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デザイン学科・教授
Department of Design • Professor
河村 暢夫
Nobuo KAWAMURA公共交通としての
スマートタクシーの提案
Smart Taxi : Proposal of the Taxi
as Public Transport
タクシー、トランスポーテーションデザイン、ユーザインタフェース1. はじめに
本研究は学長裁量特別研究「公共交通機関としてのタ クシーの再考」の研究成果の報告である。タクシーの歴 史は自動車史以前の輿(こし)や牛車(ぎっしゃ)に遡る が、江戸時代の駕篭(かご)などは庶民の足として公共 交 通 の 先 駆 け と 考 え ら れ る。 産 業 革 命 以 降 の 自 動 車 の 発 達 は ロ ン ド ン タ ク シ ー、 イ エ ロ ー キ ャ ブ、 我 が 国 で は エ ン タ ク と し て 戸 口 か ら 戸 口 へ の 移 動 を 可 能 に し て い っ た。 現 代 で は 自 動 車 の 性 能 は 飛 躍 的 な 発 展 は 遂 げ た も の の タ ク シ ー は 量 産 車 の 流 用 が 続 き タ ク シ ー が 根 本 的 に 求 め ら れ て い る 要 素 を 満 た し た 抜 本 的 な 解 決 を みたタクシーは存在しないのが現状である。 本 研 究 は 2003年 か ら 2005年 の 三 年 間( 河 村 暢 夫 )が 在 籍 し た 静 岡 文 化 芸 術 大 学 の 学 部 長 特 別 研 究 を 基 本 に し て、 本 学 の 研 究 者 と 院 生 を ス タ ッ フ と し て、 室 内 運 転 に お け る ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス や 乗 降 性 を 中 心 に 再 研究を続けた成果を中間的に発表するものである。 1.1. 公共交通とタクシー 急 速 に 発 展 す る 大 量 輸 送 機 関 で あ る 新 幹 線、 一 家 に 2台を保有する自家用車と移動の距離と時間の短縮は日 進 月 歩 の 進 化 を 遂 げ た。 バ ス は ま た 庶 民 の 足 と し て 欠 か す 事 は で き な い。 こ れ ら の 公 共 交 通 は 時 間 的 な 制 限 や 路 線 が 限 ら れ て お り、 時 間 に 管 理 さ れ て 自 由 度 は 無 い。 こ れ に 引 き 換 え て タ ク シ ー は 戸 口 か ら 戸 口 へ と 自 由が独り占めできる魅力があり庶民の利用は多い。 こ の 研 究 で は タ ク シ ー に ス ポ ッ ト を 当 て、 規 制 緩 和 に よ る 夥 し い 車 両 数 の 増 加 は 自 由 競 争 が 激 化 し て 共 倒 れ 現 象 を 呈 し て い る 現 状 や 利 用 者 の 声 や 運 転 手 の 要 望 等を分析して、高齢化や社会福祉に対応、更には人・物・ 情 報 を 運 ぶ タ ク シ ー と し て の 脱 皮 が 今 後 の 業 界 の 発 展 に 繋 が る も の と し て 確 信 で き る。 ま た 環 境 や エ ネ ル ギ ー な ど 諸 問 題 を 大 局 的 に 解 決 し て、 タ ク シ ー 独 自 の 車 両開発を提案するものである。▏
デザイン学科・准教授Department of Design • Associate Professor
黄 崇彬 Robin HUANG
デザイン学科・助手
Department of Design • Research Associate
藤巻 徹 Toru FUJIMAKI
デザイン学科・大学院生
Department of Design • Graduate Student
森 高宏 Takahiro MORI
古川 順之 Masayuki FURUKAWA
伊藤 高志 Takashi ITO
加藤 時男 Tokio KATO(名古屋学芸大学デザイン学科・技手)
1.2. 研究の目的:既存のタクシーの概念の打破と新開発 現 代 の タ ク シ ー は 自 動 車 会 社 で 製 造 し て い る 小 型 車 や 普 通 乗 用 車 を タ ク シ ー 仕 様 車 と し て 提 供 し て い る。 昨 今 の 福 祉 車 両 は 商 用 車 や ワ ゴ ン を 改 良 し て い る。 本 格 的 な バ ス 型 も あ り 入 浴 等 に 使 用 さ れ て い る。 い ず れ に し て も タ ク シ ー 専 用 に 開 発 さ れ た 例 は ロ ン ド ン タ ク シ ー の み で あ る。30数 年 前 タ ク シ ー の デ ザ イ ン コ ン ペ が 開 催 さ れ た が、 生 産 に 漕 ぎ 着 け た と い う 話 は 聞 か な い。 不 特 定 多 数 の 乗 客( ユ ー ザ )に 対 応 さ せ る に は UD の 概 念 で デ ザ イ ン す べ き だ が、 運 転 手 に と っ て 特 化 す る デ ザ イ ン が 望 ま れ る。 