(実践研究) 教材学研究第 31 巻(2020) - 19 -
教材の発展がコンフリクトの自立的生成に及ぼす影響
松本大学 澤柿 教淳
キーワード:教材開発, 理科, 対話的授業デザイン, コンフリクト, 対流 1 問題の所在と研究の背景 本研究では,小学校理科の対話的な問題解決シ ーンの具現化に向けて開発された教材が,実際の 授業場面でどのように発展し,それがコンフリク トの自立的生成過程にどのような影響を及ぼすか について実践的に検証した。 教育実践の分野では,コンフリクトは「対立」「葛 藤」「矛盾」などの意味で用いられ,協働的,対話的 な学びが成立する要因の一つとして考えられてい る。例えば,高垣ら(2008)1)は,先行概念から科学 概念へと変容する過程において認知的葛藤の生成 と解消の場を意図的に設けた「コンフリクトマッ プ」を用いて,高校物理「波の性質」の学習でその 効果の検証を試み,当該教授方略が生徒たちの波 の先行概念の変化を促す手掛かりとして機能する ことを示した。また,清水・實川(2014) 2)は,「コン フリクトマップ」を小学校第5学年理科「振り子 の運動」の学習に適用することの有効性を調べ, 児童の概念変容において有効であることを確かめ, 松田・溝邊(2015) 3)は,小学校教師にとって,「コン フリクトマップ」の作成体験が授業構成や教材研 究に役立つと受け止められると報告している。 さらに,この「コンフリクトマップ」を発展させ た先行研究として,例えば,福嶋・片平(2004) 4)は, 児童らの科学概念形成を目指したメタ認知的な記 録用紙として「コンフリクトドキュメント」の開 発を行った。また,加藤・本澤(2006) 5)は,小学校第 5 学年理科「おもりの動き」において「コンフリ クトシート」を開発し,自分の考えの確信度を評定 させることで概念的葛藤を誘発し,素朴概念の修 正につなげる事例を紹介した。 このようなコンフリクト生成のプロセスについ て,小野沢(2016) 6)は,「『コンフリクト』は,教師が 意図的に生起させ,それを(学習者が)解消するとい う一連のプロセスを経る」(カッコは筆者)と指摘 する。つまり,学習者の文脈にかかわらず,教師か らコンフリクトを生成させるための教材が投入さ れるため,これらのコンフリクトは,児童らが,他者 との相互関係の中で自立的に生成したものとはい い難い。とはいえ,教師のかかわりなしに,児童ら が自立的にコンフリクトを生成することは難しい 側面も確かにある。そこで,コンフリクトの自立的 生成を促すことを志向した教材開発が求められる。 この教材について,丸本(2003) 7)は,「教材とは教 師の教育的意図と学習者の主体的な活動との相互 作用によって,教育的な目的を達成させる媒体物 である」と述べている。この教材開発の視点として, 「道具立て」に関する先行研究に注目すると,高垣 ら(2007)8)は,教師を含む学習者間の「相互教授」と, それが行き詰まったときの「概念変容教授」の2 つに大別し,後者をさらに,「教師の発話介入」と 「道具立て」に細分して説明している。高垣・中 島(2004)9)は,理科授業の協同学習場面における児 童らの発話分析を通して,「表象的トランザクショ ン」から「操作的トランザクション」の対話が生 成されるには,「アナロジー」,「可視化」という 具体的事象の理解を深める道具立てが重要である とし,高垣(2006)10)は,素朴概念を科学的な概念へ と変容させるには,自分自身の言葉で表現した「自 己生成アナロジーモデル」と「動画モデル」が認 知を促す道具立てとして有効であることを確かめ た。また,高垣・田原(2005) 11)は,児童らの議論の展 開過程に伴って発話や相互交渉がどのように変容 していくのかを詳細に分析した結果,効果がみら- 20 - れた過程では,3DCG などの道具立てを用いる ことが思考のガイダンスとして有効であったと指 摘し,高垣・田爪(2008) 12)は,概念変容のプロセス をマクロ・マイクロな観点から統合的に分析し, 小学校第4学年「水の状態変化」の授業において 概念の外延を拡張する演示実験を行うことが,や はり思考のガイダンスの役割を果たすとした。 以上のように,現実の事象を扱う理科教育の分 野では,対話的な理科授業を具現化するには,具体 的事象と思考を媒介する道具立て,すなわち,「ア ナロジー」,「可視化」,「観察・実験」などにかか わる教材を用いた介入が重要な役割を果たしてい ることが明らかになってきたといえる。 ただし,これらの多くの事例において,教師が用 いる道具立ては,教師を含む児童ら構成メンバーに よる相互教授が行き詰まった場合に意図的に提示 され,学習者はそれを足場として認知的葛藤を解消 するという構図をもつ。このような教材の役割は, 「思考のガイダンス」(guidance=説明,解説,案内, 指導)とも呼ばれ,やや説明的な指導の要素が強い。 また,教師の介入方略については,「授業者は児童に 視点の転換を誘導したのではないか,(略)授業者は 児童に知識を伝達してしまっているのではないか, という見方も成り立つかもしれない」13)との指摘 からも,単に具体的事象の理解が深まる教材を提示 すればよいわけではないことが示唆される。