Kobe Shoin Women’s University Repository
Title
白山・山村住居の新傾向
―住空間の史的展開過程に関する研究(その9)―
New Trends of Haku-Mountains' Dwellings
Author(s)
島村 昇(Noboru Shimamura)
Citation
生活科学論叢(Review of Living Science)
,
No.25:75-106
Issue Date
1994
Resource Type
Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
URL
Right
白 山 ・山 村 住 居 の 新 傾 向
住 空 間 の 史 的 展:開過 程 に 関 す る研 究 〔その9)島 村
昇
目
次
1.新 ・山村 住 居 の概 要 1.1建 設 時期 等 1.2外 観 形姿 L3平 画 形 状 1.4住 空 間 の 階 層 性 1.野 規 模 分 布 1.6住 空 問規 模 3.住 空 間 内 容 の 増 減 3、1モ ヤ 主 体 空 間 の 増 減 内窓 3.2前 面 サ シ カ ケの 増 減 内容 3.3背 面 ツ ケ タ シの変 化 内容 3.4側 面 ツ ケ タ シの 増 加 内容 3、51階 全 空 間 の 増 減 内容 3.62階 全 空 間 の 増 減 内容 2.住 空 間 の 基 本 的 構 成 2.1進 入 形 式 の 伝 統 性 2.2モ ヤ 主体 空 間 相 当分 間 口長 さ 2.3モ ヤ 主体 空 間 相 当分 奥 行 長 さ 2、4モ ヤ 圭体 空 間 相 当分 の 規 模 2.5付 加 空 開 相 当分 の 規棋 2.6全 住 空 間 の 規 模 4.室 空 間 の 変 容 4.1ヒ ロマ 系 空 間 の分 割 と流 動 化 4,2プ ツ マ の ザ シ キ化 4.3続 き聞 の 導 人 と流 用性 4.唾 客 室 の 前 面 隔 離 と 洋風 化 4.5ネ マ の 個 室 化 と洋 風 化 斗.6室 数 ・室 規模 の 階 層 牲 {付 図)白 山 ・山村 住 居 の 史 的 展 開 過 程 一一75一1.新 ・ 山 村 住 居 の 概 要 前 章 にお い て は 、戦 後 の 約30年 間 を 当 山村 住 居 の 現 代 的状 況 と して み たが 、本 章 で は これ に つ づ け て 、 昭 和50年 代 前 半 に建 設 され た 山村 住 居 を み る。 1.1建 設 時 期 等 ダ ム 建 設 に と も な っ て水 没 し た桑 島 地 区 で は、その 補 償 の 一 環 と して 新 規 の 住 居 建 設 が お こ な わ れ た 。山 麓 の 平 野 部 に近 い鶴 来 方 面 に 多 くは建 設 さ れ た が 、建 築 確 認 申請 付 図 に よ り、102例 の サ ンプ ル を 入 手 し た(図9-1)。 先 の 現 代 ・山 村 住 居 は 父 祖 伝 来 の 地 に、 ま た建 設 業 者 も地 元 の 大 工 を主 と して 起 用 し た こ と も あ り、 現 代 的 な 新 傾 向 を含 む 一一方 、 伝 統 的 な性 格 も濃 厚 で あ っ た が 、 本 章 の新 ・山村 住 居 で は平 野部 に近 い新 規 の 造 成 地 に 、 ま た建 設 業 者 も都 市 圏 の 工 務 店 等 が 参 画 し た結 果 、 さ ら に一 歩 新 し い傾 向 が現 わ れ て い る もの と考 え られ る。 もち ろ ん 、 この 間 に は施 主 の 意 識 革 新 や 世 代 交 替 もあ り、 そ れ らが 新 傾 向 を 助 長 した で あ ろ うこ と も推 測 に か た くな い 。 こ う し た新 ・山 村 住 居 は ダ ム 建 設 の 開 始 さ れ る 昭 和50年 代 当初 の 建 設 に か か わ る も の で あ る が 、 本 論 に お い て は この 新 ・山村 住 居 を も っ て 当 山村 住 居 の最 終 段 階 とす る。 古 くは カ ヤ 葺 の放 射 状 サ ス構 造(ズ キマ ル ゴヤ)に 始 ま り、 そ の後 、 ネ ブ キ ゴ ヤ 、 ク ズ ヤ 、2階 な い し3階 建 の イ タヤ 等 を閲 し て現 代 に い た っ た 当 地 の 山 村 住 居 も、 本 章 で 新 しい都 市 的 傾 向 の 影 響 を受 け た 新 ・ 山村 住 居 と し て最 終 段 階 を む か え る わ け で あ る. 1.2外 観 形 姿 外 観 にす くな か らず 影 響 す る屋 根 構 造 は、い まや すべ て 粕 薬 瓦 に な っ た 。小 屋 組 は戦 後 と同様 、 梁 束 立 て で あ るが モ ヤ とそ の 周 辺 に付 加 さ れ るサ シ カ ケ や ツ ケ タ シの 近 代 的伝 統 が 崩 れ 、外 観 上 も1階 に比 して2階 の 小 さ い形 姿 に移 行 す る。これ は い うな れ ば 新 興 住 宅 地 の2階 建 独 立 住 宅 に 近 い外 観 に移 行 した こ とに な る。 階数 につ い て は102例 す べ て が2階 建 で あ る。 近 代 か ら戦 後 の 数10年 間 に は ま だ3階 建 が お こ な わ れ て い た が 、 新 ・山 村 住 居 で は3階 建 は み られ な い。3階 を ア マ と して 利 用 す る生 活 基 盤 が 消 失 し た か らで あ る。 しか し、進 人 形 式 は 旧来 と同 様 に妻 入 りが 多 く、 この 点 は 伝 統 を踏 襲 して い る とい え る。 ま た、 旧 来 は土 壁 を主 と して い た もの が 、 波 形 鉄 板 等 の い わ ゆ る新 建 材 に変 化 し、 山村 住 居 と して の 外 観 的 特 質 は か な り消 失 した もの とな っ て い る。 一76一
新 ・山村 住 居 の 平 面 構 成
レ
一
84
Nα69
一
Nα84 Nα81
Nα87
Nα98 Nα94
帆 ㈲ ▲ 出 入 口、ε数 字 は 居 室 の 畳 畿 を示 す 。⑱ は 洋 室5畳 を 示 す 。国 吹 抜 け 、歴 垂彊 ドマ 、ロ ォ ェ{床 張 り部 分)お よ び ロ ー ヵ ・玄闘 ホー ル ・式 台 を示 す 。8仏 壇 入 、C押 入 ・物 置 ・戸 棚 、0脱 衣 ・批 面 ・手 批 場 、Eエ ン1内 縁}、F7ロ 、 韓ゲ ン カ ン 、 賦台 所 、O洗 場 〔瀧 タ ク場)、 S階 段 、 丁床 の 間 、U床 曲 ・棚 、W便 所 注)1.圃 は1階 床 面 禎 の 観襖 〔小 か ら大1の 順 に 配 列 し て い る。 宮.各 園 は左 よ1}1階 、 有 に2随 を 配 列 して い る 。 資 料)建 第 確 認 申 詞 の 平 面 図 に よ る 。 一一go一
1.3平 面 形状 平 面 の全 体 的 形 状 は 、戦 後 の現 代 住 居 と大 差 が な い。す な わ ち、整 形 の 長 方 形 平 面 は 少 な く大 半 は 凹 凸 を も って い る 。平 面 の 主 体 はや は り1階 部 分 で あ り、生 活 機 能 の 大 半 が こ こ に集 約 され るた め に、 凹 凸 を生 じる。反 面2階 は 個 室 が 主 とな る た め単 機 能 的 で 平 面 形 状 も整 形 の 長 方 形 が 多 い 。 伝 統 的 な 当 山 村 住 居 の全 体 的 平 面 形 状 は、近 代 以 前 に お い て は ほ とん ど整 形 の 長 方 形 で あ る。 す な わ ち、 ス ゴヤ(直 屋)で あ る。 これ は 当 山村 住 居 に 限 っ た こ とで は な く、 一 般 に 民 家 は古 式 で は ス ゴヤ で あ るが 、近 代 以 降 の 増 改 築 の結 果 全 体 の平 面 形 状 は 凹 凸 を生 じ る。凹 凸 は い わ ば 増 改築 の 指 標 とい え る。 近 代 住 居 も現 代 的 な生 活要 請 か ら増 改 築 を ほ どこ され た改 造 住 居 で は 、旧 来 の 長 方 形 平 面 に事 後 的 ・追 加 的 に 空 間 が 付 加 され る の で 必 然 的 に 凹 凸 の は げ しい 平 面 形 状 に な って い た が 、 戦 後 の 現 代 住 居 で は 凹 凸分 の 空 間 が 全体 平 面 に組 込 ま れ 改 造 住 居 よ りは 整 形 化 して い た。 