い ろ い ろ 矛 盾 し た 点 も 多 く、 デ ザ イ ン の 与 件 を 多 角 的 に 解 決 す る 設 計 と デ ザ イ ン を 提 案する事が本研究の大きな目的である。 1.3. 研究の流れ 本 研 究 で は 静 岡 文 化 芸 術 大 学 三 年 間 で の 研 究 を 基 本 的に踏襲して、更に探求・展開したものである。(表 1)研 究 チ ー ム を 結 成 し、 先 ず タ ク シ ー の 外 形 デ ザ イ ン に つ い て 研 究 を 始 め た。 次 に、 タ ク シ ー 室 内 の 問 題 点 を 抽 出し、特に乗降性について詳しく調査し研究を進めた。 そ の 後、 外 観 デ ザ イ ン と 内 装 デ ザ イ ン の 研 究 結 果 を 踏 ま え、 基 本 パ ッ ケ ー ジ を 展 開 し、3D-CAD や ケ イ ジ モ デルなどでデザインの試案を試作・検討して提案した。 一 方、 自 動 車 の 高 度 情 報 化 も 想 定 で き、 ユ ー ザ イ ン タ フェースデザインを展開・提案した次第である。 表 1:研究の流れ
2. 背景
2.1. タクシーと社会: 規制緩和による車数の増加と 値引き競争 2002年 に 道 路 運 送 法 が 改 正 さ れ 需 要 調 整 規 制 が 廃 止 された。新規参入、増車、料金等の規制が緩和された。 一方、高齢化や福祉優先の社会を実現するためには、 き め 細 か い 移 動 が 要 望 さ れ る。 荷 物 や 食 料 の 宅 配 や 救 急患者の搬送、ビジネスマンの移動に適した IT設備も 必 要 で あ ろ う。 金 銭 授 受 も プ リ ペ イ ド カ ー ド な ど 事 務 の 簡 素 化 は 交 通 渋 滞 の 原 因 を 解 消 す る こ と と な り、 運 転 手 の 煩 雑 さ を 解 消 す る こ と に も な る。 マ ル チ メ デ ィ ア化が今後の姿に変貌する事が予測される。 2.2. 乗客の要望 (2005年に実施したアンケートの分析から) 【タクシーの視認性】 特に夜間は表示灯(通称:あんどん)の点灯・消灯が 曖 昧 で 空 車 が 分 か ら な い。 昼 間 は ガ ラ ス の 反 射 で 空 車が分からない。 【運転手のマナー教育】 安 心 感 が 必 要 で あ り、 マ ナ ー 教 育 が 必 要 で あ る。 高圧的な態度の運転手には不愉快である。 【運転手の清潔感】 タ バ コ の 臭 い、 口 臭、 体 臭 な ど が 室 内 に 残 っ て い る 車 は 最 低 で あ っ て、 関 係 す る 第 三 者 が チ ェ ッ ク す る必要がある。 【乗降性】 雨 の 日 は 特 に 傘 や シ ー ト 高 さ が 気 に な る。 屈 ま ず に乗り降りする事が望まれる。 【荷物の問題】 室 内 に は 適 当 な 専 用 の 置 き 場 が 必 要 で あ る。 ト ラ ンク 2個、ゴルフバッグ 2個程度の収納できることが 望ましい。 【賃走料金の明示】 見 や す い 位 置 に 料 金 表 示 メ ー タ ー を 設 置 し て 欲 し い。 【走行経路が分かるナビゲーター】 タクシーの位置が確認できる。▏
【電波サービス】 音楽やテレビ番組、Web の情報が使用できる。 2.3. 運転手の要望 【経済的視点】 • 収入の安定。 【健康維持】 • 適度に広い室内空間。 • 最適なドライビングポジションの確保。 • 疲れない適度の堅さを保てる座席。 • 快適なエアコン。 • 前方視界の確保。 • 後部視界の確保。 【タクシー車両デザインのチェックポイント】 • タクシーとして印象的で明快な形態であること。 • 昼夜ともに視認性に優れた形と彩色、サインやア ンドンが理解しやすいこと。 • 低床でありフラットであること。 • 乗降性に優れている。 • 雨がかかりにくい。 • 荷物や車椅子が収納しやすい。 • 金銭の授受が円滑に行える。 • 運転手の環境に充分配慮されている。
3. 外形イメージの展開
3.1. デザインファクター こ の 数 年 間 の 研 究 結 果 に 基 づ き、 タ ク シ ー デ ザ イ ン 再 考 を 進 め て い く 中 で、 下 に 挙 げ る い く つ か の 項 目 を 骨格とした。 • 市街地における機動力、低料金化を目的として、小 型車を想定する。 • 大 き な サ イ ン に よ る タ ク シ ー と し て の 認 知 性 向 上、 空車・乗車の状況表示をより分かりやすく。 • 燃料電池によるインホイールモーター駆動とし、環 境 へ の 配 慮、 ま た イ ン テ リ ア レ イ ア ウ ト の 自 由 化・ 低床化の実現。 • スライドドアを採用し、交通への配慮(左に寄せて の停車)、大きな開口部による乗降性の向上。▏
