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デジタル一眼レフカメラを用いた流星群の観測

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Academic year: 2021

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デジタル一眼レフカメラ

を用いた流星群の観測

明星大学 天文学研究室

13S1-063 西野 翔

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内容

1. 要旨

2. 流星

2.1 流星とは

2.2 流星群について

2.3 ペルセウス座流星群について

3. 原理

3.1 等級の求め方

3.2 質量の求め方

4. 撮影機器について

4.1 デジタル一眼レフカメラの原理

4.2 撮像素子

4.3 観測機材

4.4 素子サイズの計算

5. 撮影環境及び手順

5.1 撮影環境

5.2 カメラ設定

6. 測光

6.1 raw2fits の使用

6.2 測光手順

7. 観測結果

7.1 眼視観測

7.2 流星の等級と質量

8. 考察

9. 参考文献

謝辞

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1. 要旨

小さいころから流れ星をみるのが趣味であった。流れる時期によって流れる速さや一時間 でみられる量が違い、なんどみても飽きることがない。今日、流星群の時期に近づくとニ ュースや新聞などで取り上げることも多くなっている。しかし研究となると、流星を題材 に研究を行うところは少ない。本研究では、今後も研究を続けてもらいたいため、手頃な 撮影機材を使用し、解析にはフリーソフトを用いて、ペルセウス座流星群の流星の等級、 質量分布について求める。

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2.流星

2.1 流星とは

流星は、宇宙空間にある直径 1 ミリメートルから数センチメートル程度のチリの粒が地球 の大気に飛び込んできて大気と激しく衝突し、高温になってチリが気化する一方で、大気 や気化したチリの成分が光を放つ現象である。このチリのことを流星体や流星塵、塵とい う。流星体の大きさは、10−6μmより大きく5m未満である。10−6μmより小さいものは、 流星体の質量損失よりも熱の放出によって形を失うので、光や電離した飛跡は残らない。 また5m以上のものは、今日、月の軌道上に5~10mの小惑星がいくつも見つかっているため、 小惑星に分類される。地球大気に突入する初期速度は最小11.2km/sから最大72.8km/sまで 多様であり、表面温度は約2000℃になるまで加熱される。また、流星体の光が放出される のは、115km から 85kmの間である。

2.2 流星群について

流星群は、短周期彗星が太陽に近づくと彗星核が熱せられて小さな石英粒が解け出し、彗 星の尾となって、地球の公転軌道上にまき散らされる。また、長周期彗星も同様に小さな 岩石質粒子の古い積荷を地球の公転軌道上にまき散らす。これらの粒子がある軌道上を地 球が通過する時、ある決まった方向から流星がたくさん飛ぶ流星群となって観察されるの である。流星群にも、さまざまな種類があり、特に1 月のしぶんぎ座流星群、8 月のペルセ ウス座流星群、12 月のふたご座流星群を 3 大流星群といい毎年多くの流星が出現する。本 研究は、8 月のペルセウス座流星群を研究対象とした。

2.3 ペルセウス座流星群について

三大流星群のひとつ。毎年8 月に多くの流星が流れることで有名。極大日には1時間に100個 前後出現する。流星体はスイフト・タットル彗星から放出され、地球大気に60km/sの速度 で突入している。

