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厚銅めっき配線形成のための高耐熱樹脂上密着力確保に関する研究 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 小倉 圭輔 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工博甲第352号 学 位 授 与 年 月 日 平成27年9月25日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 機能材料システム工学専攻 学 位 論 文 題 目 厚銅めっき配線形成のための高耐熱樹脂上密着力確保 に関する研究 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 柴 田 正 実 教 授 川 久 保 進 教 授 和 田 智 志 教 授 鈴 木 章 泰 准教授 柳 博 准教授 山 中 淳 二

学位論文内容の要旨

本研究論文では、新規パワーモジュール構造としてデバイスチップ上の厚銅めっき配線 を対象に、高耐熱絶縁樹脂上の長期めっき密着性確保について調査した。 パワーエレクトロニクス分野において、現在小型軽量化、低コスト化が求められており、 そのキーテクノロジーであるパワーモジュールにおいても、小型化に伴い大電流密度領域 での使用が必要とされている。大電流密度での使用では、デバイスチップの発熱によりパ ワーモジュール構造全体として高温での長期的動作に伴う信頼性を保証する必要がある。 研究では熱疲労強度の高い銅を用い、接合材および配線を兼ねた厚銅めっきによるデバイ スチップ上の新規配線構造に着目した。この厚銅めっき配線を実現するために要求される 技術課題として、高温時の絶縁樹脂上長期密着性確保を挙げた。絶縁樹脂上めっき密着性 確保のためには、絶縁樹脂との接合界面の密着力維持の他、厚めっきに伴う残留応力増大 を抑制させ、めっき配線形成直後の密着力確保から検討する必要があった。そこで本研究 では厚銅めっき配線形成直後の密着力確保から高温動作時の長期密着性確保するためのめ っきプロセスを明らかにすることを目的とした。 厚銅めっきの残留応力低減のため、残留応力増加原因とその対策方法を調査した。厚銅

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めっきには硫酸銅めっきを用い、皮膜の密着に直接影響する反りと残留応力の関係を以下 の通り調べた。硫酸銅めっきにおいて、剥離につながるめっき皮膜の反りは、格子ひずみ 起因のマクロ的な残留応力が支配的であった。その格子ひずみの発生は電析中に結晶粒界 へ取り込まれる水素が原因のひとつであることが示唆された。この結果から、格子ひずみ や結晶粒界に取り込まれる水素量低減のため、厚銅めっきの結晶に影響を与えると想定さ れる微量添加剤のSPS に注目し、残留応力との関係を調査した。その結果, SPS 濃度増に 伴い残留応力は低減した。めっき浴中へのSPS 添加濃度が高い場合では析出銅が微結晶化 し、これがセルフアニールすることで応力解放が促進したものと考えた。また厚銅めっき 結晶中の水素含有箇所が結晶粒内、粒界とそれぞれSPS 濃度増に伴い異なっており、セル フアニールによる水素脱離の可能性など新たな知見が得られた。以上、SPS が高濃度(≧ 10 mg/L)の範囲において、残留応力を低減、抑制することができることが判った。 次に硫酸銅めっき浴中の微量添加剤の定量分析および劣化挙動の解明を試みた。高速液 体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて硫酸銅めっき浴微量添加剤 PEG, JGB, SPS について それぞれ分析条件を明らかにし、以下の結果を得た。それぞれ分離ピークを確認し、定量 下限値PEG; 10 mg/L, JGB; 0.01 mg/L, SPS; 0.15 mg/L の範囲で定量分析が可能であるこ とを確認した。次に硫酸銅めっき過程における各微量添加剤の劣化挙動を調べた。PEG は 低分子化し、JGB は N の二重結合部で分解し、一部はメチレンバイオレットとして存在す る。SPS はめっき時間と共に減少傾向であり、分解による急激な劣化は見られなかった。 PEG の低分子化、JGB の分解生成物は共にスルーホールへの穴埋めめっきにおいて、穴埋 め性(スローイングパワー)を低下させることが示唆される。以上よりHPLC を用いるこ とで微量添加剤の管理が可能になり、安定した低残留応力の厚銅めっきが得られることが 判った。またこの微量添加剤は凸形状部の過剰なめっき反応を抑え、凹部のめっき成長を 促すことが期待できる。本研究の対象となるめっき配線においても凹凸が存在するため、 残留応力低減の他、膜厚を制御する観点からも有効な管理方法と考えられる。 絶縁樹脂上の厚銅めっき形成に必要な下地無電解めっきと絶縁樹脂との高温動作時の密 着力向上方法を検討した。ポリイミド絶縁樹脂上無電解Ni-P めっきでは、高温処理により 密着強度が低下した。その剥離面はめっき/樹脂界面であり、めっきとの密着因子となる 化学的結合力が低下したこと、また高温処理によるめっきの結晶化に伴う熱応力の発生が 密着強度低下原因といえる。さらに化学結合力の低下原因として高温処理によるイミド環 の開環が起こり、これによりめっきとの結合力が低下したと推察した。そこで新規高耐熱 絶縁樹脂材料としてBUR-5590(㈱ADEKA 製)を用い、この BUR-5590 樹脂上にめっき 前処理として酸素プラズマ処理、硫酸処理することで高温処理においても密着力の低下は

