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章:進化する富士火山,第5章:雲仙科学掘削

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Academic year: 2021

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「本の紹介」

産総研シリーズ『火山一噴火に挑む一』2004年

独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター編:丸善株式会社(1,500円十税)

わが国における先端技術研究を担う産業技術

総合研究所(以下,産総研と呼ぶ)は,その成 果を一般社会に普及することを目的に「産総研

シリーズ」という書籍を刊行している.本書は

同シリーズの第6巻であり,産総研の中で知的

基盤研究の分野に属する地質調査総合センター

によって執筆・編集されている.いうまでもな く,同センターは地質研究を長年リードし,多 数の地質図幅を刊行してきた工業技術院地質調

査所が独立行政法人化して発足した組織である そういった意味で,本書はわが国を代表する火 山学・岩石学のエキスパートが執筆したものに 他ならない.火山研究は決して華々しい研究分 野とはいえないが,災害軽減という観点からは,

わが国では不可欠なものである.日頃から地道 な研究活動を行っている著者の方々の情熱が本 書には集約されている.

本書の章構成は,第1章:活動的火山の研究 とは,第2章:有珠火山−規則正しい噴火活動

とそのメカニズム,第3章:三宅島火山,第4

章:進化する富士火山,第5章:雲仙科学掘削

一活火山の解剖,となっている.

第1章では,日本はなぜ火山国か?をテーマに 地球上の火山の分布やマグマが噴火するメカニ ズムなどがわかりやすく書かれている.また,

産総研における火山研究と題して,日本の噴火 予知に関する研究体制の中で産総研が担う役割 や研究の特徴が紹介されている.

第2章の有珠火山では,2000年噴火の推移や

山体変動・地下水への影響を中心に,実験岩石

学から明らかになった歴史時代のマグマ供給系 について述べられている.第3章の三宅島火山

でも,陥没カルデラ形成に至った2000年噴火の

特徴やマグマ活動モデル,大規模な火山ガス噴 出現象と過去の噴火活動史についても解説され

ている.第4章の富士火山については,テクト

ニクス的な背景に基づく割れ目噴火や岩脈の発 1)森林総合研究所九州支所

宮 縁 育 夫

達史を,わかりやすく述べている.第5章では,

現在も進行中の一大プロジェクトである雲仙科 学掘削の意義やこれまでの成果によって明らか になった雲仙火山の成長史が記載されている.

本書の特徴は,日本には108の活火山がある 中で,時代的に最もホットな話題を有する4つ の火山に絞って,噴火の特徴・メカニズム・活 動史を詳しく解説している点にある.とくに,

第2章の有珠火山と第3章の三宅島火山では,

近年の火山災害について,産総研の研究者がど のように対応したかが克明に述べてられており,

臨場感あふれる内容となっている.さらに,マ グマ供給系や火山の応力史といった専門色の強 く難しい問題を,一般の人々にも理解できるよ うに配慮されていることも大きな特徴である.

私が最も興味深かったのは,有珠火山の1663 年噴火を起こしたマグマをスタートにして,そ

の後マグマ混合によって少しずつ高温でSiO,

に乏しいマグマに進化してきているという事実 である.国内外を問わず,火山学や岩石学に関 する専門書や教科書は数多く出版されてきたが,

本書のようにごく最近の噴火事例を取り上げ,

一般向けにわかりやすく解説した本は少ないで あろう.難しい先端研究を専門以外の人々にも 内容を理解してもらいたいという筆者の方々の 姿勢には,同じ研究者として頭が下がる思いで ある.

世界有数の火山国に住む私たちにとって,火

山と共存していくことが大きな課題といえる.

火山や地質の専門家はもちろんのこと,これか ら地球科学を学ぼうとする学生の方々,教壇に 立っておられる先生方にも,火山を理解するた

めの一書として,本書をぜひお薦めしたい.

−14−

発 行 所

熊 本 地 学 会 誌 N o . 1 3 6 熊 本 市 黒 髪 2 丁 目 熊 本 大 学 教 育 学 部 地 学 研 究 室 内 熊 本 地 学 会 TEL096‑344‑2111振替01960‑2‑5359

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