障がい者・高齢者と築く社会参加支援:4.ろう者学教育コンテンツの開発 -高等教育機関における聴覚障害学生向けの教育的支援を支える-
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(2) 特集 障がい者・高齢者と築く社会参加支援. ろう者学と教育的支援. と捉えることの必要性について合意が形成されてき ている. 2),3). .つまり,聴覚障害学生は,手話通訳や. 世界保健機関は,2001 年に障害のある人間のさ. 要約筆記など授業における情報保障の対象として語. まざまな形による参加を受け入れる社会づくりが障. られる存在に終わらず,聴覚障害のある自分が生ま. 害者の健康を増進するという社会的視点を新たに導. れたときから受けてきた医療や教育について理解し,. 入した.この新しい「国際生活機能分類」の考え方. 社会の中で自分に与えられるポジションと役割を発. によれば,たとえば,ろう者は聴覚機能の障害を補. 見することが求められる.そして,情報保障の取組. 聴システム等で補償する生き方のみならず,視覚機. み自体に参加して,より効果的な方法を提案するな. 能を活かして幼少時からの手話言語習得を基盤にろ. ど,社会に出てから合理的配慮を受けるための基礎. う者特有の生活文化を享受する生き方もが健康的な. 的条件となる,社会参加の技術を身につけていくこ. 指向として認められることになろう.この考え方は. とが必要となる.このための教育的支援に必要なも. 2006 年発効の国際連合「障害者権利条約」でも明. のが,先に述べたろう者コミュニティの知識と経験. 文化されている.. であり,その集合知を体系化して教育に活用できる. 手話言語とろう者特有の生活文化はろう者のコミ. 4 ようにしたものがろう者学教育コンテンツである .. ュニティで共有されるものであり,日本では 1878 年 以来,主としてろう学校がろう者コミュニティの入 り口としての機能を果たしてきた.しかし,生徒数 の激減などを主な理由としてろう学校がその機能を 果たせなくなっている現在,手話言語とろう者の生 活文化を身につけていない学生が一般の高等教育機 関に進学しても,そのままろう者コミュニティの知. ). 参考文献 1)管野奈津美,大杉 豊,小林洋子,戸井有希:ろう者学教育 コンテンツの開発と共同利用の展望,筑波技術大学テクノレ ポート,Vol.22(1), pp.16-20(2014). 2)日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク事務局:第 10 回 日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム報告書,pp.1319, pp.41-49(2015). 3)金澤貴之:聴覚障害学生に対する支援体制構築における諸課題, 発達障害研究,33, pp.359-366(2010). 4)Web サイト : ろう者学教育コンテンツ開発プロジェクト. http://www.deafstudies.jp/. 識と経験を知ることなく卒業し,社会でさまざまな. (2015 年 2 月 20 日受付). 障壁にうまく対応できないという例が増加している. 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワークが毎 年開催しているシンポジウムにおいても,聴覚障害 学生が情報保障取組みに参加する中で主体性と社会 性を身につけていくプロセスを,聴覚障害学生のエ ンパワメントおよびキャリア面における教育的支援. 542. 情報処理 Vol.56 No.6 June 2015. 大杉 豊. [email protected]. 米国ロチェスター大学大学院言語学研究科博士号課程修了.現在 は筑波技術大学でろう者学関連科目の指導を担当し,手話言語学で は日本手話言語の通時的および共時的なデータベース(言語コーパ ス)の構築に取り組んでいる..
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