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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2017 年 2 月 8 日

ダイズ登熟期の種子における窒素および炭素の

動態に関する生理遺伝学的研究

生物資源科学専攻 植物育種学講座 生物遺伝資源学 新保 大樹

1.はじめに

ダイズ種子におけるタンパク質や脂質含量は品種・系統間で大きく異なる。しかしながら,これ らの含量に関わる QTL は多数検出されているものの原因遺伝子はいまだ一つも単離されていない。

そこで,本研究はこれらの含量を規定する因子の生理学的な特徴を理解するため,種子におけるタ ンパク質・脂質含量の異なる系統間で接ぎ木を行い,これらの個体から得た完熟種子の各成分を定 量することで台木および穂木が及ぼす種子成分への影響を評価した。また種子の内部構造と各成分 の関係性を見出すべく電子顕微鏡を用いた観察を行った。

2.方法

高脂質・低タンパク質の栽培ダイズである田螺大豆,ロシアで採種された低脂質・高タンパク質 の野生ダイズ(ツルマメ)である T106 の交雑に由来する RIL の F7 世代のうちそれらの種子におい て開花時期がほぼ同等で高脂質・低タンパク質のもの(TT-82 と TT-84),低脂質・高タンパク質の もの(TT-40 と TT-168)をそれぞれ 2 系統ずつ選定し,播種後,初生葉展開時期(約 8 日目)に接ぎ 木を行った。加えて,栽培品種カリユタカも台木として利用した。これらの接ぎ木個体をガラス室 内で養成し,開花および登熟期間の調査を行った。加えて,完熟種子について元素分析を行い窒素 および炭素含量の定量解析を行った。また,種子内部の構造観察についてはカリユタカを各登熟段 階で,TT-82 と TT-168 については完熟種子の段階で細胞の大きさ及び各構造体の比較を行い,

ImageJ を用いた画像解析によりタンパク質貯蔵型液胞(PSV)について定量化を行った。

3.結果と考察

完熟種子についてタンパク質の定量解析を行ったところ,台木と穂木の組み合わせの種類に問わ ず,完熟種子におけるタンパク質含量は同一穂木の場合,全て同じ含量になった。このことから,

台木の遺伝子型に関わらず,穂木側にタンパク質含量を決定する因子の存在が示唆された。また,

種子内部構造の観察からTT-82とTT-168の間に細胞内のPSVの占める割合に有意に差が認められ,

この構造的な差がタンパク質・脂質含量の違いをもたらす可能性が見いだされた。

4.まとめ

本研究を通してダイズ種子におけるタンパク質・脂質含量を規定する因子の一つが種子の内部構 造にあることが考えられた。今後は貯蔵タンパク質の生合成能と貯蔵形態の品種系統間差異を種子 の各登熟段階で生化学的・細胞学的に解析し,遺伝子型と関連付けることで,ダイズ完熟種子の成 分含量を決定する遺伝的要因の解明につながると考える。

参照

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