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3. 原理

3.1 等級の求め方

等級とは、星の「明るさ」である。ギリシャの天文学者のヒッパルコスが肉眼で見える最 も明るい20 個の恒星を 1 等星、次に明るい星を 2 等星、3 等、4 等、5 等、肉眼で見える 限界の星を6 等星の 6 段階にわけた。その後、イギリスの天文学者ハーシェル親子によっ て1 等星 6 等星の明るさは 100 倍である事と 1 等と 2 等、2 等と 3 等と各等級の明るさの 比が約2.5 倍違う事を発見し、1853 年、イギリスのポグソンが定量的に測定を行い「1 等 星は6 等星の 100 倍明るい」という観測結果をもとに次のように定義した。 二つの星の等級を𝑚1、𝑚2 (𝑚1< 𝑚2)、それぞれの明るさ(地上で単位面積あたり単位時間あ たりに受ける放射エネルギー)を 𝐹1、𝐹2 (𝐹1> 𝐹2)とすると、 𝐹1/𝐹2 = 100 log (𝐹1/𝐹2 ) = 2/5(𝑚2− 𝑚1) または、 𝑚2− 𝑚1= 2.5𝑙𝑜𝑔 (𝐹1/𝐹2 ) (1) と表せる。 これにより、 流星の等級:𝑚𝑚𝑡 流星の明るさ:𝐹𝑚𝑡 基準星の等級:𝑚𝑣 基準星の明るさ:𝐹𝑣 とすると 𝑚𝑚𝑡− 𝑚𝑣 = 2.5𝑙𝑜𝑔 (𝐹𝑣/𝐹𝑚𝑡) となり、流星の等級𝑚mtは 𝑚𝑚𝑡 = 𝑚𝑣+ 2.5𝑙𝑜𝑔 (𝐹𝑣/𝐹𝑚𝑡) (2) で求まる。

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3.2 質量の求め方

実視等級𝑀𝑣 = 0のときの星(天頂)から地球上(大気外)に来る全波長域にわたって積分 した輻射エネルギーFvを𝐹v,0とすると 𝐹v,0 = 2.48 × 10−8[ J ∙ s−1∙ 𝑚−2 ] なので、(2)式に代入すると 𝑚𝑚𝑡= 2.5𝑙𝑜𝑔 (𝐹v,0/𝐹𝑚𝑡 ) になり、流星の質量がすべて光のエネルギーによって放射されるものとすると 𝐹𝑚𝑡= 10− 𝑚𝑚𝑡 2.5 × 𝐹v,0 [ J ∙ s−1∙ 𝑚−2] (3) となる。 また、流星から放出されるエネルギーは等方的に広がるとし、観測点からの距離をrとする と、流星が単位時間に放射したエネルギー𝐿𝑚𝑡は 𝐿𝑚𝑡= 10− 𝑚𝑚𝑡 2.5 × 𝐹v,0 × 4πr2 ここに、流星の出現時間∆tをかけると、流星が放射した全エネルギー𝐸mtは 𝐸𝑚𝑡= 10− 𝑚𝑚𝑡 2.5 × 𝐹v,0 × 4πr2× ∆t (4) (4)式より、入射してきた流星の運動エネルギーがすべて放射のエネルギーになるとすれば、 流星の質量M、入射速度を𝑣とすると 𝐸𝑚𝑡= 1 2𝑀𝑣2 よって、 𝑀 =2×10− 𝑚𝑚𝑡 2.5×𝐹v,0×4πr2×∆𝑡 𝑣2 (5) となる。

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7 一方、1950 年代はじめ、流星飛跡の写真による広範囲な研究を行ったルイジ・ヤッキアと その同僚によって明らかにされた算出式がある。それぞれ 流星の最大光度:mv 流星の質量:𝑚 流星の初期速度:v 天頂角:𝑍 としたとき、 mv= 4.84 − 2.25𝑙𝑜𝑔𝑚 − 8.75𝑙𝑜𝑔𝑣 − 1.5log (𝑐𝑜𝑠𝑍) (7) (天体観測の教科書 流星観測編より引用) という関係になる。

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4.撮影機器について

4.1 観測機材

カメラボディ:Nikon D5300 レンズ:Nikon DX VR 18mm-55mm リモコン:多機能シャッターリモコンコードレリーズMC-36B 以下、NIKON D5300 の仕様表より一部抜粋 ( http://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d5300/spec.html ) 型式:レンズ交換式一眼レフレックスタイプデジタルカメラ 有効画素数:2416 万画素 撮像素子:23.5×15.6mm サイズ CMOS センサー、ニコン DX フォーマット(焦点距離が約 1.5 倍のレンズのFX フォーマット(35mm 判相当)での画角に相当) 画質モード:RAW12 ビット/14 ビット(圧縮) 図―1 Nikon D5300 図―2 18 ㎜‐55 ㎜レンズ 図―3 リモコン

