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スキャンロン・プランについて

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スキャンロン・プランについて

序  スキャンロン・プラン︵Gっ8三8コ¢。瓢︶というのは、その創始者である日。ω①9Z’ω8巳8の名をとった労使協力と生産 性の向上を志向するプランの名称である。一般に産業における労使関係は、対立︵8監馨︶と協力︵8・言書同8︶の二つの 行動契機を内に蔵していると解される。そして関係主体の成熟につれて、対立を指標とする労使関係のみならず、協力を 指標とする労使関係も、漸次組織立った、制度化された関係︵湊談藪露豊鶉山器一巴。蕊5も︶へと発展してきている。 前者が 団体交渉制度、苦情処理方式として具体化されているのに対し、後者は種々の組合参加制︵毒帥8冨同且9耀け§︶として展開 されてきている。そしてスキャンロン・プランは後者すなわち組合参加のぎわめてすぐれた方式として注目されているの である。  アメリカ産業における労使協力制の歴史は一九二〇年代の衣服産業や鉄道業の協力制に始まり、三〇年代前期は不況の 影響で中断されたが、後期には鉄鋼業における協力制として再出発している。前者の代表的な例としてあげられるのが、 ゆ。匡ヨ。お節○窪。幻⇔岸。⇔αのケース︵bd8α○コ曽と呼ばれている︶である。特に注目されるのは、二〇年代の半ばに、 AFL自身が従業員代表制︵§鳳。団①Φ器蜜Φ。。2聾ぎ℃ぎ︶の伸長を阻止する目的で、 肥豆して労使協力制の推進に当ってい      スキャンロン・プランについて      二五

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      スキャンロン・プランについて       二六 ることである。その考え方は、労使関係に対する組合保守派 ︵OO口鴇凹く帥江く① ロ二一〇づ一ωヨ︶ の見解を示すものとして甚だ興味深 い。すなわち、当時のAFLは協力制を団体交渉制に比べ、より進んだ労使関係であるとみていたのである。    ﹁若い、未承認の組合の第一の仕事は、斗争によって団体交渉制をかち取ることである。⋮⋮一度この斗争段階を成功裡に乗越えた  ならば、組合は産業における新らしい、責任ある任務を引受ける。協力を斗争に優先させる。苦情処理機溝は、生産をより効果あるも        ②  のとする方法や手段を考えてゆく機構によって補足される。﹂  AFLはこのような見地に立って協力制の推進につとめたが、一九三〇年における南部での運動の失敗によって潰え去 った。  三〇年代後期の労使協力制は、C10所属の鉄鋼労組によって進められた。すなわち﹁生れた煙りの鉄鋼労組は、組合 員と組合のために会社を救助する問題に直面した。最高指導層は協力制の導入に好意的であった。しかしより重要な点だ が、同組合はその仕事をやってゆくのに必要な人材を有していた。⋮⋮副委員長のゴールデン︵Ω冒け8ω,Oo己窪︶、技術         部長のスキャンロン、調査部長のルッテンバーグ︵頃竃・白目菊三けgび①﹁σq︶がそれである。﹂ ゴールデンとルッテンバーグの 有名な、.↓ぴ①∪旨鋤巨。ωohH⇔象ω民飢∪①ヨ。自霧ざμ逡卜。、、なる著書はこの時の経験から生れたものである。又ゴールデン は一九四七年全米企画化協会︵Z駐8巴コ⇔目ぎσq諺。。の。。蜂冨︶の産業獣畜要因究明委員会の委員長となり、その報告書は産        ③ 業平和に関する最も権威ある調査報告として知られている。そしてスキャγロンは本稿で取り上げたスキャンロン・プラ ンの創始者となり、協力制の実践に多大の貢献をしているのである。   スキャンロンの経歴はきわめて多彩である。本来の仕事は原価計算にあったが、一時はプロボクサーとなったこともあり、又三〇年  代の不況期には具さに辛酸をなめた。景気が恢復に語った時、彼は地方の製鋼エ場に雇われ平炉工となった。そしてこの会社における  労使協力の生産性向上プランがスキャンロン・プランの先駆となったのである。三六年鉄鋼労働者組織委員会︵ω≦OO︶がっくられた  時、彼は同工場の組織活動で指導的な役割を果し、新らしい地方支部の委員長となった。同工場が三八年に閉鎖寸前の状態に追い、込ま

