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曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について
(第11報)
小野一良森下光政伊藤義男
LateraIForcesAppIiedtoCurvedTracks byaSteamLocomotive
hyKazuyosiONo,MitumasaMoRIsITAandYosiolToo
lnapreviouspaperoneoftheauthorsanalysedthelateraldisplacementoftherailway trackandthebendingstressesintherailsunderthelateralforcesappliedtotherailheadsby
alocomotiveinmotion,usingthedifferentialequationoftheeighthorder、Therailswere assumedtobesupportedlaterallybysleeperscontinuouslyalongtheirwholelengths,asif theyhadbeenfastenedonlongitudinalsleeperslnthepresentpapertheauuhorssolvedthe sameproblembyusingfinitedifferenceequations,assumingthattherailsweresupported laterallybysleeperslaiduniformdistancesapart,andthattheforcesandthemomentsacting betweentherailsandthesleeperswereproportionaltotheirrelativedisplacementsandthe anglesoftiltingoftherailsrespectively・Somenumericalexamplesareshownandcompared
withtheresultsgivenintbepreviouspaper、
Thetorsionalrigidityoftherailentersintotheabove-citedcalculationsbut,ithad neverbeenmeasured,theauthorsestimateditbytorsionaltestsoftherailandbyusingthe analogybetweentorsionofarailandderformationofathinfilmstretchedoveraholeina
Hatplate.
1.緒菅
著者は前報告、において軌道が車輪より横圧力を受けた場合に軌道に生ずる横移動,レールに生ず る振りおよび曲げ応力の計算方法を述べ,これを実験結果に比較した.しかしこの解法においてはレ ールが枕木から受ける反力を枕木間に分散させてレールがその全長にわたって弾性的に支持されてい ると仮定した。レールの横移動および小返りの大体の形を知るためにはこの解法で差支えないが,レ ールに生ずる曲げ応力または枕木がレールより受ける力を計算するにはレールが等間隔に配置された
枕木の各々より集中的に反力を受けるとして解く要がある。
レールが枕木より受ける横方向の反力およびモーメントはそれぞれレール底部の横移動および小返 りに比例すると仮定することは実験によっても確かめられ,問題はない。しかるにこの比例の常数は 横圧力と同時に加えた垂直荷重の大きさによって変化することが実験によって見出され2),問題が複 雑になる。比例の常数が垂直荷重の大きさによって変化することを考慮に入れた解法も発表されてい るが3),蒸気機関車のように多数の車輪が近接して軌道上に載る場合にはこの下にある数挺の枕木に おいて枕木がレールから受ける垂直圧力はほぼ一定であると見徹される。また実験によれば垂直荷重 が相当大きくなれば比例の常数は大して変化しない。よって比例の常数を垂直荷重に無関係と仮定し
た解法が実際の条件に近くなる場合が多い。
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小野・森下・伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について 17
従来発表された多くの論文`〕は[/-ルの横移動と小返りとを分離して論じているが,こjriらはたが
?Yいに関連を持つので分離することは適当でない。よって本論文においてはこれらを同時に考慮に入れ た解法を示した。以上を要約して本文で述べた解法の特徴を示せば次のごとくなる。
(a)レールの横移動と小返りとを同時に考慮した。
(b)レールが横圧力を受けた場合にレールは等間隔に配置された枕木より集中的に反力を受け,
枕木間においては反力を受けないとして解いた。
(C)レールが枕木より受ける横方向の反力およびモーメントをそれぞれレール底部の横移動およ び小返りに比例すると仮定し,その比例の常数は垂直荷重の大きさに拘わらず一定とした。
(d)片側のレールだけが横圧力を受ける場合でも枕木の移動によってこの影響が反対側のレール に及ぼされることを考慮に入れた。
2.一般解の誘導
レールの横移動および振れを論ずるに当ってはレールを頭部,腹部,底部の3部分に分けて論ずる こととし,これらの横移動,振れおよびレールの頭部,腹部,底部の切断部に作用する力およびモー メントについては前報告と同様な記号を用いてあらわす。すなわち左側レールについては
ここに§,,a,E3はそれぞれ左 罰外⑩
側レール頭部,腹部,底部の振り 中心の横移動であり,畠は左側レ ール底面の横移動である。またP4 は左側レールの振り角である。こ れらの数値は軌間外方に向うとき を正とする。またん,,〃2,〃3はそ れぞれレール頭部,腹部,底部の 振り中心のレール底面からの高さ である。
