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最近のアメリカ金融政策の特色 : マネー・サプライの目標値設定とその意義(経済学特集)

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最 近 の ア メ リカ金 融 政 策 の 特 色

一 マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 目 標 値 設 定 と そ の 意 蔑 一 '

片   山  貞   雄

1  は   し  が   き   先 進 諸 国 に お け る近 年 の 金 融 政 策 の 特 質 は 一般 に マ ネ ー ・サ プ ライ重 視 の政 策 で あ る とい わ れ てい る。 こ こで 考 察 対 象 に す る ア メ リカは マ ネ ー ・サ プ ライ の 目標 値 を 設 定 して い る代 表 的 な 国 で あ り,そ れ が 各 国 に 及 ぼ す影 響 に は無 視 で き な い も のが あ る。   本 稿 の 主 た る 目的 は マネ ー ・サ プ ライ の 目標 値 設 定 以降 の ア メ リカ金 融 政 策        う が い わ ゆ るマ ネ ー ・サ プ ライ重 視 の金 融 政 策 で あ る のか,そ れ と も外 観 だ け そ うで あ るの か,ま た マ ネ ー ・サ プ ライ重 視 とす れ ば いか な る意 味 に おい てで あ る のか を 検 討 す る こ とで あ る。   そ のた めに 先 ず,金 融 政 策 の 運 営 に あ た って連 邦 準 備 の 考 え が どの よ うに変 化 して きた か,そ の 変 化 に対 す るマ ネ タ リズ ム の影 響 如 何 を考 察 す るた め に 目 標 値 設定 まで の経 緯 を たず ね(2節),次 に マ ネ ー ・サ プ ラ イ等 の 目標 値 設 定 の 方 法 に触 れ(3節),ま た そ れ らの実 績,い わ ゆ るパ ー フ ォ ーマ ンス を若 干検 討 す る(4節)。 さ らに,金 融 政 策 の 運 営 方 法 を考 察 し(5節),最 後 に,結 論 と 問 題 点(6節)を 述べ た い。       2  マ ネー ・サ プ ラ イ 目標 値 設 定 ま で の 経緯 ・       の 金 融 政 策 の 指標 や標 的 と して従 来 ア メ リカ に お い て重 視 され て きた の は フェ 1)  この 立 場 で ア メ リカの 金融 政 策 を 考 察 した も の と して,日 本 銀 行 調 査局 「最 近 に お   け る金 融 政 策 の運 営 に つ い て」 『調 査 月 報』  (昭和49年11月)が あ る。 2)両 者 の 区分 に関 して は,拙 稿 「金 融 政 策 の標 的 と指 標 に関 す る基 本 問題 」,『金 融 経   済 』155号(1975年12月),1-24ペ ー ジを見 よ。 実 際 には 同 じ金 融 変 数が 標 的 と指 標   に使 用 され て き たg

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デ ラ ル ・ フ ァ ソ ズ ・ レ ー ト(Federal  funds  rate:FFR)に 代 表 さ れ る(短 期)       ヨ 

金 融 市 場 変 数(金 融 市 場 状 態 〈money  market  conditions>と も 呼 ば れ る)で あ っ た 。 ・これ がM,やM2な'ど の マ ネ ー ・サ プ ラ イ に 代 表 さ れ る 貨 幣 集 計 量

(monetary  aggregates)セ こ移 行 し た の は1970年 代 に 入 っ て か ら で あ り,こ の 変       の

化 は 公 開 市 場 委 員 会(Federal  Open  Market  Committee:FOMC)の 定 例 会 議       の で 決 定 さ れ る 政 策 指 令(policy  directive)の 中 に 読 み と る こ と が で き る。 当 時, 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 理 事 で あ っ た ブ リ マ ー(A.F.  Brimmer)は1970年3月10       の 日のFOMCの 政 策 指 令 を 重 要 な 分 岐 点 と して い る。 つ ま り,1960年 代 後 半 に は但 し書(proviso  clause)の 形 式 で貨 幣集 計 量 に も注 意 が払 わ れ て きた と し て も,こ れ ま で重 視 され た のは 金 融 市 場 変数 で あ った。 と ころ が,3月 の政 策 指 令 は次 の よ うに,但 し書 形 式 で な く直 接 的 な形 式 で貨 幣集 計 量 を重 視 す る立 場 3)金 融 市 場 変 数 な い し 金 融 市 場 状 態 と は 次 の も の を 意 味 し た 。(1)FFR,(2)自 由 準 備   (超 過 準 備 マ イ ナ ス 連 銀 借 入),(3)大 蔵 省 手 形(3ヵ 月 物)金 利 。S.  J. Maisel,  Ma・

  naging  the  Dollar,1973,  p.53.

4)  い わ ば 述 邦 準 備 の 政 策 決 定 機 関 で あ り,連 邦 準 備 制 度 理 事 会 理 事(7人),ニ ュ ー

  ヨ ー ク 連 銀 総 裁 を 含 む 各 地 区 述 銀 総 裁(5人)よ り 構 成 さ れ る 。 以 上 は 投 票 権 を 行 使

  す る が,そ れ 以 外 の 連 銀 総 裁(7人)は 討 議 に 参 加 す る こ と が で き る 。 定 例 会 議 は28

  日 に1回 開 催 さ れ る 。

5)政 策 指 令 は3ヵ 月 後 に 公 表 さ れ,Federal  Reserve  Bulletinに 掲 載 さ れ る 。 ま た 一 括

  し てAnnual  Reportに も 収 録 。 一 年 間 の 政 策 指 令 の 要 点 を ま と め た も の がReview,

  Federal  Reserve  Bank  of  St. Louis,  Marchに も 掲 載 さ れ て い る 。

6)  A.F.  Brimmer,"The  Political  Economy  of  Money:Evo1ution  and  Impact  of

  Monetarism三n  the Federal  Reserve  System."APaper  Presented  at the 84th  Annual

  Meeting  of the  American  Economic  Association,  Dec・27・1971・PP・53-4・ な お,同

  報 告 は 圧 縮 さ れ た 形 で,同 じ 題 名 でAmerican  Economic  Review(Papers  and  Pro.

  ceedings)May  1972,  pp.344-52に 集 録 さ れ て い る 。 な お,  S. H.  Axilrod,"Monetary

  Aggregates  and  Money  Market  Conditions  in  Open  Market  Policy・"FRB・Feb・

  1971,PP.79-104(reprinted  in Board  of Governors  of the  Federal  Reserve  System,

  Open  Market  Policies  and  Operating  F「roぐθ42`rθ5-Staff  Studies,1971・PP・193-218)・

  OECD,'The  Role  of  Monetary  Policy  in  Demand  Management『The  Experience

  of  Six  Major  Countries,1975,  PP.53-6(重 原 久 美 訳 『金 融 政 策 と 景 気 調 整 一 主 要

  6力 国 の 国 際 比 較 』 昭 和51年,70-75ペ ー ジ),S.  J. Maisel,  Managing  the  Dollar,

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最 近 の ア メ リカ金 融 政 策 の 特 色   41 を 明 確 に し た 。 す な わ ち,     「… …FOMCは これ か らの 数 ヵ月間,マ ネ ー 〔・サ プ ライ〕 と銀 行 信 用 が節 度 を も   って 増 加 す る こ とを望 ん でい る。 当該 委 員 会 の 次 回 の会 議 まで連 邦 準 備 制度 公開 市 場 操       7)   作 は この 口的 と両 立す る 〔金 融 〕 市場 状 態 を 維 持す る 目的 を もっ て行 うもの とす る 。」   ケ イ ン ジ ア ン で あ る ブ リマ ー は 「1970年3月 に,FOMCの 中 で マ ネ タ リ ス       8) 的 色 彩 を 帯 び た 金 融 政 策 の 見 解 が 最 高 潮 に 達 し た 」 と い さ さ か 誇 張 し て 述 べ て い る 。 し か し,金 融 政 策 の 運 営 に お い て,金 利 と い う い わ ば 価 格 変 数 か ら マ ネ ー ・サ プ ラ イ と い う 量 的 変 数 へ の 重 点 の 移 行 が 直 線 的 に 進 行 し た わ け で は な く,両 者 が 共 に 重 視 さ れ る ば あ い も あ り,実 際 は プ ラ グ マ テ ィ ッ ク な 形 態 を と っ た 。 つ ま り,一 方 を 放 棄 し他 方 を と る と い う急 進 的 な 方 式 で は な く,重 点 の 置 き 方 を 変 え る と い うむ し ろ 折 衷 的 な 方 式 を と る の は い ず れ の 中 央 銀 行 に も共 通 す る と こ ろ で あ ろ う。   た し か に,時 の 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 議 長 バ ー ソ ズ(A.Burns)も1970月7月

