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合唱指導におけるリーダーシップに関する研究:スポーツ心理学を用いたコーチングスキルを視点として

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Academic year: 2021

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(1)合唱指導におけるリーダーシップに関する研究 ∼スポーツ心理学を用いたコーチングスキルを視点として∼. 教科・領域教育学専攻 芸術系(音楽)コース. M09186F. 植村浩之 1.動機と目的. の様々な体験を通して、個人的な体験では得ることの.  音楽教育学者マーセル(JLM㎜冊11.1893∼1963). できない人間的な成長を促すということである。そこ. は、教育の目的について次のように述べている。「教育. には指導者のリーダーシップが大きく関与しており、. の究極の目的は、あくまで生活と人格の高揚であるべ. その過程は、スポーツ選手に練習や試合、競技大会な. きです。ですから教育の目標は、もっとも広い、もっ. どにおいて高いパフォーマンスを発揮させることがで. とも真実な意味での道徳性ということになります」1。. きるよう、監督やコーチに求められるものと同じであ. つまり、道徳性を育むことこそが教育の目標であると. る。そして、合唱も集団で行う種目の一種であると考. して、音楽の道徳的な影響の例として感化院での出来. えると、合唱指導者がスポーツにおけるコ}テングス. 事を紹介している。それは、感化院の指導員らが総動. キルを身に付けることは有意義なことであると思われ. 員してもまとめることのできない反抗的な子どもが、. る。ただし、コーチングスキルとは指導技術全般をさ. 合唱することによって同質なひとつの社会的グノトプ. す一般的な用語であるが、ここでいうコーチングスキ. になるというものである。. ルとは、スポーツ心理学の理論的裏付けをもったもの. 筆者はこれまで、勤務する高等学陵で学校行事や教. のことである。. 科指導、部活動において合唱指導をおこなってきた。.  スポーツ心理学とは「スポーツに関する心理学的な. それは、式典での儀式的なものからコンクールを目指. 問題を研究し、スポーツの実践や繕導に科学的な基礎. したものまで内容は様々であるが、音楽の技術的な向. を与えることを目的とした心理学の一頷駒と定義さ. 上だけでなく、合唱を通して集団的個人ともいうべき. れている。3スポーツの分野でも合唱指導の場合と同. 人格的な高揚に寄与したという実感は強い。また、指. 様に、これまで僻旨導者の経験や習慣によって指導さ. 揮者のブルーノ・ワルター(Bmo㎜慨1876∼. れることが多かったが、近年はスポーツ心理学を用い. 1962)も学校で多声合唱をすることを奨励し、全体の. た、選手を育てるコーチングスキノ州実践され、成果. ハーモニーのなかで自己を主張する共同精神への感覚. をあげている。4. がはやくから培われることを希望している。2.  そこで、本論文では経験論で指導されることが多い.  学校教育における合唱指導で、指揮者は音楽的な意. 合唱指導について、スポーツ心理学の諸現諭を用いた. 味においてだけでなく、教育的な意味においても指導. 合唱活動を仮説として提示し、実際の指導場面へのフ. 者(リーダー)であることが必要である。効果的で有. ィールドワークを通して仮説の検証を行い、合唱活動. 意義な練習を組み立て、実践し、本番ではその集団の. におけるリーダーシップのあり方について考えていき. 最高のパフォーマンスを実現することに加え、集団で. たい。. 一356一.

(2) 2.論文構成. ドを挙げて述べた。そして、第3節では徳永ら(2005). はじめに. がチームづくりに必要な心理的要因として挙げる『コ. 第一章 スポーツ心理学について. ミュニケーション・スキル」「協調性と個性化」rチー. 第1節 心理面. ムとしての集中力」「チームづくりの戦略」について、. 第2節技術面. それぞれにキーワードを挙げて述べた。. 第3節ザムづくり.  第二章第1節では第一章第1節で述べた諸理論を合. 第二章合唱活動におけるリーダーシップ. 唱活動に応用した時のリーダーシップを仮説として提.  第1節心理面. 示し、第2節や第3節でも同じように合唱活動におけ.  第2節技術面. るリーダーシップを仮説として提示した. 第3節チームづくり.  第三章ではA音楽部、B音楽部、C合唱部へのフィ. 第三章合唱活動の観察. ールドワークを行い、全体練習における指導者の指導.  第1節目的及ぴ実施方法. 言を収集し、第二章で述べた合唱活動の仮説ごとに分.  第2節A音楽部、B音楽部、C合唱部における観察. 類したまた、メンバーへのアンケート調査と指導者.  第3節アンケートの結果とまとめ. への聞き取り調査も行い、それらを通して第四章にお. 第四章合唱活動の分析. いて合唱活動におけるリーダーシップについて分析し.  第1節心理面. た.  第2節技術面.  分析の結果、合唱活動のリーダーシップには指導者.  第3節チームづくり. の指導言によって発揮されるものと指導言によらない.  第4節まとめと考察. リーダーシップのあることが明らかになった。第二章. おわりに. で述べた心理面や技術面に関するリーダーシップは盲. 3.論文の概要. 導言によって発揮されることが多いのに対して、チー.  本研究は経験的に指導されることが多い合唱指導に. ムづくりに関するリーダーシップは指導言によらない. ついて、スポーツ心理学を用いたコーチングスキルを. ことがわかったまた、指導言の分類における出現率. 合唱活動に応用することで合唱活動における望ましい. が練習目などの事情によらず、常に安定していること. リーダーシップについて考察するものである。. が合唱活動において望ましいリーダーシップであるこ.  第一章第1節ではスポーツ心理学における心理面へ. とも確認された。. のアプローチとして、徳永ら(2005)がスポーツ選手 に必要な試合場面での心理的能力とする「心理的競技. 能力」の中からr競技意欲」r精神の安定・集中」r自. 主任指導教員  保坂博光. 信」「作戦能力」について、それぞれにキーワードを挙.   指導教員  野本立人. げて述べたそして、第2節ではスポーツ心理学こお ける技術面へのアプローチとして、スポーツ技術の獲 得(習得)における心理的な理論である「スキーマ理 論」r文脈干渉効果」rモデリング」r筋運動感覚的な指 導」「全習法と分習法」について、それぞれにキーワー. 一357一. 1マーセル『音楽教育と人聞形成』(美田節子.音楽之友社う1967p.128. 2フィッシャー『音楽を愛する友へ』(佐野利勝訳新潮文庫)1977p.121 3上田雅夫『スポーツ心理学ン・ンドブック』(実務教育出版)2000p4. 4高妻容一『メンタルトトニング』(べ」スポール・マガジン社)1995. p4.

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