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食品中の保存料について (第1報)
一サリチル酸・ソルビン酸一
家政科研究室 堀 籠 平 吾
1緒 言 この液を約去量になるまで水浴上で加熱して灘し,
冷却後水約20雇で分液漏斗中に洗い込み,10%硫酸を加 近来経済水準の上昇と共に,生活形態の多様化をもた えて酸性とする。
らし・その結果食生活の面においても,大きな変革をき この液にエーテル20π4を加え,よくふりまぜてサリチ たすに致った。 ル酸を抽出する。エーテル層を分取し,水層はさらにエ そのため保存食品・加工食品が多く使用されるにとも 一テル20認で抽出をくり返し,エーテル層を分取する。
なって・食品添加物の使用も・また増加するに致った。 エーテル抽出液を合わ也約10紹の水で洗瀧したのち,
食品添加物は・本来食品のもっ価殖を増大させるため 1%炭酸水素ナトリウム溶液20認とよくふりまぜ,サリ に使用されるものであるから・その使用に際しては・安 チル酸をナトリウム塩として水層に移行させ,水層をと 全性の究明と使用基準および添加物の種類等について, って試験溶液とする。
4,25)充分な注意と配慮とがなされなければならない。 ⑤定性法
本実験においては・現在食品保存料として乳使用され Dジョリセン反応
ているサリチル酸・およびソルビン酸について・食品へ 試験溶液5雇をとり,液がアルカリ性のときは30%酢 の添加の実状を・定性試験法・および分光光度計法によ 酸で中和したのち,10%亜硝酸ナトリウム溶液4〜5滴
り定量し・その使用の適否にっいて検討考察を行なった。 30%酢酸5−6滴および硫酸銅溶液を1滴加えてよくふ
りまぜ,30秒間煮沸したのち2分間枚置するとき,サリH試料および調製
チル酸があれば液は紅色を呈する。
試料は・昭和48年5月より昭和49年7月までの,市販 iD塩化第二鉄反応
品を用いた。 試験溶液5π4をとり,1N塩酸でわずかに酸性とした 実験は・昭和48年5月より昭和49年7月まで行なった。 のち05%塩化第二鉄溶液2−3滴を加えるとき,サリチ
A試 料 ル酸が存在すれば紫色を呈する。
(1)清酒 12品目 (2)定量分析
(2)み そ 15品目 ⑤試験溶液の調製 }省略する。B試料の調製 ⑥ 定量法
実験方法(試験溶液の調製)の項で述べる。 B ソルビン酸の試験
喉験方法
@ (1)(鑑舞液講隔謙溶認
Aサリチル酸の試験 D試 薬
(1)定性分析 、.23。24) ①リン酸緩衝液
㈲試験溶液の調製(直接袖出法) 0ユN−K瑞PO4(純粋なリン酸一カリウム4549を,水 試料2(雇をビーカーにとり・10%水酸化ナトリウム溶 に溶かして1Zとしたもの)溶液32π4と・α1N−Na2HPO4 液を加えてアルカリ性とし・サリチル酸をナトリウム塩 (純粋なリン酸ニナトリウム11胆9を,水に溶して1君 とする。
としたもの)溶液M4とを混和する。(PH5.2)。 長530mμにおける吸光度を測定し,別に作製した検量
② エーテル 線に照合してソルビン酸の濃度を求め,次式から試料中 再留したものを用いる。 の量を算出する。なお,吸光度を測定する際の対照液は,
③重クロム酸カリウムー硫酸溶液 試験溶液の代わりに水2酩を用いて同様に操作して得た 0.01N重クロム酸カリウム溶液および03N硫酸の等容 液を用いる。
500混液。 S(㎎)=C(㎎)×
④ チオバルビツール酸溶液 2 2一チオバルビツール酸)β9に,水20雇および1N水 ただし
酸化ナトリウム溶液10認を加えて溶かし,1N塩酸11雇 S:試料中のソルピン酸含量 および水を加えて100皿4としたもの。 C:検量線から得られたソルビン酸の量
il)試験溶液の調製 iD検量線の作製
細切した(必要ならばミキサーで砕く)試料1〜59 エタノールから再結晶したソルビン酸(ソルビン酸力
(ソルピ・ソ酸含量05〜2㎎)をはかり,乳ばちに入れ硫 リウム)10㎎を精密にはかって100磁のメスフラスコに 酸マグネシウム509を加えてよくすりつぶし,水50酩で とり・水に溶して定容とする・
200雇の蒸留フラスコに入れる。っぎにリービッヒ冷却 この液10雇を正確にとってメスフラスコに入れ・水を 器アダプター管を取付け,金網上で直火で蒸留する。 加えて100π4とする。〔この液1π4はソルビン酸(ソル
留液が45−5伽4になったとき(硫酸マグネシウムの結 ビン酸カリウム)10μ9(α01嘲を含有する・〕この液 晶が急に多量析出し始めたとき)加熱を止め枚冷し,さ 5・10・15・20および25雇を50π4のメスフラスコに正確 らに水50π4を加えて蒸留し,全留液90−100酩をとる。 にとり・°α1N硫酸5皿4および水を加えて定容とし・ソル 冷却器およびアダプター管を60−7Q℃の温水少量で洗 ビン酸(ソルビン酸カリウム)標準液とする。(各液1 い,洗液を留液に合わせ,リン酸緩衝液を加えて全量を 顧ま・それぞれソルビン酸(ソルビン酸カリウム)1・
