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まえがき(pdf)

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Academic year: 2021

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まえがき

高分子ゲルの基礎は高分子科学の合成から物性,構造,機能に関わ り,物理化学や有機化学,最近では無機化学も含めた基礎科学の基盤の 上に成り立っている.そのため,高分子ゲルの基礎を学ぶためには,幅 広い基礎科学の知識が必要となってくる.逆に言えば,高分子ゲルの基 礎を通して,高分子科学の基礎全般を広く学ぶことができる.本書は, 高分子基礎科学One Pointの第6巻として刊行されるが,執筆にあた っては高分子基礎科学を強く意識した.例えば,ゲルの膨潤理論では高 分子の状態方程式であるFlory Huggins理論を紹介し,ゲルの拡散で はFickの法則やスケーリング則などに基づいてまとめてみた.一方, ゲルの合成では,高分子合成の基礎から最近注目されているクリック反 応や自己集合なども詳しく述べるようにした. また,高分子ゲルに関する成書は数多く出版されており,基礎理論に 関しては様々な成書でまとめられている.特に,これまで出版されてき た他のOne Pointシリーズでも詳しく述べられており,繰り返しにな るので当初は簡単に触れるのみにすることも考えた.しかし,高分子ゲ ルの基礎と応用を全般的に知って頂くためには,繰り返しになるが,や はりゲルの基礎理論を外すことができなかった.ただし,式の誘導など は極力避けて,最終的な式の意味を理解できるように説明を加えた.他 の成書で十分に理解されている方は読み飛ばして頂いても問題ないであ ろう. 一方で,ゲルの応用研究は,医療・エネルギー・環境・ナノテクなど 急速に広がり,日進月歩である.これまでに刊行されているゲルに関す る成書にも記載されていないようなユニークなゲルやその応用が次々 と報告されている.そこで,最新のトピックスも可能な限りピックアッ プして紹介し,なるべく多くの参考文献を挙げた.特にゲルの物性や機 能に関しては,現時点までにエポックメイキングな研究が数多く報告さ れ,ゲル研究のターニングポイントとなった研究や,ゲルの物性と機能

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vi まえがき を語る上で外すことができない重要な研究についてはなるべく触れるよ うに努めた. One Pointシリーズでは,手軽に学びやすく,また基礎から最新情 報まで平易に解説されていることが要求される.そのため,幅広く展開 されている高分子ゲルの科学と技術を本書のみで網羅することは不可能 である.また,筆者の専門領域や筆力の関係で,取り上げる内容やレベ ルに隔たりがあるかもしれない.そこで,具体的な研究例を紹介すると 共に,可能な限り,各分野における代表的な総説を参考文献としてピッ クアップするように心がけた.それぞれの項目についてより深く学びた い方々は,そこで挙げた成書や総説に目を通して頂ければ,その分野を 深く知ることができるであろう. 本書は,高分子ゲルのユニークな物性や機能,そして無限の可能性に ついて少しでも触れて頂きたいという思いで執筆した.高分子ゲルの科 学と技術は,広い荒野そして深くて重みのある歴史と未来があることを 感じて頂き,その扉を開く役目として本書を役立てて頂きたい.本書を 読み終わった読者は,すでに高分子ゲル研究の扉を開き,その向こうの 広い世界に一歩を踏み入れたことになる.本書が,高分子ゲルという広 い世界への歩みに対してわずかでも貢献し,高分子ゲル研究を含めた高 分子科学の基礎と応用の発展につながれば幸いである. 2017年3月 宮田隆志

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