自発ランニング運動がラットの血清 Triacylglycerol濃度に及ぼす影響
著者 山本 章, 谷 健二
雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 自然科学篇
巻 40
ページ 27‑35
発行年 1990‑03‑27
出版者 静岡大学教育学部
URL http://doi.org/10.14945/00008371
自発ランニング運動がラットの血清Triacylglycerol濃度 に 及 ぼ す 影 響
The EfFect of Voluntary Running Exercise on Serum TFiaCylglyceF01 COncentration in Rats
山 本 章 ・ 谷 健 二
Akira YAMAMOTO and Ketti TANI
(平成元年10月 11日受理
)
Abstract
The purpOse of this study was to investigate the effect of voluntary running exercise o■
serun triacylglycerol(TG)concentratio■in male rats. Rats were divided
into two grOups in age of 9 wk in eXperiment l and in age of 6wk in experiment 2. 0■ o grOup Of rats was maintained sendentary and a second group of rats was allowed Voluntary wheel Funning during darkneSS periOd. Both groups of rats were housed
individual17 on a 12hF dark‐
light cycle and llleal―fed twice a dav. TG remoヤ
al ratO wa‐s
measttred on rats at the end of 3wk feeding period in experilllent l and at the end of
5wk feeding period in experinent 2. TG secretion rate was measured on rats in oneweek after the llleasurement of TC re■ oval rate.
Results weire as follows.
1. Voluntary running activity of exercised rats averaged 3km/day in experiment l and
・ 10km/day in experilllent 2.
2。 Weight of adiloふ
e tissue was lighter in exercised rats than in sedentary rats inboth、
experi■enむ s。
・
3。
Serum TG level and TC rellloval rate weFe nOt Significantiv different betweensedentary rats and eXercised rats in both experilllents.
4. Hepatic―
intestinal TC secretion rate Was ■ ot Significantly different between two grOups in eXperiment l, but was significantly lower in exercised rats than in sed―
entary rats in experiment 2.
These FeSults suggest that the voluntary running activitv lllav inhibit the
ac‐ oulllurat io■ of adipose tissue and depress the hepatic‑1■ testinal TG secretion rate
in youn‐ g active rats.
緒
言
血申
Triacylglycerol(TG)濃度は
,肝臓及び小腸から血申への VLDL=TCお よびカイロミクロ
山 本 健 二
ンー
TGの
分泌速度 と末梢体組織の毛細血管壁に局在する機能的 リポタンパ クリパーゼ(LPL)に
よる血中のTG除
去速度のバ ランスによって調節 されている。そ こで,前報23)で
は,ラ
ッ トを 用 いて,一過性の持久性遊泳運動による血中TG濃
度の変化を,Triton VIR‑1339法 15)に
よる肝 臓および小腸か ら血中へのTG分
泌速度 とIntralipid法 6)に
よる血中か ら末梢体組織へのTG除
去 速度か ら検討 した。そ して,血清TG濃
度 とTG除去速度 には運動群 と対照群の間で差が認め られ なか ったが,肝臓および小腸か らのTG分
泌速度 は運動群が対照群に比べ著 しく低いことを報告 した。ヽ一過性の運動ではな く,永続的な運動,即ち トレーニ ングが血中TG濃
度を低下 させ るこ とについて も数多 く報告 されているl)3)13)16)24)。
しか し,運動の タイプ,強度,時間,頻度
,
トレーニ ング期間などについて検討 されているものの,
トレーニ ングの開始時期に焦点 を当てた ものは見あた らない。そこで,本研究では,週令の異なるラッ トに トレーニ ングとし て 自発ランニ ングを許 し,自
