円形断面 曲管内主流部の
2
次流れ について (第2
報)*鬼頭勇 植木良昇
1. ま え が き
充分発達 した円形断面曲管内の非圧縮性流体の流れについて,曲管の内半径が曲管軸の曲 率半径に比べて小さ くない場合の
Na v i e r・ St o ke s
の運動方程式の近似解を求めて,断面内の 速度分布と圧力分布を第1
報1)に示 した.その後, より一般的な解を求めることができたの でここに報告 し,また,その結果を用いて,管軸方向速度成分の分布のこう配を検討 したの で,そのことについても併せて述べたい.ただ し,流れを取扱 う立場は前報 と同 じであって, 主流部のみを対象 とした.2 .
記 号r:
曲管の軸直角断面内の任意点P
の軸心 0か らの距離.¢ :OP が曲管の曲率中心 と0,とを結ぶ直線 となす角.
? :断面位置をあ らわす角.
R :
曲管軸の曲率半径.α
;曲管の内半径.vr:
主流部における流速の r方向成分.Ⅴ¢:
主流部における流速の ¢方向成分.vv:
主流部における流速のP方向成分.P. ・
P点における圧力.〟 :流体の密度.
〟:流体の粘性係数.
リ:
流体の動粘性係数.C: 一 号
各 管軸方向の圧力こう配・ 図1
3 .
運 動 方程 式 とそ の 解前報で,定常状態の場合の円環座標
( r
,少,p)
に よるNa vi e r ・ St o ke sの運動方程式 と連続
の式 とを示 したが,主流部では粘性の影響が少 く,かつ,2
次流れが管軸方向の流れに比べ て弱いものとしてV
'とV少
の2
乗の項をV
pの2
乗に対 して無視 し,運動方程式 と連続の式 の簡略化を行った.本報においても, この簡略化された次に示す式を用いて解を求めること* 昭和
49
年1 0
月, 日本機械学会北陸信越支部長野地方講済会において発表** 機枕工学科教授 書棚 践械工学科講師 原稿受付 昭和5
0
年9
月11日1 0
長野工業高等専門学校紀要 ・第6
号にす る.
認
: ・ , ‑ ‑
.,1
,‑0
01
;R
% + ‑‑ p
i S,
v普 ・
禦# +V 仰 げO
R+ rcos?S ¢ V ¢ s i ・ n j9‑
一驚 十
㌢+V 票 = B s i nQ・
与等 ‑o
(1)と(2)式よりクを消去すれば
‡ 驚 c o s Q十等
叫 ‑0
この徴分方程式の解は次のようになる.V
p ‑ 珍 ( r c o s 少)
1 ∂ p
p(R+r c o
s少)∂p・‑ ‑ ‑・‑‑(1)
・ ・ ・ ‑・ ‑‑・ ・ ( 2 )
・‑・・・‑ ‑‑(3)
‑ ‑ ・・‑‑
・ ( 4 )
‑ ‑ ・‑‑‑(5) ただ し
,
¢はr c
os少 の任意の函数である. よって古書 ‑鵠
・
諸 ‑‑Ri %ここで,図
1
のx,
y座標を用いて, r c o s ¢‑
3,r S i n ¢‑y
とおき,上の2つの式の変数を 変換すれば与
慧 ‑ 慧
誓,吉富 ‑
oゆえに,Pはエのみの函数 とな り i‑Jo
x
等誓 d x+G( p)
Gは Pの任意函数であるが, p方向に流れが変化 しない場合を考えているので, P方向の圧 力 こう配は一定で, この値を
‑C
とおき,また,p‑0
における管軸上の圧力を poとお くと 普,圧力分布は次式によって与え られる.書‑I;驚
弊
十字‑cp
次に
,( 5 ) ,( 6 )
式を( 3 )
式に代入すればV 畑′ c os p‑V 舶 n 什
(V〆G
R4
.‑ % n
Q) ' 0
‑‑R」+ r
LcosQ1 C
‑ ‑ ‑ ‑‑(6)
・・・・‑‑・‑・(7) ここで,¢Iは¢のJ
r C
OS少 に関する導函数である.(7 )
式を(4)
式に代入 して整理すれば管 ‑ . 誓 ‑ + ‡ 等
=C〔2
¢′ +( R+
rco s ¢)
¢′'〕̲
〔¢
+( R
+ rcos や)
4)
(〕21 C
円形断面 曲管 内主流 部の 2 次流れ について( 第 2
報)この式の右辺は rcos少 のみの関数なので,これを
F(
rcos¢)であ らわせば%t a n Q ・
誓 ta n Q ・ fa #‑ F ( r c o s ¢ )
いま,fを
r c
os少 の関数, g
を中の函数 として,(8 )
の解を次のようにお く.V
¢ ‑r ・
f(
rcosQ)・ g(
少) これを(8)式に代入すれば〔 f・ g+r ・ fl c o s ¢・ g〕 t a n¢+f・ gt a n
中一fl ・ r s i 叫・ g+f・ gl ‑F
