧OBn O む

寮 」

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媛i蹄

SMP嚇797 Scheme2. こ れ ら二 つ のSMP-797の 部 分 合 成 法 を 用 い て,SMP-797が グ ラ ム ス ケ ー ル で 提 供 で き た 。 3.SMP-797の 短 段 階 大 量 合 成 法 の 開 発 上 述 の4一 ア リー ル ー1,8一ナ フ チ リ ジ ン ー2(1H)一 オ ン部 の 合 成 法 で は,危 険 な 試 薬 を用 い て い た り, 多 く の 工 程 で シ リ カ ゲ ル ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー に よ る 精 製 が 必 要 で あ り,土 業 的 規 模 で 行 う に は さ ら に 改 良 が 必 要 と な っ た 。 そ こ で,ケ トア ミ ド13をDMF中,炭 酸 カ リ ウ ム 存 在 下,分 子 内 ア ル ドー ル 反 応 を 行 い3一 ア ミ ノ ー4一ア リー ル ー1,8一ナ フ チ リ ジ ン6を 合 成 す る 方 法 を 開 発 し た 。 こ れ に よ っ て 配一プ ロ モ フ ェ ノ ー ル12か ら5工 程 で6が 得 られ る こ と に な っ た 。 加 え て こ の 新 し い 合 成 法 で は 中 間 体 を全 く精 製 す る こ とな く,100g以 上 の 大 量 の ス ケ ー ル でSMP-797が 合 成 可 能 で あ る こ と を 示 した 。(Scheme3)。 aldolreaction

ヴH一

r>OBn Nミ0 /K2CO3 一 \ODMF ,1200C

x)酵 ◎

130 r〈>OBn 黛O ∠ Nミ \ミNH2 1κ     む

6 Scheme3. 以 上,本 論 文 に お い て,強 力 な 脂 質 低 下 作 用 を 有 す る 新 規ACAr剤SMP-797を 見 出 し,そ の 大 量 供 マ 給 方 法 を 開発 した こ とに つ い て 述 べ た 。

(6)

審 査 結 果 の 要 旨

ACAr(acyl-CoA:cholesterolacyltransferase)は コ レ ス テ ロ ー ル を エ ス テ ル 化 す る 酵 素 で あ り,動 脈 硬 化 性 疾 患 に よ る 心 筋 梗 塞 な ど の 要 因 の 一 つ で あ る 高 脂 血 症 に 関 わ っ て い る 。 従 っ て,高 脂 血 症 の 予 防 ま た は 治 療 の 観 点 か ら,ACAr阻 害 剤 に 関 心 が も た れ て き た 。当 初 は 長 鎖 脂 肪 族 ア ミ ド誘 導 体 が 検 討 さ れ て い た が, 最 近 で は 嵩 高 い 置 換 基 を 有 す る 芳 香 族 ア ミ ド類 が 注 目 され て い る 。 坂 氏 の 所 属 す る 研 究 グ ル ー プ で は 芳 香 族 部 と し て1,8一 ナ フ チ リ ジ ン 骨 格 に 着 目 し て 化 合 物SM-32504が 見 い 出 され た が,こ れ は 経 口 吸 収 性 を 全 く示 さ な か っ た 。 坂 氏 の 研 究 は,こ の 化 合 物 の 誘 導 体 を 系 統 的 に 合 成 し,高 い 阻 害 活 性 と 経 口 吸 収 性 を 有 す るSMP-797を 開 発 す る と と も に,大 量 供 給 可 能 な 合 成 法 を 確 立 し た も の で あ る 。 活 性 を 低 下 さ せ る こ と な く 水 溶 性 を 高 め て 経 口 吸 収 性 を 向 上 さ せ る た め に,親 水 性 置 換 基 を 導 入 す る 検 討 を 行 っ、た 結 果,SM-32504の3位 フ ェ ニ ル ウ レ ア 部 に ア ミ ノ 基 と4位 フ ェ ニ ル 基 上 に ヒ ド ロ キ シ ア ル キ ル 基 を 有 す る 化 合 物SMP-797を 見 い 出 し た 。 こ れ は 経 口 吸 ・収 性 に も 優 れ て お り,ウ サ ギ を 用 い たinvivoに お け る 評 価 で も,強 力 な 脂 質 低 下 作 用 を 示 し た 。 以 上 の 探 索 研 究 に お い て 用 い た 合 成 法 は 工 程 が 長 く,今 後 の 研 究 に 十 分 な 量 の 化 合 物 を 提 供 す る こ と が 容 易 で な か っ た 。 そ こ で,坂 氏 は プ ロ セ ス 化 学 研 究 に 取 り か か り,い く つ か の 改 良 を 行 っ て,工 程 の 短 縮 に 成 功 し た 。 そ の 中 で,パ ラ ジ ウ ム 触 媒 を 用 い た 鈴 木 反 応 の 開 発 は 複 素 環 化 合 物 の 有 機 金 属 化 学 反 応 と し て 興 味 深 く,芳 香 族 ニ ト ロ 化 の 選 択 性 を 変 え る 工 夫 も ユ ニ ー ク で あ る 。 さ ら に 工 業 規 模 で のSMP-797の 合 成 を 可 能 と す る 方 法 も 開 発 し た 。 こ こ で は1,8一 ナ フ チ リ ジ ン 骨 格 を 構 築 す る た め に 分 子 内 ア ル ドー ル 反 応 が 利 用 さ れ て,さ ら に 工 程 の 短 縮 が な さ れ て い る 。 特 筆 す べ き は,こ の 方 法 で は 副 生 成 物 の 除 去 が 容 易 で あ る た め に,中 間 体 を 精 製 す る こ と な く5 工 程 の 変 換 を 一 挙 に 行 え る 点 で あ る 。 合 成 化 学 の ひ と つ の 方 向 性 を 示 し た と い う こ と が で き る 。 こ の 研 究 は 脂 質 低 下 作 用 を 有 す る 新 規 な 医 薬 品 の 開 発 に 関 し て 行 わ れ た も の で,優 れ た 活 性 を 有 す る 化 合 物 を 開 発 す る と と も に,実 用 的 な 大 量 合 成 法 を 確 立 し た こ と が 述 べ られ て い る 。 優 れ た 内 容 の 論 文 で あ り,博 士(薬 学)の 学 位 論 文 と し て 合 格 と 認 め る 。

参照

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