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れた時、スキャンロンは他の組合幹部と共に社長を説得して組合本部に同道、ゴールデンの助言を求めた。ゴールデンはその時の答を 次のように要約している。﹁私は彼らに、工場に戻って従業員↓人一人に直接会い、会社の存続のために無駄を排し、能率を促進し、費用 壷切りつめ、製品の質を改善するように協力し、且作業工程について気付いたことを教えてくれるようかれらに要請することを示唆し た。﹂こうして生れたのが労使協力の生産性向上プランであった。これは非常な成切を埋め、その後のスキャンロンの仕事のもととなっ た。そしてこれが機縁で彼は鉄鋼労組の全国本部に迎えられ、生産技術部長︵∪貯Φ。8り。h夢Φ中。量。仲δコ国辱ぎΦ興ぎぴqu⑦窓二日①暮︶ となって、労使協力制の指導に当ることになったのである。彼はそこで略五十社に及ぶ多くのケースに関係し、大きな成果を挙げてい る。↓九四六年、彼は主に健康上の理由で組合の職を辞し、当時M工Tの産業関係部長であった∪。信σq甑ζ。O器σq。﹁の奨めで同部のス タッフに加わった。以来十年間↓九五六年の死去まで労使協力制の調査研究と実践の指導に当った。スキャンロン・プランの名が広く 知られるようになったのはこの時期である。彼はMITにおいて毎年同プランを実施している会社の労使や、それに関心をもっている 人々を集めてスキャンロン.プラン会議︵OQOP昌一〇昌 勺一己昌 OO口hO同①μO①︶を開き、同プランの改善と普及に努めた。そしてこの会議は、彼 の死後も後継者レゼーア︵閃同OαΦ同点O醤 O● ︼じΦω一Φ億N︶が中心になって開かれている。 因に、五七年の会議の内容は、レゼーアの編になる .、目冨Go8巳。ココき一⇔閃δヨ興きびpび。〒窪窪。σqΦヨΦ曇Ooo℃Φ韓δPH8G。、、に具す処なく牧められている。  このようにスキャンロン・プランは組合指導者の主動によって生れた労使協力制である。それは大ぎく分けて次の二つ の部分から成っている。①生産性向上を目的とする合同委員会機構とその運営 ②生産性向上成果の配分方式、がそれで ある。前者を経営参加と称するならば、後者は分配参加ということになろう。それは具体的にどのような内容のものか、 どのような指導原理によっているか、それは従来の協力制とどう違うか、その意義如何。以下これらの諸点を明らかにす るのが本稿の目的である。      , @・ @@¢ O帥霞。一一幻●U国口αq7①二ざH帥び。﹁℃﹁oげ一Φヨωぼ﹀ヨ①ユ。ロロ一口窪自ωけ円ざ6自℃℃℃■腿刈㎝∼画刈①・ Z忽一類りOずゆ日び①=巴ジOo一一Φoユ︿①じd国﹃αQ鉱口ぎ堕一㊤㎝一電唱.自Φ● 一σδ二〇ワらb﹂QQ∼らb⊃㊤. ρOQ﹂Oo一創①ロ磐島く■U.℃ミ評Φ50磐ωΦωoh一昌自皿ω達す一業$oρ一㊤田はその要約で.ある。 スキャンロン・プランについて 二七

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    スキャンロン・プランについて      二八 ⑤ ↓げ①ωo餌巳。ロ℃富P①象8αげ︽国●Φ・ピ窃一Φロび一㊤㎝Q◎℃唱.卜 ⑥例えばゴールデンらはスキャンロンが人絹会社を指導した例を詳細に紹介している。︵Oo冠Φ昌砦α菊ρ算Φロび興αq讐感ずΦ∪旨餌ヨ8ωohぎユ皿ω三巴  UΦヨoqgざおお”娼℃◎ミ軽∼ミQ。︶ ⑦入キャソロソ・プランに関する論文や事例研究は可成り多いが、↓冊にまとめられたのはこれが初めてのようである。尚同書は、一♂Φの$巳。﹃  ↓冨ζ9P 閏 目甘々冨ジ目 国く四一爵焦。昌の三部に分たれ、 他にスキャンロンの利潤分配制に関する事例研究を含む四つの付録が牧められてい  るQ本論文は主にこの書に拠った。      . 二         スキャンロン・プランの基本構造  スキャンロン・プランは経営参加と分配参加を主な内容とする労使協力プランである。これを構造的に捉えるとすれば 合同委員会制と成果配分方式の二つになろう。以下その概要をみてゆこう。  ω 合同委員会制 経営参加は生産委員会︵冒・匹9薮コ8ヨa羅①︶と、審査委員会︵貫Φ①bぎσq8ヨ巳#8︶の二つの合同委員 会を通して具現される。  ㈲ 生産委員会 生産関係部門丈けでなく、スタッフ部門を含むすべての部門について設けられ︵但し小規模の部はいくつ か集って﹁つの委員会を作る︶、経営側代表1一主に第一線監督者一名一と組合代表一名乃至若干名をもって構成される。 委員会は少なくとも月一回は会合して月別の生産予定を検討し、且無駄を排し、能率を高める手段方法を討議する。その なかで特に重要なのは組合側委員が提出する提案︵。。・σqσq①。。審口︶の処理である。提案は一般に行われている提案箱方式をと らず、提案事項を持っているそれぞれの従業員は、同じ部門の組合側生産委員会委員を通して提案を行う。そしてその委 員はその提案の記録説明に当る。又提案で取上げられた問題に精通している従業員を、二人を限度に、委員会に出席させ ることができる。各提案は十分な検討を加え双方が採択に賛成した場合は実施に移される。但し他部門に関係したり、多,

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額の支出を伴う場合は上級の審査委員会にもち込まれる。又両者の意見が分れた場合、及び両者が却下することに意見の 一致をみた場合、共に審査委員会に回付されて再審査を受ける。すなわち生産委員会の穀階では、いかなる提案も否決す る︵けゲ円O乏 ○信け︶ことができないのである。さらに委員会の機能が苦情処理委員会の委員の職務に抵触せぬよう、関係の職場 代表︵浄8ω滞蓄己︶の出席を認めている。  ㈲ 審査委員会 審査委員会は生産委員会の上級の委員会である。その構成は同数の経営代表と組合代表から成り、人 数は概ね八−一二名である。前者は社長又は副社長、財務部長もしくはコントローラー、技師長、工場長などのなかから 任命され、後者は、生産委員会の単位になっている部門がいぐつか集って選出した委員に組合の支部長が加わって構成さ れる。  審査委員会も毎月少なくとも一回は開かれる。その機能は略次の三つに要約される。①前月の成果を検討し、当月の賞 与額或いは不足額を全従業員に報告する。②プランの実行に影響を与える可能性のある事柄に就いて会社側の職員と討議 する。経済の見通し、市場の情況などがそれである。③各生産委員会から回付される提案を審査する。既に生産委員会で 採択され、実施に移されている提案は記録される。生産委員会で却下された提案は再審査され、労使の意見の岐れた提案 については決定を下す。但し提案の採択乃至却下については票決︵︿。§ひq︶を行わず、最高経営者がその権利を留保してい る。提案に対する個人的褒賞は行わず、すべて全体に対する貢献とみて、成果はプラン参加者全員に配分される。 、之を要するにスキャンロン・プランの参加機構は、①無駄の排除と能率向⊥を目的としている ②参加主体は組合であ る ③上級、下級二種の合同委員会から成っている ④提案制が中核をなしている ⑤成果配分と不可分に結びついてい る、などが要点になっている。  ② 成果配分方式 具体的な成果の配分には、第一に生産性向上の成果を適確に算定することが要求される。何を成果      スキャンロン・プランについて      二九