この 点について,先の小野沢(2016)14)は,生活科の事例を 通して,「コンフリクトの生起に伴い,教師と子ども の協働参加の仕方が変化し,それに付随して教材も 発展していく」ことを明らかにしている。 近年,アクティブ・ラーニングや「主体的・対話 的で深い学び」の実現に向けた事例研究が展開さ れ,児童らが能動的に学ぶ具体的な実践事例が一 つ一つ蓄積されつつある。こうした背景からみれ ば,学習者自身が,対話的な問題解決シーンの状況 に応じて,自ら向き合う教材を能動的に発展させ ていくことができるという視点が,今後の教材開 発により求められているといえる。 2 研究の目的 本研究では,小学校理科の対話的な問題解決シ ーンの具現化に向けて開発された教材が,実際の 授業場面でどのように発展し,それがコンフリク トの自立的生成過程にどのような影響を及ぼすか について実践的に検証することを目的とする。 3 研究の方法 3.1 分析方法 まず,教材の発展を捉える枠組みを明確にした。 その際,高木(2010) 15)の「教材の役割を分析する 基準」と細矢(2016) 16)の「自己調整学習教材を構 成する領域」を統合して援用し,新たに「小学校理 科の対話的な問題解決シーンにおける教材の発展 過程」(表1)を措定した。 高木(2010)の「教材の役割を分析する基準」で は,教師が授業に用いる教材は,教師が授業を進め るために役立つ教材から,児童生徒が自ら学習を 進めるための支援となる教材へと役割が変わると し,その教材の役割を,(1)時間短縮や効率を上げ る役割,(2)授業の重点・要点を示す役割,(3)学習 内容を抽象化・象徴化・モデル化する役割,(4)学 習目標の達成を支援する役割,(5)学習目標の達成 に直接働きかける役割の5 つに分類している。 また,細矢(2016)の「自己調整学習教材の領域」 では,既存の 2 種類の自己調整学習教材を取り上 げて,その構造について自己調整学習を構成する 領域から分析した。その領域とは,3 つの領域((1) 方略知識,(2)認知,(3)動機付け),あるいは,4 つの領 域((1)認知,(2)動機づけと情緒,(3)行動,(4)文脈) であるとし,各領域は別々に独立したものではな く密接にかかわるものと説明している。 これらを小学校理科の対話的な問題解決シーン に拡張する際には,以下の指摘を参考にした。角屋 ら (2005)17)は,「仮説が型通りに立てられること ではなく(略),子どもが自分が発想した予想や立 案した観察・実験の方法などを振り返り,それらを 見直し,再検討する」ことが必要であると指摘して
- 21 - いる。また,文部科学省(2011)「小学校理科の観察, 実験の手引き」18)では,「児童が見いだした問題に 対して,予想や仮説をもち,それに基づいて観察, 実験などの検証の計画や方法を考えること」,「こ こでもつ『見通し』は,教師が提示したものでも指 示したものでもなく,まさに児童自らが発想した ものである」(下線は筆者)と指摘する。つまり, 児童らが単に予想・仮説の設定や問題の把握がで きればよいわけではなく,その過程で自他の異同 に気づき,自立的に立ち止まり,児童自らが発想し, 他者とのかかわりを求めながら新たな局面を自ら 拓いていく状況が創造されたかどうかが問われて いるといえる。これらのことから,小学校理科の対 話的な問題解決シーンにおける教材には,表 1 の ような役割と構造の発展過程があると考えられる。 教材の発展過程を分析する場面を抽出するに当 たっては,TD の発話分析(表 2)を援用し,児童ら に概念変化がみられたと思われる局面を抽出した。 高垣・田原(2005)19)は,TD(Transactive 表 1 小学校理科の対話的な問題解決シーンにお ける教材の発展過程 教材の役割と 領域 小学校理科の対話的な問題解決シーンにお ける教材の発展過程 役割 構造 (1)時間短縮や 効率を上げる役 割-文脈,動機付 け- A.児童にとって安全で扱い 易く,類推を促す状況を作 り出す役割 a.児童からの アクセスを容 易にするシン プルな構造 (2)授業の重点・ 要点を示す役割 -認知,知識- B.児童が互いの予想や仮 説,結果や考察等の異同に 気付く状況を作り出す役割 b.相反するよ うな複数の心 象を想起させ るマルチプル な構造 (3)学習内容を 抽象化・象徴 化・モデル化す る役割 -認知,動機け, 情緒- C.児童自らが,予想や仮説, 結果や考察等の曖昧さや不 完全性を自覚し,自立的に 立ち止まる状況を作り出す 役割 (4)学習目標の 達成を支援する 役割 -方略- D.児童自らが,解決すべき 問題を見極めたり,新たな 解決方法を発想したりする 状況を作り出す役割 c. 問題意識 に応じてトラ ンスフォーム できるフレキ シブルな構造 (5)学習目標の 達成に直接働き かける役割 -行動,知識- E.児童自らが,問題の解決 に向けて新たな局面を拓く 状況を作り出す役割 Discussion)のカテゴリー項目による児童の発話分 析によって,児童らの発話にみられる認知や概念の 変化を,表象的トランザクションと操作的トランザ クションの2 つの分類,および,10 のカテゴリーか ら質的に分析してその過程を詳細に捉えている。 