熊本大学における「フレンドシップ事業」の実践(第 3 報)
大 迫 靖 雄 ・ 芥 川 允 元 吉 田 道 雄 日 ・ 中 山 玄 ਃ
The Implementation of Friendship Project" at Kumamoto University Yasuo OHSAKO
,
Masamoto AKUTAGAWA,
Michio YOSHIDA,
Genzo NAKAYAMA1
.フレンドシップ事業の企画 フレンドシップ事業は,教員の養成段階において,
学生が種々の体験活動等を通して,子どもたちとふ れあい,子どもの気持ちゃ行動を理解し,実践的指 導力の基礎を身につけることができるような機会を 設けることをねらいとして,平成 9年度から新たに スタートした単年度予算によるパイロット事業であ る.
熊本大学では,平成
9年度・
10年度に引き続き
11年度においても,教育学部附属教育実践研究指導セ
ンターが事業計画書を提出したところ,文部省より 予算が配分され,実施の方向で企画が進められるこ とになった.プログラムを企画・運営するに当たっ ては,平成
9年度・
10年度の実績とその評価をもと に検討した結果,本年度は,以下の点について,特 に留意した.
ア.学生向けオリエンテーション
・フレンドシップ事業の趣旨を説明する.
‑学校・家庭・地域の連携社会教育施設の活 用,総合的な学習の時間などの今日的教育課 題に向けたフレンドシップ事業の役割・位置 づけを明確にする.
‑主体的参加を促すために,学生による自主企、
画の機会を増やす.それぞれの活動の担当者 を決めて,学びの視点と方法を明確にする.
イ.プログラムの内容およびスケジュール
・学校教育と社会教育の
2本柱をペースに,学 社連携を念頭においた活動を展開する.
‑宿泊研修を兼ねた一般家庭でのホームステイ を実現する.
‑教育学部長
教育実践研究指導センター長 '教育実践研究指導センター
‑学生と子どもとの継続的な交流を奨励する.
昨年度のフレンドシップの活動後,上北小学 校児童と学生の問で,個人ベースで文通が続 いている.本年度は附属小学校児童とかかわ るプログラムの中に 意図的に継続的な交流 が可能となるような機会を組み込む.
・まとめのシンポジウムでは,学生主体の企画・
運営を実現する.また,子どもや地域の人々 の声を反映させ,大学と連携・協力機関の両 者にとっての効果について話し合う.
‑各々の活動が,過密スケジュールにならない ように分散させ,ゆとりを確保する.
ウ.教員養成課程プログラムの関連性
・フレンドシップ事業と教育実習との共通点・
差異点を明確にする.
・センターが実施する 4年次教育実習事後指導 (グループワーク,総合的学習のプランニン グ,社会教育)との内容の関連性を明確にす る.
・新免許法に対応した「総合演習」にかかわる 授業科目として,将来的には位置づける.
授業は,教育学部の
2年次
‑4年次学生を対象と した「教育実践研究指導法演習
Jの名称のもとで,
教員免許状取得のための単位にならない自由選択科 目として開設したー主な内容は,資料
1のシラパス に示したように,①オリエンテーション,②総合的 な学習(情報)を通した附属小学校児童とのふれあ い,③学校・家庭・地域の連携事業(上北祭り)へ の参加,④総合的な学習(環境)を通した附属中学 校生徒とのふれあい.⑤社会教育施設での活動を通 した地域交流,⑤「生涯学習の目的と希望
Jについ ての特別講演から,授業を構成した.最後に,信州 大学学生とのジョイント・パネル討論では, r これ
からのフレンドシップの在り方
Jについて学生どう
しが意見交換を行い,本事業のまとめに換えた.
熊本大学における「フレンドシップ事業
J
の実践(第3報)資料
1
平成
1 1
年度フレンドシップ事業・授業シラパス授業科目: 自由選択科目「教育実践研究指導法演習J
開講年次: 教育学部2・3・4年 次 定 員30名 学 期 : 後 期
曜 日 : 土 ・ 日 曜 日 単 位 2単位 授業態度: 体験的学習
授業の概要:種々の体験活動等を通して.子どもたちと触れ合い,子どもの気持ちゃ行動を理解 し,教員としての実銭的指導力の基礎を身につけることができるような機会を提供 する.
(1) オリエンテーション
日時:10月30日(土) 9時30分‑‑10時30分 場所:附属教育実践研究指導センター 担当:芥川允元・中山玄三(実践センター)
(2) 総合的な学習(情報)を通した附属小学校児童とのふれあい 日時:①10月30日(土) 10時40分‑‑12時40分
②
12月4日(土) 9時‑‑13時③
12月20日(月) 10時40分‑‑12時30分 場所:附属小学校担当:前田康裕・堀江和代(附属小)中山玄三(実践センター) (3) 学校・家庭・地域の連携行事(上北祭り)への参加
日時:11月6日(土)‑‑7日(日) 場所:天草郡大矢野町立上北小学校ほか
担当:佐々木洋助(上北小)中山玄三(実践センター) (4) 総合的な学習(環境)を通した附属中学校生徒とのふれあい
日時:11月20日(土) 12時30分‑‑19時30分 場所:熊本県環境センター(水俣市)
担当:西津悦子・浦田安之(附属中)中山玄三(実践センター) (5) 社会教育施設での活動を通した地域交流
日時:1月15日(土) 14時‑16時 場所:五福公民館
担当:岩下虞(五福公民館)吉田道雄(実践センター) (6) フレンドシップ事業シンポジウム
特別講演熊本県社会教育課課長岩佐敬昭 日時:3月6日(月) 10時30分‑‑16時30分 場所:熊本大学くすの木会館
テキスト:
使用せず.
