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に及 ぼす学校 の教育的活動の効果

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に及 ぼす学校 の教育的活動の効果

一 中学校 の部活動 に焦点 をあてて‑

藤 田 武 志

問題の所在

公立の小 ・中学校 にはさまざまな家庭的背景 を背負 った子 どもたちが通 って くる 代 の 日本社会で も,それぞれの子 どもたちの出身家庭の経済 ・社会的地位 には格差が存 在 している また,その ような格差は拡大 しつつあるという指摘 も存在する (橘木1998, 佐藤 2000な ど)。では,その ような格差 に対 し,学校で行 われているさまざまな教育的 活動 はどの ような機能 を果た しているのだろうか。 また,進行 しつつ ある教育改革は, 格差問題 に対 して どの ような影響 を及ぼす可能性があるのだろうか。

周知の とお り,高度経済成長以前の 日本社会は経済 ・社会的な格差が大 きく,そうい った格差 に起 因す る学業成績や進学希望の違いを是正する取 り組み も学校 に期待 される 重要な仕事の一つであった。 しか しその後,格差が相対的に縮小 し,見 えに くくなって い く そのなかで学校現場 においては,格差の存在 を指摘すること自体が 「差別感 生み出す として忌避 され,格差への対処ではな く,子 どもたちに格差 を感 じさせない よ (1) う 「平等に取 り扱 う取 り組みがなされるようになっていったのである (苅谷 1994)。

しか し,教育社会学的な研究 においては,家庭的背景の違いによる進学希望の格差は繰 り返 し報告 されてお り (潮木 ・佐藤 1979,西田 1990,東京都立大学教育学研究室1992, 中村他編2002な ど), また,最近の学力低下問題では学力低下 と家庭 的背景 との結びつ きが指摘 されている (「中央公論編集部 ・中井編200 1)。

一方,学校 におけるさま ざまな教育的活動 にも大 きく変化が生 じつつある た とえば, 2002年度か らの新学習指導要領の完全実施 によって,中学校 と高校の クラブ活動が廃止

される とともに,部活動の縮小や社会体育‑の移行 といった動 きが進行 している しか し,その ような動 きの原動力である現在の教育改革‑ 学校縮小論や教育 自由化論 を基

ふ じた ・たけ し/上越教育大学

キーワー ド/家庭的背景,進学希望,教育的活動の効果,中学校部活動

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(2)

教育経営研究 8 2002・3

調 とす る‑ については,階層差 の拡大 の危険性 が指摘 されてい る (藤 田 2000)す な わち,子 どもの教 育 に対す る家庭 ・保護者の責任 と権 限 が拡大 され,子 ど もの生 活 が家 庭 の経 済資本 ・文化資本 ・社 会資本 に左右 される度合 いが高 まる とい うのであ る 実際, 荒川 は,文化的活動 やスポーツ活動 を経験 す る機 会 に関す る家庭 的背景 に よる格 差 を中 学校 の部 活動が縮減 している と指摘 してお り (西 島他 2002), 白松 は,家庭 的背景 の影 響 を統 制 した上 で も,高校生 の部 活動へ の参加が学業成 績 に間接 的 な影響 を与 えてい る こ とを明 らか に してい る (自松 1993)つ ま り,部 活動 は家庭 的背景 の格 差 を縮 め る役 割 を果 た してい るのであ り,部活動 の縮小 や改廃 もさ まざ まな点 で階層 差 の拡 大 につ な

(2) が る危 険性 をは らんでい るのであ る 特 に,大多数 の生徒 が参加 す る中学校 で は,部活 動 の変化 の影響が大 きな もの とな り,彼 らの進学希望 に もその影響 が及ぶ可 能性 が あ る

しか し,生 じつつある部活動 の改 革 は,必ず しも部活動 の機能 に関す る調査 ・研 究 を もとに行 われてい る とは言 い難 い (藤 田武志 2001)それ どころか,進行 しつ つ あ る教 育改 革 自体が,必 ず しも確 固 と したデー タに基づ いてお らず, ムー ドに流 されが ちであ る とも指摘 されてい る (藤 田英典 2001)。 だ とすれ ば,い ま必 要 とされ てい るの は,千 どもた ちの進学希望 と家庭 的背景 との関係 を検討 す る と同時 に,そ こに部活動 が いか な る役 割 を果 た しているのか を, きちん と したデー タに よって明 らか にす る こ とで はない だろ うか。