なお,分析に際しては,上述場面の授業記録やビ デオ記録等から主な発話を抽出してプロトコルを 作成し,総合的に検討,判断した。 3.2 サンプリング事例 本論では,A 小学校第 4 学年での「水の温まり 方・冷え方」の実践事例 20)における教材の変容過 程を分析した。本事例をサンプリングした理由は 以下の2 点である。1 点目は,A 小学校は,2004 年 度から2008 年度まで「対話する子供を目指して」 という研究主題のもとで実践研究を進めてきた経 緯があり,実際に対象とした授業場面も対話的な局 面が中心的に扱われていた点である。2 点目は,そ こで使用された教材は,一般的に市販されている教 材ではなく,児童らが自ら「対話をひらく」※注1こ とを想定して独自に開発されている点である。以 上の理由により,分析する対象として適切であると 考えた。具体的なサンプリング情報を以下に示す。 表 2 高垣らのカテゴリー分類表 分類 カテゴリー 分類基準 ト表 ラ象 ン的 ザ ク シ ョ ン 課題の提示 話合いの論点を提示する。 フィードバッ クの要請 提示された課題や発話内容に対して,コメントを求める。 正当化の要請 主張内容に対して,正当化する理由を 求める。 主張 自分の意見や解釈を提示する。 言い換え 自己の主張や他者の主張と,同じ内容 を繰り返して述べる。 ト操 ラ作 ン的 ザ ク シ ョ ン 拡張 自己の主張や他者の主張に,別の内容 を付け加えて述べる。 矛盾 他者の主張の矛盾点を,根拠を明らか にしながら指摘する。 比較的批判 自己の主張が他者の示した主張と相 容れない理由を述べながら,反論する。 精緻化 自己の主張や他者の主張に,新たな根 拠を付け加えて説明し直す。 統合 自己の主張や他者の主張を理解し,共 通基盤の観点から説明し直す。
- 22 - 事例:A 小学校 第 4 学年 2 組 児童数 40 名 理科「水の温まり方・冷え方」 (全 4 時)1~3/4 時 20xx 年 1〜2 月実施 4 結果と考察 4.1 教材の開発について 教材として,可動式の電熱線を用いた水の対流観 察器(以下,「可動式内部熱源対流観察器」)を開発 し,実際の授業場面で使用した。 本単元は「もの(水,空気,金属)の温まり方・冷え 方」(主な内容:「水や空気は熱せられた部分が移動 して全体が温まるが,金属は熱せられた部分から順 に温まること」)における,「水の温まり方」に関す る小単元である。一般的に,水の温まり方に迫る過 程には大きく二つの活動がある。一つは,アルコー ルランプ等を用いて容器の下端を外部から温める 活動(以下,「外部熱源方式」)。もう一つは,電熱線 等を用いて容器の内部から温める活動(以下,「内部 熱源方式」)である。多くの教科書では,外部熱源方 式での実験を扱っており(例えば,G,T,KY,D,K 社), 内部熱源方式は表3 に示す調査対象中には一例も なかった(ただし,空気の対流については,内部熱源 方式が3社)。多くの教科書が外部熱源方式を採用 する背景には,水の動きが観察しやすいことや,実 験が簡易であること等,児童にとっての分かり易さ や,授業者にとっての説明のし易さのメリットがあ ると考えられる。ただ,外部熱源方式の場合,図 1 に 示すような,容器の中央部や上部を温めた場合の水 の温まり方はどうなるのかといった子どもらしい 疑問や発想を生かした実験を行うことは難しいデ メリットもある。コンフリクトの自立的生成によ る対話場面を志向した授業では,例えば,水はいつ でも上から温まるのか,別の場所を温めた場合は異 なるのではないか,そもそも水はどのようにして温 まるのか等,多様で本質的な問いが生まれる局面が 重要となる。そのためには,児童らが向き合う教材 には,児童のアクセスに応じて,自由かつ簡易に発 展できる構造が必要となると考えられる。 表 3 各教科書会社の扱い方の比較 教科書 外部熱源方式 内部熱源方式 G 社 ○ × T 社 ○ (空気は内部熱源方式) × D 社 ○ × KY 社 ○ (空気は内部熱源方式) × K 社 ○ (空気は内部熱源方式) × 図 1 内部熱源方式での子どもの対流イメージ例 図 2 可動式内部熱源対流観察器 図 3 マイ電熱線 ・ 電熱線 可動式で,深度を自由に調節することができる。 電熱器用のコイル状ニクロム線を加工する。 導体外径Φ 約 0.4 mm 300 W タイプで約 2 cm(直線長約 45 cm)でカット 200 W タイプで約 2 cm(直線長約 55 cm)でカット 電源 6〜9 V の間で予備実験をして決める。 (参考※注2)ニクロム線 2 種の抵抗率 1.12±0.05 μΩ・m ・ 導 線 太くて単線のものを使用する。 (細くて撚糸のものは熱をもつので不向き) 材質 銅線 導体外径Φ 約 1.6〜1.8 mm 長さ 約 18 cm ・ マイ電熱線の発熱量の見積もり 約 1928.6 cal (300 w タイプ/ 9 v/ 5 分間 / 抵抗値 約 3 Ω の場合) ・ 容器 容量約 250 ml 高さ約 15 cm ガラス製 (牛乳瓶) 内部熱源 内部熱源 内部熱源
