子どもの老人観に関する実証的研究 [ PDF
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(2) 4. の介護方法」を取り上げた。. 調査結果の分析. 調査結果の分析のうち主なものは、以下のように要 約することができる。. ! "#$%&' 子どもの老人観. (子どもの老人観の傾向について). 高齢者の社会関係について 子どもの属性 ・性、年齢 ・祖父母との同居 高齢者との関わり ・高齢者との接触機会 ・高齢者からの好意的評価 ・高齢社会についての学習機会. !"#$%&'(). (1) 高齢者の社会関係(友人関係・近隣関係・世代関 係)についての子どもたちのイメージは、肯定的な ものと否定的なものに二分している。しかし、高齢. !"#$%*+(). 者の活躍性のうち、経験や知識、貢献度については、. !"#$%,-(). 肯定的な態度を示す者の方が多い。 (経験・知識に. 高齢者の活躍性について. ついて肯定的な答え 75.6%、貢献度について肯定. !"#$%./012. 的な答え 67.2%). ・高齢者の貢献度. (2) 子どもの老人観を男女間で比較してみると、男子. !"#$%3456. よりも女子の老人観の方が肯定的である。ただし、 小学 5 年生の段階の男女間においては、性差はみら れない。(経験・知識について肯定的な答え:男子 71.7%、女子 80.0%、学習活動について肯定的な. 高齢者に対する子どもの行動 ・高齢者への役割期待 ・高齢者への親切希望 ・祖父母の介護方法. 答え:男子 47.9%、女子 57.3%) (3) 肯定的な老人観は年齢(学年)が上がるにつれて 減少する。 (友人関係について肯定的な答え:小 5 …58.3%、中 2…52.9%、高 2…28.2%、貢献度に. (3)分析作業の手順. ついて肯定的な答え:小 5…73.4%、 中 2…63.7%、. 分析作業の順番は、以下のとおりである。 ①. 高 2…62.3%)子どもは、青年期に達すると自我意. 老人観を規定する要因と、子どもの老人観の因. 識を確立させ、 それまで準拠していた集団の価値や. 果関係を分析する。(本編の第 2 章) ②. 思考を批判するようになる。 とりわけ青年は社会の. 子どもの性・年齢と高齢者との関わりの如何に. 変化に敏感であり、 古い世代の価値観に従うことに. よって、高齢者への役割期待、高齢者への親切希. 抵抗するものである。中学・高校生になると自我が. 望が異なるかどうかを検討する。ただし、祖父母. 発達し、古い世代の高齢者に対して、ことさら厳し. の介護方法については、子どもの属性、 「祖父母と. い評価を下してしまうのだろう。. の会話頻度」、 「祖父母との会話欲求」との関係を. (4) ただし、高齢者の学習活動については例外である。. みることにする。(本編の第 3 章) ③. 全体としては、学年が上がるにつれてプラスイメー. 最後に、意識の次元である子どもの老人観が、. ジを形成していた。 (学習活動について肯定的な答. 高齢者に対する子どもの行動の次元に与える影響. え:小 5…48.1%、中 2…51.5%、高 2…58.6%). を明らかにする。(本編の第 4 章). だが、男子では、この傾向はみられず、女子におい てのみ漸増傾向を示していた。. 3. 調査の対象と方法. (5) 祖父母と同居の子どもの方が、非同居の子どもに. 調査の対象とした児童・生徒は、福岡市および周辺. 比べ、若干肯定的な老人観を持っている。 (世代関. 市町村の小学校 4 校の 5 年生、中学校 2 校の 2 年生お. 係について肯定的な答え:同居 68.9%、非同居. よび高等学校 2 校の 2 年生である。各学年の有効回収. 58.4%)今日では、嫁と姑の勢力関係に逆転がみら. 票数は小学 5 年生 288(回収率 99.0%) 、中学 2 年生. れることが指摘されているが、同居という居住空間. 204(同 94.9%) 、高校 2 年生 220(同 94.0%)であり、. のなかで、多世代が比較的仲良く生活していること. 全有効回収票数は 712(同 96.2%)である。. が窺われる。また、同居の子どもほど祖父母との日. 調査方法は、各クラスの担任から児童・生徒に調査. 常的な関わりが多くなっている。 (祖父母との会話. 票を配布して、児童・生徒に記入させる留置法を採用. 頻度が「高い」のは、同居 69.5%、非同居 45.5%). し、2002 年 9 月∼10 月にかけて調査を行った。. (6) 高齢者との接触機会の多い子どもは、接触する機 2.