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     スキャンロン・プランについて      三〇 算定の指標とするか、その測定尺度︵ヨΦm。。日Φヨ。三︶が問題になる。 第二に算定された成果を労使の間でどう分けるか、つ づいて個々の従業員の間でどのように配分するか、つまり配分の方法をどうするかを決める必要がある。まず前者の問題 からみてゆこう。  スキャンロン・プランでは、配分さるべき成果は賃金だけでなく給料をも含む広い意味での労務費の節約分を意味して いる。しかし何を基準に節約分を決定するのか。ここでは科学的に算定された労務費が基準になっているのではない。外 部からもって来た基準でもない。当該経営の過去のある期間の実際労務費から導きだされた労務費率を規準として節約労 務費を算定している。すなわち﹁まず特定の生産単位における賃金総額︵8邑慧智・一=コ螢冨註。巳霞箕。曾。二く①§乙と、その         賃金総額によって生産されたものの販売価値︵邑①。・邑器︶との問の関係をある期間について測定する。﹂これがこのプラン の規準労務費率︵頸。q9牙尊8§。同ω8三。醤コき目巴・︶となるのである。尚ここで生産高の販売価値というのは、正味売上 高に製品・仕掛品の棚卸高の変化を加減した金額である。具体例についてみよう。  次の表は、E・パッキットが例に挙げている一会社の規準労務費率の算出表である。この表では次の諸点が注意を要す る。①.棚卸高は原価で評価されている ②棚卸高には原料は含まれない ③賃金俸給は時間外手当、交替番手当、賞与、 −割増金などを含めた総額で計算する ④休祭日分の留保額︵憎①。。固く①h。﹁<p。8ぎ嵩⇔乱げ。臣昌ω︶というのは、休祭日手当の平 均化を図るため年間支出の十二分の一を見積ってリザーブしておく額である、などである。  規準労務費率は各欄の十ニケ月の平均から算定される。その算式は次の通りである。     ∩H昇訓■﹃訓︶汁︵謹瞭口訓亀︶矧へ﹁︶“︵匪鰍㊦齎訓自颪︶     ︵H舗掛洪隙臨慧︶十︵蜘蟄ヨ糾蛍囎叢誌︶一︵募膿皿唱脹囎痢憲︶H︵単解漁除お盛︶     ︵幽腿漁臨謝盤︶十︵餅鰍㊦類副自面︶11︵昧麟踏樹︶

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7対3 の割合 (7)÷(3) 調整給与 額 総 基 準 比 率 算:出 表

性産の「工轍払臨蘇鋪

(第一表)

”留”卸鰻”B好翻穏“鵠

333433433444

(7) $ 277, 825 305,187 290, 852 398, 898 321,185 333, 876 202,2e4 324, 160 323, 593 353,973 375, 394 314,407 休祭日分 の留保額   (6) $  12,402  12,402  12,402  12,402  12, 402  工2,402  12,402  12, 402  12,402  12,402  12,402  12,402 払俸給額 (5) $ 79,627 87,836 83, 535 85,949 92,635 96,442 56,941 93,527 93,357 賃金額 販売価値 239, 10Qi        h 254, 0941 102,471 108,898 90,301 ︵4︶ 鱒 185,796 204, 949 194,916 200, 549 216,148 225, 032 132,861 933, 797r 947, 1521 218,231 217, 834 210,704 ︵3︶ 蹄 861,714 934,087 785,470 693, 903 815,767 856, 573 483,720 38.2 $ 3, 720, 555 $ 148, 824 $ 2, 50e, 212 $ 1, 071, 519 860, 084 844,434 713,925 $ 6,730,6?一6 棚卸高の 変  化 〔謝藷) (2) $ 15,365 78, 532 一 9, 856 IL363 61,337 一 6, 542 20,853 12, 624 一 3,009 8,751 17, 883 10,767 正味売上 ︵1︶ $ 846, 349 855, 555 795, 326 682, 540 754,430 863,115 462, 867 921, 173 950, 161 851,333 826,551 703,158 1956 月

12 3456789101112

Wg,s 12, sss[ $ 218,068 (The Scanlon Plan op. cit. p. 68) スキャンロン・プランについて  第一表の三八・二%はこのようにして得られた労 務費率である。そしてコ旦この比率がきまると、 ブラシ実施中はどの月でも賃金総額が基準以下であ

      

れば差額が賞与源資︵げ。宕。・宕&となる。しすなわ ちそれがこのプランにおける生産性向⊥の成果に他 ならないのである。その算定は次のようにして行わ れる。  い.ま、 求める源資を︸“生産の販売価値をじU娩 実際労務費率を幻“規準労務費率を菊。とすれば、

>i梯.−麹。ゆ、となる.論る言下霧費

をρとすれば、ぐ。、邸信であるから、

鋭⋮岬発、−幻岬発ド

   黷莓ヲ酬。力。−黎・困。騨−ゆ麟%。占・ すなわち賞与源資諺・は¢月の規準労務費 ゆ覧力。    から実際労務費9を差引いた額、すなわち  μ8 労務費節約分として算出される。          一三

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賞一与の算定(1957年1月) (第二表) スキャンロン・プランについて 総売上高