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- 23 - そこで,本教材「可動式内部熱源対流観察器」(図 2)を開発した。本教材には,太めの導線 2 本の先に 約 2 cm 幅でカットしたマイ電熱線が,ゴム栓付 き観察容器に取り付けられている。主な仕様を図3 に示す。マイ電熱線を装着する容器には牛乳瓶を 用いる。牛乳瓶は丈夫で安全であり,短時間で水温 の変化がみられ,対流を示す浮遊物の視認性もよ い。また,児童が両手で包み込んで水温を体感する こともできる。温度変化をみるには,サーモテープ, 示温インク等複数の手段を用いることも可能であ る。対流観察器については,いくつか市販のものも あるが,本教材の改良点としては,マイ電熱線とし て児童一人一人に配布することが可能な点,容器に 装着された電熱線は可動式で深度を変えながら水 の温まり方や対流の生じ方を自由に確かめること ができる点,容器を手のひらサイズの瓶にしたこと で体感性を高めた点等が挙げられる。 4.2 実践の概要 これらの特徴をもつ本教材を小学校理科の対話 的な問題解決シーンで用いる場合,児童の思考過程 として,例えば,上部の熱源によって水が温められ た事象に対して児童は,「お風呂のお湯では上が熱 いのと似ている」と類推を働かせ,それに対し,「本 当に水はいつでも上から温まるのか」,「熱源が下 部にあれば下からも温まるのではないか」,「中央 部にあれば上部も下部も同時に温まるのではない か」と児童らが自立的にコンフリクトを生成し,「だ ったら,熱源を下に移動して確かめよう」と新たな 視点を発想し,その結果,熱源がどこにあっても上 部から温まるという事実を得て,科学的概念を更新 していくこと等が考えられる。つまり,授業序盤で は,児童の素朴概念から類推を促し(役割A,構造a), 授業中盤では,児童相互の異同を浮き彫りにし,自 らの不完全性を自覚させることでコンフリクトを 自立的に生成させ(役割B.C,構造 b),授業終盤で は,児童自らが解決すべき問題を見極めて教材をフ レキシブルにトランスフォーム(役割D,E,構造c) 表 4 単元の全体計画 時 主な学習活動<想定されるコンフリクト> 1 水を温めよう。 ・小さくて暖められない。 ・熱そうだからできそうだ。 ・試してみたい。 (1 回目の実験) 2 容器の水は温まったのか。 ・水は温まったよ。 ・でも,容器の下は温まっていないよ。 <コンフリクト 1 の生成> ・容器の水は温まったといえるのだろうか? ・電熱線の位置を下げてみて試してみたい。 (2 回目の実験) ・やっぱり容器の上から温まるのだね。 3 電熱線の位置が下にある時は,どんなことが起きているの か。 ・熱が上に行ってたまる。 ・たまった熱がまた降りる。 ・水がそんなに動くとは思えないよ。 <コンフリクト 2 の生成> ・容器の水は本当に動いているのだろうか? ・水の動きを確かめたい。 ・容器の中に物を入れてもう一回確かめたい。 (3 回目の実験) ・やっぱり温まった水が動いているのだね。 4 電熱線の位置を変えたり,他の液体にしたりするとどうなる か。 ・きっと上から温まるよ。 ・中央に置くと全体が同時に温まるよ。 ・他の液体や空気はどうかな。 (4 回目の実験) させながら新たな局面を拓くことを可能にすると 考えられる。表4 に,本教材「可動式内部熱源対流 観察器」を用いた場合の単元の全体計画を示す。 4.3 導入時から 1 回目の実験まで 授業者は,一人に1本ずつ電熱線を配り,電熱線 に電気を通すと赤くなって熱くなることを確認し た後,T1「マイ電熱線でガラス瓶の中の水を温めら れるかな」と投げかけた。この時,電熱線の位置は 瓶の上部にしておく。この場面の主な発話プロト コルを表5 に示す。多くの児童は,C1「やってみた い」のように,マイ電熱線で水を温めることに対し 興味をもち,C2「すぐに温まるよ」と期待を示した。 その反面,C3「そんな小さなもの(電熱線)で」(カッ コは筆者)と,本当に水が温められるのか批判的な 疑念を抱いている様子がわかる。そして,C4「本当 に水が温まるかやってみたい」の発話では,実証性 を求める科学的な態度が表れる。早速,児童らは,装 置に電熱線をつないで1 回目の実験を始めた。こ
- 24 - の時点で電熱線は容器の上部にあり,その周辺だけ が温まる現象がみられた。1 回目の実験後,電熱線 から出る泡や,サーモテープの色の変化から,児童 らは,C5「サーモテープは上の方だけ赤かった」こ とを確認した。それに対して C6「サーモテープの 上の方しか赤くならなかった…下の方も赤くして みたい…」,C7「もっと確かめて,全部温めたい」の 発話で,まだ温まったとまではいえないとその不 十分さを指摘する児童もいた。この立場をとる児 童にとっては,もしも電熱線が下部にあった場合は 容器の水全体が同時に温まった可能性があり、電 熱線が上部にある限り水が温まったかどうかは判 断できなかったのだと考えられる。どうしたら容 器全体の水が温められるだろうかと考え始めた児 童らは,C8「電熱線を下にしてみれば?」の発話に よって,新たな実験方法へと拡張しながら検討して 表 5 1 回目の実験までの主な発話プロトコル No. プロトコル TD の分類/ カテゴリー T1 T1:マイ電熱線でガラス瓶の中の水を 温められるかな。 (電熱線は容器の上)。 表象的/ 課題 1 C1:やってみたい! 表象的/ 主張 2 C2:真っ赤になるくらいだから水だっ てすぐに温まるよ。 