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4.2 素子サイズの計算

素子サイズは、センサー幅から素子の数(ピクセル数)を割ることによって素子一個当た りの大きさを出せる。 図-3はMakali’i 1 で FITS ヘッダーで示される写真の詳細情報である。 この図-3の中のNEXIS1が x 軸のピクセル数、NEXIS2が y 軸のピクセル数になってい る。 NIKON D5300 のセンサー幅は x 軸が 23.5mm なので、 23.5 ÷ 3008 = 0.00781 [𝑚𝑚] 1 画像処理使用ソフト:国立天文台 すばる解析ソフト Makali’i、フリーソフト ( https://makalii.mtk.nao.ac.jp/ ) 図―4 写真の詳細情報

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5.撮影環境及び手順

5.1 撮影環境

観測場所:静岡県下田市須崎爪木崎公園 撮影時間:8 月 12 日 23:00 ~8 月 13 日 4:00 天気:晴れ時々曇り 気温:24℃、湿度:85%

5.2 カメラの設定

撮影モード:マニュアル フラッシュ:オフ ノイズ低減:オフ(流星はいつ流れるかわからないため、多くの写真を撮るためカメラの 処理を少なくしてインターバルの時間を短くするために長時間ノイズ低減、 高感度ノイズ低減はオフにする) 保存形式:RAW ISO 感度…3200 F 値…3.5 焦点距離…18 ㎜(※F 値と焦点距離はレンズの最小値で行う) 露出時間…10 秒~30 秒 インターバル:露出+5 秒 1.どの方向に出現してもおかしくないため、雲がない、周りの光を吸収しない方向にカ メラを向ける。 2.試し撮りをしながら3等級あたりの星を基準にフォーカスを合わせる。(テスト撮影画 像を拡大して、最もシャープな画像が得られるように調節する) フォーカスを合わせたら、マスキングテープなどでずれないよう固定するとよい。 3.シャッターボタンを押したときのブレをなくすためリモコンを使用し撮影。

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6. 測光

6.1 raw2fits の使用

Makali’i を使用するために RAW データで解析ができないため FITS ファイルに変換する必 要がある。そこで、星空公団が作成したraw2fits というフリーソフトを使い変換した。

( http://www.kodan.jp/?p=products )

ベイヤー配列はG の画素が 2 倍になっており、raw2fits で変換する時に G1、G2 の加算 した値を出力している。

6.2 測光手順

・raw2fits.exe に raw データをドラック&ドロップして FITS データに変換する。

・Makali’i を起動し、ファイルから g.fits を選択して開く。 ・測光を選択し、開口測光で流星近くの星の測光を行う。開口測光とは画像上で指定した 半径内のカウント値を積算してから背景光を減算する 測光方法である。 ・開口測光では内円(赤色)が STAR、 外の 2 重線が SKY の値を差しそれぞれの座標 ピ クセル数などを計算して表示している。 ド ラ ッ グ& ドロップ 自動でfits フ ァ イ ル に変換 図―5 変換方法

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12 Count は、 STAR 総計-SKY のカウント×ピクセル数 ・等級とカウント値の関係をグラフで表示するので1 等級から 6 等級をそれぞれカウント 値を出す ・次に流星の測光を行う。流星は流れているため開口測光ができないためMakali’i のグラ フを用いる。図のように流星の軌跡上に線を引くことで流星のカウント値を読むことが できる。図の中心の青の線が流星の軌跡で、サイドの4 本の線が流星付近の夜空のカウ ント値を示している。 図-6 開口測光 図―7 グラフによるカウント値

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7. 観測結果

7.1 眼視観測

眼視観測は、8 月 12 日 23:00 から 13 日 04:00 にかけて2名で観測した。 天候は時々雲にさえぎられたが基本的には晴れていた。目視で観測できた流星数は、189 個、そのうち確認できた群流星と散在流星の数はそれぞれ53 個、32 個2という結果だった。