部 活動 の機能 を明 らか にす る こ とには,次 の四つ の意義 を指摘 す る こ とが で きる

‑ に,学校 は社 会の平等化 では な く,社会的不平等 の再生 産 とその正 当化 に役立 つ に過 ぎない とい う学校文化論 か らの学校批判 (志水 1990)に応 え, 日本 の学校 の教 育 的活動 が社 会的不平等 に対 して どの ような役割 を果た してい るのか を見つ め直す こ とが で きる

第二 に,学校 にアカウンタビ リテ ィが要請 されてい る現在 ,学校 の教 育 的活動 の機 能 を明 らか にす るこ とは,学校 の説 明責任 を果たす方途 の一 つ とな りうる

第三 に, 日本 の学校 の特徴 の一つ をとらえ直す こ とが で きる 日本 の学校 は,進学希 望 に直接 的 な影響 を与 える教科 の学習活動 だけで な く,学校行事 や部活動 ,委 貞 会活動 な どの多様 な活動 を してい る ところに特徴がある とい う (cummings訳書1981,藤 田 ・ 熊谷 2002)それゆえ,教 科 の学 習活動以外 の活動 が進学 希望 の格差 に どの よ うな影響

を及 ぼ してい るのか を検討 す る こ とは, 日本の学校 の特 徴 の一端 を再評価 す る こ とにつ なが るだろ う

第 四 に,部活動 の機 能の検討 は,改革 に伴 う現在 の動 向が学校教 育 に どの ようなイ ン パ ク トを与 える可能性 があるのか を考察す るための試金石 とな りうる

以 上 の こ とか ら,本稿 では7都 県 において中学2年生 に対 して行 った質問紙調 査 のデ ー タに もとづ き,家庭 的背景 に よる進学希望の格差 に対 して部活動 が いか なる機 能 を果 た してい るか を検討 し,その作 業 を通 して, 日本 の学校 の現状 と,進行 しつつ あ る教 育 改革の影響 について考察す るこ とを主題 とする

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Ⅱ 先行研究の検討 と課題の設定

中学校 の部活動 の機能 に関する先行研究 を検討 し,本稿の課題 を設定 しよう。

第一 に,部活動 と向学校性の関連 に関す る諸研究が挙げ られる。高旗 らは,授業 に対 する意識や態度 と部活動の経験 などの関連 を調べ,部活動経験のあるほうが授業 に対 し て積極的 に取 り組 む ことを示 した (高旗他 1996)。 また,授業以外 の場面 をも検討 した 書村 らは,学校生活の意識や態度 と,部活動 の経験 との関連 を調べ,部活動加入者のほ うが積極性, 自己表現,学校への満足度 などが高いことを見出 している (吉村他 1994)0 さらに藤 田は,向学校性 に大 きな効果 を持つ学業成績の影響 をコン トロール した上で も, 部活動への コミッ トメン トの度合いが,学校 的秩序 に対す る生徒の適応 に独 自の効果 を 持 っていることを指摘 している (藤田2001)。この ように,部活動へ の参加が授業への 取 り組みや積極性 を高める機能 を果た しているのであれば,その結果 として,進学希望 にも影響 を及ぼす ことが予想 される。 しか し, これ らの研究はその点 について考察 して はいない。

そこで第二 に,部活動 と進学希望の関係 について検討 した研究 を見てみ よう。藤田は, 学業成績 を統制 した上で も,中学生の部活動への取 り組み方が進学希望 と関係 している

ことを見出 した (西島他 2000,西島他 2002)。 しか し,家庭的背景の影響 は検討 してお らず, また,部活動への取 り組み と進学希望 とをつな ぐ要因については,向学校性の存 在 を仮説的に指摘 したにとどまっている