評価方法: 出席とレポートをもとに評価する.
備
考 :
連絡事項については,随時必要に応じて掲示もしくは電話連絡する.ll.
フレンドシップ事業の実践
1.学校・家庭・地域の連携行事「上北祭り
jへの参加
学生による実践報告(
4年 次 生 大 塚 美 和 ) 私たちは,昨年に
11月,天草郡大矢野町の上北小 学校で行われた上北まつりに参加しました.上北祭 りは,
3年前からおこなわれており.地域の人と学 校による祭りで,私は,一昨年から参加しています.
一昨年,私が割り当てられたクラスの児童とその 時から文通をしています.初めは,この写真に写っ ている子供たちから手紙が来てその後,返事を書い たら,この中の一人河上ありさちゃんが手紙をくれ て今にいたっています.今日は,ありさちゃんのお 父さんにもきていただいています.ありさちゃんと は,手紙を今まで
10通ぐらい交換しており,友達と のことや今興味があることなどを書いて手作りの小 物やアクセサリーを送ってくれました.どれも,か わいいものばかりで,とてもうれしかたので,部屋 に飾っています.
一年間,文通していて,ありきちゃんからも何か 行事があるごとに「来てください
Jと誘われていま
したし,その度に行きたいけど,上北は,遠く,個 人的に行ってもいいものかわからず,児童の家でホー ムステイすることもあり,前回以上に今回の上北祭 りは,数ヶ月前から楽しみでした.私がお世話になっ た家庭は,文通している子どもの家だ、ったので,手 紙を通して家族の温かさは知っていましたが,実際 に会ってみると想像以上に家族がとても仲良かった のが印象に残っています.また 手紙に私が書いて いた好きなものなどをお父さんとお母さんが知って いらして初めて会ったような気がしませんでしたし,
何よりも,私のことを知ってくれていることがうれ しく思いました.
ホームステイ先では,山や海に行き,山では,芋 掘りの経験ができました.芋掘りは,保育園の遠足 以来でしたので,掘り方がわからず,子どもやお父 さんに教えていただきました.芋掘りだけでなく,
魚の名前など私たち学生よりも上北の子どもたちの ほうが知っていることがたくさんあるように思えま
した.
最近は.学校で体験学習が重要視されていますが,
教師のほうが様々な体験をしていないと子ども逮を 指導することはできないと思いますので教師になる 前にいろいろな体験が必要だと思いました.
海から山へいくときは, トラックの荷台にのり,
上北の風を感じながら今まで生きてきた中であじわっ たことのない爽快な気分でした.こんなことは,上 北にこなければ体験できなかったと思います.
砂浜は上北の人にとって穴場のとこだったのです が,上北以外の人達がゴミを片付けて帰つてなかっ たために少し汚れていました.よその人が散らかし たのに上北の人が掃除しないといけないなんて納得 できませんでした.しかし,これは,他人事のよう には思えませんでした.私達も,上北ではないにし ろ,いろいろな観光地や大学の周辺に住んでいる人 達に迷惑をかけていることに気づきました. 自分が 楽しいだけではだめですで,そのときは,みえない まわりの人のことをかんがえなければいけないとい うことを学んだうような気がします.
夕食後,お父さんとお母さんと一緒にお酒を飲み ながら学校のことだけでなく,普段では聞けないよ うな話を聞くことができました.初めは,学校の話 が中心で,教師になってはわかりづらいであろう保 護者の気持ちがたてまえなどなく聞くことができ,
話が深まるにつれて,学校に限らず,世間の話で,
それらのはなしも人生の勉強になり,ホームステイ でなければ貴重なはなしは聞けなかったとおもいま
す.二日目の上北祭りは当日は,朝から近くの公民館 に集まって,ねじりはちまきにはっぴをきておみこ しのパレードがありました.前日は,ありさちゃん 一人と交流をもっていましたので他のこどもともか かわりたいと思うとともに,私がありさちゃんばか りなかよくしているとホームステイにきていないと この子どもたちとありきちゃんの関係がこわれてし まうのではないかと考え,パレードでは,獅子舞を していた一年生といました.一年生にとっては,歩 くスピードがはやかったらしく,くつが何度も脱げ ている子がいて,初めは,自分でひもを結ぶように していましたが,集団から離れそうになったので,
私が紐を結びました.どこまで手を貸してよくてい いのかわからず,悩みました.
子どもがいる人は,もちろんのことお年寄りまで,
みんな外にでていつパレードが通るか楽しみにされ ていて,本当に地域一体型のおまつりであると改め て実感しました.
学校につく頃には
1年生だけでなく,他の学年
とも親しくなりました.担当のクラスも去年担当だ っ
たクラスを持ち上げることができたので子ども達の
顔がわかり,子どもも,私のことを覚えていてくれ
たので去年の話をしたりしてわりと早く打ち解ける
熊本大学における「フレンドシップ事業」の実践(第
3報)ことができました.