の 議 会 の 合 同 経 済 委 員 会(Joint  Economic  Committee)で 次 の よ うに 発 言 し て い る 。     「連 邦 準 備が 多少 と も継 統 した ベ ース で貨 幣 集 計 量 の 増加 率 に一 定 の 目標 を 設 け る こ   とを 決 定 した よ うな 印 象 が一 般 に支 配 して い る よ うに見 え る。 これ は われ わ れ の意 図 を  読 み 違 え て い る。 わ れ わ れ は,国 民 が 通 貨 に関 す る規 則(monetary  rule)を 機械 的 に  適 用 す る こ とに よ って 利 益 を受 け る こ とはな い と信 じて い る。 われ わ れ は,大 き な,撹  乱 的 な,か つ 予 測 で きな い変 化 が 通 貨 や信 用 に 対 す.る需 要 に しば しば 起 こ る こ とを 知 っ  て い る。 中央 銀 行 の 重要 な機 能 の1つ は この よ うな短 期 の シ フ トが 金 融 ・資 本市 場 の 円 滑 な 機能 を妨 害 しな い よ うに す る こ とで あ る。 この分 野 にお け るわ れ わ れ の責 任 を 放 棄       9) す る意思 はな い … …,」 と。

7)  Board  of  Governors  of  the  Federal  Reserve  System,57th  Annual  Report:1970,

  1971,n.110.

8)A.F.  Brimmer,"The  Political  Economy  of  Money,"op.  cit・, P・53・ た だ し,彼

  は,「 こ の よ う な 方 向 へ の 移 行 は ま っ た く プ ラ グ マ テ ィ ッ ク な 方 式 で 行 わ れ た 」 と 述

  べ て い る 。 乃f4.  p.54.

g)  A.F.  Burns,"Statement  to  Congress,"before  the  Joint  Economic  Committee,

  July  1970,  reprinted  in FRB,  Aug.1970,  p.624.ブ リ マ ー も こ れ を 引 用 し,当 時 の 連

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  さ ら に1973年11月,バ ー ン ズ は 上 院 銀 行,住 宅,都 市 問 題 委 員 会(Senate Committee  on  Banking,  Housing,  and  Urban  Affairs)議 長 プ ロ キ シ マ イ ヤ ー       コの (W.Proximire)に 対 す る書 簡 の 中で も,連 邦 準 備 制 度 が 近年 マ ネ ー ・サ プ ラ イ の望 ま し い増 加 率 の達 成 を 重 視 して きた こ とを 認 め つ つ,プ ラ グマ テ ィ ッ ク な立 場 を と って い る。 そ の要 点 は 次 の とお りで あ る。(1)マネ ー ・サ プ ライ の成 長 率 を一 定 に維 持 す る方 式 は 経 済 安 定 に 対 す る金 融 の 積 極 的 な 役 割 を妨 げ る。 (2)経済 は 固有 の安 定 性 を 持 た ない 。(3)貨幣 の 流 通 速 度 は 安 定 して い な い 。(4)マ ネ ー ・サ プ ライ の重 視 と 同時 に 金 利 や 経 済 の 流 動 性,資 金 の 入 手 可 能性 に も注 意 を払 う。 ㈲ マ ネ ー ・サ プラ イ の一 定 ない し安 定 の 利 益 は 財 お よび サ ー ビス の 意 図せ ざ る シフ トに よっ て相 殺 され る。   以 上 の よ うに,金 融 政 策 の現 実 の担 当者 と し てバ ー ン ズは マネ タ リス トと異 な り経 済 の 安定 性 につ い て は楽 観 的 で な く,裁 量 的 な金 融 政 策 を 重 視 した の で あ る。 しか しな が ら,い わ ゆ る マ ネ ー ・サ プ ラ イ重 視 の方 向 は 大 勢 と して逆 転, す る こ とは な か った 。 そ の最 大 の理 由 は,1973年11月 の第1次 石 油 危 機 後 の 激 しい イ ン フ レー シ ョンで あ ろ う。 つ ま り,イ ン フ レが 激 化 す れ ば 名 目金 利 は 実 質 金利 と大 幅 に乖 離 す る。 しか も実 質 金 利 は名 目金 利 か らイ ン フ レ期 待 率 を 差 し引 い た もの で あ り,予 測が 困難 で あ る。 マ ネ タ リス トだ け で な く多 くの 経 済 学 者 が,そ の ば あ い 金利 を 金 融政 策 の 指 標 や 標 的 とす る こと に 異 論 を 唱 えた の も当 然 で あ ろ う。 しか し,連 邦 準 備 制 度 理 事 会 理 事 の ウ ォー リ ック(H.C. Wallich)は 「マ ネ ー ・サ プ ライ 標 的 を と る こ とは 金 融 政 策 の 波 及 過 程 に つ い         て 政 策 決 定 者 が 当然 彼 の見 解 を変 えた こと を意 味 す る も ので ない 」 と し,連 邦 準 備 が 波 及 機構 に つ い て マ ネ タ リス トの見 解 に傾 いた こ とを 否 定 す る。 こ の問 題 につ いて は6節 で さ らに 考 察 す る こ とに した い。

10)  A.F.  Burns,"Money  Supply  in the  Conduct  of  Monetary  Policy,"FRB,  Nov .

  1973,pp.791-8.

11)H.C.  Wallich,"lnovation  in  Monetary  Policy."Remarks  at  the  Meeting  of  the

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最近 の ア メ リカ金 融 政 策 の 特 色    43 3  マ ネ ー ・サ プ ラ イの 目標 値 設 定 の 方 法         ラ   1975年3月 の ア メ リ カ 合 衆 国 議 会 は 同 一 決 議(Concurrent  Resolution)に よ り,連 邦 準 備 制 度 理 事 会 が マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 目標 値 の 設 定 に つ い て 議 会 と 協 議 す る こ と を 要 求 し た 。 こ の 結 果,理 事 会 議 長 は4半 期 ご と に 議 会 で 長 期 の マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 目 標 値(先 行 き1年 間)を 報 告 す る こ と が 義 務 ず け られ た 。   こ こ で 連 邦 準 備 に よ る マ ネ ー ・サ プ ラ イ 等 の 目標 値 設 定 方 式 に つ い て 説 明 し よ う。   目標 値 は ヨ ー ロ ッ パ 方 式 と も い え る 単 一 の 目標 値 の 設 定 で は な く,一 定 の 幅 を もた せ た 値 域(range)で あ る 。(た だ し,イ ギ リス は1976年 目標 値 を 公 表 後       12)                    13)                       こ の値 域 方 式 に 変 更 した 。)さ らに,目ま もな く,ま た ドイ ツは最 近, 標 値 域 を長 期 と短 期 に つ い て設 定 す る。 これ は ヨ ー ロ ウパ 方 式 の 他 の1つ の特 色 で あ る 目標 値 の年 間 固定 方 式(た だ し,イ ギ リスは 最 近 これ を6ヵ 月 ご とに 見直 す         方 式 に 変 更 した)と も異 って い る。       18)        ヱの        の        の   長 期 の 目標 値 域 はM,,M2,  M,お よび銀 行信 用 につ い て1年 間 の値 域(変 11)上 下 両 院 で 採 択 さ れ た 「同 一 決 議 」は 大 統 領 の 署 名 を 必 要 と し な い 。た だ し,法 的 効   力 は な い 。 そ の 全 文 はFirst  Meeting  on the Conduct  of Monetary  Policy. Hearings   before  the Committee  on Bankig,  Housing,  and Urban  Affairs, United  States Senate   94th  Congress,1975,  p.3に 収 録 され て い る 。

12)拙 稿 「最 近 の イ ギ リ ス の 金 融 政 策 の 特 色 」 『彦 根 論 叢 』 第195・ 人 交 特 集 第40号 合 併     (昭 和54年3月),76-80ペ ー ジ 参 照 。

