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子どもの貧困対策のセカンドステージ 法改正による市町村計画の導入

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跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 第 29 号 (2020 年 1 月 25 日)

子どもの貧困対策のセカンドステージ  法改正による市町村計画の導入

Second Stage of Child Poverty Countermeasures Introduction of Municipal Planning due to Legal Revision

鳫   咲 子

Sakiko GAN

要  旨

 子どもの貧困対策法が改正され、市町村による貧困対策計画の策定が努力義務として法律に 位置づけられた。しかし、現状では、子どもの貧困対策において、実態調査の実施、庁内の連 携体制、市町村計画の策定、事業実施などに大きな自治体間格差がある。特に規模の小さな自 治体において、ノウハウ、職員、予算の不足が貧困対策を進めることのネックとなっている。ま た、県下の市町村の計画の策定状況を把握している都道府県も半数以下で、都道府県と市町村 の連携も今後の課題である。

キーワード:子どもの貧困対策、市町村計画、自治体間格差

1.はじめに

 2013 年に議員立法で制定され、2014 年に施行された「子どもの貧困対策法1」は、2019 年に法 の附則2に規定される法施行後 5 年の検討が国会及政府において行われた。その結果、参議院選 挙を控える通常国会において再度、議員立法で「子どもの貧困対策法」の改正が行われるととも に、政府においても子どもの貧困対策に関する国の方針である「大綱」の見直しを行うための準 備がすすめられている。法律の主な改正内容は、⑴目的・基本理念の充実、⑵大綱の記載事項の 拡充等、⑶市町村による貧困対策計画の策定、⑷具体的施策の趣旨の明確化等、⑸検討規定の 5

(2)

跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 第 29 号 2020 年 1 月 25 日

点である(図表 1)。

 特に、市町村による貧困対策計画の策定が努力義務ではあるが法律に位置づけられたことは、

今回の法改正の大きな成果である。本稿では、子どもの貧困対策において自治体間格差がある現 状について述べるとともに、「子どもの貧困対策計画」の形態や都道府県と基礎自治体の連携につ いて都道府県計画等を概観し、自治体による貧困対策計画策定の課題を整理する。

2.子どもの貧困対策の自治体間格差

 日本も批准している子どもの権利条約第 27 条は、「子どもの成長に必要な生活水準」を保護者 の力だけでは確保できないときには、国の支援を求めている。しかし、「子どもの成長に必要な生 活水準」の内容についてのデータを集めて公表することに、子どもの貧困対策法成立まで国も自 治体も熱心ではなかった。以下に述べるように、子どもの貧困対策は法制定前よりも進んできた が、自治体間格差という課題も生じている。

 例えば、法制定後、全国の少なくとも 188 団体で、特に政令市など人口 30 万人以上の自治体を 中心として子どもの貧困に関する実態調査が行われた(図表 2)3。また、実態調査を行った多く の自治体で新たな支援ニーズの発見、新規事業の立ち上げ、既存事業の見直しなどが行われた

(出所)衆議院ホームページ

図表 1 子どもの貧困対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案概要 子ど の貧困対策の推進に関す 法律の一部 改正す 法律案概要

・2013年に子ど も 貧困対策推進法が制定さ れた際、 法施行後5年を 経過し た場合の見直し 条項が規定

・関係団体から も 、 子ど も 貧困対策推進法の見直し を 求める 声

目的 ・ 基本理念の充実

(1) 目的規定に、 主に以下の事項を 明記する 。

子ど の「将来」だけでなく「現在」に向けた対策であ こと

貧困解消に向けて、児童権利条約の精神に則 推進す こと

(2) 基本理念に、 以下の事項を 明記する 。

子ど も の年齢等に応じて、その意見が尊重さ 、その最善の 利益が優先考慮さ 、健やかに育成さ こと

各施策 子ど の状況に応じ包括的かつ早期に講ず こと

貧困の背景に様々な社会的要因があ こと 踏 え こと

大綱の記載事項の拡充等

(1) 大綱記載事項と し て、「一人親世帯の貧困率」 及び

「生活保護世帯に属する 子ど も の大学等進学率」 と と も に、 検証評価等の施策の推進体制を 明記する 。

(2) 子ども の貧困対策会議が大綱案の作成及び変更の際に、

関係者の意見反映のための措置を講ずる旨を規定する。

市町村によ る 貧困対策計画の策定

市町村に対し 、 貧困対策計画を 策定する 努力義務を 課す。 (都道府県については、 既に措置済み)