上方祭りは,子ども遼が発表するだけでなく,地 域の方々もフラダンスなどを発表し,私達もハート
フル期間中だったので手話で歌をうたったり,ゲー ムをしたり,餅つきを体験しました.お昼は,保護 者によるパザーがあり,そこで好きな物を買って子 ども達と食べました.その後,お祭りの中で,校長 先生とお酒を飲む機会があり,お話を聞くことがで きました.その中でも, r 学校に協力してもらおう と,思ったら,日ごろから地域の方々の集まりに顔を だしたほうがよい
Jとおしゃったことが心に残りま
した.
「聞かれた学校 J と最近よく言われますが,学校 と地域がお互いに認め合ってこそ学校が聞かれ,地 域の方々も協力してくれると思うので,教師になっ たらできるだけ,地域の集まりに参加して様々な方 の話に耳を傾けたいと思います.
上北祭りでしか,上北の人と交流がなく,天草と 熊本という距離で継続したつながりをもつには,文 通かまたは, Eメールなどの手段しかないと思いま す.しかし
Eメールは,設備上の問題があり,
手軽にできるのは,やはり,文通だと思います.ま た,私が文通できたのは 上北小学校の先生がきっ かけをつくってくださったからだ、と,思います.
上北祭りに参加でき,ホームステイができたのは,
校長先生をはじめ,地域のかたの協力があったから だと,改めて思うとともに,大変感謝しています.
私は大学を卒業してしまいますが,これからも,
文通を続けてありさちゃんの相談にのるだけでなく,
ありさちゃんを通じて,様々なことを学んでいきた いと思います.
2.
社会教育施設での活動を通した地域交流 学生による実践報告(
2年 次 生 藤 田 勝 一 )
私たちは
1月
15日に尚歯会という地域の高齢者の 方たちと五福小学校の
1・2年生の子どもたちと一 緒に,
2時間という限られた時間にお手玉,けん玉,
あやとり,折り紙,おはじきの
5つの昔遊びをしよ うという活動を行ないました.
この活動を行なった五福公民館は小学校と地域開 発センターという市民センターの様なものが一つの 敷地内にあるところで,私はこのように公民館と小 学校が合体しているところは金八先生などのテレビ でしか見たことがなかったのでこんなに身近にあっ たことにすごく驚きました.また,ここは小学校が 公民館と連携しているので,子どもが地域活動に参
加しやすいいい環境だと思います.
この活動を行なったとき私は主体的に参加すると いう意味を含め,司会者を勤めました.
1・2年生 の子どもたちは普通に話しただけではなかなかこち らの話に注目してくれないので「どうすれば子ども の気をこちらに向けることができるのか
Jというこ とを考えさせられました.そう考えていたとき公民 館の先生がダンスを使ってお互いを自己紹介をして いたり,子どもが興味を持つことを言って話を進め ていっていたことを思いだしたので,昔遊ぴの班分 けをするときに「早いもの順にここに並んで,並ん だ順にくじを引いていいよ.
Jというように言って みたり,子どもにマイクを向け,自分の班を発表し てもらうなどの工夫をしてみました.
またその他にこの活動をするにあたって,私は何 度も前もって公民館の岩下先生と打ち合わせをした のですが,まったく思い通りに事は運ぱず,会場設 営をやり直さなければならなくなったり,予定して いた遊びをする時聞がなくなったりと散々でした.
しかし,このことから企画の流れを前もって考えて いても何が起こるか分からないので,その場その場 に応じて臨機応変に対応する力を持っていなければ ならないと痛感しました.
感じたことはほかにもあり,それは私たちの持っ ていたイメージについてです.私たちのイメージで は尚歯会の人たちは「昔遊びが得意なんだ」とか
「みんなできるだろう
Jとか「昔遊びの先生
Jと言っ たものでした.しかし実際に一緒に昔遊ぴをして みると,できない高齢者の方がいたり,反対に子ど もが遊ぴ、を知っていておじいちゃん,おばあちゃん に教えていたり,子どもがそこにある道具を使って 考えた遊びを教えるなど子どもが先生になっている 場面も結構ありました.このことから教える人,習 う人が決まった一方通行の関係ではなく,お互いに 教えあったり,習いあうという関係のほうがより物 事の理解を深め,この場合で言うと遊ぴを楽しくす るということを学びました.
昔遊びというものは年齢に関わりなく人を夢中に
させ,うまくできたときの喜びゃ達成感を与えてく
れるものです.そういったものでもいくら夢中になっ
て,うまくできたとしても誰もそれを見てくれてい
なかったらやはり淋じいものです.そのために途中
で遊びをやめてしまう子どももいたくらいです.こ
の時私は子どもの行動一つ一つをしっかりと見なけ
ればならない,つまり広い視野を持たなければなら
ないと思いました.それから回りを見回し一人で遊
んでいる子ども,淋しそうな子どもを見つけ積極的 に話しかけたり,私が子どもたちの前で話をすると きは全員の顔を見るように心がけたりしました.す ると子どもは遊ぴを再開したり,自分が作ったもの を見せてくれたりしました.そのようなこどもたち の反応はとてもうれしく,広い視野を持つことの重 要性を学ぶことができました.
最後にこの活動を通して私が得たものをもう一度 言うと,
。主催者側の内容を経験することで,企画運営の難 しさ,臨機応変に対応する力の必要性を実感でき たこと.
