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パパイアに関する研究: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Title

パパイアに関する研究

Author(s)

徳元, 正和

Citation

南方資源利用技術研究会 ニュースレター(36): 11-15

Issue Date

2003-05-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/17066

Rights

南方資源利用技術研究会

(2)

パパイアに関する研究

ヨ 司 君 n H 判 場 手 験 試 正 業 農 元 県 縄 徳 沖 1 .はじめに パパイア(Car i ca papaya

L

.

)はメキシコ、西インド諸島、ブラジノレにわたる熱帯アメリカ が原産とされている。パパイアは、 16世 紀 初 頭 に ス ペ イ ン 探 検 隊 に よ っ て パ ナ マ お よ び 南 米 の 北 西 部 で 発 見 さ れ た 後 、 急 速 に カ リ ブ 海 沿 岸 一 帯 に 伝 播 さ れ 、 ス ペ イ ン 領 の 西 イ ン ド 諸 島 か ら フ ィ リ ピ ン に 導 入 さ れ た の は16世 紀 半 ば で 、 沖 縄 に 伝 わ っ た の は18世 紀 初 頭 と い わ れ て いる。 パパイアはパパイア科パパイア属に属し、 4属31種 が 知 ら れ て い て 、 そ の う ち 食 用 と し て 栽 培 さ れ て い る の はCarica papayaのみで、ある。パパイアの性は雌性、雄性、両性の3つの 型 が あ り 、 基 本 的 な 果 実 型 は 性 に よ っ て 決 定 さ れ る 。 雌 性 木 の 果 実 は 球 型 も し く は 楕 円 型 を 示 し 、 雄 性 木 は 通 常 着 果 し な い 。 両 性 木 は 洋 ナ シ 型 あ る い は 長 楕 円 型 が 多 い 。 世 界 の 主 要 な 品種は約80種 あ る と い わ れ 各 地 で 独 特 な 品 種 が 育 成 さ れ て い る 。 世 界 の 年 間 生 産 量 は720万 トン(2000年)で、その1/3以上はブラジルで、生産されている。 パ パ イ ア は 果 実 と し て の み で な く 、 未 熟 果 は 野 菜 、 漬 け 物 等 に 利 用 さ れ る 。 未 熟 果 か ら 採 取されるラテックスは、プロテアーゼ活性を有するパパインを含んでいることから、化粧品、 消 化 剤 等 に 利 用 さ れ て い る 。 ま た 最 近 で は 、 パ パ イ ア の 持 つ 様 々 な 機 能 性 が 注 目 さ れ 、 健 康 野菜としての位置付けも確立されつつある。 パ パ イ ア は 県 の 果 樹 振 興 計 画 や 革 新 的 農 業 技 術 開 発 構 想 の 指 定 品 目 の 一 つ で あ り 、 果 実 と し て は ポ ス ト マ ン ゴ ー 、 野 菜 と し て は ポ ス ト ゴ ー ヤ ー と し て 期 待 さ れ 、 そ の 振 興 が 図 ら れ き ている。そこで、私共の研究室(県農試ハ事イオテクノロ

γ

ー研究室)でもパパイアの生産振興に資 す る 目 的 で パ パ イ ア の 研 究 に 取 り 組 み 、 最 近 、 い く つ か の 研 究 成 果 が 得 ら れ た の で 以 下 に 紹 介する。 2 . 沖 縄 県 農 業 試 験 場 に お け る 研 究 開 発 状 況 1 ) パ パ イ ア 未 受 精 腔 珠 培 養 技 術 の 開 発 パ パ イ ア の 育 種 が こ れ ま で 進 展 し な か っ た 理 由 の 一 つ に 、 新 品 種 育 成 に は 幾 世 代 も 交 雑 を 繰 り 返 し 、 純 系 に す る 必 要 が あ る と 言 う 事 が 上 げ ら れ る 。 し か し 、 半 数 体 育 種 と 呼 ば れ る 手 法 を 用 い る と 短 期 間 で 純 系 の 植 物 を 作 る こ と が で き る 。 こ れ は 半 数 性 の 生 殖 細 胞 を 含 む 花 の お し ベ ( 蔚 ) 、 あ る い は め し べ の 腔 珠 を 培 養 す る と 、 生 殖 細 胞 由 来 の 植 物 体 ( 純 系 ) を 得 る 事が可能になることによる。 こ れ ま で イ ネ 、 タ バ コ 、 野 菜 類 な ど 多 く の 作 物 で 成 功 し 、 育 種 期 間 の 大 幅 な 短 縮 化 が 可 能 に な っ て い る 。 そ こ で 筆 者 ら は 、 純 系 の パ パ イ ア を 短 期 間 で 得 る こ と を 目 的 に 未 受 精 腔 珠 培 養 法 を 試 み た 。 材 料 は 交 雑 後 代 の パ パ イ ア を 用 い 、 採 取 し た 蕎 ( 菅 内 受 粉 を 避 け る た め 雌 株 を使用)から無菌的に腔珠を取り出し、植物ホノレモンを含む培地で暗培養すると、不定怪 (受精を経ずに、受精卵からと同様の形態や過程で発生する脹)が形成され、この不定脹を 再 生 培 地 に 移 植 す る と 植 物 体 が 再 生 さ れ た 。 再 生 植 物 体 の 染 色 体 を 調 べ た 結 果 、 半 数 体 は 確 認 で き ず 多 く は 二 倍 体 で 、 な か に は 四 倍 体 も 確 認 さ れ た 。 パ パ イ ア の 四 倍 体 は 普 通 自 然 界 に 存 在 し な い の で 、 培 養 中 に 染 色 体 倍 化 が 起 き た と 考 え ら れ る 。 そ こ で 、 純 系 確 認 の た め 以 下