• 身体的弱者への乗降の配慮として、低床とする。 • 運転手の快適性、視認性、安全性向上を目的として、 センターコックピットを採用。 • インテリアレイアウトにはフレキシブルシートを採 用し乗降性、車内空間の快適性の向上を狙う。 • ITS、ETC、GPS、料金メーター、電子マネーなどを 統合した乗客専用モニターを採用し、インタフェー スデザインの研究も同時に行う。 3.2. アイデアスケッチで構想展開 以 上 の デ ザ イ ン フ ァ ク タ ー を 意 識 し、 研 究 メ ン バ ー が各自にアイデアスケッチで構想を展開した。(図 1)図 1:アイデアスケッチで構想を展開する 3.3. エクステリアデザインの提案 研 究 会 で 検 討 し 抽 出 し た デ ザ イ ン フ ァ ク タ ー を 共 用 の軸として、アイデアスケッチの中から 2つのエクステ リ ア デ ザ イ ン を 中 間 検 討 用 モ デ ル と し て 選 定 し た。 イ ン テ リ ア デ ザ イ ン を 共 通 と し て、 こ の 2つ を コ ン セ プ ト モ デ ル A案・B案 と し、 研 究 の 過 程 と し て 中 間 検 討 用 のモデル制作を行った。検討用モデルは 1/5 のクレイモ デルを採用した。(図 2、3、4)また、過去の提案を C案とし 並列に検討を行った。 図 2:A案の 1/5 クレイモデル 図 3:B案の 1/5 クレイモデル 図 4:C案の 1/5 クレイモデル 3.3.1 【A案】 A案のコンセプトは「Door to Door」。二つの異なる場 所 を ド ア 一 枚 で 繋 ぐ こ と を イ メ ー ジ し た。 ピ ラ ー、 ヘ
ッ ド ラ イ ト、 サ イ ン、 リ ア コ ン ビ ラ ン プ を 一 体 化 す る こ と で、 タ ク シ ー の 視 認 性 を 全 面 的 に 表 現。 イ ン ホ イ ー ル モ ー タ ー の 特 性 を 活 か し、 車 内 を よ り 高 く 自 由 に 使 え る デ ザ イ ン を 提 案。 八 輪 駆 動 と す る こ と で、 タ イ ヤ を 小 径 に す る こ と が 可 能 で あ り、 室 内 空 間 を 拡 大 す る こ と が 実 現 し た。 乗 降 用 ド ア に は 二 段 階 に 開 閉 す る システムを採用。(図 5) 図 5:エクステリアデザインの A案 3.3.2 【B案】 B案のコンセプトは「IT 化によるサービスを備えたタ クシー像」。前年までのタクシー研究のモデルをベース として、ITS などの情報システムは当然ながら、車両の 小 型 化 と 低 床 化、 大 型 サ イ ン に よ る 視 認 性、 乗 客 の 乗 降 性、 そ し て 運 転 手 側 の 安 全 性 も 配 慮 し た ト ー タ ル デ ザインの提案とした。前二、後四の配置で六輪駆動とし、 後 輪 は 小 径 タ イ ヤ を 採 用 す る こ と で 後 部 座 席 空 間 の 増 大 を 狙 っ た。 乗 降 ド ア に は ス ラ イ ド ド ア を 採 用 す る こ とで、乗降性の向上を目指した。(図 6) 図 6:エクステリアデザインの B案 3.3.3 【C案】 C案の基本的な造形方針としては、不安感のない素直 で優しい形が望まれるものと考えた(図 7)。「あんどん」 が 大 き な キ ャ ラ ク タ ー と な り、 車 両 本 体 と 一 体 に な る イ メ ー ジ を 強 調 し た。 ま た、 広 い 天 井 空 間 が も た ら さ れ、 運 転 手 の 運 転 姿 勢 に 配 慮 し た ヒ ッ プ ポ イ ン ト の 高 い シ ー ト デ ザ イ ン を 可 能 に し た。 必 然 と な っ た ス ラ イ ド ド ア の 開 口 部 を 広 く と る た め に ボ デ ィ サ イ ド は フ ラ ッ ト で ゆ っ た り と し た デ ザ イ ン と し、 視 覚 的 に も ア プ ロ ー チ の し や す さ を 想 像 さ せ る ス タ イ リ ン グ に し て い る。また、運転手と乗客の関係においては「自然な隔離」 を 目 指 し、 保 安 や 情 報 の 授 受 を 観 点 に イ ン テ リ ア デ ザ イ ン を 進 め た。「 駆 動 力 」は 燃 料 電 池 と し、 イ ン ホ イ ー ル モ ー タ ー の タ イ ヤ を 採 用 し て 極 低 床 の 実 現 が 可 能 な レイアウトを考えている。 図 7:エクステリアデザインの C案
4. 内装デザインの展開
今 ま で の 調 査・ 研 究 結 果 に 基 づ き、 新 た な 技 術 進 展 や社会動態を加え、内装デザイン(インテリアデザイン) を再検討した。(図 8) 図 8:デザインスケッチで検討の風景 4.1. インテリアデザイン研究の流れ 先 般 の 研 究 結 果 に よ っ て、 長 時 間 勤 務 の 運 転 手 達 は 自 由 度 の 高 い 運 転 席 空 間 を 要 望 し て い る こ と が 判 明 し た。 一 方、 乗 降 頻 度 の 高 い 客 席 で は、 不 特 定 の 乗 客 と 多様な手荷物(傘やベビーカーなど)に対応できる空間 が 求 め ら れ た。 こ の 二 つ の 要 望 に 応 じ る デ ザ イ ン を 目 指 し て、 先 ず は ア イ デ ア ス ケ ッ チ で 構 想 を 展 開 し、 次 に構想の評価・検討を行い、最後にテープレンダリング で 二 次 元 検 証 と 実 寸 ケ イ ジ モ デ ル で 三 次 元 検 証 を 実 施 し、インテリアデザインを提案した。 