.一x払運賃   

$12,268   一戻り高       3,465 正味売上高 棚卸増加額 生産の販売価値 基準給与額($950,123の38.2%) 実際給与額;   工場賃金       $206, 674   事務所俸給        88,574   休祭日経費留保額      12, 402 $ 898,780 15, 733 $ 883,047  67, 076 $ 950,123  362, 947 307, 650 賞与源資      $ 欠損月に対する留保分(25%) 賞与残額       $ 会社分配分(25%) 従業員分配分(75%) 賞与支給額の参加者給与額に対する比率(註)   ($31,105÷$295,248) 55, 297 13, 824 41, 473 10, 368 31, 105 10. 5% 参加者給与額(participating payro11)は給与 総額から休祭日経費留保分を差引いた額である。 (The Scanlon Plan, op. cit. p, 71) (註) 額は第二表では;丁八二四弗になっているが、これは第三表の留保勘定に加えられ、 をその年中に支払われた賞与総額を以て除し、⋮⋮そのパーセントをプラン参加各従業員の賞与年額に掛けて分配する。L  会社への配分は初期のスキャンロン・プランでは考えられていなかった。﹁労働側は労働節約分のすべてを手に入れ、        経営の利潤は総経費︵間接費、労務費︶を増さずに売上げを増すことで得られる﹂というのが基本的な考え方であった。こ れを七五対二五に分割する方法に変えた理由についてレゼーアは次のように云っている。 ﹁これは従業員が生産性を四% 上げた時、会社が一%を回饗する︵・Φ豆Φ︿Φ︶というやり方である。 それは従業員に彼らの努力に対し公正な報酬を与える          三二  第二表の賞与源資五五・二九七弗は右の式を適 用して得られた額である。  この賞与源資は欠損月に対する留保分二五%を 控除して、残額を会社へ二五%、従業員へ七五% 配分される。二五%を控除する理由、は次の通りで ある。第二表に見る如く、労務費率が月によって 可なりの違いがある。すなわち一月の三二・二か ら十一月の四四・四まで一二・二の幅がある、つ まり各回弗の売上について労務費が一月は三二・ 二弗ですんだが、十一月には四四・葦葺までに上 ったというに他ならない。この偏差︵畠①風p怠8︶を﹂ カバーするのが二五%留保の理由である。この金        年度末に残高があれば、 ﹁同金額       ④

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O 賞与留保分明細      (1957年1月) (第三表)

鰭募旛属雰

留保総額 $ (25%) $ (75%) 3, 456 3,456 10, 368 10, 368 邸 13, 824 月始在高 当月付加分 月末残高 1$ 13,824 (The ScanLon Plan, Qp. cit. p. 71) 比率は、過去のある期間の実際労務費から経験的に導きだされたものであるから、 キットは次の諸点をあげている。 .第一に製品価格の変化は基準時の正味売上高を変化率で修正する。賃金の変化も同様の方法で処理する。  第二に製品混合︵℃﹁o晋g巨×︶に関係する修正要因が考慮されねばならぬ。価格の変化率が製品の種類によって異なる 場合は、売上高に占める各製品の割合によってウェイトをつけて修正する。また﹁製品混合の変化は、製品価格に占める 労務費に基づいて修正される。例を以て示そう。基準年次における総売上高の中で製品Aが五〇%、製品Bが五〇%を占 め、且労務費が一石の売上につぎA製品で一〇仙、B製品で二〇仙を要するものとする。いま売上高がB製品六〇%、A 製品四〇%の割合に変ったとすると、次のように修正される。      スキャンロン・プランについて       三三 のと並んで、労務費を低くするという目的にも適っている。成果の分割配分によって会社        は少々の変化に対して規準労務費率を修正する必要がなくなる。L  第二に注目すべきは、配分を受ける従業員の範囲である。それは生産労働者︵箕&8ぎ口 ≦。蒔Φ昌︶に限定されない。 すなわち﹁ここで賃金総額という時、団体交渉の単位について いって、いるのではない。工場全体についていっているのだ。⋮⋮そしてこの場合私は会社 の最上位から最下位までの人を考えている。われわれは常にチー,ムを出来る丈け幅の広い ものにするよう奨めてぎた。われわれは、実際は、祉長から掃除夫まですべ.てが同じ計画         に加わることを望んでいる。私はこれこそスキャンロン・プランの力であると思う﹂とソ        ゼーアは述べている。覧⇔⇔学琶山Φ言8巨ぞ①℃浅きと称される所以である。  第三に規準は情況の変化に応じて修正される。けだしスキャンロン・プランの規準労務       こうした修正は当然予想される。パッ \

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スキャンロン・プランについて 三四  基準年次   製品Aの労務費11一〇仙︵五〇%︶“ 五仙   製品Bの労務費11二〇仙︵五〇%︶h一〇仙   合計労務費      H一五仙  製品混合に変化のあった後   製品Aの労務費11一〇仙︵四〇%︶“ 四仙   製品Bの労務費11二〇仙︵六〇%︶目一二仙   合計労務費      目一六仙  以上の分析は、合計労務費が生産の販売価値の一%だけ増加し、労務費比率もその分だけ修正されるということを示し     ている。L  最后に基準年次の牧益性︵買。h冨匡菖︶の如何がとり上げられる。損失をだした原価構成の下で導ぎだされた規準を、長 く続けることは許されない。便宜的には、基準をそのままにして会社側への配分を多くする方法も考えられるが、それよ りは損益分岐点を基礎に比率を修正するのがより健全であるといえよう。  以上がスキャンロン。プランを形づくっている二つの要素、合同委員会制と成果配分方式の概要である。勿論これら両 者は労使協力による生産性向上のプログラムの一環として案出されたものであり、その価値は、各々が労使協力と生産性 向上にどれ程有効か、という視角から評定せらるべきである。章を改めてみてゆこう。  ①本章は主に前掲レゼーア編、﹁スキャンロン・ヅラソ﹂中の次の諸論文を参考にした。幻=ω。。Φ=乏.U叫くωコ℃o答”.薗旨86ユω①ho円国くΦ毒草国コ、.−  頃﹃Φ匹Φ匡。犀O●ピ①巴Φ⊆さ.、≦ず歴日﹃Φ℃冨コ♂5、け曽昌血乏﹃讐犀﹃..、嗣ぎ円三けq①60’℃βo評Φ洋−.、]≦Φ凶ω¢ユコ㈹℃Φ鳳。﹃曇ゆロ。①¢昌ユ①居けげΦωop巳。昌  虐帥コ...

