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アンダーマッチング溶接により組み立てられた超高強度鋼CFT部材の構造性能と設計法 -一定軸力と繰返し曲げせん断が作用する片持ち柱に関する実験的検討- [ PDF

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Academic year: 2021

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47-1

アンダーマッチング溶接により組み立てられた超高強度鋼 C F T 部材の

構造性能と設計法

一定軸力と 繰返し曲 げせん断 が作用する 片持ち柱 に関する 実験的検討

永山 啓太   表 1 試験体一覧 図 1  試験体詳細図 表2 鋼材の機械的性質 5000kN試験機 ロードセル(1000kN) 650 1 0 00 8 25 変位計 h=D/2 h=D h=2D 2軸ゲージ 3軸ゲージ 1 0 00 ( 60 0 ) 8 2 5( 4 2 5) 1 2 3 4 5 6 7 8 8 1 . 序  近年,引張強さ 800N/mm2~ 1000N/mm2の超高強度鋼を 用いて,震度 7 クラスの地震に対しても無損傷の建築 構造物の実現を目指し様々な研究が行われており,超 高強度材を用いた C F T 部材の実物件への適用事例も報 告されている.  超高強度鋼を用いた溶接組立材には,一般に母材強 度と同等以上の強度を溶接部に与えるオーバーマッチ ング溶接( 以降,OM )が適用されるが,OM は鋼材および 溶接材料の割れ防止の予熱・後熱や,溶接部の強度確 保のための入熱・パス間温度の制限が厳しく,溶接加 工効率の低下を招き,超高強度鋼の普及を阻害する要 因となっている.  それに対し,現在では,溶接部に母材よりも低強度 な溶接材料を用いるアンダーマッチング溶接( 以降, U M )に関する研究が進められている.しかし,コンク リート充填鋼管(以降,CFT ) 柱に UM を用いた研究はほ とんど行われていないのが現状である.  そこで,本研究では,U M を用いて組み立てられた超 高強度鋼 C F T 部材を対象とし,その構造性能の実験的 図2 載 荷装置 な把握と設計法の確立を目的とする.本論では,柱角 溶接部強度をパラメーターとした一定軸力と繰返し曲 げせん断が作用する超高強度鋼 C F T 柱材の実験を行い, その力学的挙動を明らかにするとともに,耐力評価法 について検討する. 2 . 実験計画 2 . 1 試験体  本研究の試験体詳細図を図 1 に示す.試験体は H -SA700 鋼板の溶接組立による箱型断面柱に 75 N/mm2の高 強度コンクリートを充填した C F T 柱 2 体である.試験 体の断面形状は□ -250 × 250 × 9,lk/D は 8,軸力比を 0 .4 とした.なお,コンクリート充填鋼管構造設計施工 指針1)(以降,CFT 指針)では,4 <l k/D ≦ 12 の柱は中柱 に分類されている.試験体柱角部は完全溶け込み溶接 とし,パラメーターである溶接条件の比較のため溶接 材料のみ異なる試験体をそれぞれ製作した.溶接材料 鋼種 降伏点 (N/mm2) 引張強さ (N/mm2) 伸び (%) H-SA700B 797 824 24.5 MG-50 520 625 30.4 MG-S88A 786 989 21.2 角形鋼管柱材 □-250x250x9 1 0 0 0 5 0 0 GL 2 9 1 8 5000kN試験機 ロードセル(1000kN) Iビーム 1 4 1 8 7 8 5 4 0 50 1 25 試験体 断面 B×D mm 板厚 t mm 幅厚比 B/t 鋼種 コンクリート強度 Fc N/mm2 高さ ho mm lk/D 軸力比 N/No 溶接条件 CNH-250U 250×250 9 27.8 H-SA700B 75.4 1000 8 0.40 U CNH-250O O

