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裁量的会計行動に関する実証分析 : 日本の銀行のケース

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Academic year: 2021

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(1)裁量的会計行動に関する実証分析 ──日本の銀行のケース── 竹 内 徹 也. 1.はじめに. ( simultaneous equations model)に よ る 回 帰 分析という同様の実証分析手法を使って分析を. 本稿の目的は,日本の銀行による,利益や自. 行ったものが多いにもかかわらず,操作変数選. 己資本比率の調整を目的とした裁量的会計行動. 択の困難性などの理由から,結論は必ずしも一. のメカニズムを実証的に明らかにすることであ. 致していなかった.本稿では銀行の裁量的会計. る.. 行動を,裁量的に利用される可能性のある複数. 銀行 に よ る 裁量的会計行動 に つ い て は,. の会計項目について検証し,異なった時期にそ. Moyer(1990)を嚆矢として,米国のみならず. れらの利用がどのように変化したかについて,. 欧州,日本についても様々な実証研究が行われ. 同時方程式 モ デ ル で は な く SUR(seemingly. てきた.米国を中心とした研究では,主に貸倒. 1) unrelated regression) によって検証する.こ. 引当金を従属変数とし,各銀行の収益力や自己. のような方法によって日本の銀行の裁量的会計. 資本比率 な ど を 独立変数 と し た 重回帰分析 を. 行動を分析した研究はこれまで存在しなかっ. 使った検証が行われ,その結果貸倒引当金が利. た.また,裁量的会計行動に利用されている可. 益調整(earnings management)や自己資本調. 能性がある,有価証券損益を債券由来部分と株. 整の目的で中心的に利用されてきたことが示さ. 式由来部分に分割して検証したが,このような. れている.日本においても銀行の裁量的会計行. 報告は初めてのものである.更に上場銀行と未. 動に関する研究はいくつか存在するが,主に米. 上場銀行の間で,利用する会計項目が異なるか. 国と類似の実証分析によって,銀行が裁量的に. どうかなど裁量的会計行動が異なっているかど. 利益や自己資本の調整を行っていることが明ら. うかについても検証を行う.この点については. かになっている.ただし日本の銀行のケースで. 日本に関する研究はほとんどなされていない.. は裁量的会計行動の手段として貸倒引当金に加. さらに本稿では,実証分析に用いるデータが. え,有価証券損益,繰越税金資産などが用いら. 時系列のクロスセクション・データであり,い. れている点が特徴的である.また欧州の銀行に つ い て も Anandarajan et al. [2003] な ど が 銀 行の貸倒引当金繰入額に影響を与える要因につ いて検証を行っている. こ の よ う に 各国の銀行の裁量的会計行動に 関 す る 研究 は あ る 程度存在 す る が,日本 の 銀行 の 研究 に 関 し て は,同時方程式 モ デ ル. . 1)本分析 で SUR の 手法 を 使 う の は,異 な る 従属変数を持つ複数の回帰式において共通の独立 変数 を 用 い て い る か ら で あ り,SUR を 用 い る こ とにより回帰モデルのそれぞれの誤差項が無相関 でない可能性を考慮に入れ,モデルをより効率的 (efficient)にするためである.詳しくは本稿の 4. 3. 1 及び Zellar[1962] 参照..

(2) 108 (418). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). わゆるパネル・データであることから,各企業 の傾向を考慮に入れた固定効果モデルや変量効. 2.先行研究と分析方法の検討. 果モデル,あるいはプーリング・データを回帰. 銀行の裁量的会計行動に関する研究3)は,当. したプーリング効果モデルの中から重回帰モ. 初,米国の銀行を対象としたものが中心で,個. デルを選択することにより,より正確な回帰. 別の会計項目としては貸倒引当金に焦点を当. モデルを手に入れることができることを考慮に. てたものがいくつかみられた.その代表的な. いれ,これらのパネル・データ分析を追加的に. も の が Greenwalt and Sinkey [1988] で あ る.. 行った.. Greenwalt and Sinkey [1988] は,106 の 銀 行. 本稿の分析により以下のことが明らかになっ. 持株会社を対象に,1976 年から 1984 年の期間. た.検証した会計項目のうち,有価証券損益は. について,貸倒引当金の裁量的な計上により,. ほとんどの期間にわたって資本調整・利益調整. いわゆる利益平準化を行っているかどうかにつ. に利用されており,貸倒引当金繰入額は 1993─. いて実証的に検証した.その結果,銀行が利益. 1997 年 の 時期 に,配当金 は 1998─2006 年 の 時. 平準化を行っていること,マネーセンターバン. 期に資本調整・利益調整に利用されていた.繰. クよりも地方銀行にその傾向が顕著であること. 延税金資産 は,1998─2006 年 の 時期 に 資本調. が確認された.そしてその動機として規制回. 整・利益調整に利用されていた可能性が高かっ. 避,リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト,エージェン シー理. た.また銀行は,BIS 自己資本比率規制(以下. 論,報酬仮説などを挙げている.その他銀行の. BIS 規制)がより厳しかったと思われる,1998─. 貸倒引当金に焦点を当てた研究としては,オー. 2006 年,1993 年─1997 年,2007─2009 年 の 順. 2). ストラリアの銀行を対象とした Anandarajan. に,より積極的に裁量的会計行動をとったこと. et al. [2007],ス ペ イ ン の 銀行 を 対象 と し て. が明らかになった.株式売買損益と債券売買損. statistical provision の問題点を指摘した Perez. 益は,時期によって資本調整及び利益調整また. et al. [2008],日本の銀行を対象とした Kwak. はその両方の目的で利用され,その利用の目的. et al. [2009] がある.また銀行によるそれ以外. に大きな違いはなかった.最後に,銀行の上場・. の会計項目の調整にフォーカスした研究とし. 未上場による裁量的会計行動の違いは見られな. て は,米国 の 銀行 の 繰延税金資産 の 裁量的調. かった.. 整 を 扱った Schrand and Wong [2003],日 本. 本論文の以下の構成は次の通りである.まず. の 銀行 の 繰延税金資産 の 裁量的調整 を 扱った. 2 節では,銀行の裁量的会計行動に関する先行. Skinner [2008] が挙げられる.. 研究を概観する.3 節においては,銀行の BIS. 貸倒引当金以外 の 複数 の 要素 を 含 め て 銀行. 規制について歴史的に内容を検討する.4 節に. の 裁量的会計行動 を 検証 し た 研究 は,Moyer. おいては,本稿で検証する仮説の設定を行い,. [1990] を嚆矢とする.Moyer [1990] は,1981. さらにリサーチデザインを説明する.5 節にお. 年から 1986 年までについて,140 余りの米国. いては実証分析の結果と解釈について述べる .. の商業銀行を対象として,銀行の経営者が自己. 6 節は,結論および今後の展望である.. . 2)1998─2006 年の期間において BIS 規制が最も 厳しかったと仮定している.. . 3)米国における銀行に関する裁量的会計行動 の研究は,一般事業会社を対象としたものと異な り,利益の調整を対象にしたものばかりではなく, BIS 規制をはじめとした自己資本規制回避を対象 としているケースも多くみられ,むしろ自己資本 の観点にフォーカスしたものが中心となっている といってもいいであろう..

(3) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). (419) 109. 資本比率規制を回避するため,コストの低い方. = f(PFCAP, MTR). 法として貸倒引当金繰入額や,貸倒償却,有価. . 証券売買損益などの調整を行ったかどうかを検. Capital notes. 証した.結果として,これらの会計項目が自己. = f(PFCAP, MTR). 資本比率規制を回避するために利用されている. . ことは確認できたが,企業規模が大きいほどこ. Common stock. れらの会計項目を用いた利益減少型の裁量的調. = f(PFCAP, MTR). 整 を 行 う と い う Political Sensitivity 仮説 は 確. . 認できなかった.これらの検証は貸倒引当金繰. Preferred stock. 入額,貸倒償却,有価証券売買損益などの会計. = f(PFCAP, MTR). 項目を従属変数とし,銀行の倒産件数,規模,. . 自己資本比率の剰余部分,地域のダミー変数な. Dividends. どを独立変数とした,同時方程式による重回帰. = f(PFCAP). 分析により行われたが,この検証の方法はこれ. . 以降の先行研究の検証方法のベースとなった4).. 但 し,PFCAP = pro forma regulatory capital,. Collins et al. [1995] は,米国の銀行の経営者. EARN = non discretionary current earnings,. が,裁量的会計項目を含む有価証券損益,貸倒. MTR= marginal tax rates. 引当金など 7 項目を利用して,利益,自己資本. その他コントロール(独立)変数:. 比率,税金に関する調整(earning, capital and. 5年債金利,S&P40Index, 期初不良債権残高,. tax management)を行っているかどうかにつ. 期中不良債権増加額,貸倒引当金. +. +. -. -. +. +. -. -. +. いて検証した.そこでは,次のような一連の重 回帰モデルが SUR の手法で検証されている.. その結果,米国において各銀行が同じように. 仮説の重回帰モデルとその係数の符号は次のよ. 利益調整,資本調整を行っているという証拠は. うなものである.. 得られず,その方法は規模,成長性,収益性な どのそれぞれの銀行の特性により異なっている. Securities gains and losses. ことが示された.本稿においては,この論文の. = f(PFCAP, EARN, MTR). 手法を一部参考にして類似の従属変数及び独立. . 変数を取り上げて,SUR の手法で上記仮説の. -. -. -. Loan Loss Provisions. 相関が成立しているか,成立しているとすれば. = f(PFCAP, EARN). 符号は一致しているかどうかについて検証を行. . う.本稿 が Collins [1995] の 手法 を 検証方法. -. +. Loan charge-offs. の基本とする理由については , 本節後段で詳述 する.. . 4)銀行 の 裁量的会計行動研究 に お い て は 一般 的に,他の公益事業会社や一般企業に関する研究 とは異なり,全アクルーアルの重回帰式から裁量 的アクルーアルを推定する方法は取られていない. その理由としては,米国を中心とした先行研究に おいて,銀行セクターを対象としたこの方法の妥 当性が未検証であるからだと考えられる.例外と しては,國村など [1998] が存在する程度である.. Beauty et al. [1995] は Moyer, Collins の 手 法 を ベース に し て,2 段階 OLS 回帰分析 を 用 いた同時方程式モデルにより,貸倒償却,貸倒 引当金繰入額,資産売買損益,新規発行証券, 年金清算益の 5 項目の従属変数を他の従属変数 における重回帰式における独立変数とすること で,それぞれの従属変数間の連携を調べた.サ.