4.2. レイアウト構想の展開 運 転 手 と 乗 客 を イ メ ー ジ し な が ら、 デ ザ イ ン ス ケ ッ チ で ア イ デ ア を 幅 広 く 展 開 し て み た。 要 求 条 件 が 違 う た め、 運 転 席 と 乗 客 席 の 空 間 を 分 け て 考 え、 い ろ い ろ なレイアウトを試みた。 研 究 チ ー ム が ワ ー ク シ ョ ッ プ 形 式 で、 数 回 に 渡 っ て 内 装 の レ イ ア ウ ト 構 想 に つ い て 議 論 し た。 ア プ ロ ー チ の 手 法 と し て は、 抽 象 の ア イ デ ア を 可 視 化 す る た め に 研 究 メ ン バ ー が 各 自 の 構 想 を デ ザ イ ン ス ケ ッ チ し、 パ▏
ネルに掲示して比較・議論を行った。そして再びワークシ ョ ッ プ を 行 い、 メ ン バ ー の ア イ デ ア か ら 受 け た 刺 激 によって、より質の高いアイデアを捻出した。(図 9) 図 9:内装の構想アイデアスケッチ4.3. レイアウト構想の評価 ア イ デ ア ス ケ ッ チ で イ ン テ リ ア の レ イ ア ウ ト を 展 開 し た 結 果 を、 運 転 手 側 の 要 因 と 乗 客 側 の 要 因 二 つ の 観 点から検討した。(図 10) 図 10:レイアウト構想の検討スケッチ 4.3.1 運転手側要因による評価 得 ら れ た 運 転 手 席 の ア イ デ ア は、 乗 客 席 の 前 方 と 乗 客 席 の 後 方 に 設 置 す る 二 つ の 類 型 が あ っ た。 ト ラ ン ス ポ ー テ ー シ ョ ン の 世 界 に は、 乗 客 席 の 後 方 に 運 転 席 を 設けるレイアウトもあったが(図 11)、視野などの安全面 と乗客の心理面・習慣面から検討して現時点での実用化 が難しいと判断した。 図 11:運転席後方配置型の構想 一 方、 運 転 席 前 方 配 置 型 の 構 想 は、 中 央 に 設 置 す る 対 称 式 レ イ ア ウ ト と 右 に 設 置 す る 非 対 称 式 レ イ ア ウ ト との二つの類型があった。この二類型を更に検討した。 長 時 間 勤 務 を す る タ ク シ ー 運 転 手 に と っ て、 運 転 席 は 仕 事 の 場 で あ る。 一 般 運 転 者 と 違 い、 運 転 中 に ル ー ト 確 認 な ど の た め、 時 々 乗 客 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を と ら な け れ ば な ら な い。 空 車 で 走 行 中 に も、 安 全 に 運 転 し な が ら、 道 路 両 側 の 客 を 探 し た り、 無 線 な ど で セ ン タ ー と 連 絡 を 取 っ た り す る こ と は 一 般 的 で あ る。 乗 客 が 降 り る 際、 料 金 支 払 い に お 釣 り や 領 収 書 を 出 し、 運 転 記 録 を 記 入 す る な ど も、 快 適 な 広 い 空 間 が 必 要 で あ る。 タ ク シ ー の 運 転 席 は、 自 動 車 の 運 転 と タ ク シ ー の 業 務 を 両 立 す る オ フ ィ ス。 一 方、 長 時 間 で 限 ら れ た 空 間 で 仕 業 す る タ ク シ ー 運 転 手 の 健 康 問 題 に つ い て、 数 多 く の 報 告 が あ っ た。( 河 村、 森 津 ら )人 間 工 学 の 観 点 か ら、 あ る 程 度 の 伸 展 運 動 が で き て、 疲 れ に く い 座 席が望まれる。 以 上 の 評 価 基 準 で、 運 転 席 を 中 央 に 設 置 す る こ と は 比 較 的 広 い 空 間 が 確 保 で き、 仕 事 が し や す い た め に、 非 対 称 式 レ イ ア ウ ト よ り 中 央 式 レ イ ア ウ ト 案 が 良 い と 判断し採択した。 そ の 他、 運 転 手 の 心 理 か ら 検 討 し て、 運 転 席 を 乗 客 席より低く配置する試案も挙げられた。 4.3.2 乗客側の要因による評価 タ ク シ ー の 乗 客 は 不 特 定 で あ り、 人 数 も 変 化 し つ つ あ る。 全 国 乗 用 自 動 車 連 合 会 の 調 査 に よ っ て、 乗 車 人 数は一人が 56%を占め、二人が 30%、三人が 9%、四人 以上が 5%であった。利用目的も様々であった。乗客席 の内装デザインについては「ユニバーサルデザイン」の 概念を導入しなければいけない。乗降の「利便性」と搭 乗の「快適性」を基準にデザイン諸案を評価した。(図 12) 図 12:乗客数別にレイアウト構想の検討と評価 健 常 者 の 乗 客 以 外 に、 杖 や 車 い す を 使 う 障 害 者、 並 びに着物などに盛装する貴婦人、足腰の弱った高齢者、
