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高校 における技術科木材加工の在 り方 A Realizable Way of Woodwork(Techn01ogy Education)

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(1)

通高校 における技術科木材加工の在 り方

A Realizable Way of Woodwork(Techn01ogy Education) in Genoral IEgh Scho01

Nobuhiro IMAYAMA

(平

2年

10月11日受理

)

1.はじめ に

学校教育法41条に「高等学校 は、中学校 における教育の基礎の上 に、必要 に応 じて、 高等 学校普通教育及び専門教育を施す ことを目的 とする」 と示 されているように、高等学校の教育 の目的か ら普通科 にも技術教育が必要 とされる。

「技術科教育」の「技術」 とは大学の学部でたとえるな らば、工学部や農学部 な どに対応 し ている。「技術」 は工学であ り、 目的達成の学問である。 これに対 して、理学 は字 の ごと く自 然の真理に迫 る学問である。。

高等学校学習指導要領における理科の目標 は、「 自然に対する関心を高め、 観察、 実験 な ど を行 い、科学的に探求する能力 と態度を育てるとともに自然の事物・ 現象についての理解を深 め、科学的な自然観を育成する

2)」

ことである。 これは「 自然に対する総合的な見方や考え方 を養 う

2)」

ことであり、 自然の真理 に迫 ることである。理科 には「技術」のように発明や工夫 のような目的達成の考えはない。「技術」 は理科で得 られた自然に対する摂理や法則 を利用 し て、「物質的に豊かな生活を送 る」 ための教科である。 日本の小・ 中 ?高 校 の学校教育 のカ リ キュラムでは、理科などを通 して「理学」的な考え方を子供たちに培おうとしている。それに 対 して、「 技術」の考え方の養成 はほとんどされていない。わずかに小学校の F図画工作」 の 工作 と中学校の「技術・ 家庭科」の技術領域の中に少 し顔を出すだけで、あとは大学の工学部 や農学部で しか学習で きないのである。

教育大学協会技術・ 職業・ 職業指導部門は、1984年 に「小 中高一貫 した技術教育 を確立 す るための提言」を行 い

3)、

普通高校 における技術教育の実現を述べた。 しか し、実際には未 だ その実現 は行われていない。今回の新指導要領では、高校家庭科 に生活技術をおき、具体的内 容 として「 電気」、「機械」、「 情報」「 園芸」を盛 り込んでいる

4)。

この内容 に対 して、加工関 係分野が不足 していると思われる。

理想的には高校 に技術科を新設 し、その中に木材加工学習 も入れることであろ う。 しか し、

新設 は難 しいと言 う声 もある。学科の新設が難 しいな らば、既存の職業科 目を用いて普通高校 で地域や学校の実状に応 じて実施可能な内容を導入す ることも一策である。 ここでは、技術科 の一部である「木材加工」の普通教育 としての妥当性 と、その実現の可能性 について述べる。

(2)

2.発達段 階 か ら見 た高校 生

高校生 は、年齢に伴なう発達変化か らも分か るように、肉体的にも精神的にも成人の域 に達 す る完成期である。 また、高校時代 は自分 の生 き方 との関連で社会や自己の適性 に大 きな興味 を持つ時期で もある。 自己の適性の認識 は自己表現の程度 に応 じて広め、深め られてい く。社 会の物の動 きや、物の作 られ方 に関心 を持つ。従 って、 この様な完成期には、大学進学者にとっ て も、就職す るものにとって も、特 に科学技術教育が重要 と思われる。高校では理科教育 は行 われているが、技術・ 工学教育 は行われていないのが現状である。学習指導要領 によると、理 科教育では、 自然のありのままの姿を認識す ることに中心が置かれている。一方、理科で得 ら れた自然の法則や原理を用いなが ら、人間の生活を物質的に豊かにすることを狙いとして行わ れ るのが技術あるいは工学教育である。

高校時代 は人間の諸器官・ 諸能力の完成期である。具体的にはヽ抽象的・ 科学的思考、筋力、

感覚 と知覚の連携 (巧緻性

)、

二次元的空間概念 (立体な構成・ 組立能力

)、

考案設計能力、美 的感覚、正確 さ、細心 さ、機械操作への積極的興味 と操作能力、徹底 さ、忍耐力、等々ほとん

どの能力が成人並 になる

5),6)。

中学生の時期 においては、合 目的的な行為が主体であ り、 目的のものが完成すること自体 に 大 きな喜びを感 じ夢中になるが、高校生 になると合法則的な行為が可能 となる。例え│よ 道具・