(4) 110 (420). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). ンプルは 1985 年から 1989 年における 148 社の. 日本 の 銀行 に お け る 裁量的会計行動 の 実態 を. 米国の銀行持株会社である.その結果,貸倒償. 検証した.地銀と都市銀行約 70 行を対象とし,. 却,貸倒引当金繰入額及び新規発行証券の三項. 分析期間はいわゆるバブル期からバブル崩壊後. 目に関しての決定は連携して行われ,おそらく. までの 1989─1996 年である.日本の銀行による. この 3 項目が組み合わされて自己資本比率の調. 利益平準化と資本規制アービトラージという二. 整に利用されていることが明らかになった.会. つの仮説を検証するために,ローンの増減,貸. 計基準へのインプリケーションとしては,これ. 倒引当金繰入額,有価証券損益,配当を従属変. らの項目が連携して資本比率の調整に使われて. 数とし,それらを独立変数にも用い(内生変数),. いることから,時価会計の導入によって,有価. それぞれの変数間の相関を調べた(同時方程式. 証券などの損益の裁量的調整ができにくくなれ. モ デ ル に よ る 二段階最小二乗法).そ の 結果,. ば,貸倒引当金など他の項目を利用した裁量的. 検証期間において日本の銀行は,(1)利益を平. 調整が増加するであろうというものであった.. 準化し,(2)実際にはリスクのバッファーであ. これらが米国の銀行を対象にした研究である. る資本を増やすことなく資本規制を満たすため. が,次に日本の銀行を対象にした,裁量的会計. に,有価証券損益及び貸倒引当金繰入額を調整. 行動に関する研究について見ていくことにす. していることを確認した.. る.. Shrieves and Dahl [2003] は,実際のリスク. 國村 [1998] は,過去に存在した,銀行の配. を吸収できるバッファーとしての規制資本に変. 当性向は 40% を超えてはならないとする大蔵. 更を加えることなく会計基準を利用した形式的. 省銀行局長通達を回避するために,銀行が行っ. な資本規制の変更を,追加資本コストなしに行. たと考えられる利益調整について検証を行っ. うことを資本規制アービトラージと呼んでい. た.日本の銀行に関する裁量的会計行動に関す. る.ここではその例としてトレーディングによ. る研究としては最も初期のものの一つである. る利益や,貸倒引当金の過小計上があげられて. が,扱ったテーマが配当のみを対象としている. いる.Shrieves and Dahl [2003] はより具体的. 点,Jones モデルを使った裁量的アクルーアル. にこれらの項目について日本の銀行が利用して. を用いている点においてその後の銀行を対象と. いたと考えられる二つの会計項目,貸倒引当金. した研究とは大きく異なっている.. 繰入額及び有価証券損益に言及している5).. 大日方 [1998] も日本の銀行を対象とした裁. 植 田 [2007] は,Shrieves and Dahl [2003]. 量的会計行動に関する先駆的な研究の一つで. とまったく同様の分析を行っているが,時期を. あ る.大日方 [1998] は,日本 の 都市銀行,信. 追加し,さらに 3 つの時期に分割した.BIS 規. 託銀行,長期信用銀行 を 対象 に,1982 年 か ら. 制の適用の厳格性が時期によって異なっていた. 1996 年の年次データについて OLS 重回帰分析. ことから,銀行の裁量的会計行動が時期により. を用いて,債権償却について利益平準化が行わ. ことなることを仮説とし,それを実証した.そ. れているかどうかという切り口で分析を行っ. の結果バブル経済期(1984─1991 年)及びバブ. た.その結果,バブル崩壊後に関して,これら. ル経済崩壊期(1992─1998 年)には自己資本に. 銀行が経常利益を平準化するように債権を償却. 関する裁量的会計行動は行われておらず,金融. しているということを実証的に確認している.. ビッグバン期(1999─2004 年)には,早期是正. ただし信託銀行と長期信用銀行のみにこのよう な行動が見られたとしている. Shrieves and Dahl [2003] は,Collins et al. [1995], Beauty et al. [1995] ら の 手法 を 使 い,. . 5)本稿ではこれら 2 項目に加え他の先行研究 で言及されている計 5 項目を中心に資本規制アー ビトラージ仮説について検証を行う..

(5) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). (421) 111. 措置の導入によって銀行の資本調整へのインセ. 植田 [2007],矢瀬 [2008] は,期間を分割して. ンティブが高まり,貸付の縮小などの裁量的会. 検証を行ったが,ほぼ同時期を検証期間とした. 計行動が行われたことを明らかにした.. 分析があり,重回帰モデルの従属変数や独立変. Agarwal et al. [2007] も Shrieves and Dahl. 数,分析手法もほぼ同じであるためにその結果. [2003] と類似の分析を行っているが,時期を. を比較することができる.4 つの重回帰式から. 1985 年 か ら 1999 年 に 延 ば し,1985─1990 年,. なる連立方程式モデルであるが,対象となる銀. 1991─1996 年,1997─1999 年に分割して分析を. 行,期間ともに大きな違いはなく各変数もほぼ. 行った. 結 論 も Shrieves and Dahl [2003] と. 同じであるにもかかわらず,各独立変数の有意. 類似であり,有価証券損益がすべての期におい. 性は大きく異なっている.例えば,各重回帰式. て利益調整に使われている,というものであっ. に 8 か ら 10 程度 あ る 全独立変数 の う ち,3 論. た.ただし貸倒引当金繰入額に関しては最後の. 文共に有意性が 5% 水準で一致したのは,わず. 期についてのみ利益調整に利用されていると結. か 1 変数しかない.また独立変数の半分以上は. 論づけている.. 1 論文でのみ 5% 水準で有意となっており,他. 矢瀬 [2008] は日本の銀行について Shrieves. の論文においては極めて説明力が弱い.これほ. and Dahl [2003] と同じ分析を Agarwal et al.,. ど大きく結果が異なってはこれらの結果から何. 植田と同様に時期を分割して検証している.仮. らかの結論を導くのは難しいといえる.. 説 の 設定 も Shrieves and Dahl [2003] と ほ ぼ. このような違いが現れた主な理由の一つとし. 同じであるが,繰延税金資産に関する仮説が加. て考えられるのは,同時方程式モデルの持つ. えられた. 時期は 1993 年から 2007 年に延ばし,. 大 き な 問題 で あ る,操作変数 の 選択 の 困難性. 1993─1998 年,1999─2002 年,2003─2007 年 に. が考えられる.各論文は同時方程式モデルに必. 分割して分析を行った.結果は,1993─1998 年. 須の 2 段階または 3 段階最小二乗法を採ってお. の時期には有価証券売却益が主な貸倒引当金繰. り,そ の 際 に 必要 な 操作変数(IV)を 選択 し. 入額の原資として使われ,1999─2002 年の時期. て推定を行っていると思われるが,記述がない. については裁量的であるかどうかについては明. ためどの変数を操作変数に選んだかはっきりし. 確ではないが,繰延税金資産が計上された貸倒. ない.内生変数は各論文とも最少で 4 つあるた. 引当金繰入額を埋め合わせる主な原資であり,. め少なくとも 4 変数は操作変数があるはずであ. 2003─2007 年の時期には銀行の収益環境の改善. る.同時方程式モデルは,操作変数の選択によっ. からその関係が消失したことが明らかになった.. て大きく回帰の結果が異なってくるし,その選. 手法 の 点 か ら 見 る と,Shrieves and Dahl. 択は内生変数との弱相関の問題もあり,安定し. [2003],Agarwal et al. [2007],植 田 [2007],. た結果を得ることは容易ではない.内生変数間. 矢瀬 [2008] は,Beauty et al. [1995] が 行った. の相関内容が分かれば得られるものも多いが,. ように,ある回帰式の従属変数を別の回帰式の. 特に内生変数が多い場合,分析自体の困難性が. 独立変数として用いる,いわゆる同時方程式モ. 伴うと考えられる(Greene, 1997).. デルによる重回帰分析を行っている.この方法. こ の よ う な 理由 か ら,本稿 で は Shrieves. がうまく機能すればそれぞれの会計項目が裁量. and Dahl [2003] が行った同時方程式モデルに. 的会計行動に使われているかどうかだけでな. よる分析を踏襲せず,Collins [1995] が行った,. く,会計項目間においてどのような連携を取り. 複数の従属変数を類似の独立変数で回帰する,. ながら利用されているかについて確認すること. SUR の手法により分析を行う.この方法によっ. ができる.. て各従属変数間の連携は必ずしも明確にはなら. これらの論文のうち,Agarwal et al. [2007],. ないが,どの期間にどの従属変数が裁量的会計.