。お互いに教えあう,習いあうことがさらに思考を 深めること.
0
子どもは広い視野をもって一人一人きちんと目を 向ける必要があること.
の
3つです.
この五福公民館での活動は私にとってとても意義 のあるものでした.これで終わります.ありがとう ございました.
3.
r 総合的な学習(情報
)Jを通した附属小学校児 童とのふれあい
(1)学生による実践報告(
2年 次 生 青 山 春 香 ) 総合的な学習を通した附属小学校児童とのふれあ いについての実践報告をします.附属小とのふれあ いは.
10/30. 12/ 4. 12/22と
3回ありました.
1
回目の対面からメール交換が始まり
2回目はお にぎりと味噌汁の調理実習に参加し,
3回目の交流 では,子どもたちの班の一員となって,また,情報 の活動に参加しました.
まず,私の方からこの活動のはじまりから
2回目 の調理実習にかけての報告を行います.
まず第
1回目の
10/30には,オリエンテーション 後.
5‑1の子と対面し,メールのやり方などを子 どもたちから教わりました.それから,メール交換 が始まり,何度かやりとりをしたあとに
2回目の
12/4のおにぎりと味噌汁の調理実習へとつながっ ていったわけです.
この調理実習では.
5年
1組の子が総合学習で自 分たちで作ったお米を使って 釜でご飯を炊いて,
おにぎりにしました.おにぎりの具も,梅干しだっ たり,おかかだったり,こんぷだ、ったり,鮭だった りと,班によっていろいろ違っていましたし,おに ぎりの大きさやのりの巻き方も作る子によって様々 で,どれも個性的でした.おこげもおにぎりにしま
した.お味噌汁のほうも,いりこだしとこんぷだし のどちらを使うかなども班によって違っていました.
おにぎりでも,お味噌汁でも,いろんな家の習慣 があるんだなあと,みんなの家庭のなかをかいまみ れたように思いました.
この日は,お父さん・お母さん方もたくさん見に 来られていました.調理室の外から覗いて見ている 方のほうが多かったのですが,中には,自分の息子 のいる班のところまで来て. r おこげももったいな かけん,おにぎりにしなっせ.おいしかっよ.
Jと か. r こゃんよか見布ぱだしに使いょっとね.捨て たらもったいなかけんが,切ってから食べなっせ.
ほーら,こゃん風に切っとよか
.J,というように,
いろいろとアドバイスをしていた元気なお母さんも いらっしゃいました.子どもがいて,私たちがいて,
お母さん方もいて,そういう和気あいあいの雰囲気 のなかで,一緒に作れて本当に楽しかったです.
しかし. r 楽しかった
Jr おいしかった
Jだけでな く,交流を深めることもできたと思います.この活 動の後にメールのやりとりが増えたことや,調理実 習で同じ班だった人への個人あてのメールも届くよ うになったことからも,そのことがわかるかと思い ます.
私は,こういった心をかよいあわせる「あったか さ」を多く伝えていけるようになりたいと思いまし た.お母さん方も一緒になって,ご飯を作ったり,
食べたりできるところは,教育実習では得られない ものだと思います.
今回のことを例に挙げれば,そこが教育実習とフ レンドシップとの 1番の違いだったと思います.で すが,附属小には教育実習で来たことがある人も多 く,場面も同じ,スーツを着るのも同じ,附属小の 先生方にも「大学から来られた先生」という風に同 じように紹介をされました.そうするとだんだん
「フレンドシップと教育実習って, どう違うんだろ う
.Jと疑問をもつようになりました.
私が
1番印象に残っているのは,同じ班の子から 言われた「他の班の先生は手伝ってくれるのに,な んで先生はあんまり手伝ってくれんと
?Jという言 葉です.私はそれを聞いてハッとしました.そう言 われるまで,私は「指導はしないように
J.気をつ けてやろうとしていました.指導とはどこまでのこ とをいうのか,フレンドシップとして参加している 私には何ができるのか,何をしてはいけないのか,
よく分からずにいました.あくまでも子どもが中心
となって作るべきだから,私があれこれと手出しす
熊本大学における「フレンドシップ事業」の実践(第
3報)るのはよくないだろう,私は補助に回って,洗い物 をしたりするほうがいいだろう,と思っていました.
子どもと一緒になって, r こういう切り方もいい んじゃないかな
?Jとか「どんな形のおにぎりにし ょうか
?Jなどといった会話をするなかで,子ども から私が学ぶことや,心を通わせるあたたかさを感 じるといったことがすごく大切なんじゃないだろう かと強く感じました.
だからこの調理実習は私にとって本当に有意義な ものになったと思います.本当にありがとうござい ました.
(2)
学生による実践報告(
4年 次 生 井 手 希 ) 附属小学校児童との Eメールを通じた交流につい て報告します.
1
回目は,子どもたちの班に私たち学生が入り,
メールの送り方や,インターネットの操作を教わり ました.インターネットといっても,子どもたちが どんなことを学んでいて,何が出来るのかも知らな かったので,どのように関わっていけば良いか戸惑 いました.しかし,実際には,私以上に子どもたち の方が,インターネットのこともメールの送り方も 長日っていて,私が何度も聞き返すと, r もう,ちょっ と貸して.