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、 ②③ ↓冨Qり$巳昆コき℃8■Ω叶こ℃■霧. ⑥まごこ戸ホ.  ⑦旨葬博やお. ④ま博ユこサ。。恥. ⑧ぎ§魑マ這刈・ ⑤ま三こやト。b。. ⑨ 一び置こ娼■謬■ 三 スキャンロン。プランの特色  上述の如く、スキャンロン・プランは提案制を中心とする経営参加と、賞与プランによる分観参加を含む労使協力制の 一類型である。しかしわれわれはこれを労使協力の単純な公式と即断してはならない。同プランの唱道者もプランの公式 化を非常に警戒している。特に成果配分の方法は公式視される恐れが大であるといえる。例えばパッキットは次のように 述べている。  ﹁スキャンロン・プランの解明に関心をもっている人の多くは、労務費率︵韓5︶こそ独得の、中心的存在であり、奇 跡を生みだした神秘な用具、乃至は秘密の仕掛︵嘘ヨ巳爵︶であるとの考えをもってスタートしている。恐らくこれは、基 準そのものに自然に注意や感情が集る個別的インセンティブ制の根本的な老え方を受け継いでいるからだろう。しかし、 スキャンロンは単に出来高制に替るものとして、新らしい成果測定方法を提示したのではなかった。かれは遙かに広い領 域に亘る重要な問題について述べたのである。すなわち新らしいコミュニケイション過程、産業組織が直面している果て        しない諸問題解決への新らしいアプローチ、約言すれば働いている巌々の間の新らしい関係について述べたのである。﹂  スキャンロンは、測定尺度は単純且理解に容易なものでなければならないと考えていた。すなわち労働者が賞与を受取 った時、何故それが得られたかを直ちに理解できるような方式というのがその狙いであった。測定の規準も必ずしも労務 費率に限定しなかった。例えば銀器製造の会社では処理された銀の目方、倉庫会社では倉入の噸数、鋳物工場では鋳物の 目方、多種類の鉄鋼製品を造っていた会社では営業利益といった風に、それぞれの情況に応じた指標を選んでいる。      スキャンロン・プランについて      三五

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     スキャンロン・プランについて 、      三六  又規準労務費率も固定させず、情況に応じた修正をすすめている。この点スキャンロン・プランと並び称されるラッカ ー・プラン︵蔭口O貯①H ℃冨コ︶の場合は梢異なっている。 すなわち後者では、適用企業に固有の賃金標準生産性︵欝乱貰亀山㌣ 曹。牙ξ・註・︶乃至賃金常数をみいだすことが第一の課題とされている。これが発見されれば、﹁賃金総額は生産価値に正 比例して変動する﹂という同プランの基本原則によって、労働者への生産価値分配分が容易に算出されるのである。この ようにひとしく過去の経験数字に拠るといっても、後者では、明確な、固定した割合の発見を最大の課題としているのであ   る。上記の如く、スキャンロン・プランの規準労務費率の設定には、ラッカー・プランのような精密な調査と分析を必要 としない。基準時の実際数値から容易に算定できるのである。さらに基準時をかえることで規準率はかえられる。例えば        レゼーアは基準時について﹁最近の年が常に最上である﹂とさえいっている。又労使協力の委員会についても、その⋮機構 や運営上の方式に厳格な規定が設けられているわけではない。もともとスキャンロン・プランの最大の狙いは労働組合を も含めての全企業的な規模のチームワーク︵℃ぎ竿葱号叶Φ§ぎ節︶にある。合同委員会も成果配分も共にこれを実現するた めの手段方法に他ならないのである。  ところでピゴールスらによれば、本来チームワークは面接的な小集団を対象とする概念で、より大きな、構成員間に直接 の接触がない組織を対象とした場合の、チームワークに対応する概念は、協力関係︵8・℃窪牙賃①毎び口。。﹃ぢ︶と称すべきだ        といっている。けだし両者はきわめて異質の属性を含んでいると解するからである。さらに経営と組合の協力を労使のチ ームワークと称することもあるが、これは、両当事者が共に独立の集団であるため、右二者の何れとも異る性格のチーム ワークたらざるを得ない。そしてスキャンロン・プランはすぐれて労使協力のプランとして特徴づけられるが、しかしそ れはピゴールスらのいうチームワークと協力関係を包摂する、きわめて幅の広い労使協力プランを志向している点が注目 される。換言すれば、同プランは職場集団のチームワークと全従業員の協力関係をふまえた労使協力体制の樹立を意図し       !

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ているのである。  レゼーアはスキャンロン・プランにおけるチームワークの意義を強調し、種々具体例をあげてその必要を説明している が、要約すれば次の三点になろう。第一は機能的に分割されている諸部門、諸グループ聞のチームワークである。インセ ンティブ労働者や直接労働者の集団と間接労働者集団、技術部門と製造部門、会計部門と他部門などのチームワークの欠 如が屡々みられるからである。特に会計部門については次のように極言している。    ﹁私は諸社の多くの会計担当集団が、殆んど建設的な貢献を行っていないと云っていい程、融通のきかぬものになっているのを発見  して驚いた。会社に会計上のサービスをしているというよりも、寧ろ会社が会計担当集団にサービスしていると云った方が当っている  場合が多かった。会計の制度や手続をほんの一寸変えるだけで会社の刹益になると、彼らに提案してもひどい抵抗に会うことが屡々あ         る。⋮⋮会計担当者にとって最も重要と思われることは、〃われわれの機構を乱すな”ということであった。﹂  第二は上下の階層間のチームワークである。特に第一線監督者︵8器白き︶の集団は、組織の運営上ぎわめて重要な地位 にあり乍ら、上位の管理者層と下位の作業者集団の間に挾まれ、取り残された存在になり勝ちである。すなわち組織の階 層が増すにつれて、政策の決定を行う.⊥部管理層との間の距離が大になるだけでなく、与えられる権限が漸次縮少され る、又組合の組織化によって職場の・指導統制が難かしくなる、などの理由で、彼らが上下二路のコミュニヶイションにお ける墜路となっているケースが少なくない。そしてスキャンロン・プランの提案制はこの欠陥を除くため、彼らを全企業 的規模のチームワークに加わらせることを、重要な狙いとしているのである。  第三は労働組合とのチームワークである。これは団体交渉や苦情処理において取り⊥げられる問題とは異なった、いか に職務を遂行するか、いかに製品が造らるべきか、を主題とする労使のチームワークを意味し、所謂労使協力制の志向す る処と違わない。しかし注意すべきは、スキャンロン・プランにおける労使のチームワークは、他のあらゆるチームワー      スキャンロン・プランについて      三七