行 動 不 自 由 な 妊 婦 な ど も タ ク シ ー を 利 用 す る の で、 多 種 多 様 な 乗 客 に 対 応 で き る よ り 乗 降 し や す い タ ク シ ー が望ましい。 一 方、 傘 や ト ラ ン ク、 ベ ビ ー カ ー な ど 乗 客 の 手 荷 物 の 置 き 場 を も 検 討 し な け れ ば な ら な い。 電 話 や 化 粧 す る な ど 極 め て 個 人 的 な 行 動 も あ る た め、 乗 客 の プ ラ イ ベ ー ト 空 間 を 確 保 す る こ と も 必 要 と 判 断 し、 な る べ く 乗客席の快適な空間を創出したい。 乗 客 は 不 特 定 多 数 で、 短 時 間 に 乗 降 動 作 を 滞 り な く 行えるレイアウトを展開・考案した。そこで、各レイア ウ ト 試 案 に 対 し て、 一 人 乗 客 の 場 合 か ら 複 数 乗 客 の 場 合まで、CG(Poser6.0)を利用して各試案のシミュレー ションをした。(図 13)乗客と運転手、乗客と乗客、各場 合のコミュニケーションについて、それぞれを想定し、 各構想案を検討・評価を行った。 以 上 の 基 準 で、 総 合 的 に デ ザ イ ン 評 価 を 行 い、 二 人 の ベ ン チ シ ー ト プ ラ ス 横 に 一 人 の 可 動 席( 以 下「1.5 列 目 シ ー ト 」と 呼 ぶ )の よ う な L字 レ イ ア ウ ト で、 最 大 限 の空間を創り出した。 図 13:レイアウトの最終提案
5. 試作と検証
5.1. テープレンダリングで2次元インテリア検証 企画した内装デザインの初期目標を達成するために、 提 案 さ れ た 幾 つ か の イ ン テ リ ア レ イ ア ウ ト を 想 定 し て 椅 子 や イ ン パ ネ 等 を 配 置、 実 際 に そ の 中 で 繰 り 返 し、▏
実 寸 の テ ー プ レ ン ダ リ ン グ で 二 次 元 的 に 検 証 を 行 っ た (図 14)。スケッチでは把握することが難しかった細部空 間 の 関 係 性 を 確 認 し な が ら 微 調 整 を 行 っ た。 セ ン タ ー 位置の運転席、後部座席の位置や 1.5列目シートの必要 性・有効性、金銭授受パネル、室内空間の確認をするこ とができた(図 15)。 図 14:レイアウトの検証風景 図 15:金銭授受行為と空間関係の検討 決 定 し た イ ン テ リ ア レ イ ア ウ ト を テ ー プ レ ン ダ リ ン グで検証・評価を行った。検討結果に従い、問題点を修 正してパッケージの設計寸法を決定した。 5.2. 3D-CADを用いたインテリアデザイン作成 次に 3次元 CAD ソフト(Rhinoceros4.0)を用いて、車 体、 イ ン ス ト ゥ ル メ ン ト・ パ ネ ル や ハ ン ド ル、 乗 客 専 用 の モ ニ タ ー、 シ ー ト な ど の イ ン テ リ ア の 細 部 の デ ザ インを作成して検討を繰り返した(図 16)。インテリアに 合わせて、先に述べた外装デザイン・A案を基本とした エクステリアデザインのモデリングを行った。図 16:CAD を使ってデザイン案を検討 小 型 車 を 想 定 し て 進 め ら れ た イ ン テ リ ア デ ザ イ ン だ が、 床 下 に 収 納 さ れ た 燃 料 電 池(図 17)・イ ン ホ イ ー ル モ ー タ ー に よ る 駆 動 方 式 を 用 い た こ と で、 室 内 空 間 の 検 討 を ガ ソ リ ン エ ン ジ ン に 比 べ、 非 常 に 柔 軟 に 進 め る こ と が 出 来 た。 ま た、 小 径 タ イ ヤ の 採 用 で タ イ ヤ ハ ウ ス の 室 内 へ の 張 り 出 し が 最 小 限 に 抑 え ら れ、 後 部 座 席 の レイアウトの自由度が高まった(図 18)。 図 17:電池やモーターの配置 図 18:座席の配置 こ こ で 作 成 さ れ た 3次 元 CAD デ ー タ を 用 い て、1分 の 1 ケイジモデルの作成に移ることになる。 5.3. 内装空間の試作と検証 5.3.1実寸ケイジモデルの制作 実寸で検証したインテリアレイアウトと、3次元CAD の イ ン テ リ ア レ イ ア ウ ト を 正 確 に 検 証 す る た め に、 1/1 のケイジモデルを制作した。(図 19)ケイジモデルは A案の外観形状をもとに、3次元 CAD 上で立体化して大 型 プ リ ン タ で 出 力 し た。 ス チ レ ン ボ ー ド の 素 材 で 組 み 上げた。なお、この検証用モデルでは X 方向を 200ミリ、 Y 方向を 100ミリピッチに設定した。(図 20) 図 19:実寸ケイジモデルの制作風景 図 20:ケイジモデルの実寸検証
