• 検索結果がありません。

緒言

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "緒言"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

荳科植物の膨壓變化運動に就いての 生理學的研究

I. KCNの阻害作用について

藤野正義

(1953年1月8日受領)

Physiological Studies on the Torgor‑Variation Movement of Leguminosae.

I. On the Inhibition of KCN.

Masayoshi FUJINO 緒言

荳科植物の葉枕の膨圧変化這動については,種々論議されて来たが,その生理化学的な機構の 研究は,未だ解明されてゐない.

筆者は発きに葺科植物のエビスグサ(Cassia Tora)、を材料として,某枕組織中收精細胞と考

4

えられる着色層に於て,飯箸な蛋白質;タンニン,'種々の酸化酵素の反応を呈する事を観察した。

而して,某枕の蓬動に伴って,色素の変化とタンニンの量の変化が起る事を見'且つ季節的に 薬枕の運動の変化が,之等蛋白質,タンニン,酸化酵素の消長に密接な関係を持ってゐる事に就

いて発表した。

之等の事から某枕の運動が酸化還元反応に密接な関係を持ってゐる様に思われるので,之の関 係を知る為に,最初にKCNを用いて,こ蛙枕の運動の変化を勧嘉したのでその結果を報告する.

賛駿材料及び方法

材料として,オジキゾウ(Mimosa pudica)とェビスグサ(Cassia Tora)とを用いた.

1!50moi‑y!oつmol KCNをそれどれ大型のシャーレに入れ,畑に栽培したもの,鉢植えの オジキゾウの昼間開いた状態の複葉を,静かに溶液に浮かべ第三次其枕が浸る様にし,一定時間 後にピンセットで小葉を刺戟し'閉鎖連動の変化を見た.

ェビスグサは旭に播種して'子妾が完全に展開したものを予め明暗に依る子葉の開閉連動の程 度が出乗るだけ等しいものを選び,之等を̲;ほ抜き水洗後水中に入れ'子葉が完全に開いた後,

㌔月こ<LiV蝣*座̲)KCN十・、れJニーニー‑)}‑)中こ一、五・rK‑>剖・i;>畠こし.之il'l'‖りにI'i

く。一方之れとは反対に,材料を暗室に入れ子某が完全に閉鎖した後にKCN溶液に菓枕迄浸し, 之れを暗室に置き各々一定時間後に水に移し,明室処理のものは暗室に,暗室処理のものは明室

に入れて,時間の経過による某枕の連動の変化を観察した.

鷺験結果 tlオジキソウの場合

実験1.気温24.5oc,湿度11%,実験時に於て四つの孝状複葉の基部にある第二次某枕

l長崎大学生物学教室業蹟第7報2・之の報告の大要は第3回日本植物学会九州支部大会で発表した○

(2)

1/50m・1K:CNで小葉の基部にある第三次葉枕を処理した場合,約3分後に小葉に刺戟を加える と,閉鎖運動は著しく鈍くなり,糺4分後に於ては,蓮動は完全に停止した.

 5分処理した複葉をK:CN溶液より出し,それより10分後に刺戟をカ えると,小葉は緩漫な閉 鎖運動を行い,15分後に於ては処理前のものの約半分程度の蓮動を行い,40分後に於ては正常な 小葉と殆ど変らなv・様に蓮動し,阻害作用は殆ど回復した.

 1ムoom・1で処理した場合は,約5分後に於て閉鎖運動は停止した.1/2。om・1では5〜6分後に 運動は停止し,1/500m・1では10数分後に運動は不活濃になるが,完全に停止する迄には至らなか

つた.

 処理時間を長くしても完全には停止しなかつた。1/ユ・・om・1処理の場合も同様であつた。

 対照として,蒸溜水のみで葉枕を処理した場合には,時間を長くしても正常のものと殆ど変り なく運動した.