・・ 〔寄 +
2 gt a n Q ] f( r c o s Q ) ‑F(
rcosQ)この関係が成 り立つためには, kを任意の定数 として
寄 +2 gt anQ‑k
・ I( r c
叫 )‑iF(rcosQ)
であれば よい. この第‑式の解は
g
' 4' ‑e ‑
J2
tan 仙
〔JeJ2
tan
納 ・kd4
'k・]‑k〔 s i nQc
os少+Kc o
s2
4・〕ただ し
,K
は任意の定数である. よって(8)の解 としてV ¢ ‑r・ F( r c o s 9 り〔 s i nQc
os¢+Kc o s
2¢〕これを(7)式に代入すれば
V, ‑r・ F( r c o s
抑: s
in
2¢+Ks i nQ
cos Q]I 1 C
‑‑‑‑‑(8)
i f l
しかるに,流れの対称性か ら, ¢‑土中Oにおいて
V
Tは同符号, Ⅴ
¢は異符号でなければな ら ないので,K‑
0 とな り,主流部における流速分布は次式で与え られ る.V
,‑r・F(rcos少) 1 C¢rcos¢
V ¢ ‑r・ F(
rc
os
Q)s i nゅc
os
やv
p ‑Q( r c o s
4i)F(
rc
os Q )
‑Cll諾l R (
至37 0)
,写′〕‑‑‑‑・‑‑(9)
・‑・・‑‑‑
‑( 1 0)
‑‑‑・‑
‑( ll ) C 「 1
.1
1よって
V
pの分布を仮定 し,
¢の関数が定 まれば,2
次流れの流速分布は( 9) ,( 1 0)
式に よって 与え られることになる.4 .
解 の 考 察任意函数 ¢については
,V
pの分布を求めた実験結果2 ) 3)
か らr c o s
少 の多項式 として表現 す ることが適当と考え られ る.すなわち1 2
長 野 工 業 高 等 専 門 学校 紀要 ・第6号
v
p ‑ ¢( r c o s ¢) ‑vm+Ar c
os¢+Br 2 c o
s2
¢+‑・‑‑・・・.・しか し,測定値か ら
V
vは直線分布 と見な して差支えないので,従来の仮定に従 ってVp ‑Vm+Ar c o s 少
とすれば
F(
rcos¢)‑2 CA C
(
vm+AR+2 Ar c
os少)汁 (vm+AR+2 Ar c o s Q) r
cosQ
これを(
9 ) ,( 1
0)
式に代入 して1 ′ ¢=‑ Cs i n¢
・・‑ ・‑ ‑
‑( 1 2 )
( R
+r
cos¢)C
(Vm‑AR) ・ r
co s 2 ¢
R+2 A T ' C
OS少)2(R+rcos少)C
(Vm‑AR) ・ r
2
(Vm
十AR+2 Ar c o s Q) 2( R+r
cos¢)C( Vm‑AR) ・ r s i n2 ¢
‑‑‑‑‑・・(13
)
‑ ‑ ‑ ‑
‑( 1 4 )
また,(6)式 より
音‑(
V
‑‑A R ) 2 l
oge(l・晋 )+(2V‑‑AR)A
rc o s g・ ‡A2 r 2
C画 一 Cp ・ 晋‑‑‑‑
‑‑( 1 5 )
よって,管内半径 aが曲管軸の曲率半径Rに比 して小 さ くないときの速度分布 と圧力分布は( 1 2 ) 〜( 1 5 )
式に よって与え られ ることになる.ここで
,AR> ・ Vm,a <R
とすれば,(1 2 ) 〜( 1 4)
式はV,
‑孟 叫 , V ¢‑ 一 志 s i n
Q・V p ‑V‑'Ar c
osQ が得 られ,従来の理論3
)・4)で用い られる式 と一致す る.次に,(
1 3 ) ,( 1 4 )
式によって2次流速の分布を求めるため,ym/C
を両辺に乗 じて無次元 化すればcos¢
㌻ =1
+&a 雲+2
ha
‡c o s ¢+
V
nJ Vr
Ⅴ" 一
Ⅴ¢=̲ C
s i nゅ
(&
a
芸‑1)‡s i 哩
( 1 + 農 芸 .2 莞
fcosQ) 2 ( 書+‡
co s Q)
(叢 書 ‑1)
is i nQc o s t
〜 Vma Vma ‑/\a a I /
とな り,前報 と同様にAa /Vm‑0 . 3 8,R/a‑2 0
として, 2次流速の大きさ等 ・ vs e c ‑ 警 ノ
所を求め,管軸における速 さを
1
として,内側か ら外側に向か う直径上の計管値を示せば図2
円形断面 曲管 内主流部の 2 次流れ につい、 て( 第 2
報)1 3
のようになる.また, 2次流れの傾きを計算す ると前報 と同程度の値が得 られ,流線 も同様 である.図2
によって,内側の部分の方が外側 より減速皮が大きいことがわかる.5 .