実 寸 ケ イ ジ モ デ ル で 下 記 の 項 目 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行い、問題点を抽出した。 • 乗客、運転手の乗降性 (スライドドアの開閉、天候、乗り降りの場所、乗 り込み方、座り方) • 運転手の空間 (運転のし易さ、操作性、視認性、乗客との関係) • 乗客の空間 (座りし易さ、動きやすさ、視認性、安全安心、乗 降のし易さ) • 1.5列目シートの空間 (不使用時のあり方、位置→ 2列目シートとの兼ね 合い、バランス、使用時のあり方、乗りやすさ、安 心・安全、2列目シートとの兼ね合い) • 金銭授受 (運転手側と乗客側との視点から→金銭授受など煩 雑さの解消) • 様々な荷物を想定しての室内レイアウト (傘、ゴルフバッグ、ベビーカー、スーツケース、 車イス) 5.3.2 検証結果と問題点 • 乗客、運転手の乗降性について ・車体上部の反面オープン化により天候による影響 (雨/雪/風) ・補助装置(乗降口グリップ/手すり) ・高齢者・身障者・車いす・ベビーカー・チャイルド シート等の対応 ・車いすのまま乗り込む、シートへ乗り移る ・手すりなど取り付け位置の検討 ・車いす・ベビーカーの為のスロープ ・扉の開閉方法 • 運転手の空間 ・センターコクピットの必要性 ・運転手シートは回転する ? ・ステアバイワイヤー/運転座席の左右移動 • 乗客の空間 ・広々とした室内/広すぎるのでは ・後部座席の検討(回転・リクライニング・スライド) /シートベルト ・シートなどの素材 ・全シートマルチ対応/乗客人数に合わせシートア レンジ ・車いすのまま乗り込む、シートへ乗り移る • 1.5列目シートの空間 ・1.5列目シートの再検討/乗車人数の再検討 ・補助座席の有無 • 金銭授受 ・運転手シートは回転する ? ・乗客と運転手の距離、位置関係 • 様々な荷物を想定しての室内レイアウト ・全シートマルチ対応/乗客人数に合わせシートア レンジ ・車いすやベビーカー等への対応
6. ユーザインタフェースの提案
6.1. 基本構想:【スマートタクシー】 近 未 来 を 前 提 と し て、IT 技 術 に 基 づ き、 知 能 を 持 つ 「スマートタクシー」(Smart Taxi)のユーザインタフェ ースデザインを提案した。 利 用 者 の 視 点 か ら 探 究 す る た め に、 静 岡 文 化 芸 術 大 学 で の マ ン マ シ ー ン イ ン タ ー フ ェ ー ス(Man-Machine Interface)研究結果に基づき、ユーザインタフェースデ ザイン(User-Interface Design)という概念に置き換え、 人 間 − 機 械 の 側 面 よ り ユ ー ザ を 中 心 に イ ン タ フ ェ ー ス 構想を展開した。 ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス の 概 念 を 導 入 し て か ら、 先 ず は近未来における IT 技術の発展予測を調べた。近年の 半 導 体 技 術 の 高 集 積 化 に 伴 い 情 報 機 器 の 小 型 化 が 急 激 に 進 展 す る と と も に、 通 信 サ ー ビ ス の 革 新 が あ い ま っ て 高 度 な 情 報 処 理 能 力 を 持 つ 自 動 車 が 大 き な 市 場 を 形 成し始めてきている。タクシー業界にもカー・ナビゲー タ ー を は じ め、 多 様 な 新 し い 情 報 端 末 や 通 信 サ ー ビ ス へ と 更 な る 多 機 能・ 高 機 能 化 へ 移 行 し つ つ あ る。 国 土 交 通 省 が 提 唱 す る ITS(Intelligent Transport Systems、 高 度 道 路 交 通 シ ス テ ム )に 基 づ き、 既 存 の 自 動 車 メ ー タ ー や カ ー・ナ ビ ゲ ー タ ー、ETC(Electronic Toll Collection)車 載 器、 タ ク シ ー 料 金 メ ー タ ー、 電 子 マ ネ ー シ ス テ ム な ど を 統 合 し て、 特 化 し た タ ク シ ー ITS を考えた。 タ ク シ ー は ド ア ツ ー ド ア 性 を 高 め た 公 共 交 通 手 段 で あ る。 個 々 の 人 々 の 移 動 ニ ー ズ に 合 わ せ て、 ま た 大 量 輸 送 公 共 交 通 機 関 で カ バ ー 仕 切 れ な い 領 域 で 幅 広 く 活 躍 し て い る が、 交 通 渋 滞 や 乗 客 探 し に よ る 経 済 の 損 失 と 環 境 へ の 悪 影 響 な ど、 よ り 効 率 的 な タ ク シ ー 利 用 シ ス テ ム が 必 要 に な っ て き て い る。「TDM」( 都 市 環 境 マ ネ ー ジ メ ン ト )と い う 視 点 か ら、 乗 客 探 し と タ ク シ ー 探しの効率を向上するために、GPS(Global Positioning System)対 応 の 携 帯 電 話 を 用 い、 タ ク シ ー と 乗 客 の マ ッチングシステムを構築した。 一 方、 深 夜 独 身 女 性 乗 客 の 不 安 や 時 間 潰 し の た め、 乗 客 席 に も モ ニ タ ー を 用 意 し、 多 様 な 情 報 サ ー ビ ス を 提 供 す る こ と を 提 案 し た。 