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見られなかった。また、密着力評価後の剥離は高温処理有無共に樹脂BUR-5590 のバルク 破壊であることが確認されたことから、めっき前処理を施したBUR-5590 表面部のバルク 以上の密着力が得られたことが判った。以上、めっき前処理条件を酸素プラズマ時間9 min、 硫酸濃度5 M とし、無電解めっき後の熱処理 250℃, 1hを施すことで、目標の密着力≧45 MPa(実測値:75 MPa), 250℃ 15h を満足することを確認した。本検討結果のめっき処 理条件からめっき配線構造の簡易モジュールを作製したところ、めっき配線形成初期から 高温処理後の密着性は確保され、良好な結果が得られた。 以上、新規の高耐熱パワーモジュール構造としてめっき配線構造を提案し、これを実現 するための要素技術として、厚銅めっきの残留応力低減および高耐熱絶縁樹脂 BUR-5590 との長期密着力確保についてのめっきプロセスを明らかにした。これにより新たな高耐熱 パワーモジュール構造の可能性を見出したといえる。

論文審査結果の要旨

本論文は「厚銅めっき配線形成のための高耐熱樹脂上密着力確保に関する研究」と題し て、5 章より構成されている。 第1章では、本研究背景、目的を記している。 第2章では、厚銅めっきの残留応力低減のため、残留応力増加原因とその対策方法を調 査している。厚銅めっきには硫酸銅めっきを用い、皮膜の密着に直接影響する反りと残留 応力の関係を調べ、剥離につながるめっき皮膜の反りは、格子ひずみ起因のマクロ的な残 留応力が支配的であることを明らかにしている。その格子ひずみの発生は電析中に結晶粒 界へ取り込まれる水素が原因のひとつであることを示唆し、この結果から、格子ひずみや 結晶粒界に取り込まれる水素量低減のため、厚銅めっきの結晶に影響を与えると想定され る微量添加剤のSPS に注目し、残留応力との関係を調査して、SPS 濃度増に伴い残留応力 が低減することを明らかにしている。また厚銅めっき結晶中の水素含有箇所が結晶粒内、 粒界とそれぞれSPS 濃度増に伴い異なっており、セルフアニールによる水素脱離の可能性 など新たな知見を得ている。 第3章では、硫酸銅めっき浴中の微量添加剤の定量分析および劣化挙動解明を試みてい る。HPLC を用い、微量添加剤 PEG, JGB, SPS についてそれぞれ分析条件を明らかにし、 それぞれ分離ピークを確認し、定量分析が可能であることを明らかにしている。次に各微 量添加剤の劣化挙動を調べ、PEG は低分子化し、JGB は N の二重結合部で分解し、一部

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はメチレンバイオレットとして存在するとしている。SPS はめっき処理と共に減少傾向で あり、分解による急激な劣化は見られなかったが、PEG の低分子化、JGB の分解生成物は 共にスルーホールへの穴埋めめっきにおいて、穴埋め性(スローイングパワー)を低下さ せることを明らかにしている。以上よりHPLC を用いることで微量添加剤の管理が可能に なり、安定した低残留応力の厚銅めっきが得られることを明らかにしている。 第4章では、絶縁樹脂上の厚銅めっき形成に必要な下地無電解めっきと絶縁樹脂との高 温動作時の密着力向上方法を検討している。ポリイミド絶縁樹脂上無電解Ni-P めっきでは、 高温処理により密着強度が低下し、その剥離面はめっき/樹脂界面であり、めっきとの密 着因子となる化学的結合力が低下したことを明らかにしている。また、新規高耐熱絶縁樹 脂材料を用い、この樹脂上にめっき前処理として酸素プラズマ処理および硫酸処理するこ とで高温処理においても密着力の低下は見られないことを明らかにしている。また、密着 力評価後の剥離は高温処理有無共に樹脂のバルク破壊であることが確認されたことから、 めっき前処理を施した表面部ではバルク以上の密着力が得られたことを明らかにしている。 以上、本論文では新規の高耐熱パワーモジュール構造としてめっき配線構造を提案し、 これを実現するための要素技術として、厚銅めっきの残留応力低減および高耐熱絶縁樹脂 との長期密着力確保についてのめっきプロセスを確立し、これにより新たな高耐熱パワー モジュール構造の可能性を実証したものであり、工学的に重要な知見を多く含んでいる。 よって、本論文は博士(工学)の学位論文として,十分に価値があると認められる。

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