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47-2 はアンダーマッチング溶接が MG-50,オーバーマッチン グ溶接が MG-S88A である.試験体の柱部分と基礎スタブ は柱通しにより接合した.コンクリートは柱部分およ びスラブ内鋼管部分に充填した.  表 1 に試験体一覧を,表 2 に溶着金属を含む鋼材の 機械的性質を示す. 2 . 2 載荷方法及び測定方法  図2に載荷装置を示す.また,測定装置については 図1に併せて示している.載荷方法は,試験体の柱上 端をピン支持となるように設置し,上部の 5 0 0 0 k N 試 験機からピンを介して所定の軸力を導入する.その軸 力を導入した状態で,柱上端に水平力の載荷を行った.  図 3 に本実験の載荷プログラムを示す.水平力は基 礎梁上面から水平力載荷点までの部材変形角 R で制御 し,R= ± 0.5%から 2 サイクルごとに 0.5%ずつ漸増さ せる正負交番漸増載荷とした.  ここで,δは補正後の水平力載荷点の変位,δxx 番変位計計測値,h は基礎スタブ上面から水平力載荷 図 3  載荷プログラム -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 (k N ) 部材角 (%) 局部座屈 cK1 (CFT指針) 角溶接部 破断 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 (k N) 部材角 (%) 局部座屈 cK1 (CFT指針) 角溶接部 破断  測定方法は,図1に示す1から8の変位計で行った. 変位計1,2において軸方向の縮みを,5により基礎 スタブ上面から水平力載荷点までの部材角 R o を測定 し,さらに,変位計3,4により、基礎スタブの面外 変形による回転性分を測定し、部材角の補正を以下に 示す式で行った.   ( a) C N H - 2 5 0 U        (b)C N H - 2 5 0 O 図 4  水平力 - 部材角関係 = 5 − ( 3− 4) ∙ ℎ (1.1) = (1.2) -3.5 -3.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 0 4 8 12 16 20 24 部材角 (% ) 回数(回) 点までの距離,b は変位計3,4の中心間距離である.  また,変位計6は既往研究との比較,7は試験体と 架台のずれを測定するために設置した.変位計8は, 局部座屈を確認することを目的に,鋼管のフランジ面 からウェブの開きを測定した.鋼管表面のひずみは, 柱軸に沿った断面のうち,フランジ部に 2 軸ゲージを 4カ所(下端,下端より 0.5D,1.0D,上端),およびウェ ブ部に 3 ゲージを 1 カ所(下端より 2.0D)の計 5 カ所に おいてひずみゲージにより測定した. 3 . 実験結果 3 . 1 荷重 - 変形関係及び破壊性状  図 4 に水平力 - 部材角関係,図 5 に軸変位 - 部材角関 係,写真 1 に両試験体の破壊状況を示す.図 4 にはコ ンクリート充填鋼管(C F T )造技術基準・同解説の運用 及び計算例等2 )(以降,新都市指針)に基づく初期剛性 計算値1を併せて示している.  試験体 CNH-250U は部材角 R=1.5% までほぼ弾性挙動を 示し,部材角 R=+2.0% で最大耐力を記録後,柱脚部圧縮 側フランジに局部座屈が生じた.また,R=+3.0 % の 1 サ イクル目で局部座屈が全周に進展した後,R = - 3 . 5 % 1サイクル目で局部座屈が生じた範囲で鋼管角溶接部 が破断した.  試験体 CNH-250O も部材角 R=1.5% までほぼ弾性挙動 を示し,R=+2 .0% で柱脚部圧縮側フランジに局部座屈 が生じた.また,R = +3 . 0 %1サイクル目で局部座屈が

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47-3 表 4  降伏耐力及び終局耐力 全周に達した後,R=-3.0% の 1 サイクル目に柱脚の局 部座屈が生じた範囲で鋼管角溶接部が破断した.  図5から,両試験体とも水平載荷の繰り返しとも に軸変位は徐々に増大していき,柱脚に局部座屈が 生じたあとは,局部座屈の進展とともに軸変位が増 大している. 3. 2 初期剛性  表 3 に初期剛性の実験値と計算値の比を示す.初期 剛性実験値は R=0.25% 時の割線剛性とした.また,計算 値K はコンクリート部分と鋼管部分の弾性剛性を累加 した次式で求めた. = 1 1 + 1 (2.1) = 3 + ⁄ (2.2) 3 = + x ⁄ (2.3)  ここで,Kは曲げ剛性,Kはせん断剛性,E はヤング 係数,I は断面二次モーメント,A は断面積,L は変形 長さ,xは形状係数(x= 1 . 5 )である.  両試験体とも初期剛性実験値は新都市指針に基づく 計算値より2~3割程度低い値となった.また,充填 図 5  軸変位 - 部材角関係 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 ( m m) 部材角 (%) 局部座屈 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 ( m m) 部材角 (%) 局部座屈 写真 1  破壊状況   ( a)CNH-250U    (b)CNH-250O 表 3 初期剛性 コンクリートについて引張側は弾性剛性に寄与しない という仮定で初期剛性を算定した場合,計算値は実験 値を 1 割程度の誤差で評価した. 3.3 耐力評価  表 4 に降伏耐力及び終局耐力を示す.実験値①,③ は柱脚に生じるモーメントであり,実験値②,④は水 平力と柱高さを掛けたもの(P- δモーメントを考慮)で ある.計算値①,④は CFT 指針(短柱評価式),計算値 ②,⑤は新都市指針に従い求めた曲げ耐力式である. 計算値②,⑤ではコンクリートのコンファインド効果 を考慮している.また,計算値③,⑥は C F T 指針に従 い求めた中柱の曲げ耐力式である.ここで,既往の耐 力評価式は C F T 指針,新都市指針に準ずる.  降伏耐力実験値は接線剛性が初期剛性実験値eK の 1 / 3 となる時の耐力とした.降伏耐力計算値①,②はいず れの試験体も実験値①を 3 割程度過小評価した.計算 値③については,CNH-250Uで 3 割程度,CNH-250Oで 4 割程 度過小評価した.また,降伏耐力実験値はCNH-250Uが CNH-250Oに比べ 5%程度小さい.  終局耐力計算値④は,CNH-250Uでやや過大評価である が,CNH-250Oと良い対応を示した.また,計算値⑤はい ずれの試験体も 1 割程度過大評価した.計算値⑥につ いては,いずれの試験体も 1 ~ 2 割程度安全側に評価 した.降伏耐力と同様,終局耐力実験値はCNH-250Uが CNH-250Oに比べ 5%程度小さい.  表 5 に CFT 指針の使用材料の適用範囲外の評価式(CFT 指針に記載)に基づく計算値と実験値の比較を示す. 算定式は以下に示す通りである. 試験体 降伏耐力 終局耐力 実験値 ① 計算値① (CFT指針) 短柱 計算値② (新都市指針) 実験値 ② 計算値③ (CFT指針) 中柱 実験値 ③ 計算値④ (CFT指針) 短柱 計算値⑤ (新都市指針) 実験値 ④ 計算値⑥ (CFT指針) 中柱 kN・m kN・m kN・m kN・m kN・m kN・m kN・m kN・m kN・m kN・m CNH-250U 554 426 1.30 432 1.28 503 382 1.32 707 749 0.94 822 0.86 627 551 1.14 CNH-250U 577 426 1.35 432 1.34 526 382 1.38 749 749 1.00 822 0.91 659 551 1.20   ( a)CNH-250U      (b)CNH-250O 試験体 実験値 (新都市指針)計算値① 計算値② (新都市指針) ※コンクリート圧縮のみ kN/mm2 kN/mm2 kN/mm2 CNH-250U 54.4 74.0 0.74 61.2 0.89 CNH-250O 56.0 74.0 0.76 61.2 0.92