現 在 位 置 情 報 を は じ め、 走 行 方 向 の 確 認、 賃 走 料 金 情 報 の 明 示、 到 着 予 定 時 間 と 予 想 料 金 な ど 運 転 情 報 の 共 有 化、 ま た 多 様 な エ ン タ ー テ イ メ ン ト コ ン テ ン ツ を 提 供 し、 よ り 使 い や す く 楽 し める乗客用ユーザインタフェースを提案した。 本 研 究 に は、 こ の よ う な 運 転 手 と 乗 客 と の 対 応 す る タ ク シ ー 専 用 ITS を「 ス マ ー ト タ ク シ ー(Smart Taxi) インタフェース」と名付け、その可能性を探究した。 6.2. ユーザインタフェース研究の流れ: 表 2:ユーザインタフェース研究の流れ ス マ ー ト タ ク シ ー イ ン タ フ ェ ー ス の 概 念 を 導 入 し、 新 し い 情 報 サ ー ビ ス の 登 場 が 本 研 究 の 課 題 に 設 定 さ れ た。 そ こ で こ の 多 機 能 化 の 課 題 を 解 決 す る 手 始 め と し て、運転手と乗客の関連する操作場面シナリオを構築、 全般の把握とタスクを抽出、フローチャートを作成・検 討 し て シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 制 作 を 行 っ た。 こ れ ら の デ ー タ整理検討とアイデア発想などのデザイン作業を経て、 次 節 に 説 明 す る 新 し い イ ン タ フ ェ ー ス デ ザ イ ン 提 案 に 纏めた。(表 2) 6.3. 利用シーンのシナリオ構築: タ ク シ ー の 場 合、 ユ ー ザ と は 運 転 手 と 乗 客 の 両 側 面 が あ る。 エ キ ス パ ー ト ユ ー ザ の 運 転 手 と 多 種 多 様 な 一 般 ユ ー ザ の 乗 客、 こ の 性 質 の 違 う デ ザ イ ン 対 象 を 分 け て検討した。 先 ず は、 一 般 ユ ー ザ の 利 便 評 価 に 関 す る 事 前 評 価 を 行 い、 選 好 デ ー タ を 用 い た コ ン ジ ョ イ ン ト 分 析 (Conjoint Analysis)に 基 づ く 分 析 結 果、 画 面 サ イ ズ を 10インチ(寄与率 97.8%)、操作方法をタッチパネル式 ( 寄 与 率 1.5 %)に 仕 様 を 決 定 し た(表 3)。 次 に、 予 備 的 考 察 で あ る コ ン ジ ョ イ ン ト 分 析 の 結 果 を 加 え て、 利 用 シーンのシナリオを構築してみた。 属性 水準 効用値 寄与率 1. 場所 真ん中 -0.072 0.5 天井 0.166 ハンドル 2. 画面 標準 3/4 -0.116 0.2 ワイド 9/16 -0.272 その他 3. サイズ 10 インチ 1.399 97.8 12 インチ 0.974 その他 -2.414 4. 操作 ボタン -0.046 1.5 タッチパネル 0.380 音声 5. 支払い 現金 カード 電子マネー 6. 誰 運転手のみ 客のみ 両方 表 3:コンジョイント分析の結果
6.3.1 運転手の利用シーン 運 転 手 に つ い て、「 健 常 者 の 男 性 運 転 手 」、「 ト イ レ 利 用 の 多 く 女 性 運 転 手 」、な ら び に「 反 応 の 遅 い 高 齢 運 転 手」、三種類の使用者像を設定した。そして、それぞれ に 空 車 で 走 行 し な が ら 乗 客 を 捜 す 場 面、 並 び に 駅 や バ スターミナルなどのタクシー乗り場で乗客を待つ場面、 無 線 の 連 絡 に よ っ て 指 定 場 所 へ 乗 客 を 迎 え に 行 く 場 面 に、三つの利用シーンのシナリオを作成した。 6.3.2 乗客の利用シーン 不 特 定 の ユ ー ザ に 対 す る タ ク シ ー 特 有 の デ ザ イ ン 要 件 が あ る。( 社 )全 国 乗 用 自 動 車 連 合 会 は 約 十 数 年 前 に 調 査 し た 結 果、 仕 事 と 急 用(41 %)、 酔 っ た 時(15 %)、 他交通手段なし(14%)、その他(30%)であり、短時間 での移動を必要とする時に多く使われる傾向があった。 便 宜 上、 乗 客 に つ い て、「 ビ ジ ネ ス マ ン 二 人 組 」、「 飲 酒客」、「深夜帰宅の単身 OL」、「幼児連れの若奥さん」、 「 通 院 の 高 齢 者 」、「 外 国 人 観 光 客 」を 設 定 し、 そ れ ぞ れ の 視 点 か ら 使 用 場 面 を 想 定 し て シ ナ リ オ を 作 成 す る こ と に な っ た。 使 用 者 像 と 利 用 目 的 の 違 い に よ っ て、 数 多くの利用シーンシナリオを構築した。 6.4. タスクの抽出: 以 上 取 得 し た 各 シ ナ リ オ か ら、 行 為 分 析 を 行 い、 行 動のタスクを分解・抽出した。KJ 法によって、グルーピ ングと図解化をし、抽出したタスクをまとめた。 運 転 手 の タ ス ク は、「 交 通 関 連 情 報 」、「 自 動 車 関 連 情 報」「タクシー業務関連情報」と「その他」に分けること ができた。一方、乗客のタスクは。