13)  Monthly  Report  of the Deutsche  Bundesbank,  Vol.31,  No.4.(April  1979)PP.5   -6を 見 よ。 14)前 掲 拙 稿,「 最 近 の イ ギ リ ス … … 」,79ペ ー ジ を 見 よ。 15)MF公 衆 保 有 現 金 通 貨+商 業 銀 行(外 銀 在 米 支 店 を 含 む)へ の 要 求 払 預 金(海 外   か ら の 連 銀 へ の 要 求 払 預 金 を 含 む)。 た だ し,連 銀 フ ロ ー ト,取 立 未 済 小 切 手 は 除 く。 16)M〕=M、+商 業 銀 行 へ の 定 期 預 金 ・貯 蓄 預 金 。 小 口 のCDは 含 む が,1口10万 ドル   以 上 の 大 口CDは 除 く 。 17)  M3=M汁 金 融 仲 介 機 関(貯 蓄 貸 付 組 合,相 互 貯 蓄 銀 行,信 用 組 合)へ の 預 金 。 18)銀 行 信 用=銀 行 貸 付+証 券 投 資 一 銀 行 間 貸 付 。 最 初 は,銀 行 信 用 プ ロキ シ ー(bank   Credit  proxy)が 使 用 さ れ た 。 こ の 計 数 は 連 銀 非 加 盟 銀 行 を 含 ま ず,最 近,非 加 盟 銀

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44 化 率,年 率 パ ー セ ン ト表 示)が 設 定 さ れ る が,4半 期 ご と に 見 直 さ れ る 。 一一 方,短 期 の 目標 値 域 はM,,Ma  よ びFFRに つ い て 設 定 さ れ,  M,  よ び       19) M2に つ い て は2ヵ 月(当 月 と来 月)問 の平 均 の形 式, FFRに つ い て は 今 月 の FOMCの 定 例 会 議 と来 月 の 会 議 の 間 の 週 平均 レー トで 毎 月設 定 され る。(短 期 の 目標 値 域 の設 定 は1974年1月 か ら実 施 され た 。)   この よ うな マ ネ ー ・サ プ ライ の長 期 の 目標 値 設 定 は,モ デル に よ る接 近 と判       20) 断 に よ る接 近,い わ ゆ る積 上 方 式 の両 者 の結 果 を 調 整 して 行 わ れ る。 つ ま り,       21) 前 者 で は,ネ オ ・ケ イ ソ ジ ア ソ ・モ デ ル で あ るFederal  Reserve-MITモ デ ル が   行 の ウ エ イ ト の 上 昇 等 の 理 由 で,全 銀 行 を 含 む 広 い 概 念 の 銀 行 信 用 に 変 更 さ れ た 。     (1977年7月19日 のFOMC月 例 会 議 で 決 定 。  FR.B,  Sept.1977、  p.832,  fn・)

19)  公 表 当 初,民 間 預 金 準 備(reserve  available  to support  private  nonbank  deposits:

  RPD)の 目 標 値 域 も 設 定 さ れ た が,1976年3月29日 の 特 別 会 議 で そ の 設 定 の 停 止 を 決   定 し た 。 非 借 入 準 備(総 準 備 マ イ ナ ス 連 銀 借 入),総 準 備,マ ネ タ リ ー ・ペ ー ス(総   準 備 プ ラ ス 公 衆 保 有 現 金 通 貨)を 含 む い く つ か の 銀 行 準 備 を マ ネ ー ・ サ プ ラ イ の 短 期   目 標 値 と 関 連 さ せ て 考 慮 す る こ と で 同 意 し た の が そ の 理 由 で あ る 。FRB,  June  1976,   P.519.) 20)  マ ネ ー ・サ プ ラ イ 等 の 目 標 値 設 定 方 法 を 扱 っ た 文 献 は 少 な く な い が,若 干 の も の を

  挙 げ て お こ う 。J.  H.  Kalchbrenner,"The  Development  and  Use  of  Econometric

  Models  and  Other  Statistical  Techniques  in the  Federal  Reserve  System,"Sept,

  1977,Board  of Governors  of the  Federal  Reserve  System,  nn.1-24,  S. G.'Hoffman,

  "Monetary  Growth  Objectives,"Monthly,  Federal  Reserve  Bark  of  Atlanta,  Vol.

  61,No.12(Dec.1976),  pp.175-51,``Numerical  Specifications  of  Financial  Va・

  riables  and  Their  Role  in  Monetary  Policy,"FRB,  May  1974,  pp.333-7.な お,

  Dr.  J. J  Enzler(Board  of Governors  of  the  Federal  Reserve  System)お よ びDr.

  S.G.  Hoffman(Federal  Reserve  Bank  of  Atlanta)よ り 種 々 の 教 示 と 貴 重 な 文 献 を

  得 た こ と に 謝 意 を 表 し た い 。Dr.  Enzleyに よ れ ば,判 断 に よ る 接 近 が 優 勢 を 占 め る

  ケ ー ス の 方 が 多 い 。

21)  こ れ はMPS(MIT-PENN-SSRC)モ デ ル と も 呼 ば れ る 。4半 期 モ デ ル で あ っ て,

  金 融 政 策 の 経 路 と し て,第1に 資 本 コ ス ト(種 々 の 金 利),次 い で 富 効 果 を 重 視 す る 。

  F.de  Leeuw  and  E.  Gramlich,"The  Federal  Reserve-MIT  Econometric  Model,,'

  FRB,  Jan.1968,  PP.11-40,一,"The  Channels  of  Monetary  Policy,"FRB,  June

  1969,PP.472-491,  J. M.  Crews,"Econometric  Models:The  Monetarist  and 

Non-  Moretarist  Views  Compared,"Monthly  Review,  Federal  Reserve  Bank  of Richmond,

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      最近 のアメ リカ金融政策の特色  45 基 礎 と し て使 用 され,国 民所 得 水 準 の 目標 値 と両 立す る マ ネ ー ・サ プ ライ の 成 長 経 路 を 求 め る。 これ か ら得 られ た 結果 とス タ ッ フの判 断 に よ る結 果 とを 調 整 した も の が毎 月FOMC  Y.提 出 され る。 一 方,短 期 の 目標 値 の 設 定 に は,主 と         う し て 月次 金 融 市 場 モ デル が 使用 され る。 このば あ い国 民 所 得 水 準 を所 与 と し, 短 期 金利(と くにFFR)と マ ネ ー ・サ プ ライ の 短 期 成 長 率 の 種 々の 組 合せ を シ ュ ミレー トさせ る。 これ に 判 断 に よ る接 近 を加 味 し て求 め た マネ ー ・サ プ ラ イ の短 期 の成 長 率 と両 立 す るFFRの 適 当 な幾 つ か の組 合 せ(こ れ は マ ネ ー ・ サ プ ライ の長 期 の 目標 値 に 対 応 す る もの で あ るが組 合せ は複 数)の 中か らFO MCが 最 適 と判 断 す る組 合 せ が 選 ば れ る。   この よ うに して 設 定 され た マ ネ ー ・サ プ ライ等 の 目標 値 とそ の実 績 は ど うで あ った だ ろ うか。 節 を改 め て 検 討 す る こ とに し よ う。       4  パ ー フ ォー マ ン ス の若 干 の検 討   先ず マ ネ ー ・サ プ ライ とFFRの 短 期 の 目標 値 域 と実績 との 関 係 を見 る と, 第1-a,b,  c図 お よ び第2-a,  b, c図 の示 す と お りで あ る。(統 計資 料 の制 約 上,第1図 と第2図 は必 ず し も対 応 的 で ない 。)   明 らか に,M,お よ びM,は 目標 値 域 を か な り外 れ て い るが,一 方 これ に反 してFFRは 継 続 して ほぼ 値 域 内 に収 ま って い る。 これ は 連 邦 準 備 の と って き た 金 融政 策 の運 営 方 法 を示 す も ので あ り,そ の 意 味 は 次第 で検 討す る。   マ ネ ー ・サ プ ライ の長 期 の実 績 に つ い て は,目 標 値域 が4半 期 ご とに 見 直 さ れ るの で,図 か ら判 定 す る のは 困 難 で あ る。 こ こで はM,,M2お よびM,の 長 期 の 目標 値 域 とそ れ ぞ れ の実 績 を 直 接 比 較 す る よ り,む しろ4半 期 別 に求 め

22)Dr.  Enzelerに よれ ば,  Federal  Reserve-MITモ デ ル(そ の 金 融 部 門)も 短 期 分 析   に 使 用 さ れ て い る と の こ と で あ る が,上 記 カ ル フ ブ レ ン ナ ー の 文 献(op.  cit., p.10)で   は,こ の モ デ ル は 短 期 分 析 に 適 し て い な い と し て い る。 実 際 は 種 々 の 方 法 が 使 用 され   て い る の で あ ろ う。 な お,月 次 金 融 市 場 モ デ ル に つ い て は,T.  D. Thomson,  et al.,   "AMonthly  Money  Market  Model,"Jour.  of Money,  Credit  and  Banking,  Vol.   7,No.4(Nov.1975),  pp.411-31を 見 よ。 こ の モ デ ル で は マ ネ ー ・ス ト ッ ク の 各   構 成 要 因 ㊧ 需 要 関 数 の 説 明 変 数 と し て 国 民 所 得 で な く富 が 使 用 さ れ て い る 。

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46 1-a図Miの 目標 値 域 と実 績,1975-6年 % 25 20 15 10 5 0   、 一5.         4

   ハ

   ノ「   '  、 ピl     I   、         ' ノ  \ノ ' ' ノ A 、 1     ロ w\/、       \!ノ  、/ 、 1 ^ ! !