(3)

の分析や調査を試みた。まず、再生植物体と親株をゲノムレベルで、比較するために

RAPD

分析(比較したい個体問の

DNA

配列の違いを探し出す手法)を行った結果、その多くは親 株と同じだったが、なかには親株とは異なる多型

(DNA

配列の違い)もみられた。また、 再生植物体の形態を調べると、親系統株に比べ低位置で着果する個体も観察された(写真 1 )。これは栽培上有用な形質となる。さらに、果実形態では親系統株と類似の楕円型が 多かったがなかには異なるものも見られた。一方、四倍体のパパイア果実は二倍体とは明ら かに異なっていた(写真 2)。 再生植物体が脹珠組織の生殖細胞ではなく、体細 胞由来だとすると親株と同じ

DNA

配列や形質を持 っと考えられるが、

RAPD

分析や形態調査の結果 から、再生パパイアの一部は生殖細胞由来の純系の 可能性があると考えている。未受精匹珠培養技術を パパイアの育種に結びつけるためには、半数性の生 殖細胞から確実に、かっ効率よく再生植物体を得る 必要がある。今後はこれらの培養条件を究明し、パ パイアの品種育成に有効に活用したいと考えてい る。

2)

DN

A

マーカーによるパパイアの性識別 交配組合せにおけるパパイアの性の分離比は表 1 のとおりになる。現在、沖縄県で広く栽培されてい 写真 1 未受精膝珠から得られた る果物用パパイア「サンライズJ は表 1の4の分離 をするハワイ系品種で、その苗には雌と両性が 1対 再生パパイア A:親系統株 B:低着果株

2

の割合で混在する。

r

サンライズ

J

の雌株、両性 「 株共に果実をつけるが、雌株の果実より洋なし型の 両性果実が消費者から好まれるため、農家では 1箇 所に苗を複数本仮定植し、開花後(播種後 6"-'8ヵ 月)に雌株を引き抜き 両性株を残す栽培法を行っ ている。この栽培法では、育苗や栽培のコストがか さむため、育苗段階でのパパイアの性識別法の開発 写真2 再生パパイアの果実型 が要望された。また、品種育成を行う場合でも、両 a.親株(2倍体) 性の優良系統を選抜対象とするため、苗の段階で性 b.再生パパイア(2倍体) c.再生パパイア (4倍体) 表 1 パパイア性の分離化 性 比 交配色且合せ 雄 両性

1 .雌×雄 1

1

2.

雌×両性

1 1 3.雄自殖、雄×雄

2

1 4. 両性自殖、両性×両性

2

1 5.両性×雄、雄×両性 1 1 1

(4)

が識別できれば栽培規模を縮小でき省力化が可 能となる。 パパイアの性は花が咲くまで形態による判断 ができないため、ゲノムレベルの性特異的な多 型 (DNA配列の違い)を探し出し、それを性 識別マーカー(目印)として利用する方法が有効 と考えられる。そこで、品種識別等に利用され ているRAPD法を用いて性特異的多型の探索 を行った。材料は、いくつかの品種とそれらの 交配集団の計

49

個体を用いた。その結果、雄 と両性株にのみ存在する性特異的多型が見つか

雄株

雌株

両性株

った(写真

3

)。次に、この多型のD N A配列 写真

3 R

A

P

D

法によるパパイアの性識別 を決定したところ、雄及び両性由来の多型は同 矢印は性識別マーカーを示す。 じD N A配列で、 450塩基対の長さがあり、公開 されている D N Aデータベースにこの配列と類 似したものは存在しなかったことから、多型の 領域が遺伝子(例えば、雌雄を決する遺伝子) ではないことが考えられた。しかし、この多型 を性識別マーカーとして利用することにより、