任意の枕木より前方に向って順 次仁0,1,2,……と番号をつけ る。ある地点より前方においてレ ールは外から横圧力またはモーメ ントを受けることがないと仮定 し,その区間について考察を進め る。番号〃の枕木を原点として番 号〃+1の枕木に向ってレール に沿うてjU軸の正の方向を採る。
レールの頭部,腹部,底部の垂直 断面に水平方向に作用する剪断力 をそれぞれS1,s2,s3とし,こ れらの剪断力の作用点をそれぞれ
浩皇』
Bz+等』
X
r」
第1図レールの各部分に作用する力
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金沢大学工学部紀要3巻1号1963年
::鑿二二W■二:-1 肌鶚-s什胸=O
Gハ等+zi-川(ルル,`)=0
-W》蛎伽…|⑫ル
Gハ鶚+〃M蕊一胸鬮)=0
ここにル,2はレール頭部と腹部の境界のレール底面からの高さであり,ル23は腹部と底部の境界の レール底面からの高さである。(2.2)および(2.3)式における3式をそれぞれ合計すれば
EI鵲+EH鶚_い÷÷=0(24 G'幾一EB芸豐-EK鶚+M,鰄讓÷=o(25)
ただしここに
I=凸十四+13 (2.6)
ノーノ,+L+入 (2.7)
H=M]+M2+M3 (28)
K=Ml2+L",,2+囚〃32 (2.9)
Q4,”+÷=S,+S2+S‘ (2.10)
M,鋼+÷=Zi+Z圏+星+〃,S,+ハヨS2+hS$ (2.11)
い,灘十会はレール断面に作用する剪断力の合計であり,M3,"+÷はQ4,"+÷の作用点をレール 底面に移した場合にレール断面に作用するモーメントの合計である。今後は取扱いの便宜上Q…+÷
の作用点をレール底面とする。さきに述べた仮定によって番号〃と〃+1の枕木の中間においてレ ールは外力またはモーメントを受けることがなく,また枕木に接触することもないので前報告第4図
に示したAおよび肉はoと見徹される。よってい,"十÷および脇,総+÷は番号〃M+’の
枕木の中間において一定値を採る。いまここに
刑=畠十÷例(212)
と置けば(2.4)および(2.5)式は次のように変形される。
E'幾一Ⅲ+÷=0(213)
Gノ鶚-M鶚一半祭十川緤÷=o(214)
ただしここに
18-
小野・森下・伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について 19
L=IIr-H2
(2.15)
右側レールに関してはⅦ94のかわりにそれぞれ〃2,92と置き,Q4,”+-1,M,〃+上のかわり
22にそれぞれQ2,鰄十上,M2,獅十÷と置けばこれまでと同様な計算方法によって次式が得られる。
E'幾一Q…÷-0(216)
GJ鶚一EH鶚一半鶚+MM÷=0(川)
ただしここに〃2,9zは軌間内方に向うときを正とし,M,〃+_LはQ2,〃+_Lの作用点をレール底 面に移した場合における右側レール断面に作用するモーメントである6次に
、=÷(加一州ワ鰯=÷(加+卯)(2,8)
作÷(作物),㈹=合い+化)(川)
Q…告二会(Q…÷-Q…÷)| (2.20)
Q…÷=-=(Q…÷+Q…÷)I
MM÷=÷(川緋÷-MM÷)| (2.21)
MM告=会(MM辮告+…÷)|
と置けば(2.13)および(2.14)式よりそれぞれ(2.16)および(2.17)式を差し引き,または加え ることによって次式が得られる。’
E'幾一q…÷=o (2.22)
Cノ鶚一EH幾一¥に鶚+ルー0(223)
ただしここにノー1,3
(2.22)および(2.23)式はj=4または2とした場合にも当然満足され,これより後に導く諸式 は特に注意しない限りすべてj=1,2,3,4に適用される。
枕木間隔を.乢番号"の枕木上におけるw,鶚,鶚jハ鶚,鶚の値をそれ ぞれ(諏川(鶚)(鶚)WiM(幕川(鶚昨置けば(222)式すなわち番号
〃と〃+1の枕木の間に外力が作用しないという条件より次の2式が導かれる。
6((蜥仙繩)+6`(鶚ルー`圏{(鶚L+2(鶚川}=O(M』)
6(い-い÷Ⅲ)+6・(際)艫+画欝{2(祭肪(祭川)=0(225)
上式は番号〃と〃+1の枕木の間について導いたのであるが,番号〃-1と〃の枕木の間にも
同様な式が導かれる。また枕木上において,恥鶚,鶚の値は連続であると考えられる。岬
て(224)式の〃のかわりに〃-1と置けば
6{ルリーい}+6厘僻肪α,{(鶚ル+2(祭)」=o(M6)
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金沢大学工学部紀要3巻1号1963年
(226)式より(〃)式を差し引けば連続した3箇の枕木上におけMと静この間の関係式
が得られる。
6{(柳,-2(ワル+("加十,卜`,((一癖比+4(~:fl1lL)鵬十(二芸IIL)峠,}=o(227)
番号〃の枕木上で左Ⅲルールが枕木より受ける水平方向の反力をR4,〃とし,右側レールが枕木 より受ける反力をR2,〃とする。番号〃の枕木の前後で左右のレールに作用する剪断力はそれぞれ R4,〃およびR2,〃だけ異なるはずであるから次の関係が成立する。
い,滋_÷-9,鰯十÷=R…,Q2,"_÷-Q…+÷二尺…(228)
いまこ『こに
Ⅶルー会(R…-恥),ルー÷(R…+R…)(229)
と置けば(2.28)および(2.20)式を考慮して次式が得られる。
Rみ〃=9,”_÷-Q心"+÷(2.30)
(2.22)式を番号〃の枕木と〃+1の枕木の間で積分すれば
E`((鶚)"-(幾川)+αQ…÷=0(231)
上式の〃のかわりに〃-1と置けば
EZ((鶚ルー(鶚)拙`い-告=0(232)
(2.32)式から(2.31)式を差し引き,(2.30)式を考慮すれば
Er((鵲ルー2(鶚)艫+(鶚川}+`ルー0.(283)
次に(222)および(2.23)式よりりiを含む項を消去すれば次式が得られる。
G"鶚-EL鶚一Hw辮舎+IMM÷-0(284)
いまここに
,=`(-甥)÷ (235)
1-両{:T=6,-両蓋7-1=‘(236)