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、 、 パ ー   ' 〆ノ 、4 "   ㌧ノ         '  、 ・∼     1    、 、 ・ 、ノ へ      n ,ハ    '、 !  、   、 て ノ ㌧rv , ' ノ へ ' A ' , 、     ' \'   ,    、 ・)^ノ   レ∼ ! 9     11 % 20 5 1 10 5 1 3      5      7       1975 9      11      1 3 5      7   1976 1-c図   FFRの 「]標値 域 と 実 績,1975-6年 % 9      8 7         6 、 、 、 へ (》}へ 、 ' 、 ㌧ へ,、v  ,∼ へ ,へ' へ '}、 略 、"蝋 5 し ヘ ノ ヘー'一 ♂ 、 4 1 3      5 1975 7 9 11 1      3 5   1976 7 9 11 0 '00 ' 9 8 7 ハ 0 5 4

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      最 近 の ア メ リカ金融 政 策 の特 色    47 2-a図   Mlの 目標 値 域 と実 績,1977-8年 % 15 10 5 0 一5 ハ 、 '   、     、     、 ' ノ     一     一   r一 一\   '    、   へ 1  、/、   ハ       、'            \   ! 、        、  ! `      〉   〈   !  、 /    、 ノ    、 ! 、  1 \ノ 、vノ ノ !、 '   、     、     、 、 、 、 15 10 5 0 / 0     5 0 / 1 3 5     7   1977 2-b図       7   9    11    1    3    5         1978 M妻 の 目 標 値 域 と 実 績,1977-8年 9 11 / 0     5 0 /     1 5 10 5 o 、 、 r!! !  、 ノ、 、 、 、   ノ )   へ 〉     \     /一       、         、1 ■一\     '   、   〈 /' _!     〈   '  、   ノ '      \         、         、       、 、 、 、   、   、     、 10 5 % 11 1/    3 5     7   1977 2-c図   91113;79       1978 FFRの 目標値 域 と実 績,1977-8年 11 0 10 9 8 7 6   '》 、! 1! ノ ■ 7 '、 ,'へ! 5 _,∼.1'   ,         、 !     '   !、r !' ! ,"一 !\'へ}一r!! 1レ 」 % 11 10 9 8 7 6 5 4                                                                                 4   135791113579111       1977         1978        1979

(出 所)2-a,b,  c;Monthly  f∼⑳ ∫卿,  Federal  Reserve  Bank  of  St. Louis,  Mar.

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 48 た これ らマ ネ ー ・サ プ ライ(季 節 調 整 済)の 変 化 率(対 前 期 比,年 率)の 標 準       23) 偏 差 を 求 め て 検 討 す る方 法 を と りた い 。  (銀 行 信 用 の ウ エ イ トは 小 さ い よ う に 判 断 で き る の で 省 略 す る 。)   1表 の 計 数 が 示 す よ う に,標 準 偏 差 は 小 さ く,比 較 の た め に 提 示 した イ ギ リ ス のM,  よ びM,(ア メ リ カ のMaに 相 当)の 対 応 値(2表)と 比 較 す る と 約 半 分 で あ る 。 こ の こ とか ら,連 邦 準 備 は マ ネ ー ・サ プ ラ イ を 長 期 的 に は 相 対 的 に 安 定 させ て い る と い え る で あ ろ う。     1表  アメ リカの マネ ー 。サ プ ライ の      2表  イ ギ リスの マ ネ ー ・サ プ ライ の         4半 期 別 変 化 率,1975-8年       '     4半 期 別 変化 率,1975-8年 1975   工   豆   皿   IV 1976   1   皿   皿   IV 1977   工   皿   皿   IV 1978   1   1正   皿   IV 平    均 標 準偏差 Mt % ﹄ 。 6 つ 3   0 8 6 0   一 7 ﹂4 1 4 2 8 4 ハ0 ρ0 4 3 3 ﹂4 8 9 8 0 3  0 6 6 1 8 4   1 6.1 3.2 M; % 2 2 β ﹄   5 0 ゾ 2 4       1 7 ・ 8 2 2 9 0 9 2   1      1 9.2 10。1 10.2 8.1 7.1 8.3 10.2 8.1 9.0 2.1 M3 % 濯 β 2 ﹄   7 0 0 3 8     1   1 11.2 12.0 11.5 14.1 11.3 10.0 12.4 10.7 Q ゾ 0 1 2 7 8 0 0     1 1 10.7 2.1 1975   1   1[   皿   IV 1976   1   1[   コエ   IV 1977   1   H   皿   IV 1978   1   1[   皿   IV 平    均 標準偏差 Mi   % 18.8 28.0 25.9 8.4 16.4 13.4 20.1 2.2 3.1 18.4 23.2 26.7 20.6 11.9 14,3 11.3 16.41 7。6 M3 % 溶 ユ ﹄ 3   6 8 4 2       1  1 8 ρ0 8 2 8 nO ﹂4 2       1 Q ゴ 7 7 ︻ D P D 3 0 ゾ 7   1 2 2 只 ) 9 ρ 0 2 ρ O Q ゾ ー 2 9.8 5.8

(出 所)FRB,  various  issuesよ り 計 算 。 (出 所)Bank  of England  Quarterly

    Bulletin,  various  issues  よ

      り 計 算 。

23)  ダ ッ ク お よ び シ ェ パ ー ドが こ の 方 法 を と っ て い る 。N.  W.  Duck  and  D. K.  Sheppard,

  ``AProposal  for  the  Control  of  the  UK  Money  Supply,"Econo〃zic  Journal,  Vol.

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最 近 の ア メ リカ金 融 政 策 の特 色     49 5  金融 政策 の運営方法   前 節 で見 た よ うに,短 期 的 に は マ ネ ー ・サ プ ライ はそ の 目標 値 域 よ りか な り 外 れ て い るが,FFRは ほぼ 目標 値 域 内 に 収 ま って い る。 これ は'金融 政 策 の運 営 方 法 と関 係 を も って い るの で あ って,そ のば あ いFFRが きわ や て 重視 され てい る こ とに 注 意 す べ きで あ ろ.う。           短 期 の 運 営方 法 は 原理 的 に は3図 の よ うな 簡 単 な グ ラ フで示 さ れ る。         ?短

    瑞

7 70 RFD Rs〔 供 給 接 近 〕 RD 、   、   、   、    、    、     、、 、   、 、   、 、 嘘   一   一   一   一 一  一  一  一  一  一 一 一  一 一  噌   一 、   、   、    、、、   、   、    、 、 、  、   、   、    、 、  、   、    、 '      R ..(;r ド \ 1     、 .       、 o 1 3 … … 3 … … 1 1 R.4(需 要 接 近)       o      R。      Rl    珂1・備       (マネー・サプライ》       3図   マ ネ ー ・サ プ ライ ・コ ン トロール の 供給 接 近 と需 要 接近   当 初roの 短 期 金 利(FFRに よ っ て 決 定 さ れ る)とRoの(銀 行)準 備 で も っ て マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 短 期 の 目標 値 が 達 成 さ れ て い た と す る 。 い ま,準 備 の 需 要 に 影 響 を 与 え る 何 らか の 攪 乱 的 な 要 因(た と え ば,所 得 の 推 定 の 誤 差 の よ うに)が 起 った 結 果,準 備 需 要 線(RD)がR'刀 に シ フ トし た と し よ う。(準 備 と マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 間 に 乗 数 関 係 が 存 在 す る の で,前 者 は 後 者 の 代 理 変 数 と