Jと,逆に子どもにせかされるほどでし た.これから,メールのやり取りが始まり,最初は 何人かの子どもや,班の単位でメールが届きました.
f 僕の趣味・特技」といった自分の紹介や, ' r 雪が降っ たね.寒かったね
.Jr 今日,うさぎがりに行ったよ
.Jなど,その日にあったことや,学校での出来事とい うものでした.私たちもメールが届き,その内容を 見るのが楽しみでした.しかし,返事がなかなかこ なかったり,逆に私たちから子どもへの返事が遅れ てしまったりということもありました.初めのうち は,慣れないメールでの交流ということもあってか,
お互いにぎこちない感じもしました.
2
回目の活動での調理実習の後は,子どもたちと 一緒に活動したことをきっかけに, r 家でも,お味 噌汁を作ってみたよ
.Jなど,自分の素直な言葉で 思ったことを,メールとして送ってくれるようにな りました.また,初めは班単位のものが多かったけ れど,子どもたちがそれぞれ自分で書いてくれるよ うになり,一緒に調理実習の活動をした他の班の子 どもとも,メール交換するようになりました.少し ずつ,交、流の輸が広がっていくことを実感し,子ど
もたちが身近になっていきました.
3
回目は,子どもたちが交流している,アメリカ のナンタケット小学校に日本の主食である米につい
て紹介するということで,私も班の一員となってア イデイアを出し合ったり,どんな流れで紹介するか,
どんな画像がいいか考えました.この時の内容をも とに,子どもたちが紹介文を作り,私たちにメール で送ってくれ,そのメールの文章を私たちが英文に する役割をしました.子どもたちが作った文章を英 文にするのに,私もずいぶん苦労して,辞書を引き ながら, r これでいいかなあ.
Jと頭をひねりながら 取り組みました.班の子どもが待っているかと思う と,なんとか分かりやすく伝えたいとがんばれまし た.こうして苦労して送った英訳に子どもたちが素 直に驚き,見直してくれたり,喜んでくれるとほっ とするとともに嬉しく思えました.
初めは,戸惑いながらの活動でしたが,一つの目 標を持って,一緒に活動したことが私たちの距離を 縮めてくれました.子どもたちと実際に接していく 中で,交流の輪が広がり,子どもの中に入っていく ことも出来,何かを共有し共に活動することがどれ だけ大切か分かりました.
附属小学校児との活動が始まってから約
4ヶ月の 問,実際に会って一緒に活動できたのは
3回限りで したが,それをつないでいたのがメールのやり取り でした.言葉として伝えることは良い面がたくさん あります.たわいのない会話でも,文字になるとよ り気持ちが伝わることもあったり,また,文字になっ た言葉を見返すことで,そのときの気持ちを再ぴ味 わうことも出来ます.これは,体験してみて本当に 嬉しいと思ったことです.これからも,このやり取
りをずっと続けていきたいと考えています.
しかし,やはりそれだけでは伝えられないものも あると思います.それがいろんな話をして笑った り,喜んだり,気持ちを分かち合うことで得られる ものではないかと考えます.ぜひ,これからの活動 では実際に子どもたちと一緒になって何かを体験す るという機会をより多く持っていきたいと思います.
子どもたちとの関わりあいの中で,そこから何かを 作りだし学びたいという気持ちを大切にしたいと思 います.そして,そして,その活動の中でちょっと した手助けや援助をするのが,自分に出来ることで はないかと思いました.
4.
r 総合的な学習(環境)Jを通した附属中学生と のふれあい
学生による実践報告
(4年次生和田真由子)
私たちの活動は,そのほとんどが小学生とのふれ
あいでしたが,その中で唯一,中学生と活動を共に
したものがあります.その活動,つまり
.11月
20日 に行われた「総合的な学習を通した附属中学生との ふれあい
Jについての報告をしたいと思います.
この活動は,総合的な学習として「環境」につい て学んでいる附属中学生の生徒が,水俣にある熊本 県環境センターに見学に行くということで,それに 大学生が便乗するという形態で活動がなされました.
今回のこの活動に関してはあくまでも中学校の授業 の一環ということで,残念ながら私たちが何かを作 り上げ,それを中学生とともにするというものでは ありませんでした.しかし学校から水俣までの移動 時聞が
2時間ほどあるということだったので,比較 的自由に使えるパスの中の時間の企画を考えること になりました.
パスの中では, r 他己紹介
J,つまり,自己紹介で
はなく自分以外のもう
1人の誰かに自分の紹介をし てもらう,というゲームから始めました.この活動 には結構生徒たちも乗ってきてくれて,考える時間 を
5分程とっていたんですけれど,それでは足らず,
もっと時聞がほしいと言ってきてくれたり,おもし ろおかしく友達の紹介をしてくれました.ただ,他 己紹介が終わった後に,このカードを使って「他己 紹介あてゲーム
Jという,このカードの人は誰かを 当てるゲームをしたところ,生徒たちも少々疲れて いたみたいで,残念ながらちょっとしつこかったか な,と思いました.
次に生徒に今学校でどのような研究をしているの かを教えてもらいました.学校では班に分かれて研 究をしているということだったので,各班の班長に 自分たちの研究についてを発表してもらいました.
今回のこの活動に関しては,いくつかの間題点や 今後の課題が見つかりました.
