幼児の創造的表現活動について
北 澤 房 子 ま え が き 幼稚園教育要領では,音楽 リズムのね らいを,以下の4項 目にまとめている。 1. のびのび と歌 った り,楽器をひいた りして表現 の喜びを味わ う。 2. のびのび と動 きの リズムを楽 しみ表現の喜びを味わ う。 3. 音楽に親 しみ聞 くことに興味をもつ。4
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感 じた こと,考 えたことなどを音や動 きに表現 しようとす る。 このことか らもわかるように,音楽 リズムの活動は,音楽的活動 (うた う,ひ く, き く) と リズム的活動 (おどる)か ら成 り立 っている。 特に幼児の知的発達 と情緒的発達の過程をふまえた創造性を養 うことに関しては,幼稚園 教育要領,第1章総則, 1基本方針(5)で 「のびのび とした表現活動を通 して創造性を豊かに す るようにす ること。」とい うように創造的表現活動の必要性,幼児が表現 したい欲求,能力 を十分発揮できる環境づ くりが必要であると述べている。 そこで よりよい創造的表現活動を行な うための指導 目標,指導内容について考 え て み たい。
1 創 造 的表 現 活動 に おけ る指導 目標 創造的表現活動は,人間が共通に持 っている自己実現の方法である。 満 3歳頃になると, 自我にめばえ, 自分を主張 し相手に認め られ ようとす る。 そ の 方 法 は,言葉や表情,袷,身体の動 きによる方法等,様 々である。 そ うい う特性をふ まえた上,指導 目標を列挙し,考 えてみたい。 指 導 目 標 (1)幼児の自発性,創造性を重視する。 (2) イメージを素直に表現できるようにさせる。 幼児は嬉 しい時には,顔をほころばせ,手をたた き,スキ ップをしとびまわ る。 歌いなが ら遊び,遊びながら歌い,模倣 し, イメージをふ くらませ遊びを展開してい く。 その活動を通 して身体諸器官の発達を促 し, 自然や社会 との交わ りの中で自発性,協調性, 創造性が培われ るのである。 創造的表現活動においては,幼児の自由な心 の表出手段 としての側面を,見逃 してはな ら ない。 と同時に意図的な配慮 も必要である。52 研究紀要 (第 2号)
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創 造 的表 現 活 動 に おけ る内容 (1) リズ ミカルな動 き リズム とは,四季 の変化,潮 の干満,昼夜 の別,生物 の生死,心臓 の鼓動,草木 の芽生え 日々の生活な ど生命現象, 自然現象の根本法則で, リズムを と りのぞいて,生活 は で き な い 。 又音楽における T)ズム とは,一定 の時間間隔の中で変化す る音 の強弱,音の長短 の秩序で ある。 これが規則的に繰 り返 され, リズムが生 じる。 この リズムの要素 とは,ア クセ ン ト,反復, タイ ミング,テ ンポな どをさし, どれ1つを 欠いて も, リズムの悪い人 となる。 リズムは,人間の本性であ り,生 まれなが らに持 ってい るものである。 リズムは運動神経 を-て,筋 肉運動をおこす と, リズム運動 と呼ばれ る。 リズム感を何 らかの意図を もって訓練 (リズム教育)す ると, リズム能力に変わ る。 どんなにすぼ らしい感覚の持主で も自己練磨 しないか ぎ り,役立たない。 リズム能力のある人は, リズ ミカルで,合理的にスムーズな行動が とれ,新 しい生活環境 に もす く小とけ こみ,社会生活が円満にで きる といわれているO このことか らも, リズムは,エネルギーの経済化をはか り, l)ズム能力は,生活を円滑化 す るものであるといえる。 特 に幼児においてほ, リズムが直接感情に働 きかけ,運動を透発 し知的発達 の促進 を,助 けている。 このことか らも,幼児期 において, 自分が感 じる リズムを育て発展 させ ること。 リズムの 生活化 とい うことを, よ り重要祝 し,取 り組 まなければな らない。 (2) 創 造 的 表 現 領域 "音楽 リズム"では,音楽 とリズム活動 と2つの内容を持 っている。 1)ズム活動は,一般的には,遊戯 ともよばれ,創造的な表現活動を も含 んでいる。 この表 現活動 とは,内面的な心の働 きを外面的に,形象化す る活動であ り,だれ もが持 っている本 能的な欲求である。 これは又,身体 の動 きを とうして視覚に訴 える自己主張の方法で もある。 この創造的表現活動をす るには,物事 に対 して よ り深 く,豊かに感 じる心,そ してそれを よ りよく表現す る為には, 自分 の思 うままに, よく動 くか らだが,必要である。 幼児は, 目に見えるもの,耳 に聞 こえるもの,手に触れ ることがで きるもの,には興味を 示 し,集中 してい く。 そ して,その行動は,楽 しい こと,嬉 しい こと, には特に敏感にダイナ ミックな行動で反 応す る。この行動に よ り,感 じ方 も大 き く,深い もの とな り,よ り多 くの感覚が育 ってい く。 このことか らも指導者は,幼児に より多 くの経験を与 えることが必要であ り,それに よ り 自然 と感覚がみがかれ,表現能力 も高 まって くる。北洋 :幼児の創造的表現活動について 53 又一方,幼児は,精神的な面 の発達に伴 って,運動機能が発達す る時期である。特 に,衣 る, き く,か く小,あじわ う,ふれ る,の五感で とらえることので きるものに対 しては,身体 全体で表現す る。 この運動に よ り, イメ-ジが よ り豊かにな り,知的発達を促 し,運動機能を も高め るo 又運動す ることに よ り,喜びが大 き くな り,感 じるJLlもよ り大 き く,深 くな り積極的に イ メ-ジを よびおこすのである. この ように精神的な もの と,身体的な もの とが互いに密接に結びつ き成 りた ってい る。 日 々生活を豊かに模索 し,そ して発見 し, さまざまな試行錯誤を くり返 し,全人格 をかけ 対象に向か うことができるような配慮が必要 である。 お わ り に "心"の入 った表現は的確で美 しく,人に感銘を与 える。 いいかえれば,内容のない動 き,動 きのない内容は,表現 とはいえない。 表現活動 には,心 と動 きが必要であ り, この構成 は,身体的要因,時間的要田,空間的要 田の結合である。すなわち豊かに感 じる心が出発点 となる。 そ して感 じた ままの自分 の考 えを素直に出 し, 日常生活で経験 してい る様 々な動 きを,模 倣 した り,誇張 しなが ら新 しい動 きをつ くってい く。 幼稚園における創造的表現活動は,聞 く,歌 う,ひ く, お どる,な どの活動 と共に,他 の 領域 と総合 して行われ ることが, より教育的である と考 える。特に身体 の動 きに割 りあて ら れた時間は, ごく限 られた時間 しかな く, この中で よ り楽 し く, 自ら好んで伸び伸び と活動 でき, イメージを大 き くふ くらましていける ような効果的 な内容は, リズ ミカルな動 きの訓 練 と,創造的表現活動,創造的表現活動か ら発展,展開す る劇 あそび,が よ り効果的な内容 ではないか と考 える。 それ も既成 のつ くられた ものではな く, ごく普通 の 日常生活 の中での言葉,話題か ら話 し をつ く り,そ こに歌をつけ踊 ってみた ら, よ りい っそ う楽 しい ものになる。 幼児期 の活動は未分化 である。未分化だか らこそ,いろい ろな要素が入 りまじ り,総合 さ れた発表の場があれば,人の心 を動かす作品が,で きるのではないだろ うか。 こうい う経験 こそ未来 の大 きな礎になることと信 じてい る。 参 考 文 献 1)加藤虚子,高柳美津,村浦とく著 『舞踊としての動きの リズム』明治図書,1978年 2)長野県短期大学,幼児教育学科編 『幼児教育』白文社,1983年 3)飯田秀一編 『音楽 リズム』同文書院,1979年 4)水谷光,三浦弓杖著 『身体の動きによる表現』光文書院,1969年 5)天野蝶著 『幼児 リトミック』共同音楽出版,1973年