発ランニ ングが血清TG濃
度に及ぼす効果を,前報同様,肝臓及び 小腸か らのTc分泌速度 とIntralipid法
によるTG除去速度か ら検討 した。その結果,自
発ラ ンニ ングにより血清TG濃
度やTG除
去速度に差が見 られな くとも,肝臓及び小腸か ら血中へのTG分
泌 速度 は抑え られ るが,そ
れは,ラ
ンニ ング開始時期やランニ ング量に影響 されることが示唆さ れた。1.実験動物 と飼育方法
実験
1
SD系
雄 ラッ トを用 い,8:30‑20130時
を明期,20:30‑3:30時
を暗期 とす る12時
間の明暗サイ クル下の飼育室で, 8週
令より1週
間 自由給餌で予備飼育 した。9週
令より体重の平均値が 等 しくなるように運動群 (n=6)と対照群 (n=6)に分け,8:30‑9:30時
と19:30‑20:30
時の 1日2回
の間欠給餌で個別に飼育 した。運動群には20:30‐
8:30時
の間,自
発ランニ ングを許 した。 自発 ラン■ ングは,飼育ケージ に幅10cm,周
囲H6cmの
回転かごを取 り付け,飼
育ケージと回転か ごとの間の仕切 り板を外す ことによって実施 させた。ランニ ング量 は回転か ごに取 り付けたカウンターの回転数か ら求 めた。対照群 は仕切 り板を外 さず,回転か ごでの 自発ランニ ングを許 さなか った。飼料 は粉末飼料
CE‑7(日
本 クレアK.K。 )を
用 い,飲水は自由に摂取 させた。実験
2
SD系
雄 ラッ トを用い,8:30‑20130時
を明期,20:30‑8:30時
を暗期 とする12時
間の明暗サイ クル下の飼育室で, 5週
令より1週
間,8:30‑9:30時
と19:30‑20:30時
の 1日2回
の間欠給餌 で個別に予備飼育 した。6週
令より体重の平均値が等 しくなるように運動群 (n=6)と対 照群 (n=6)に分けた。その他の条件は実験 1と 同様に した。摂食量 は毎給餌後
,
自発ランニ ング量 は毎 日,体重 は隔日に測定 した。2.TC除
去速度の測定運動群 と対照群に分けてか ら,実験
1で
は3週
間,実験2で
は5週
間飼育後 にTG除
去速度 をIntralipid法 6)で
明期(休
息期)後半の19‑20:30時
の間に測定 した。体重kg当
り2.5期
の10%Intralipid(実
験1で
は大豆油10g,卵黄 レシチ ン1.2g,グ
リセ ロール2.5gの
比で0.15 MNaClに
溶か した溶液,実験2で
は大塚製薬K.K.製
の溶液)を
尾静脈より投与 し,実験1で
は投与5分
後 と10分
後 に,実験2で
は投与10分
後 と30分
後 に採血 し,600rpmで 20分
間遠心 して血清を分離 し ,TG濃 度を分析 した。
TG除
去速度は
,以下の式より求めた。
実験
1‑TG除去速度 (mg/hr/rat)=(TG 5‑TG10)/(5/60X100)X PVE 実験
2‑TG除去速度 (mg/hr/rat)=(TG10‑TG30)/(20/60× 100)XPVE
TG 5は Intralipid投 与 5分 後 ,TG10は 投与 10分 後 ,TG30は 投与 30分 後の TG濃 度 (mg/100") を示す。
PVEは 血漿量を示 し ,Bagdadeら 3)の 式 {PVE(溜
)=0.0276×体重
(g)+3i380}より 求めた。
3.TG分 泌速度の測定
TG除
去速度を測定 して 1週 間後に ,TG分 泌速度をTriton WR‑1339法 15)で 明期後半の
18‑20:30時 の間に測定 した。尾静脈より採血後
,直ちに体重 kg当 り 2.0期 の 30%Triton WR―
1339(W/VO。
15MNaCl)を 尾静脈より投与 し
,投与後 120分 に採血 し
,血清を分離 し ,TG濃 度 を分析 した。
TG分
泌速度は次の式より求めた。
TG分
泌速度 (mg/hr/rat)=(TG120=TGO)/(2× 100)XPVE
TGOは Triton投 与直前,TG120は
Triton投与 1"分 後の TG濃 度 (mg/100潔 )を 示 し ,PVEは 血 漿量を示す。
TG濃 度の分析は Flether法 1° )に よった。
TG分
泌速度測定後
,断頭屠殺 し
,心臓
,肝臓
,腎臓 ,ひ らめ筋
,腎周囲脂肪組織 ,副 睾丸 脂肪組織を摘出し
,重量を測定 した。
成績の統計処理は Studentの 卜 testに より
,有意性は危険率
5%水準で判定 した。
結 果 及 び 考 察
1.体
重増加邑 摂食邑 自発ランニング量および組織重量 (Table l, 2)
飼育期間中の体重増加量は
,実験 1で は対照群と運動群の間で有意差が認められなかった が
,実験 2で は対照群に比べて運動群が有意に低値を示 した。また
,飼育期間中の総摂食量 は
,いずれの実験でも
,対照群と運動群の間で有意差が認められなかった。実験 2で 両群間 の総摂食量に差がなかったにもかかわらず運動群の体重増加量が対照群に比べて少なかった
Table l.Body Weight,food intake and voltllntary rtlnning activity
ExperimentⅡ
91.5±
3.2269.7± 11.4a
178。
2± 10.Oa
477.8
± 13.3
479.5± 16.4
962.3±
20.2 9680」 ]756
4 4
︲0
︲9 20 38 十 一 十 一
+ 一
+ 一 十 一
+ 一 9 32 23 48 45 98
7 . 7 2 .