(6) 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 112 (422). 行動に利用された可能性が高いかについては明. と見ることができる.. らかにすることができ,モデルの正確性も向上. こ の よ う に,BIS 規 制 は,1998─2006 年,. することが期待できる.. 1993─1998 年,2007─2009 年の順序でより厳格. 3.BIS 規制について. だったと考えられる. 4.仮説の設定とリサーチデザイン. 1988 年の主要先進 12 カ国の金融監督当局な どによる,いわゆるバーゼル合意によって導入. 4. 1 仮説の設定. さ れ た 自己資本比率 の 基準変更 は,当初任意. 先行研究 が 報告 す る よ う に 貸倒引当金繰入. 適用であったが,日本においては 1993 年 3 月. 額,有価証券損益等の 5 つの会計項目は利益調. 期より強制適用となった.当初は株式含み益の. 整及び資本調整を行う上で中心的役割を果たし. 45% が Tier II に算入可能であるなど,その内. たと考えられるが,利用の時期や程度は各項. 容は比較的緩やかであり,これを遵守できなく. 目により異なると考えられる.また 3 節で見た. ても海外事業から撤退する必要はない,など強. ように,それぞれの期間において BIS 資本規. 制力の弱いものであった(植田 , 2007).. 制の内容は異なっている.即ち,1997 年の規. その後 1998 年より,自己資本の計算に市場. 制から 1998 年時の規制に変わった時は市場リ. リスクが加わるなど厳格化され,さらにこの年. スクの導入により規制がより厳しくなり,2007. か ら 日本版 ビック バ ン に よ り 金融監督庁(後. 年の規制ではオペレーショナルリスクが導入さ. に金融庁)による健全経営が推し進められた.. れたが各銀行によるモニタリングを広く認める. 1998 年 4 月 よ り,自己資本比率 が 一定水準以. ことにより,運用方法次第では規制の内容が緩. 上維持できない場合営業再構築や営業停止が命. くなったと見ることもできる.また 2008 年の. じられる可能性が出てくるなどの,いわゆる早. グ ローバ ル 金融危機 に よって 一時的 に BIS 規. 期是正措置 が 金融庁 か ら 発動 さ れ,自己資本. 制の適用が緩められたという事実も積極的な裁. 比率規制は 1998─2006 年の時期,日本において. 量的会計行動の必要性を減少させた可能性があ. 非常に厳格に適用されるようになった(植田,. る.従って,次のような 2 つの仮説が考えられる.. 2007). 2007 年には Basel II が導入され,リスクの. 仮説 1:. 計算にオペレーショナルリスク,信用リスク・. 日本の銀行は,検証期間において,貸倒引当金. ア セット の 計算 が 加 わった が,BIS が 行った. 繰入額,有価証券損益,貸付金,配当繰延税金. 6). QIS5 でも指摘されたように,Basel II の導入. 資産などの会計項目を使った裁量的会計行動を. によ り,実質的 にはやや自己資本規制が緩く. 行った.Collins [1995] が予想したように,こ. なったと考えられる.また銀行が自ら内部格付. れらの会計項目と自己資本比率及び非裁量的利. 手法でリスクを計算する場合には,信用リスク. 益には次のような関係がある7).. を軽減できるなどの利点も付与された.さらに 2008 年 の 世界的金融危機後,金融商品 の 時価. GAIN(有価証券損益). 会計の一部棚上げなどの,規制緩和措置も採ら. = f(CAP, ROI). れ,2007─2009 年は BIS 規制が緩められた時期. . . 6)BIS が 2006 年 に 発表 し た 第 5 回定量的影響 度調査.G10 の 銀行 の 最低所要自己資本 が 以前 に 比べ平均 6.80% 減少するという結果が得られた.. -. -. LLP(貸倒引当金繰入額) . 7)関数 の 下 の 正負 の 符号 は 各関数(回帰式) において予想される各係数の符号である..

(7) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). (423) 113. = f(CAP, ROI). 積極的に利益増加型の利益調整を行うというこ. . とが確認されている(Beatty et al., 2002).日. -. +. DLOAN(貸付金増減 %). 本の銀行においても同様の傾向が見られるかど. = f(CAP, ROI). うかについて検証する.これを仮説として設定. . すると次のようになる.. +. +. DIV(配当金). = f(CAP, ROI). 仮説 4:. . 日本の上場している銀行は,財務諸表への依存. +. +. 8) DFFTAX(繰延税金資産). 度が大きい株主の期待に応えるために,非上場. = f(CAP, ROI). の銀行に比べてより積極的に利益調整を行う.. . -. -. 但 し CAP は 自己資本比率,ROI は 非裁量的. 4. 2 分析期間とサンプル. 利益.. 4. 2. 1 分析期間 検証期間:. 仮説 2:. BIS 規制である Basel I が正式に導入された. 日本の銀行は,資本規制アービトラージを目的. 1993 年からデータが入手できる直近の 2009 年. として,第 2 期,第 1 期,第 3 期の順でより積. までを検証期間とする.決算期である各 3 月の. 極的に仮説 1 のような会計調整行動を行ってき. 年次データを用いる.. た.. 1993 年 3 月期 よ り 邦銀 に 対 し て 本格的 に Basel I が 適用 さ れ た.そ の 後,市場 リ ス ク. 先行研究においては銀行による利益調整及び. を 含 む 新 Basel I が 1998 年 3 月期 よ り 適用 さ. 資本調整に,有価証券損益が使われてきたかど. れ,さらに 2007 年 3 月期よりオペレーショナ. うかについて検証が行われたが,さらにその内. ルリスクを含む Basel II が邦銀に対して適用さ. 容が株式損益中心なのか債券損益中心であるの. れ た.こ の3期間 が 全期間 の 中 で BIS 規制 の. かについて検証を行った先行研究はない.当研. 内容が最も明確に区別できる期間だといえる.. 究ではこの点に関して検証を行う.これを仮説. 従って 1993─1997 年 , 1998─2006 年 , 2007─2009. として設定すると次のようになる.. 年の 3 期間をそれぞれ検証期間とする. 4. 2. 2 サンプル. 仮説 3:. 1993 年度から 2009 年度までの,日本の普通. 日本の銀行による有価証券損益を用いた会計調. 銀行のうち東京証券取引所に上場している銀行. 整行動においては,主に債券損益ではなく保有. で,データがすべての完全にそろう 82 行の単. 株式の損益を使う.. 独決算年次データ.加えて,同時期の日本の普 通銀行のうち未上場の銀行で,データがすべて. 米国においては株主の期待に応えるために,. の期において完全にそろう 12 行の単独決算年. 上場銀行持株会社は未上場のそれに比べてより. 次データ.. . 4. 3 分析手法. 8)Collins(1995)は こ の 項目 を 分析 に 含 ん で いないが,矢瀬(2008)や Skinner(2008)からこ の項目の重要性が確認でき,符号も予想できたた め本稿では分析に追加した.. 4. 3. 1 Seemingly Unrelated Regression による 分析 本論文では,貸倒引当金繰入額,有価証券損.

(8) 114 (424). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 益など,従来から利益調整,資本調整に使われ. 実際に用いた回帰モデルは次のとおりであ. てきたと考えられる 5 項目をそれぞれ従属変数. る.Equations A は仮説 1 と仮説 2 を検証する. とした 5 つの重回帰式を設定する.さらに当研. ための連立方程式体系であり,5 本の回帰式か. 究における仮説検証を目的として,有価証券損. らなっている.仮説 3 を検証するための連立方. 益(GAIN)のブレイクダウンとしての債券売. 程式体系は Equations Aから pgain を従属変数. 買益(PLGVB)と 株式売買益(PLSTK)の 2. とする式を削除し,Equations B にある 2 つの. 項目を付け加えた.そしてこれらの従属変数と. 回帰式を加えた合計 6 本の回帰式からなってい. の関連を調べたい独立変数である, (最低必要. る.. 比率控除後)BIS 比率,非裁量利益で回帰した. 加えて仮説 4 を検証するために,非上場ダミー. Equations A:. 変数を設定し, その他コントロール変数として,. ploanproit = a0 bismsit + a1 proi + a2 lnassetit. 先行研究を参考にして,資産規模(自然対数) , 地方銀行 ダ ミー変数,鉱工業生産指数変化率,. + a3 regit + a4 pdammyit + a5 pindproit a6 prateit +εit. 総資産比非裁量利益,短期プライムレート,無 担保 コール レート 翌日物,東証 Topix 指数変. pgainit = b0 bismsit + b1 proi + b2 lnassetit. 化率を取り上げた.マクロ経済変数について. + b3 regit + b4 pdammyit + b5 tpxit. は,先行研究をベースにして従属変数の内容に. + b6 prateit + b7 + ζ it. よって回帰式に取り入れるかどうかの取捨選択 を行った.. dloan. 例えば債券価格や株価に相関が高いと考えら. + c3 regit + c4 pdammyit +c5 pindproit. れ る 東証 Topix 指数変化率 は 有価証券損益 や. + c6 prateit + c7 + κit. it. =c0 bismsit + c1 proi + c2 lnassetit. 株式売買損益,債券売買損益を従属変数とする 回帰式に独立変数として採用した.また,短期. pdivit = d0 bismsit + d1 proi + d2 lnassetit. プ ラ イ ム レート や 無担保 コール レート 翌日物. + d3 regit + d4 pdammyit + d5 tpxit. は,金利に影響を受けやすいと思われる,貸付. + d6 prateit + d7 + τit. 金増減や貸倒引当金繰入額,有価証券損益を説 明する独立変数として取り上げた.鉱工業生産. pdfftaxait =l0 bismsit + l1 proi + l2 lnassetit. 指数 は 貸付金増減 や : 貸倒引当金繰入額 な ど,. + l3 regit + l4 pdammyit + l5 pindproit. 経済状況に直接影響を受けると思われる変数を. + l6 prateit + lit +φit. 説明する独立変数として採用した. 本検証においては,従属変数がそれぞれひと. Equations B:. つずつで,共通の独立変数が複数ある重回帰モ. pplatkit = m0 bismsit + m1 proi + m2 lnassetit. デルを設定しているが.このような場合それぞ れの回帰式の誤差項に相関がある可能性が高. + m3 regit + m4 pdammyit + m5 ptpxit + m6 crateit + m7 + ψit. く,撹乱項間の相関がないと仮定する OLS 回 帰の前提が満たされていない.このような場 合,SUR の手法により分析を行うことにより, OLS 推定 よ り よ り 効率的(efficient )な 推定 を得ることができる.. pplgvbit = n0 bismsit + n1 proi + n2 lnassetit + n3 regit + n4 pdammyit + n5 tpxit + n6 prateit + n7 + ωit.

