川崎 一史 審査結果の要旨
論文審査の結果の要旨
川崎一史氏(毛呂山キャンパス神経内科学)の学位審査委員会は 1 月 14 日に川越キャンパスで 開催され、委員全員が出席した。はじめに申請書類により資格条件が満たされていることが確認 された。この後、口頭発表および質疑応答が行われた。
学位申請論文の表題は ” Effects of edaravone on nitric oxide, hydroxyl radicals and neuronal nitric oxide synthase during cerebral ischemia and reperfusion in mice” であり、 Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases 誌に受理された。申請者が筆頭著者であり、指導教員 の荒木教授がラストオーサーである。本研究は、脳虚血再灌流モデルマウスにおいて,一酸化窒 素産生とヒドロキシルラジカル代謝および神経型一酸化窒素合成酵素発現に対するエダラボンの 細胞保護効果を検証するための動物実験であり、2017 年から 2019 年の期間に本学動物実験委員 会で承認されている。 方法 本実験ではエダラボン虚血前投与群と対照群で、両側総頚動脈を 10 分間遮断したのちに 再開通させる前脳虚血モデルを作製した。① 総頚動脈を遮断する前から再開通後 120 分まで、両 側の線条体に微小透析プローブを挿入し、一酸化窒素の代謝産物(NO2 - および NO3-)、ヒドロキ シルラジカルの代謝産物(2,3-ジヒドロキシ安息香酸および 2,5-ジヒドロキシ安息香酸)を継時 的に測定した。また同じ期間の平均動脈血圧と脳血流量も継時的にモニターした。② 総頚動脈の 再開通後 96 時間でマウスを固定し、虚血再灌流後96 時間後の脳線条体の切片を抗 nNOS 抗体で 免疫染色し、免疫染色陽細胞の面積の比率を比較した。 結果 ① NO2-産生はエダラボン投与群とコントロール群で有意差はなかった.NO3-産生はエ ダラボン投与群(167.4±29.0 %)で,コントロール群(130.1±21.4 %)に比較し,再灌流後 30 分以降 から有意に上昇がみられた(P<0.05).2,3-DHBA 産生はエダラボン投与群(94.1±4.6 %)で,コ ントロール群(106.7±5.6 %)に比較し,再灌流後 20 分以降に有意に減少していた(P<0.01).② 抗 nNOS 抗体陽性細胞の面積は,エダラボン投与群で,コントロール群に比較し,有意に減少して いた(3.6 ± 0.6 % vs. 5.2 ± 0.7 %; p<0.05) 結論 エダラボンはヒドロキシラジカルを減少させるほかに,内皮型の一酸化窒素合成酵素発 現による一酸化窒素の産生を増やすことや,神経型一酸化窒素合成酵素発現を低下させることで 神経保護的に働く可能性が示唆された。 発表に引き続き、討論が行われた。 ① エダラボンのどの様な作用が保護的な作用なのか? →FR と結合してそれ自体が無毒な変 化体に変わる
② Griees 法による NO2-と NO3-の測定値の意味するところを説明してください。→目安として 細胞外に存在するNO*(nM-μM/L)の量に概算できる。
③ このモデルに対するエダラボンの細胞保護効果とは何を意味するのか?→再灌流障害による 梗塞体積の縮小に関する論文の提示があった。