.
& 6 8 .
. 十 一 十 一 + 一 十 一 + 一 + 一
鋤狙 7 0︒
別 32瓢3.
6
︲4 9
・0
・8 23
+ 一 十 一 十 一 一 十 十 一 十 一
24跳5︒ 7 8. 馳 307. 558.
3ody weight
lnitial
Fiml Cain
Food
・ intake(g) 8:30 ‑ 9:30 hr 19:30 ‑ 20:30 hr Total
±
792 Values are neans t or 6 rats.
a Significantry different fron Sedentary (p < 0.01).
30 山 本 健 二
理 由は,運動群が自発ランニ ングによってより多 くエネルギ
=を
消費 したためであろう。これまでに
,自
発ランニ ング運動群 は対照群に比べて飼育期間中の総摂食量が多 く,体重 増加量 は少ないと報告 されている2):6):9)。
本研究で,両群間の総摂食量 に差が認め られ なか った理由の一つは
,
これまでの報告ではラッ トを自由給餌で,
しか も自発ランニ ングを24時
間許す条件で飼育 したのに対 し,本研究ではラッ トを1日 2回
の間欠給餌で暗期だけ自 発 ランニ ングを許す条件で飼育 したか らではないかと考え られる。運動群の飼育期間中の自発ランニ ング量 は
, 1日
平均走距離に して,実験1で
は約3 km,
実験
2で
は約10kmで
あり,自
発ラ ンニ ング量 と体重当 りの摂食量 との間には,い
ずれの実験 で も,有意な正相関が認め られた。自発ランニ ング量 は
,SD系
雄 ラ ッ トで は,暗期 に 1日 の90%以
上を占め2):9),飼
育後4
‑5週で ピークにな り,7‑8週と維持 した後次第に低下 し
14),ピ ̲ク
でのランニ ング量 は およそ8b/日
である14)19),と
報告 されている。 これまでの報告 と比べ,実験
1の
ランニ ング量が少なか った理由は明 らかではないが,ラ
ンニ ングの開始週令が9週
令 とやや高かっ た ことが理由の一つ と考え られ る。組織重量 についてみると
,い
ずれの実験で も,腎周囲と副睾丸の脂肪組織の重量が,対照 群に比べて運動群で有意に低値を示 し,脂肪組織重量 と飼育期間中の自発ランニ ング量 との 間には有意な負の相関が認め られた。Table 2. Weight of tisuue
Liver
Adrenal s
So I eus
musc I es
Peri rena I
fat pads
Epididymal
0.43 」 = 0.03 13.23 」 二 0。 79
4。
15± 0.12
0.12± 0.01 0.04 」 E O.00
0.42 ± 0.03 13.00 Jヒ 1.36 4.15± 0.14
0.14± 0.01 0.04
」二 0.001.81± 0.32a
O.56± 0.09=
(%) 0。
33
11,47 3.48 1.12 0.34 0.09 0.03 1.54 0.47
± 0.01 0.40 」
= 0.02b 10.35± 0.52
3.84 J1 0.08 0.05 0.01b O.01a
O.‐ 00C O.04C O.02C g
%
% g g
% g %
十 一 十 一
37 44
+ 一 + 一
十 一 + 一
十 一 + 一
+ 一 + 一
十 一 十 一 80
15 09 01 01
∞ 13 04 0 0 .
.
0 0 .
.
0 0 ︒
.
0 0 .
.
+ 一 + 一 十 一 ■ 一
+ 一 + 一
+ 一 + 一
(g)
2.56± 0.20 1.79±
0。13b 1.54± 0.11 0.85 ± 0.08C
fa 十 o.o6 十 n nlb + 0̲03 + 0.03b
ues are means +SB or 6 rats.
from Sedentary(apく
0.05,bpく 0.01,Cpく0.001).