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     スキャンロン・プランについて      三八 クを包摂する、全企業的規模のチームワークの統合の指標となっていることである。スキャンロン・プランが磨れた労使 協力プランであると称される理由の一つはここに存していると考える。  しかし同時にわれわれは、このプランが、本源的には、スキャンロンの心底からの人間信頼、入閲尊重の精神に根ざし ていることを見逃してはならない。彼は従来の経営者が労働者を小包の如く看徹してきたことに強く反対し、労働者も自 己指揮、自己訓練、自己統制のでぎる、成熟した成人たりうるし、従って各々その能力に応じて経営の成功に寄与でき、 且仲間の幸福と福祉に貢献しうる、と固く信じていた。そしてこの信念を組織活動全体に徹底させることによって経営に おける民主化を実現しようとしたのである。  このようにみてくると、スキャンロン・プランの意図している全企業的規模のチームワークは、従来の労務管理、人間 関係管理、労使関係管理が、それぞれの視点からアプローチしてきた、個性の伸長、入間協同、労使協力といった諸々の 問題を包摂するきわめてユニークなものといえる。そしてかかる狙いを実現するために案出されたのが、提案制を中核と する経営参加方式と、節約労務費を源資とする賞与プランなのである。以下これら両者が全企業規模的チームワーク実現 の用具として、どのような特長をもっているか検討してみよう。  ホワイトは近著..竃。づ。図p民ζo鼠乱p戯。づ、、において、スキャンロン・プランに一章を割き、同プランの提案制が従来        のそれと異なった新らしい型︵コΦ≦ω旦①︶のものである点を強調している。 またストラウスらもスキャンロン・プランの         重要な特長として、提案制が新らしい形のものであることを指摘している。ところで、この提案制が新らしい型と称され る理由は一体どこに存するのであろうか。ホワイトはこの点を明らかにするため、まず古い型の提案制が内包する問題点 を次のように列記している。①個人の貢献の重視 ②職長と労働者の関係 ③アイディアの所有権の問題 ④複雑なアイ ディアと入間関係 ⑤文書によるコミュニケイション対社会的相互作用︵冨℃臼8二二8冨まロぐω・。。。畠=三①冨。試8︶の五つが

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    ⑧ それである。  従来の提案制が個人のアイディア、個人の貢献、個人の褒賞と、すぐれて個人中心であったことは否定でぎない。そし て個人中心の提案制.では、ややもすると実践性を欠く提案が多くなるだけでなく、職.場の人間関係を悪くする傾向があっ た。すなわち日常の仕事に係わる提案には、発案者は特定の個人でも、実質的には職場の他の入江が何らかの形でそれに 参与している場合が少なくない。あるいは解決を要する問題が複雑多岐でであるため、個人の手に負えぬ場合も少なくな い。さらにある種のアイディアは労働の節約を齎らすが、しかし同時にまた他人の職務を奪うという結果になるかもしれ ぬ。また提案制が職長と労働者の関係を悪くする恐れのあることも屡々指摘されている。けだし職長は、自らの指揮下に ある労働者が提案を行うということを、職長自身の能力や能率についての批判と看辛し勝ちだからである。  さらに従来の提案が、.文書形式による、提案箱経由という形をとっていたため、面接的相互作用︵︷PO芋汁OIh飴O① 一幅け①﹁帥O静一〇コ︶        から来る動機づけを欠いていることが指摘される。ホワイトは﹁通例の提案制は非人間化されたやり方 ︵鋤匹Φ℃Φ﹁し。。閉幕島         。需﹁艶8︶になっており、人間的な要素が.入ってくるのは、審査の場合のみである﹂とさえ極言している。かくして提案 制が真にすぐれたコミュニケイションの用具たりうるには、社会的相互作用を基調とすることが要請される。  これに対してスキャンロン・プランの提案制は、何よりもまず集団中心主義、チームワーク第一主義を以て貫ぬかれて いる。個人褒賞を一切排しているのがその最大の証左である。すなわち﹁各人はすべての人の利益のためにアイディアを 提供するよう期待されている。⋮⋮個人の金銭的利益が目的でないから、個人の利益と仲間の労働者に与えるであろう不         利益との板挾みにあって悩まされることもない。﹂  概括的にいって、提案には一個人のみの創意に成るものと、職場のグループが協同して作りあげるもの、及び両者の折 衷、すなわちアイディアのオリジネーターは個人でも、そのアイディアにヒントを与えたり、アイディアを具体化して提      スキャンロン・プランについて       三九 竪