24)以 下 の 説 明 は 次 の も の に 負 う と こ ろ が 大 き い 。R.  E.  Lombra  and  R.  G.  Torto,

  ``The  Strategy  of  Monetary  Policy,"Economic  Review,  Federal  Reserve  Bank  of

  Richmond,  Vol.61,  No.5(Oct./Nov.1975),  pp.3-14,  esp.8-9.'(こ の グ ラ フ は

  次 の も の に も 引 用 さ れ て い る 。 佐 久 間 潮 「ア メ リ カ の 金 融 政 策 な め ぐ っ て 」 『国 際 金

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  50 見 な す こ と が で き,貨 幣 需 要 を シ フ トさ せ る 攪 乱 が 起 こ っ た と 考 え て も 良 い 。)   こ の ば あ い,2つ の 対 応 策 が 考 え ら れ る が,そ の 一 方 が マ ネ ー ・サ プ ラ イ ・ コ ン トロ ー ル の 需 要 接 近 で あ り,金 利 が7。 に 固 定 す る よ う に 準 備(し た が っ て マ ネ ー ・サ プ ラ イ)を 完 全 に 弾 力 的 に 供 給 す る,つ ま り準 備 の 供 給 を 需 要 の 決 定 に ま か せ る 方 法 で あ る 。(準 備 はRoか らR旦 に 変 化 。)こ れ に 反 し て, 供 給 接 近 と は 準 備 の 供 給 を 一 定,つ ま り,R。 に 固 定 さ せ,金 利 を 変 動 さ せ る (r,)方 法 で あ っ て,元 来 マ ネ タ リス トが 主 張 し た 方 策 で あ る 。す な わ ち,FFR な い し短 期 金 利 を 固 定 さ せ て,マ ネ ー ・サ プ ラ イ を 変 化 さ せ る か,ま た は そ の 逆 で あ る。   明 ら か に 連 邦 準 備 が と っ て き た 政 策 は 需 要 接 近 で あ り,こ の こ と はFFRが そ の 目標 値 域 か ら ほ と ん ど外 れ な か っ た が,マ ネ ー ・サ プ ラ イ は そ の 短 期 目標 値 域 を 外 れ る こ とが 多 か っ た こ と か ら 推 測 で き る の で あ り,FOMCは 金 利 の 大 幅 な 変 動 は 経 済 に 対 し て 好 ま し くな い 影 響 を 与 え る と考 え て い た の で あ り, こ の こ と は2節 で 引 用 した バ ー ン ズ の 叙 述 か ら も理 解 で き る で あ ろ う し,さ ら         に 最近 ウ ォ ー リッ ク等 もFOMCが こ の立 場 を と った と認 め て い る こ とか ら も 明 らか で あ ろ う。   また マ ネ ー ・サ プ ライ の予 測,特 に 短 期 の予 測 に 付 随 す る不 確 実性 を考 慮 す れ ば,か りに実 績 値 が設 定 値 域 の陛 度 を 越 えて も,FOMCは 早 急 にFFRを 変 化 させ,情 報 が誤 りで あ る こ とが 分 か った 後 そ れ を 元 へ 戻 す こ とに よ り金 融 市          場 が 混 乱す るの を避 け よ う とす る こ と も少 な くな い で あ ろ う。 さ らに,FOMC        わ が 貨 幣 需 要 の利 子弾 力性 が小 さい と考 えて い るな らば,3図 に 利 子 非 弾 力 的 な RD線 を書 き込 め ば 明 らか な よ うに,一 定 の 準 備 の 変 化 に 対 応 す る 金 利 の 変 化

25)  H.C.  Wallich  and  P.  n1.  Keir,``The  Role  of  the  Operating  Guides  in  U.  S.

  Monetary  Policy:AHistorical  Review,"Kredit  and  Kapital,11.  Jalirgang  1978,

  Heft  1, p.47.

26)  (∫,R.  E。 Lombra  and  R,  G.  Torto,"The  Strategy  of  Monetary  Policy,"OP.

  6覚 りP.11.

27)  ロ ソ ブ ラ 等 に よ れ ば,FOMCに 提 出 さ れ て い る 研 究 に は そ の タ イ プ の 貨 幣 需 要 関 数

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      最近 のアメ リカ金融政策の特色   51 は弾 力的 なば あ い に 比 べ て い っそ う大 き くな る。   要 す る に,連 邦 準 備 はFFRが 目標 値域 を外 れ て変 動 す る コス トの 方 が 短 期 的 な マ ネ ー ・サ プ ライ の値 域 外 へ 変 動 す る コス トよ り大 きい と見 な して い るの で あ る。   以 上 の事 実 を 所 与 とす れ ば,マ ネ ー ・サ プ ライが 長 期 の 口標 値 域 を 外 れ た ば あい,元 の値 域 に 復 帰 させ るに は,FFRの 大 幅 な変 化 を 認 め るば あ い に 比べ て 時 間 が か か り,そ れ だ け マ ネ ー ・サ プ ライ の長 期 目標 値 域 か らの 短 期 的 な 偏       が  埼 も 大 き い と い え よ う。 こ の こ と は4図 か ら も 容 易 に 理 解 で き る で あ ろ う。 FOMCに よ っ て 実 際 と られ て き た の はA→Bの コ ー ス(FFRの 大 幅 な 変 化) で な く,A一>Cの コ ー ス(マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 大 幅 な 変 化)で あ る 。 し た が っ て,FFRに 設 定 さ れ た 目標 値 域 は マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 変 化 率 が 目 標 値 域 を 外 れ た ば あ い,そ れ をFFRに よ っ て 調 整 す る た め の 限 度 を 示 し て い る と い え  の る で あ ろ う。 マ ネ ー ・ サ ブ ラ f 0       !       !     ノ!ノ 汎{     一 ∋画L       B C 4図          マ ネ ー ・サ プ ライ の成 長経 路 と長 期[標 値 域 28)  ロ ソ ブ ラ 等 の グ ラ フ に 基 づ い て い る 。Ibid.,  p.13.

29)  こ の こ と は ウ ォ ー リ ッ ク 等 も 認 め て い る 。H.  C.  Wallich  and  P.  At. Keir,"The

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  52   この よ うなFOMCの 政 策 運 営 は マ ネ タ リス トの陣 営 か ら攻 撃 を 受 け た 。 た       30) と え ば,フ リー ドマ ン(M.Friedman)は い ち は や く,次 の よ うに 批 判 し た 。 す な わ ち,FFRに よ っ て マ ネ ー ・サ プ ラ イ を コ ン ト 戸 一 ル す る の は 連 邦 準 備 が マ ネ ー ・サ プ ラ イ の コ ン ト ロ ー ル よ り 金 利 の コ ン トロ ー ル を 主 要 な 目 標 と し た 以 前 の:時 代 錯 誤 的 な 復 活 で あ り,こ れ は 官 僚 主 義 的 な 惰 性(bureaucratic inertia)で あ る。 彼 に よれ ば,す べ て の 金 利 を 市 場 の 決 定 に ま か せ,銀 行 準 備 に よ っ て マ ネ ー ・サ プ ラ イ を コ ン ト ロ ー ル す る の が 解 決 策 で あ る 。 と い うの は,準 備 の 増 加 率 と マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 増 加 率 と の 関 係 の 方 がFFRと マ ネ ー ・ サ プ ラ イ の 増 加 率 と の 関 係 よ り予 測 可 能 性 が 大 き い か らで あ る 。 こ れ は 貨 幣 乗 数 が き わ め て 安 定 的 で あ る と い う マ ネ タ リ ス ト本 来 の 主 張 で あ る 。 一 方,セ ン トル イ ス 述 銀 総 裁 ル ー ス(L.K.  Roos)の 批 判 は 次 の と お りで あ る 。 第1に, FFRと マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 目 標 値 域 が 両 立 し な い ば あ い に は,金 融 政 策 の 目 標 値 と し てFFRが 重 視 さ れ,マ ネ ー ・サ プ ラ イ は 精 々 第 二 義 的 な 役 割 し か 与 え られ な か っ た 。 第2に,ア メ リ カ の 金 融 政 策 は 意 識 的 に せ よ,無 意 識 的 に せ よ,そ れ が か りに マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 変 化 率 を 攪 乱 さ せ る も の で あ っ て も 金 利        ラ を 安 定 させ る よ うに 形 成 され た,と 。   ル ー スは 次 の 理 由 で 以 上 の 金 融政 策 の運 営 方 式 は誤 りで あ る とす る。 一 般 に 貨 幣 需 要 の増 加 は 財 ・サ ー ビス へ の支 出 の減 少 に よ っ て まか な わ れ,こ れ は, 金 利 の上 昇,産 出 高 お よび 物 価 の 低 落 を もた らす 。 このば あい マ ネ ー ・サ プ ラ イを 増 加 させ,金 利 を 安 定 させ るの は 正 しい 政 策 で あ る。 そ こで は,金 利 を 標 的 とす る金 融 政 策 が 正 しい こ とに な る。 と こ ろ が一 方,信 用 の需 要 増 加 の ば あ い に は ま った く異 な:る。 支 出 の た め の 借入 は金 利 の上 昇 を もた らす が,産 出 高 お よ び物 価 は この 借 入 に よ って 影 響 を受 け な い。 とい うのは 貸 手 側 に そ れ だ け の支 出 の減 少 が 起 こ り,相 殺 され るか らで あ る。 そ のば あい マ ネ ー ・9サプ ラ イを 変 化 させ る こ とは 好 ま し くな く,そ れ を標 的 とす る金 融 政 策 を と るの が 正