表象的/ 主張 3 C3:いや,そんな小さな物で水は温まら ないよ。 操作的/ 比較批判 4 C4:本当に水が温まるかやってみたい。 表象的/ 主張 1 回目の実験「電熱線が上にある時」に取り組む 5 (1 回目の実験後) C5:電熱線の周りが熱かった。その証 拠に,サーモテープは上の方だけ赤か った。 表象的/ 主張 6 C6:サーモテープが上の方しか赤くな らなかったから,下の方も赤くしてみ たい。 表象的/ 課題 7 C7:もっと確かめて,全部温めたい。 表象的/ 課題 8 C8:それじゃ電熱線を下にしてみれ ば? 操作的/ 拡張 9 C9:それでも上が赤くなれば熱が上に 行くってことだし。 操作的/ 精緻化 10 C10:それに電熱線を真ん中にしたら全 体がいっぺんに温まるかもね。 操作的/ 精緻化 拡張 11 C11:え?全体が一緒に? 表象的/ フィードバ ック T2 T2:それでは,次は電熱線の位置を変え た実験をしてみるのだね。 表象的/ 課題 いった。次のC9「それでも上が赤くなれば熱が上 に行くってこと」の発話では,前者の考えが精緻化 され,さらに C10「それに電熱線を真ん中にしたら 全体がいっぺんに温まるかも」の発話で,C8 の発想 をさらに拡張,精緻化させた実験方法が提示された。 以下,概念変容がみられたプロトコル3,8,9,10に おける教材の発展過程とコンフリクトの自立的生 成に及ぼす影響について考察する。 まず,1 回目の実験前までの本教材は,すぐに水は 温まるだろうという期待や,水を温めるほどの力は ないだろうという疑念など,多様な類推を促すよう な役割を果たしていたと考えられる。そこには,小 さくて扱いやすい形状や,電気を通すと電熱線は赤 く熱くなる特徴など,児童らのアクセスを容易にす るシンプルな構造が機能していたと考えられる (役割A,構造 a)。この役割と構造が,コンフリクト の生成準備に影響していたことが示唆される。 また,1 回目の実験時における教材は,上部の水が 温まる事実の一方で,下部の水は温まらない事実を 同時に提示して,自他の異同に気付くような役割を 果たした。そして,確かに水は温まったけれど,水全 体が温まったとまではいえないのではないかとい う不完全性を自覚させる役割を果たしていたと考 えられる。そこには,一時的に容器の上部が温まる と感じるが,下部は冷たい感じがするという相反す るような複数の心象を抱かせるマルチプルな構造 が機能していたと考えられる(役割B,C,構造 b)。 この役割と構造が,コンフリクトの自立的生成とそ の自覚化に影響していたことが示唆される。 その後の本教材は,児童自らが,「容器の水“全体” は温められるか」という新たな問題に導く役割を 果たしている。そして,C8「電熱線を下にしてみれ ば…」と実際に検証可能な解決方法を発想させる ような役割を果たしている。そこには,児童らの主 体的なアクセスに応じて電熱線を移動させるなど フレキシブルにトランスフォームできる構造が機 能していたと考えられる(役割D,E,構造 c)。この 役割と構造が,コンフリクトの解消に影響していた
- 25 - ことが示唆される。 4.4 2 回目の実験から 3 回目の実験まで 児童らは,2 回目の実験で電熱線を容器の下部に 移動させて水を温めた。その結果,容器全体が温ま る現象がみられた。このとき児童らが注目したの は,水が温まる順番だった。表 6 は,2 回目の実験後 のノートの記述(抜粋)である。 2 回目の実験後,電熱線が下部にある場合の水の 温まり方は,大きく 3 つの立場にわかれた。すなわ ち,C12「上の方から温まる…」のように,上の方か ら温まると考える立場(22 名),C13「上も下も同じ だと思った…」のように,全体が同時に温まると考 える立場(15 名),C14「さわると全体が温かかった けど,サーモテープは上の方から赤くなった…」の ように,曖昧で決められないという立場である(3 名)。同じような実験をして,同じような事象を観察 していても,水の温まり方に対する当初の心象は, 簡単には更新されない様子がわかる。そこで,教師 は,これら結果の異同について話し合う場を設けた。 児童らは,前時の結果について,「上から温まった」, 「いや下からだった」,「全体一緒だった」と活発 に議論を始めた。以下,2 回目の実験から 3 回目の 実験までのおよそ1単位時間の理科授業を,授業序 盤,授業中盤,授業終盤の3つのフェーズに分けて分 析する。表7 は,授業序盤の主な発話プロトコルで ある。 C15「ぼくは,上から温まると思う…」,C16「サ ーモテープが上から赤くなるのを見た…」という 発話からは,実験中に観察した事実を証拠として 主張するのがわかる。また,C17「温まった水が上 に行く…」では,C16 の発話にかかわりながら,温ま る水の様子にまで拡張して賛同している。一 方,C18「上から温まるのが普通だけど,実験したと きは全体がお湯に近かった…」では,C16,C17 に一 定の理解を示しつつも,全体が温まった事実との 矛盾を指摘し,全体が温まるという立場を主張し ている。 表 6 2 回目の実験後のノートの記述(抜粋) No. プロトコル TD の分類/ カテゴリー 12 C12:ぼくは上の方から温まると思 う。