本 章 の 新 ・山村 住 居 は 、 そ の 意 味 で は戦 後 の 現 代 ・山村 住 居 を踏 襲 す る もの で あ るが 、 真 に都 市 的 ・現 代 的 な平 面 構 成 に至 っ て い な い ため 、 や は り不 整 形 な 凹 凸 を生 じて い る の で あ る。 そ の 意 味 で は 近 代 に確 立 され た整 形 ス ゴ ヤ の 増 改 築 結 果 の 残 影 を と どめ て い る とい え る。 1.4住 空 間 の 階 層 性 前 章 まで にみ た近 代 住 居 、 その 改 造 住 居 、戦 後 の 現 代 住 居 に お い て は 、 階 層 的 見 地 か ら モヤ 間 口長 さ に よ る ラ ン クに よ り住 居 規 模 の分 布 を求 め た 。 しか し、 本 章 の新 ・山村 住 居 に お いて は2 階 建 の モ ヤ と そ の ま わ りの 付 加 空 間 とい う構 成 が 構 法 的 に 崩 れ て し ま っ て い るの で モ ヤ 間 口長 さ と い う もの は 特 定 で き な い 。 しか し、 現 実 に は102例 の住 居 に は か な りの 規 模 差 が 存 在 す る 。 そ こ で 、モ ヤ が 無 くな って も階 層 性 を示 した モ ヤ 間 口長 さ に相 当 す る もの は何 か 。結 論 的 に い えば それ は2階 間 口長 さで あ る 。い ま まで の モ ヤ 間 口長 さ も2階 か ら判 定 し て い た が 、同 様 の 方 法 を本 章 の新 ・山村 住 居 に も適 用 す る の で あ る。 しか し、 こ の 場 合 は 純 然 た るモ ヤ 間 口長 さ とは い え な い の で 、 「相 当 」を付 して モ ヤ 間 口相 当長 さ とす る。 た とえば、2階 の 間 口長 さが2.0問 の 場合 、 こ の住 居 は モヤ 間 口相 当長 さ2.0間 とよ び 、 ラ ン キ ン グ の指 標 とす る。 以 上 の 方 法 に よ っ て お こ な っ た ラ ン キ ン グの 結 果 は 、モ ヤ 間 口相 当 長 さ は2.0∼5.0間 に また が り、0.5間 き ざみ で7ラ ン ク に な っ た。こ の7ラ ン ク は近 代 住 居 と共 通 す る もの で あ り、ま た戦 後 の現 代 住 居 で は6ラ ン クで あ る が 、1∼VIラ ン クは 共 通 で あ る。 この よ うな結 果 を み る と、モ ヤ は崩 壊 して も空 間 構 成 と して は2階 部 分 の 間 口長 さ に階 層 的 痕 跡 を と どめ て い る とい え る。 以 上 の モ ヤ 間 口相 当長 さ を階 層 的 ラ ン クの 指 標 とす る に あ た っ て 、1階 床 面 積 との相 関 性 を求 め る と相 関 度r=0.9507と な り、 き わ め て 強 い正 の相 関 が え られ る。 ま た、2階 床 面 積 との 相 関 度r=0.9424と な り、 や は り同様 で あ る 。 した が って 、2階 間 口長 さ に よ る モ ヤ 間 口相 当 長 さ を 一91一
い ま ま で の モ ヤ 間 口長 さ と同 様 に階 層 性 の 指 標 とす る こ とが で き る。 ま た 、 この こ と に よ っ て 近 代 以 降 の変 化 を 同一 の 基 準 に よ っ て 比 較 す る こ とが で き る。 1.5規 模 分 布 以 上 の モ ヤ 間 口 相 当 長 さ に よ る7ラ ン ク の 戸 数 分 布 を み る と 、1ラ ン ク13戸(12.7%)、IIラ ン ク34戸(33.3%)、IIIラ ン ク17戸(16.7%)、IVラ ン ク21戸(20.6%)、Vラ ン ク12戸(11.8%〉 、 VIラ ン ク4戸(3.9%)、V[1ラ ン ク1戸(1.0%)と な る 。II、III、IVラ ン ク(モ ヤ 間 口相 当 長 さ2.5 間 ∼3.5間)が 高 率 で 全 体 の70.6%を 占 め る 。 こ の あ た り に 集 中 し た 山 形 の 分 布 状 況 を 示 す 。 戦 後 の 現 代 住 居 との 比 較 で み る と 、 大 き な 相 異 点 はIIラ ン ク の 増 加(1.9%→33.3%)、IVラ ン ク の 減 少(50.0%→20.6%)で 他 の ラ ン ク は 大 同 小 異 で あ る 。 戦 後 の 現 代 住 居 がIVラ ン ク(モ ヤ 間 口 長 さ3.5間)に 最 高 率 が 現 わ れ て い る の は 、 内 部 を2列 構 成 に す る た め で あ る 。 ブ ツ マ の あ る 列 を2.0間 幅 、 他 の 列 を1.5間 幅 とす る2列 構 成 を 実 現 す る た め で あ っ た 。 し か し、 新 ・山 村 住 居 で は こ の よ う な2列 構 成 のIVラ ン ク が 減 少 し、 列 構 成 に は 不 利 なIIラ ン ク が 増 加 し て い る の は 、 列 構 成 そ の も の が 解 体 しつ つ あ る こ と を 示 し て い る 。 す な わ ち 、1階 の 平 面 構 成 は 伝 統 的 な 列 構 成 か ら しだ い に よ り 自 由 な 構 成 へ と移 行 し つ つ あ る の で あ る 。 1.6住 空 間規 模 1階 の 平 均 床 面 積 は28.0坪 で あ る。近 代 住 居 の24.8坪 、改 造 住 居 の31.4坪 、戦 後 現 代 住 居 の24,9 坪 と比 較 す る と、近 代 お よ び現 代 とはや や 増 加 して い る。改 造 住 居 が 大 きい の は増 築 の せ い で あ る 。1階 床 面 積 の 増 加 は 、 そ れ だ け1階 の 生 活 機 能 を充 実 させ るた め で あ り、 と くにS系 空 間 の 充 実 が この 結 果 を招 来 して い る。 2階 の 平 均 床 面 積 は12.0坪 で あ る。近 代 住 居 の19,6坪 、改 造 住 居 の23.2坪 、戦 後 現 代 住 居 の17.6 坪 と比 較 す る と、か な り減 少 して い る。 戦 後 の現 代 住 居 ま で は 、 モヤ は 総2階 と され20坪 前 後 の 広 い スペ ー ス を確 保 して い た が 、そ れ は養 蚕 等 の 伝 統 的 な ア マ の系 譜 をひ く もの で あ っ た。 しか し、 新 ・山 村 住 居 に お い て は 、 モヤ の 崩壊 と と もに ア マ の伝 統 も消 失 し、 個 室 を主 体 と し た現 代 的 な生 活 機 能 に特 化 した 。 以 上 の 経緯 か ら、延 床 面 積 は40.0坪 とな る。近 代 住 居 の44,4坪 、 改 造 住 居 の54.6坪 、戦 後 現 代 住 居 の42.5坪 と比較 比 す る と、減 少 の 傾 向 に あ る。1階 部 分 の 増 加 に もか か わ らず全 体 が 減 少 し て い るの ほ 、2階 部 分 の 減 少 が 大 きい か ら で あ る。1階 部 分 の 現 代 的機 能 充 足 と2階 部 分 の個 室 特 化(ア マ の消 失)が 新 ・山村 住 居 の 大 きな 特 質 で あ る。 な お 、 こ う した規 模 の 問題 は 階 層 性 とつ よ く関 連 して い るが 、先 に 述 べ た よ う に階 層 と規 模 は い ま まで と同様 の 相 関 性 を も って い る こ と を付 言 して お きた い 。 一92一