(9) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). [変数に関する説明] (従属変数). (425) 115. 5.推計結果及びその解釈. ploanpro: 貸 倒 引 当 金 繰 入 額/総 資 産,pgain:. 5. 1 記述統計量. 有価証券損益/総資産,dloan: 貸付金変化率,. Table 1 は検証に用いた変数の記述統計量で. pdiv:[配当金額及 び 自己株式総額] /総資産,. ある.総資産規模の対数値である lnasset は全. pdfftaxa: 繰 延 税 金 資 産/総 資 産,pplatk: 株 式. 期間を通じて少しずつ増加している.貸付の増. 売買損益/総資産,pplgvb: 債券損益/総資産. 加率は,期間が進むにつれ,逓減していること. (独立変数). がわかる.繰延税金資産は,1 期目はゼロであ. bisms: 自己資本比率-最低必要自己資本比率,. り,その後 2 期目で急増し,3 期目になると減. proi: 非裁量利益/総資産,lnasset: ln[総資産] ,. 少 し て い る.調整済自己資本比率 は 1 期目,2. reg: 地方銀行 ダ ミー変数,pdammy: 非上場銀. 期目はあまり変わらないが,3 期目には急増し. 行ダミー変数,ptpx: 東証 Topix 指数変化率,. ている.国際行から国内行になり,調整済自己. indpro: 鉱工業生産指数変化率,crate: 無担保コー. 資本比率が急減した銀行の数が増えたことが影. ルレート翌日物,prate: 短期プライムレート. 響していると思われる.非裁量利益は 2 期目以. 非裁量利益 = 税引前利益-有価証券損益+貸. 降に増えており,銀行にとっての有価証券損益. 倒引当金繰入額. が,最初の期において特に重要であったことが. (その他). うかがわれる.変数全体の傾向としては,1 期. ε,ζ,τ,κ,φ,ψ,ω: 誤差項,i: i 番目. 目のそれ以降で大きな変化があった会計項目が. の銀行,t: 年度. 多かったことが確認できた.. 4. 3. 2 パネル・データ分析による追加検証 先行研究 に お い て は,同時方程式 モ デ ル を. 5. 2 仮説 1 及び仮説 2 の検証. 使った場合,ほとんどのケースで本稿に用い. 5. 2. 1 期間 1(1993 年 3 月―1997 年 3 月). た各銀行 の ク ロ スセクション・データの分析. Table 2 は 仮説 1 を 検証 し た 結果 で あ る.. モデルとしてプーリング・データのクロスセ. Table 2─1 を 見 る と,従 属 変 数 ploanpro(総. クション 回帰分析を行っていた.ところがパ. 資産比貸倒引当金繰入額)に つ い て は 独立変. ネル・データ分析を用いた予備的解析の結果,. 数 bisms(調整済自己資本比率)及 び 独立変. プーリング回帰モデルよりもいわゆる固定効果. 数 proi(総 資 産 比 非 裁 量 利 益)と も に 符 号. モデルや変量効果モデルを用いた方がより妥当. は 予想通 り で,説明力 も 非常 に 高 い.こ れ は. 性が高い場合が多いことが確認できた.した. ploanpro が こ の 時期 に 自己資本比率及 び 利益. がって 回帰 の 変量効果 や 固体効果 を 考慮 に 入. の調整に利用された可能性が高いことを示して. れ,固定効果モデルと変量効果モデルにおいて. いる.次に従属変数 pgain(総資産比有価証券. パネル・データのモデル選択の検定方法である. 損益)を見ると,bisms(調整済自己資本比率). Hausman 検定によってそれぞれのモデルの妥. 及び proi(総資産比非裁量利益)ともに符号は. 当性を比較し,適切なモデルを採用することに. 予想通りで,説明力も非常に高い.回帰モデル. した.当パネル・データ分析においては,SUR. の決定係数は 89.30% で,すべての期間の全回. の前提となる誤差項の相関に関する仮定を考. 帰モデルの中で最も高い.従って pgain もやは. 慮にいれておらず不充分な点もあるが,もし. り利益増加,自己資本比率向上の目的で利用さ. SUR と類似の結果が得られれば,SUR の分析. れた可能性が非常に高い.. 結果を補強することになると考える..

(10) 14.5438 0.0295 0.0000 0.0023 2.9540 0.0110 -0.0004 0.9149 0.0055 -0.0030 0.0025 0.0025 0.0002 0.1277 1.1772 0.0265. Mean. 93─97 Std. Dev. Min 470 1.1486 12.3184 0.0339 -0.0806 0.0000 0.0000 0.0032 0.0000 2.2051 0.1300 0.0458 -0.0453 0.1395 -0.1306 0.2793 0.0000 0.0092 0.0000 0.0050 -0.0360 0.0064 -0.0090 0.0063 -0.0374 0.0001 -0.0002 0.3341 0.0000 0.8742 0.4333 0.0091 0.0163 18.1707 0.3880 0.0000 0.0298 4.9000 0.0673 0.2027 1.0000 0.0709 0.0021 0.0458 0.0162 0.0004 1.0000 2.2738 0.0400. Max 14.6291 0.0098 0.0059 0.0045 2.6911 0.0109 0.0678 0.9149 0.0012 0.0001 0.0012 0.0037 0.0003 0.1277 0.0845 0.0140. Mean. 98─06 Std. Dev. Min 846 1.1536 12.4038 0.0924 -0.1889 0.0058 0.0000 0.0050 0.0000 1.7764 -0.9700 0.0453 -0.0951 0.2614 -0.2481 0.2792 0.0000 0.0021 0.0000 0.0005 -0.0023 0.0023 -0.0022 0.0050 -0.0465 0.0003 -0.0002 0.3339 0.0000 0.1260 0.0007 0.0008 0.0138 18.8066 1.7043 0.0293 0.0429 4.4000 0.0542 0.4859 1.0000 0.0204 0.0033 0.0213 0.0215 0.0031 1.0000 0.3777 0.0163. Max 14.7288 0.0247 0.0053 0.0020 6.1933 -0.0697 0.1978 0.9149 0.0002 0.0001 0.0003 0.0036 0.0008 0.1277 1.6053 0.0167. Mean. 07─09 Std. Dev. Min Max 282 1.2014 12.3558 18.8193 0.0331 -0.1353 0.1433 0.0039 0.0000 0.0190 0.0026 0.0000 0.0210 0.2701 5.8700 6.5300 0.1798 -0.3224 0.0782 0.7422 -0.3997 1.2419 0.2795 0.0000 1.0000 0.0005 0.0000 0.0038 0.0003 -0.0010 0.0011 0.0007 -0.0010 0.0049 0.0046 -0.0237 0.0160 0.0021 -0.0003 0.0272 0.3343 0.0000 1.0000 1.8450 0.1103 4.1998 0.0017 0.0145 0.0188. 注 1)変数の定義 (Dependent Variables) ploanpro: 貸倒引当金繰入額/総資産,pgain: 有価証券損益/総資産,dloan: 貸付金変化率,pdiv: [配当金額及び自己株式総額]/総資産 pdfftaxa: 繰延税金資産/総資産,pplatk: 株式売買損益/総資産,pplgvb: 債券損益/総資産 (Independent Variables) bisms: 自己資本比率-最低必要自己資本比率,proi: 非裁量利益/総資産,lnasset: ln[総資産],reg: 地方銀行ダミー変数 [地方銀行が 1,それ以外 0] pdammy: 非上場銀行ダミー変数 [非上場が 1,それ以外 0],ptpx: 東証 Topix 指数変化率,indpro: 鉱工業生産指数変化率, crate: 無担保コールレート翌日物,prate: 短期プライムレート,非裁量利益=税引前利益-有価証券損益+貸倒引当金繰入額. Period Variable Number of obs. lnasset dloan pdfftaxa ploanpro bisms pindpro ptpx reg pplatk pplgvb pgain proi pdiv pdammy crate prate. Table 1 Descriptive Statistics 116 (426). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月).