1
つ目は. r 環境
Jの授業ということで,私は勝 手に「ごみ問題jとか, r 水俣病
Jに関してとか,
そういうことを学習しているんだろうなと思い込ん でいました.しかし,実際にパスの中で生徒が今ど んなことを調べているのかを聞いてみると,各班に 分かれてキャベツやきゅうり,枝豆,とうもろこし,
モロヘイヤ,パジル,インゲン,ケナフなどを栽培 し,それらを料理して食べる,というような活動を しているようで,想像していたものと全く違ってい たのです.一応,大学生が相談にのれることがあれ ばのってほしいと言うことでしたので,打ち合わせ のときにいただいた資料をもとに. r 水」に関する
本を調べてみたりしていたんだてけれど,少々的外 れだったかなと思いました.結局,パスの中や環境
センターの中での短い時間の中だけでは,中学生が 今いったい何を学んでおり,そしてどういうポジショ
ンで今回の見学があったのかが見えてこないままに おわってしまった,というのが現実でした. もし事 前に生徒の活動を見学させていただくなどしてそれ までの研究の流れを知っていれば.全くの Oからの スタートするよりは収穫があったのではないかと思 わずにはいられません.せっかくならば,最初から 関わっていたかったなというのが今回の活動を終え ての,まず
1つ目の感想です.
2
つ目は,自分たちの立場はいったい何だったの かということです.私たちの活動は,教育実習とい う枠を離れ,子どもたちの本質に向き合うことを目 標としています.しかし今回の活動に関しては,スー ツを着込み,まるで教育実習の延長のようだったな,
というのが私の率直な感想です.ただし,教育実習 とも違い,今回の活動に関して私たちは何の知識も 持ち合わせてはいなかったので,教師的な存在でも なく,かといってお兄さんお姉さん的な存在でもな く,なんだかただの付き人のような錯覚を感じまし
た.3
つ目は,中学生と関わることの難しさです.他 の活動でもそうですが,活動が短絡的に終わってい るというのが私たちの中の l番の問題となっていま す.それでもまだ,小学生の場合には,向こうから
「遊んで遊んで
.Jとやってくるので,その日は楽し く有意義に過ごすことができるように思います. し かし,中学生の場合にはそういう訳にはいきません.
その人の人柄にもよるとは思いますが,その日に会っ てすぐ仲良くなるということの方が難しいように思 います.実際私は中学校に教育実習に行ったのです が,今思えば最初の 1週間は話していてもどこか壁 があったように思います.連続的な活動が必要と言 いますが,中学生の方こそ,ずっと関わり続けなけ れば心を聞いてくれないのではないかと思いました.
今回の活動を通して,正直言って,私には何かを やり遂げたという達成感が他の活動とくらべて少な かったように思います.それとともに私たちがこの 見学についていったことが,何か中学生にとってプ ラスになったのだろうかという疑問も残っています.
私たちがいてもいなくても,閉じように見学がなさ
れ,同じような収穫を得て学校に帰ってきたように
思えてならないのです.このことに関しては,学校
側との日程調整が難しいということもあったと聞い
ています.企画側の難しさも感じることができたこ
とも私にとっての収穫だったと思います.
熊本大学における「フレンドシップ事業 J の実践(第
3報)i l l . フレンドシップ事業の成果とまとめ 1.学生自主企画シンポジウムの開催
平成1
1年度フレンドシップ事業の実践報告,成果 のまとめと課題についての協議を行うために,公開 シンポジウムを,平成1
2年
3月
6日(月)に熊本大 学内くすの木会館にて開催した.なお,本年度の公 開シンポジウムの企画,準備,運営,実施は,ほと んどすべて学生の手によって行なわれた.
公開シンポジウムの午前の部では,熊本県教育庁 社会教育課の岩佐敬昭課長に 「生涯学習の目的と 希望」についての特別講義を行っていただいた.
午後の部では,まず,平成1
1年度フレンドシップ 事業の実践報告を中心に,熊本大学学生
5名と学内 外の協力・連携機関の関係者
6名が,実体験をもと に意見や感想を述べてあった.また,信州大学での、
r y o u 遊サタデー」の実践を,それを企画した学 生本人から聞くことができた.
メインの学生によるジョイント・パネル討論では,
熊本大学学生
4名と信州大学学生
2名が討論者,熊 本大学学生
2名がコーディネーターを務め, r これ
からのフレンドシップのあり方
Jについて, 自由に 意見を出し合づた.そこでは,子どもとのふれあい 体験を通して,自らが感じ取った多くの貴重な知的 な気づきが話された.例えば,子どもとの壁がとれ ない,つながらないという悩みに対しては, r 誰か
のために,喜んでもらうために,何かをしたい.そ して,喜んでもらえるとうれしい.
Jという子ども への思いや願いがないと,子どもとの距離が縮まら ない.自分が心から話さないかぎり,子どもは心を 聞いてくれないし,心がつながらない.人として自 分の気持ちを素直に出せることや,子どもと一緒に 楽しむことができることが大切だ.自分がいろんな ことに興味を示し,夢をもっている人になることが 必要だ.また,学生が自分で考え創りだすことの難 しさに対しては,みんなで本音で語り合うこと,知 恵を出し合うことが大切だなど,体験に裏付けられ た実感を伴った発言が,とても印象深く残った.
本年度最後の事後企画運営協議会では,平成1
1年 度フレンドシップ事業の総括が行なわれ,次年度に 向けた継続的な取り組みが必要であるとコンセンサ スが得られたとともに,今後の教員養成課程の新し い形態の授業として高く評価された.