と置けば(2.34)式より次の2式が得られる。
い-い"+`(鶚)蝋+一言li÷(`(鵲),,+`(鶚ルi}=。(237)
い-(卿刀…(鶚ル』一帯{b(鶚)順+・(鶚川)=。。(238)
(2.38)式において〃のかわりに〃-1と置けば
(低ル`-川+パ等ル可島戸(,(祭川+・(鰯L汁、(239)
(2.39)式より(2.37)式を差し引けば い)"-,-2伽)〃+(P山+’
一三jH6(鵲L+2`(謬竺)鑓+`(網州)=。(240)
番号〃の枕木と〃+1の枕木の間でレール方向を軸として左側レール断面に作用するモーメント
をM,"+÷とし,右側レール断面に作用するモーメントをIMh,"+÷とする。また番号〃の枕木
-20-
小野・森下・伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける幟圧力について21 上で右側レールの小返りに抵抗して発生するモーメントを肌,〃とし,右側レールの小返りに抵抗し て発生するモーメントをM,〃とする。番号〃の枕木の前後において左右のレール断面に作用するモ
ーメントはそれぞれ肌,'1および肌,〃だけ異るはずであるから次の関係が成立する。
M,"-÷-M,''十;-肌,,,,M2,"-÷-M2,,,+÷=M〃(2.41)
いまここに
ルー÷UWF恥),Ⅳ…=÷(恥+恥)(242)
と置けば(2.41)および(2.21)式を考慮して次式が得られる。
(2.43)
M"=1MM-÷-MM+÷
次に(223)式を番号〃の枕木と番号〃+1の枕木の間で積分すれば
G'(伽壯("ル+,)-EH{(祭炸(幾加)
一半{(繋汁(静i川)-M小半÷=I(M4)
上式の〃のかわりに〃-1と置けば
G'{(,ガル]-(,,”}-EH{(祭ルー(祭),,}
一半{(鵲ルー(磯)汁@MM-÷=0(M)
(2.45)式より(244)式を差し引き,かつ(243)式を考慮すれば
G/{伽ルー,-2(仰刀+(,W)-EH((鶚ルー2(祭)Ⅷ+(祭川)
_半((鵲ルー2(鶚)洲鵲ル】)-`WmFO(M6)
レール底部の横移動は枕木上におけるレールの滑りと道床上における枕木の滑りとよりなるのでレ ールの枕木上における滑りに対する抵抗力はこの間の相対的移動量に比例するとなし,その比例の常 数をル’とし,枕木の道床中の移動に対する抵抗力もこの間の相対的移動量に比例するとなし,その 比例の常数をh2とすれば左側レール底部の横移動とこの横移動に対する抵抗力との間に次の関係が成
立する。
(ビルーニ;す些十血ぅ圭血(M〕
上式の畠を(212)式によって〃4および?4をもってあらわせば
仇ルー÷(仏炸半十叫声恥|
右側レールについても同様にして (2.48)
(、ルギ(艫作¥+上旱些|
上式に含まれる2式の差または和を作り,(2.18)および(2.19)式を考慮すれば次式が導かれる。
ルール(い-÷(・鋤),j-L3(249)
ただしここに
--L=_L+上 A3b,ルロ (2.50)
レールの枕木上における小返りに関しても小返り角に比例して枕木より抵抗モーメントを受けると
-21-
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金沢大学工学部紀要3巻1号1963年
仇ルームニュL,仇ルー-し
上式に含まれる2式の差または和を作れば 肌,〃=s(9j)〃,j=1,3
(2.49)および(2.52)式をそれぞれ(2.33)および(246)式に代入すればこれらは(ワノ)〃,
(俄川(鶚M鶚),,川を含む式とな'にれに(227)および(MO)式を併せて4箇の
関係式が得られた。ただしここで注意すべきことは(2.49)式がi=1,3の場合に限られるので,今 後導く諸式はノー1,3に限って適用され,ノー4,2については適用されないことである。上記の4式 を階差方程式によって解くために次のように置く。
(和ルー芋α,ハバ(w,ルーMⅧ
『鶚ト芳川,,劉薑器脈l
しかるときには(2.49)および(2.52)式によって
R…÷偽,(αガルルバjvM=w‘
これらの式を(2.27),(2.33),(2.40)および(2.46)式に代入すれば次の4式が得られる。
6aiyi-7i(yi+3)=O
比に’,=÷伽2+川,-1) 揮縢11
“一船峠蒜1
(2.55)式はαi,β“γ'’6ノに関する連立1次方程式であるが,これらの未知数が同時にOとなら ”=器舂
ない根を持つための条件からyiの値が決定される。
4(1-6)yj`+(〃ノ(1-6)-4(6+C)+46U+66"jzu)yj3
+(3〃ノ(1-6)+(-〃i+4U+6〃izU)(6+c)+〃jひ)y′2
+〃i((-3+U)(6+c)+36U)yi+3〃i〃(6+c)=0
上式はyjの4次式であり,これよりyノの値が4筒求められ,これをyil,jノノ2,yi3,yi4とする。
この冬に対して(2.56)式よりαi,βj,γi,Diが決定され,これらを(Zj1,α/2,αi3,α川βi1,……
……とする。しかしこれらのαi,βハハ,6jの中の任意の1箇を自由に選ぶことができる。たとえば αj1=cZi2=αi3=αi4=1と置いてもよい。冬のyjに対して(2.56)式より2箇ずつのスノが得られ,
その一方をスノノとすれば他はス5'によってあらわされる。よって
|ハガ,|〉1,ノー'’2,a‘
となし,〃→。・となるときに(ワノルい)〃等はoになるという条件より
(,,)鰍=芋蛋A`MiⅧ,
削一芳…川鶚ル器…w2⑪ (9ルー。A"βノノス5〃
22
小野・森下・伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について 23
上式におけるユはノー1,2,3,4の合計を示す。A'1,Aj2,Ai3,A'4は境界条件によって定ま る常数である。このようにして(〃i)〃,い)〃等が決定されれば他の数量も容易に導くことができる。
すなわち(鶚沖(M5)または(226)式よ'求…,(鶚脆(287)霞たは(239〕式
より求められる。その結果は