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     スキャンロン・プランについて       四〇 案にまで発展させたりする過程で、職場のグループが色々な形で参加している場合が考えられる。実際は折衷的なケース が最も多いといってよかろう。そしてこれらをすべて︼個人の提案として処理しようとする処に従来の提案制の欠陥が存 しており、逆に集団性をぎわめて濃厚に打ち出した提案制であることが、新らしい型乃至スキャンロン型の提案制と称さ れる最大の理由なのである。  ﹁スキャンロン・プランの提案制は孤立した個々人の創意に頼っていない。提案の発見・発展、実施のための明確な機           構が設定されている。﹂生産委員会、審査委員会の機構がそれである。 すなわち提案は職場集団から生れ、集団の代表で ある組合委員の手を通って提出され、これらの委員が参加する合同委員会で審査される。つまり組合の参加がはっきりと 規定されているのである。それだけでない。フォーマルな機構を補うインフォーマルな討議が、組合委員と労働者や職長 の間で、又委員同志の間で盛んに行われる。このように、それは従来の個人中心の提案制に比べ、遙かに進んだ参加方式 といえる。そして個入褒賞を行わないということが、このような集団性の強い提案制を可能にした最大の要因となっている ことを銘記すべきである。しかも提案の実施によって得られた労務費の節約分は、すべて賞与源資に含められて配分の対 象になる。つまり個人褒賞を排して従来の提案制のもっていたチームワーク阻害の最大の要因を取り去っただけでなく、 より積極的にチームワークを促進する用具として、節約労務費の配分方式が工夫されているのである。  ストラウスらはスキャンロン・プランの成果配分方式一彼らは賃金方式と呼んでいるが一を﹁全企業的規模におけ         る集団出来高制﹂と解し、そこで支払われる賞与は﹁生産性を高める誘因として価値があるだけでなく、フィード・バッ クの方法として、つまり協力がどの位うまく行われているかが、参加者自身によって測定されうる尺度としてねうちがあ   る﹂と述べている。換言すれぱスキャンロン・プランの成果配分は金銭的インセンティブ︵出ぎ窪。邑9①88ヨざ一山。三二ぐ①︶ としての機能と、協力の実現を測る指標としての機能を併せ持っているというに他ならない。しかしこのような理解の仕

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方で果して十分といえるであろうか。  周知の如く、インセンティブ制は何を誘因とするかによって金銭的・非金銭的に区分され、対象の如何によって個人的 ・集団的と区別される。そしてスキャンロン・プランの成果配分は金銭的、且集団的インセンティブということになろ う。しかしそれは、能率は金銭報酬額の函数であると、の考え方を基調としている従来の金銭的インセンティブ制とは異       ⑮ なるし、又標準作業時間の設定と組作業を前提要件とした、曽ての集団賞与制︵σq﹁。唇げ。萱ωω更聾︶とも同一視すべぎで ないと老える。 .  スキャンロン・プランの成果配分は︸種の賞与制であるが、しかしその額の多少が直ちに生産性の程度を左右する程の 働きはもっていないように思う。寧ろそれは経営参加、労使協力を促進し、それを媒介にして生産性の向上に寄与してい ると解すべきである。それ故に、ピーターセンらがこれを年間保証賃金制、年金・退職金制などと並べて補足的金銭イン         センチィブ制︵。。看。﹃日Φ巨節q穿磐9叫=︸8ロ凹くΦ。・︶の範疇にいれているのは十分肯ける。けだし何れも金銭支出を伴ってはい るが、金銭支出のインセンティブとしての機能は、補足的乃至間接的たるにとどまっているからである。  又スキャンロン・プランは集団を急劇としているが、古い集団インセンティブ制と同一視できない。後者は五−五〇人 程度の小集団の作業単位を対象にしたすぐれて能率志向的なプランであった。これに対しスキャンロン・プランは、全企 業的規模の、労使協力に力点を置いたインセンチノ、ブ・プランで.ある。両者の差異は一見量的なものに過ぎぬようだが、 実はそうでない。両者はそれぞれ異なった生成の基盤に立つ異質のものとみるべきである。すなわち古い集団インセンテ ィブ制は、集団を対象としているが、能率を金銭報酬の函数とする金銭的インセンティブ制の根本原則は堅持している。 つまりそれは能率賃金の系譜の中で捉えらるべきものなのである。繋るにスキャンロン・プランの成果配分は元来賃金乃 至報酬形態として案出されたものではない。それは何よりも労使協力プランの重要な一翼を担うものとして、すなわち協      スキャンロン・プランについて       四一

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     スキャンロン・プランについて       四二 力を促進し、且その成否を測る用具として案出されたものなのである。  レゼーアはスキャンロン・プラン全体を全企業的規模のインセンティブ制︵冨三還浮Hg①壽く①娼一碧︶と称し、﹁その中核         をなすものは参加であり、参加は生産能率の向上を促進するための労使合同委員会の創設によって具現される﹂と述べて いる。然らば成果配分はここで一体どのように位置づけらるべきだろうか。  われわれは、スキャンロン・プランの実践過程は、経営参加←生産性の向上←成果配分という過程と、成果配分←経営 参加←生産性の向上という過程の二段に分けることが適当であると考える。前者は経営参加が生産性向上へのインセンテ ィブとして作用し、それによって齎らされた成果が配分されるという過程である。ここでは成果配分はインセンティブと ↑して機能しない。しかし次の毅階では、成果配分が経営参加を動機づける誘因となり、その結果生産性の向⊥が齎らされ るのである。  ここで注意すべきは、成果配分が直接生産性の向上を目標にしているのではなくて、中間に介在する経営参加が目標に なっているということ、これである。周知の如く集団、就中大規模な集団を対象とする金銭的インセンティブにおいて は、個々人の努力を如何に報酬の上に反映させるかが最大の難点とされている。これに対し、スキャンロン・ブラシの下 では、成果配分の直接目標は経営参加であり、チームワークである。個人的褒賞は寧ろ有害であり、排除さるべきものと 看徹されている。  以⊥要するに、スキャンロン・プランの最大の特色は、一入性に替る集団性、具体的には全企業的規模のチームワーク を強力に打ち出したプランである点に求められる。そしてこのプランの二本の柱である提案制と成果配分は、共にこのチ ームワーク達成のためのインセンティブたる役割を担っている。この意味でスキャンロン・プランは、正に全企業小規模 のインセンティブ制の名に値するものである。

