第37回群馬脳腫瘍研究会
日 時:2006年 7月 8日 (土) 場 所:マーキュリーホテル 代 表:斉藤 人(群馬大院・医・脳脊髄病態外科学) 当番世話人:石内 勝吾(群馬大医・附属病院・脳神経外科)一般演題1>
座長:栗原 秀行(桐生厚生 合病院 脳神経外科) 1.Central PNETと peripheral PNET症例における臨床病理学的検討 本多 文昭,石内 勝吾,高橋 章夫 鈴木 智成,藍原 正憲,堀口 桂志 (群馬大医・附属病院・脳神経外科) 平戸 純子,中里 洋一 (群馬大院・医・病態病理学) 【はじめに】 PNET には中枢神経系に発生する cPNET と骨・軟部組織や末梢神経に発生する pPNET とがある. 今回我々は頭蓋内天幕から発生した稀な pPNET 並びに 側脳室前角付近から発生し前頭葉に主座をおく cPNET の そ れ ぞ れ 1症 例 を 経 験 し た. 【症 例 1】 7歳 女 児. 2005年 6月より頭痛・嘔吐と左同名性半盲が出現し, MRI で右後頭葉に直径約 4 cmの造影される囊胞性病変 を認めた. 術中所見では囊胞内容液は血腫であり, 実質 部 も易出血性であった. 脳実質への浸潤は無く腫瘍は 大脳鎌とテントに付着していた. 直静脈洞, ガレン大静 脈に浸潤している部 を残し摘出した. 摘出標本の免疫 染 色 で は MIC-2と INI-1が 陽 性, pPNET の 診 断 で, MIB1-LI は 29.5%で あった. 残 存 腫 瘍 に 対 し て CBDCA, VP-16による化学療法と 全 脳 40Gy, 局 所 10Gy, 全脊髄 30Gyの放射線治療を行い著しい腫瘍の縮 小がみられた. 【症例2】 5歳女児. 2005年 12月に後 頸部痛, 左外転神経麻痺が出現し, MRI で右前頭葉から 対側に及ぶ不整形に造影される病変を認めた. 手術は両 側前頭開頭で行い, 発生部と思われる側脳室前角付近の 一部を残して腫瘍は摘出された. 摘出標本では N/C 比 が高く細胞密度の高い組織で壊死組織及び肉芽組織も混 在した. cPNET の診断 で MIB1-LI は 54.1%で あった. CBDCA, VP-16による化学療法と拡大局所 40Gy, 局所 14Gy, 全脊髄 27Gyの放射線治療を行った. 【結 論】 pPNET と cPNET では組織学的に異なった特徴を持つ. 我々の 2症例について比較検討しながら文献的 察を加 え提示する. 2.診断に苦慮した小児悪性リンパ腫の一例 菅原 一,藤巻 広也,相島 薫 橋場 康弘,朝倉 ,宮崎 瑞穂 (前橋赤十字病院 脳神経外科) 小島 勝 (群馬県立がんセンター 病理部) 症例は 1歳 9ヶ月の女児. 発熱, 嘔吐あり. 数日経過を みたが改善せず,近医を受診.頭部 CT にて異常を指摘さ れ, 精査加療目的に入院となった. 入院時, 傾眠, 右共同 偏視, 左上下肢の筋トーヌス低下あり. 頭部 CT, MRI に て左小脳半球外側に径約 3 cmで比較的境界明瞭な腫瘍 性病変, 周囲に広範な脳浮腫を認めた. 第 4脳室は変形 し水頭症をきたしていた. ステロイド投与を開始したが 頭蓋内圧亢進症状は改善せず, 入院 4日目に脳腫瘍摘出 術を施行した.手術は lt.lateral suboccipital approachに て行い, 肉眼的に全摘出した. medulloblastoma, ATRT 等を疑い病理組織学的検索を行ったが診断は確定せず. H-E 染色では N/C 比が高く, 核小体明瞭な類円形核を 有する異型細胞が密に増殖. 多数の核 裂像と貪食像を 呈する Mφを散見する星空像を認めた. 免疫染色では LCA, CD20, CD79a,CD3など主要なリンパ球マーカー は陰性であったが表面及び細胞質内免疫グロブリン, 形 質細胞マーカーの CD38, CD138陽性. パラフィン切片 から抽出した DNA の検索で免疫グロブリン重鎖のクロ ナリティーを認めた. 以上より B細胞性悪性リンパ腫と 診断された.なお,MIB-1 L.I.は 70%と高値であった.全 身リンパ節は触知せず. 血液検査では HIV, EBV陰性. 血清蛋白, 免疫グロブリン正常. 末梢血液像, マルク所見 正常.全身 CT でも明らかな異常所見なし.中枢神経原発 と えられた. 現在, 群馬大学小児科にて髄注と HD-MTX を主体とした多剤併用化学療法による寛解導入療 法中である. 診断に苦慮した小児中枢神経原発悪性リン パ腫の症例を報告した. 非常に稀ではあるが, 常に念頭 289 Kitakanto Med J 2009;59:289∼291