正讐゜徽講難畿繍 2漏欝盟罐去る隷溶液の場合と同
試験溶液2認を共せん試験管にとり,これに重クロム 様に操作し吸光度を測定し,縦軸に吸光度・横軸にソル 酸カリウムー硫酸溶液2雇を加え,沸騰水浴中で5分間 ビン酸(ソルビン酸カリウム)の濃度をとってグラフを 加熱したのち,チオバルビツール酸溶液2π4を加え,再 抽けば直線が得られる。
び水浴中で10分間加熱するとき,ソルビン酸が存在すれ (c)使用した分光光度計 ば,液はソルビン酸の量に応じた濃さの紅色を呈する。 日立 101 分光光度計
②定量分析(本試験溶液舞21 ) 可視域形波長鯛34・〜9・・m・
予備試験溶液Alooπ4を300認の分液漏斗にとり・10 ]V実験結果
%HCZ5滋 NaCZ309を加え,エーテル70π4で抽出す
る。さらにエーテル50π4ずつで2回抽出を行ない,エー A清酒中のサリチル酸
テル抽出液を合わせ,これを水15酩で洗い洗液はすてる。 定性試験の結果は,表1のようで検体から・検出され つぎにエーテル層にODO2N−NaOR溶液10酩を加えて なかった。
柚出し,水層を正確に分取する。 B みそ中のソルビン酸カリウム
この操作を二度行ない水層を合わせたのち,この液に 定性試験定量試験の結果は・表2のようである・
リン酸塩緩衝液を加えて正確に100雇とし,本試験溶液 C ソルビン酸カリウムの検量線の作製
B篭定量法(チがルビツー翻) 臆蔓;瓢繍鞭図、のようであ
D操 作 り・吸収極大波長530mμであることをしめしている。
試験溶液2雇を正確に共せん試験管にとり,これに重 ② ソルビン酸カリウムの検量線
クロム酸カリウムー硫酸溶液2雇を正確に加え,沸騰水 波長530mμにおいて・ソルビン酸カリウムの吸光度 浴中で10分間加熱したのち直ちに冷却し,30分以内に波 を測定して得られた検量線は・図2のようである。
堀籠:食品中の保存料について 第1報 173
表1 清酒中のサリチル酸の定性試験の結果
定性試験名恥
ジョリセン反応 塩化第二鉄反応
1 (一) (一)
2
(一) (一)3 (一) (一)
4
(一) (一)5
(一) (一)6
(一) (一)7
(一) (一)8
(一) (一)9 (一) (一)
10 (一) (一)
11 (一) (一)
12 (一) (一)
〔注1〕9:陰性, 反応のみられなかったもの。
表2 みそ中のソルビン酸Kについての定性試験,定量試験の結果
試料 採
定性
定 量 試 験 試料 1 kg A試料 1 ㎏
恥
検 液 試料中の濃 中 の 日 量iソルビン酸K 中 の 含量
iソルビン酸と 備 考
取 量の
試験
吸 光度濃度(㎎) 度 (㎎)
として)(9) して) (7)1 4.4738 ㊥
0,392
0.177144.28
9.8976 7.3877力赫鋸轡
2
4.5005o
嶋 一 一 一 一3 4.3842 ω
0,172
O.078919.73
4.5003 3.3590 茄耀系鵬4 4.3126 ω
0,630
0.287771.92
16.6790 14.4492 〃5
4.5749 ㊥0,368
0.166341.58
9.0887 6.7838 〃6
4.6183 ㊥0,016
0.0073 1.83 0.3962 0.29627
4.4584 ω0,063
0.0285 7.15 1.6037 1.19708
4.5107 ㊥0,075
0.0341 8.50 1.8844 1.40659
4.4905 ㊥0,040
0.0182 4.55 1.0133 0.756310
4.8893 ⑯0,088
0.040010.00
2.0453 1.5266茄緩藷騨
11 4.7130
o
} 一 一 一 一 無添加の表示あり12
4.2410o
一 噛 一 } 一 〃13
4.4600 (→ 一 } 一 欄 一 〃14
4.3393o
一 一 一 噌 一15
4.4737o
『 噸 一 幽 『 純正の表示あり〔注2〕 ④〔+):陽性,反応のみられたもの。 ㊦ 一:未卸定。
◎e:陰性,反応のみられなかったもの。 ㊥ ソルピン酸の換算係数を0.7464とした。
174 茨城大学教育学部紀要 第25号
図1・ソルビソ酸カリウムの吸収特性 図2.ソルビル酸カリウムの検量線(測定波長530那ω)
0,140
0,135
0.13 0.8
0,120 0.7
0ユ170,116
0.no 0.6
0,550
0100 0.5
0076
0ρ97
0,090 0.4 0440
0080 0,085 0.3 0,332
0,075
0,070 0.2 0,218
0ρ10 0.1 0,110
E E
515 520 525 530 535 540 545 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25
W@μ)一一→ C(m9)一→
