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Microsoft Word - ⑩ p JFEエンジ原稿修正.doc

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1.開発の経緯 1.1. 開発の趣旨 わが国の下水道処理人口普及率は、平成19年度末で71.7%であり、特に人口100万人以上の大都市では 98%に達している。しかしながら、有機物を高度に除去したり、窒素、りん等を除去する高度処理の処理 人口普及率は、平成19年度までで15.7%であり、高度処理の普及が下水道事業の重要な施策のひとつに挙 げられている。 高度処理の目的のひとつには、湖沼、三大湾等閉鎖性水域の富栄養化防止(窒素・りん除去)が挙げ られており、富栄養化防止の処理方式としては、処理の経済性あるいは既存施設の有効利用という観点 から、活性汚泥法の変法である循環式硝化脱窒法、嫌気・無酸素・好気法及び嫌気・好気活性汚泥法が 主流となっている(図1-1参照)。また、現状の実稼動施設の多くを占めている標準活性汚泥法において も、冬季のバルキング対策としての嫌気・好気運転、夏季の硝化脱窒運転に対応した処理方式を採用す る施設が増加してきている。 これらの処理方式の生物反応タンクは、酸素供給を行う好気槽と撹拌のみを行う嫌気槽・無酸素槽か ら構成されており、従来この嫌気槽・無酸素槽の撹拌装置には、主に水中撹拌式曝気装置(図1-2参照) が採用されている。 しかし、同装置は元来曝気(酸素供給)装置であり、その構造は、気泡の細分化による酸素の溶解を 考慮した構造となっており、流速発生に特化したものではない。よって、撹拌装置として考えた場合、 必要動力や装置(吊上)重量が比較的大きくなり、装置の台数や動力の削減、軽量化による維持管理性 の向上が望まれている。また、同装置は、反応タンク中央部に設置する必要があるため、スラブの無い 最初沈殿池 嫌気槽 (りん放出) 無酸素槽 (脱窒) 好気槽 (硝化・りん摂取) 最終沈殿池 流入水 返送汚泥 余剰汚泥 消毒へ 生汚泥 硝化液循環 図 1-1 生物学的窒素・りん除去法処理フロー例:嫌気・無酸素・好気法

日本産業機械工業会会長賞

JFE エンジニアリング株式会社

第 35 回 優秀環境装置

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開放型反応タンクの場合、強固な点検ブリッジを反応タンク中央部に設置する必要があった。 そこで当社では、軽量で流速発生に必要な動力が小さい水中ミキサーに、独自の旋回機構を付加する ことで、維持管理性が良好でかつ必要動力及び台数が従来機種の約半分である嫌気槽・無酸素槽用撹拌 装置の開発を行った。 1.2. 開発目標 既存の撹拌装置の課題等を考慮し、以下のとおりに開発目標を立てた。 ①縦横比 1:4 までの反応タンクに対して、撹拌動力投入密度が 4w/m3度の動力で、生物反応タンク内の 底部流速が 0.1m/sec 以上を確保できること。 ②水中プロペラ式撹拌機の重量は 20kg~300kg であり、吊り上げ点検が容易であること。 ③旋回駆動部は反応タンク上部に位置し、水上部より点検が可能であること。 ④以上の条件を満たし、生物反応タンクの汚水、汚泥の混合、撹拌用に適用可能な装置であること。 1.3. 開発経緯 平成11年度:社内開発開始 模型水槽試験及び実池試験実施 平成12年度:初号機納入 広島県芦田川浄化センター殿 反応タンク内流速、混合特性、活性汚泥濃度、処理状況調査実施 平成13年度:流速解析シミュレーション技術開発 平成14年度:㈳下水道新技術推進機構 建設技術審査証明取得 平成16年度:㈳下水道新技術推進機構 共同研究実施(技術資料作成) 2.装置説明 2.1. 装置の概要 撹拌機の本体は、羽根径が210mm~580mmであり、軽量で必要動力が小さいことを特徴とする水中ミキ サーである。本撹拌装置は、この水中ミキサーに独自の旋回機構を付加することで、設置する反応タン 中継端子箱 吊上チェン ケーブル ガイドパイプ 曝気装置本体 下部ケーシング インペラ 上部ケーシング 水中電動機 着床スタンド 図 1-2 水中撹拌式曝気装置(従来機種) 槽内設置断面図、概略構造図