(11) 0.0660. Independent Variable bisms proi lnasset reg pdammy pindpro ptpx prate _cons R Square Chi Square P value. 0.000 0.000 0.021 0.068 0.049 0.093. 0.351 0.019 0.1191 111.71 0.000. -0.0007 -0.1562 -0.0006 -0.0015 -0.0012 -0.0067. 0.2407 0.0133. P value. ploanpro. Dependent Variable. Coef.. 298.56 0.0000. 0.0000 0.3969. 0.2230. Chi Square P value. 0.0139. 0.0890. 0.0129. pindpro ptpx prate. _cons R Square. 0.0000. 0.0005. pdammy. 0.0000 0.0100 0.0000. 0.1446 -0.0004 -0.0048. 0.0000. -0.0011. P value. proi lnasset reg. Coef.. ploanpro. Independent Variable bisms. Dependent Variable. - +. Expected Sign. +. -. Expected Sign. 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.5171 948.28 0.000. -0.0037 -0.9441 0.0301. P value. pgain. 3925.22 0.0000. 0.0000 0.8930. 0.8250 0.2380. 0.3060. 0.0000 0.0000 0.2740. 0.0000. P value. -0.0009 -0.0807 -0.0008 -0.0011 0.0014. Coef.. 0.0132. -0.0003 0.0430. 0.0004. -0.8384 -0.0005 -0.0005. -0.0007. Coef.. pgain. - -. Expected Sign. -. -. Expected Sign. 93─97A. -0.3514 0.0299. 0.0008 1.4991 0.0009 -0.0402 0.0094 -0.0641. Coef.. 98─06A. 0.1163. 3.8555. 0.2393. -0.0024. 0.4198 -0.0090 -0.0152. -0.0161. Coef.. 0.945 0.787 0.0236 20.88 0.004. 0.686 0.023 0.843 0.014 0.427 0.413. P value. dloan. + +. 0.0005. 0.0000 0.0147 0.0000 -0.0004 0.0000. Coef.. 0.017 0.3061 375.1 0.000. 0.015 0.000 0.972 0.000 0.167. P value. pdiv. 71.43. 0.14400 0.1319. 0.00500. 0.18500 0.01300 0.23600. 0.49300. P value. 0.0000. 0.00010. -0.00003. 0.00068 0.00001 -0.00002. 0.00000. Coef.. 90.24. Expected Sign. +. +. Expected Sign. pdiv. 0.0000. 0.0010 0.1611. 0.0000. 0.0000. 0.6620. 0.1500 0.0000 0.0340. 0.0000. P value. dloan. + +. Expected Sign. +. +. Expected Sign. Table 2―1 Seemingly Unrelated Regressions—Tests for Hypothesis 1 and 2(1). 0.00010. 0.0013 -0.1555 -0.0007 -0.0058 -0.0021 0.0147. Coef.. 0.14400 0.2127 228.56 0.000. 0.000 0.000 0.004 0.000 0.001 0.000. P value. pdfftaxa. - -. Expected Sign. 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内) (427) 117.

(12) 118 (428). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 従属変数 dloan(貸付金増減 パーセ ン テー. に関しては前期と同様,利益増加,自己資本比. ジ)に関して見ると,独立変数 bisms は 1% 水. 率向上の目的で利用された可能性が高い.従. 準で有意ではあるが符号が負値で予想と逆であ. 属変数 dloan に関して見ると,p 値が独立変数. り,独立変数 proi に関しては p 値 が 15.0% で. bisms, proi それぞれ 68%, 2.3% と高く,期間 1. あり説明力はかなり弱い.この期に貸付金の増. と同様に貸付金の増減による利益調整,資本調. 減が利益調整および資本調整に使われた可能性. 整は行われなかった可能性が高い.事実 R ス. は 低 い と 思 わ れ る.従属変数 pdiv(総資産比. クエアも 2.34% と非常に低い値である.. 配当金及 び 自己株式取得合計額)は 独立変数. 従属変数 pdiv に つ い て は 独立変数 bisms,. bisms 及 び proi 共 に p 値 が 5% よ り 大 き く 共. proi ともに符号は正値で予想通りであり,説明. に説明力は低かった.. 力も高く pdiv を利用した資本調整及び利益調. 仮説 1 に 関 し て こ の 期間 を 俯瞰 す れ ば,. 整は行われた可能性が高い.この時期は期間 1. ploanpro, pgain に 関 し て は 利益調整及 び 資本. と異なり各銀行の配当金に差がでてきた時期で. 調整に使われた可能性が高く,dloan 及び pdiv. あり,利益,自己資本比率に関して,確保が難. は共に利益調整及び資本調整には使われなかっ. しい銀行は配当金などにより調整を行うように. たと考えられる.また pdfftaxa(総資産比繰延. なってきたことが確認できた.. 税金資産)は日本の銀行にはこの期間において. 従属変数 pdfftaxa(総資産比繰延税金資産). 認められていなかったため,これを従属変数と. は独立変数 bisms, proi ともに説明力は高かっ. する重回帰モデルは省略した.. たが,proi の符号が予想通り負値であるのに. そのほかのコントロール変数に関しては,銀. 対し bisms の符号は予想に反し正値であった.. 行の規模の代理変数である lnasset(総資産金. モデル自体の Rスクエアは 21.2% と比較的高い. 額の自然対数)が係数は負値で,どの従属変数. ため,ここで考えられる解釈としては,繰延税. においても 1% 水準で有意であり,説明力が高. 金資産を用いた資本調整は行われたが,資本調. い.銀行の規模が小さいほど利益調整及び資本. 整の結果資本不足の銀行も見かけ上自己資本比. 調整を積極的に行っていないことがわかる.. 率が高くなったということである.この時期の. 5. 2. 2 期間 2(1998 年 3 月―2006 年 3 月). 自己資本比率は正確でないという市場の認識が. 次に期間 2 について仮説 1 が成立しているか. あった9)ことはよく知られているが,実際にも. 確認していこう.従属変数 ploanpro について. 自己資本の数値は正しくなかった可能性が高い. は,独立変数 bisms 及 び 独立変数 proi と も に. と思われる.. 説明力は高いが,bisms の符号は負値で予想ど. 仮説 1 に 関 し こ の 期間 を 眺 め れ ば,pgain,. おりであるのに対し,proi の符号は負値で予想. pdiv に関しては利益調整及び資本調整に使わ. とは異なっている.これは ploanpro が,資本. れた可能性が高く,ploanpro に関しては資本. 調整には積極的に利用されたと考えられるが,. 調整のみを目的として利用され,dloan は利益. 一方利益水準が低い銀行ほど ploanpro を多く. 調整及び資本調整には使われなかったと考えら. 計上する傾向があるということであり,利益が. れる.. 少ない銀行ほど貸倒れが多い可能性が高いとす. そのほかのコントロール変数に関しては,銀. ると,利益調整のためには ploanpro は利用さ. 行の規模の代理変数である lnasset はこの期間. れていないと考えられる.. については説明力が比較的弱かった.ほかの変. ま た,従属変数 pgain を 見 る と,独立変数 bisms 及 び 独立変数 proi と も に 符号 は 負値 で 予想通りであり,説明力も非常に高い.pgain. . 9)例えば Skinner(2008)はこの時期の自己資 本比率が水増しされていた事実を指摘している..

(13) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). (429) 119. 数では地銀のダミー変数である reg が符号は. 行の規模の代理変数である lnasset に関しても. 負値で説明力が高く,この期に関して地方銀行. 説明力は弱く,説明力においてすべての従属変. は,都銀などに比べ全体的に裁量的会計行動を. 数と関連の強い目立ったコントロール変数は存. 行っていなかったことが確かめられた.. 在しなかった.. 5. 2. 3 期間 3(2007 年 3 月―2009 年 3 月). 5. 2. 4 仮説 1 及び 2 の総括. 期間 3 について仮説 1 についてみていこう.. まず仮説 1 について見て行こう.pgain に関. Table 2─2 に あ る よ う に,従属変数 ploanpro. しては,期間 1 期間 2 を通じて仮説 1 は正しい. に関しては独立変数 proi は説明力が弱く,独. 可能性 が 高 く,資本調整及 び 利益調整 に 利用. 立変数 bisms は符号が予想と異なり正値であ. されていると考えられる.期間 3 においても. り,ploanpro が 裁量的会計行動 に 使 わ れ た 可. pgain に関しては,proi との相関においては正. 能性は低いと考えられる.従属変数 pgain に関. しい可能性が高く,利益調整に利用されたと考. しては独立変数 proi, bisms ともに説明力は高. えられる.ploanpro に関しては期間 1 では仮. いものの proi の符号が予想通り負値であるの. 説 1 は正しい可能性が高いが,期間 2,3 にお. に対して bisms の符号は予想と異なり正値で. いては proi との相関においてのみ正しい可能. ある.利益を出すために有価証券損益が使われ. 性が高く,利益調整のみに利用されたと考えら. た可能性は高いものの,自己資本比率が高い銀. れる.pdiv に関しては,期間 2 においてのみ. 行ほど有価証券益を多く計上していると考えら. 仮説 1 は正しく,他の期間においては仮説 1 は. れ,proi が裁量的会計行動に使われた目的は利. 正しくないと思われる.dloan に関してはすべ. 益調整のみ,と一部にとどまっている.従属変. ての期間において仮説 1 は正しくない可能性が. 数 dloan に つ い て は 独立変数 proi, bisms と も. 高い.. に説明力は非常に低い.従属変数 pdiv につい. 仮説 2 に関しては,繰り延べ税金資産を除く. ても同様である.. 比較可能な 4 つの会計項目がそれぞれ資本調整. こ の よ う に 期 間 3 に 関 し て は 従 属 変 数. 及び利益調整に利用された総数を見ていくと,. ploanpro, pgain と も に 独立変数 proi,bisms の. 期 間 1 は 4,期 間 2 は 5,期 間 3 は 2 で あ る.. 説明力 は 他 の 2 期 よ り も 弱 く,符号 も bisms. 期間 1 と期間 2 については裁量的会計行動の内. については一致しておらず,これらの項目を利. 容に関する議論の余地はあるが,総数という基. 用した資本調整が行われた可能性は低いと思わ. 準でみれば銀行は,期間 2,期間 1,期間 3 の. れ る.dloan, pdiv も 資本調整,利益調整 い ず. 順でより積極的に裁量的会計行動を行ったと言. れにも利用された可能性は低く,全体としてこ. えるであろう.. の期に銀行による裁量的会計行動が行われた可 能性は低い.. 5. 3 仮説 3 に関する検証. 従 属 変 数 pdfftaxa に つ い て は,独 立 変 数. 仮説 3 を検証するため,pgain の一部である. proi は予想の通り負値であるが,p 値は 6.20%. pplatk(総資産比株式売買損益)と pplgvb(総. と説明力はそれほど高くはない.また独立変数. 資産比債券売買損益)を比較した.Table 3 に. bisms は期間 2 と同様説明力は高いが符号は正. よ れ ば,期間1に お い て は 従属変数 pgain に. で予想と逆であった.この期においても繰延税. 関しては,独立変数 bisms, roi 共に説明力は高. 金資産が自己資本比率に重要な役割を果たして. く,符号も共に予想どおりである.これに対応. いることの反映である可能性はあるが,明確な. し て Table の 期間 1 に つ い て 従属変数 pplatk. 理由はわからない.. 及び pplgvb を見てみよう.pplatk については. そのほかのコントロール変数に関しては,銀. proi のみ符号が一致しており説明力を有して.