(3) 会がなくコミュニケーションを取ることのない子. 大きい。 (地域活動役割期待が「大きい」 :全体の合. どもに比べて、肯定的な老人観を形成している。. 計 77.8%、小 5…82.6%、中 2…74.0%、高 2…. (貢献度について肯定的な答え:高齢者との会話頻. 75.0%). 度「高い」73.9%、 「低い」53.8%)子どもは、高. (3)だが、高齢者の職業的役割については、子どもた. 齢者との相互作用のなかで、高齢者の価値観や興味. ちの考え方が二分している。また、小学 5 年生、中. 関心などの内面的特性について知るようになる。高. 学 2 年生に比べ、高校 2 年生は大きな期待を抱いて. 齢者に親和性を持った子どもは、高齢者に対して肯. いる。さらに、高齢者との会話頻度の低い者ほどそ. 定的イメージを抱くのだろう。. の期待は大きくなっている。(職業的役割期待が. (7) 高齢者から好意的評価を数多く受けている子ども. 「大きい」 :全体の合計 48.6%、小 5…43.8%、中. ほど、高齢者にプラスイメージを持っている。 (貢. 2…37.3%、高 2…65.5%). 献度についての肯定的な答え:高齢者からの好意的. (4)高齢者に親切にすることについて、約 6 割の者が. 評価「多い」73.1%、 「少ない」55.9%)だが、高. 積極群であるが、残りの者は、高齢者に対して無関. 齢者からほめられる頻度は高校 2 年生になると急. 心であったり、拒否するような消極群である。 (高. 激に減少するため、高齢者からの好意的評価が老人. 齢者への親切希望: 「積極群」55.7%、 「無関心群」. 観の規定要因となりえるのは、低年齢に限定される。. 38.9%、 「拒否群」5.4%)また、学年が上がるにつ. (高齢者からの好意的評価が「多い」のは、小 5…. れて、消極群が増加している。さらに、男子より女. 77.4%、中 2…72.3%、高 2…42.3%). 子の方に積極群が多くみられる。. (8) 高齢社会についての情報の多くを学校の先生やテ. (5)高齢者との会話頻度が高く、そのなかで高齢者か. レビ・ラジオから得ている。父母や新聞・雑誌・本. らほめられた経験のある子どもは、高齢者との関わ. から情報を得ている者は少ない。 (高齢社会につい. りの少ない子どもに比べると、高齢者への親切行為. ての話を見聞きすることが「多い」のは、学校の先. に積極的な意向を示している。 (高齢者に親切にす. 生から 62.1%、テレビ・ラジオから 60.8%、新聞・. ることについて「積極群」 :高齢者との会話頻度「高. 雑誌・本から 37.2%、父母から 35.5%). い」63.0%、「低い」41.9%). (9) 高齢社会についての学習機会が多い者も少ない者. (6) 祖父母の介護方法としては、子どもたちの約 6 割. も同様の老人観を持っている。だだし、高齢者の学. が在宅での家族による介護志向を持っており、また、. 習活動の老人観については、学習機会の多い者の方. 家族中心か福祉サービスも利用するかという違い. が肯定的である。 (学習活動についての肯定的な答. はあるものの、約 8 割の子どもが、祖父母を在宅で. え:高齢社会についての学習機会「多い」57.1%、. 介護することを望んでいる。 (「自宅で家族が世話」. 「少ない」47.8%). 55.7%、「自宅で福祉サービスの人と家族が一緒に. (高齢者に対する子どもの行動について). 世話」28.3%). (7)地域の子どもたちとの関わりによって出てくる高. (7)しかし、在宅での福祉サービスの利用と老人ホー. 齢者の知識伝達役割や子どもの相談役割について. ムなどの社会福祉施設の利用を合わせると、約 4. は、子どもの期待は大きい。だが、学年が上がるに. 割の者が、祖父母の身体的介護を外部システムと分. つれて、その役割期待は小さい。さらに、男子より. 担していくべきだと思っている。 (「自宅で福祉サ. も女子、また、高齢者との関わりの多い者ほど、そ. ービスの人と家族が一緒に世話」28.3%、 「老人ホ. の期待も大きい。 (知識伝達役割期待が「大きい」 :. ームなどで世話」16.0%). 全体の合計 61.4%、小 5…70.5%、中 2…59.8%、. (8)祖父母との同居形態では、祖父母の介護方法の意. 高 2…50.9%、子どもの相談役割期待が「大きい」 :. 識は変わらないが、祖父母と会話頻度が高く、また、. 全体の合計 75.9%、小 5…86.1%、中 2…71.6%、. 祖父母との関わりを積極的に求めている子どもほ. 高 2…66.8%). ど、老人ホームなどの社会福祉施設を利用せずに、. (2)高齢者の地域活動役割については、約 7 割の子ど. 在宅で家族によって介護するのが望ましいと思っ. もが大きな期待を寄せている。特に、小学 5 年生の. ている。 (「自宅で家族が世話」 :祖父母との会話頻. 期待は 8 割を超えている。男女間で差異はみられな. 度「高い」63.1%、 「低い」48.2%、祖父母との会. いが、高齢者との関わりの多い者ほど、その期待は. 話欲求「積極群」63.4%、「消極群」51.2%) 3.