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ク内全域に水中ミキサーから発生する流れの力を効率的に作用させ、低動力での反応タンク内撹拌を可 能とするとともに、1台で対応可能な反応タンク縦横比も大幅に拡大することが可能な撹拌装置である。 本装置の概略構造図を図2-1に、水中ミキサーの断面構造図を図2-2に示す。同図のとおり、水中ミキサ ーは、反応タンクに垂直に設置した旋回支柱に設置され、運転中は反応タンク底部の旋回支柱下部架台 部に位置する。なお、水中ミキサー本体重量は、約20kg~300kgと軽量であり、旋回支柱をガイドとして 容易に吊り上げ点検が可能となっている。 一方、水中ミキサー旋回用の駆動装置は水上部に設けられている。同駆動部により旋回支柱を往復旋 回させ、水中ミキサーも旋回支柱を中心として往復旋回させるものである。 また、従来の嫌気槽・無酸素槽用撹拌装置は、主に水中撹拌式曝気装置(図1-2参照)であるが、同装 置は、反応タンク中央部に設置する必要があるため、スラブの無い開放型反応タンクの場合、強固な点 検ブリッジを反応タンク中央部に設置する必要があった。 それに対して本撹拌装置は、反応タンクの側壁近傍やコーナー部に設置が可能なため、開放型反応タ ンクの場合でも点検ブリッジは不要であり、図2-1の通り水上部に設置される軽微な点検架台を側壁部に 設置することで維持管理が可能である。 図 2-1 装置概略構造図 図 2-2 水中ミキサー断面構造図

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写真 2-1 実稼動施設の事例 図 2-3 固定式水中ミキサーによる撹拌概念図 図 2-4 本装置による撹拌概念図 2.2. 本装置の原理 本撹拌装置の本体は、軽量かつ流速発生に必要な動力が小さいことで定評がある水中ミキサーである。 しかしながら同水中ミキサーも、大容量の反応タンクの撹拌に適用する場合、その撹拌力が 直接作用できる範囲が、発生する流れの到達距 離までに限られるため、反応タンクの縦横比が 1:2~3を超える場合、反応タンク単位容積当た りの必要動力や必要台数が大きくなるという課 題を持っていた。また、水中ミキサーから発生 する流れは、図2-3のように指向性が強く、撹拌 力が直接作用できる範囲が限られている。よっ て、流れが直接作用できない箇所では、汚泥堆 積防止のために必要な流速が確保できず汚泥の 沈降・堆積を招く可能性もあった。 そこで本装置は、この課題を解決するため、 水中ミキサーに独自の旋回機構を付加する ことで、図2-4のとおり反応タンク内全域に撹拌力が直接作用し、従来機種より低動力でかつ対応可能な 反応タンク縦横比も大幅に拡大した。 本装置の設置事例を写真2-1に示す。写真2-1の反応タンクは、幅8m、長さ25.5m、水深5.1m、容量約 944m3である。また、撹拌装置動力は5.8kw(内旋回駆動動力0.2kw)である。 3.成果 3.1. 性能 (1)装置の性能 ① 撹拌動力密度が4w/m3程度である。 ② 1台で対応可能な反応タンクの縦横比が最大1:4である。 ③ 反応タンク端部まで確実な混合撹拌が可能である。