(14) Coef.. P value. ploanpro. - +. Expected Sign. 0.000. -0.0009637 (omitted) -0.0120856 0.000 0.5494 347.43 0.0000. 0.000 0.001 0.000 0.012 0.001. P value. 0.0025509 -0.0253674 -0.0001938 -0.0003618 0.000354. Coef.. pgain. - -. Expected Sign. (omitted) -0.2212811. 0.0080946 -0.2646862 0.0115558 0.0310786 0.0006106 0.0278526. Coef.. 07─09A. 0.001 0.1243 40.29 0.0000. 0.333 0.595 0.000 0.001 0.930 0.007. P value. dloan. + +. Expected Sign. 0.0024074. 0.000021 0.026447 -0.000068 -0.001309 -0.000233. Coef.. 0.090 0.2753 107.12 0.0000. 0.906 0.014 0.240 0.000 0.121. P value. pdiv. + +. Expected Sign. 注 1)変数の定義 (Dependent Variables) ploanpro: 貸倒引当金繰入額/総資産,pgain: 有価証券損益/総資産,dloan: 貸付金変化率,pdiv: [配当金額及び自己株式総額]/総資産 pdfftaxa: 繰延税金資産/総資産,pplatk: 株式売買損益/総資産,pplgvb: 債券損益/総資産 (Independent Variables) bisms: 自己資本比率-最低必要自己資本比率,proi: 非裁量利益/総資産,lnasset: ln [総資産],reg: 地方銀行ダミー変数 [地方銀行が 1,それ以外 0], pdammy: 非上場銀行ダミー変数 [非上場が 1,それ以外 0], ptpx: 東証 Topix 指数変化率,indpro: 鉱工業生産指数変化率, crate: 無担保コールレート翌日物,prate: 短期プライムレート,非裁量利益=税引前利益-有価証券損益+貸倒引当金繰入額 (その他)_cons, R Square: 自由度調整済決定係数 Coef: 回帰係数. Independent Variable bisms 0.0022585 0.001 proi 0.0729177 0.067 lnasset -0.0004043 0.057 reg 0.0003031 0.694 pdammy 0.0008206 0.138 pindpro 0.0007515 0.363 ptpx prate (omitted) _cons -0.0066295 0.207 R Square 0.1043 Chi Square 32.70 P value 0.0000. Dependent Variable. Table 2―2 Seemingly Unrelated Regressions—Tests for Hypothesis 1 and 2(2). (omitted) 0.001404. 0.0049834 -0.0982787 -0.0015404 -0.0039867 -0.0019697 -0.0000197. Coef.. 0.840 0.2207 79.86 0.0000. 0.000 0.062 0.000 0.000 0.007 0.986. P value. pdfftaxa. - -. Expected Sign. 120 (430). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月).

(15) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). (431) 121. Table 3 Seemingly Unrelated Regressions—Tests for Hypothesis 3(1) Dependent Variable Independent Variable bisms proi lnasset reg pdammy pindpro ptpx prate crate _cons R Square Chi Square P value. Dependent Variable Independent Variable bisms proi lnasset reg pdammy pindpro ptpx prate crate _cons R Square Chi Square P value. Coef.. pplatk P value. 0.0007708 -0.930786 -0.0025329 -0.0035647 0.0035072 -0.0055784. 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0020. -0.004165 0.0500773. 0.0000 0.0000 0.7931 1808.47 0.000. Coef.. pplatk P value. -0.0004378 -0.1083349 -0.0007399 -0.0009484 0.0013035 -0.0008091. 0.000 0.000 0.000 0.001 0.000 0.001. 0.0004288 0.0142867. 0.317 0.000 0.2127 228.56 0.000. 93─97B Expected Sign - -. Coef. -0.0027098 0.0961922 0.0020283 0.0030221 -0.0031146 -0.0251613. 0.0000 0.0020 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000. 0.9931279. 0.0000. -0.0533851. 0.0000 0.5681 646.8 0.000. 98─06B Expected Sign - -. pplgvb P value. Coef. -0.0000508 -0.0088836 -0.0000272 -0.0000183 0.0000799 -0.0003246 0.9931279 -0.0533851. pplgvb P value. Expected Sign - -. Expected Sign. 0.000 0.003 0.186 0.801 0.128 0.000. - -. 0.000 0.000 0.4745 772.26 0.000. Table 3 Seemingly Unrelated Regression-Test for Hypothesis 3(2) Dependent Variable Independent Variable bisms proi lnasset reg pdammy pindpro ptpx prate crate _cons R Square Chi Square P value. Coef. 0.0015575 -0.0194253 -0.0001567 -0.0002906 0.0002855 (omitted). -0.0002936 -0.0063314. pplatk P value 0.000 0.000 0.000 0.005 0.000. 0.000 0.000 0.2207 79.86 0.0000. 07─09B Expected Sign - -. Coef. 0.0009765 -0.0059421 -0.000037 -0.0000712 0.0000685 -0.0002288. pplgvb P value. Expected Sign. 0.000 0.042 0.017 0.209 0.092 0.000. (omitted) -0.0533851. 0.000 0.568 377.05 0.0000. 注 1)Table 3 では,pplatk, pplgvb 以外の 4 従属変数(ploanpro, dloan, pdiv, pdfftaxa)に関する数値は省略した.. - -.

(16) 122 (432). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). おり,pplgvb は bisms のみ説明力がある結果. あり,未上場銀行の方がより積極的に有価証券. となっている.. 損益を計上しているという傾向は確認できた. つまり,期間 1 に関しては,株式の売買損益. が,全体的な裁量的会計行動の傾向には上場・. は資本調整ではなく利益調整にのみ使われてお. 非上場による違いは特に見られなかった.期間. り,債券の売買損益は利益調整ではなく資本調. 3 については,pgain に関する傾向を含め,期. 整にのみ使われていることがわかる.有価証券. 間 2 と同様の結果が得られた.. 損益全体でみればわからないが,株式と債券で. このように,すべての期間を通して,銀行の. は役割が違っていることが確認できた.. 上場・非上場による裁量的会計行動に対する傾. 期 間 2 に つ い て は,pplatk, pplgvb 共 に. 向の違いは確認できなかった.. bisms, roi 双方の説明力が高く,株式及び債券 損益いずれも利益調整,資本調整に利用された. 5. 5 パネル・データ分析による追加検証. ことがわかる.. パネル・データ分析による追加検証の結果が. 期間 3 を み る と,pplatk, pplgvb 共 に roi 双. Table 4 である.ほとんどの期間の,各重回帰. の説明力は高いが bisms は符号が一致せず説. モデルについて,パネル・データ分析の結果は. 明力が弱いことがわかる.この期に関しては,. 符号説明力ともに SUR による分析と同じ結果. BIS 規制の適用が緩和されていたことから,利. が 得 ら れ た.唯一,期間 1 の pdiv を 従属変数. 益調整にのみこれらが利用された可能性が高. とした分析について,bisms の説明力は SUR. い.. では非常に弱く符号は負であったが,パネル・. 要約 す る と,期間 1 で は 株式 と 債券 の 損益. データ 分析 で は p 値 e1% 未満 と 説明力 が 高. が,利益調整及び資本調整の目的で相補的に利. かったが符号は予想と異なり正であった.但し. 用され,期間 2 では株式と債券の損益共に,利. これについても pdiv は裁量的会計行動に用い. 益調整及び資本調整双方に利用されたと考えら. られていないという結論は変わらなかった.こ. れる.期間 3 では株式と債券の損益共に利益調. の結果パネル・データ分析によっても,当検証. 整のみに利用されたと考えられる.時期にもよ. の結果が妥当であることが示されたと考えられ. るが,株式と債券の損益は一般に,同じような. る.. 目的で利用されてきたと考えられる.. 6.結論及び今後の課題. 5. 4 仮説 4 に関する検証. 本稿では,日本の銀行が貸倒引当金繰入額,. 仮説 4 を 検証 す る た め,独立変数 で あ る. 有価証券損益,貸付金,配当金,繰延税金資産. pdammy(上場ダミー,上場している場合は 1,. などの会計項目を利用した,裁量的会計行動を. そうでない場合は 0)について,各期間におけ. 行ったかどうかについて検証した.その結果,. るそれぞれの重回帰式について確認した.. 有価証券損益はほとんどの期間にわたって資本. ま ず 期間 1 に つ い て は,pdammy の p 値 が. 調整・利益調整双方に利用されていたという結. pdiv を除いては説明力が低かった.pdiv に関. 果が得られた.唯一 2006─2009 年の期間にのみ,. しては,符号は負値で p 値は 1% 未満であり,. 利益調整には利用されていたものの資本調整に. 非上場銀行は有意に配当率が低いとう結果が得. は利用されていなかった可能性が高い.貸倒引. られたが,全体としては上場銀行の方がより積. 当金繰入額に関しては,1993─1997 年の期間に. 極的に裁量的会計行動を行っているという結論. のみ資本調整及び利益調整に利用され,その後. は得られなかった.期間 2 については,pgain. は裁量的会計行動には利用されていなかったと. のみについて,符号は負値で p 値は 1% 未満で. 考えられる.配当金については,1998─2006 年.