(砦)蝋=芳図A洲ハデ,(鶚)鰯=÷M"`"I。(261)
ただしここに
二三二lihijiiF1i三と」(薔就)瓜|⑫6⑳
また(2.54)式より
Rw=÷ルガMi,(吻一βijw'=一旦二三2M,jrwI,,(263)
ルー`M`’1W=梺岬がjw(264)
(2.65)
ここに0iノーβノノーz()γノノー6〃
次にQjo鋤十÷は(230)または(231)式より求められ,MM+÷は(2.43)または(244)式
より求められ,その結果は
い+÷=÷脳AillW=-\川棚(l-l5W(266)
MM÷÷=M酬鰄=¥里A",ガノ(l-I5w(M7)
…二二鷺二:jiiW1川
番号"の枕木M+'の枕木の中央における鶚および鶚をそれぞれ(鶚几÷お
よび(鶚川÷とすればに…枕木上における鶚ダ鶚その他を用いて計算する&
とができ,境界条件を論ずる場合に必要となる。
(鶚ル÷=芳型Aijw(269)
座に川一二二:鯏可’‘川)
(鶚L÷=岩川"w,(271)
二こに川=Wcosh÷-MMm÷+(βがⅦ)(ユース51)(・・富h÷-1)
=`…h÷+,恥inh÷+(β"-M(,_巧')(c、.h÷-,)(川)
23-
24 金沢大学工学部紀要3巻1号1963年
次に番号"の枕木と番号"+'の枕木の中央における幾多および窯をそれぞれ
E祭L÷および(鶚L÷とすれば
(鶚ル÷=芳醐棚ハデ(273)
・こにw=÷M1+厨!)=-"'(1-ス5Ⅲ)(274)
(鶚ル÷=器M'(w(275)
二こに昨_÷Wsmh÷+Wcosh÷一十(卜,`,)(1-スハmh÷
=÷帆nh÷+,…h÷+ナル`が)(l-i5』)sinh÷(276)
番号〃の枕木M+1の枕木の中央における〃'および9M値をそれぞれ(〃j)''十÷,(9J)獅十÷
とすればこれらは次式によって計算される。
(功)粁告=芋川棚ハデ(277)
比に肋=αボルチ好+子巧L÷〃| (2.78)
=.,,+子十子十器肪
仙ル+÷=川棚ス5〃 (2.79)
山口WLiiliiIiLIiiiIiLlrい⑩
以上に導いた多数の計算式の中で‘",ごノノ等には2種の計算方法が示されているが,この中で係数
151を多数含む式は式の形が複雑のようであるが,実際の計算においては小さい数の和の形になる場
合が多いので計算の精度が比較的に高い。これに反し,巧’を含むことの少ない式は見掛上式の形が 簡単のようであるが,実際の計算においては大きな数の差があらわれる場合が多いので計算の精度が 低くなる。いずれにしても一方の式で計算を行なった後に他方の式で検算することが望ましい。
これまでに導いたα",βij,……等の諸係数はすべて/,〃/,U,ZUの関数となる。軌道が垂直荷 重を受ける場合には軌道係数と称する唯1箇の係数ですんだことに較べてはるかに複雑となる。よっ て#,〃i,U,20の種々の値に対してあらかじめ数値表を作っておくことは実際上不可能であり,/,
肌U,z(ノの値が与えられた後必要に応じて計算しなければならない。
以上の諸式は横圧力またはモーメントの作用点を含まない半無限の区間について導いたのであるが,
次節以下において軌道の1箇所に横圧力またはモーメントが作用した場合について境界条件を考察し, 積分常数を決定する。軌道に多数の横圧力またはモーメントが各所に散在して作用する場合には1箇
ずつの横圧力またはモーメントによる影響を求め,これを合計すればよい。
24
小野.森下.伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について25
積分常数が決定され,レールの各位置における7,P等が計算されたときにはレールに生ずる曲げ 応力,レール各部の横移動等は次の計算方法によって求めることができる。
レール頭部中心の高さをノb,とし,幅を6,とし,レール底部中心の高さを〃3とし,幅を6sとす れば,左側レール頭部外側に生ずる曲げ応力o41,底部外側に生ずる曲げ応力。43,右側レール頭部内 側に生ずる曲げ応力d21,底部内側に生ずる曲げ応力o蝦は次式によって求められる。
。が=-牛{鵲+(ル÷)鶚)(281)
ここにノー4,2, ノー1,3
同様にして左側レール頭部中心の軌間外方に向う横移動畠1,底部中心の横移動E43,右側レール頭 部中心の軌間内方に向う横移動EzIおよび底部中心の横移動畠3は次式によって求められる。
身,=沈十(卜÷)w,‘(282)
ここにノー4,2,ノー1,3
左右のレールに作用する垂直軸のまわりの曲げモーメントはそれぞれ-EⅡ鶚および-E鴇 に卯て与えられ,また枕木の移動量は弩;:二に〃て計算される。
3.横圧力が枕木の直上においてレールに作用する場合
横圧力およびモーメントが番号Oの枕木の直上においてレールに作用する場合を考察する。このと きにはこの枕木を中心としてレールに生ずる変形は対称となり,番号Oの枕木上においてレールの切 線方向は変形前のレール方向に平行となるはずである。従って
(鶚),三川(鶚),=。(31)
(鶚)Fo,(鶚)。=0(32)
番号Oの枕木の直上において左側レール頭部の受ける横圧力をP4とし,右側レール頭部の受ける 横圧力をP2とすればこれらの力は番号0の枕木に生ずる反力およびこの両側でレールに生ずる剪断 力によって平衡状態にあると考えられるので,番号Oの枕木の両側におけるレール中の剪断力が等し
くなることを考慮すれば次式が導かれる。
R4.0+2Q,,÷=B,R2.0+2Q2,÷=且 (3.3)
同様にして番号Oの枕木の直上において左側レールの受けるモーメントをTlとし,右側レールの
篁蓬ij霊lIj寧 第2図枕木よりレールに作用するカ
ー25-
2e 金沢大学工学部紀要3巻1号1963年
受けるモーメントをT2とし,P4,P2の作用点の高さをレール底面上〃oとすれば,これらのモーメ ントは番号0の枕木よりレールが受ける抵抗モーメントおよびこの枕木の両側においてレール中に生 ずるモーメントによって平衡を保つと考えられるので,レール底面を通りレールの長さ方向に平行な 軸のまわりのモーメントの平衡条件を考慮すればi欠式が得られる。
