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2018-03-21 引用発行日 著者 , ; Sugimoto, Koji : タイトル

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(1)

タイトル 名称想起時における脳波を用いた脳活動部位の時空間 的推定 : 形状の異なる視覚刺激に対する比較

著者 杉本, 幸司; Sugimoto, Koji 引用

発行日 2018‑03‑21

(2)

2017 年(平成 29 年)度 博士学位論文

名称想起時における脳波を用いた 脳活動部位の時空間的推定

-形状の異なる視覚刺激に対する比較-

杉 本 幸 司

北海学園大学大学院 工学研究科 電子情報工学専攻

2018 年(平成 30 年) 3 月

(3)

目次

第1章 序論 ― 脳機 能研究の意義 ―

1.1 研究背景...1

1.2 研究の目的... ...6

1.3 本論文の構成...6

第2章 ヒト脳の構造 と活動 2.1 ヒト脳の構造...9

2.2 ヒト脳の機能...18

2.3 脳の活動...24

第3章 EEG の計測 と解析手法 3.1 脳活動 の計測 方法... ...29

3.2 EEG の計測 手法...31

3.3 EEG データ処理と解析...36

第4章 名称想起実験 4.1 実験の概要...40

4.2 言語と脳 活動 に関する先行研究...41

4.3 実験方法...43

4.4 データ処理...45

第5章 果物名称想起 時における推定結果 5.1 脳内活動 部位の推定...48

5.2 実験 ERPの 例...48

5.3 推定結果...49

5.4 脳内活動 部位 に関する比較検討...83

第6章 四足動物名称 想起時における推定結 果 6.1 脳内活動 部位の推定...86

6.2 実験 ERPの 例...86

6.3 推定結果...87

(4)

...101

第7章 考察 7.1 FuGでの活動 について...104

7.2 ParaHip での活動について...105

7.3 言語野での活 動 およびその優位性に ついて...105

7.4 Insulaでの活動について...106

7.5 脳内活動 経路 の相違について...106

7.6 視覚刺激の形 状の違いによる脳内活 動についての仮説...106

7.7 呼称課題の結 果との一致性...110

7.8 結論と今後の 課題...112

第8章 展望 8.1 臨床医療への 応用...113

8.2 BMI/BCI への応用...114

8.3 教育学への応 用...115

8.4 今後の課題...117

付録 A EEG 信号処理 A.1 加算平均法... ...119

A.2 主成分分析...121

A.3 独立成分分析... 127

付録 B 順問題・逆問 題に関する補足 B.1 球形モデル...132

B.2 順問題の定式 化...132

B.3 逆問題の定式 化...135

付録C SynaCenterProにおける設定...137

付録D 略語一覧 C.1 脳部位の略語...141

C.2 その他の略語...142

(5)

謝辞...……….………….………143

参考文献...……….………….……...144

研究業績...……….………….….…..149

図表一覧

○図一覧 図1.1 脳の言語地図... ...3

図1.2 本論文の構成... ...7

図2.1 脳の区分... ...10

図2.2 大脳半球にお ける 機能局在...11

図2.3 大脳皮質の層 構造... ...12

図2.4 脳溝と脳回... ...13

図2.5 大脳半球の構 造... ...14

図2.6 大脳皮質の機 能局在…...15

図2.7 運動野と感覚 野の体部位支配を模式 的にあらわした図...16

図2.8 Brodmannの脳地図... ...17

図2.9 初期視覚認知... ...19

図2.10 言語処理と言語産出に関わる領域...21

図2.11 記憶に関わる領域... ...23

図2.12 神経細胞... ...24

図2.13 神経細胞(ニューロン)... ...25

図2.14 活動電位... ...26

図3.1 国際 10-20法に従った計測...32

図3.2 各部位を特定 する数字と記号...34

図3.3 本研究の実験 で用いた器具...35

図3.4 本研究の電極 位置測定で用いた器具...35

図3.5 電極位置の入 力... ...35

図3.6 等価電流双極 子(ECD)の概念...37

図3.7 3 層同心球による解析...38

(6)