2。 住 空 間 の 基 本 的 構 成 戦 後 の 現 代 住 居 まで は、2階 建 の モヤ とそ の ま わ りの付 加 加 空 間 に よ って 構 成 され るの が 住 空 間 の基 本 で あ っ た。 一 方 、 新 ・山村 住 居 に お いて は、 こ の よ うな構 成 が 崩 れ 構 法 的 に は1階 と2 階 が切 り離 され た もの に な っ た。 しか し、そ れ に もか か わ らず 往 時 の 空 間構 成 が伝 承 され て い る 面 もす くな くな い。 以下 、 その あ た りの 状 況 をみ て い く。 2.1進 入 形 式 の伝 統 性 再 三 述 べ て い る よ うに 、当 山村 住 居 は 妻 入 りを伝 統 と して 来 た。 お そ ら く近 世 以 前 に は 、す べ て の 山村 住 居 が妻 入 りで あ った と考 え られ る が、近 代 で は84.3%が 妻 入 り、残 り15.7%が 平入 り で あ っ た。戦 後 の 現 代 住 居 で は妻 入 り73.1%、 平 入 り26.9%と 、や や 平 入 りが 増 加 して い るが 、 や は り妻 入 りが優 勢 で あ る。 新 ・山村 住 居 に お い て 、 妻 入 りは102例 中86例(84.3%)、 平 入 りは16例(15 .7%)で あ る。 戦 後 の現 代 住 居 よ り妻 入 りが や や 増 加 して い る く らい で あ る。一 般 に民 家 は 妻 入 りか ら平 入 りに移 行 す る とい う観 点 か らみ る と、近 代 か ら戦 後 の 現 代 まで は ひ じ ょ う に 弱 い が こ の 傾 向 を示 して い た。 しか し、 新 ・山村 住 居 で は む し ろ逆 転 して い る。 こ の事 実 は 、 新 規 の 造 成 宅 地 が タ テ長 の 形 状 を も って い る こ と に も起 因 し て い る と考 え られ る。 しか し、 い ず れ に して も妻 入 りの84.3%は 圧 倒 的 で あ る 。 した が っ て 、 こ と進 入 形 式 に 関 し て は 依 然 きわ め て 強 い伝 統 性 を示 して い る と いわ ざる を え な い。 2.2モ ヤ 主体 空 間 相 当分 間 口長 さ 戦 後 の 現 代 住 居 まで は 、モ ヤ が 住 空 間 の 主 体 をな して い た。 そ の ため モ ヤ を主 体 空 間 と もよ ん で きた の で あ っ た 。そ の よ うな モ ヤ の 間 口長 は は 、す ぐれ て 階 層 性 を示 す指 標 と も な って い た。 す で に 明 らか に した よ う に、 モ ヤ の 間 口長 さ と他 の 住 空 間 諸 量 との 相 関 性 を求 め る こ とに よ っ て 、 階 層 的 な諸 量 と非 階 層 的(す な わ ち通 階 層 的)な 諸 量 が 判 別 で き た。 しか し、本 章 に お け る新 ・山 村 住 居 は 、す で に述 べ た よ うに確 固 た るモ ヤ 主 体 空 間 を もた な い 。 そ こで 階 層 的 指 標 と して2階 間 口長 さ をモ ヤ 間 口相 当 長 さ と して採 用 した の で あ っ た 。そ の 意 味 で モ ヤ 間 口相 当 長 さ は 、 単 な る寸 法 の 大 小 に と ど ま ら な い重 要1生を も っ て い る。 さて 、 そ の モ ヤ 間 口相 当長 さ は、平 均 を と る と3.0間 とな る。近 代 に お け る モ ヤ 間 口長 さ は3 .2 間 、戦 後 現 代 の そ れ は3.3間 で あ っ た。こ れ ら を比 較 す る と、ひ じ ょ う に近 似 的 な値 を とっ て い る こ とが わか る。お そ ら く、新 ・山村 住 居 に お い て もモ ヤ 主 体 空 間 と い う もの を仮 りに想 定 す る と、 旧来 の伝 統 か ら大 き くは ず れ て い な い こ とが 判 明 す るの で あ る。 一93一
2.3モ ヤ 主 体 空 間 相 当分 奥 行 長 さ 次 に奥 行 長 さ に移 る。本 来 、 モ ヤ 奥 行 長 さ も階 層 的 で あ った 。 モ ヤ 間 口長 さ との 相 関 度 は 近 代 で は0.8742、 戦 後 の現 代 で は0.9848と き わ め て 強 い正 の相 関 を示 して い た 。 とこ ろが 、 新 ・山村 住 居 の場 合 の それ は0.2591と な り、相 関性 を示 さ な い 。つ ま り、 間 口が 大 き くな っ て も奥 行 は あ ま り変 ら な い とい う こ とで あ る 。 新 ・山村 住 居 の 実 際 の 奥行 長 さ を ラ ン ク別 に み る と、1ラ ン ク4.4間 、II∼IVラ ン ク4.0間 、V ラ ン ク3.4間 、VIラ ン ク4.6間 、Vllラン ク4.7間 と な}り、ラ ン クの上 昇 に か か わ らず 奥 行 長 さ は あ ま り増 加 して い な い 。 す こ し極 言 す れ ば奥 行 長 さ は一 定 と い っ て も よ い 。 した が っ て 、2階 床 面 積 が 階 層 的 で あ る の は 、 ま っ た く一 義 的 に 間 口長 さ に よ っ て い る の で あ り、奥 行 長 さは 無 関 係 で あ る とい う こ とで あ る。近 代 お よび 戦 後 の現 代 で は 間 口、奥 行 両 者 が 面 積 増 に参 画 して い た の で あ るが 、 新 ・山村 住 居 に お い て は 間 ロの み が 関 与 す る こ と に な っ た 。 こ の こ とは 、か つ て 階 層 表 示 の 建 築 的 手 段 と して 間 口長 さが 重 視 さ れ た とい う不 文 律 が 当 山 村 に 存 在 した こ と を想 起 す る と、2階 間 口長 さが ま さ に そ の伝 統 を継 承 して い る とい わ ざ る を え な い 。 奥 行 長 さは 階 層 的 表 示 か らは切 捨 て られ た 。当 地 の 住 居 が 妻 入 りで あ り外 観 上 か らは 奥 行 長 さ は 識 別 され な い か らで あ る。正 面 か ら見 え る 間 口長 さが 階 層 表 示 の 手 法 に な っ て い る の は 、ゆ え な し と しな い。 ま た 、 ち な み に奥行 長 さの 平 均 を み る と、近 代5.6間 、戦 後 の現 代4.8間 、 新 ・山村 住 居4.0間 と 短 縮 の 一 途 を た ど って い る。2階 の 縮 少 過 程 はや は り奥 行 長 さ に よ っ て い る こ とが わ か る。 2.4モ ヤ 主体 空 間相 当 分 の 規 模 モ ヤ 主 体 空 間 は 、 平 均 と して 近 代 で は17.9坪 、 戦 後 で は16.2坪 、 そ して新 ・山 村 住 居 で は12.0 坪 と減 少 して い る(表9-1)。 これ は2階 建 の モヤ と その ま わ りの 付 加 空 間 と い う構 法 が しだ い に 崩 れ て い って い る こ と を示 して い る。つ ま り、モ ヤ 主体 空 間 の ウ エ イ トが 減 少 して い って い る こ と を示 して い る。 事 実 、1階 に お け る モヤ 面 積 の 比 率 をみ る と、 そ の こ とが よ り明 瞭 で あ る。 そ の 比 率 は 、近 代 に お い て は72.2%を 占め て い た もの が 、 戦 後 の 現 代 で は65.1%に 減 少 し、 新 ・山村 住 居 で は42.9 %に まで低 率 化 して い る。 新 ・山村 住 居 で は約4割 が モ ヤ 主 体 空 間 相 当分 で あ り、 他 の約6割 は 付 加 空 間 に依 存 して い る こ と に な る 。 近 代 に お い て は 、モ ヤ を主 体 と しそ の 機 能 充 足 な い し機 能 補 足 の た め に3割 に 相 当 す る付 加 空 間 を そ の ま わ りに つ け た して い た の で あ るが 、 新 ・山 村 住 居 に お い て この 関係 は ま っ た く逆 転 し て い る。 も はや 住 居 平 面 に お け る主 体 空 間 とい う考 え方 は 戦 後 の現 代 で 終 っ て い る。 その た め 、 新 ・山村 住 居 で は 旧来 の モ ヤ に 当 る部 分 をモ ヤ 相 当分 と して い る の で あ る。 一94一
表9-1 新 ・山村 住 居 の 各 部 床 面 積 圓 訳 内 間 空 加 付E 呈 側 面 ツ ケ タ シ 相 当 床 面 積 ㏄ ロ 硯 届 肥 昭 筍9白-⊥-⊥-11⊥ "1