 実 験2.気温20。C,湿度88%,実験時に於て小葉は運動が鈍く,第一次,第二次葉枕の運 動も箸しく鈍感であつた.之れは主として椎物体内の含水量が大である為と思われる。之の状態 の場合に於ては,1/50mol処理では約3分後に小葉は完全に運動を停止し,1/n)m・1では7〜8分 後に運動は殆ど停止した.1/・Oり・m・1では不活濃になるが停止する迄には至らなかった。

 実験3。気温25。C,湿度74%,実験時に於て第一次,第二次,第三次葉枕の刺戟に対する 運動は鋭敏であつた。之れは植物体内の含水量が少い為と、思われる。

 之の状態の場合,1/εom・1で処理すると,1〜2分後に複葉は先ll號1の弓・葉より順次に閉鎖し七 しまつた.1/100mo1,1/200m・1では数分後に同様に先瑞より閉鎖した。

 対照として,蒸溜水のみで処理した場合には,小葉は閉鎖しなかつた。

 次に刺戟を加えて,小葉を閉鎖させたものを蒸溜水で処理すると,正常なものと大差なく数分 後に開くが,1/50mo1で処理した場合は小葉は開かなかつた。

 実験4。非常に小さv・第一次葉枕に,スポイドで1/5GmQ!KCNをかけて約10分後に刺戟 しても葉柄は下垂運動を起さなかつた.而し,普通の大きさの第一次葉枕では数十分の処理によ つても下垂運動を停止させる事は出來なかつた.

 B呂ピスグサの場合

 実 験1.1/5。m・1KCNにて1時聞乃至数時間明室にて処理し後水道水に入れ換え之れを暗 室に入れる.別に対照として蒸溜水のみで処理したものを用意した.それより30分後に観察する とKCN処理のものも蒸溜水処理のものも同様に子葉は閉鎖してゐた.

 次に明室での処理時間を15時聞にして,水道水に入れ換え曙室に入れたものでは30分後に於て 蒸溜水処理のものは子葉は完全に閉鎖してゐたがKCN 処理のものは閉いたま㌧で変化はなかっ た.5時間30分後に於ても30分後と同様で子葉は開平状態をつづけた。

 指頭で子葉を接触刺戟しても閉鎖しなかつた.

 実 験2.1/5・m・1KCNで15時聞暗室で処理した後水道水に入れ換え明室に置く.別に対照 として蒸溜水処理のものを用意した.実験には材料を各々四本宛用いた.

 15時間暗室処理のものは明室に置いた後時聞の経過と共に子葉は開いて來るが,之の関係を表 わしたのが第1図である.

 即ち1/50m・1KCNで処理されたものは開平運動が対照に比して,著しく阻害された.

 実 験3。1/50mo1,:/100mo1,1/1。oりmol KCN,蒸溜水で20時間暗室で処理した後水道水に入

れ換え,明室に置き時聞の経過と子葉の開度との二謁係を調べた.各濃度毎に5本宛用いた.個体

(3)

田O

l60 140 120 100 80 60 40

o

IO 20. 30 40 50 60 70 80戚

1、

0 o

 4 一一一一ズ鱒7一 幽 8一一一 二一一々一掌』軒

!名。一rrT 一「一一7  x

Fig・

 一 一}−→r計−一→一・一一一一一一→

1・  The angle between two coteledons followed by the   time after treatment for15hours in darkness.

 Axis of abscissa3minute

 Axis of ordinate;angle betweon two coteledons.

 1・ treated with H20.

 2.3.4.5. treated with1/50mo KCN.

180 160

旨O

i20 100 80 60 40 20

0

ρ

       置__一一一一・・申一一一一『}一「噂

ノ2 ノ       のハ

       /

     / 欝

 / 3

6幽一一『●一一一一→』・ 一一・r一一一噂臼r_ 4

2   3   4   呈   6   7 8   9   10楓 Fig。 2。  The angle between two coteledons followed by the      time after treatment for20hours m darkness.

    Axis of abscissa 3 hour

    Axis of ordinate3angle between two coteledons.

    1. tτe歌ted with HzO

    2.treatedwith1!1000蜘IK.CN・

    3. treate(1with1!100nユo露KCN.

    4.treatedwith1!50m・1KCN・

によつて少しの差があつたが,その平均を以て表わしたのが第2図である.