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47-4 図 6  M - N 相関曲線 (a) 断面耐力評価式 (b) 中柱評価式  ここで,N は軸方向力,M は曲げモーメント,D は部 材のせい,B は部材の幅,xはコンクリートの圧縮縁 から中立軸までの距離,σは垂直応力,σB はコンク リートのシリンダー強度,tは板厚,k1k2S は高強 度材料の影響を考慮し,CF T 部材の曲げ耐力低減のため に乗ずる係数である.  前述の評価式を用いることで,いずれの試験体も終 局耐力実験値を精度よく評価できた.  また,図 6 に M-N 相関関係と実験値の関係を示す.図 5 にはR=0.5,1.0,1.5% 時の実験値及び最大耐力を示す.  図中の実験値で軸力にややばらつきが見られるのは, 試験機による導入軸力に変動があったためである. 4 . 結論  以上,本研究では,アンダーマッチング溶接により 組み立てられた超高強度鋼 C F T 柱材の一定軸力下繰り 返し曲げせん断実験について述べた.以下に,本実験 で得られた知見について記述する. 1)試験体 CNH-250U と試験体CNH-250Oは,局部座屈発生 時まで同様の挙動を示し,いずれも角溶接部の破断に -終局耐力算定式(CFT指針適用範囲外)- = + (3.1) = + (3.2) = 1∙ ∙ ∙ (3.3) = 1∙ ∙ ∙ 2 − 2∙ (3.4) = ( − 1) + 2 ( + 1) − 2 (3.5) = ( − 1)( − ) 2 + ( + 1) − (3.6) 1= 0.831 − 0.076 42 (3.7) 2= 0.429 − 0.010 42 (3.8) ⎝ ⎛ ⁄ ≤ 1.5 23 1000 ⁄ のとき ⎠ ⎞ = 1 (3.9.1) ⎝ ⎛ ⁄ > 1.5 23 1000 ⁄ のとき ⎠ ⎞ = 1 0.698 + 0.128 4.00 6.97⁄ (3.9.2) 2= ( ⁄ ) (3.10) より破壊に至ったが,試験体CNH-250Uの方が靱性に優れ ていた. 2)降伏耐力及び最大耐力は,ともに試験体CNH-250Uが 5 % 程度小さい. 3)試験体の断面耐力について,既往の降伏耐力評価 式(CFT 指針,新都市指針)は,いずれの試験体も 3 割 程度過小評価した. 4)既往の終局耐力評価式は,実験値を概ね精度良く 評価したが,試験体CNH-250Uをやや過大評価した. 5)既往の中柱評価式は,降伏耐力,終局耐力ともに 安全側に評価した. 参考 文献 1)日本建築学会:コンクリ―ト充填鋼管構造設計施 工指針,2008.10 2)新都市ハウジング協会:コンクリート充填鋼管 (CFT)造技術基準・同解説の運用及び計算例等,2014.3 表 5  終局耐力(適用範囲外評価式) 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 0 100 200 300 400 500 600 700 800 N ( kN ) M (kN・m) CFT指針短期耐力 (中柱) CFT指針終局耐力 (中柱) CNH-250U CNH-250O 0.5% 1.0% 1.5% 最⼤耐⼒ 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 N ( k N ) M (kN・m) CFT指針終局耐力(適 用範囲外) CFT指針短期耐力(短 柱) CFT指針終局耐力(短 柱) 新都市指針短期耐力 新都市指針終局耐力 CNH-250U CNH-250O 0.5% 1.0% 1.5% 最⼤耐⼒ 試験体 終局耐力 実験値 計算値 (CFT指針) 適用範囲外 kN・m kN・m CNH-250U 707 707 1.00 CNH-250O 749 707 1.06

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