機械・ 装置などの生産用具 は、一定の規則性 または法則性を持 っている。 また、働 きか ける対 象、木材、金属、 プラスチ ックなどの材料 も道具、機械 と同 じように一定の規則性 または法則 性を持 うている。技術的行為のはじめの段階では、 目的、 日標をはっきり持 った活動であれ│ム やがて活動を続 けてい く過程で手段、対象の規則性あるいは法則性 に気づき、それに則 った合 理的、能率的な活動 に変わってい く。合法則的 とは、言 いかえれば、計画・ 設計・ 立案の こと である。 この様な合法則的な教育が可能な年齢が高校生である。

従 って、高校時代 は人間発達の完成期であ り、技術教育の最終段階である合法則的訓練 に適 切な時期である。

現在の普通高校の教育が大学入試で歪め られ、知育偏重のきらいがあることは、既 に指摘 さ れているところであり、反面、職業教育 とりわけ現代の技術社会にいきる人 間 と して必要 な、

生産技術や労働 に対す る基礎的な知識や態度 と正 しい認識 とを身につけるための教育が欠 けて いると思われる。逆に、材料や計画を前 にして人間が主体的に物 に働 きか けることによ つて、

知育偏重を是正することにもなる。

高等学校 の普通科 において も卒業後直ちに就職する生徒がかな り多 くいるが、激 しい受験戦 争の影響などもあって、科学技術教育や職業意識のかん養や職業に関す る教育が必ず しも十分 行われているとはいいがたい。

高等学校 における職業教育 については、高等学校教育の著 しい普及に伴なう生徒の能力・ 適 性等の大幅な多様化、社会の高学歴志向の影響等 による上級学校進学熱の高 まりあるいはエ レ

ク トロニクスの進展等 によるわが国の産業構造・ 就業構造の変化などに伴 って、新たな対応 も 迫 られる課題 も種々生 じてきている。そ して、産業教育分科会小委員会では普通科 における職 業教育 の必要性を説いている

71。

(3)

3.普通 高校 での「 木 材加工 」 学習 (1)学習のね らい

普通高校で も各種材料の性質を実験的に知 り、材料の特性を知 り、適材適所 に使 い分 ける 能力を養 うとともに、生活材料 (居住性材料

)と

しての特性を学び、 自ら考案 したデザイ ン を生か しなが ら、構造力学や人間工学を考慮 した構造物や作品の製作をすることをね らいと することが妥当と思われる。その ことによって技術の基本、設計、見積など製作に至るj出 応用 される諸理論や法則を理解 し身 につけることが出来、更 に、科学性に基ず く創意工夫を 重点 とした設計・ 製作を通 して生活 に対す る理解や自己の適性や進路・ 職業 についての理解 を深めることが出来 る。

(2)自分のデザインで

高校生 の年齢では、決め られた ものやキ ッ トの加工・ 製作 よりも、 自らの好みでデザイ ン し、設計 し、製作する、 といった総合的な製作・ 加工で、生徒 にとつては自己表現中心形が 学習意欲 も高 まると思われる

3),9)。

これにより、デザイ ン、設計、製作 の二 つの関係 が理 解で き、技術や工学の思想を身 につけることが出‐来 る。

(3)木材を中心 に した材料の組合せで

このような教育を実現する科 目に用いる材料 としては、木材を中心にして他の材料で補強 す るといった考えが適切であろうと思われる。なぜな ら、木 は家具や家や玩具などのように、

構造材 にもなるし仕上 げ材 にもなる。切 った り削 った りす る加工が容易で、手で も機械 でで も加工で きる。機械設備 も大型でな くてよく、 コンピュータ制御 も可能である。

他の材料 はどうであろうか。圧縮 して強いコンク リー トは燃えず、腐 らない。 しか し、引 張 に弱 く粘 りが小 さい。硬 くて冷た く、表情 も荒々 しい。切 った り

lllっ

た りも難 しい。弓

│っ

張 って強い鉄鋼をはじめとする金属 は重 い。冬 に冷た く、熱で熱 くなる。切 りに くく、磨 き に くい。小 さな物を削 るにも大型の機械が必要である。鉄や コンクリー トは、単独では構造 材 にはな りえない。 まして手や足で触れた り見た目に心地 よさを与える仕上 げ材 にはなれな