M,o+2M÷=n+P』ん0,,M,o+2M÷=T2十P2h, (3.4)
以上に導いた諸式を(2.18),(2.19),(2.20),(2.21),(2.29)および(2.42)式を用いて書き直
せば
|鑿仁:’㈹
(鶚)FL
(鶚)。=0,
凪。+2q÷=÷(〃P圏),尺却+2Q圏÷=÷(P汁P圏)(M)
αw+2M÷=÷(T汁PルルM)| (3.7)
岨。+M÷=会(T`+B",+T圏+M)「
ここに得られた8箇の式に前節で導かれた諸式を代入すれば8箇の積分常数A'1,A'2,A13,A'4,
A3,,A32,A33,A34が決定される。計算の便宜上(3.6)および(3.7)式の左辺を
R公。+2⑭。÷=Ⅲ÷+Q`÷,′=1,31 (3.8)
Mo+2ML÷=Ⅲ÷+M,÷,i=L31
と置いてもよい。ここでQ,。_÷および脇._÷は実際上の意義を持つものでなく,(2.66)式また
は(2.67)式における〃に-1を代入して得られる数量である。このようにしてA〃が決定されれ ばワノ,9,/等は(2.53)式その他によって計算され,さらに〃4,〃2,ハP2等は(218),(2.19)式 等を考慮して求められる。
4.横圧力が枕木間の中央においてレールに作用する場合
次に横圧力およびモーメントが番号0の枕木と番号1の枕木の間の中央においてレールに作用する 場合に関して境界条件を考察して積分常数を決定する。レールに生ずる変形は荷重の作用点を中心と して対称になると考えられるので次の境界条件が得られる。
(鶚)÷=0,(鶚)÷=o (4.1)
(鶚)÷=0,(鶚)÷=o (4.2)
レールに作用する横圧力およびモーメントを前節と同様の記号を用いてあらわせば,横圧力および モーメントの作用点の両側においてレールに生ずる剪断力およびモーメントは互に等しく,これらの 和はそれぞれレールに外から作用した横圧力およびモーメントに等しいと考えられるので
2“,告=P‘,2Q2。÷=P,(43)
(4.4)
2M.÷=、+P4h。,2M.÷=T圏十P2ノto
以上の8式を(2.18),(2.19),(220)および(2.21)式を用いて書き換えれば
(鶚)÷=0,(器)÷=。 (4.5)
-26-
小野・森下・伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について
27(鶚)÷=0,(鶚)÷=0(46)
い÷=÷(〃P雪),仏÷=÷(P釧十P恩) (4.7)
ML÷=÷(、+M-冊M)| (4.8)
脇÷=÷(、+M,+T,+M)|
ここに得られた8箇の式に第2節で導かれた諸式を代入すれば8箇の積分常数が決定される。この ようにして積分常数が決定されれば(ワノ)",(仰恥等は第2節で導かれた諸式によって計算されるので あるが,ここで注意すべきことは番号Oの枕木と番号1の枕木との間に外力が作用するのであるから
(2.60),(2.61),(2.63)および(2.64)式に〃=Oを代入して番号0の枕木上における諸数値を求 めることは許されない。
5.ばね常数が無限大となる場合
レールが枕木上で横移動することが許されない場合または枕木が道床中で横移動することが許され ない場合にはばね常数が無限大になると考えられる。たとえばF型タイプレートが使用されている場 合にばねクリップを充分仁締め付けたときにはh,が無限大に近いと考えられ,またコンクリート道床 中に枕木が固定された場合にはん図が無限大になると考えられる。このような場合にはさきに導いた諸 式の中のいくつかを変更する要があり,この点について考察をする。
いまここにAFiを無限大と仮定すれば(2.49)式によって
(v,肺芋(。`ルーo (5.1)
従って(2.53)式において
αj=βノ (5.2)
(2.57)式における〃ノは無限大となり,(2.55)式中の第2式は意義を失う。従って(2.58)式は;次 のように変更される。
(1-6+66z(ノ)yj:I+(3(1-6)+(-1+6zu)(6+c)+6U)yj2
+((-3+U)(6+c)+36ujyj+3u(6+c)=O (5.3)
上式はyjの3次式であり,これよりyjの値が3箇求められる.従ってαj=β/,方,6Jの値も13 箇ずつ求められ,(2.60)式ならびにこれより導かれた諸式は3箇の積分常数を含む式となる。さぎに 境界条件を考察した所によれば‘=1および3に対して4箇ずつの境界条件が要求されるので,積分 常数が3箇では’箇不足する。この点に関して考察した所によれば横圧力の作用する枕木間におけiる 剪断力ならびにこの両隣りの枕木よりレールが受ける横方向の抵抗力は(2.66)および(2.63)式に よってあらわすことはできず,ここに新たな積分常数があらわれることが判明した。次にさきに述べ た2種の荷重状態について積分常数の決定方法を述べる。
先ず横圧力が番号Oの枕木の直上においてレールに作用する場合について考察する。このときには
‘j11Rj.oは(2.63)式によってあらわすことができず,従って(3.6)式はA〃を決定するための式とは
、。↓ならない。残りの3式よりAjjが決定される。このAボノを(266)式に代入してQ`。÷を求め,こ
の値を(3.6)式に代入してRi,oが決定される。
次に横圧力が番号Oの枕木と番号1の枕木の中央においてレールに作用する場合について考察する。
さきに述べたごとく(266)式によってQ`.÷をあらわすことはできず,従ってこの式を用いて誘導
-27-
28
金沢大学工学部紀要3巻1号1963年
した(2.69)式および(2.73)式も〃=0の場合には適用することができない。さきにAノノを決定
するための境界条件として挙げた(45),(46),(47),(48)式の中で(4.7)式はQ心÷を決定
するための式として利用される。震た(45)式における(醗)÷には(269)式を代入せず,次
式を用いる要がある。
偶;L)÷=為Q4÷-号(鶚)!+僻)!(M)