それ らの点 について,第三に,高校の部活動 を対象 とした研究が参考 になる。白松 は, 保護者の学歴 な どの家庭的背景 を考慮 した上で,部活劫‑の参加が学校への適応 に正の 影響 を及 ぼす こ とによって学業成績 に効果 を与 えている とい う (白松 1993)。つ ま り, 部活動 と学業成績 が向学校性 によって媒介 されているのである その一方で白松 は,部 活動の効果 は進学希望 には及んでいない と指摘 している しか し,高校の階層構造のな かにすで に配分 されて しまった後の高校生 よ りも,未分化の状態 にある中学生 に対 して のほうが,進学希望 に村する部活動の効果 は大 きいのではないだろうか。

以上の検討 か ら,本稿では次の二つの課題 を設定する 第一に,家庭的背景 を考慮 し た場合 に,中学生 の部活動への参加や取 り組み方 は進学希望 にどの ような影響 を与 えて いるのか を検討す ることである。その上で第二 に,部活動への参加や取 り組み方 と,進 学希望の両者 を媒介する要因 として向学校性 を設定 し,それ ら三者の関係 を検討す るこ とである これ らの課題 を検討することによって,上記の主題 を追究 してい くことにし よう。

1

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教育経営研究 8 2002・3

Ⅲ 研究方法

本稿 で用 いるデータは,中学生2年生4080人 を対象 に,20013月に行 った学校通 し (3)

の質問紙調査 (「中学生の意識 と行動 に関する調査」)か ら得 られた。質問紙調査 の主 な 内容 は,学校生活の ようす,部活動 や地域 の活動へ のかかわ り,家庭環境,友人関係 な どである。対象地区は,地域性 ,学校規模 ,中学校 の密集度 を考慮 して,東京都 (7 670人),新潟県 (6校529人),岐阜県 (4校824人),静 岡県 (6校629人),島根 県 (4 校370人),高知県 .(4校460人),鹿児島県 (3校598人)の16県 とし,それ ら都県 内 で何 らかの部活動でめだった活躍 の見 られる中学校 を選定 した また,対象学年 は,部 活動 の中心 として活躍 してお り, これか ら進路選択 を考 えは じめ る時期 である2年生 と

した。

調査対象校34校 の うち22校では部活動加入 を義務づ けていないが,調査対象者全体の 部活動加入率 は89.7%である また,部活動の加入 ・非加入 を尋 ねた設 問 と,部活動 の 退部経験 を尋 ねた設問 をクロス集計 した結果,部活動 に非加入で,かつ,部活動 の退部 経験 もない生徒,すなわち,部活動 にまった く関わ らなか った と考 え られ る生徒 は全体 の2.8%に過 ぎない。 これまでの諸調査 の指摘 と同様 ,本調査 の調査対象者 も,大多数が 部活動 を経験 している なお, さらなる調査の詳細 につ いては,西島他 (2002)を参照

されたい。

家庭的背景 と進学希望

は じめ に,経済的な豊か さな どの家庭的背景 による進学希望 の相違 について確 かめ よ う。 なお,進学希望は,「あなたは,中学校 を卒業 したあ とどの ような進路 を考 えてい ま すかと,最終的 に希望する進学段 階 を尋ねた設問の回答 によって測 る ことにす る。 ま た,家庭 的背景 については,中学生 に家庭の収入 を学校通 しの質問紙調査 で尋 ね ること は困難 であ り,た とえ尋ねたとして も正確 な回答が返 って くることは期待 しがたいため,(4) (5)

物質的豊か さ指標」を経済的な豊か さを測る代替的指標 として用いることにす る。

進学希望 と物質的な豊か さとの関係 を検討するため,進学希望 を尋ねた設 問の回答 を 教育年数 に置 き換 え,その平均値 を,三つ に分けた物 質的 な豊か さ群 ごとに比較 した。

分 散 分析 の結果 ,進学希望 と物 質 的豊 か さ指標 (3段 階) との関係 は有 意 で あ り (F=77.908,si£.≡.000),図 1に示 した ように,経済的 に豊 かなほ ど平均進学希望年数が高

くなっている

しか し,進学希望は学業成績 に規定 される部分 も大 きい ことは もちろん予測 される と ころであ る。では,物質的な豊か さは学業成績 とは独立 して進学希望 に影響 を与 えてい るの だ ろ うか。その ことを検討 す るため,学業成績別 に進学希望 と物 質的豊 か さ指標

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(5)

図1 物質的な豊かさと進学希望 図2 学業成績別の物質的な豊 かさと進学希望 15.5

15 14.5 14 13.5

13 12.5

555443322111111

豊かさ下 豊かさ中

図3 学業成績下位群の 家庭背景 と進学希望

豊かさ下 豊かさ中 豊かさ上

豊かさ上

14.5

14

13

.