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八 延 床 面 積 ( 坪 ) 2 ユ 2 3 1 4 ユ36034乳439e441遇4反﹂ρ0 。040 一 姐4 。654 師4 転 2 階 床 面 積 ( 坪 ) 8 1 0 1 4 7 ハ0 εa翫生3巳3 。11119白9自 適12 蝿1 223 届1 凡 -階 床 面 積 ( 坪) 1 1 2 1 ﹂ 7 5 隠器器臆30置姐 ㎝2 324 M3 つ24 階 層 ラ ン ク I H 皿 W V 珊 田 均 平 代 近 造 改 後 戦 2.5付 加 空 間 相 当 分 の 規 模 上 記 モ ヤ 主 体 空 間 の ま わ り に 付 加 さ れ る 付 加 空 間 は 、平 均 と し て 近 代6.8坪 、戦 後 の 現 代8 .7坪 、 新 ・山 村 住 居16.0坪 で あ る。 モ ヤ を 主 体 とす る 住 空 間 構 成 か ら し だ い に 付 加 空 間 の ウ エ イ トが 大 き く な っ て い る 。 付 加 空 間 は 、 前 面 サ シ カ ケ ・背 面 ツ ケ タ シ ・側 面 ツ ケ タ シ か ら 成 っ て い る の で 、 そ れ ぞ れ に つ い て み る 。 ま ず 、 前 面 サ シ カ ケ(相 当 分)は 、 近 代6.0畳 、 戦 後 の 現 代5.5畳 、 新 ・山 村 住 居11.7 畳 で 、 近 代 と 戦 後 は ほ ぼ 等 し く こ れ が 伝 統 的 な 前 面 サ シ カ ケ の 大 き さ と考 え ら れ る が 、 新 ・山 村 住 居 で は そ れ ら の2倍 の 規 模 を も っ て い る 。 家 屋 前 面1階 部 分 の 発 達 が め ざ ま し い 。 次 に 背 面 ツ ケ タ シ(相 当 分)は 、 近 代2.9畳 、 戦 後 の 現 代2.7畳 、 新 ・山 村 住 居5.1畳 と な り、 新 ・ 山 村 住 居 で や や 増 加 し て い る 。 背 面 ツ ケ タ シ は 、 旧 来 仏 壇 入 や 床 の 間 、 押 入 等 が と ら れ る 部 分 で あ り 、 新 し く こ の 部 分 が 多 少 補 強 さ れ て い る の で あ ろ う。 次 に 側 面 ツ ケ タ シ(相 当 分)は 、 近 代4.7畳 、 戦 後 の 現 代9.1畳 、 新 ・山 村 住 居15.2畳 で か な り の 増 加 で あ る 。先 の 前 面 サ シ カ ケ よ り ウ エ イ ト を も っ て い る 。側 面 方 向 へ の 拡 大 も 大 き い 。な お 、 一95一側 面 は 左 右 両 側 に あ る の で 、 そ れ ぞ れ に つ い て み て お く と、 左 側 面 は7.3畳 、 右 側 面 は7.9畳 で 両 者 は ほ ぼ 等 し く左 右 の 対 称 性 が 旧 来 と 同 様 に み とめ ら れ る 。 以 上 は 付 加 空 間 の 平 均 規 模 に つ い て の 論 点 で あ っ た が 、次 に 階 層 的 な 視 点 で こ れ を み て お く。 そ の た め モ ヤ 間 口 相 当 長 さ と の 相 関 度 を 求 め る と 、 付 加 空 間 規 模 は0.3265、 前 面 サ シ ヵ ケ は 0.9345、 背 面 ツ ケ タ シ は0.4045、 側 面 ツ ケ タ シ は 一 〇.9322と な る。 戦 後 の 現 代 ま で は 、 こ れ ら の 諸 量 も相 関 度 が 高 く階 層 性 を 示 し て い た が 、 新 ・山 村 住 居 で は か な り様 子 が 違 う。 ま ず 、全 体 的 な 付 加 空 間 の 規 模 そ の も の がr=0.3265と 相 関 性 が 低 く、非 階 層 的 で あ る。事 実 、 全 ラ ン ク と も30.0畳 ∼34.6畳 に 集 中 し て い る 。 つ ま り、 ど の 階 層 で も30畳 余 の 付 加 空 間 を 一 律 に も っ て い る こ と を示 し て い る 。 す な わ ち 、 通 階 層 的 で あ る。 そ の 内 訳 に つ い て は 、 前 面 サ シ カ ケ (r=0.9345)と 側 面 ツ ケ タ シ(r=-0.9322)は 、 正 負 の 別 は あ る が 、 き わ め て 強 い 相 関 性 を 示 す 。両 者 は 正 と 負 の 関 係 に あ る の で 相 殺 して 付 加 空 間 規 模 の 階 層 的 増 減 に 参 画 し な い こ と に な る 。 最 後 に 背 面 ツ ケ タ シ(r=0.4045)は 相 関 性 が 低 く、 と くに 階 層 的 と は い え な い 。 以 上 の よ う に 、 付 加 空 間 規 模 は 通 階 層 的 に 約30畳 を も つ 。 2。6全 住 空 間 の 規模 全 住 空 間 の 規模 は延 床 面 積 が指 標 とな る 。延 床 面 積 は近 代44.4坪 、 戦 後 の 現 代42.5坪 、 新 ・山 村 住 居40.0坪 とな り、漸 減 の 傾 向 に あ るが 大 差 は な い。近 代 に お い て は2階 部 分17.9坪 が アマ に 使 用 さ れ 、 戦 後 の現 代 に お い て も7.3坪 が や は りア マ に使 用 され て い る こ と を考 え あ わせ る と、 新 ・山村 住 居 の 延 床 面 積 は け っ して 減 少 して い る と は い え ず 、 実 質 的 には む し ろ増 加 して い る と い え よ う。 全 住 空 間 を構 成 す る1階 と2階 に つ い て は、 す で に 述 べ た よ う に きわ め て 強 い 相 関 性(1階 r=0.9507、2階r=0.9424)を 示 し、 す ぐれ て 階 層 的 で あ っ た 。1階 床 面 積 は 、新 ・山村 住 居 が や や 増 加 して い るが 、2階 床 面 積 は か な り大 き く減 少 し、全 体 と して の延 床 面 積 は上 記 の よ う に40.0坪 とな って い る 。 また 、 こ こで 全 住 空 間 に 占め る1階 、2階 、 モヤ 、付 加 空 間 の 構 成 比率 につ い て み て お く と、 図9-2の よ うに な る。 近 代 か ら戦 後 の現 代 をへ て 新 ・山村 住 居 に い た る ま で 、 時 代 が 新 し くな る に した が っ て1階 の 比 率 が 増加 し、 そ れ に と もな っ て2階 の 比 率 が 減 少 す る。 ま た 、 モヤ 主 体 空 間 の 比 率 も低 下 す る。2階 建 の モ ヤ を主 体 とす る伝 統 的 構 法 か ら1階 重 視 の 現 代 的 構 法 へ の 移 行 で あ る 。 3.住 空 間 内 容 の 増 減 前 節 で は モ ヤ 主 体 空 間 の 狭 小 化 とつ い に これ の 崩壊 、 そ れ に 反 し て付 加 空 間 の 増 大 ・発 展 に つ い て み た 。本 節 で は 、 そ う した架 構 上 の変 化 と同 時 に住 空 間 の 内容 が どの よ うに 推 移 して い るか 一96一
図9-2全 住 空 間 構 成 比 率 の 推 移(単 位 二%) に つ い て み て お き た い 。 3.1モ ヤ 主 体 空 間 の減 少 内容 1階 に モ ヤ が 占め る割 合 は 、 近 代72.5%、 戦 後 の現 代65,2%、 新 ・山村 住 居42 .9%と 減少傾 向 に あ る。 近 代 と新 ・山村 住 居 で は約30%の 差 が 存在 す る。 これ は か な り大 き な差 とい わ ね ば な ら な い 。 モ ヤ は 家 屋 の 中心 部 を 占め る た め 居 室 が ウエ イ トを もつ が 、 こ れ の モ ヤ に 占め る 比 率 は 近 代 84.7%、 戦 後 の 現 代74.2%、 新 ・山村 住 居59.2%と や は り減 少 傾 向 に あ る。 約25%の 減 で あ る。 大 き く減 少 して い る の は居 室 で あ る。 次 に 増加 傾 向 に あ る もの を み る と、 台所 と通 路 で あ る。 台 所 は近 代1.2%、 戦 後 の 現 代3 .4%、 新 ・山 村 住 居12.1%と な り、近 代 よ り約10%増 加 して い る。次 に通 路 は 近 代7,1%、 戦 後 の 現 代9 .2 %、 新 ・山村 住 居19.5%で 、 近 代 よ り10%強 の 増 加 で あ る。 台 所 と通 路 を合 せ る と20%強 の 増 加 とな る。 以 上 の 台所 、 通 路 以 外 の 部 分 は大 同小 異 で あ る。 以 上 よ り、1階 の 中 心 を な す モヤ 部 分 の 変 化 は 、全 体 と して 減 少 して い るが 居 室 関 係 も これ に 同 調 して減 少 して い る。 しか し、台 所 と通 路 はむ し ろ増 加 して い る。 か つ て 台 所 は 家 屋 周辺 に 配 一97一