でも全体というのも間違えで はないと思う。温度の差は 2℃しか なかった。 表象的/ 主張 13 C13:上も下も同じだと思った。電 熱線が下にあっても,あわが上に あがっていくから。 表象的/ 主張 14 C14:さわると全体が温かかったけ ど,サーモテープは上の方から赤 くなっていた。 表象的/ 主張 表 7 授業序盤における主な発話プロトコル No. プロトコル TD の分類/ カテゴリー 15 C15:ぼくは上から温まると思う。 表象的/ 主張 T3 T3:何か証拠でもありますか? 表象的/ 正当化 16 C16 サーモテープが上から赤く なるのを見た。 操作的/ 精緻化 17 C17:ぼくも同じ。下で温まって, 温まった水が上に行く。ここらへ んまで。 操作的/ 拡張 18 C18:上から温まるのが普通だけ ど,実験したときは全体がお湯に 近かった。だから,上に行くまでに 全体が温かくなっていくのではな いかな。 操作的/ 矛盾 19 C19:(う〜ん,そうかなあ。。。) 表象的/ フ ィ ー ド バック この様子は,授業中盤のC20の発話を境に一変す る。それまで問題となっていた水が温まる順番は, 次第に,水の動き方へと焦点化されていったのであ る。表8 は,授業中盤の主な発話プロトコルである。 C20「(水は)上から温まると思うけど,熱は下にも 下りるのではないかな」の発話では,水の動きに着 目する必要性を指摘している。この意見は,C21「上 に行って,冷めたらまた下に」の発話で統合され同 意が得られると,再び C22「どこへも行けなくなっ たら下の方へ行く」と詳細に説明を加えていった。 これらの立場に対して,C23「反対。熱は上に上がっ てそこで止まっているのではないか」と批判的な 発話が現れると,C24「ぼくは全体が温まると思っ ていたけど,やっぱり,上の方で熱が待機していて 上から温まると思う」と立場が変わったと表明す る児童もで始めた。さらに,C25「また下がってきた ら,水はそれ以上温まっていかない」という発話は,
- 26 - 表 8 授業中盤の主な発話プロトコル No. プロトコル TD の分類/カ テゴリー 20 C20:やっぱり上から温まると思う けど,熱は下にも下りるのではな いかな。 操作的/ 拡張 T4 T4:下にまた下りてくるの? 表象的/ フ ィ ー ド バ ック 21 C21:うん,上に行って,冷めたらま た下に下りると思う。 操作的/ 統合 22 C22:熱が生まれて上でたまって, どこへもいけなくなったら下の方 へいく。 操作的/ 統合 23 C23:反対。熱は上に上がってそこ で止まっているのではないかな。 操作的/ 比較批判 24 C24:ぼくは全体が温まると思って いたけど,やっぱり,上の方で熱が 待機していて上から温まると思 う。 操作的/ 比較批判 25 C25:どんどん上にいって,上でた まると思う。また下がってきたら, 水はそれ以上温まっていかないこ とになる。 操作的/ 矛盾 26 C26:教科書に書いてあるよ「温め られた水が上にいって,上の冷た い水が下に。。。だから全体が温ま る。。。」あれ? 操作的/ 精緻化 T5 T5:上から? 下から? 全体? 表象的/ フ ィ ー ド バ ック 27 C27:あれ? 28 C28:教科書に「全体が温まる」っ て書いてあるのは,アルコールラ ンプを使って下から温めた場合の 話。もしかしたら,電熱線の下は冷 たいまんまかもしれない。ぼくが 本当に下から触ってみたら,すご く冷たかった。教科書に書いてあ るのとは違うことが起きていると 思う。 操作的/ 精緻化 29 C29:そうかもしれない。。。 表象的/ 言い換え 30 C30:反対!反対! 表象的/ 主張 31 C31:最終的には全体が。。。 表象的/ 主張 32 C32:下から温まって,それが上に 行って。。。 表象的/ 言い換え 33 C33:そんなに(水は)動かないか ら。。。 操作的/ 比較批判 34 C34:真ん中から温めてみれば。。。 操作的/ 拡張 35 C35:もう一回実験してみないと! 表象的/ 課題 熱が下に降りてくるという説の矛盾を指摘したも のといえる。さらに,C26「教科書に書いてあるよ」 の発話では,教科書の情報を持ち出して白熱し始め た事態の収束を図ろうとするが,C27「あれ?」と 自己内矛盾に気づいて立ち止まってしまう。それに 対して,C28「(教科書では)アルコールランプを使っ 表 9 授業終盤における 3 回目の実験の時中・事後 における主な発話とノートの記述(抜粋) No. プロトコル TD の分類/ カテゴリー 3 回目の実験中 36 C36:あ!上に行ってる!上に行っ てる! 表象的/ 主張 37 C37:コショウが下から上がって る! 表象的/ 主張 38 C38:中のコショウが回り出した よ,いきなり。 表象的/ 主張 3 回目の実験後のノートの記録(抜粋)より 39 C39:わかったことは,水はいった ん下で温まって急激に上昇し,上 から温まるということ。 操作的/ 統合 40 C40:最初は下から温かくなると思 っていた。実験してみたら,下の方 が温かくなって,それが回ってい って上の方も温かくなって,全体 が温かくなっていった。上が 41℃ で,下が 31℃だった。 