5

1 3 1 2

.

5

12

15.5 15 14.5

14 13.5 13 12.5

豊かさ下

4 学業成績中位群 の 家庭背景 と進学希望

豊かさ下 豊かさ中 豊かさ上

豊かさ中 豊かさ上

14.5 14 13.5 13 12.5 12

図5 学業成績上位群の 家庭背景 と進学希望

豊かさ下 豊かさ中 豊かさ上

‑ 詣 義 一 ‑詣 芸

(3段 階)の関係 を調べてみ よう。なお,学業成績 は5段 階で 自己申告 して もらった設問 「1・2」,「3」,「4・5」に三分割 したもの を用 いた。

分散分析の結果,いずれの学業成績 において も進学希望 と物質的豊か さ指標 との関係 は有意であ り (学業成績下位 :F=16.424,si基.≡.000,学業成績 中位 :F=16.135,si菩.≡.000, 学業成績上位 :F=18.030,sig.≡.000),図2に見 られ る ように,や は り経済的 に豊 かであ

るほうが進学希望 も高 くなっているのである

本調査 で も,物 質的な豊か さ指標で代替 した経済的地位 の高 さによる進学希望の相逮 が確認 された。経済的な背景 は,学業成績 とは独立 して進学希望 に影響 を及 ぼ している のである。 これ を踏 まえ,部活動への参加や取 り組 み方 と進学希望 との関係 を検討 して いこう。

部活動 と進学希望

まず,部活劫‑の コミッ トメ ン トの違いによって,家庭的背景 と進学希望 の関係 が異(6) なっているのか どうかを探 ってい こう

部活動へのコ ミッ トメン トは,部活動 に対する意識 と行動の両面 か ら測 る すなわち,

部活動が好 きだとい う設問 に肯定的に回答 し,かつ,「部活動 に どの くらい力 を入れ てい ますかとい う設由 に 「力 を入れていると回答 した生徒 を 「コミッ トメ ン ト高群

(65.6%)とし,それ以外 を 「コミッ トメン ト低群(34.4%) と‑した。それぞれの群 にお

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(6)

教育経営研究

1 進学希望を目的変数とした重回帰分析(1) 説明変数

(定数) 学業成績 物質的豊かさ指標 部活コミッ トダミー

ll.973 ***

.533 ***

.062 ***

.119 * adj.R2

sig.

*p<.05,***p<.001 数値は非標準化回帰係数

ける家庭的背景 と進学希望の関係 を,学 業成績別 にグラフ化 した ものが図3‑ 5 である

図か ら,いずれの学業成績で もコミッ トメ ン ト高群の グラフのほ うが,コミッ トメン ト低群のそれ よ りも傾 きが小 さい ことが読み とれ るOつ ま り,部活動への コミッ トメン トの高い群 のほうが,家庭 的背景の違いによる進学希望の格差が小

さいのである また,特 に 「豊 か さ下

のグループでは, どの学業成績 で も, コミッ トメ ン ト高群の平均値が コ ミッ トメン ト低 群 よ りも高い ことも注 目される これ らか ら,部活動‑ の コ ミッ トメ ン トは,家庭的背 景 による進学希望 の格差 を縮めていることが うかがわれるのである

では,家庭 的背景 や学業成績 ,部活動へ の取 り組み方 な どの要因 を同時 に考慮 した場 合,部活動へ の取 り組 み方 は進学希望 に対 して独 自の影響力 を与 えてい るのだろ うか。