30)  M.Friedman,"How  to Hit  the  Money  Target,"Newsweek,  Dec.8,1975,  p.45.

31)  L.K.  Roos,"Moretary  Target-Their  Contribution  to Policy  Formation,"1∼ ⑳ ノετc,,

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      最近のア メリカ金融政策 の特色   53 しい。 これ が ア メ リカ の現 状 で あ るに もか か わ らず,連 邦 準 備 は 貨 幣 の需 要 と 信 用 の需 要 の相 違 を 区 分 せ ず,そ の 結 果 混 乱 が 起 こ って い 戴  と。   こ こで問 題 は か りに 貨 幣 需 要 の 変 化 と信 用 需 要 の変 化 を現 実 に 区別 す る こと が で き ℃ も,信 用 の 需 要 の 増 加 が 銀 行 信用 に よ って まか なわ れ,銀 行 は信 用 創 造 を行 うとす れ ば ゴ 借 手 の需 要 増 加 が 貸手 の需 要 減 少に よっ て相 殺 され る こ と に は な らな い 。 い ず れ に せ よ,信 用 に対 す る需 要 の増 加 が イ ン フ レー シ ョン と 直 結 し,そ の ば あ い か りに マ ネ ー ・サ プ ライを 標 的 とす る政 策 の 方 が 妥 当 で あ って も,そ れ は ま った く別 の理 由(た と えば 名 目金 利 と実 質 金 利 の 乖離)に よ る もの で あ る。   と ころ で,既 述 の よ うに,長 期 的 に は ア メ リカの マネ ー ・サ プ ライ の 変 化 は 従 来 比 較 的 安定 して いた とい う ことが で き,と くに イギ リス と比 較 した ば あ い そ の差 は顕 著 で あ っ た。 した が っ て こ の意 味 で は マ ネ タ リス トか らの批 判 に も       おう あ る程 度 答 え る こ と が で き る の で は な か ろ うか 。 ま た 統 計 資 料 上 の 制 約 か ら生 ず る マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 短 期 の 不 確 実 性 は む し ろ マ ネ ー ・サ プ ラ イ を 厳 格 に コ ン ト ロ ー ル す る こ と を 危 険 に し て い る と も い え る で あ ろ う。 6  結 論 的 覚 書 と 問 題 点   以上,ア メ リカ の マ ネ ー ・サ プ ライ の 目標 値設 定 を 中心 と して最 近 の金 融 政 策 の運 営 とそ の 意 味 を 考 察 して きた 。 上 述 の議 論 を ふ ま え,さ らに若 干 の考 察 を 加 え て,次 の よ うな 結 論 的 覚 書 と残 され た 問題 点 を記 した い。   (1)マ ネ 』 ・サ ブ.ライ の 目標 値 設 定 に いた る経 緯 に おい て連 邦 準 備 が マネ タ リス トよ り受 け た 影 響 は否 定 で き な い が,バ ー ソ ズは 連 邦 準 備 の折 衷 主 義 的 立 場 を きわ め て 強 調 した 。一 般 に指 摘 され る よ うに,マ ネ ー ・サ プ ライ の 目標 値 32)   16/4.,PP.13-4. 33)貨 幣 集 計 量 の 改 善 や 整 備 の た め の 研 究 は 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 の ス タ ッ フ に よ り精 力   的 に 行 わ れ て き た こ と は 否 定 で き な い 。そ の 成 果 は 次 の も の に 公 刊 さ れ て い る 。Board   of Governors  of the Federal  Reserve  System,  Improving  the Monetary  Aggregates:   Report  of the Advisory  Committee  on Monetary  Statistics,1976,一  Improving   the Monetary  Aggregates:Staff  Papers,1978,

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  54 設 定 の 決 定 的 な モ メ ン トと な った の は1970年 代 始 め の 激 し い イ ン フ レ ー シ ョ ン で あ る こ と は 明 ら か で あ る。 こ の 点 に つ い て ボ ル カ ー は 目標 値 設 定 の もつ 意 義 と し て,(1)公 衆 に 対 す る有 用 な 伝 達 手 段,(2)イ ン フ レ期 待 の 若 干 の 抑 制,㈲ 通       おの 貨 当 局 の 自 らに課 す規 律 一 を挙 げ て い る。 これ らは イ ギ リス,ド イ ツな どの マ ネ ー ・サ プ ライ 目標 値 設 定 の理 由 と ほ とん ど異 な る と ころ は な い。   (2)従 来 か ら良 く論 議 され て きた 金 融 政 策 の 中 間 標 的,操 作標 的,さ らに波 及 機構 の 観 点 か ら見 て,以 上 の 連 邦 準備 の 政 策 を い か に 解 釈 す べ きで あ ろ う か。   短 期 的 な見 地 で は,FOMCは マ ネ ー サ プ ライ の安 定 よ りFFRの 安 定 に 関 心 が あ った が,そ れ はFFRに よ って代 表 され る金 融 市 場 状 態 の 不 安 定 性 が 政 策 目標(た とえ ば 国 民所 得 の 安定)に 対 して好 ま し くな い 影 響 を 与 え る と見 な して の こ とで あ る。 これ は 明 らか に ケ イ ソ ジ ア ン の立 場 で あ る。   一 般 に 通 貨 当 局 が 金 融 政 策 手 段 を 通 じて 直 接 操 作 す る 変 数 が 操 作標 的 で あ り,そ れ を 通 じて コ ン トロール され る のが 中 間 標 的 で あ る。後 者 は波 及 過 程 上 の重 要 な連 鎖 で あ り,そ れ に マ ネ ー ・サ プ ライ を 選 ぶ か.金 利 を選 ぶか に よっ て ケ イ ンジ ア ン の立 場 を と るの か,そ れ と もマ ネ タ リス トの立 場 を と る のか の       35) 区 別 が な され て きた 。   公 開 市 場 操 作 に よ って 銀 行 準 備 を 変 化 させ,そ れ を 通 じてFFR,し た が っ て 短 期 金 利 を 動 か し,短 期 金利 の 作用 を通 じて マ ネ ー ・サ プ ラ イを コ ン トロー ル す る運 営 方 法 が 主 と して と られ て きた とす れ ば,操 作 標 的 を 銀 行 準 備,中 間 標 的 をFFR(な い し短 期 金 利)と 見 な す こ とが で き,一 方 む しろ 公 開 市場 操        ラ 作 に よ っ てFFRを 操 作 し て い る と 見 れ ば.ウ ォ ー リ ッ ク等 の よ う に, FFR を 操 作 標 的 と 見 な す こ と もで き る で あ ろ う。 マ ネ タ リス トの 立 場 で 述 べ て も,

34)  P.A.  Volcker,"The  Role  of Monetary  Targets  in an  Age  of  Inflationノ 、 Journal

  of Monetary  Economics,  Vol,4,  No.3(Aug.1978),  pp.332-3.

35)前 掲 拙 稿,4ペ ー シ 以 下 参 照 。 な お,金 融 政 策 の 指 標 は 波 及 過 程 の 重 要 な 連 鎖 を 構

  成 し な い の で こ こ で は 扱 わ な い 。 詳 細 は 同 拙 稿,14-6ペ ー ジ を 参 照 。

36)H.C.  Wallich  and  P・Keir,"The  Role  of  Operating  Guides… …,"OP.  cit.I Pp.