操作的/ 統合 41 C41:やっぱり最終的には上の方が 温かかった。 操作的/ 統合 て下から温めた場合の話」と教科書の実験(外部熱 源方式)と今の実験(内部熱源方式)との違いを比較 して考える発話がみられ,「ぼくが本当に下から触 ってみたら,すごく冷たかった」,「教科書に書いて あるのとは違うことが起きていると思う」と実験 中の事実をもとに精緻化して主張した。 授業終盤には,児童らは3回目の実験として,水の 動き方に焦点を絞った実験に取り組んでいった。 児童らは,容器の中にコショウやインクを入れて再 び実験に臨んだ。表9 は,3 回目の実験中の主な発 話,および,実験後のノートの記述(抜粋)である。 この場面では,容器の中にコショウやインクを入 れたり,電熱線の位置を変えたりするなど,新たな 取り組みがみられた。実験中の C36「あ!上に行 ってる…」,C37「コショウが下から上がってる …」,C38:「中のコショウが回り出したよ,いきな り…」では,児童らの観察の視点が,水の動き方に 移行しているのがわかる。また,実験後の記述で は,C39「急激に上昇し…」,C40「下の方が温かく なって,それが回っていって…」等,温まった水が上 昇しそれを繰り返して全体が温まるという対流の 概念をより科学的に深め自ら更新した様子が読み 取れる。
- 27 - 以下,概念変容がみられたプロトコル16,17,18 / 20,21,22,23,24,25,26,28 /33,34,39,40,41 における コンフリクト生成過程について考察する。 まず,授業序盤のプロトコル 16,17,18 では,本教 材が,サーモテープの上から赤くなる客観的事実 (C16)や,容器全体を直接手で包み込んだ時の感覚 (C18)を得られるような役割を果たしていた。そこ には,従来の外部熱源方式では不可能だった容器を 直接触って確かめられるという構造が機能してい たと考えられる(役割A,構造 a)。この役割と構造 が,コンフリクトの生成準備に影響していたことが 示唆される。 また,授業中盤のプロトコル 20,21,22,23,24,25, 26 ,28,では,本教材は,「上に行って,冷めたらまた 下に降りるのではないか」,「冷めて降りてきたら いつまでたっても温まらないから上で待機してい るのではないか」など,自他の異同に気付くような 役割を果たしている。また,C28「どんなに電熱線 を下にしても,本当の底の部分は冷たいまま」とい う事実は,教科書とは一見異なる事実であり,これ も内部熱源方式という構造でなければとらえられ ない事実だといえる。水の熱伝導率と対流から,熱 源より上部はたとえ沸騰しても,そのすぐ下部は冷 たいままという現象がみられる。この教科書とは 相反するような心象を抱かせる構造が,自分の不 完全性を自覚させる役割を果たしたと考えられる (役割B,C,構造 b)。この役割と構造が,コンフリク トの自立的生成とその自覚化に影響していたこと が示唆される。 さらに,授業終盤のプロトコル 33,34 では,本教 材は,C34「真ん中から温めてみれば…」,C35「も う一回実験してみないと」と新たな解決方法を提 案して次に動き出せるような役割を果たしている。 その際,電熱線を任意の位置に移動させたり,容器 内に浮遊物を投入したりする操作を簡便に行うこ とができた。また,前後左右からの対流の視認性も 良好だった。このように,水の動きを確かめる手段 を多様に発想できたり,フレキシブルにトランスフ ォームできたりする役割や構造が機能していたと 考えられる(役割D,E,構造 c)。この役割と構造が, プロトコル39「急激に上昇し…」,40「下の方が温 かくなって,それが回っていって…」のようにコン フリクトの解消に影響していたことが示唆される。 5 研究のまとめ 5.1 研究の成果 本研究では,小学校理科の対話的な問題解決シ ーンの具現化に向けて開発された教材が,実際の 授業場面でどのように発展し,それがコンフリク トの自立的生成過程にどのような影響を及ぼすか について実践的に検証した。 まず,教材の役割を分析する観点として「小学校 理科の対話的な問題解決シーンにおける教材の発 展過程」(表 1)を措定し,「可動式内部熱源対流 観察器」について分析した結果,小学校理科の対話 的な問題解決シーンにおける教材には,5 つの役 割と 3 つの構造の発展過程が認められた。教材が, これらの役割と構造をあらかじめ備えていたこと で,児童らは,新たな視点を発想したり,実現可能な 解決方法を具現化したりする道具としてそれを駆 使できたのではないかと考えられる。 さらに,これらの教材の役割と構造の発展が,コ ンフリクトの自立的生成過程に及ぼす影響として, 次の3つが示唆された。 i) コンフリクトの生成準備 ii) コンフリクトの自立的生成とその自覚化 iii) コンフリクトの解消 本教材は,児童らの主体的なアクセスにフレキシ ブルに対応しながらコンフリクトの生成準備をし たり,その自立的生成を促したり,それを解消した りするように影響を及ぼしていることが示唆され た。表10 に,教材の発展が,コンフリクトの自立的 な生成にどのような影響を及ぼしたのかについて 整理した。