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以下にその詳細を説明する。 ① 撹拌動力密度が4w/m3程度で済み、従来機種に比較して動力が約50%削減できる。 本装置が対象としている生物反応タンクの嫌気槽・無酸素槽では、反応タンク内の活性汚泥と、流 入する汚水、返送汚泥、好気槽からの循環水等を混合撹拌するとともに、汚泥の沈降・堆積を防止す る必要がある。そして、そのために必要な流速として、反応タンク底部において0.1m/sec以上が必要 とされている。 この反応タンク底部において0.1m/sec以上の流速を発生させるために必要とされる撹拌装置の選定 動力は、下式のように反応タンク容量と撹拌動力密度の積から算出される。 必要動力(kw) = 反応タンク容量(m3)×撹拌動力密度(w/m3)÷1000(w/kw) (1) ここで、撹拌動力密度とは、対象とする反応タンク1m3あたりに必要となる撹拌装置の定格動力であ る。よって、撹拌動力密度の比が、同一反応タンクに対する必要(定格)動力の比となる。そして、 この撹拌動力密度は、反応タンクの縦横比が大きくなるほど、大きな値となる。これは、同じ反応タ ンク容量に対しても、反応タンクの縦横比が大きくなるほど、反応タンク長手方向への大きな流れの 力が必要となるからである。 本装置と従来機種(図1-2)に関して、反応タンク内必要流速(底部において0.1m/sec以上)を発生 させるために必要な撹拌動力密度(w/m3)の比較を、反応タンク縦横比及び水深別に表3-1に示す。 表3-1 従来機種と本装置の撹拌動力密度 単位: w/m3 反応タンク縦横比 1:1.1以下 1:1.2以下 1:1.5以下 1:2以下 1:4以下 反応タンク水深 5m 10m 5m 10m 5m 10m 5m 10m 5m 10m 従来機種 6.0 8.0 8.0 8.0 8.0 8.0 10.0 10.0 対応不可 中央部設置 3.5 3.5 3.5 3.5 4.5 4.0 6.0 5.0 6.0 5.0 本装置 側壁,コーナー部 設置 3.5 3.0 3.5 3.0 4.0 3.5 5.0 4.0 5.0 4.0 表3-1のとおり、本装置の撹拌動力密度は、それぞれの反応タンク縦横比、水深において、従来機 種と比較し約1/2であり、極めて省エネルギー性が高い装置である。 ② 1台で対応可能な反応タンク縦横比が最大1:4であり、従来機種と比較し台数が削減できる。 従来の撹拌装置は、設置場所が反応タンク中央部に限られ、装置から放射状に流体力を発生させてい る。よって、前出表3-1のとおり、装置1台で対応可能な反応タンクの縦横比は1:2が限界であった。 本装置は、水中ミキサーに独自の旋回機構を付加することで、水中ミキサーから発生される流れを 反応タンク全体に効率的に行きわたらせることができ、反応タンクの縦横比が1:4まで1台で対応可能 である。よって、特に反応タンクの縦横比が1:2以上の場合は、装置台数が従来機種の1/2にできる。 前出写真2-1の実稼動施設は、対象反応タンクの寸法が幅8m、長さ25.5mであり、反応タンク縦横比は 1:3.2である。この事例では、従来機種では反応タンク1槽あたり2台必要となるが、本装置は1台で対 応可能である。

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図 3-1 反応タンク底部流速の時系列結果例 ③ 水中ミキサーを旋回させることにより、反応タンク端部まで確実に汚水・汚泥を混合撹拌できる。 本装置は、水中ミキサーを旋回させることで、前述のとおり、指向性の強い流れを効率的に反応タン ク内全域に行きわたらせており、反応タンク端部まで確実な混合撹拌が可能となる。 ここで、本装置の旋回一往復期間中における反応タンク内の流速を解析すると、図3-1のとおり、水 中ミキサーの旋回に応じて大きく変動している。 本装置は、この旋回一往復期間中の平均流速が、前述の必要流速である底部において0.1m/sec以上 を満足するように設計されるが、図3-1のとおり、水中ミキサーが対向している時間帯は、0.1m/secと 比較し非常に大きな流速が得られ、従来機種による0.1m/sec程度のほぼ定常的な流れと比較すると、 混合撹拌、汚泥の沈積防止効果は非常に大きいと考えられる。 (2)性能確認1:安全性 申請の装置は、以下の通り操作性、環境面で安全性の高い装置である。 ① 操作安全性 ・ 水中ミキサーは連続運転であり日常の発停操作の必要は無い。メンテナンス時の発停も、水上部に 設けた操作盤のスイッチからの起動・停止操作であり、極めて安全な操作である。 ・ 旋回装置は連続運転であり、日常の発停操作の必要は無い。メンテナンス時の発停は、水上部に設 けた操作盤のスイッチからの起動・停止操作であり、極めて安全な操作である。なお、旋回駆動装 置は、槽上部に設けられているので、低速回転(0.2~4deg/sec)であるが、安全カバーを設け巻 き込まれ災害の防止を図っている。 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 0:00:00 0:00:30 0:01:00 0:01:30 0:02:00 0:02:30 0:03:00 時間(hh:mm:ss) 流速 (m/sec )