その点 を確 かめるため,進学希望 を目的変数 とした重 回帰分析 を行 い,その結果 を表1 に示 した。

説明変数 として投入 したのは,学業成績 (5段階),物質的豊か さ指標 ,部活動への コ ミッ トメン ト高位群 に1を割 り当てた部活 コミッ トダミーである 表 に明 らかなように, 部活 コミッ トダミーは 5%水準 で有意であ り,学業成績 や物質的 な豊 か さを統制 した上 で も,進学希望 に正の影響 を及 ぼ している。

この ように,部活動への熱心 な取 り組みは,学業成績や物質的な豊 か さとは独立 して, 進学希望 を高める効果 を発揮 しているのである。

ⅤⅠ部活動 と進学希望をつなぐメカニズム

部活動への参加や取 り組み方 は,いか に進学希望 に影響 を及ぼすの だろうか。 ここで は,部活動‑ の参加や取 り組みが向学校性‑ 学校 の諸活動や秩序 に対 す る適応のあ り よう‑ を高める ことで,進学希望 に も影響 を与 える とい う 「向学校性 モデルを検討 しよう

向学校性 については,高い学業成績が向学校性 を高めることで進学希望 に影響す る と 指摘 されて きた (耳塚 1980)。そ こで まず,部活動への参加や取 り組 み方が,学業成績 とは独立 して向学校性 に影響 を与 えているか どうか を確 かめてお こう なお,向学校性 は次の四点か ら多面的 にとらえることにす る す なわち,学業 に対 す る適応 (授業 中, 先生 の話 を きちん と聞い てい る」 とい う設 問,以下 同様 ),学校 の規 範 に対す る適応

(学校の きま りをきちん と守 っている」),教 師に対する適応 (学校 の先生 と話 をするの

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(7)

は好 きだ 」), 学 校 全 般 に対 す る適 応 (学校 は楽 しい」) の四つ であ る それ ぞれの設問 に対 す る四点尺度の回答 を主 成分分析 にかけ,抽 出 された第(71)主成分

を 「向学校性指標」 として用いる

2は,向学校性指標 を目的変数 とし た重回帰分析 の結果である。部活動‑ の 取 り組み方 は,学業成績 とは独立 して向 学校性 に対 して効果 を及ぼ してい るこ と が確認 された。そ こで次 に,向学校 モデ ルを検証す ることに しよう。

3は,進学希望 を目的変数 と した重 回帰分析 の結果である。 なお,モデル1 は表 1の再掲 であ る モデル1に向学校 性指標 を加 えた ものがモデ ル2で あ る。

モデル2では,向学校性指標が,進学希 望 に対 して0.1%水 準 で有 意 な正 の影響 を与 えてい る。一方,モデル1と比べ , モデル2における部活 コミッ トダ ミーの

2 向学校性指標 を目的変数 とした重回帰分析

***p<.001 数値は非標準化回帰係数

3 進学希望 を目的変数 とした重回帰分析(2)

説明変数 モデルB 1 モデルB 2 (定数) ll.973*** 12.090***

学業成績 .533*** .503***

物質的豊かさ指標 .062*** .063***

部活コミットダミー .119* .052 向学校性指標 .074 ***

adj.R2 .186 .191

*p<.05,***p<.001 数値は非標準化回帰係数

回帰係数値 は大幅 に減少 している これ

は,進学希望 に対す る部活 コミッ トダ ミーの効果が,モデル2で投入 した向学校性指標 (8)

に媒介 された こ とを示 してい よう。つ ま り,部活動への コミッ トメ ン トが,向学校性 を 経 由 して進学希望 に影響 してい るのである。それゆえ,部活劫‑の取 り組み方が,学校 の諸活動 や秩序 に対する適応 に影響 を与 えるこ とで進学希望 に効果 を及ぼす とい う向学 校 モデルは検証 された と言 えるだろう

