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『兼好法師集』における季節意識

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Academic year: 2021

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(1)

『兼好法師集』における季節意識

著者名(日) 築比地 道子

雑誌名 大妻国文

巻 24

ページ 41‑59

発行年 1993‑03

URL http://id.nii.ac.jp/1114/00001481/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

﹃ 兼 好 法 師 集

﹄ に お け 季 る 節 意 識

築 比 地

道 子 は

じ め に 兼﹃ 法好 師

﹄集 は︑ 兼 好が 二十 代 から 六十 代 の約 四十 年 間 にか け て詠 んだ 和歌 を︑ 兼 好自 まら と めた も ので あ る︒ 風﹃ 雅 和歌 集

﹄ の撲 進 資料 と てし 提 出さ れ︑ そ の草 稿 に加 筆 訂︑ 正な ど をし て︑ 興 国六 年 にあ た る 一三 四五 年 から

︑ 翌年 にか け て成 立 たし と 推定 され て るい

︒ 本稿 で は︑ 存現 す る兼 好唯 一の 家集 であ る 兼﹃ 好 法師 集﹄ が ヨ︑ 大一 筆随

﹂ 謳と わ るれ 徒﹃ 然草

﹄ と︑ ジ ンャ ルは 別 と し て異 質 なも ので あ る のか

︑ 考察 てし みる

︒ 兼﹃ 好 法師 集

﹄ と

﹃徒 然草

﹄ の関 連 性︑ まつ り

﹃徒 然草

﹄ 中 で 和の 歌 への 関 心 に つい て研 究 され て いる 論文 に︑ 有吉 保 氏 徒﹁ 然草

︱論

︱ 和歌 文 学 の立 場 から

﹂∩ 国文 言学 語 と文 芸

﹂第 七十 号︑ 昭和 四十 五年 月五

︶︑

斎藤 彰氏

徒﹁ 然 草 の 和 歌的 基盤

︱︱ 表現 機能 構と 成意

︱識

︵﹁ 学苑

﹂ 五 二九 号︑ 昭 和 十五 九年 一月

︶︑ 川石 常 彦氏

徒﹁ 然草 にお け る和 歌的 な も

﹂の

︵﹃ 新 古今 的世 界

﹄和 泉書 院︑ 和昭 六十 一年 六月

︶︑

杉浦 清志 氏 兼﹁ 好 和と 歌︱

︱ 家出 以前

︵北 海 道 教 育 大 学紀 要三 八巻 一号

︑ 和昭 六十 二年 月十

︶ な どが あ る︒ これ ら 先の 行 論文 踏を まえ

︑ 細 や かな が ら私 見 を述 べて いき た い︒

(3)

一 尊

経閣 叢 刊 兼﹃ 好 自撰 家集

﹄ の巻 頭 には

﹁家 集事

﹂ と題 され た家 集 編纂 の意 図が 記 され て るい

﹁部 立事

﹂ と うい 項 目 に は︑

﹁全 可不 有 之︒ 雖 有分 5 人不 然︑ 甘尤 心者 也

﹂︒ とあ り︑ 部 立 を置 かな いで 由自 すに る こと 掲を げ て いる

︒ わい ゆ る 雑纂 形式 であ る︒ ここ で︑ 敢 え て この 家集 各の 歌 に つい て︑ 勅 撲集 の部 名立 に倣 てっ 分 類整 理 し︑ 歌 数 を調 べ てみ ると 次 のよ う にな る︒

 

蒙 組 雑 恋

票 蔚 覆賀 冬 秋 夏 春

 

四 四 一

 

 

二 二 二 五

〇 三 八 八 〇 四 二 二 八 六 四 四

(4)

一ハルし一ハ

一一

一 ︑

一一一一 一 ︑

一 ︑

四 八 七 七 五 八 九 六 五 一 六 六 六 五 〇 四 七 二 四 七 七 九 〇 二 五 一 三 七 九 九 六 一 八 一 二 八 六 五

二 〇 六 〇 九 〇 〇 一 八 七 二 七 九 六 四 八 四 五 一

(5)