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      最近のア メリカ金融政策 の特色   55 銀 行 準 備(マ ネ タ リー ・ベ ー スに して も一 種 の 準 備 で あ り,銀 行 準備 一 総 準 備 で あ れ非 借入 準備 く総 準 備 マ イ ナ ス連 銀 借 入 〉 で あ れ一 は マ ネ タ リー ・ベ ース の 一構 成 要 素)を 通 じて マ ネ ー ・サ プ ライ(中 間 標 的)を コ ン トロー ルす る と考 え る。 した が っ て,操 作 標 的 と中 間 標 的 の区 分 は 姿 意 的 で あ り,む しろ 波 及過 程 と関 係 を もつ 中 間 標 的 に 何 がiと られ るか に 注 目す る 方 が 適 切 で あ ろ う。   ア メ リカの ば あ い,短 期 的 な 見 地 に 立 て ば 中 間 標 的 と してFFRが 選 ばれ (た だ し 目標 値 域 内 でFFRを 動 か し うるか ぎ り,マ ネ ー ・サ プ ライが 中間 標 的 とな るが,過 去 に は そ の 可 能 性 は ほ とん どな か った),一 方 長 期 的 に は マ ネ ー ・サ プ ライが 中間 標 的 と し て選 ば れ て い る。 た だ し,そ の ば あ い,い か な る 波 及機 構 を通 じて重 要 な のか は不 問 の ま まで あ る。 た しか に,金 融政 策 の 目標 を短 期 的 な視 点 と長 期 的 な観 点 に 分 類 し,前 者 に お い て は 金 融 市 場 の安 定,後 者 に お い て は 国 民所 得 お よび 雇 用 や 物 価 の 安 定 に あ る とす れ ば,両 者 間 に矛 盾 は存 在 しな いで あ ろ う(た だ し,そ のぼ あ い に は 金 融市 場 の 安定 が 国民 所 得 等 の 安定 に重 要 な 関係 を もって い る こ とが 前 提 と され る)が,波 及 過程 との 関係 を い か に考 えれ ば 良 いで あ ろ うか 。   す で に触 れ た と こ ろで あ るが,ウ ォー リ ックは 次 の よ うに 言 う。 マ ネ ー ・サ プ ライ を 中 間標 的 にす る こ と は,通 貨 当 局 が 波 及 機 構 に 関 しマ ネ タ リス トの見 解(実 物 部 門 に対 す る マ ネ ー ・サ プ ライ の 直 接 効 果 〔経 済主 体 の ポ ー トフ ォ リ オ の変 化〕 を重 視)に 変 った こ とを 意 味 す るの で は な い。 マ ネ ー ・サ プ ライを 標 的 とす るこ とはそ れ が 金 利 を通 じて 実 物 部 門 に 作用 す る と見 なす ケ ィ ン ジ ア        ラ ン的波 及機 構 と完 全 に両 立 す る も ので あ る,と 。   さ らに,ケ イ ン ジ ア ン のIS-LM分 析 の 枠 内 で も,マ ネ ー ・サ プ ライ と金 利 の いず れ を 標 的 と して 選 ぶ か はIS関 数 お よびLM関 数 の いず れ に不 確 実 性 な い し不 安 定 性 が 存 在 す るか に よ って 決定 され る。 この見 解 の代 表 者 は プ ール          (W.Poole)で あ る。 国 民 所 得 の 安 定 と い う政 策 目標 に と っ てIS関 数 に 不 確

37)11.C.  Wallich,"lnnovations  in  Monetary  Policy・"OP・cit.,  P・3・

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  56 実 性 が 存 在 す れ ば マ ネ ー ・サ プ ライを 標 的 と し,逆 にLM関 数 に 不 確 実 性 が 存 在 す れ ば 金 利 を標 的 とす る方 が優 れ て い る こ と を証 明 した 。 た しか に マ ネ タ リ ス トと ケイ ンジ ァ ンの 立場 をそ れ ぞれLM,  IS関 数 に 存 在 す る 不 確 実 性 と両        ラ 関 数 の 勾 配 の差 に よ って示 す こと もで き るが,そ れ は あ くまで ケイ γジ ア ン分 析 の枠 内 で の こ とで あ り,波 及 機 構 に 関 す る両 派 の 見 解 の 相違 とは 別 個 の 問題 で あ る。 したが ってFOMCな い し連 邦 準 備 が か りに マ ネ ー ・サ プ ライ を標 的 と して選 ん で もそ れ は ケ イ ン ジ ア ソ的 波 及 機 構 とは 必 ず し も矛 盾 しな い と考 え られ よ う。   さ らに政 策 目標 変 数 た る国 民所 得 や 物 価 の水 準 な い しそ の変 化 率 に対 応 す る 金 融 変 数 を マネ ー ・サ ブ ラ.イで表わそ うが金利 で表 わそ うが 同じ ことを別 の角 度 か ら表 現 した に す ぎず,波 及機 構 につ い て も価 格(金 利)で 表 わ す か 量(マ ネ ー ・サ プ ライ)で 表 わす か の違 い だ けで あ っ て,ケ イ ジ ア ン と マ ネ タ リス ト       るの との 間 に 決 定 的 な差 異 が な い,と す る見 解 が 力 を 占め つ つ あ る。 しか し,こ こ で は 問 題 は 現 実 の通 貨 当局 の思 考 で あ り,政 策 的 次 元 で の 考 察 で あ る。 した が って,金 融市 場 状 態(金 利)が 経 済 の実 体 部 門 に 対 して与 え る影 響 を重 視 す る 考 え は,ケ イ ン ジ ア ン的 立 場 を 示 す 重 要 な メル クマ ール で あ る とい う視 点 は否 定 す る こ とがで き ない であ ろ う。   既 述 の よ うに,マ ネ ー ・サ プ ライ の 短 期 的 操 作 と し てFFRが 使 用 され, FFRが 設 定 さ れ た 目標 値 域 内に あ るか ぎ り,そ れ を 動 か して マ ネ ー ・サ プ ライ が 短 期 的 な 目標 値 域 に と ど ま る よ う操 作 され た 。 しか し そ れ が 不可 能 で あ れ ば,FFRを 目標 値 域 に と どめ る 操 作 が 行 われ,他 方 マネ ー ・サ プ ライ は変 化 す る ま まに まか さ れた 。 既 述 の よ うに,こ れ は マ ネ タ リス トの 批 判 す る運 営 方 法 で あ る。

  Macro  Model,"Quar.  Jour.  of  Economics,  Vol・84,  No・2(May・1970), 

PP.197-  216.前 掲 拙 稿,7-14ペ ー ジ を 参 照 。

39)  前 掲 拙 稿,11ペ ー ジ 参 照 。

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      最近のアメ リカ金融政策 の特色  57   準備(非 借 入 準 備)で も って マ ネ ー ・サ プ ライ を 推 定 し て も,FFRで 推 定       41) して も誤 差 はほ とん ど変 らな い との 統 計 的 検 証 が あ り,ウ ォー リ ック も これ を 引 用 し て,い ず れ の 方 法 を と って も長 期 的 な マ ネ ー ・サ プ ライ の 目標値 が達 成       42) され て い るか ぎ り問 題 は な い とす る。 それ に も か か わ らず,FFR接 近 を と る の は 再 三 指摘 した よ うに,金 利 の不 安 定 的 な 変 化 が もた らす 実 物 部 門へ の影 響' を 考 慮 して の こ とで あ る。FOMCに は マ ネ タ リス トや ケ イ ン ジア ン,さ らに は折 衷 主 義 的 な 立場 を と る メ ンバ ー も含 まれ るが,結 果 と して はFFRを 短 期 的 に安 定 させ る政 策 が と られ て きた の で あ った。   そ れ ゆ え,ボ ル カ ーが1975年 以 降 の ア メ リカ 金 融 政 策 の 運 営 をpractical       43) monetarismと 呼 ん だ が,も しそ れ を フ リ ー ドマ ン 流 の:硬 直 的 な 方 式 で は な い 41)M1(当 座 預 金 のみ)お よびMa(当 座 預 金+定 期 預金 の み)に つ い て,非 借入 準 備   、お よびFFRで 推 定 した ば あい の 誤 差 は下 の 表 の とお りで あ る(1970-1年,月 次,   年 率)。                iM・   Ma      非 借 入 準 副 … 矧 瑚       ・FRI4.・%【 ・・%

  R.G.  Davis  and  F. C.  Schadrack,"Forecasting  the  Mone亡ary  Aggrega亡es  with

  Reduced-Form  Equations,"in  Monetary  Aggregates  and  Monetary  Policy,  Federal

  Reserve  Bank  of  New  York,1974,  p.66.両 者 に よ る 方 法 の 差 の な い こ と は 次 の:文 献

  で も 指 摘 さ れ て い る 。J. L. Pierce  and  T. D. Thomson,"Some  Issues  in Controlling

  the  Stock  of  Money,"in  Controlling  Monetary  Aggregates  II:The  Implementation,

  Federal  Reserve  Bank  of Boston,  Conference  Series  No.9,1972,  pp.127-8.