具体的施策の趣旨の明確化等

教育支援 教育の機会均等が図ら れる べき 趣旨を 明確化 生活支援 子ど も への直接的な支援以外の支援も 含む旨を 強調 就労支援 就労後の職業生活も 支援対象と なる 旨を 明確化 調査研究 指標に関する 研究を 行う 旨を 明確化

検討規定

本法施行後5年を 目途に見直す検討条項を 規定する 。 本法案の提出の背景

よ り 充実かつ実効的な子ど も の貧困対策を 子ど も の住む地域にかかわら ず全国的に 本法案の主な内容

※ 本法公布後3月以内に政令で定める 日から 施行

(3)

子どもの貧困対策のセカンドステージ 法改正による市町村計画の導入

(図表 3)。例えば、沖縄県では、子どもの居場所事業4の効果が確認され設置の拡充が行われた り、市町村の就学援助の充実を図るために県が事業費の 4 分の 3 を交付したりしている。

 一方、実態調査の必要性を感じていながら未実施の自治体では、調査予算の確保、ノウハウ不 足が実施のネックとなっている(図表 4)。また、実態調査未実施の自治体で必要性を感じていな い場合は、「既に調査を実施している」53.8%、「普段の業務等で把握することができている」

41.0%という回答のほかに、「子供の貧困の問題より優先して取り組む課題があるため人員等を 充てられていない」25.6%という回答があった5。この回答と「普段の業務等で把握することがで

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実 態把握・検証報告書」

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実 態把握・検証報告書」

図表 2 実態調査の実施状況

図表 3 実態調査の成果 80.9%

0% 10.6% 12.8%

57.7%

1.4% 9.9%

32.4%

47.5%

0% 6.6%

45.9%

48.7%

0% 4.4%

46.9%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

a b c d

30 10 30 55 1010 5

3.1%

56.3%

6.3%

18.8%

40.6%

53.1%

28.1%

18.8%

0%

18.8%

36.8%

57.9%

10.5%

26.3%

42.1% 47.4%

15.8% 31.6%

10.5% 15.8%

12.9%

33.7%

3.1%

14.1%

33.1%

22.1% 22.7%

19.0%

4.9%

43.6%

0%

20%

40%

60%

80%

a新たに

支援を必要 とする子供・家庭

の発見

b新たな

支援ニーズ の発見

c潜在力のある

団体の発見 d連携ニーズの発見 e既存事業の

見直し f新規事業の

立ち上げ g連携の推進 h子供の貧困対策 への理解が

深まった

i新たな判明事項なし jその他 都道府県 政令指定都市 市区町村(政令指定都市を除く) 「i.その他」を選択した71自治体

のうち67自治体は、現在実態調 査を実施中又は実施直後であり 回答できないというもの。

n=32 n=19 n=163

(4)

跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 第 29 号 2020 年 1 月 25 日

きている」という回答は、人口 5 万人未満の自治体で多い傾向がある。これら規模の小さい自治 体では、子どもの貧困の実態は把握しやすいかもしれないが、これが後述するように子どもの貧 困対策事業の実施に結び付いているかが懸念される。

 実態調査に関連して、千葉県柏市ではアンケート調査の回答率に関して興味深い事実が明らか になった。柏市では、「制度受給世帯」として、「児童扶養手当受給世帯」「就学援助受給世帯」「生 活保護受給世帯」と、これらの制度による給付を受給していない「その他世帯」を対象に子ども の貧困に関するアンケート調査を行った。回答率は、「その他世帯」が 57.6%と最も高く、「児童 扶養手当受給世帯」41.4%、「就学援助受給世帯」13.5%、「生活保護受給世帯」10.0%と大きく異 なった(図表 5)。経済的な困難を抱える子育て世帯の実態を調査するには、アンケート調査だけ では不十分である。アンケート調査に回答しにくい生活実態を考慮して、保育・教育現場の関係 者などからのヒアリング等も行って経済的な困難を抱える子育て世帯のニーズを探る必要があ る。

 子どもの貧困対策は、教育の支援、生活の支援、保護者の就労支援、経済的支援が主要な支援 の分野とされており6、有効な事業は、役所内の様々な部署に分かれて担当されている。政令市な ど人口 30 万人以上の自治体では、子どもの貧困対策「独自の会議体」や、「司令塔となる部署」