勅 撲集 は︑ 時代 問を わず 春 部の と秋 部の 歌の 数が 同数 か︑ やや 秋 方の が多 く な てっ るい と いえ る︒ 方が 多 もい のは

︑ 後﹃ 拾 遺集

﹄ 風﹃ 雅 集﹄ であ る︒ かし

し︑ そ の春 秋と の差 は︑ それ ぞ れ 二十 二首

︑ 一 のよ う 倍に 以 上 も の差 は つい て ない い︒ また

︑ 四季 歌 の全 歌数 にお け る割 合 は︑ 兼﹃ 好 法師

﹄集 の場 合︑ 四十 九︑ 七 パ ーセ ント で約 首二 に 勅撰 集 比に べ て高 いと いえ る︒

一 ︸ 二 四 八 嘲 ︸

二 四 八

却卿

﹄一

八 八

七 五

四 主

四ロ 

ー 五 四 五 四 四

四 ´ 七 一

一ハ 一ハ

﹃頓

雑 恋 冬 秋 夏 春

六 七 五 六 四 六 五 〇 〇 七 八 八

例外 的 に秋 より 春 の 一十 一首 と な り︑ 兼好 一首 四は 季歌 と な り︑

六 七

〇 四

(6)

巻︐

︵欠﹃慶

l①

② 及び 2①

② は︑

﹃私 家 集 大成

﹄ に拠 る︒

︵l

①②

︑ 2② 書は 陵 部蔵 本︒ 2① 高は 松官 蔵 本

︶︒ l③ 及び 20 は︑ 中﹃ 世 和歌 集室 町編

﹄ 拠に る︒

︵共 に︑ 書 陵 部蔵 本

︶︒ 続﹃ 庵草 集

﹄ 以外 は春

・秋 が 同数 夏︑

・冬 が ほぼ 同 数 で︑ 勅撰 集 的 な歌 数 配分 であ る︒ 秋 より 春 の方 が や や多 い 続﹃ 草 庵

﹄集 も︑

﹃兼 好 法師 集

﹄ ほ ど の開 き なは い︒ そ てし

︑ 脱欠 の多 い 慶﹃ 運集

﹄ 以外 全は 部て 立 形式 であ る︒ 慶﹃ 運集

﹄ も︑ 部 立 なは いが 春 夏・ 秋・ 冬・ 恋・ 雑・ 順の に歌 が 列配 され て いる

︒ また

︑ これ ら の家 集 は題 詠歌 のみ であ り︑ 雑纂 形式 で 題詠 歌 の少 な い 兼﹃ 好法 師

﹄集 と は対 照 的 であ る︒ 兼﹃ 好 法師 集

﹄ 全体 にお け 春る の歌 の割 合 同と 様 に︑ 合 点 の付 され 和た 歌 春も 集に 中 し て るい

︒ 春 九首 秋︑ 四首 恋︑ 四

﹃兼 好法 師集

﹄に おけ る季 節意 識                                                     四五

雑 恋 冬 秋 夏 春

三 二 四

〇 六 一

雑 恋 冬 秋 夏 春

五 〇 〇 七 七 七

0 ︐ ユ全

雑 恋 冬 秋 夏 春

○ ○ 五 〇 五 〇

(7)

四六 首︑ 雑 六首

︑ 別離 一首 で︑ そ の他 に他 人詠 の雑 一首 があ る︒

こ の春 を好 む こと は︑ 徒﹃ 然草

﹄第 十 九段 に通 じ るも のが あ ると 考 え られ る︒ 物﹁ のあ はれ 秋は こそ まさ

﹂れ と︑ 人ご と 言に ふ めれ ど︑ そ れ さも る物 にて

︑ 今 ひと き 心は も浮 き た つ物 は︑ 春 の け きし に こそ あ めれ

︒ 兼 好 は︑ は っき りと 秋 より 春も 讃を 美 し て るい

︒ また

﹃兼 好 法師

﹄集 にお いて 秋 と冬 の歌 が ほぼ 同 数 であ る こと は︑ 同じ く 九十 段 に︑ 冬 枯 れ けの きし こそ

︑ 秋 に はお さ ノヽ 劣 るま けじ れ︒ と︑ あ る こと に通 じ ると 思 われ る︒ 兼﹃ 好 法師 集

﹄ にお け る四 季 の部 立 の比 重 は︑

﹃徒 然草

﹄ にみ られ る兼 好 の季 節 意識 と関 連 があ ると 考 えら れ るが

︑ 歌 の素 材 に つい ても 同 様 この とが いえ るで あ ろう か︒ 徒﹃ 然草

﹄ から 自然 に関 す る語 を抜 き 出 し︑ それ 相に 当 す る家 集 中 の 歌数 を調 べて みる と 次 のよ う にな る︒

朝 葛 蔦 黄 菊 竜

    