雄株

雌株

両性株

1

1

… …

-1

パパイア苗の性識別ができるようになった。但 写真

4

改良型マーカーによる性識別 し、 RAPD法の欠点には再現性や感度、そし 矢 印 は 改 良 型 マ ー カ ー を 示 す。 てD N A抽出コストや時間等、実用化に向けて 解決すべき問題が残っている。そこで、再現性 や感度向上のために、性識別マーカーのD N A配列 を利 用し て、 その マー カ一 部分 だ け を増 幅する方法を開発した(写真

4

)。これにより、改良した性識別マーカーの有無により、高 感度かっ容易にパパイアの性識別が可能になった。今後の課題として、性識別に用いるD N Aの抽出法の改良(簡素化、低コスト化)に取り組む予定だが、近い将来、栽培現場に貢献 し得る技術開発ができるものと考えている。 1 ) ジベレリン処理によるパパイアの果実肥大 パパ.イアを施設栽培する場合、両性株は完全花を持つため結実および果実発育は良好であ るが、ソロ種等は夏場のハウス内の高温時における花粉の不稔化によって、果実が小型化す る現象が見られる。また、雌株は受粉しなければ結実しないことも多く、結実しでも果実は 無核で小型となる。従って、雌株の施設栽培においては正常な果実を得るための受粉処理が 必要となる。 一般に果実の成長には種子が必要であることから、種子から成長ホノレモンが供給されてい ると考えられている。受精が完了した脹珠では、経乳核の分裂が盛んに繰り返され、種子と して発達し始める。この時期の幼種子はジベレリンやサイトカイニンを活発に生産する。そ こで、受粉処理しないパパイア(雌株)に対するジベレリン処理がパパイアの果実成長と発 育に及ぼす影響について検討した。

(5)

ジベレリンペースト(市販)を開花期のメシベ、子房周囲、果梗周囲に処理した結果、メ シベ処理では果頂部に肥大が見られたが、果実全体の肥大は見られず小型であった。子房周 囲への処理では果実全体に肥大が見られたものの果型がくずれ奇形果となった。果梗周囲へ の処理では果実の肥大は最も良好で、受粉処理に比べても大きな差は見られなかった。ジベ レリン処理の果実は種子形成が認められず無核であった(写真5)。また、果梗にジベレリ ンペースト処理すると果梗の著しい徒長が見られた(写真

6

)。

(

B

a

r

=

5

c

m

)

(

B

a

r

=

5

c

m

)

写真

5

ジベレリン処理による果実肥大 A:受粉区 B:無処理区 C : G A処理区(種無し) 写真6 ジベレリン処理に見られる花梗の 伸長(矢印はG Aを塗布した部分) A:無処理区 B : G A処理区 ジベレリン処理及び無処理果実のいずれも成長とともに果肉細胞の肥大が見られた。無処 理果実の細胞肥大は緩やかであったが、ジベレリン処理果実では果肉細胞の肥大も急速に進 むことが観察された。 開花後における果実長の変化は、無処理果実では緩やかな増加を示したが、ジベレリン処 理果実では、処理後約2ヵ月は急速な成長を示し、その後は緩やかな増加になった。また、 受粉処理はジベレリン処理に比べ初期の増加率はやや小さいものの、直線的な増加が長く続 き、収穫期の果実長はジベレリン処理と差がほとんど見られなかった。 果実径の変化は、上記の果実長と同様な増加傾向を示した。受粉処理した果実径は開花後 3""'4ヵ月間直線的に増加し、収穫期の果実径はジベレリン処理果実に比べやや大きく、そ の結果、ジベレリン処理果実は細長の楕円型であり、受粉果実は球形に近い果実型であった。 以上の結果から、開花期の果梗へのジベレリン処理はパパイア果実の肥大に大きく影響し、 受粉処理とほぼ同程度の果実肥大効果がみられた。ジベレリン処理の果実は受粉果実と型が やや異なり、種子の形成は見られなかった。また、処理部位の果梗は著しく徒長した。 3.おわりに 前述のように、パパイアは県の果樹振興計画や革新的農業技術開発構想の指定品目として 位置付けられその振興が図られてきたが、生産現場では台風等の気象災害、ウイノレス病の蔓 延、沖縄に適した新品種の育成など様々な面で解決すべき問題が残されている。

(6)

-14-しかし、これらの個々の技術課題については大学や公設試験場、民間企業等に基礎的な研 究蓄積があり、また、研究成果も多く出されている。 一方、沖縄県では大学や公設試験場等が有する技術やノウハウを活用し、民間企業が事業 化に結びつけるための研究開発制度(沖縄産学官共同研究推進事業)を平成 13年度よりス タートした。そこで、産学宮のもつこれらの研究成果を、当該制度等を活用して連携させる ことで早期の事業化が可能になると思われる。そうすることにより、パパイアの生産振興は 飛躍的に進むものと考える。

参照

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