C Significantry different
Bagbyら 2)は , 7週
間の 自発ランニ ングを許 した運動群は対照群に比べて最終体重が低値 を示 したが,そ
の理由には運動群の副睾丸脂肪組織重量が少ないことがおそ らく関係 してい ると報告 している。実験1の
結果か ら,体重 に有意な差が認め られな くとも,運動群は対照 群 に比べて脂肪組織重量が低値を示す ことが明 らかにされ,興味深い。2.血中
TG濃
度,TG除
去速度,TG分
泌速度(Table 3, 4)
運動 トレーニ ングがラッ トの血清
TG濃
度を低下 させ ることが数多 くの研究者によって報告されている
1)8)13)16)24)。
しか し,本研究では,い
ずれの実験で も,対照群 と運動群の 間で有意な差が認め られなか った。トレーニ ングが血清
TG濃
度を低下 させたとい うApplegateら
1),Deshalesら8),Tanら 24)
の報告では運動 として トレッドミル走を行わせてお り
,Mondonら
13),ReavenとReaven16)の
報告では運動 として回転か ごでの 自発 ランニ ングを行わせているが,飼育期間が10週
間以上と長い。また
,Simo丘 eniと Eato■ 22)は 3週
間の自発ランニ ングによ り,月
巴満ラ ッ トでは対 照群に比べ運動群で低い血中TG濃
度を示 したが,や
せラッ トでは両群間で差が認め られなかったと報告 している。従 って,本研究で は運動の負荷が弱 く
,
トレーニ ング期間が短か った ために,対照群 と運動群の間で血清TG濃
度に差が認め られなか ったので はないか と考え られ る。また,血清
TG濃
度 は末梢体組織でのTG除
去速度 と肝臓および小腸か らのTG分
泌速度 とのバ ラ ンスによって調節 されていることか ら,運動 トレーニ ングにより血清TG濃
度が低下するメ ヵニズムは,血中か ら末梢体組織へのTG除
去速度が増加 したか,あ
るいは肝臓および小腸か ら血申へのTG分泌速度が低下 したためであろうと考え られる。そこで,体組織全体の
TG除
去速度を反映す ると考え られるIntralipid法 6)で ,TG除
去速度 を測定 した。 しか し,実験1,2で
いずれ も対照群 と運動群の間で有意差が認め られなかった。Tab le 3. Ef f ect of vo I r.rnta ry runn ing act iv i ty on TG relmva I rate
Experiment I
0roup (n)
Serum TG level Cmg/100潔 )
TG05 T010
TG renoval rate
(w/hr/rat)
Sedentary( 5 ) Exercised( 3 )
202.6
±
29.6193.4 」 E ll.7
151.5±
164.7±
56.2 ± 14,9 45.8 ± 12.4
Exper irent II
Group (n)
Serum TO level TG10
(略/100″ )
TG30
TG removal rate
(w/hr/rat)
Sedentary( 6 ) Exercised( 6 )
431.4
」 二
22.5599。
4」 二 90.6
303:8 ±
423.2±
45.1± 10。 1
87.6 J二 24,1
■
0
.
Values are means ±
SE.
Sadyら
20),cohenら7)は
,持久性 トレーニ ングをつんだ人の
TG除去速度は対照群より高値 を示 したと報告 している。 しか し ,Simone H iと Eaton22)は ,肥 満ラットでは運動群の TG除 去 速度が対照群より速かったものの
,やせラットでは運動による TG除 去速度の改善は見 られな かったと報告 し,Mondonら i3)は トレーニングしたラツトの VLDL― TG除 去速度の増加は運動中 だけに見られ
,安静中には見 られないと報告 している。種の違いによっても得 られる結果が 異なる可能性があるが
,本研究結果は肥満ラットではなくやせラットを用い ,ま た運動時で
はな く空腹期の安静時に測定 したために両群間で差が認められなかった可能性が高い。
各組織での血中 TCの 除去に関 しては ,毛 細血管壁に局在する LPLの 活性が骨格筋や脂肪組織
で検討されている。そして
,骨格筋の LPL活 性は運動群が対照群に比べて高い 2)4)と 報告さ
れている。 しかし ,脂 肪組織の LPL活 性は運動群が対照群に比べて低い 8)21),変 わらない 24),
山 本 健 二
高い9),と一定の見解が得 られていない。また,空腹時には骨格筋や心筋の
LPL活
性が高まり,脂肪組織の
LPL活
性は低下す るが,摂食後には逆に骨格筋や心筋のLPL活
性 は低下 し,脂肪組 織のLPL活
性は高 まるH):2)こ
とが明 らかにされている。また,Terjungら 25)26)は