即ち20時間処理によつて各れの濃度の場合も阻害され,阻害の度は濃度が高くなるに従つて著

しかつた.

(4)

 筆者は先きの研究の結果エビスグサに於ては,葉枕の皮層細胞中飾管部の周囲の厚膜細胞に隣 らつた着色部の細胞層は,その他の植物Ploco91&tus,Dionaea,Aldrovanda,Mimulus,Centaurea,

Berberis,Sparmannia等の牧縮細胞とその位置,形態,内容物等から見てよく似て居り,之の層 を牧縮細胞と考えた。

 オジギソウに於ては,その牧縮細胞は皮層柔細胞であるとか,或は節管部周囲の柔組織である か又は之の両者であると考えられてゐるが(Colla1937)之等両殖物の牧縮細胞と考えられる細 胞には,鍛箸に蛋白質,タンニン,オキシダーゼ,ペルオキシダーゼ,カタラーゼ等が検出される.

 オジギソウ及びニセアカシヤに於て,タンニンの昼夜の消長,運動に伴う消長については,多 羅尾,鳥山(1951),鳥山(1952)の発表があるが,筆者はエビスグサに於て,タンニン及び色素 が運動に伴つて変化する事を見,又タンニン,酸化酵素の季節的消長と運動との間に,密接な関 係がある事を知つた.(重952)上述の実験結果の如く,オジキソウ,及びエビスグサの小葉の葉 枕の蓮動は,ヲ5・m・1〜1/:OD3mol KICNによつてその開閉運動は一時阻害されるが,或る時間経過 後には運動は回復する.之等の事によつて,葉枕の運動は酸化還ノ亡酵素の内,特にFe,Cu等の 重金属を含む酵素の作用があづかつてゐて,青酸は重金属と結合してその作用を不浩性ならしめ

るものと考えられる.

 オジキソウの場合,小葉の葉枕は短時聞に阻害され,第一次葉枕では,かなり長い時間後に阻 害されるが,小葉の葉枕は非常に小さい為に溶液が牧縮細胞えの透過が第一次葉枕に比して早v・

,為であると考えられる.

 又KCNの阻害作用が,植物体の含水量によつて相異があるが,之れは含水量によつて,青酸 の透過拡散,及び原形質の膠質状態の相異によるものではなかろうか.

 次にエビスグサに於ては,長時間の処理によつて葉枕の蓮動は阻害される.

 之れは葉枕の大きさ特にその牧縮細胞が皮層の飾管部に近い所に存濫する事から,溶液が透過 するのに長時間を要する為ではなv・かと考えられる.

 オジキソウに於ては,青酸の阻害が,かなり迅速であることから皮層柔組織も運動に関係を有 するものと思われる.

 而して之等の植物に於て,運動に伴うタンニンの消長から見て,タンニンの酸化還元が葉枕の 運動に何等かの蜀係を持つてゐる様に思われる.

摘 要

 材料としてオジキソウ,(Mimqsa pudica),エビスグサ(Cassla Tora)を用いた.

 之等の植物の葉枕を1/5)m・1〜1/1…m・1KCNで処理した.小葉の閉いた場合及び閉じた場合 に処理すると,前者では閉鎖運動が阻害され,後者では開平運動が阻害された.

 その阻害の程度は濃度に比例した.オジキソウに於て阻害作用は植物体内の含水量に掲係があ

つた.

 之等両植物に於て,阻害作用が表われる迄の処理時聞に長短の差があるのは・主として葉枕の 運動を起らせる所の枚縮細胞の葉枕に於ける位置にあるものと思われる.

 之等の枚縮細泡に於ては,蛋白質,タンニン,Oxidase,Peroxidase,Cata1&se等が頚著に検出 される.而して葉枕の運動がKCNに依つて阻害される事から,葉枕の運動は,酸化還元酵素の 内,Fe,Cu等の重金属を含む酵素の作用が謁係してゐると思われる.

 叉運動に伴つて,タンニンの消長がある事から,葉枕の運動はタンニンの酸化還心τ何等かの

(5)

関係を有してゐる様に思われる.