「現在位置情報」「料 金 情 報 」「 エ ン タ ー テ イ メ ン ト コ ン テ ン ツ 」に グ ル ー ピ ン グ し た が、 エ ン タ ー テ イ メ ン ト コ ン テ ン ツ が 多 く あ ったため、その下に細分化して「WWW」、「ツール」(電 卓、アラームなど)、「ゲーム」、「娯楽」(CM、音楽 PR、 映画 PR、アニメ PR など)、「周辺情報」(観光情報、グ ルメなど)のカテゴリを設けた。 6.5. フローチャートの作成: こ の よ う な ア プ ロ ー チ で 得 ら れ た タ ス ク を、 ユ ー ザ メ ン タ ル モ デ ル に 合 わ せ て、 操 作 の フ ロ ー チ ャ ー ト を 再構築・作成した。(表 4) 表 4:検討中の乗客操作フローチャート 運 転 手 で は ヘ ビ ー ユ ー ザ で あ り、 煩 雑 な 勤 務 中 に 高 度 な 集 中 力 が 要 求 さ れ、 提 示 す る 情 報 を 瞬 間 的 に 把 握 す る こ と が 重 要 で あ る。 し た が っ て、 簡 潔 な 情 報 だ け を 示 し、 詳 細 な 情 報 や 設 定 を 深 く 置 く デ ザ イ ン 原 則 と した。 一 方、 短 時 間 し か 利 用 し な い 乗 客 で は、 ラ イ ト ユ ー ザ で あ り、 複 雑 な 操 作 プ ロ セ ス を 望 ま な い。 前 節 に 述 べ た よ う ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン の 概 念 に 従 っ て、 フ ロ ーチャートの編成を広く浅いコンテンツの配慮とした。 6.6. シミュレーションの制作: こ の 一 連 の ア ク シ ョ ン( = タ ス ク )を 再 構 築・再 編 成 し た フ ロ ー チ ャ ー ト を 用 い、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 試 作 し た。 将 来 の 展 望 と し て、 こ の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 使 っ て 実 験 し、 ユ ー ザ ビ リ テ ィ を 評 価 し た い と 考 え て い る。
6.6.1 運転手のためのインタフェースの提案 前 述 の デ ザ イ ン 原 則 を 踏 ま え て、 運 転 手 の た め の GUI(グラフィックユーザインタフェース)を提案した。 (図 21) 図 21:運転手のためのインタフェースの提案 こ の 運 転 席 用 の 統 合 イ ン タ フ ェ ー ス に は、 ① 交 通 関 連情報、②自動車関連情報、③タクシー業務関連情報、 三 つ の 画 面 で 構 成 し た。 左 側 に あ る メ ー ン 画 面 と 右 上 の サ ブ 画 面 に は、 ① 交 通 関 連 情 報 と ② 自 動 車 関 連 情 報 を 切 り 替 え る こ と が で き、 右 下 の サ ブ 画 面 に は 常 に タ ク シ ー の 業 務 関 連 情 報 を 表 示 し て い る。 視 認 性 と 操 作 性 の た め に、 大 き な メ ー ン 画 面 に 切 り 替 え て か ら 下 層 の操作が進められるように設計した。 交通関連情報には、普通のカー・ナビゲーターにあっ た 機 能 を 加 え、 近 辺 に 乗 客 が い る か ど う か を 位 置 確 認 できる「乗客探索機能」というアイデアを提案した。 タ ク シ ー 業 務 関 連 情 報 に は、 乗 客 降 車 す る 際 に ト ラ ン ク に 荷 物 の 有 無 を 確 認 す る「 忘 れ 物 探 知 機 能 」、及 び 当日の売り上げを集計する「営業集計機能」など新たに 設 定 を し た。 そ の フ ロ ー チ ャ ー ト に 従 い、 運 転 席 と 乗 客用のシミュレーションを制作した。 6.6.2 乗客のためのインタフェースの提案 乗 客 席 に も モ ニ タ ー を 用 意 し、 い ろ い ろ な 情 報 サ ー ビスを提供したいと考えた。(図 22) 図 22:乗客のためのインタフェースの提案
TITS(Taxi Intelligent Transport Systems)を搭載、左 側 の メ ー ン 画 面 と 右 側 の 三 つ の サ ブ 画 面 で 構 成、 右 側 中央にある「メニュー画面」から操作を行うとした提案 である。右上にある「現在位置情報」、及び右下にある 「賃走料金情報」では常時に表示している。 安心・安全にタクシーを利用するために、現在位置情 報 や 経 路 情 報 な ど を 提 示 し て い る。 走 行 中 に、 気 に な る 街 の 建 物 な ど も 案 内 で き る シ ス テ ム を 構 想 し、 多 彩 な 情 報 サ ー ビ ス を 提 供 で き る。 一 方、 予 定 到 着 時 間 や 予 測 運 賃 な ど の 情 報 を 示 し、 ア ラ ー ム 機 能 や 電 卓 な ど の ツ ー ル も 提 供 す る ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス デ ザ イ ン を 提案した。