血中TG の取 り込みは,運動中は筋肉で高 く,安静時には脂肪組織で高いと報告 している。 このよう に組織により食餌や運動に対するLPL活
性の応答に違 いがあることか ら,血
中TGの
除去に関 し ては,体組織全体のTG除
去速度か ら考えるのが妥当であろうが,そ
の解釈 は慎重にす る必要 があろう。最後 に,肝臓および小腸か ら血中への
TG分
泌速度をTritOn法 :5)で
測定 した。その結果,実
験1で
は両群間で有意な差が認め られなか ったが,実験2で
は対照群に比べて運動群が有意 に低値を示 した。Triton WR‑1339は 血申
TCの
取 り込みに重要な役割を果た している各組織の機能的LPL活
性 を選択的に抑制 し5),投
与3時
間後 まで血中TG濃
度を直線的に増加 させる:5)ことが明 らかに されている。そ して これまでに,TG分
泌速度 は体重や血中インス リン濃度 と有意な正相関を 示 し:3),普
通食に庶糖を加えた高炭水化物食を給餌す ると高まる!7)23)27)こ
とが知 られ ている。そ して,自
発ランニ ングは,普通食に薦糖を加えておこった高TG血
症をTG分
泌速度 の増加を抑えることで抑制す る23)27)だ
けでな く,肥
満ラ ッ トや正常ラ ッ トの
TG分
泌速度を 低下 させ る22)こ とが報告 されている。本研究では食後約
10時
間の空腹時にTG分泌速度の測定を行 ったので,主
に肝臓か らのVLDL―
TG分
泌速度を反映 している25)と考え られ るが,実験2か
ら,血
清TC濃
度 に差が見 られな くと もTG分
泌速度 は運動群が対照群より低値を示す ことが明 らかにされた。また,実験1で
両群 間に差が認め られなか ったのは,運動群の自発ランニ ング量が1日
平均走距離で約3mと
少 なか ったためではないかと考え られる。Table 4. Effect of voluntary running activity On TC secretion rate Serum TG level Cmg/10励
) ■secretion rate
Sedentary Exercised Experinent II
Sedentary
207.9
± 10。 9 198.0 」 二
8.0 277.9±
19.01158.5 」 ] 31.1 1134.6± 24.8 1567.8 」 ] 50。 9
十 一 + 一
+ 一 + 一 58
. 58
. 80
︒
Values are means ±
SE for 6 rats。
a Significantly different from Sedentary (p
く0.01).
以上のことから ,自 発ランニングは加令に伴 う脂肪組織重量の増加を抑えることが明らか にされた。また
,血中 TG濃 度や TG除 去速度に差が見られな くとも
,肝臓および小腸からの TG 分泌速度は抑えられるが ,そ れはランニング ー
開始時期やランニング量に影響されることが示 唆された。
約
本研究は自発ランニングが血清 TG濃 度に及ぼす影響を ,SD系 雄ラットを用いて検討 したもの である。
実験 1で は 9週 令より
,実験 2で は 6週 令より
,運動群と対照群に分け , 1日 2回 の間欠給
餌で個別に飼育 し,運動群には暗期 に自発 ラ ンニ ングを許 した。また,飼育室は
12時
間の明暗 サイクルとした。運動群 と対照群 に分けてか ら,実験1で
は3週
間飼育後,実験2で
は5週
間 飼育後 にTG除
去速度をIntralipid法
で測定 した。さらに,TG除
去速度測定の1週
間後に,TG分
泌速度をTrito■ WR‑1339法で測定 した。結果は以下の通 りである。
1.飼育期間中の 自発ランニ ング量 は,実験
1で
は約3 km/日,実験2で
は約10km/日
であった。2.対照群に比べて運動群 は脂肪組織の重量が少なか った。
3.空腹期の血清
TG濃
度 は対照群 と運動群 との間で有意差が認め られなか った。4.末梢体組織による
TG除
去速度 は対照群 と運動群 との間で有意差が認められなか った。5.肝臓および小腸か ら
1の TG分
泌速度 は,実験1で
は対照群 と運動群 との間で有意差が認め ら れなか ったが,実験2で
は対照群に比べ運動群が有意に低値を示 した。以上の結果か ら
,自
発ランニ ングは脂肪組織重量の増加を抑えることが明 らかにされた。ま た,血中TG濃
度やTG除
去速度 に差が見 られな くとも,肝臓および小腸か らのTG分
泌速度 は抑えられ るが
,そ
れはランニ ング開始時期やランニ ング量 に影響 されることが示唆 された。本稿を終わるに当たり
,
ご協力をいただいた本学部卒業生の林利幸君,芹沢 さゆ り(現
在, 林 さゆり)さ
んに謹んでお礼申 し上げます。引 用 文 献
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山本 章