軸方向流速の分布について 曲管内の流れにおいて,R/
ムー… として直管に近ずけるときV
,‑0,V¢ ‑
oル ーvm , ‡一一C' 叶 穿 ( Z:
管軸方向の座標) となることが要求される.よって( 1 2 ) 〜( 1 4 )
式か ら,Aa ‑0,AR‑Aa・
旦ー∞α ・・・‑‑‑‑(
16) また,( 1 5 )
式については右辺第1
項を展開 して( V‑‑AR) 2×l o ge( 1
・r
#)
‑(V‑‑AR) 2
〔晋 ‑i(
r票 ) 2 +
i(rjT) 3 一 ・ ・ ・ ‑〕
‑
堕
R竺
壁‑2Vm
Aa嘉
os4'A2 Ra言c
os4‑・・.・・・
よ‑て,言の条件がみたされるためには・(16)式の粂御 こ次の条件をつけ加えれば よい・A2 Ra‑( A a ) 追 L Z
‑o ・・・・‑‑・‑・(17)さて
,( 1 2 )
式か ら,A‑dvp / dx
で.A
はV
pの分布のこう配をあ らわ し,P,
P,a, R,Vm
の函数 と考えられ,次元解析を用いることによってA ‑ 3・ ( i ) n・ f( Re ) ( Re
‑警 ‥レイノルズ数)とあ らわす ことができる.ただ し
,
〝はある定数である.すなわちj l a〜( A ) n
とな り, これを(16),(17)の関係に適用すれば
‑‑・ ‑‑‑( 1 8 )
Aa ‑0 : n>O
Aa・ 書〜
(%) 1 ‑ n ‑∞ : ・ 1 ‑n>0 ( Aa)
2・ 吾〜( 慧 ト
2n‑o ・・・ 1‑2 n
<0 ゆえに, n
に関 して次の制限が与えられる.・ >n> i
この関係を確かめるために, 図
3
のような装置を用いて空気を流 し,V
pの速度分布を測 定 した.Squi r e s )
によれば巻掛角1 5 0 0 ‑1 8 0 0
で流れの状態が一定 となる結果を得ているので, 本実験では巻掛角1 8
00
の位置で測定を行い, 測定には0 . 8 mm
径 の注射針による全圧管とゲッチ
ソゲソマノメーターとを使用 した.管 としては内径3 2 mmのワイヤ入 りビニールホ‑ス
1 4 長野工業高等専門学校 紀要 ・第 6 号
を用い管軸の曲率半径は2 46 mmと3 21 mmの 2
種煩 とし,vt/イノルズ数は可能なかぎ り近ずけ て測定 した結果が図
4
で,管中心か ら内側寄 り の部分に流速の直線分布が見 られ る. また,内 側か ら外側に向か う直径上の速度変化を示 した のが図5
であって, Lの範囲が直線分布に近い ことがわか る. よって, この範囲の速度 こう配(速度分布の回帰直線のこう配)を求めると
A
246‑0 . 7 41 5 m/ S / mm , A8 2 1 ‑0 . 8 6 60 m/ S / mm
とな り
,( 1 8 )
式に よってn
の値を求めればn ‑0 . 5 8 3 0
ト の く>
●・.■ t
≡ ト
一> t ■ ⊂ D √ > 〉 ・ § ‑ 害J=. ‑.̲ ‑ Vs e c o. 4 0. 8 ̲r ′ a
が得 られる・ このことか ら
,
‑ 1〜与 の間にあ り,1 / 2
に近 い値をとるものと推定す ること がで きる.妾
㍗
R‑2
46
‑, a‑1 6 ‑,Re‑2 9 0 4 0
≠
千氏‑3 2 1 桝・ ,a‑1 6
‑ .Re‑2 9 5 4 0
図 4
円形 断面 曲管 内主流 部の 2 次流れ につい て( 第 2
報)E I
1 5
図
5
6 .
結 冨曲管の内半径が管軸の曲率半径に比較 して無視できない場合について,管中央部の速度分 布と圧力分布を与える式が得 られ,管軸方向速度成分が直線分布をはずれる場合についても
2
次流れの速度分布を計算できるように した.また,管軸方向速度成分が,曲管の内側か ら外側に向か って直線的に増大す る場合につい て,その速度分布のこう配を検討 し,管内半径の管軸曲率半径に対す る比の約号乗に比例 し てこう配が変化す るものと推定できた.
終 りに,本報告における実験に尽力 された昭和48年度卒業生太田利之,倉沢文雄,山岸健 一の諸君に感謝の意を表す る次第である.
参 考 文 献