(17) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). (433) 123. Table 4 Panel Data Analysis of Account Items: An Additional Analysis(1) ploanpro # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy pindpro prate _cons Prob>chi2 pgain # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx prate _cons chi2(5)= dloan # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy pindpro prate _cons Prob>chi2 pdiv # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy _cons Prob>chi2. R2 :. =. R2:. R2:. =. R2:. =. Panel Data 93─97 Fixed Effects Coef. P value 0.0129 -0.0011091 0.000 0.128449 0.000 -0.0129733 0.000 (omitted) (omitted) 0.0153593 0.000 0.0441303 0.266 0.192576 0.000 0.0031 Coef.. P value. -0.0004701 -0.9166458 -0.003903 (omitted) (omitted) 0.0010148 -0.0124839 0.0632932 -256.15 Coef.. 0.397 0.727 0.116. P value. -0.0185345 0.60994 0.3295313 (omitted) (omitted) 0.3082738 5.263553 -4.852809. Coef. 0.0000024 -0.0001433 0.0000631 (omitted) (omitted) -0.0007021. 0.7266 0.000 0.000 0.156. 0.0311 0.000 0.029 0.000. 0.000 0.000 0.000 0.0000 P value. 0.0356 0.002 0.607 0.108. 0.219 0.0000. Random Effects P value R2 : 0.4003 -0.0012314 0.000 0.1460714 0.000 -0.0004516 0.026 -0.0048652 0.000 0.000517 0.333 0.018182 0.000 0.1016778 0.007 0.0136094 0.000 (Fixed) Coef.. R2:. Coef.. P value. -0.0006841 -0.8387048 -0.0004983 -0.0005323 0.0003794 0.0000931 0.0375101 0.013328 (Check SUR). R2:. Coef.. P value. -0.0162047 0.4378662 -0.0084582 -0.0139079 -0.0014407 0.2415679 3.867507 0.1070352 (Fixed). R2:. Coef.. 0.000002 -0.000065 0.000013 -0.000009 -0.000027 0.0000463 (Fixed). P value. 0.8931 0.000 0.000 0.001 0.279 0.312 0.943 0.316 0.000. 0.161 0.000 0.125 0.001 0.127 0.836 0.000 0.000 0.019. 0.1451 0.008 0.816 0.091 0.722 0.168 0.717.

(18) 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 124 (434). Table 4 Panel Data Analysis of Account Items: Additional Tests(2). pplatk # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx crate _cons Chi2 pplgvb # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx crate _cons Chi2. R2:. =. R2:. =. Panel Data 93─97 Fixed Effects Coef. P value 0.0424 0.0008021 0.000 -0.9466265 0.000 0.0063004 0.298 (omitted) (omitted) -0.004928 0.009 -0.0039943 0.000 -0.0814595 0.356 0.2026 Coef. -0.0012614 0.0275082 -0.010691 (omitted) (omitted) 0.0053968 0.0038539 0.151654. P value. 0.1512 0.000 0.415 0.029. 0.000 0.000 0.033 0.0004. Random Effects P value R2: 0.7931 0.000744 0.000 -0.929132 0.000 -0.0025349 0.000 -0.0035675 0.000 0.0035134 0.000 -0.0052765 0.004 -0.0041174 0.000 0.0501269 0.000 (Random) Coef.. R2:. Coef.. -0.0013463 0.0878218 0.0020397 0.0030395 -0.0031437 0.0064321 0.0041921 -0.0361762 (Fixed). P value. 0.5803 0.000 0.004 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000. 注 1)# は従属変数を意味する.従属変数の内容は Table 3 の変数の説明を参照. 注 2)I.V. は説明変数を意味する.Table 3 の変数の説明を参照. 注 3)各回帰式の最下行の Chi 2 は Hausman Test の Chi 2 乗検定の結果であり,数字の後の括弧内が Fixed で あれば Fixed Effects が,Random であれば Random Effects が正しいことを意味する.   括弧内が Check SUR の場合は Chi 2 乗の値が負でパネル分析が意味を持たないことを意味する..

(19) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). (435) 125. Table 4 Panel Data Analysis of Account Items: Additional Tests(3). ploanpro # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy pindpro prate _cons Prob>chi2 pgain # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx prate _cons Prob>chi2 dloan # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy pindpro prate _cons Prob>chi2 pdiv # I. V. bisms proi lnasset reg pdammy _cons Prob>chi2. R2:. =. R2:. =. R2:. =. R2:. =. Panel Data 98─06 Fixed Effects Coef. P value 0.0224 -0.0006145 0 -0.1816506 0 -0.0045029 0.007 (omitted) (omitted) -0.0076776 0.004 0.2789081 0.256 0.0688891 0.005 0.1566 Coef.. P value. -0.0009471 -0.0838131 0.0012797 (omitted) (omitted) -0.0035825 -0.9102372 -0.001623. Coef.. 0.000 0.000 0.859 0.0443 P value. -0.0025184 1.420228 0.3338324 (omitted) (omitted) -0.125921 1.399538 -4.890528. Coef. 0.000006 0.017140 0.000407 (omitted) (omitted) -0.005754. 0.000 0.000 0.000 0.042. 0.0076 0.212 0.033 0.000. 0.092 0.771 0.000 0.0000 P value. 0.1163 0.193 0.000 0.000. 0.000 0.0000. R2:. Coef.. Random Effects P value. -0.0006617 -0.1719463 -0.0006262 -0.0017071 -0.0013466 -0.0085763 0.286779 0.0139006 (Random). R2:. Coef.. P value. -0.0005393 -0.1047952 -0.000673 -0.0008924 0.0012551 -0.001588 -0.0559883 0.0145042 (Random). R2:. Coef.. P value. 0.0008834 1.512654 0.0011896 -0.0395662 0.0098692 -0.0472291 -0.2710846 0.0237507 (Fixed ). R2:. Coef.. 0.00001 0.01550 0.00000 -0.00035 -0.00004 0.00046 (Fixed ). P value. 0.1193 0.000 0.000 0.065 0.157 0.126 0.024 0.243 0.045. 0.5183 0.000 0.000 0.000 0.001 0.000 0.000 0.134 0.000. 0.0237 0.675 0.023 0.803 0.019 0.418 0.549 0.957 0.833. 0.2125 0.016 0.000 0.822 0.000 0.323 0.072.

(20) 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 126 (436). Table 4 Panel Data Analysis of Account Items: Additional Tests(4) pplatk # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx crate _cons Prob>chi2 pplgvb # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx crate _cons Prob>chi2 pdfftaxa # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy pindpro prate _cons. R2:. =. R2:. =. R2:. Coef. -0.0004359 -0.1195353 -0.0001516 (omitted) (omitted) -0.0005214 0.0015554 0.0049005. Panel Data 98─06 P value 0.3223 0.000 0.000 0.802. 0.049 0.001 0.577 0.6437. Coef.. P value. -0.0001547 -0.0056738 0.0004174 (omitted) (omitted) -0.0007312 0.0008705 -0.005632. 0.000 0.000 0.020 0.1803. Coef.. 0.0013506 -0.108656 -0.0055724 (omitted) (omitted) 0.0145518 -1.082328 0.0992504 Prob>chi2. 0.019 0.000 0.083 0.012. P value 0.0147 0.000 0.000 0.000. =. 0.000 0.000 0.000. R2:. Coef.. P value. -0.0004362 -0.1121088 -0.0006566 -0.00087 0.0011826 -0.0004863 0.0013076 0.0129151 (Random ). R2:. Coef.. -0.0001458 -0.0055176 -0.0000318 -0.0000338 0.0000795 -0.0006739 0.0009093 0.0009297 (Random ). R2:. Coef. 0.0013112 -0.1181018 -0.0011624 -0.0069651 -0.0027804 0.0134946 -1.051335 0.0411802 0.0014. 0.478 0.000 0.000 0.000 0.001 0.000 0.069 0.001 0.000. P value 0.2729 0.000 0.059 0.120 0.642 0.130 0.000 0.000 0.009. P value. (Fixed ). 0.303 0.000 0.000 0.012 0.000 0.025 0.000 0.000 0.000.