を設ける場合が多かった(図表 6)。このような庁内連携に未着手の自治体では、人員・ノウハ ウ・予算の確保が課題となっており、他の自治体における先進事例の紹介が求められている(図 表 7)。

 また、規模の小さい市町村において子どもの貧困対策の「新規事業の立ち上げ」に未着手の自

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実 態把握・検証報告書」

図表 4 実態調査実施に必要な支援

71.4%

28.6%

42.9%

57.1%

42.9%

46.7% 60.0% 63.3%

85.0%

11.7%

0%

30%

60%

90%

a b c d e

(5)

子どもの貧困対策のセカンドステージ 法改正による市町村計画の導入

治体が多い傾向がある。人口規模が小さい自治体では、子どもの貧困対策の「計画や指針がない」

ことや「職員不足」を未着手の理由に挙げている7。しかし、未着手の自治体は、人口規模を問わ ず、事業の「主目的」ではないが子どもの貧困対策に資する事業は実施している場合が多い。

 規模の小さい自治体ではないが、東京都足立区では8、「子どもの貧困対策」と銘打つのではな く、これまでの区の様々な事業の「本来の目的」に加えて「子どもの貧困対策に資する役割」を

(出所)柏市(2017)「柏市子どもの貧困対策推進計画」

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実 態把握・検証報告書」

図表 5 実態調査アンケートの回答率

図表 6 子どもの貧困対策のための組織(市区町村)

実態調査アンケートの回答率

5

(出所)柏市(2017)「柏市⼦どもの貧困対策推進計画」。

子どもの貧困対策のための組織(市区町村)

(出所)内閣府(2018)「平成29年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実態把握・

検証報告書」

55.3%

68.1%

6.4%

28.2%

45.1%

22.5%

24.6% 27.9%

45.9%

8.9% 10.7%

53.6%

0%

20%

40%

60%

80%

a司令塔となる 部署・担当者

b庁内調整・連携 のための独自の会議体等

h設けていない 30万人以上 10万人以上30万人未満 5万人以上10万人未満 5万人未満

n=47 n=71 n= 61 n=112 6

(6)

跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 第 29 号 2020 年 1 月 25 日

位置づけている。これによって、「子どもの貧困対策」は教育と福祉の管轄で他の部署は関係ない という意識が区職員に生じるのも防ごうとしている。例えば、生活困窮世帯の子どもの社会的体 験が不足しがちであるとの実態調査から、産業経済部の子ども向けイベントに、従来はなかなか 応募できていなかった、ひとり親家庭の子どもや児童養護施設に入所している子どもも参加でき るような工夫に結びついている。こういった取り組みは、子どもの貧困対策事業に未着手の自治 体にも参考になるのではないか。

 子どもの貧困対策事業を実施している場合の関連部署の連携方法について、都道府県・政令市 では定期的な「情報交換の場」を開催することが多く、人口規模が小さい自治体では、定期的に

「個別のケース」を共有している場合が多く、組織の規模による連携方法の違いが生じている。例 えば、秋田市では、子どもの貧困対策庁内連絡会が年 2、3 回開催されており、この庁内連絡会の 合意案件であれば、個々の課が単独で要求するより予算が確保しやすいという事例が報告されて いる9。秋田市の例のように、「情報交換の場」を設定して予算を確保するために、まずは「個別 のケース」の共有からはじめることも有効であろう。

3.都道府県計画の現状

 法では、国が定める大綱のほか「都道府県は、大綱を勘案して、当該都道府県における子ども の貧困対策についての計画を定めるよう努めるものとする」とされ、都道府県に「子どもの貧困 対策計画」策定の努力義務が課された(第 9 条)。すべての都道府県で「子どもの貧困対策計画」

が策定されたが、29 道府県は「子どもの貧困対策推進計画」などの名称で計画を策定したが、残

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実 態把握・検証報告書」

図表 7 庁内連携組織を設けていない理由と必要な支援

庁内連携組織を設けていない理由と必要な⽀援

(出所)内閣府(2018)「平成29年度 地域における⼦供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実態把握・

検証報告書」

34.9% 40.4%

19.3%

34.9%

9.2%

a 必要性を 感じているが 構築方法がわからない

b 必要性を 感じているが人員不足

c 必要性を 感じているが 予算確保が困難

d そ 他

e 必要性を 感じない

0%

20%

40%

60% n=109

47.5%

64.4% 79.7%

62.7%

8.5%

a 国から 情報提供

b 都道府県 から 情報提供

c 事例 紹介

d 予算 支援

e そ 他

0%

20%

40%

60%

80% n=59

7

(7)