42)H.C,  Wallich,"lnnovations  in  Monetary  Policy,"PP.14-5.

43)  P.A.  Volcker,"A  Broader  Role  for  Monetary  Targe亡,"Quarterly  Review,

  Federal  Reserve  Bank  of  New  York,  Spring  1977,  PP.23-8.彼 はPractical  Mo・

  netarismの 定 義 を 与 え て い な い 。 な お,カ ウ フ マ ソ も ボ ル カ ー を 引 用 し て こ の 用

  語 を 使 用 し,金 利 の 変 動 の 増 加 を も っ て 特 色 と し て い る が,本 文 で 述 べ た よ う に,

  FFRの 目 標 値 域 と の 関 係 に 注 意 す べ き で あ る 。 H.・Kaufman,"Practical  Monetarism

  and  its Impact  on  U.  S.  Interest  Rates."ATalk  Delivered  before  a Conference

  on  the  Management  of  Foreign  Exchange  Risks,  sponsored  by  the  Financial

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58 に せ よ,マ ネ ー ・サ プ ライ をで き るだ け 安 定 させ,一 方 金 利 は 市場 の実 勢 に ゆ だ ね る よ うに 金 融 政 策 の運 営 を 行 う ことを 意 味 す る とす れ ば,そ れ は正 しい 名 称 と はい えな い で あ ろ う。 した が って また 最 近 の ア メ リカ金 融 政 策 の 運 営 を 文 字 通 りマ ネ ー ・サ プ ライ 重 視 の 金融 政 策 一 と くにそ れ を マ ネ タ.リス ト的色彩 を もつ と解 す るな らば一 と呼 ぶ の も誤 解 を招 く表 現 で あ る と い うべ きで あ ろ う。 た だ し,ボ ル カ ーが 議 長 に 就 任 以 降 と られ て い るFFR等 短 期 金 利 の大 幅 な 引上 げ ない し上 昇 は 従 来 の 立 場 の 変 更 を意 味す るの か否 か は,資 料 を 入 手 し た上 で改 め て検 討 した い 。           (4)連 邦 準 備 は1970年 以 来M,の コ ン ト ロ ー ル を 重 視 し て き た 。  (た だ し,       るの 短 期 の 目標 値 域 と の関 係 で はM,とM2両 者 に 同 じ ウエ イ トを 置 い て い る。) これ はM旦 と経 済政 策 の最 終 目標 との 関 係 あ る い は 他 の マ ネ ー ・サ プ ライ に 比 べ て の統 御 可 能性 な どが 要 因 と し て考 え られ るで あ ろ う。   しか し,最 近 ア メ リカ の金 融 機 関 の競 争 の 激 化 が もた らす種 々の新 制 度 の導       るわ       ゆ 入(た と え ば,NOW勘 定, ATS)や 企 業 等 の 短 期 資 金 運 用 方 法 の 向 上 な ど に よ っ て,M,,  M2あ る い はM,に 含 ま れ る 各 種 預 金 問 の シ フ トが 起 こ り,従 来 の マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 概 念 で は 金 融 の 緩 和 ・逼 迫 を 適 切 に 示 さ な くな っ て き         た こ と も事 実 で あ る。 この た め連 邦 準備 もマ ネ ー ・サ プ ライ 統 計 の 内 容 を 変 更       るの す る提 案 を 行 った 。 この 問 題 に つ い て は別 稿 で論 ず る予 定 で あ る。

44)H.C.  Wallich  and  P. M.  Keir,"The  Role  of Operating  Guides… …,"OP.`f'.,   p.46.

45)   Aid.,  p.44.

46)Negotiable  Order  of Withdrawalの 略 。 貯 蓄 預 金 の 払 戻 証 書 に 流 通 性 を 与 え た も   の 。 別 言す れ ば 貯 蓄 預 金 に も小 切 手 の 使 用 が 可 能 で あ る こ と を 意 味 す る 。 現 在 ニ ュ   一 ・イ ン グ ラ ン ド地 方,ニ ュ ー ヨ ー ク州 で 認 め られ,全 国 に 拡 大 しつ つ あ る。 47)Automatic  Transfer  Servicesの 略 。 当 座 勘 定 が 貸 越 の ば あ い,貯 蓄 勘 定 か ら 当 座   勘 定 へ の 預 金 の 振 替 が 自動 的 に 行 わ れ る 制 度 。

48)簡 単 な 解 説 に つ い て は,「 最 近 の 米 国 の マ ネ ー ・サ プ ラ イ に つ い て.1『 調 査 』 三 菱   銀 行287号(昭 和54年3月),12・ 一6ペ ー ジ を 参 照 。

49)  "AProposal  for Redefining  the  Monetary  Aggregates,"FRB,  January  1979,   pp.13-42.

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      最 近 の ア メ リカ金 融 政 策 の特 色    59   (5)ベ ン ジ ャ ミ ン ・フ リ ー ドマ ン(Benjamin  M. Friedmanは,マ ネ ー ・サ プ ライ の 長 期 目標 値 を 設 定 し,こ れ を コ ン ト ロ ー ル す る の にFFRを 通 じ て 問       ED) 接 的 に 行 う2段 階 法 を強 力に 批 判 して きた 。 彼 は マ ネ ー ・サ プ ライ の 目標 値 を 設 定 す る方 法 に異 議 を唱 え,マ ネ ー ・サ プ ライ 以 外 の 種 々の 情 報 を考 慮 す べ き で あ る とい う。 しか し既 述 の よ うに,連 邦 準 備 は 短 期 的 に は マ ネ ー ・サ プ ライ が か な り目標 値 域 か ら外 れ る よ うに 金 融 政 策 の 運 営 を 行 うこ と も多 か った ので       51) 彼 の批 判 は必 ず し も全 面 的 に 正 しい とは い え な い で あ ろ う。 彼 の分 析 は 稿 を 改 め て検 討 す る予 定 で あ る。  (1979年9月10日 脱 稿)   (本 稿 は 昭 和54年 度 文部 省科 学研 究 費補 助 金 に よ る研 究 の一 部 で あ る。) (追 記)'  本 稿脱 稿 後,日 銀 調査 局 「最 近 に お け る米 国 の金 融 政 策 運 営 につ いて 」 『調 査 月報 』 昭 和52年3月 号(本 稿1節 に 引 用 した 日銀 論 文 と同名)の あ る ことを 知 った。 本 稿 で考 察 対 象 と した 問 題(視 点 は 異 な る)も 扱 わ れ,詳 細 に論 じ られ て い る。   な お,1978年10月 の定 例 会 議 で,マ ネ ー ・サ プラ イ の短 期 目標 値 と してM,'の 設 定 が 追 加 され た。 これ はMに 次 の 項 目を 加 えた もの で あ る。 商 業 銀 行1へ の 貯 蓄 預 金,銀 行 ・金 融 仲 介機 関 のNOW勘 定,相 互 貯蓄 銀 行 お よび信 用 組 合 の 当座 性 預 金 。

50)  B.M.  Friedman,"Targets,  Instruments  and  Indicators  of  Monetacy  Policy,"

  Jour,  of  Monetary  Economics,  Vol.1,  No..4(Oct.1975),  PP.443-72,一,``The

  Inefficiency  of  Short-Run  Monetary  Targets  for  Monetary  Policy,"Brookings

  Papers  on  Economic  Activity,  No.2,1977,  PP.293-335.

51)同 様 な 見 解 はB.h1.フ リ ー ドマ ン の 上 記 第2論 文 に 対 す る 討 論 隷 こ よ っ て も 示 さ れ

参照

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