い。 プラスチ ックは切断や接合 は容易であるが、 どこか人工的である。

これに対 して、木材 は、材料が加工 し易 く巧緻性を発揮 し易い、軽 くて適当な強度を持ち、

人間の触覚や視覚に馴染み深い、など、 自らデザイ ン・ 製作することで高校生の自己表現 に 適 した材料 と思われる。 このように、加工の容易な木材を主体 としなが ら、新素材を始めと する他の材料を有効 に取 り入れ活用 し、総合的に材料の特性を知 ることが出来 る。    

)内  

例えばその内容 として、

●材料の学習

●材料の資源や環境問題

●加工の基本的な理論

●加工の一般的な手順

●加工方法

●接合・ 接着の方法・ 種類

(4)

●道具・ 電動工具・ 機械の種類 と使用法

●道具や機械の歴史、機構や材料の発達

●木工機械を例 とした機械の主要なメカニズム

● コンピュータによる機械の制御、人間による制御 との関係

●道具や機械 に使われる金属やポ リマーやセラミック材料

●設計 (デザイ ン

)、

製図 (CAD, グラフィックデザイ ンと結合

)

●材料の選定、見積 り、作業計画、費用

●簡単な構造、力の加わ り方、構造物 に加わる荷重の種類

●組み立て、段取 り、手順

●住宅の模型、家の構造模型 (グラフィックデザイ ンと結合

)

●総合プロジェク トとして丸太小屋、建物や家の建築、 ツーバイフォー住宅、 ヨッ トなどの 製作

●工場見学 (実

)、

施設見学

これ らの授業の中で、例えば合理的なイ ンテ リアの配置、合理的な間取 りのバ ランス、模 型や構造物の設計、耐力的な部分の検討 にグラフィックデザイン、 コンピュータ計算を利用 したり、産業界で用いられているコンピュータ制御の木材切削加工機械の ミニチュアを教育 用 に改造 した り、作業手順 にコンピュータを利用するなど先端技術 と結合することが出来 る。

若者 は生産現場や先端技術 と触れ合 うことによって、社会 と自己の関係 を認識 し生 きがい を深めてい く。 また、 この様な総合学習によって知識 と実行力が身 につき、卒業 して就職す るものにとつて も、大学へ進学す るものにとつて も重要な教育である。 このように普通高校 において も木材を主材料 とした工学教育が十分 に意味がある。

4。

現状 での実 現 の方途 (1)既存科 目の利用

高等学校学習指導要領。は、総則で「学校 においては、地域や学校の実態に応 じて、勤労 にかかわる体験的な学習の指導を適切 に行 うように し、働 くことや創造す ることの喜びを体 得 させ ると共に望 ましい勤労観や職業観の育成 に資す るものとす る」 と定め、特 に普通科 の 教育課程の編成 に際 しては、「地域や学校の実態、生徒の進路・ 適性や興 味 。関心等 を考慮 し、必要 に応 じて、適切な職業 に関す る各教科・ 科 目の履修について配慮す るもの とす る。

この際、勤労 にかかわる体験的な学習の機会の拡充について も留意す るものとす る」 と明示 している。

今回の新指導要領では、高校家庭科 に生活技術 をおき、具体的内容 として 同 、側

「情報」「園芸」を盛 り込んでいる

4)。

この内容 に対 して、加工関係分野 が不足 して いると 思われる。

理想的には高校 に技術科を新設 し、その中に木材加工学習 も入れることであろう。 しか し、

新設 は難 しいと言 う声 もある。教科の新設が難 しいな らば、既存 の職業科 目を用 いて普通高 校で地域や学校 の実状 に応 じて実施可能 な内容を導入す ることも一策である。

例えば、関連す る科 目として、

「 イ ンテ リア計画」(工

)、

「 イ ンテ リア装備」(工

)、

「 デザイ ン技術」(工

)、

デザイ ン材料 (工

)

(5)

「 建築構造」(工

)、

「建築構造設計」(工

)、

「木材工芸」(工

)、

「林産加工」(農

)

「工芸

I」

(芸

)、

「工芸 Ⅱ」(芸

)、

「 クラフ トデザイ ン」(美

)

「住居」(家

)

などがある。(括

)内

は各科 目が属する教科を示す。指導要領において も、「 地域、学校及 び生徒の実態、学科の特色等 に応 じ、特 に必要がある場合 には、例えば、情報、職業、技術 などに関す る (中)教科及 び当該教科 に関す る科 目を設 けることがで きる。」としている。