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② 環境安全性 ・ 水中プロペラは水中部設置であり、騒音・振動の反応タンク外部への影響は考えられない。 ・ 旋回装置は、低速の減速機であり、騒音・振動の外部への影響は無い。 (3)性能確認2:耐久性等 以下の通り実稼動施設にて機能確認を行い、耐久性に対する信頼性を確認している。 ・ 水中ミキサー、旋回装置とも、いずれの施設においても磨耗等による交換実績は無く5年以上の耐 久性が確認できている。 ・ 水中部下部の振れ止め摺動部の磨耗については、稼動後3年10ヶ月で平均0.05mmの磨耗量であり、 計算上15年程度まで十分耐えうることが確認できている。 (4)性能確認3:安定運転の信頼性 以下の通り、「槽内流速」「槽内混合特性」「槽内汚泥濃度」「処理状況」に関して、所定の機能 を十分発揮し安定運転が可能であることを確認している。 ① 槽内流速測定 図 3-2 に示す槽内№1~№9 の 9 箇所の底部(槽底部より 100mm の箇所)の流速を計測した。計測 は3次元電磁流速計を用い、3次元速度成分の合成速度ベクトルを 1 秒毎に測定し、撹拌機の旋回 が一往復する期間中における平均値、最大値および最小値を求めた。 計測結果を図 3-3 に示す。同図より、旋回一往復中の平均流速は各箇所において汚泥沈降防止に 必要とされている 0.1m/sec 以上が達成されており、最大流速はいずれの箇所でも 0.1m/sec を大き く上回っていることがわかる。 53 00 原水流入口 返送汚泥流入口 25500 300 6225 6225 5700 5200 1850 №1 №2 №4 №3 №5 №7 №8 №6 №9 40 0 400 610 0 測定点№9は原水流入口の影響で安定し た計測が行えないので池センターに 500mm 移動(№8もあわせて移動) 図 3-2 流速測定位置(平面図)

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② 混合特性の調査 下水試験方法((社)日本下水道協会編)に則り混合特性確認試験を行った。トレーサーは塩化リ チウムとし槽流入部からパルス注入し、炎光光度計を用いて槽流出水のリチウム濃度を計測した。流 入水量は、汚水が約 7,000m3/d、返送汚泥が約 3,000m3/d の稼動状態である。 解析されたトレーサー流出曲線と理論完全混合曲線を図3-4に示す。同図から、トレーサー流出曲線 は、理論完全混合曲線とほほ一致しており、本反応槽では完全混合に極めて近い混合状態が実現され ていることがわかる。 各モニター点における流速の最大,最小,平均値 0.4565 0.4677 1.3963 0.8406 1.2928 1.2458 0.4469 0.2965 0.0397 0.1983 0.1537 0.1374 0.2046 0.1610 0.1236 0.1163 0.6862 0.0164 0.0099 0.0094 0.0219 0.0134 0.0197 0.0256 0.0076 0.1048 0.1043 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9 ポイント No. V e lo ci ty M ag ni tu de (m / s) 最大 最小 平均値 図 3-3 各箇所における底部流速測定結果 図 3-4 トレーサー流出曲線と理論完全混合曲線