置 さ れ て い た が 、 い まや 家 屋 中心 部 に ま で 参 入 し て きた 。 また 、 近 代 に は 通 路(ロ ー カ 、 階 段) は あ ま りなか っ た が 、 新 ・山 村 住 居 で は 中心 部 に通 路 が と られ る よ うに な って い る。 これ も大 き な変 化 で あ る 。 3.2前 面 サ シ カ ケ の 増 大 内 容 1階 に 前 面 サ シ カ ケ が 占 め る 割 合 は 、 近 代122%、 戦 後 の 現 代11.0%、 新 ・山 村 住 居20.8%と や や 増 加 傾 向 に あ る 。 そ の 内 容 を サ シ カ ケ に 占 め る 比 率 で み る と 、 居 室 が 近 代8.7%、 戦 後 の 現 代7.8%、 新 ・山 村 住 居33.9%と な り、 戦 後 の 現 代 ま で は 低 率 で あ る が 、新 ・山 村 住 居 で は か な り の 増 加 を 示 し て い る 。 従 来 、 家 屋 前 面 の サ シ カ ケ 部 分 は 、S系 空 間 に 使 用 さ れ て い た が 、 新 し い 傾 向 と し て は こ の 部 分 の 居 室 化 が あ げ ら れ る 。 ま た 、 台 所 も5.2%、15.9%、11.7%と 増 加 の 傾 向 に あ り、従 来 の 台 所 位 置 は そ の ま ま と し、 こ れ の 拡 充 が 計 ら れ て い る 。 そ の 他 、 サ ニ タ リー 関 係(フ ロ 、 脱 衣 場 、 洗 タ ク場)も や や 増 加 傾 向 に あ り、 近 代5.4%、 戦 後 の 現 代16.6%、 新 ・山 村 住 居12.7%と な っ て い る 。 3.3背 面 ツ ケ タ シ の 変 化 内 容 1階 に 占 め る 背 面 ツ ケ タ シ の 割 合 は 近 代5.8%、 戦 後 の 現 代5.5%、 新 ・山 村 住 居9.2%で あ ま り 変 化 が な い が 、 そ れ は 面 積 的 に み た 場 合 の こ と で あ り、 内 容 的 に は か な りの 異 動 が あ る 。 近 代 、 戦 後 の 現 代 、 新 ・山 村 住 居 の 順 に み る と 次 の よ う で あ る 。 仏 壇 入 は44.1%、39.3%、13.0%と 減 少 し て い る が 、 こ れ に 反 し て 床 の 間(床 脇 ・棚 を 含 む) は2.0%、2.8%、11.2%と 増 加 して い る 。 本 来 、 背 面 ツ ケ タ シ 部 分 は 仏 壇 を 入 れ る た め の ブ ツ ダ ン ダ シ と し て 発 達 し た も の で あ る が 、新 し い 傾 向 と し て は 床 の 間 が こ れ に と っ て 代 っ て い る こ と で あ る 。 そ の 他 、台 所 は0.0%、1.4%、8.0%と 増 加 傾 向 に あ り、 旧 来 背 面 に な か っ た 台 所 も こ の 部 分 に と られ る よ う に な っ て い る 。 こ れ に 反 し て 収 納(押 入)は22.5%、43.1%、12.9%と 減 少 傾 向 に あ る 。 収 納 は2階 の 個 室 化 に と も な っ て 、 そ ち ら に 移 動 し た も の と み ら れ る 。 戦 後 の 現 代 が43.1 %と 高 比 率 な の は 、 過 去 の 押 入 不 足 を こ の 部 分 で 補 っ て い る か ら で あ る 。 3.4側 面 ツ ケ タ シの 増 大 内 容 1階 に 占め る 側 面 ツ ケ タ シ の 割 合 は、 近 代9.5%、 戦 後 の現 代18.3%、 新 ・山 村 住 居27.1%と 増 加 して い る。 なお 、側 面 ツ ケ タ シ は左 右 両 側 に あ るが 、両 者 は対 称 的 で あ るの で 両 方 を合 せ た 側 面 ツ ケ タ シ と して い る。 側 面 ツ ケ タ シ は、エ ンの 発 達 と と もに 普 及 した もの で あ るが 、 そ の た め に こ の部 分 の 内容 は 近 一98一
代 に お い て は ほ とん ど100.0%が エ ン で あ っ た が 、そ の 後36,0%、22.4%と か な り大 き く減 少 し て い る 。 エ ン の 防 雪 緩 衝 的 機 能 が 、 ア ル ミサ ッ シ の ガ ラ ス 戸 、 ガ ラ ス 窓 な ど の 水 密 性 に と っ て か わ ら れ た こ と、 ま た 、 側 面 ツ ケ タ シ 部 分 の 居 室 化 、 サ ニ タ リー(便 所 、 フ ロ 、 脱 衣 、 洗 タ ク 場)の 設 置 等 が エ ン の 減 少 を も た ら し て い る 。 ち な み に 、 居 室 は0.0%、13.7%、25.8%と か な り増 加 し て お り 、 ま た 、 上 記 の サ ニ タ リー は 、 0.0%、4.6%、14.3%と 増 加 傾 向 に あ る 。 か つ て 家 屋 側 面 の 開 放 性 を 求 め て 明 り障 子 と 雨 戸 を 入 れ 、 そ の 外 に 雨 雪 に 対 す る 緩 衝 帯 と し て エ ン を 設 け た の で あ っ た が 、 い ま そ の エ ン は22.4%に 低 下 し 、 そ れ に 替 っ て 居 室 、 サ ニ タ リー 等 が 配 置 さ れ る に い た っ た 。 3.51階 全 空 間 の 増 減 内 容 以 上 、 モ ヤ 、 サ シ カ ケ 、 ツ ケ タ シ(主 体 空 間 と付 加 空 間)の 変 化 内 容 に つ い て み て き た が 、 本 項 で は そ れ ら を 合 せ た1階 全 空 間 に つ い て の 増 減 内 容 を み て お く。生 活 の 大 半 が1階 で お こ な わ れ る 点 か ら み て 、 こ の 変 化 は 住 空 間 史 に と っ て も 重 要 な 内 容 を も っ て い よ う 。 ま ず 、1階 床 面 積 は 近 代24.8坪 、 戦 後 の 現 代24.9坪 、 新 ・山 村 住 居28.0坪 と推 移 し て き た 。 近 代 と 戦 後 は ほ と ん ど 等 し い が 、 新 ・山 村 住 居 で や や 増 加 し 、1階 の ウ エ イ トが す こ し高 ま っ て い る 。 し か し、 そ れ も大 き な 差 で は な く3坪 程 度 で あ る(表9-2)。 改 造 ・山 村 住 居 が31.4坪 と大 き い の は 、 近 代 ・山 村 住 居 に 増 築 を お こ な っ て い る た め で あ る 。 以 上 の よ う に 、各 時 期 と も1階 床 面 積 に 大 差 は な い の で 、 各 部 の 構 成 比 率 は 時 期 を 通 し て 比 較 し う る 。 ま ず 、R居 室 は63.5%、54.6%、51.1%、43.5%と 低 下 し て い る 。B.仏 壇 入 は 減 少 し て い る が 、 反 面T.床 の 間 が 増 加 し 、 新 ・山 村 住 居 で はL8%の 同 率 に な っ て い る 。 結 局 、L系 空 間 は 居 室 の 減 少 に 影 響 さ れ67.5%、58.0%、54.2%、47.0%と 低 率 化 し て い っ て い る 。 次 にS系 空 間 に お い て は 、G.玄 関 は や や 減 少 、K.台 所 は1.5%、6.6%、7.6%、13.7%と か な り大 き く増 加 し て い る 。Eエ ン は や や 減 少 、S通 路(ロ ー カ 、 階 段)は7,6%、6.9%、8.0%、13.1 %と か な り大 き く増 加 し て い る 。