子どもの貧困対策のセカンドステージ 法改正による市町村計画の導入

り 18 都府県は子供の貧困対策以外の内容も含む子ども・子育てに関する総合計画の一部として 計画を策定している(図表 8)。長野県は、2015 年に総合計画の一部として策定したが、2016 年 に「子どもの貧困対策推進計画」も策定した。その後、2018 年に「子ども・若者支援総合計画」

を策定した。一方、総合計画の一部として、わずか 2 ページしか子どもの貧困に関する記載のな い県も見受けられる。単独計画になり得る位に、計画に盛り込む施策を充実させることが必要で ある。

 保育所・小中学校・給食・学童保育・生活保護・就学援助など子どもの貧困対策に有効な行政 の事業の多くが、基礎自治体である市町村に委ねられている。また、基礎自治体は都道府県と比 べて、学校や保育の関係者からも日常的に子どもの実態を把握する機会が多い。このためにも基 礎自治体が「子どもの貧困対策計画」を策定するよう、子どもの貧困対策法に明記される必要が あった。例えば、重要な子どもの貧困対策である就学援助は、各市町村が独自に基準を定めて実 施している。支援のニーズが高い県ほど県下の市町村の財政状況が厳しい現状を考えると10、都 道府県の「子どもの貧困対策計画」だけでは、市町村による就学援助の動向を政策的に誘導する ことは難しかった。

 現時点では、県下の市町村の計画の策定状況を把握している都道府県は 40%弱に過ぎず、県計 画に関する市町村の取組状況の定期的確認も 30%程度しか行われていない11。また、計画策定時 に市町村との、「施策」の調整を実施している都道府県は 15%程度であり、「目標・指標」の調整 を実施しているのは 10%程度であった(図表 9)。改正された子どもの貧困対策法第 9 条では、市 町村は、国の大綱及び都道府県計画を勘案して、市町村計画を定めるよう努めるものと規定され ている。都道府県と市町村の連携は、今後の課題である。

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実 態把握・検証報告書」

図表 8 子どもの貧困計画の形態(自治体種類別)

都道府県

政令指定都市

a 独自の計画

a 独自の計画,15.0%

a 独自の計画,59.6%

d 策定していない d 策定していない,0.0%

d 策定していない,25.0%

n=47

n=20

<自治体種類別> b 総合計画等の一部

b 総合計画等の一部,55.0%

b 総合計画等の一部,40.4%

c 各事業の計画

c 各事業の計画,5.0%

c 各事業の計画,0.0%

(8)

跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 第 29 号 2020 年 1 月 25 日

4.市町村計画の現状

 子どもに関する市町村の施策には、既に「児童福祉法」に基づく市町村の「子育て支援事業」、

「子ども・子育て支援法」に基づく「市町村子ども・子育て支援事業計画」などがある。子どもの 貧困対策の観点から、市町村の既存の事業・計画を見直すことが必要であり、市町村も「子ども の貧困対策計画」を策定するよう、子どもの貧困対策法に明記する必要があった。

 2019 年 6 月までに全ての政令指定都市 20 市が「子どもの貧困対策計画」を策定している。政 令市を含め全国で 145 の市区町村が計画を策定したが、これは全国の基礎自治体の約 8%に過ぎ ない12。また、策定している地域の片寄りがある。県下の自治体の策定割合が高い順に、秋田県 64%、富山県 53%、東京都 41%、宮崎県 38%となっている。

 145 の自治体の計画のうち、自治体の総合計画など他の計画の一部に位置づけられている場合 が 47 団体である。他の計画のうち、最も多いのが「子ども・子育て支援事業計画」の 25 団体、

他に「子ども・若者計画」6 団体、子ども分野の総合計画 9 団体である。子ども分野の総合計画 には、「次世代育成支援対策行動計画」を兼ねているもの(兵庫県神戸市、愛知県春日井市)があ るが、多くは、上記の子ども関係の計画を統合したものである。三重県名張市は、子ども条例に 根拠をおいている。東京都杉並区は保健福祉計画、岐阜県飛騨市は「地域福祉計画」の一部を「子 どもの貧困対策計画」としている。さらに広汎な自治体の「総合計画」に位置づけている団体が 5 団体ある。これらの子どもに関連する各種市町村計画の概要は、図表 10 のとおりである。「子 ども・若者計画」を除き、他の計画の策定率は高い。例えば、沖縄県うるま市では、自治体の総 合計画において、各分野が連携し横断して取り組む必要がある施策として子どもの貧困対策を位 置づけている13