上式の右辺に(4.7),(2.60)および(2.61)式を代入し,この式を0と置けばA〃を決定するた めの一つの条件式になる。横圧力の作用点における曲げモーメントを求めるには(2.73)式が適用で きないので次式を用いる必要がある。
(鶚)÷=-念仏÷+(鶚)! (5.5)
8.計算例
前報告の計算例と同様な軌道構造において横圧力が枕木間の中央に作用した場合について計算を行 なう。すなわち,30kgレール,枕木間隔72cm,I=156cm4,H=543cm5,K=4560cm6,L=
416,000cm'0,ノー32.4cm‘E=2.1×106kg/cm2,G=0.81×106kg/cm2,ル】=14,400kg/cm' ん2=7,200kg/cm,S=720,000k9cmと仮定する。しかるときには(2.50)式によりル3=2880kg
/Cm,(235)式によりオー49291,cosh÷=59243,smh÷=5839a(236)式によ”=O928Z
C=3.9296となる。(2.57)式により〃j=5.4688,〃3=1.0938,U=0.9877,zu=0.02917を得る。
(2.58)式よりyjを求め,(2.56)式よりスノを求め,αi=1とおいて(2.55)式よりβj,γi,Ojを 求め,(2.62)式以降の諸式によってGノその他を計算した結果を下表に示した。この表にはノー4の 場合を省略したが,これはノー3の場合の虚数部の符号を変えればよい。
第1表計算基礎数値
Z 3
2 3 1
j万勿塚吻恥巧勿弥句町吻跡物弥灼吻附
2 31.335
4.446 0.2249
1
1.301 1.848 0.2849
-1.460
-2.187
-0.08731 0.3775
-0.7154-0.8808 1.132 qO2947 0.4710
0.651750.59
103.17 0.009693
1
35.93
5.664 35.06
-2.887
-173.7
-0.3419 0.3517
-0.7566
-15.53
2.860 2.9910.1474 8.429
-0.573+1.938j 0.808+4.11Ij
0.0460-0.2342j
1
0.04274+0.09502ノ 1.471+3.617ノ ー0.03879+0.02270'
-1.597-1.410j 0.1306-0.1993ノ ー0.0339-0.2313ノ 0.02258-0.01145j -0.9308-0.0761' -0.04296-0.09841j
1.193+1.719j-0.00297+0.00277i 0.3739-0.3320j
0.04813+0.03106ノ1.291 4.352
0.22981
2.420 1.805 0.5158
-1.441
-4.001
-0.4237 0.7220
-0.7123
-1.685
1.110
0.0536 0.4762 122553.32
108.63 0.009205
1
185.6
5.680
182.01
-2.893
-900.7
-1.715
1.724
-0.7563
-79.77 2.866
15.52
0.1463 17.34
-0.1225+0.8871j 1.527+2.086j 0.2284-0.3122ノ
1
0.02686+0.02405i 0.2876+1.7610j
-0.00430+0.00505j -0.9700-0.9513ノ
0.00351-0.04897j
0.0999-0.4414j
0.01384-0.00914ノー0.7852-0.25j8j
-0.01566-0.02532j 0.4515+1.0368ノ ー0.000313+0.000638ノ0.5578-0.2857′
0.02148+0.00752ノ -28-
小野・森下.伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について
横圧力が枕木間の中央において軌道に作用するとなし,P4=4000kg,P2=0,Tl=T2=0,
〃o=10.5cmとすれば(4.5),(4.6),(4.7),(48)式に示すごとく,A`ブを求める連立方程式とし
て次式が得られる。
,量i型|瀞遮
|鮒二:
4000これらの連立方程式を解いてA〃を求めた結果は
A1,=0.03840,A12=-0.001547,AI3=-0.01022+0.04773‘,
A14=-0.01022-0.O4773j
A瓢=001688,A32=-0.0002850,A33=0.02903+011396ノ,
ABI=0.02903-0.11396ノ
横圧力の作用点においてレールに生ずる曲げ応力を求めるためにこれらのAノノを用いて次の順序で 計算を進める。
(鶚)÷=蒜則り叩=-0」4,5蒜
(鶚)÷=芳皿洲=-019227
H(鵲)÷=(識)÷+(言夢-)÷=-M417鳥 (網÷=(鶚)÷-(鶚)÷=-0M7急 脚一〃血〃 1’21’2
’一一一〃|Ⅲ皿Ⅲ MM
1妙 一’’’ ’一 00 00 00 0“師3 05〃|皿〃|皿
(劉告=(鶚)÷+(鶚)÷=-000M号
(鶚)÷=(鶚)÷_(鶚)÷=q000054面 ~C〃
いまここに〃]=9.5cm,6,=6.0cm,h3=0.6cm,63=0.6cm,63=10.8cmとして(2.81)式 により左側レールの頭部および底部に生ずる曲げ応力を計算した結果。4,=2751kg'cm'’043=1479 kg/cm2が得られた。これらの値を前報告の計算例に比較すれば,頭部における曲げ応力において18%
増しとなり,底部における曲げ応力において28%増しとなっている。右側レールの頭部内側および底 部内側に生ずる曲げ応力はそれぞれd2,=171kg/cm2およびo23=333kg'cm2となった。
次に横圧力の作用点におけるレール頭部および底部の横移動を求める。
(功)÷=芋M1川=OM9÷
(胸)÷=÷M`川=01055÷
("』)÷=(術)÷+(耐)÷-0W4¥
-29
3O 金沢大学工学部紀要3巻1号1963年
(耐)÷=(術)÷_(",)÷=00636÷