C.収 納(押 入 、 物 置)は 現 代 ・山 村 住 居 で や や 高 率 で あ る が 、 大 同 小 異 で あ る 。 最 後 に 、 サ ニ タ リー(W便 所 、F,フ ロ 、D,脱 衣 ・洗 面 ・手 洗 、0.洗 場)は2.7 %、5.4%、5.8%、8.9%と や や 増 加 で あ る 。 近 代 ・山 村 住 居 か ら 新 ・山 村 住 居 ま で の1階 全 空 間 の 内 容 変 化 は 、L系 空 間 と く に 居 室 部 分 の 縮 少 、 そ れ に 替 わ る か た ち でS系 空 間 と くに 台 所 ・通 路 部 分 の 拡 充 が 特 色 で あ っ た 。 そ の 結 果 、 新 ・山 村 住 居 に お け るL系 空 間 とS系 空 間 の 比 率 は47.0%、53.0%と な り、L系 、S系 が ほ ぼ 折 半 す る か た ち と な っ て い る 。 3.62階 全 空 間 の 増 減 内 容 2階 住 空 間 は 近 代 の19.6坪 か ら 現 代 の17.6坪 、新 ・山 村 住 居 の12.0坪 とか な り減 少 し て い る が 、 一99一
表9-2 1階 住 空間の時期別構成 比率 (単位:%) 時 期 1 階 床 面 積 ㈱ L 系 空 間 計 L系 空 間 S 系 空 間 計 S系 空 間 R. 居 室 B. 仏 壇 入 T. 床 の 間 G. 玄 関 K. 台 所 E. エ ン S, 通 路 C. 収 納 I w 便 所 F, フ ロ D, 脱 衣 0. 洗 場 近 代 ・山 村 住 居 24.8 67.5 63.5 3.7 0.3 32.5 6.2 1.5 10.5 7.6 4.0 1.7 0.31 0.3 0.5 サ ニ タ リ ー2.7 改 造 ・山 村 住 居 31.4 58.0 54.6 3.1 0.3 42.0 6.8 6.6 8.3 6.9 8.1 2.41・.41・.61L・ サ ニ タ リ ー5.4 現 代 ・山 村 住 居 24.9 54.2 51.1 2.5 0.6 45.8 5.1 7.6 8.3 8.0 11.0 2・41・ ・611・ ・1・ ・6 サ ニ タ リ ー5.8 新 ・山 村 住 居 28.0 47.0 43.5 1.8 1.8 53.0 42 13.7 7.8 13.1 5.2 2・413・ ・12・gl・ ・6 サ ニ タ リ ー8.9 各 部 の増 減 もか な り大 き い。 ま ず 、L系 空 間 につ い て み る と、近 代 の2階 は ほ とん どす べ て が ア マ に使 用 さ れ て い た 関係 で L系 空 間 は な い 。 しか し、 時 期 が進 む につ れ て 改 造 で は22.2%、 戦 後 の現 代 で は40.3%、 新 ・山 村 住 居 で は70.6%と 激 増 して い る。 その 理 由 は 、 い う まで もな く居 室 の 増 加 に よ る もの で あ り、 近 代 に お いて は ほ ぼ 皆 無 で あ っ た2階 の 居 室 も時期 が 進 む に つ れ て21,9%、39.5%、69.2%と 激 増 して い る。 そ れ に と もな っ て 、 居 室 に付 属 す る床 の 間 も微 増 して い る。 他 方 、S系 空 間 に つ い て み る と逆 に 激減 して い る。近 代 にほ ぼ100.0%で あ っ たS系 空 間 は 、そ の後77.8%、59.7%、29.4%と 極 端 に減 少 して い る。 そ の理 由 は 、す で に あ き らか な よ うにア マ の 消 滅 で あ る。2階 の 居 室 化 に つ れ て 、 これ に付 随 す る通 路 や 収 納 部 分 が や や 増 加 して い るが 、 割 合 と して は大 き い もの で は な い 。 以 上 の よ うに 、2階 住 空 間 内容 の 大 き な変 化 は ア マ の消 滅 と こ れ に とっ て 替 る居 室 の 増 加 で あ る。 4.室 空 間 の 変 容 前 節 で は 主 と して 住 空 間 の 量 的 側 面 につ い て み た が 、本 節 で は そ の 内容 を なす 室 空 間 に つ い て 述 べ る。 住 空 間 内 の 室 構 成 、 室 機 能 等 に 関 す る観 点 で あ る。 41ヒ ロ マ 系 空 間 の 分 割 と 流 動 化 か つ て オ ミ ヤ と よ ば れ た ヒ ロ マ は 、K2(火 ま わ り台 所)、D(食 事)、L(慰 楽)、R(接 客)、E 一100一
表9-3 2階 住空 間の時期別構成比 率 (単位:%) 時 期 一 2 階 床 面 積 囲 L 系 空 間 計 L系 空間 S 系 空 間 計 S系 空 間 R. 居 室 IB . 仏 壇 入 T. 床 の 間 E. エ ン S. 通 路 C. 収 納 A. ア マ 近 代 ・山 村 住 居 19.6 一 一 一 一 100.0 一. 一 一 100.0 改 造 ・山 村 住 居 一 23.2 22.2 21.9 一 0.2 77.8 10.2 4.8 19.8 53.0 現 代 ・山 村 住 居 17.6 40.3 39.5 0.1 0.7 59.710 .5 6.8 10.9 41.5 新 ・山 村 住 居 12.0 70.6 69.2 一 1.4 29.4 0.5 14.5 14.4 一 (作業)な どの機 能 を もっ て い たが 、 戦 後 の 現 代 に な る と、K、(水 ま わ り台所)とK、 が 一 体 化 し て 今 日的 なK(台 所)に な り、 生 産 形 態 の 変 化 か らE機 能 は 次 第 に衰 退 した。 そ の た め 、 ヒ ロマ の 変 容 過 程 はK、D、L、Rの4機 能 の 空 間 的位 置 関 係 とな る。 前 節 の戦 後 の 現 代 ・山 村 住 居 で は 次 の よ うに な っ て い た。 K・DLR K・DL・R K・D・LR K・D・L・R KD・LR KD・L・R (38.5%) (25.0%) (19.2%) (5.8%) (7.7%) (3.8%) 戸 数 比 Kタ イプ(88.5%) 戸 数 比
}
KDタ イ プ(11.5%) 全 体 と して は 、Kタ イ プ が 圧 倒 的 に 多 く、KD(ダ イ ニ ン グ ・キ ッ チ ン)タ イ プ は1割 程 度 で あ っ た。ま た 、い う まで も な くD.LRを そ れ ぞ れ1室 もつ の は大 型 住 居 で あ り、小 型住居 ではDLR の よ うに1室 複 合 機 能(時 間 的 に は あ る程 度 分 離 され るが)で あ る。 か つ て1室 で あ っ た ヒ ロマ も現 代 に 入 る と2∼4室 に分 割 さ れ た 。 本 論 で は こ れ を ヒ ロマ の分 割 と称 し た。 さ て 、 新 ・山村 住 居 に つ い て み る と、 この分 割 さ れ た ヒロ マ(ヒ ロ マ 系 室 空 間)の 様 相 が ま た か な り変 化 して きて い る。本 項 は そ の変 化 内容 を あ き らか にす る こ とで あ る が 、 まず 最 初 に以 上 のKD.L.Rの う ちKは 戦 後 の 現 代 と大 き な変 化 は な い が 、D.Lは 他 の 室B(ブ ツ マ)やZ(ザ シ キ)と 一体 的 に使 用 さ れ る場 合 もあ り、 室 機 能 の 流 動 化 が 現 象 して い る。 ま た、Rに つ い て は 洋 室 が 急 増 して い る。 こ う して み る と、 ヒ ロ マ 系 室 空 間(KD.LR)は 、 新 ・山村 住 居 で はKD .L. B.Zを 対 象 に考 え ね ば な らな くな っ て い る。 さ しづ めK(台 所)か らみ て い こ う。 K、とK2が 合 体 して成 立 したKは 戦 後 の 現 代 で は 平 均5.1畳 と な っ て い る。 こ れ.は2畳 程 度 の 一101一Kか ら8畳 程 度 の 大 型 のKに ま た が って い るか らで あ るが 、 新 ・山村 住 居 に お い て は 、 平 均7.7 畳 と大 型 化 して い る。これ は 旧来 の2∼3畳 程 度 の 小 型 のKが 減 少 し、8畳 程 度 の 大 型 のKが 増 加 して い る か らで あ る。 