平成1
1年度フレンドシップ事業の評価に当たって は,事業の実施主体である教育実践研究指導センター の自画自賛,自己満足に始終しないためにも,受講
生による自己評価を最優先に位置づけ,さらに,学 内外の協力・連携機関の関係者ならびに,同事業を 実施している他大学の学生および教官による意見や 感想も大切にした点が特色であった.
2.
学生による総括(
4年 次 生 百 原 雅 ) 今年でこの熊本大学フレンドシップも
3年目とな りました.特に今回の
3回目のシンポジウムは記念 すべき回となりました.今回は熊本大学の学生だけ ではなく,長野の信州大学から土井進先生と学生の 長田雅子さん,小池悠介さんにもお来しいただいて います.
実は昨年1
1月にそちらの信州大学の方で,フレン ドシップ全国学生シンポジウムが開かれました.私 はそのシンポジウムに参加してきたのです.そこに は全国各地の
13の大学から学生が集まりました.
2泊
3日という日程の中,私たちは寝る問も惜しんで フレンドシップのことや自分たちの思いを伝え合い ました.
沢山に色々と学ぶものがありましたが,その中で も特に私が衝撃を受けたことがあります.それは,
学生の手によって創られるフレンドシップの存在で す.この事実は大きいものでした.今まで私が活動 してきたフレンドシップは,何もかも作られた中に 参加するというものでした.けれども,他大学では 立案から企画・運営に至まで全てが学生の手によっ て創られているのです.そして,私の参加した信州 大学のシンポジウムも学生の手で創られていたので す.驚きました.学生の宿泊の世話から朝ごはんの 準備,そしてシンポジウムと何から何まで学生の手 によって動いていっているのですから.
ここで受けた私の衝撃を,私だけのものにしてお くわけにはいきません.この感動を熊本大学にも持 ち帰らなくては,私が行った意味がなくなります.
私は信州大学からの帰りの電車や飛行機の中で,中 山先生とこれからの熊本大学のフレンドシップにつ いて多くのことを語りました.そして,ここにいる 仲間に私の持ち帰ったものを伝えました.何もわか らない中でスタートした今回のシンポジウムへの足 どり.前にこの
3回目のシンポジウムが記念すべき 回と言いましたが,それはこの会が熊本大学フレン ドシップ初の学生の手づくりの会だからなのです.
ここにいる仲間は
10名と少ない人数です.けれど
も,一人一人手探り状態の中をしっかり手と手をと
りあい進んできた仲間です.今日の日を迎えるまで
の約一ヶ月,私たちは毎日のように芥川先生の部屋
へと集いました.芥川先生の温かい笑顔の中,育ん できた今回のシンポジウムです.初めての試みであ る学生手づくりのフレンドシップです.笑いも,涙 も,苦悩もすべてつまっています.今の学生,将来 教師になることをめざしている学生の胸に秘めてい る思いを伝えることができたらと考えています.
私たちはゆっくりとではありますが,今それぞれ にみんなが芽吹きはじめています.そのささやかな 芽吹きを大切にしたシンポジウムがここにありまし た.
この絵には私の考えるフレンドシップを描いてい ます.ここの中心にある一本の木は私自身をあらわ しています.
木というものは大地に根をはります.その大地の 中には沢山の様々な栄養分があります.それは私た ちにとっては大学での学ぴであったり,子どもたち とのふれあいであったり,このフレンドシップなど を通した様々な体験で、あったりします.そしてこの 栄養分はどんどん増え続けていっているのです.木 である私はそれを根から吸収して成長していきます.
けれども,それだけでは充分とはいえません.
ここにある太陽のような,地域や関連施設の方々 のあたたかいまなざしは,不可欠なものです.その 日差しをあびながら木はさらに大きくなります.そ して,この木を住み家にいつもそばにいてくださる サポートの先生方の存在も欠かすことはできません.
このような周りからの多くの糧をもとに,木はぐ んぐん枝を広げていきます.すると,この技には沢 山の小鳥のような子どもたちが集まりやってきます.
そうやって自分の夢である「先生」というりんごの 実も赤く実っていくのです.この絵は以上のような
ことをあらわしています.
けれども,私は今回のこのシンポジウムを創って いく上で,この絵には足りないものがあるというこ とに気づきました.それは,私にとって最も大切な ものです.この絵を見て何か感じるところはありま せんか? よく見ると,この絵には木が一本しかな いのです.私はこのシンポジウムを創ろうとする前 までは自分の一人のことしか考えていなかったので す.ここにいる大切なかけがえのない仲間のことを 頭に入れていなかったのです.
この絵をもう一度よく見て下さい.木は必死に笑っ ています.でも,やっぱりそれではどことなく淋し そうです.一本の木でできることというのは限られ ています.けれども,一本の木が林となり森となっ たら,今までの何倍もの世界が広がっていくのです.
小さな力もつながりあうことで大きな力となってい くのです.この大切な仲間の存在は省くことはでき ません.
そして最後に,この夢のりんごの実に注目して下 さい.りんごの実の中には何がありますか? りん ごをかじっていくとわかりますが,どんなりんごに も種が必ず存在します.この種がまた大地に届いた 時,その種は再び新たな芽を出します.この芽が次 のフレンドシップを担う後輩となっていくのです.