(p,)÷=M1伽=0.01577 帆)÷=雪A3伽ノー0.01526
帆)÷=い)÷+い)÷=0.03103 仇)÷=い)÷-(p,)÷=-0.00051
これらの数値を(2.82)式に代入して左側レール頭部および底部の横移動を計算した結果は 畠,=0.700cm,ど梱=0.424cmとなり,これらの値を前報告の計算例に比較すれば,頭部の横移動 において15%増しとなり,底部における横移動において19%増しとなっている。右側レールの頭部お よび底部の横移動はそれぞれf2,=0.218cm,‘23=0.223cmとなった。
左側レールの小返りは上式に示すごとく3.10%となるが,これは前報告の計算例に比較して9%増
しとなっている。右側レールの小返りは-0.05%となった。
以上の計算例に示すごとくレールに生ずる曲げ応力,レールの横移動および小返りが前報告の計算 例に較べて大きい理由は前報告においてはレールがその全長にわたって枕木により横方向に支えられ ていると仮定したのに対し,今回はレールが等間隔に配置された枕木によって支えられ,枕木間の中 央に横圧力が作用すると仮定したためである。もし枕木の直上においてレールに横圧力が作用した場 合についてレールに生ずる曲げ応力,レールの横移動および小返りを計算すれば前報告の計算値より
小さい値が得られると想像される。
左側レールにおいて荷重の作用点に生ずる垂直軸のまわりの曲げモーメントは
-m(祭)÷=MOkgcm
となり,これは支間75.15cmの単純梁の中央に4000kgの荷重が作用した場合に荷重の作用点に生
ずる曲げ応力に一致する。この支間は枕木間隔にほぼ一致する。
7.レールの振り係数の測定 レールの断面2次モーメントまたはこれに密
接な関連を持つH,KおよびLの値は図式解 法によって容易に求めることができる。しかる にレールのように複雑な形状を持つ断面につい て振り係数を計算または図式解法によって解く ことは不可能であり,実験によって求める要が ある。よってレールの摂り係数を直接に振り試 験による方法と薄膜の類似現象による方法との
2方法で測定した。
(i)レールの振り試験
長さ100cmの新品に近いレールの両端に第 3図に示すような腕を熔接し,この腕によって レールの両端を反対方向に振ってその振りモー メントと振り角とを測定した。腕に加えた力の 大きさをループ式検力計によって測定し,これ
、へ
第3図レールの振り試験
-30
小野・森下・伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について31 に腕の長さを乗じて振りモーメントを求めた。またレールの両端近くに鏡を貼り付けてこの鏡で反射
された物指の目盛りをトランシットで読んで振り角を求めた。いまレールに加えた振りモーメントの 大きさをMとし,レールの両端近くに貼り付けた鏡の間の距離をノとし,これらの鏡の廻転角の差 をoとし,鋼の剪断弾I性係数をGとすればレールの振り係数Jは次式によって求められる。
ノー鶚(71)
37kgレールについて行なった実験の1例を示せばノー64.9cm,M=50,300k9cmのとぎに e=0.0502となり,G=0.81×106kg/cm2とすれば(7.1)式によって./=80.2cm4が得られた。
50,37,30kgレールについて5または6回ずつ振り試験を行ない,各の試験において最大の振り モーメントのとぎおよびこれに近い握りモーメントのとぎ2回,併せて3回の測定値より振り係数を 求めたが,その結果を第2表に示した。この表には標準偏差も併せて記入した。
(ii)薄膜の類似現象によるレールの振り係数の測定
軸の振りを理論的に解く場合にあらわれる微分方程式の形および境界条件と薄膜のたわゑを解く場 合にあらわれる微分方程式の形および境界条件とは相似であり,薄膜のたわゑを測定してこれより軸 の振り係数または剪断応力を求める方法が従来多く採用されている。この方法を用いてレールの振り
係数を求めたが,次にその概略を述べる。
軸の長さ方向をご軸に採り,これに直角に〃,y軸を採る。軸方向の振りによって軸内に生ずる剪
断力は苑,yの函数Pを用いてあらわすことができる。
卯=-鶚,恥一筋(72〕
いまここに0を軸の単位長さ当りの振れ角とすればPは次の微分方程式を満足する要がある。
鶚+祭=-2G,(78〕
軸の周辺上では『ル息と『z,灘の合応力は境界線に沿うて作用しなければならない。この条件を満足す るためにはPは境界線上で常数となることを要し,この値をhとする。軸に作用する振りモーメン
トを〃とすれば次の関係式が導かれる。
昨I艸灘-…ⅧM,=-1ル鶚+’器)`Mjル
ー21ルー肋艸(M)
上式の積分は軸の全断面について行なうものとする。軸の振り係数Jは
ノー器(75)
によって与えられるので上記の微分方程式および境界条件を満足するPが求められれば上式によって‘
軸の振り係数が計算される。しかし複雑な形状についてPを求めることは一般に困難である。
次にこの軸の断面形と等しい形状の孔を平面板に穿ち,この孔に薄膜を張る。この膜がその両面に おける圧力差′によって変形を生じたとぎ薄膜の移動量を”とする。薄膜の単位長さ当りの張力を Tとすれば〃は次の微分方程式を満足しなければならない。
鶚+鶚=-$=(76)
また〃は孔の周辺でoとなるのでzUは?-んと相似の関係にある。よって軸の断面上の任意の 点に対する9-hの値と薄膜上の対蕾応する点のたわゑzUとの比は'常に一定となる。
Q-h-2GO(7.7)
 ̄m--77T-
-31-
躯 金沢大学工学部紀要3巻1号1963年 薄膜の移動前の平面と移動後の曲面との間に挾まれた体積は
v=小山`, (7.8)
によって与えられる。P-hおよび〃を全断面について積分したものについても(7.7)式は成立す
るから
〃/2-2CO
(7.9)
 ̄v ̄ ̄77丁一
上式に(7.5)式を代入すれば
-7-7- ’-4T (7.10)