この 場 合 、Kの 大 型 化 が ス トレー トに ダ イ ニ ン グ ・キ ッチ ンへ の 移 行 とは い え な い 。 電 気 冷 蔵 庫 や ス テ ン レス 流 し台 、 そ の他 台所 の 電 化 製 品や 食 器 棚 な どの現 代 的 な 台所 用 品 ・家 具 類 の 設 置 がKス ペ ー ス の 拡 大 を促 した の で あ る。 もっ と も、Kに お け る 食事 が 皆 無 とい うわ けで は な い 。 しか し、そ れ は い わ ば 臨 時 的 に お こ な わ れ る 食事 で 、本 来 的 に は和 室 の 座 卓 で お こ な わ れ る。そ の た めDは ほ とん ど和 室 で あ り、同 時 にLを か ね る場 合 も多 い。 次 にD.Lで あ る が 、 こ れ に は2つ の タ イ プ が あ り、①DLを1室 とす る もの(DL独 立 タ イ プ) と、 ② ブ ツマ か ザ シ キ と次 の 間 の2室 をDLと す る もの(DL兼 用 タ イプ)が あ る。 ① のDL独 立 タ イ プ は 、102例 中64例(62.7%)で 、 ② のDL兼 用 タ イプ は 、102例 中38例(37.3%)で あ る。 DL独 立 タ イ プ は 大 型 、 中 型 に、DL兼 用 タ イ プ は小 型 の住 居 に 多 い 。 4.2ブ ツ マ の ザ シ キ化 戦 後 の 現 代 住 宅 ま で は 室 機 能 が か な り単 一 で 、機 能 と室 が 比 較 的1対1に 対 応 し て い た 。 しか し、 新 ・山村 住 居 にお い て は か な り流 動 的 に な り、 上 に 述 べ た よ うに 、D工.BZの 兼 用 化 が 進 ん で い る。 こ れ はB.Zの よ うな 古 い 内容 を もつ 室 を温 存 し な が ら も現 代 的 なD.Lを 確 保 しな け れ ば な らな い と い う住 様 式 の 結 果 で あ る。論 をす す め るに あ た って 、あ らか じめB.ブ ツマ とZ,ザ シ キ につ い て み て お こ う。 1日来 、ブ ツ マ は ほ とん どの 家 に 設 け られ て い た。新 ・山村 住 居 にお い て は102例 中98例(96.1%) が ブ ツ マ を もち 、 この 高 率 は 旧来 と同 じで あ る。 次 にザ シ キ は102例 中92例(90.2%)で あ る 。 旧 来 、 当 山村 で は 床 の 間 の あ るザ シ キ は ひ じ ょ うに 低 率 で あ っ た が 、新 ・山村 住 居 に お い て 急 激 に 高 率 化 して い る。 こ れ も里 方 の影 響 とい え よ う。 た だ し、 こ の 場 合 のザ シキ はブ ツ マ と兼 用 さ れ る場 合 も 多 く、B.Zあ るい はDLの 組 合 せ を 図示 す る と、 図9-3の よ うで あ る。 図 に よ っ て 明 らか な よ うに、大 半 の ブ ツ マ は 床 の 間 を併 設 し ブ ツ マ の ザ シ キ化 が お こ な わ れ て い る。 旧来 の よ うに ブ ツ マ の み を独 立 させ て い る もの は、102例 中15例(14,7%)で 、 ブ ツマ とザ シ キ を兼 用 す る もの は102例 中85例(83.3%)、 ザ シ キ の み を独 立 させ て い る もの は102例 中14例 (13.7%)で あ る。 す な わ ち、 旧来 の ブ ツマ に ザ シ キ の 性 格 を も付 与 した兼 用 型 が8割 強 に達 し て い る とい う こ とで あ る。 43続 き間 の 導 入 と流 用 性 ザ シキ の 急 激 な 増 加 と同 時 に、 い まひ とつ の新 しい傾 向 は続 き間 の 導 入 で あ る。続 き間 は本 来 一102一
ブ ツ マ 、 ザ シ キ、 次 の 間 の 兼 用 ・流 用 性 に 関 す るパ タ ー ン 図9-3 続 き 間 型(新 規型) 型(伝 統 型) 室 単 ザ シ キ続 き間8 . タイプ 7.続 き間 流用 タイ プ 棟 プ シ イ げ 彫
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4.ザ シ キ ・タ イプ 3.プ ツマ ・ザ シ キ並列 タ イプ プ ツマ ・ザ シキ2 .兼用 タイ プ 1.ブ ツ マ ・タ イ プ 戸 敷 . 計 % 型 ・ タ イ プ 図 示 13(100.0) 一(一) 7(53.8) 一(一) 一(一) 一(一) 1(7.7) 5(38.5) 一(一) 1 34(100.0) 一(一) 18(52.9) 一(一) 一(一) 一(一) 2(5.9) 14(41.2) 一(一) I I 17(100.0) 一(一) 7(41.2) 一(一) 一(一) 一(一) 2(ll.8) 8(47.1) 一(一) m 21(100.0) 一(一) 2(9.5) 1(4.8) 一(一) 一(一) 4(19.0) 12(57.1) 2(9.5) IV 12(100.0) 一(一) 4(33.3) 3(25.0) 一(一) 1(8.3) 3(25.0) 1(8.3) 一(一) V 4(100.0) 1(25.0) 一(一) 2(50.0) 1(25.0) 一(一) 一(一) 一(一) 一(一) 1(100.0) 一(一) 一(一) 1(100.0) 一(一) 一(一) 一(一) 一(一) 一(一) VII 1(1.0) 38(37.3) 7(6.9) 1(1.0) 1(1.0) 12(ll.8) 40(39,2) 2(2.0) 102(100.0) 続 き 間 型47(46.1) 単 室 型55(53.9) 戸 数 ・ 計 θ8 H O ω ー武 家 住 居 の ザ シキ 、 次 の 間 の構 成 に 由来 す る室 構 成 の 手 法 で あ る が 、 新 ・山村 住 居 で は この 手 法 が か な り と1)入 れ られ て い る。 続 き間 を もつ 住 居 は102例 中47例(46.1%)を 占め 、約 半 数 が 続 き 間 型 で あ る。武 家 住 居 の 流 れ を くむ 続 き間 の 手 法 が 導 入 され た の も、や は り里 方 の 影 響 で あ ろ う が 、 そ の 時期 は 実 に昭 和50年 代 の 当 初 で あ る。 続 き間 の 様相 は 図 に示 す よ うに 、4種 類 あ り、① ブ ツマ に 次 の 間 を付 属 させ た もの(5.ブ ツ マ 続 き間 タイ プ)、 ② ザ シ キ を兼 用 した ブ ツ マ に次 の 間 を連 結 した もの(6.ブ ツ マ ・ザ シ キ兼 用 続 き 間 タ イ プ)、 ③ これ と同様 で あ る がKに 隣 接 しD.Lと して も使 用 され る もの(7.続 き間 流 用 タ イ プ)、 最 後 に④ ザ シ キ と次 の 間 の 構 成 を とる もの(8.ザ シ キ続 き間 タ イ プ)で あ る。 こ れ らの うち③ 続 き 間流 用 タ イプ は 、旧 来 の ブ ツ マ をザ シ キ化 し、 さ ら に こ れ に現 代 的 なD.L の機 能 を も受 け もたせ る とい う盛 り沢 山 の 使 い方 で 、小 型 な い し 中型 の 住 居 に 多 くみ られ る もの で あ り、 約4割(37.3%)が こ の タ イプ で あ る。 この よ うな使 い方 をみ て い る と、 近世 以 来 の伝 統 的 な続 き間 と現 代 的 なD.Lが 同 時 に 導 入 され て い る こ とが わ か る。換 言 す れ ば 、近世 武 家 住 居 の 続 き間 の導 入 が 現 代 まで もち越 され たか た ち と な っ て い る。 こ の 多 機 能 な 室 の 使 い 方 が 、 日・ 週 ・月 ・季 節 ・年 等 の 周期 で 時 間 的 に使 い分 け られ て い る こ とは い う ま で も な い 。 最 後 に1例 の み で あ るが 、ザ シ キ 続 き間 タ イ プ が あ り、 これ こ そ近 世 武 家 住 居 にみ られ る続 き 間 で あ り、こ れ はVIラ ン クの 大 型 住 居 にみ られ る もの で あ る。 