参考文献

1)相見璽三:オジキソウの葉における屈曲運動の機作に関する研究(H)

      電気刺戟による液胞の瞬問的収縮現象と破裂について,科学vo1・17・No・811947 2)BeneckeW・und L Jost3Pflanzenphysiologle・BandII1923

5) Co皿a S・3Die kontrakt三1e Zelle der Pflanze且・(ProtoPlasma−Mono9τaphien:Bd・10)1937

4)藤野正義:エピスグサの膨圧変化運動についての研究,長崎大学学芸学部自然科学研究報告

      第2号1952

5) Haberlandt G。多Physiologische Pflanzenanatomie.1890

6)樫 本 :克 彦:植物組織の呼吸系フ右機化学の進歩第2輯,1950

7)纐纈理一郎3生理植物学1939 8)坂村 徹:植物生理学下巻1951

9)柴岡孝雄=オジキソウの主葉柄の興奮と運動.科学v・1・17・N・・81947

10)   〃   =オジキソウの主葉柄に於ける興奮の横へのひろがり,科学vo1・18・No・11・1948 11)   〃   =オジキソウの主葉柄における興奮伝導速度と刺戟の強さ。科学voL18・No・12フ

      1948

12)   〃   :オジキソウの主葉柄の興奮伝導の二つの波.科学vo1・19・No・9・1949 15)   〃   :オジキソウの副葉柄の動作電位と興奮伝導.科学voL20・1950 14)    〃    :微細電極によるオジキソウ動作電位の研究.17回植物学会講演1952

15)鈴木梅太郎:植物生理化学1948

16)多艮尾四郎,鳥山英雄:ニフ三の董科植物の葉枕タンニン細胞についてフ科学voL21,No・8・1951 17).島山英維:オジキソウ葉枕の細胞生理学的研究(第一報)17回植物学会講演1952

18) 山 口 彌 輔=植物の運動.岩波講座1930

19)山本重雄:オジキソウの葉関節の刺戟生理学的研究(∬)(液胞の収細及び消:失に就いて)予報

      植及動voL6・No・2・1938

Summary

 Mimosa pudica and Cass1a Tora were used as materials.

 Pulvinuss of these plants were treated with1/5〕mol KCN〜1/lo⊃o mol KCN. In the case of treatment when leaflets were open,and in the case leaflets were close,the former,

close movement was inhibited,the latter,open movement was inhibited.

 The degrees of inhibitions were proportion我l to the concentrations of K:CN.In Mimosa,

the inhibition』had relation to the water content in plant.

 The defference of treating times to inhibit in these two Plants seems to chiefly depend onthep・siti・ns・fc・ntractilece115inpulvinus。Inthesecontractilecells,pr・tein,t呂nnin,

oxid訊se,peroxidase,catalase were found out1emarkably.

 As the movement of pulvinus was inhibited with KCN,it may haveτelation to the action of oxido−reduction enzyme,especialy to the act1on of enzyme which contains he食vy metal such as Fe,Cu. As the increse and decrese of tamin were followed by the1nQvqmcnt of puMnus〜

itmayhaves・皿ere1ati・nt・仁he・xi4・一reduc巾n・∫tannin9

参照

関連したドキュメント

In this study, we focused on the structural difference, and selected two analysis methods: (1) quantitative determination of reducing sugar obtained by enzymatic hydrolysis, and

の他当該行為 に関して消防活動上 必要な事項を消防署 長に届け出なければ な らない 。ただし 、第55条の3の 9第一項又は第55 条の3の10第一項

  に関する対応要綱について ………8 6 障害者差別解消法施行に伴う北区の相談窓口について ……… 16 7 その他 ………

Superiority Effect and its disappearance in multiple wh-fronting languages: Increase in Entropy from the erasure of data Yamamoto Shouji Part time lecturer, Fukuoka Women's

では、シェイク奏法(手首を細やかに動かす)を音

 福永 剛己 累進消費税の導入の是非について  田畑 朋史 累進消費税の導入の是非について  藤岡 祐人

[r]

№3 の 3 か所において、№3 において現況において環境基準を上回っている場所でございま した。ですので、№3 においては騒音レベルの増加が、昼間で