- 28 - 表 10 教材の発展がコンフリクトの自立的生成に 及ぼす影響 5.2 残された課題 児童らが主体的に対話を成立させていく上では, コンフリクトが自立的に生成されるように機能す る教材が必要となる。今後は,他学年,他単元の教 材についても,開発と検証を進めていくことが課 題として残った。また,一方で,丸本(2003) 7)の指摘 にあるように,教材を媒体物として機能させるた めには, 教師の役割や学習者の思考の道筋との相 互作用についてより明確にしていく必要がある。 引用文献 1) 高垣マユミ・田爪宏二・降旗節夫・櫻井修(2008) 「コンフリクトマップを用いた教授方略の効果と そのプロセス」,教育心理学研究,56,93-103. 2) 清水誠・實川和宏(2014)「コンフリクトマップを 用いた教授方略が概念変容に及ぼす効果-振り子の 運動の学習を事例として-」,理科教育学研究,55, No.1,37-46. 3) 松田雅代・溝邊和成(2015)「小学校理科授業設計 のためのコンフリクトマップの活用」,日本科学教 育学会研究会研究報告,29,No.8,pp.17-20. 4) 福嶋正悟・片平克弘(2004)「理科授業におけるメ タ認知ツールとしてのコンフリクトドキュメン ト」,日本科学教育学会年会論文集,28,403-404. 5) 加藤尚裕・本澤智己(2006)「理科授業におけるメ タ認知ツールとしてのコンフリクトシートの利 用」,日本理科教育学会全国大会要項,56,270. 6) 小野沢美明子(2016)「『個が生きる授業』における 『コンフリクト』の意義-生活科『いきものとなかよ し』を通して-」教材学研究,27,47-58. 7) 丸本喜一(2003)『理科・生活科教材研究の事典』 初教出版,1. 8) 高垣マユミ・田爪宏二・松瀬歩(2007)「相互教授 と概念変容教授を関連づけた学習環境の設定によ る概念変化の促進-溶解時の質量保存の事例的検討 -」, 教育心理学研究,55,426-437. 9) 高垣マユミ・中島朋紀(2004)「理科授業の協同学 習における発話事例の解釈的分析」.教育心理学研 究,52,472-484. 10) 高垣マユミ(2006)「 『水のすがたとゆくえ』の 発話事例の解釈的分析-小集団の議論を通した概念 変化の様相-」,科学教育研究,30,No.1,27-36. 11) 高垣マユミ・田原裕登志(2005)「相互教授が小学 生の電流概念の変容に及ぼす効果とそのプロセス」, 教育心理学研究,53,551-564. 12) 高垣マユミ・田爪宏二(2008)「マクロ・マイクロ な観点からの統合的な授業分析の手法-理科授業 における概念変化プロセスの把握-」, 日本科学教 育学会誌,30,第 4 号,69- 77. 13) 高垣マユミ・田爪宏二・清水誠(2006)「理科授業 の議論過程におけるトランザクティブディスカッ ションの生成を促す教師の介入方略」,Journal of Psychology in teaching and learning,2,23-33. 14) 小野沢(2016) 再掲 15) 高木幸子(2010)「教材の役割変容からとらえる 授業実践力の向上-教育実習生から教師への成長-」, 教材学研究,21,111-120. 16) 細矢智寛(2016)「自己調整学習教材の構造と内容 -ゴールドらとピンリッチらの教材分析を中心に-」, 教材学研究,27,27-36. 17) 角屋重樹・林四郎・石井雅幸(2005)『理科の学ば せ方・教え方事典』教育出版,84,15. 18) 文部科学省(2011)「小学校理科の観察,実験の手 引き」,14. 19) 高垣・田原(2005) 再掲 20) 澤柿教淳(2013) 「ものの温まり方-類推-思考の組 み替え-推論-創造という思考の道筋を生かす-」初 等理科教育,47,No.3,52-54. 注1:「対話をひらく」:学習課題が焦点化され,比較・ 検討の視点が設定されたとき,子供は立ち止まり,相手 の考えに耳を傾け,そのよさを取り入れようと真摯な 構えで他にかかわろうとする(富山大学人間発達科学 部附属小学校「対話が授業を変える-子供の心が揺さ ぶられる瞬間-」富山大学出版会,12. 注2:「ニクロム線 2 種の抵抗率」 http://www.twire.co.jp/Alloy3.html,(2019.12.1 参 照) 小学校理科の対話的な問題解決シーンにお ける教材の発展過程 コンフリクトの自 立的生成 過程に及 ぼす影響 役割 構造 A.児童にとって安全で扱 い易く,類推を促す状況 を作り出す役割 a.児童からのア クセスを容易に するシンプルな 構造 i) コンフ リクトの 生成準備 B.児童が互いの予想や仮 説,結果や考察等の異同 に気付く状況を作り出す 役割 b.相反するよう な複数の心象を 想起させるマル チプルな構造 ii) コンフ リクトの 自立的生 成とその 自覚化 C.児童自らが,予想や仮 説,結果や考察等の曖昧 さや不完全性を自覚し, 自立的に立ち止まる状況 を作り出す役割 D.児童自らが,解決すべ き問題を見極めたり,新 たな解決方法を発想した りする状況を作り出す役 割 c. 問題意識に 応じてトランス フォームできる フレキシブルな 構造 iii) コン フリクト の解消 E.児童自らが,問題の解 決に向けて新たな局面を 拓く状況を作り出す役割