この 正 統 な続 き間 が ブ ツ マ に適 用 さ れ た もの が 、や は り1例 の み の ブ ツ マ 続 き間 タ イ プ で や は りVIラ ン クの 大 型 住 居 に み られ る も の で あ る 4.4客 室 の 前 面 隔 離 と洋 風 化 以 上 に よ っ て 、KD.LB.Zに つ い て 述 べ た の で 次 にR(客 室)に つ い て み る。 旧来 、 接 客 は ヒ ロマ の ジ ロ端 で 行 わ れ て い た が 、戦 後 の 現 代 で は ヒ ロ マ の 分 割 に と もな っ てDL.Lあ る い はRで 行 わ れ る よ う に な っ た 。 しか し、 そ れ らは ほ とん ど和 室 で あ り、 フ ス マ や 板 戸 で 仕 切 られ るの み の 連 続 性 あ る室 で あ っ た。 こ の よ う な経 緯 をた ど っ て き たRも 、 新 ・山村 住 居 に お い て は ま た新 た な傾 向 を示 して い る。 きわ だ っ た特 徴 は 、 家 屋 前 面 へ の 隔 離 的 配 置 と洋 室 化 の2つ で あ る。 まず 前 面 へ の 隔離 配 置 に つ いて み る と、玄 関横 に客 室 を配 置 しロ ー カ、 階 段 、 押 入 等 で 他 の 室 と隔離 す るRは 、102例 中64例(62.7%)で あ る。6割 強 が 客 室 の 前 面 配 置 で あ る。 客 室 の 前 面 配 置 は 玄 関 ホー ル か らの接 近 性 が よ く、客 の 動 線 処 理 が 容 易 で あ る こ と、 ま た ロー カ 、階 段 、押 入 等 に よ る空 間 的 隔 離 に つ い て は他 の 連 続 的 な 室 とは 異 な っ た新 しい 室 空 間 へ の 志 向 が つ よ く 働 い て い る。 こ う した新 し い室 空 間 へ の 志 向 は 、 す な わ ち洋 室 で あ り、 イ ス座 で あ り、 さ ら に モ ダ ン な イ ン テ リア ・デ ザ イ ン で あ る。 旧 来 の 山村 住 居 に は な か っ た新 鮮 さへ の 志 向 とい って も よい 。 前 面 に 配 置 され る客 室64例 の うち実 に42例(65.6%)が 洋 室 で あ る。 新 ・山村 住 居 にお い て は 新 た な 洋 一104一
風 の客 室 が 多 くつ くられ て い る。 これ も里 方(都 市 お よび その 周 辺 の 新 興 住 宅 地)の 影 響 で あ ろ う。 4.5ネ マ の 個 室 化 と洋 風 化 か つ て ネ マ と し て は ブ ツ マ 横 に3畳 程 度 の 小 間 が と ら れ て い た だ け で あ っ た 。 し か し、 そ の 後 ネ マ も拡 大 の 傾 向 を た ど り、 戦 後 の 現 代 に は2階 に 数 室 の ネ マ を と る よ う に な っ た 。 新 ・山 村 住 居 に お い て は こ の 傾 向 を さ ら に 発 展 さ せ た も の に な っ て い る 。 ま ず1階 の ネ マ 数 を み る と、平 均0.5室 と な りネ マ の な い 住 居 も 多 い 。1階 はD.L.B.Z.Rな ど 家 族 室 、客 室 な ど を と る か ら小 型 住 居 で は ネ マ を と る余 裕 が な く、 中 型 か ら 大 型 住 居 で は1室 な い し2室 を ネ マ とす る こ と が で き る 。 他 方 、2階 の ネ マ 数 を み る と 、平 均2.6室 と な り2∼3室 が ネ マ と さ れ て い る こ とが わ か る 。先 の1階 ネ マ 数0.5室 と合 せ る と 、1住 居 の 平 均 ネ マ 数 は3.1室 と な り、 約3室 が ネ マ と さ れ て い る こ と が わ か る 。 ま た 、 こ の ネ マ の 現 代 的 特 色 と し て 洋 風 化 の 傾 向 が あ げ ら れ る 。1階 の ネ マ は す べ て 和 室 で あ る が 、2階 の ネ マ 全261室 の う ち 洋 室 は63室(24 .1%)、 戸 数 比 に し て102例 中55例 (53.9%)と な り、 こ れ は 大 半 が 子 供 室 で あ る 。 寝 る だ け の ネ マ か ら 個 室 的 な ネ マ へ の 移 行 も 注 目 さ れ ね ば な ら な い 。 い ま ひ とつ 付 け 加 え て お き た い の は 、2階 の ネ マ に床 の 間 を設 け る例 が み ら れ る こ とで あ る。 2階 ネ マ に 床 の 間 を もつ も の は 、102例 中32例(31.4%)で2階 ネ マ の ザ シ キ 化 も ひ とつ の 傾 向 で あ る 。 市 中 の 町 家 で は 、 近 代 以 降 の 新 築 、 改 造 に 際 し て2階 に ネ マ を 兼 ね た 床 の 間 つ きの ザ シ キ を と る も の も 多 く、 新 ・山 村 住 居 も類 似 の 傾 向 を 示 し て い る 点 興 味 深 い も の が あ る 。 4.6室 数 ・室 規 模 の 階 層 性 以上 、 各 室 の用 途 、 組 合 せ 方 、 使 い 方 等 につ い て み て きた が 、 本 項 で は そ れ らの 室 の 数 ・規模 につ い て の 階 層 性 をみ て お き た い。階 層 性 の 判 定 は 、先 に もお こ な っ た と同様 に 間 口相 当 長 さ(2 階 間 口長 さ)と の相 関 度 に よ る。 ま ず 、 相 関 度 の 結 果 を表9-4に 示 す 。 表 に よ って あ き らか な よ う に、ほ とん どが きわ め て 強 い正 の相 関 性 を示 して い る。す な わ ち 階 層 的 で あ るが 、 階 層 性 を示 さ な い もの もあ る。 そ れ ら を順 に み て い く と、 ま ずDLは 室 数 は正 の 相 関 で あ るが 、室 規 模 は 相 関性 を示 さ ず平 均7.5畳 の 規 模 で あ る 。す な わ ち、DLに 関 して は室 規 模 よ り室 数 に 階 層 性 が 現 わ れ る。 この傾 向 は次 のBZに も現 わ れ て い る。食事 室 ・居 間や ブ ツマ ・ ザ シ キ は 室数 で は 階 層 的 で あ るが 、 室 規 模 は通 階 層 的 で あ る。 次 にDLBZは つ よ い相 関 を示 す が 負 の 値 を と る。 す な わ ち、 食事 室 ・居 間 ・ブ ツ マ ・ザ シキ が 一体 的 に使 用 され る 室 は 、低 階 層 に 多 い が上 階 層 に な る ほ ど な くな る こ と を示 して い る。最 後 に Rは 室 数 の相 関 度 は ゼ ロ で あ る。 す な わ ち 、客 室 は通 階 層 的 に設 け られ る こ と を意 味 し、室規模 一105 一
表9-4 室数、室規模 の相関度
部 分 室 数 平 均幌1 艶規瑛 平均(畳)
DL D.7呂25 0.7 0.1897 7.5
BZ o、曾甜o o.9 o』 島44 7.3
DLE露 一 〇.昌言72 o.7 一 〇、75鮒 7.3
R o』 o.? o.72臼4 6.7
N O,612` o.5 o.99珍5 住o
1階 o、"呂a7 3器 o.呂嘔49 7.0 2階 佃』524 2.伍 07茸6B 嘔,5 全 o.鱈 ⑰7 6.O {L7呂45 5.呂 は階 層 的 で あ る。 以上 の よ うに.梱 開 度 が低 か っ た ロゼ ロ で あ る も の が 前 時代 に比 べ て 増 加 して い るの は 、そ れ ら が通 階 層 的 に一 般 化 し普 及 しつ つ あ る こ と を示 して い るの で あ り、 新 ・山村 住 居 の新 た な傾 向 と考 え ね ば な ちな い。 なお 、1階.2階 、 それ らを 合 せ た 全 体 は 室 数 、室 規模 と もに 砦 わめ て っ よ い正 の相 関.す な わ ち つ よい 階 層 性 を示 し て い る。 〔付 図)以 上 を も っ て 白 山 ・山村 住 屠 の 史 的 展 開 過 程 に 関 す る鵬 考 を終 え る。 古 代 的 性 格 を もつ 萌 芽 期 か ら現 代 の新Lい 助 向 を示 す革 新 期 ま で を要約 し付 図 とす る。 一loε 一