こうやって木は自分自身も成長しながら,仲間とと もに手と手をとりあって広く大きく育っていくので
す.フレンドシップとはなにも活動することだけを指 す言葉ではありません.今回のように仲間と何かを 創り上げたり,ふれあったりすることもフレンドシッ プなのです.ですから,私は毎日フレンドシップを しているといえるのです.このことに気づくことが できたのはこのフレンドシップに参加したことと,
そこで,知り逢えた大切な仲間たちのおかげです.
すべてのものに心からありがとうと感謝します.そ してこれからも,もっともっと沢山の木たちが根を はり枝をはるすてきな樹木になることを願いつつ,
フレンドシップと出逢えたことに喜びを感じていま
す.熊本大学における「フレンドシップ事業」の実践(第
3報)N . フレンドシップ事業の今後の展開 1.フレンドシップ事業への期待と残された課題
教師は,子供から尊敬され,信頼されることなく して,子供に豊かな心や人間性を育むことはできな い.教師は教育者としての使命感,人間の成長・発 達についての深い理解,子供への深い愛情,教科等 に関する専門的知識や技能,幅広い豊かな教養,そ してこれらを基盤とした実践的指導力を備えておく ことが必要とされる.ここでは,熊本大学で平成
9年度から平成1 1年度に実施したフレンドシップ事業 を振り返り,フレンドシップ事業に期待するいくつ かのポイントと残された課題について述べてみたい.
① 人々とかかわり合う知恵
子供や,地域の人々,教育に関わる人々とふれあ う体験を通して,人と対話する力や人の心や気持ち を読み取る力など,人々とかかわり合う知恵を身に つけてもらいたい.人から与えてもらうまで待つの ではなく,自分から進んで人とどうかかわればよい かを体得する場にしてもらいたい.
② 自主的主体的な企画・運営
自分で主体的に企画・立案し,実行できるような 場にしてもらいたい.主体的能動的に人々とかかわ るだけでなく,自分も指導者となれるような場を作 るためには,事前に諸技能や知識を身につけておく ことが肝要である.大学の教職・教科専門科目での 学びを活かすことを期待したい.
③ 感動する心と共感する心
「きっかった,大変だった
H・
H・‑でも,やってみ てよかった.
Jという成就感や達成感など,感動す る心を大切にし,実感したことを素直に表現できる 場にしてもらいたい.子供や他の人々とともに,体 験を通した感動を共感し 共感の輪を広げることに よって,豊かな感性を身につける場にしてもらいた
" ' .
④ 聞かれた学びの場
教育委員会,青年自然の家や公民館などの社会教 育施設,公立学校,附属学校や, PTAを中心とし た家庭・地域の人々とふれあう機会を,大学の外に 聞かれた学びの場にしてもらいたい.このような体 験を通した学びが,将来,家庭や地域社会に聞かれ た学校づくりの基盤となることを期待したい.
体験を通して人々とふれあい学ぶことや, 自らが 積極的に働きかけ行動すること,豊かな体験に裏付 けられた感性を備えておくこと,自らが企画,立案,
実施,評価する主体となることなどは,教師になる
前に,是非とも体験しておいてもらいたい発達課題
(Developmental Tasks)である.このような体験を通して自らが感じ取った多くの貴重な知的な気づ きを,その場限りのことだけに留めることなく,そ れを大学での学びに返し,今後の学生生活や将来の 教職に生かしていってもらいたい.
平成1 1年度には,信州大学での全国学生シンポジ ウムに参加した学生が中心になり,熊本大学でも学 生自主企画の公開シンポジウムを平成
12年
3月に開 催する運びとなった.このような副次的な波及効果 が現れたことは,長野での
1回限りの出来事に終わ らせたくないという参加学生の強い意思によるもの である.この目に見えて表に現れる行動こそが,課 題意識が顕在化された証拠であり, r 自主的・主体 的に
Jとか, r 体験を学ぴに返す」とかいう言葉が 真に意味するものだと思う.
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年目となるフレンドシップ事業を振り返り,更 なる課題も残されている.一つは,子どもとのふれ あいは,教育実習でも経験しているが,フレンドシッ プならではの活動とはどうあるべきかについて,今 後さらに考えていく必要がある点である.フレンド シップの活動では,授業以外の場面での子どもの姿 を見ることができる.また,学校だけではなく,地 域や家庭での姿を見ることができ,その中で,地域 の人々や保護者とのかかわりも経験することができ る.子どもと子どもを取り巻く環境をトータルなも のとして理解するということではなかろうか.
もう一つは,フレンドシップの一つ一つの活動が 単発的で,なかなか連続・発展しないという点も,
プログラムを企画するうえでの今後の課題である.
平成1 1年度は,附属小学校児童との継続的なかかわ りをプログラムの中に意図的に計画したが,学生の 一部には受け身的な姿が見られ,意図した成果が十 分に得られなかったことも事実である.他方,学生 による自主企画シンポジウムでは,自主性・主体性 が芽生えたものの,パネル討論では核心に迫るまで 議論を十分に深められなかったことも,また事実で ある.要するに,個人の問題意識のもちかた次第に よるということではなかろうか.これらの点につい ては,次年度以降の取組みの中で,是非とも参加学 生とともに考え,知恵を出し合って,よりよいもの を 創 り 出 し て い き た い も の で あ る 中 山 玄 三 )
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