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論文の内容の要旨

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:鳥海 早喜

専門分野の名称:博士(芸術学)

論文題名:金丸重嶺研究‐新興写真時代の活動と初期写真教育を中心に‐

序論

本論文は、金丸重嶺(1900-1977)という商業写真の先駆者として新興写真の時代を牽引した写真家の業 績のうち、特に新興写真時代の活動と初期の写真教育について論じるものである。ここでは、まず先行研 究について触れ、金丸重嶺に関する具体的な研究が充分に行われていない現状について指摘する。

これらを踏まえて、本研究の研究目的が以下の 5 点であることを示し、続けて研究方法と論文構成につ いて記す。

・新興写真とは何であったかを探り、その中で金丸重嶺が果たした役割を検証する。

・金丸重嶺による写真の特徴を挙げ、写真家金丸重嶺の信念を解明する。

・金丸重嶺の写真教育の根幹を明らかにし、写真教育とは何かについて考察する。

・写真家としての活動や写真教育の経験が、金丸重嶺の評論家としての活動に与えた影 響について考察する。

・金丸重嶺がどのような人物であったのかを明らかにする。

第 1 章:近代的な写真の成立

はじめに、新興写真の時代を中心とした写真史を述べる。つぎに、本論において重要な語である商業写 真、広告写真、報道写真について検証し、定義づける。

第 2 章:金丸重嶺の生涯

金丸重嶺の 77 年の生涯を、戦前と戦後に分けてまとめる。戦前の活動を中心に網羅的に記すが、とくに 写真家としての活動に関しては、これまで明らかにされてこなかった撮影経緯やその過程について詳しく 述べる。

第 3 章:写真家としての金丸重嶺

本論の中心となる第 3 章では、金丸重嶺の写真家としての活動を時系列に沿って 4 つの節に分類し、代 表的な写真作品について検証する。

第 1 節では、商業写真の制作を通して金丸重嶺の写真表現が、「光の造形としての写真」から、次第に「写 真の現実性」を活かしたものへと変容したことなどを示す。第 2 節では、商業写真と報道写真制作の交錯 期の写真の特徴について述べ、両制作は金丸重嶺にとって撮影対象の魅力や特徴を伝えるという点におい て共通していたことを指摘する。第 3 節では、「写真の現実性」を活かした表現の円熟期について検証する。

ここでは、金丸重嶺の写真におけるトリミングが果たす効果の大きさについても述べる。最後に第 4 節で は、洗練された現実性の強い写真表現と、商業写真家として培ってきた技術を融合させて取り組んだ国策 宣伝としての写真制作の特徴について述べる。

これらの検証結果を総括することで、金丸重嶺の写真家としての信念を考察する。また、写真家として の金丸重嶺の活動を検証することで、当時の写真界を取り巻く環境や、太田英茂や山脇巌といったデザイ ナーとの関わりについても述べる。本章では最後に、金丸重嶺の代表的な著作を検証することで、その写 真観について文章からも考察を加える。

第 4 章:写真教育者としての金丸重嶺

写真教育者としての金丸重嶺について、日本大学専門部芸術科写真科での取り組みを辿りながら考察し ていく。本節の中心では、金丸重嶺が授業のために作成した 4 冊の講義ノートを分析し、これを基に金丸 重嶺による写真教育の根幹を明らかにする。

戦後の教育活動に関しては、丹野章、伊藤則美、白川義員といった写真学科卒業生へのインタビューから

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分かった事例を挙げ、史料だけに頼らない証言を基にした考察も行う。また、現在の写真界へとつながる社 会的な功績についても述べる。

結論

最後に、前述の研究目的 5 点に関して、各章での検証を基に次のように結論づける。

新興写真は、写真を解体し表現や機能の本質を定義付け分類したものであり、一つの流行として興起し 消え去ったのではなく、現在の写真の基礎となり発展していった。また、写真家としての金丸重嶺は、「人 の心を動かす写真を制作する」という変わらぬ信念をもち「広告写真家」で在り続け、その精神と技術を 教育者として学生に伝えようとしたことなどを述べる。そして、金丸重嶺は、常に実動者として写真の世 界を奔走しながら、写真界と写真を取り巻く環境を俯瞰するように客観的に眺め、次の一歩、さらにその 先を想像し、写真家として、教育者として、評論家として写真界を発展させようとしたことなどを結論と して述べる。

加えて、金丸重嶺及び新興写真の時代を研究することが、写真の技術変革が進む現代においてどのよう な意義があるのかについても論じる。

【資料編】

本論に加えて、金丸重嶺の写真作品目録と資料画像と金丸重嶺による講義ノートの書写を、別冊資料と して提出する。

参照

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