埼玉県 追補
著者 吉田 考造
雑誌名 植物地理・分類研究
巻 60
号 2
ページ 12
発行年 2013‑03‑01
URL http://doi.org/10.24517/00053500
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
吉田考造(〒369-1412 埼玉県秩父郡皆野町皆野1065-1 [email protected])
11.埼玉県 追補
(A) 植物誌
『1998年版 埼玉県植物誌』(埼玉県教育委員会
1998)の刊行後,調査組織「埼玉県植物誌調査会」
は「埼玉県絶滅危惧植物種調査団」に継承された。
さらに,維管束植物群を主とした任意の有志による
「さいたま植物資料研究会」も新たに結成され,会 誌『さいたま植物通信』を
1999
年4
月から年4
回 発行で2009
年1
月までに40
号を出し,終刊してい る。掲載種は在来の自生種や帰化種,外来種に限ら ず,園芸種や植栽種の逸出なども取り上げ,新たな 分布情報等を掲載している。これらの通信は合本1
巻(A4
-178
頁, 2007
),2
巻(A4
-214
頁, 2010
) にまとめられ,次期植物誌改定(未定)や後述の「レッドデータブック」等の参考資料となっている。
一方,
2000
年以降,出版された市町村史は『小 川町の自然- 小川町の歴史 別巻[3
]』(2003
),『岡部町史-自然編(植物)』(2004),『鳩山の自然―
鳩山町史 別巻
3』(2005),『越生の自然2008
-越 生町史自然編』(2008
)で地域のフロラを紹介して いる。また,その他各種団体等からの報告もある。一例として,『甲武信岳を中心とした奥秩父(埼玉 県側)高等植物調査報告書』(秩父の環境を考える 会
2000
),『秩父山地の回廊(コリドー)の植物』(秩父の環境を考える会
2005
),『渡良瀬遊水地の 植物図鑑』(渡良瀬遊水地アクリメーション振興財 団 2008),『野生植物が語る武蔵野の景観』(入間 市博物館2010
)などが挙げられる。(B) 研究機関
埼玉県立自然の博物館(
2006
年に自然史博物館 から現在の館名に変更)から発行される年1
回の研 究報告書にフロラや埼玉新産種等の分布記録が掲載 される。また,県立高等学校の生物教員で構成する 埼玉県高等学校生物研究会が年1
回発行する『埼玉 生物』では,県内各地で行われた調査結果が掲載さ れ,フロラ研究の基礎資料となっている。さらに,東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林秩父 演習林では,秩父演習林の普及解説書としての小冊 子の発行(現在
12
冊)などとともに演習林内の植 物調査も行っている(東京大学秩父演習林の植物.演習林 44: 73-119, 2005)。
(C) 標本庫
埼玉県立自然の博物館には,県内外で収集された 登録標本資料が現在,約
73,000
点,うち維管束植 物標本が約59,600
点収蔵されている。これらの登 録資料は,前身の「秩父自然科学博物館」,館名変更前の「埼玉県立自然史博物館」時代から継承さ れ整理されたものである。また,『1998年版埼玉県 植物誌』編纂のために「埼玉県植物誌調査会」が収 集した標本資料を含め,後の「さいたま植物資料研 究会」や「絶滅危惧植物種調査団」が収集した資料 がまだ数多く未整理状態で収蔵されている。
整理の終わった登録資料においては,順次,収蔵 資料目録の発行や,最近では,地球規模生物多様性 機構(
GBIF
)日本ノードポータルサイトへのデー タ提供も行っている。因みに被子,裸子,コケ植物 を合わせて約52,600点がWebで公開されている。(D) レッドデータブック
NPO
法人埼玉県絶滅危惧植物種調査団(2007
年 に法人化,2009
年に解散した「さいたま植物資料 研究会」が合流)が埼玉県から受託した「埼玉県 レッドデータブック植物編改定調査」に基づき,『改 定埼玉県レッドデータブック植物編2005』(埼玉県2005),『埼玉県の希少野生生物
埼玉県レッドデータブック植物編
2011
』(埼玉県2011
)が出版・公 開されている。総数1,031
種(2005
年版では1,035
種;以下カッコ内種数は2005
年版を指す)が絶滅 危惧種にリストアップされ,各分類群では維管束植 物764
種(769
種),蘚苔類114
種(107
種),藻類31
種(31
種),地衣類69
種(65
種),菌類53
種(63
種)となっている。また,上記の
NPO調査団はレッドデータブック
と併行して,埼玉県が条例で指定する「県内希少野 生動植物種選定(植物:現在まで19
種が指定)」に ついても,受託し継続調査を実施している。(E) 植物群落
『植物群落レッドデータ・ブック』(日本自然保護 協会 1996)において,全国で
7,492件,うち埼玉
県から88
件の植物群落が掲載されている。『改定埼 玉県レッドデータブック植物編2005
』では,それ らに基づき,消滅のおそれのある植物群落として,市町村ごとに
367
件が掲載された。2011
年版のブッ クでは,さらに,重要な群落を抽出し,体系的に整 理し,タイプごとにまとめ,保護上重要な植物群落 として,78
群落(338
件)が選定され,保全管理に 視点を置いた内容となっている。なお,記録として,すでに絶滅している群落等も含められている。
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-植物地理・分類研究 第 60 巻第 2 号 2013 年 3 月