公立学校普通科 における職業科 目の開設率 は昭和 58,59年度 においては

66%に

ものぼってい

12p.13p。

普通科をお く学校 においては、生徒の就職状況を見なが ら必要に応 じて このような適当な 職業科 目などを幅広 く開設 して、生徒が適切 に選択履修で きるようにす ることに制度的な問 題 はない し、す ぐに授業を行 うことも出来 る。

)地

域産業の活性化 と加工学習

物が豊かになった現在では、デザイ ンが生活を豊かにし、商品の付加価値 も高める。 自ら のデザイ ンによる総合的な製作加工 によって、直接生産者 として役に立つだけでな く、物の 販売者や消費者 として も役立つ。物のデザイ ンや使用方法について総合的な使用者の日と生 産者の目を持つ ことが出来 る。作 るだけの生産者 よりは、デザインや機能 も分かる生産者の 方が好 ましい。

日本では広大な山林をバ ックにした木材関連産業が各地 に存在する。 これ らの地域 は地域 活性化を要求 され、知的労働力を必要 としている。逆 に、高校卒業生が消費者 として質 の高 (デザイ ンや機能にうるさい)購買力 ともな り得 るであろう。現 に、い くつかの地域では 長年の努力で地域木材関連産業が活発 となり、学校教育 に対 して も一定の評価が生 まれてい

る。

)市

町村の経済振興課 と教育委員会の連携を

木材および木材関連産品を取 り扱 う地域地場産業あるいはこれ らの協会 と高校教育を結 び 付 けるには、県や市町村などの経済振興課 とこれ らの教育委員会の仲立 ちが必要である。

高校の先生方 は生徒の就職先について非常 に熱心であ り、地場産業 とのコンタク トを取 る場 として も関心を示す と思われる。

施設や道具や教員に付 いては高校の地域の実状、地場産業 との関連を考慮 して、 例 えば、

職業高校 (工業、農業、林業、商業高校 など

)や

職業訓練校、公共の指導機関などとの連携 が県や市町村単位などで可能である。 また、木材を主体にすることで、施設、設備などは比 較的安価 に済 ませることが出来 る。 これ らの総合的な取 りまとめの役 目として、県や市町村 の経済振興課が適切であり、中心的な役 目を果たせると思 う。

(6)

5。

まとめ

高校生は肉体的にも精神的にも完成期であり、高校

1時

代 こそ科学技術教育が必要である。 こ のような科学技術教育の一端を、工学とデザインと製作が一体となった加工学習によって実現 できる。施設、設備、機械、道具などが比較的安価であり加工 も容易で材料に働きかけやすい ので、製作材料 として木材を主体 として諸材料を豊富に用いるべきである。またコンピュータ などの先端技術や工場見学など現実社会との結合が高校時代は特に重要である。理想としては 高校に木材加工を含めた技術科を新設することであるが、現実的対応の二案として、地域や学 校に即 した既存の職業科目などの利用が考えられる。

引用文献

1)末武国弘:産業教育、35,3,p.15〜 19(1985).

2)文部省:高等学校学習指導要領、大蔵省印昴J局

1989、

p.62.

3)教育大学協会技術・職業・ 職業指導部門全

1国

集会、1984年 7月 (原正敏、 向山玉雄:男 女平等 と技術教育、民衆社

1986、 p。

154〜

161)。

4)文部省 :高等学校学習指導要領、大蔵省印刷局、

1989、 p.1210.

5)波多野完治:ピアジェの認識心理学、国土社(1983)。

6)高石昌弘他:「スポーツと年齢」、大修館書房

(1977)。

7)文部省職業教育課:産業教育、No.450、 p.108〜 116(1988)。

8)池本洋一編:勤労体験学習の研究一高等学校の技術教育一、建吊社、1980、 p.116〜120.

9)平田晴路:日本産業技術教育学会誌、30,1,pl103ん 109(1988)。

10)文部省:高等学校学習指導要領、大蔵省印刷局、1989、

p。

1〜

2.

11)文部省:高等学校学習指導要領、大蔵省印刷局、

1989、

p.4,p.222.

12)文部省職業教育課:産業教育、

No。 450、 p。

77(1988)。

13)理科教育及び産業教育審議会報告、1984年 6月 25日.

参照

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