  

(8)

詠 まれ た歌 は︑ 明け 方 の空 に自 い花 弁が 散 てっ くい 幻 想的 な光 景 を詠 み︑ 桜 への 愛 さし 表を 現 てし いる と 感 じ ら れ 部 立 整の 理 を試 みた 時 に︑ 兼 好 春の に対 す る深 思い い入 れ を感 たじ が︑ も う 一つ この 家 集 の特 徴 とも いえ る こ と が あ る︒ それ ら 歌の 挙を げ みて る︒

︵五 月 十 日ご ろ御 子左 の中 納 言 ど ゝの 庚 申 に︶ 蛍 火秋 近 空 とぶ ほた まる だ つげ こさ ぬく も ゐ より ゆき か ふ秋 と風 や ふく むら

﹃兼 好法 師集

﹄に おけ る季 節意 識

 

(9)

(10)

も同 様 のこ とが 認 めら れ ると 思 う︒ そ し て︑ 春 夏・ 秋・ 冬・ と うい 枠 の中 に収 め る こと ので き な い︑ 季節 の移 変り わ り に 着 日 し て いた から こそ 兼︑ 好 敢は え て部 立 を成 さな か たっ ので はな いだ ろう か︒ 兼﹃ 好法 師集

﹄が 撰進 資 料 と てし 提 出 さ れ た こと から

︑ 撰 集

︵撰 者︶ を尊 重 たし た めと も 取れ るが

︑ 四季 歌 の割 合 の不 均等

﹁︑

﹂春

﹁夏

﹁秋

﹂﹁ 冬﹂ と区 別す る こ と を良 とし なし い思 想︑ 季節 の推 移歌 の存 在 など が︑ 部 立 のな い要 因 考と え られ る︒ ま た︑ 兼 好 遁は 世 者 であ り︑ 徒﹃ 然草

﹄ には 第︑ 七段 第︑ 四十 九段 第︑ 百三 十七 段︑ 第 百 五十 五段 第︑ 百 八十 八段 等 に 代表 され る よう に︑ 仏教 で いう と ころ の流 転

・無 常 の思 想が あ る︒ 命﹁ あ る物 を見 る に︑ 人ば かり 久 きし はな し︒ かげ ろふ の夕 を待 ち︑ 夏 の蝉 の春 秋 を知 ら ぬも あ るぞ かし

﹂︒

︵第 七 段︶︑

﹁四 季 は猶 定 まれ る つい であ り︒ 死期 は つ いで 待を ずた

﹂︒

︵第 百 五十 五段

︶ な ど から

︑ 人間 の死 期が 季 節 と対 比 され て い ると 感 じ る︒ 季節 推の 移 関に 心 を抱 く兼 好 の思 想 根の 底 に︑ 常無 観 を垣 間 見 る こと が きで ると 思う

︒ 二

季節 の推 移 歌 は︑ 兼好 の和 歌 のみ に見 られ る特 徴 であ ろう か︒ 同 時代 の︑ 外 の四 天 王 の和 歌 と比 較 てし み る︒ 浄﹃ 弁

﹄集

﹃慶 運 百首

﹃慶 運法 印集

﹃慶 運

﹄集

﹃頓 阿法 師集

﹃草 庵

﹄集

﹃続 草庵

﹄集 にお いて

︑ 兼 好 の季 節 推の 移 歌 と 同 歌題 また 同は 歌 材 詠で まれ 歌た の番 号 を︑   一覧 表 にし て みた

︒ なお

︑ 同歌 題 同・ 歌材 以外 の歌 に つい て は︑ 全 て推 移歌 に該 当 なし たい め省 略 す る︒ ま た︑

﹁部 立﹂ 兼は 好 歌 の家 集 にお け る仮 部 立 であ る︒

集浄

五 一

〇 〇 立 早 春 蕨 七 し

六 九

  歌歌 材題

餞﹂ 一 

一 し

(11)

一 巻一 頭 八 歌

  鶯 春

○ 八

一ハ一ハ

一二 ・  一 一ハrユ

参照

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