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③ 槽内汚泥濃度の確認 図3-2に示す槽内№1~№9の9箇所3水深において、実稼動状態において活性汚泥浮遊物質(MLSS)の 濃度を計測した。各採水点における計測値を表3-2に示す。同表中の上層部は水面下100mm、中層部は 槽中央部、下層部は前出底部流速測定箇所である。同表を見ると、計測した全ての箇所で、撹拌機の 旋回方向によらず、ほぼ同等のMLSS値であり、本撹拌機による槽内活性汚泥の混合撹拌が十分行われ ていることがわかる。 表4 MLSS分析結果 単位:mg/L No.1 No.2 No.3 上層 90 2100 上層 105 2200 上層 105 2300 75 2300 90 2200 90 2300 115 2400 95 2300 105 2200 中層 100 2300 中層 80 2300 中層 90 2300 85 2400 65 2300 75 2800 130 2300 110 2200 120 2200 下層 115 2300 下層 95 2200 下層 105 2200 100 2300 80 2200 90 2200 No.4 No.5 No.6 上層 90 2200 上層 75 2300 上層 135 2300 75 2200 60 2300 120 2300 75 2380 65 2200 165 2300 中層 60 2200 中層 50 2200 中層 150 2300 45 2300 35 2200 135 2300 90 2200 80 2300 180 2400 下層 75 2200 下層 65 2200 下層 165 2400 60 2200 50 2200 150 2400 No.7 No.8 No.9 上層 180 2300 上層 150 2400 上層 130 2300 165 2200 135 2400 115 2300 55 2200 45 2200 145 2300 中層 40 2200 中層 30 2200 中層 130 2300 25 2300 15 2300 115 2400 70 2400 60 2400 160 2600 下層 55 2300 下層 45 2400 下層 145 2500 40 2300 30 2400 130 2500 表 3-2 MLSS 分布結果 2400

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④ 嫌気槽水質分析 ④-1 酸化還元電位の計測 嫌気・好気活性汚泥法における嫌気槽内の嫌気状態の程度を確認する指標に、溶液と不溶性電極 との間に発生する平衡電極電位である酸化還元電位(以下 ORP と略記する)がある。そこで、稼動 状態において、図 3-2 の№2,5,8 の水深方向中間部 3 箇所の ORP を計測した。計測結果を表 3-3 に示す。 ORP が小さい値であるほど嫌気的であるが、同表より本嫌気槽は嫌気状態が確保されており、り ん放出に良好な状態であると考えられる。 ④-2 りん酸態りんの測定 嫌気・好気活性汚泥法においては、嫌気槽におけるりん酸態りん(PO4-P)の放出量が多いほど続 く好気槽でりんの摂取量は多くなる。そこで、図 3-2 の№2,5,8 の水深方向中間部 3 箇所の PO4-P 濃度の分析を行った。 計測結果を表 3-4・3-5 に示す。スポットサンプリングデータであるが、2 回(2 日間)の計測と も流入部、中央部、流出部の各部において、安定したりんの放出が行われていることがわかる。 表 3-4 PO4-P の分析結果(1 日目) 表 3-5 PO4-P の分析結果(2 日目) なお、嫌気・好気活性汚泥法のりん除去性能は、本稿で述べている嫌気槽の撹拌装置の性能のみ では規定できないが、本撹拌装置を設置した処理系列のりん除去率は約 90%~95%程度と良好に稼動 していることも確認している。 ORP №8(流入側) -170 mv №5(槽中央) -199 mv №2(流出側) -200 mv 採取箇所 PO4-P(mg/L) №8(45) 24.3 №8(30) 23.7 №8(15) 24.4 №5(65) 23.8 №5(50) 25.6 №5(35) 25.6 №2(95) 25.3 №2(80) 25.5 №2(65) 25.0 採取箇所 PO4-P(mg/L) №8 21.5 №5 22.6 №2 23.5 返送 5.8 流入 6.6 表 3-3 ORP 測定結果 分析方法:モリブデン青(アスコルビン酸還元)吸 光高度法 注:( )内は、汚水流入側側壁からの旋回角度 (deg.)を示す。