先行研究では,高校生の場合,進学希望 に対す る部活動の効果が確認 されなかったが, 本研究の分析結果か らは,進路 の流動性 の高 さや部活動‑の参加率の高 さなどか ら,中 ' 学生の場合,部活動の及ぼす効果が よ り大 きい ことが うかがわれる

l T Ⅰ Ⅰ

結論

ここで本稿の知見 をまとめ,その含意 について考察することに しよう

まず,家庭 的背景要因を考慮 した場合 に,部活動への参加や取 り組み方 は進学希望 に どのような影響 を与 えているのか とい う第一の課題 について,次 の ような知見 を得 るこ とがで きた。す なわち,学業成績 を統制 した上 で も,部活動へ の参加や取 り組み方 は, 家庭的背景要因の違いによって生 じてい る進学希望の格差 を縮め る働 きを してい るので

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教育経営研究

ある

次 に,部活動への参加や取 り組み方,進学希望,向学校性 とい う三者の関係 を検討す る とい う第二の課題 については,部活動への参加や取 り組み方が,向学校性 を経 由 して 進学希望 に影響 を与えているとい う 「向学校モデルが検証 された。

では, これ らの知見か ら, 日本の学校 の現状 と,進行 しつつある教育改革の影響 につ いていかなる示唆 を得 ることがで きるだろうか。以下,四点にわたって考察する。

第‑ に,出身家庭の経済的 な背景 による進学希望の相違が確認 されたことは,現代 日 本の学校 にも不平等が存在 していることを意味 している 家庭 と同時に学校 も生徒 たち の進学希望 に大 きな影響 を与 えるエージェン トであることを鑑みれば,その不平等 を見 据 えた上で学校の教育的活動 を組織化 してい く必要性が示唆 される

第二 に,出身家庭 に起 因する進学希望の縮小 とい う役割 をも部活動が担 っていること は,社会的不平等の再生産やその正当化 に学校が貢献 しているとい う批判 を受 けなが ら も, 日本の学校 には社会的不平等 を是正する役割 を果たす部分があることを示 している。

それは同時に,学習活動以外 の多様 な活動 を組織 しているとい う日本の学校 の特徴 は, 社会的不平等の縮小 とい う観点か らも評価 されるべ きもの として とらえうることを示唆

している

第三に,部活動の縮小や社会体育への移行 は,不平等の縮減 とい う機能 を果 たす装置 を縮小,あるいは破棄することにつながる可能性がある 現在の教育改革が,学校 を教 科の学習活動の場 に純化 ・縮小する方向性 をもっているとすれば,それは不平等の拡大 に寄与 して しまう危険性 も兼ね備 えていることが示唆 される

第四に,関連性の見 えに くい部活動 と進学希望 との間にも関係が見出された ことは, 教育的活動の効果 を測 る観点の重要性 と,観点 を明確 に した上で,データをも って検討 することの必要性 を示唆 している それは,学校が 自らの教育的活動への説明責任 を果 たす際 にも,教育改革 について論 じる際 にも必要だろ う さらに言 えば,行 われた改革 に対する評価 について も同様 である た とえば,広 田 も指摘するように,マス メデ ィア で も喧伝 された偏差値追放 の効 果 は,その後 まった く検討 されていない (広 田 ・黒沢 2002)。改革前の弊害の状況 と,改革後の改善状況の検討のないまま改革が繰 り返 し行わ れて きた轍 を,私たちは現在 も踏みつづ けているのである それゆえ,進行 中の部活動 改革 についても慎重 な検討 と評価が必要である

本研究では,部活動の種類や形態別の効果や,部活動以外の教育的活動の検討 ,また, 時系列的な変化の検討 などは行 ってお らず,残 された課題 は少 な くない。今後 は,それ

らの課題 の追究 を通 して,私 たちが よく知 っているようで実はあま りよく分 か っていな い学校 の現在のあ りようと,進 むべ き方向について考察 しつづけることが肝要である

t註】

(1) もちろん,現在で も同和地区出身の子 どもたちの学力保障への取 り組みに見 られる ように,子 ど

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(9)

もたちの家庭背景の違いへの対応 は連綿 と続 いてお り, さまざまな成果が生みだ されて きた。 しか し,家庭背景の違いによる学業達成や教育達成の格差の問題 を同和問題 として限定 して とらえるこ とによって,その ような格差が一般的に存在 していることは却 って覆い隠 されて しまうことにもな ったのではないか とい う指摘 も存在する (苅谷1997)。もっとも,同和地区に焦点化 しつつ も,地区 外 における社会階層 について も考察 を した研 究がないわけではない。た とえば,神原 (2000 )を参