(21) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). (437) 127. Table 4 Panel Data Analysis of Account Items: Additional Tests(5). Prob>chi2. ploanpro # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy pindpro prate _cons = pgain # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx prate _cons Prob>chi2 dloan # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy pindpro prate _cons Prob>chi2 pdiv # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy _cons Prob>chi2. R2:. 0.3102. R2:. =. R2:. =. R2:. =. Panel Data 07─09 Fixed Effects Coef. P value 0.0528 0.0012845 0.13 0.0247012 0.693 0.0167012 0.071 (omitted) (omitted) 0.0006787 0.417 (omitted) -0.2519902 0.062. Coef. 0.0023379 -0.0518326 -0.0016235 (omitted) (omitted) -0.0009617 (omitted) 0.0101013. Coef. -0.0036682 -0.5528482 0.3143972 (omitted) (omitted) 0.0254522 (omitted) -4.579545. Coef. 0.0003059 0.0441579 -0.0038725 (omitted) (omitted) 0.0553931. P value 0.2361 0 0 0.414. 0 0.728 0.2026 P value 0.0547 0.717 0.461 0.005. 0.012 0.005 0.0913 P value 0.0897 0.182 0.009 0.120. 0.127 0.2063. Random Effects P value R2: 0.1043 0.0022512 0.001 0.0727171 0.071 -0.000404 0.061 0.0003036 0.699 0.000821 0.145 0.0008123 0.331 (omitted) -0.0065848 0.217 (Random) Coef.. R2:. Coef.. 0.002534 -0.0253377 -0.0001938 -0.0003619 0.000354 -0.0009563 (omitted) -0.0119821 (Random). R2:. Coef.. 0.0077462 -0.3056217 0.011645 0.0312498 0.0007109 0.0273571 (omitted) -0.2204937 (Random). R2:. Coef.. 0.0000239 0.0267132 -0.0000682 -0.0013093 -0.0002337 0.0023969 (Random). P value 0.5494 0.000 0.001 0.000 0.013 0.001 0.000 0.000. P value 0.1243 0.351 0.554 0.000 0.003 0.925 0.007 0.001. P value 0.2207 0.895 0.015 0.247 0.000 0.128 0.097.

(22) 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 128 (438). Table 4 Panel Data Analysis of Account Items: Additional Tests(6). pplatk # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx crate _cons Prob>chi2 pplgvb # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy ptpx crate _cons Prob>chi2 pdfftaxa # I.V. bisms proi lnasset reg pdammy pindpro prate _cons. R2:. =. R2:. =. R2:. Panel Data 07─09 Fixed Effects Coef. P value 0.0436 0.0013476 0 -0.0384435 0 0.0008903 0.524 (omitted) (omitted) (omitted) -0.0002941 0 -0.0206128 0.314 0.0765 Coef.. P value 0.0526 0 0.014 0.002. 0.0009682 -0.0133891 -0.0025138 (omitted) (omitted) (omitted) -0.00009 0.0312775. 0 0.008 0.0081. Coef.. 0.0055856 -0.0026307 0.0091335 (omitted) (omitted) -0.0002159 (omitted) -0.1637992 Prob>chi2. P value 0.0259 0 0.956 0.197. 0.736. =. 0.113. Random Effects P value R2: 0.5681 0.0015567 0 -0.0193943 0 -0.0001568 0 -0.0002907 0.005 0.0002854 0 -0.0007272 0 (omitted) -0.0066537 0 (Random) Coef.. R2:. Coef.. 0.0009773 -0.0059435 -0.000037 -0.0000712 0.0000685 -0.0002291 (omitted) -0.0053285 (Fixed). R2:. Coef.. P value 0.4801 0 0.044 0.019 0.214 0.096 0 0. P value 0.2714 0 0.453 0 0.012 0.085 0.781. 0.0056212 -0.0328695 -0.0015837 -0.0039936 -0.0019722 -0.0001782 (omitted) -0.0021507 0.3842 (Random). 0.792.

(23) 裁量的会計行動に関する実証分析(竹内). の時期にのみ資本調整及び利益調整に利用され ており,そのほかの時期には利用されていな かった.貸付金はすべての時期を通じて裁量的 会計行動に利用された可能性は低かった. これらの結果を見てゆくと,ここまでの本稿 の結論は先行研究の中では,日本の銀行による 有価証券損益の裁量的会計行動における重要性 を強調した,Agarwal [2007] の結論に最も近 いと考えられる. 仮説 2 については,第 3 節の説明のように, BIS 規制がより厳格であった順序と考えられ る,2 期,1 期,3 期の順で日本の銀行はより 積極的に裁量的会計行動をとったと考えられ, 予想通りの結果となった. 仮説 3 に関しては,株式売買損益と債券売買 損益は,時期によって資本調整及び利益調整ま たはその両方の目的で利用され,その利用の目 的に大きな違いはなかった. 仮説 4 に関しては,銀行が上場されているか どうかによる裁量的会計行動の違いは確認でき なかった. 本稿の結論を簡潔に述べる.すべての期にお いて有価証券損益が裁量的会計行動の手段とし て利用され,その他の会計項目は一時的に利用 されていたものもあった.また裁量的会計行動 は BIS 規制が厳格であるほど積極的に行われ ていた. 今回の結果は,取り上げた 5 つの項目のみに ついての分析であり,2009 年以降盛んになっ た増資やその他の証券発行などは取り上げてい ない.今後はそれらを含む他の項目に関する分 析も行いたい.また自己資本の内容を Tier I, Tier II などに細分化した分析も今後の課題と したい. 参考文献 Ahmed, A. S., Takeda C., and S. Thomas [1999] “Bank loan loss provisions: A reexamination of capital management, earnings management and signaling effects” Journal of Accounting and Economics 28, pp. 1─25.. (439) 129. Anandarajan. A., Hasan I., and A. Lozano-Vivas [2003]“The role of loan loss provisions in earnings management, capital management, and signaling: The Spanish experience” Advances in International Accounting 16, pp. 45─ 65. Anandarajan. A., Hasan I., and C. McCarthy [2007] “Use of loan loss provisions for capital, earnings management and signalling by Australian banks” Banking and Finance 47, pp. 357─379. Agarwal S., Chomsisengphet S., Liu C., and S. G. Rhee [2007] “Earnings management behaviors under different economic environments: Evidence from Japanese banks” International Review of Economics and Finance 16, pp. 429─443. Beauty, A., Chamberlain S. L., and J. Magliolo [1995] “Managing financial reports of commercial banks: The influence of taxes, regulatory capital and earnings” Journal of Accounting Research 33 ⑵ , pp. 231─261. Beauty, A., Kee B., and K. R. Petroni [2002] “Earning management to avoid earnings declines across publicly and privately held banks” The Accounting Review 77 ⑶, pp. 547─ 570. Collins, H. J., Shackelford, D. A. and J. M. Wahlen [1995] “Bank differences in the coordination of regulatory capital, earnings, and taxes” Journal of Accounting Research 33 ⑵, pp. 263─ 291. Greene, W. [1997], Econometric Analysis, 3rd edn., Prentice Hall, New Jersey. Kwak, W., Lee, H., and V. Mande [2009] “Institutional Ownership and Income Smoothing by Japanese Banks through Loan Loss Provisions” Review of Pacific Basin Financial Markets and Policies Vo. 12 No. 2 pp. 219─243. Moyer, E. S. [1990] “Capital adequacy ratio regulations and accounting choices in commercial banks” Journal of Accounting and Economics 13, pp. 123─154. Perez, D., Salas-Fumas-F, V. and J. Saurina [2008] “Earnings and Capital Management in Alternative Loan Loss Provision Regulatory Regimes” European Accounting Review Vo. 17 No. 3, pp. 423─445. Shrieves, R. E. and D. Dahl [2003] “Discretionary accounting and the behavior of Japanese banks under financial distress” Journal of Banking and Finance 27, pp. 1219─1243..

(24) 130 (440). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). Schrand, C. M. and M. H. F Wong [2003] “Earnings Management Using the Valuation Allowance for Deferred Tax Assets under SFAS No. 109” Contemporary Accounting Research Vol. 20 No. 3, pp. 579─611. Skinner, D [2008] “The rise of deferred tax assets in Japan: The role of deferred tax accounting in the Japanese banking crisis” Journal of Accounting and Economics 46, pp. 218─239. Zellar, A [1962] “An efficient method of estimating seemingly unrelated regressions and tests for aggregation” Journal of the American Statistical Association 57, pp. 348─368. 植田玉青 [2007]「銀行 に よ る 自己資本比率 の 裁 量的調整 に 関 す る 実証分析」『産業経理』第 67 巻第 3 号,pp. 125─135. 大日方隆 [1998]「邦銀大手 の 債権償却─利益平 準化仮説の検証─」『横浜経営研究』18 巻 14 号,pp. 56─78. 國村道雄,加藤千雄,吉田靖 [1998]「邦銀 の 配. 当制限基準 と 決算対策」 『会計』第 154 巻第 3 号・4 号,pp. 130─143, pp. 119─129. 根本直子 [2010]『残 る 銀行,沈 む 銀行』東洋経 済新報社 . 野崎浩成 [2010]「銀行は株の呪縛から放たれる か」 『金 融 財 政 事 情』2010 年 10 月 5 日 号, pp. 10─14. 矢瀬敏彦 [2007]「銀行 に お け る 税効果会計情報 の価値関連性に対する経営者の裁量的行動の 影響」 『オ イ コ ノ ミ カ』第 44 巻第 2 号,pp. 73─88. 矢瀬敏彦 [2008]「日本 の 銀行 に お け る 裁量的会 計行動の分析」 『オイコノミカ』第 45 巻第 2 号,pp. 65─88. 吉川紀夫 [1998]『ビッグ バ ン 後 の 銀行経営』東 洋経済新報社 . [た け う ち て つ や 横浜国立大学大学院国際社 会科学研究科博士課程後期].

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参照

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