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3.2. 特許の有無 本撹拌装置の旋回機構、設置位置等に関して特許を登録している。 名称:汚水処理槽 出願番号:特願2001-193072(P2001-193072) 出願日 :平成20年2月8日 出願国 :日本 3.3. 維持管理性 (1)運転操作 ・装置の起動・停止はボタンによる連続自動運転が標準 ・水中ミキサー、旋回速度は回転数の調整を必要としない。 ・撹拌対象槽は、自然流入・流出であり、流入水量の時間変動に対しても、撹拌装置の運転調整は 特に必要ない。 (2)メンテナンス性 構造がシンプルなことから、定期的なメンテナンス範囲は、一般的な点検項目である軸受部への 給油と絶縁抵抗測定のみである。 なお、水中ミキサー本体重量は約20kg~300kgと軽量であり、点検・給油時には旋回支柱をガイド として吊り上げ点検が容易な構造としている。 (3)維持管理コスト 前述の通り、本装置の必要動力は従来機種の約1/2の動力であり、本申請装置の設置により、ラン ニングコストの大幅な削減が可能となる。 また、写真2-1の通り、上部がオープンな反応タンクに設置する場合も、従来機種は強固な点検ブ リッジを反応タンク上部に渡す必要があったが、本装置は側壁部への軽微な点検架台のみの設置で 対応できる。 以上の成果を基に、従来機種と申請装置との比較を表3-6に示す。 表3-6 本装置と従来機種との動力、維持管理性等の比較 従来機種 本装置 比較 必要撹拌動力(密度) 約8w/m3 約4w/m3 50%減 反応タンク縦横比の限界 1:2 1:4 2倍(装置台数1/2) 吊り上げ重量 約400~2,000kg 約20~300kg 大幅に減 オープン槽の点検架台 ブリッジが必要 点検架台のみ 大幅に減

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3.4. 経済性 生物学的窒素・りん除去法の事例が比較的多い深層型反応タンクの一例として、幅8m×長さ18m× 水深10m、縦横比1:2.3、容量1,440m3の反応タンクを想定し、従来機種と本装置を配置した試設計を 行って比較することで経済性を評価した。 なお、対象とする施設は、反応タンク上部のスラブが無くオープンな構造と仮定する。 両装置の装置選定計算は、以下のとおりである。 表3-7 本装置と従来機種の試設計と経済性比較 項目 従来機種 本装置 1.装置台数 2.必要動力の 算出 3.電気代の試 算 反応タンク縦横比が1:2以上である ので、1台では対応できない。 2台であれば、1台あたりは1:1.1とな り対応可能である。 よって、装置台数は、2台とする。 なお、設置位置は、反応タンクを長 手方向に2分割したそれぞれ二領域 の中央部とする。 1台あたりの撹拌動力密度は、反応タ ンク縦横比及び水深より8.0w/m3とす る(表3-1参照)。 必要動力=1,440×8.0÷1,000×2 =5.76kw×2台 装置定格動力は、 枠番より7.5kw×2台 電気代=7.5kw×2×0.8×24h/d ×365d/年×13円/kwh =1,367千円/年 (但し、負荷率0.8とする) 反応タンク縦横比が1:4以下である ので、1台で対応できる。 よって、装置台数は、1台とする。 なお、設置位置は反応タンク側壁部 近傍で、長手方向の中央部とする。 撹拌動力密度は、反応タンク縦横比 及び水深より4.0w/m3とする(表3-1 参照)。 必要動力=1,440×4.0÷1,000 =5.76kw 装置定格動力は、 枠番より7.7kw×1台 電気代=7.7kw×0.8×24h/d ×365d/年×13円/kwh =702千円/年 (但し、負荷率0.8とする) 以上の結果に基づき、イニシャルコスト(年価)とランニングコスト(年間電気代及びメンテナンス 代(年価))を比較すると、表3-8のとおりとなった。 同表より、本装置を導入することにより、従来機種と比較してイニシャルコストとして60%、電気代と して49%、メンテナンス費用として44%、総計では55%のコスト削減が図れることがわかる。