〔注3〕E:吸光度 W:波長 〔注4〕 E:吸光度W:濃度
表3 ソルビン酸カリウムの使用状況
項目添加の有無 ソルビン酸K添加 ソルビン酸K無添加
品 目 数
9 6
品目数の割合(%) 60.0 40.0
内 項目表示の有無 表示のあるもの 無表示のもの 表示のあるもの 無表示のもの
品 目 数
4
54 2
訳 品目数の割合% 44.4 55.6 66.7 33.3
表4 ソルビン酸カリウムの使用基準との関係
項目碁準とq 、
使用基準以内のもの 使用基準を越えているもの
品 目 数
2
7品目数の割合(%) 22.2 77.8
内
表示の有無項目
表示のあるもの 無表示のもの 表示のあるもの 無表示のもの
晶 目 数
0
25
2訳 品目数の割合%
0 100.0
71.4 28.6堀籠:食品中の保存料について 第1報 175
V考 察 M要 約
A清酒中のサリチル酸について 現在食品保存料として使用されている,サリチル酸 いずれも・使用されていなかった。 およびソルビン酸について,食品えの添加の実状を定性
Bみそ中のソルビン酸カリウムについて 試験および分光光度計法により定量を行なったもので
(1)使用状況は・表3のようである。 ある。
表3にみられるように その結果は,つぎのようである。
④ ソルビン酸カリウム添加が検出されたものは・15 A清酒中のサリチル酸は,検出されなかった。
品目中・9品目で全体の60・0%にあたり・また添加され Bみそ中のソルビン酸について
た9品目中・無添加表示のあったものは・4品目(444 (1)ソルビン酸カリウムが検出されたのは,試験食
%)・添加表示のないものは・5品目(55.6%)であり, 品の60.0%をしめていた。
このことは表示がまだ充分行なわれていないことをしめ ② ソルビン酸カリウムの使用量については,その している。 使用基量を越えていたものは,7Z8%であった。
(b)ソルビン酸カリウムが検出されなかったものは・ (後記) 本研究の一部は,昭和49年8月27日,第 15品目中・6品目で全体の440%にあたり・その6品目 17回,日本産業技術教育学会(於群馬大学)において,
中・無添加または・純正の表示のあったもの4品目(66. 講演発表した。
7%)・無添加・無表示のもの2品目(33.3%)であり, 参考文 献
ここにも無添加と表示との関係の不明確さがみられる。 (1)相磯 外5名 食品衛生学朝倉書店(1963)
② ソルビン酸カリウムの使用基準〔使用基準・み ② 岡村一弘 改訂版 食品添加物の使用法 食品と そ19/1㎏(ソルビン酸として)〕との関係について 科学社(1969)
と,表4のようである。 (3)川坑藤邦新版食品添加物ハンドブック,光 表4にみられるように 生館(1963)
色)使用基準に適合しているものは・9品目中・2品 ④谷村顕雄編食品添加物の分析 1 講談社 目で2a2%にすぎない。しかもそれは・いずれも添加無 (1970)
表示のものである・ ⑤食品添加物公定書注解編集委員会編第三版
(b)使用基準を越えているものは・9品目中・7品目 食品添加物公定書注解金原出版株式会社(1974)
で77・8%にあたり・その中添加表示のあるもの5品目 (6)日本薬学会 編衛生試験法注解金原出版株式
(714%)・添加無表示のもの2品目(2&6%)である。 会社(1973)
使用基準を越えているものが大部分をしめしいることに 以上 ついては,1層の注意を払う必要がある。
On the antiseptics in foods Part l.
一Salicylic acid, Sorbic acid一
by Heigo HORIGOME
(Faculty of Education Ibaraki University)
Abstract
The purpose of this study is to try an experiment on the Qualtative examination and spectro戸hotometer method with the Salicylic acid Sorbic acidwhich to be used as the present Foods antisepticus.
The results are as follows;
A Salicylic acid in the refined sake was not find out.
B Sorbic acid in the miso:
(1) The percentage of the K salt of sorbic acid whichwas find out in test foods is600%
② The pereentage of the K salt of sorbie acid which exceeded standard of use qμantity in test foods is・77β%
」」