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①↓冨ω6四巳8コpp8。息叶こや9. ② ラッカー・プランの詳細は、今坂朔早耳稿﹁成果配分はいかにあるべきか﹂、マネジメント、昭三五年九・一〇月号参照。 ③↓冨QQo騨巳8コ鋤poやユ叶こ唱.お● ④賢霊αqo冨国注ρ︾。言巻笏”勺Φ議。目2︾ユヨぎ韓冨叶一〇ジおα9唱﹁㊤O時h. ⑤↓冨ωB三自コ磐闇8’ユけ。’O.ωO. ⑥ ♂<帥臣冨目司。を7望8、]≦oコ①︽帥口山]≦oユ≦鋤二〇量一㊤切907聾や=● ⑦J・ストラウス、﹂・セイルズ﹁スキャンロン・プラン﹂︵坂東訳︶、アメリカーナ、﹁九五九年﹁月参照。 ⑥乏げ異ρo戸島汁二℃やミ一∼嵩し。・ .⑨ 閤。淳ず∪四乱P国ρヨ①昌幻①冨二〇コω一づH≦mロ国騨qΦヨ①艮−一㊤笛8唱.ωO卜。. ⑩芝ゲ旨ρoO■ユ∼唱.嵩b。●  ⑪ま置二や旨ω.  ⑫まζ℃やミω● ⑬⑭ ストラウスらの前掲論文、四一頁。 ⑯ 集団賞与制は一九二〇年代に米国の自動車産業を中心に可成りの普及をみたといわれる。 詳しくは要地庸治郎﹁賃金論﹂、  よ。 ⑯即℃卑①議2国巳国■O●頃。≦ヨき、udロω冒⑦ωω○蹟p巳Nm二8四竃言切冨◎q①臼gfお㎝ρOや幽露∼お9 ⑰臼9QQ畠巳8コ磐℃8’g叶こ﹀署g9×︸㍗お㊤● 第十二章集団賃金制をみ 四 結 び  上述の如くスキャンロン・プランは全企業的規模のチームワークを志向するプランである。それは経営内における全員 のチームワークと、経営外にある組合と経営とのチームワークを含んでいるが、特に後者を重視している。確.かにこのプ ランは、従来のチームワーク・プラン、例えば諸種の合同委員会方式.などに比べ、より幅のある、説得力に富んだプランで ある。しかし勿論完全とはいえず、畏いくつかの困難な問題を内蔵している。そしてその第一に挙げられるのが、実は、 同プランが最も重視している労使のチームワークである。ずなわち一般に労使関係において、協力.関係よりも寧ろ本来的       スキャンロン・プランについて      四三

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     スキャンロン・プランについて      四四 な領域とみられている団体交渉、苦情処理の関係を、この全企業的規模のチームワーク・プランにおいてどのように位置 づけるかの問題である。  スキャンロンをはじめとするこのプランの唱道者は、労働組合の伝統的な機能である団体交渉、苦情処理の機能は、プラ ンとは全く別のものであるべきだと老えている。すなわち﹁組合の職場代表と役員とは地方組合の委員長を除き生産委員        会乃至審査委員会の委員の地位に就くべきでない﹂と述べている。これは恐らく同じ労使代表が、共通利益主題と対立利 益主題を同時に、平行して処理してゆくことは困難であるとの理解に基づくものであろう。  これに対しストラウスらは実態調査と文献の分析から、﹁団体交渉の機能をスキャンロン・プランと完全に切離すこと        は試みない方がいいであろう﹂と結論している。けだし﹁組合の役員は協力活動から除外されている限り、彼らは破壊的           に行動するだろう﹂とみるからである。換言すれば、同一労使代表が、団体交渉、苦情処理の機能と、労使協力の機能 を、同時に、平行して遂行してゆくことが可能であるとの見解に他ならない。  これら二つの見解はきわめて二三的であるが、しかし何れも、これら二つの関係、二つの機能を、全体の労使関係のな かで相互に位置づけることの困難さを裏書している。すなわちスキャンロン・プランは、この問題を関係主題の違いに力 点を置いて組織の面で解決を図ろうとしているが、ストラウスらは労使関係における主体のリーダーシップの一本化を重 視し、寧ろ指導者の成熟に問題の解決を期待しているかにみえる。         、          しかし﹁スキャンロン・プランはリーダーシップの代替物ではない。﹂スキャンロン・プランが成功するには、﹁理性的 な組合指導者と真摯卒直な経営指導者︵。。ゴ長官①σq・旨¢巳・三Φ台目霞α◎︷9︸旨αq算彗p。呂σq①ヨ窪二・巴①H︶が必要である。 ストラ ウスらの批判は、いわば具体的なプランの適用における組合リーダーシップの弱さを衝いたものといえよう。しかし同時 にわれわれは、組合リーダーシップの一本化が、スキャンロン・プラン以﹂エに指導者の成熟を必須要件とすることを見逃

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してはならない。従来の協力制が多く短命であったことの大きな理由の一つは、組合リーダーシップの弱体に存していた ことを想起すべきである。それ故にスキャンロン・プランが二つの関係乃至機能を組織の上で明確に区分しようとした狙 いは無視してならないと思う。問題は寧ろこの組織を有効適切に運営でぎる指導者の有無に係わっていると考える。  このプランの問題点は勿論他にもある。例えば、この提案制や賞与制で果して中間管理層やスタッフ職員の協力が得ら れるか、部門間のチームワークは促進されるか、特に大規模な経営組織では、全員参加ということが難かしくなるのでは ないか、などが考えられる。  このようにこのプランは尚種々の問題を抱えている。しかしこのプランが目標にしている全企業的規模のチームワーク は、今後の企業経営における労使関係乃至産業関係の一つのあり方を示すものとして十分注目に値すると考える。  ①ストラウスらの前掲論文、四六頁。  ②同右、五四頁。  ③同右、四八頁。  ④↓冨ωo帥巳寒国。。戸。や鼻二やω。。●  ⑤ま峯”や。。G。・ スキャンロン・プランについて 四五

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