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表3-8 本装置と従来機種との経済性比較結果 (単位:千円、%) 従来機種 本装置 差異 削減率 イニシャルコスト(年価) 2,828 1,127 1,701 60 年間電力代 1,367 702 665 49 メンテナンス代(年価) 720 400 320 44 総 計(年価) 4,915 2,229 2,686 55 注)機器耐用年数は、15年として記載 3.5. 将来性 わが国の下水道処理人口普及率は平成19年度末で全国平均71.7%となっているが、本装置が対象とし ている高度処理方式の対象人口普及率は15.7%にとどまっており、高度処理方式の推進は今後の下水道 事業の大きな課題のひとつである。具体的に、国土交通省下水道政策研究委員会の報告でも、既存の 処理場の高度処理化を推進するための「高度処理の段階的推進」等が提言されている。 このように、下水処理の高度化が進められる中で、地球温暖化防止・省エネルギー化・環境負荷低 減の観点からも本装置は大きく貢献でき、その市場は更に広がるものと考える。 3.6. 独創性とその効果 軽量かつ流速発生に必要な動力が小さいことで定評がある水中ミキサーに、独自の旋回機構を付加す ることで、反応タンク内全域に撹拌力が直接作用し、従来機種より低動力でかつ対応可能な反応タンク 縦横比も大幅に拡大したこと。これにより、以下の効果が得られている。 ①撹拌動力密度が4w/m3程度であり、従来機種に比較して撹拌動力が約50%削減できる。 ②1台で対応可能な反応タンクの縦横比が最大で1:4あり、特に反応タンク縦横比が1:2以上の場合、 従来機種に比較して装置台数が約半分にできる。 ③水中ミキサーを旋回させることにより、反応タンク端部まで確実な混合撹拌が可能となる。 ④水中ミキサー本体の重量は軽量であり、メンテナンス性が良好である。 ⑤開放型反応タンクに設置する場合にも、従来必要であった維持管理用ブリッジが不要である。 また、当社では本装置の開発にあわせて、専用の流速解析シミュレーションプログラムを開発した。 本技術を適用することで、槽内に梁や柱がある場合や、円形等の独特な槽形状の場合も含めて、本撹拌 装置の適正な動力選定が可能となる。解析結果の一例を以下に示す。なお、前出実施設の流速測定結果 との比較から、本シミュレーション結果の整合性も確認している。

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3.7. 今後の規制に対する対応 本申請装置の設置により、以下の通り今後予想される法整備や規制強化に対しても対応可能及び 有効な装置である。 ① 環境負荷としてのCO2排出量規制強化 本申請装置は、従来技術と比較し、約50%の動力負荷で連続運転を可能とするものであり、エネ ルギー消費(CO2排出)量が少ないものとなっている。 更に、本申請装置を導入することで、装置台数や点検歩廊も削減でき、鋼材使用量の削減も可 能となる。 ② 公共用水域の水質保全と循環型社会への寄与 本装置は、下水の高度処理化に貢献できる装置であり、閉鎖性水域の水質改善、公共用水域の 水質保全と再生水利用の促進、循環型社会構築への寄与が出来る装置である。 4.応用分野 現在適用されている下水処理施設以外にも、小規模下水道・コミュニティープラント・生活排水処 理施設・農業漁業集落排水処理施設・し尿処理施設・その他各工場廃水処理施設へと適用範囲を広げ ることが可能と考えている。 また、廃水処理以外の分野でも、広く撹拌装置としての適用が可能と考える。 3-5

図 3-1  反応タンク底部流速の時系列結果例  ③  水中ミキサーを旋回させることにより、反応タンク端部まで確実に汚水・汚泥を混合撹拌できる。 本装置は、水中ミキサーを旋回させることで、前述のとおり、指向性の強い流れを効率的に反応タンク内全域に行きわたらせており、反応タンク端部まで確実な混合撹拌が可能となる。 ここで、本装置の旋回一往復期間中における反応タンク内の流速を解析すると、図3-1のとおり、水中ミキサーの旋回に応じて大きく変動している。 本装置は、この旋回一往復期間中の平均流速が、前述の必要流速で

参照

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