いま2種類の断面形状を持つ軸の振り係数を八,Lとし,これらの断面に等しい形状の孔をあけた 平板に張られた薄膜によって求めたvの値をそれぞれv,,Pbとする。ただしvi,vhは同一の圧 力差力のもとに同一の張力Tを持つ薄膜によって測定された値である。しかるときは次の関係が成
立つことが(7.10)式によって証明される。
T7-T訂 ハーハ (7.11)
よってLの値を理論的計算によって算出することが困難なとぎには./iを理論的計算によって求 め,リノ1,Vhを実験によって求めれば(7.11)式によって容易にノロが求められる。
以上の原理によって実験を行なうに当って第4図に示すような装置を用いた。先ず円筒の一端(仮
に左側とする)を閉じ,他端(仮に右側とする)
に直径5cmの円形の孔を穿った円板を取付け た。この円形の孔に石鹸膜を張り,石鹸膜の膨ら ゑが一定の指示点に達するまで円筒内に空気を送 った。このためには図の右に示したビーカーを持 ち上げればよく,このときの空気量Viはガラス 管内の水位の上昇によって測定することができ た.次に円筒の左側にレール断面形状と同一の孔 を穿った板を取付け円筒の両面の孔に石鹸膜を張 った。この装置に空気を送れば両面の石鹸膜が同 時に膨らむが,円形の孑Lに鴨った病齢障が弍当ン
|」
時に膨らむが,円形の孔に張った石鹸膜がささと 第4図石鹸膜による振り係数の測定 同一の指示点に達したときの空気量Vi+Vhを
測定した。この値よりさきに測定した空気量J/iを差引けば脇が得られる。ViおよびVi+Vbの 測定におけるPおよびTは一定であると考えられるのでViとVhとの比によって直径5cmの円 形棒の振り係数ノiとレールの振り係数ノカとの比が得られる。半径γの円形断面持つ軸の振り係数は
ハーチァ, (7.12)
によって与えられるのでレールの振り係数ノカは次式によって求められる。
作÷'`帯(川)
実際の測定においては内径4.5mmのガラス棒内の水位の変化によって石鹸膜の膨脹を測定した が,1例を挙げれば直径5cmの円孔に張った石鹸膜がその中心において5.5mm凸出するまでの水 位の変化は33.13cmであり,この裏側に37kgレールと同一の形状を持つ孔をあけた円板を取付け たときには円孔の石鹸膜がきぎと同一の膨脹をするまでの水位の変化は82.25cmであった。従って
37kgレールの孔型に張った石鹸膜の膨脹は水位の変化49.12cmに相当する。直径5cmの円棒の損
-32-
小野・森下・伊藤:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について
33り係数は(7.12)式により61.36cm4となる。従って37kgレールの握り係数は(7.13)式により
作6L36×一芸÷+号=9LOOcm‘
となる。各種断面のレールについて各10回以上の測定をなしたが,その平均値および標準偏差を第2 表に示した。
(iii)測定結果
第2表レールの振り係数
50kgレール 37kgレール 30kgレール
基墨;鯏襲||::鰯:!::! 79.84士0.98cm4 91.00±1.97cm4
50.72±1.54cm4 54.18±0.86cm4
上表によれば一般に薄膜の類似現象を用いて測定したレールの振り係数はレールの振り試験より得 られた振り係数の約10%増しとなったが,この理由として考えられることは(7.6)式は薄膜の平板に,
対する傾斜角が充分に小さい場合に限って成立するが,実際上ではレール腹部の両側面近くにおいて この傾斜角が相当大ぎかつたためと考えられる。またさぎの計算例において30kgレールの振り係数を 32.4cm4と仮定したことは今回の測定値に較べてはなはだ小さいが,これは第10報の計算例で使った 数値をそのまま今回も使ったためであり,このときにはIビームと同様にレールを頭部,腹部,底部 の3部分に分ち,冬の振り振数を計算によって求め,これを加え併せたのである。しかしこのように して求めた振り係数がレールの全断面を同時に考慮して求めた振り係数より相当小さくなるであろう ことはレールの頭部,腹部,底部の形状を持つ孔に石鹸膜を張り冬の振り係数を求めた場合とレール 全断面の形状を持つ孔に石鹸膜を張って振り係数を求めた場合とを比較することによっても容易に想 像することができる。
参考文献
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和27年5月
小野一良:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について,第3報,32ページより,金沢大学工学 部紀要第1巻γ第3号昭和29年12月
小野一良:曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力’30ページより,鉄道業務研究資料第13巻第 14,15号,昭和31年8月
佐藤裕:横圧に対する軌道強さ(Ⅱ),鉄道技術研究資料第14巻第3号,昭和32年3月 小野一良:分岐器が蒸気機関車より受る横圧力(第2報)19ページより,鉄道技術研究資料第14巻
第13号,昭和33年1月
佐藤裕:横圧に対する軌道強度の研究,46ページより,鉄道技術研究報告,第110号,昭和35年 小野一良,抓場重正,成瀬忠明冠曲線軌道が蒸気機関車より受ける横圧力について,第9報,金沢大
2月学工学部紀要第2巻第4号,昭和35年12月
佐藤裕:軌道の横強度理論:(1),土木学会論文集第5号昭和25年11月 佐藤裕:軌道の横強度理論(Ⅱ),土木学会論文集第6号昭和26年8月
佐藤裕:横圧に対する軌道強度(1),鉄道業務研究資料,第弘巻第12号昭和25年8月 佐藤裕鷺横圧に対する軌道強さ(Ⅱ),鉄道技術研究資料第14巻第3号昭和32年3月 佐藤裕:横圧に対する軌道強度の研究,鉄道技術研究報告第110号昭和85年2月 上記の論文の外
千秋邦夫:軌条二作用スル横圧力i,業務研究資料第21巻第9号昭和8年5月 千秋邦夫:軌条に作用する横圧力)土木学会誌第27巻第8号一昭和16年8月
八十島義之介:レールのねじれの理論について,土木学会誌第35巻第11号昭和25年11月 1)
2)
3)
4)
-33-