照 。

(2) 中学生の場合,3年間の学校生活を通 して まった く部活動 に入 らなかった生徒がわずか1.9%であ る とい うデー タに見 られるように (ベネ ッセ教育研究所編2000),教科の学習活動 に匹敵するほど, 大多数の生徒が学校で 日常的に関わ りを持つ教育的活動である

(3)なお,調査対象 として私立中学校が一校含 まれていたが,本稿では公立中学校 の教育的活動のあ りようを探究するため,その学校 を分析対象 から外 している。

(4)指標 は次の手続 きで作成 した。用いた設問は,「あなたの家 には,次の ものがあ りますか」 と尋 ねるもので,選択肢 は 「ゴルフセ ット,望遠鏡 ・顕微鏡,パ ソコン,美術 品 ・骨董品, ファックス,

ピア ノ, ビデオカメラ」 の七つ を用意 し,多肢選択で回答 して もらった。所有 してい る場合 には, それぞれの所有率の逆数 を割 り当て,所有 していない場合 には 0を割 り当てたそれ らの数値 を単 純合計 して得た数億 を 「物質的豊か さ指標」 として用いる なお,分散分析や クロス集計 などの場 合 には,指標の数値 をパーセ ンタイルに基づ いて3分割 した ものを用い,数値の大 きな ものか らそ れぞれ 「豊か さ上 ・豊か さ中 ・豊か さ下」 と表す ことにする

(5)この指標が物質的な豊か さを示す指標 としての妥当性 を次の ように検討 した総務庁青少年対策 本部が 0歳か ら15歳の子 どもを持 つ親 を対象 に行 ったサ ンプリング調査 において,子 どもへの進学 期待 を尋ねた設問では,三つ に分割 した収入階層別 に大学以上 を期待す る親の割合 を調べている

その割合の全体 の平均値 に対す る,それぞれの収入階層 における割合の比は,低所得 :中所得:高所 ‑0.8:1.1:1.2であった われわれの調査 か ら同様の数値 を算 出する と,豊か さ下:豊 か さ中:豊か さ ‑0.6:1.1:1.3とな り,それほど大 きな違いはない。親 による進学期待が高めにな りが ちであるとい

うバ イアス も考慮すれば,われわれの指標 はほぼ妥当なものだ と言えるだろう

(6)部活動の縮小や改廃が行 われる場合,部活動か らまず撤退 してい くのは部活動への コミッ トメン トが低い群か らである と考 えられ ようそのため,現在の部活動 に対す るコミッ トメ ン トの違いに 注 目 した分析は,部活動 の縮小や改廃の影響 を予想するのに一定の有効性 を持つ と言 えるだろう。

(7)主成分分析では,固有値 1を基準 として二つの主成分が抽出 された。第1主成分 はすべての変数 について因子負荷量が高 く,分散 の46%が この主成分で説明 されるそのため,第 1主成分 を学校 適応指標 として用いることに した。

(8) もっとも,学業成績の回帰係数値 も若干小 さくなっているため,学業成績には,教育 アス ピレー シ ョンに対す る直接効果 だけではな く,学校 適応 を媒介 とす る間接効果 も存在 してい る と言 える。

それに対 し,物質的豊か さ指標の回帰係数値 にはほ とん ど変化がないため,学校適応 とは独立 して 教育 アスピレーシ ョンに影響 を与 えていることになる

引用 ・参考文献】

ベ ネ ッセ教育研究所編 2000,モ ノグラフ ・中学生の世界vol.64 中学生活 をふ り返 って 一 中学3 年生の3月調査 か ら』ベネッセ コーポ レーシ ョン,

「中央公論」編集部 ・中井浩一編 200 1,論争 ・学力崩壊』中央公論新社.

cummings,WilliamK.1980, 友田泰正訳 『ニ ッポ ンの学校』サイマル出版会,1981 藤 田英典 2000,市民社会 と教育』世織書房.

藤 田英典 200 1,『新時代の教育 をどう構想するか』岩波書店.

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教育経営研究 8 2002・3

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