7.2 流星の等級と質量

撮影枚数:472 枚 流星が写った枚数:5 枚 露出時間は10 秒と 30 秒で段階的に撮像し、流星画像が得られたのは 10 秒露出時であった。 流星の等級および質量は以下の通りになった。(出現時間は 1 秒、流星の平均初期速度 60km/s、流星までの高度 100km で計算) 流星の等級 放射エネルギー[J] 質量[kg] 5.5 1.56E-10 19.66353 1.09E-08 6 9.87E-11 12.40685 6.89E-09 7.6 2.26E-11 2.84225 1.58E-09 7.8 1.88E-11 2.36408 1.31E-09 7.8 1.88E-11 2.36408 1.31E-09 表―1 (6)式により導いた流星の等級と質量 また、(7)式による計算結果は、 流星の等級 質量[kg] 5.5 0.000892 6 0.000714 7.6 0.000351 7.8 0.000321 7.8 0.000321 表―2 (7)式より導いた流星の等級と質量 2 104 個は、私自身が観測で見つけていないため、不明

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8. 考察

まず、眼視観測と写真観測で捉えられた流星数に大きな差があったことがわかる。 原因としては視野の広さが大きく違うことである。眼視観測はほぼ360°夜空を眺めること ができるが、写真観測はレンズにもよるが視野が狭いため、流星が出現する方向によって は写らない。しかし、レンズの視野を広げすぎてもよろしくない。魚眼レンズによる撮影 は魚眼の特性上、普通のレンズよりも多く流星を捉えられ出現した方角が一目でわかるが、 魚眼レンズは外側にいくほど多く光を吸収してしまうため本来の等級とは違うものになっ てしまうので、解析用の撮影としてでは魚眼レンズは向かない。 露出時間については、すべて10 秒のときに写るという面白い結果がでた。偶然だと思う が、露出時間が長ければ写るということではないことがわかった。今後の観測では、10 秒 間隔で撮るとよい。 質量の計算結果については、(6)式の数値が(7)式で出した数値と約 1000 倍の差がある。 この差は、(6)式で導いた数値は、入射してきた運動エネルギーがすべて観測から求めた放 射エネルギーに変換されたと仮定した時のものである。実際には、流星が持ち込んだ運動 エネルギーは、衝突した大気と流星自身の質量の熱エネルギーにかわり、その熱エネルギ ーの一部が、放射のエネルギーにまわるはずである。又、放射されたエネルギーも、可視 光のカメラに捉えられたものは一部のはずで、カメラが捉えた明るさから算出した流星の 放射エネルギーは、流星が持ち込んだ運動エネルギーのごく一部になるだろうことが予測 される。観測数は少ないが、彗星が残した流星物質は平均して0.001[kg]の質量をもった物 質が多く存在し、彗星軌道上に漂っていると思われる。 今後の研究で、2 地点観測による流星の方角、高度を調べたうえでちゃんとした質量を出 していってもらいたい。そのうえ、ビデオによる観測もあると速度が明確にわかるため、 平均の速度も算出することができる。流星群によって、速度等も変わってくるので、ほか の流星群の観測もしていくと流星についてより深く探求することができるのではないかと 考える。

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9.参考文献

・天体観測の教科書 流星観測編 2009 Martin Beech 著 長谷川一郎、十三塾 訳 誠文 堂新光社 ・理科年表2016 国立天文台 丸善出版株式会社 ・デジタル一眼レフカメラを用いた光害調査 2014 小野和論 明星大学天文学研究室卒業論文 ・星空公団( http://www.kodan.jp/?p=top ) ・すばる解析ソフト「 Makali’i 」 ( https://makalii.mtk.nao.ac.jp/index.html.ja ) ・日本流星研究会( http://meteor.chicappa.jp/2010NMS/nmsindex.html ) ・国立天文台( http://www.nao.ac.jp/ )

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謝辞

本研究を行うにあたり、井上先生、小野寺先生、日比野さんには大変お世話になりました。 特に日本流星研究会の柳様には、流星に関していろいろとご教授してくださり感謝してい ます。 そして、学生生活や研究のため観測に手伝ってくれた家族には本当に感謝しています。 先生方、柳様、そして家族、本当にありがとうございました。

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