(4) できる。. (子どもの老人観が子どもの行動に与える影響について). (7)高齢者の知識伝達役割、子どもの相談役割につい. 第 1 に、今日の子どもの多くは、総体として高齢者. ての子どもの役割期待は、子どもの老人観に大きな. に肯定的イメージを持っており、高齢者との間に他者. 影響を受ける。高齢者に対してプラスイメージを持. としての重要な関係を築いていると推定される。. っている者ほど、地域の文化や昔話を教えてもらい. 第 2 に、高齢者を社会関係と活躍性の側面から捉え. たい、あるいは自分の悩みごとを聞いてアドバイス. ると、高齢者の社会関係(友人関係・近隣関係・世代. をしてもらいたいと思っている。 (知識伝達役割期. 関係)についての子どもたちのイメージは二分されて. 待が「大きい」のは、経験・知識についての老人観:. おり、ともすれば否定的老人観を持つ子どもにとって. 肯定的 70.4%、否定的 33.5%、子どもの相談役割. は、高齢者との関係を取り結ぶことは困難であろう。. 期待が「大きい」のは、貢献度についての老人観:. だが、高齢者の活躍性(経験や知識・貢献度・学習活. 肯定的 85.1%、否定的 57.5%). 動)のうち、経験や知識、貢献度については、子ども. (2) 高齢者の地域活動役割についての子どもの期待. の 7 割が肯定的イメージを抱いており、高齢者の積年. は、子どもの老人観に規定されている。肯定的な老. の経験や知識が、何かの役に立つと思っている。. 人観を持つ子どもほど、高齢者が地域活動をするこ. 第 3 に、老人観の規定要因として広く関連がみられ. とを望んでいる。 (地域活動役割期待が「大きい」. たものは、高齢者との接触機会(高齢者との会話頻度). のは、友人関係についての老人観:肯定的 84.9%、. と高齢者からの好意的評価であった。このことから、. 否定的 71.4%). 子どもが高齢者と交流する場を積極的に作り、高齢者. (3) 高齢者が職業的役割を果たすことについての子. の多様性を理解できれば、 「子ども−老人」 関係が子ど. どもの期待は、子どもの老人観に規定されている。. もの社会化過程に効力を発揮すると思われる。. 老人観が否定的な者ほど、高齢者でも何らかの職業. 6. に就いて、自分で生活してほしいと思っている。. 今後の課題. (職業的役割期待が「大きい」のは、経験・知識に. 今後取り組むべき主な課題は、次のとおりである。. ついての老人観:肯定的 44.9%、否定的 60.1%). 第 1 に、今回の調査では、小・中・高校生を調査対 象にしたが、 子どもの老人観を全体的に把握するには、. (4)肯定的な老人観を持つ子どもの約 6 割が、高齢者 に親切にすることについて積極的である。 (高齢者. 幼児や大学生の老人観についても調査する必要がある。. への親切希望の「積極群」は、貢献度についての老. 第 2 に、ひとくちに高齢者といっても、前期高齢者. 人観:肯定的 66.0%、否定的 34.8%、友人関係に. から後期高齢者もいる。今回は、高齢者を社会関係と. ついての老人観:肯定的 62.0%、否定的 50.0%). 活躍性の二つの側面から捉えたが、今後は、健康度や 年齢の差にも着目する必要があるだろう。. (5)祖父母の介護方法は、子どもの老人観に影響を受 ける。肯定的な老人観の子どもほど在宅での家族介. 第 3 に、老人観の規定要因として、子どもの高齢者. 護志向は高く、福祉サービスや老人ホームなどの社. との関わりをあげてきたが、子どもの思考などに影響. 会的介護志向が低くなっている。だが、高齢者にマ. を与える親世代の老人観を把握する必要がある。. イナスイメージを持つ子どもであっても、半数以上. 7. の子どもが、在宅での家族による介護が望ましいと. 主要参考文献. の老人観:肯定的 60.5%、否定的 51.1%、世代関. 住田正樹,2001,『地域社会と教育―子どもの発達と 地域社会』九州大学出版会. 広井良典編,2000,『 「老人と子ども」統合ケア―新. 係についての老人観:肯定的 58.8%、否定的. しい高齢者のケアの姿を求めて』中央法規.. しており、社会的サービスに頼ることに消極的であ る。 (「自宅で家族が世話」は、友人関係について. Palmore,E.B.,1990,Ageism:Negative and Positive,. 50.8%). New York: Spring Publishing Company. 5. (=1995,奥山正司ほか訳『エイジズム―優遇と. 「子ども−老人」関係についての考察. 偏見・差別』法政大学出版局.). 本研究において明らかにされた子どもの老人観から、 今日の「子ども−老人」の人間関係について若干の考 察を取りまとめると、以下のように結論づけることが 4.
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1人暮らし 高齢者世帯 子世帯と同居 独身の子と同居 長期入所施設 一時施設 入院中 その他
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