図表 9 都道府県と市町村の連携状況

回答 件数

a 計画に目標・指標を盛り込む際に、市区町村と調整を行っている 5 10.9%

b 計画に施策を盛り込む際に、市区町村と調整を行っている 7 15.2%

c  貴都道府県下の市区町村における子供の貧困に関する計画の策定状況を把握して

いる 17 37.0%

d  都道府県が策定した計画に関し、市区町村の取り組み状況を定期的に確認してい

14 30.4%

e  都道府県が策定した計画に基づき、市区町村と子供の貧困に関する共同事業を実

施している 2 4.3%

f その他(     ) 16 34.8%

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する 実態把握・検証報告書」

(9)

子どもの貧困対策のセカンドステージ 法改正による市町村計画の導入

 都道府県計画と同様に子どもの貧困に関する記載の充実度には市区町村による差がある。そも そも県庁所在都市を含め、策定している基礎自治体が全くない県も、青森、山形、群馬、徳島、

愛媛、高知、鹿児島の 7 県ある。また、人口規模別では、人口 30 万以上の自治体で策定している 割合が高く、人口規模の小さい自治体で策定していない割合が比較的高かった(図表 11)。計画 を策定の必要性を感じていながら策定していない自治体では、計画策定のノウハウ、担当職員の 不足、予算不足が挙げられている(図表 12)。今後は、これらの課題を解決し、全国の基礎自治 体が「子どもの貧困対策計画」を策定し、子どもの貧困対策に効果のある事業を行うことが求め られている。

5.おわりに

 市町村計画については、法改正時に衆参の委員会で「本法による市町村計画の策定に係る規定 は、市町村の個別の状況が十分勘案されるものであり、市町村計画の策定に関しては、市町村の 意思が十分に尊重されなければならないこと」、「市町村計画を策定する市町村に過重な負担が生 じることのないよう、当該市町村に対し、必要な学術的又は財政的支援その他の援助を行うよう

図表 10 子どもに関連する各種市町村計画

計画名 根拠 策定率 概要【背景】

子ども・

子育て支 援事業計

子ども・子

育て支援法 法定 国が示す基本指針に即して、5 年を 1 期とする市町村子ども・子 育て支援事業計画を作成する。その計画では、教育・保育、地域 子ども・子育て支援事業の量の見込み並びにそれに対応する提供 体制の確保の内容及び実施時期について定める。【保育所待機児 童対策】

子ども・

若者計画 子ども・若 者育成支援 推進法

3%程度 国の大綱(及び作成されていれば都道府県子ども・若者計画)を 勘案して作成する(努力義務)。【旧青少年施策】

次世代育 成支援対 策行動計

次世代育成 支援対策推 進法(時限 法)

99%程度 市町村及び都道府県は、国の行動計画策定指針に即して、地域に おける子育て支援、親子の健康の確保、教育環境の整備、子育て 家庭に適した居住環境の確保、仕事と家庭の両立等について、目 標、目標達成のために講ずる措置の内容等を記載した行動計画を 策定する。【少子化対策】

地域福祉

計画 社会福祉法 75%程度 高齢者、児童、障害者などの分野ごとの「縦割り」ではなく、住 み慣れた地域で行政と住民が一体となって支え合う総合的な地域 福祉に取り組むための計画(努力義務)。

総合計画 条例等 9 割程度 地方自治体が策定する自治体のすべての計画の基本となる、行政 運営の総合的な指針となる計画(2011 年まで地方自治法に根拠)。

(出所) 内閣府(2019)「令和元年度子供・若者白書」、厚生労働省(2018)「市町村地域福祉計画策定 状況等の調査結果」、日本生産性本部(2016)「基礎的自治体の総合計画に関する実態調査」

(10)

跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 第 29 号 2020 年 1 月 25 日

努めること」という附帯決議が附された。子ども関係の市町村計画には、既に「市町村子ども・

子育て支援事業計画」、「子ども・若者計画」、「次世代育成支援対策行動計画」があるが、これら の計画のほか「地域福祉計画」「総合計画」の一部に「子どもの貧困対策計画」を位置づけている 例もある。計画の策定には担当職員の不足、予算不足など様々な課題があるが、今後はこのよう な先進事例を紹介することにより、自治体の計画策定のノウハウ不足解消の一助としたい。

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実 態把握・検証報告書」

(出所) 内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実 態把握・検証報告書」

図表 11 子どもの貧困計画の形態(人口規模別)

図表 12 必要性を感じながら計画未策定の理由

子どもの貧困計画の形態(人口規模別)

(出所)内閣府(2018)「平成29年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実態把握・

検証報告書」

11

a ,21.3%

a ,14.1%

a ,11.5%

a ,17.7%

b ,36.2%

b ,14.1%

b ,4.9%

b ,3.5%

c ,14.9%

c ,7.0%

c ,6.6%

c ,4.4%

d ,34.0%

d ,67.6%

d ,78.7%

d ,74.3%

30 10 30 5 10 5

必要性を感じながら計画未策定の理由

(出所)内閣府(2018)「平成29年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制に関する実態把握・

検証報告書」

10.0% 10.0%

0%

80.0%

22.7% 27.3% 31.8%

63.6%

35.5% 38.7% 41.9%

51.6%

43.2%

29.7%

21.6%

51.4%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

a ようにして 策定すべきか

分からない

b 担当職員 不足 c 予算を確保 できない

d

30万人以上 10万人以上30万人未満 5万人以上10万人未満 5万人未満

d 他 」 、現 在 策 定 途 中 又 次 年 度 以 降 に 策 定 予 定 というも

n=10 n=22 n=31 n=37

12

(11)

子どもの貧困対策のセカンドステージ 法改正による市町村計画の導入 謝辞

本研究は、跡見学園女子大学特別研究助成費の助成を受けたものである。

参考文献

鳫咲子(2017)「子どもの貧困対策─制度化の経緯と今後の課題」『法政大学大原社会問題研究所日本労働 年鑑』、第 87 集、p.38-p.66

鳫咲子(2017)「安倍政権下における子どもの貧困対策」『大原社会問題研究所雑誌』、第 700 号、p.28-p.37 内閣府「沖縄の子供の貧困対策に向けた取組」(2019 年 10 月 9 日アクセス)〈https://www8.cao.go.jp/

okinawa/3/kodomo-hinkon/okinawakodomo.html〉

1  子どもの貧困対策の推進に関する法律。

2  附則第 2 条。法制定の過程については、鳫咲子(2017)「安倍政権下における子どもの貧困対策」『大 原社会問題研究所雑誌』第 700 号p.28-p.37、鳫咲子(2017)「子どもの貧困対策─制度化の経緯と今後 の課題」『法政大学大原社会問題研究所日本労働年鑑』第 87 集p.38-p.66。

3  以下の記述は、内閣府(2018)「平成 29 年度 地域における子供の貧困対策の実施状況及び実施体制 に関する実態把握・検証報告書」による。本アンケート調査は、全都道府県・政令指定都市に加え、平 成 29 年 8 月までに地域子供の未来応援交付金を活用した実績のある全市区町村、「子どもの未来を応援 する首長連合」加盟自治体等計 348 団体に対して行われ、回収率は 97.4%だった。子どもの貧困率が全 国平均の 2.2 倍の 29.9%である沖縄県では、未就学児・小中学生・高校生に分けて毎年実態調査を行っ ている。

4  この事業では、日中及び夜間の居場所がないことにより、街を出歩き、登校に支障が生じたり、非行 行動に至ったりするなどの問題を抱える子どもが多いことから、食事の提供、共同調理、生活指導、学 習支援等を行う。

5  内閣府・前掲注 3、31 頁。

6  子供の貧困対策に関する大綱(2014 年 8 月)。

7  内閣府・前掲注 3、82 〜 86 頁。

8  内閣府・前掲注 3、210、211 頁。

9  内閣府・前掲注 3、204 頁。

10 鳫咲子(2012)『子どもの貧困と教育機会の不平等 就学援助・学校給食・母子家庭をめぐって』明 石書店、40、57 頁。

11 以下の記述は内閣府・前掲注 3 による。

12 以下の記述は内閣府・前掲注 3 による。

13 うるま市(2017)「第 2 次うるま市総合計画」。

(12)

参照

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