3.8 SynaCenterPro ...40

図4.1 漢字とひらが なの読み書きの回路...42

図4.2 果物画像...43

図4.3 四足動物画像... ...43

図4.4 本研究におけ る実験の流れ...45

図4.5 実験について の教示文書... ...46

図5.1 果物画像にお ける実験 ERPの例...48

図5.2 V1で推定された ECD(サクラン ボ, スイカ, リンゴ)...50

図5.3 R TEで推定された ECD(サクラ ンボ, スイカ, リンゴ)...51

図5.4 R ParaHip (1) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)……..52

図5.5 R FuG (1) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)……….….53

図5.6 R ParaHip (2) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)...54

図5.7 Broca 野 (1) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)...55

図5.8 L Insula で推定された ECD(サク ランボ, スイカ, リンゴ)...56

図5.9 R ParaHip (3) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)...57

図5.10 Broca 野 (2) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)...58

図5.11 R FuG (2) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)…………59

図5.12 Broca 野 (3) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)...60

図5.13 R AnGで推定された ECD(サク ランボ, スイカ, リンゴ)………...61

図5.14 FuG (3) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)………62

図5.15 Wernicke 野で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)...63

図5.16 Broca 野 (4) で推定された ECD(サクランボ, スイカ, リンゴ)...64

図5.17 V1 で推定された ECD(イチゴ)...66

図5.18 R TEで推定された ECD(イチゴ )...67

図5.19 R ParaHip (1) で推定された ECD(イチゴ)...68

図5.20 R FuG (1) で推定された ECD(イチゴ)...69

図5.21 Broca 野 (1) で推定された ECD(イチゴ)...70

図5.22 R ParaHip (2) で推定された ECD(イチゴ)...71

図5.23 L Insula で 推定された ECD(イチゴ)...72

図5.24 R ParaHip (3) で推定された ECD(イチゴ)...73

図5.25 Broca 野 (2) で推定された ECD(イチゴ)...74

図5.26 R FuG (2) で推定された ECD(イチゴ)...75

(7)

5.27 R AnG ECD(イチ ゴ)...76

図5.28 Broca 野 (3) で推定された ECD(イチゴ)...77

図5.29 R FuG (3) で推定された ECD(イチゴ)...78

図5.30 Wernicke 野で推定された ECD(イチゴ)...79

図5.31 Broca 野 (4) で推定された ECD(イチゴ)...80

図5.32 R ParaHip で推定された ECD(バナナ,カキ )...82

図5.33 Broca 野で推定された ECD(バナナ,カキ )...82

図5.34 果物画像における 脳内活動部位に 関する比較検討( 前半 の 経路)...84

図5.35 果物画像における 脳内活動部位に 関する比較検討( 後半 の 経路)...85

図6.1 四足動物画像における実験ERPの 例...86

図6.2 V1で推定された ECD...88

図6.3 R TEで推定された ECD...89

図6.4 R ParaHip (1) で推定された ECD...90

図6.5 R FuG (1) で推定された ECD...91

図6.6 R ParaHip (2) で推定された ECD...92

図6.7 Broca野 (1) で推定された ECD...93

図6.8 R FuG (2) で推定された ECD...94

図6.9 R ParaHip (3) で推定された ECD...95

図6.10 R AnGで推 定されたECD...96

図6.11 Broca野 (2) で推定された ECD...97

図6.12 R FuG (3) で推定された ECD...98

図6.13 Wernicke野で推定されたECD...99

図6.14 Broca野 (3) で推定されたECD...100

図6.15 四足動物画 像における 脳内活動部 位に関する比較検討( 前半の経路)…..102

図6.16 四足動物画 像における 脳内活動部 位に関する比較検討( 後半の経路)…..103

図7.1 提示線画例と その呼称成績...111

図7.2 丸い形状と丸 くない形状の対象の呼 称成績...111

図A.1 加算平均法の 概念図... ...119

図A.2 PCAの概念図...122

図A.3 ICAの概念図...129

(8)

B.1 3 ECD...134

図B.2 ヒト脳における3層構造の模式図...134

図C.1 Nasion座標系...137

図C.2 GOFの表示画面... ....138

図C.3 [推定条件の 編集]ウインド...139

図D.1 脳部位のおお よその位置とその略語...141

○表一覧 表1.1 失語症の分類...4

表2.1 ヒト脳の大脳皮質部位の名称...17

表3.1 脳信号の非 侵 襲計測手法の比較...31

表3.2 国際 10-20法の電極名称と記号...33

表4.1 被験者につい てのデータ... ...44

表5.1 被験者の ECD 推定部位とその潜時(サクランボ, スイカ, リンゴ)...49

表5.2 被験者の ECD 推定部位とその潜時(イチゴ)...65

表5.3 被験者の ECD 推定部位とその潜時(先行研究バナナ,カ キ )...81

表6.1 被験者のECD推定部位とその潜時...87

表7.1 四足動物にお ける視覚刺激の形状 とAnGでの活動...108

表7.2 果物における 視覚刺激の形状と AnGでの活動...108

表C.1 脳部位のおも な略語...141

表C.2 脳部位以外の おもな略語... ...142

(9)

第1章 序論 ―脳機能研究の意義―

本 章 で は , 本 研 究 の 背 景 と し て さ ま ざ ま な 分 野 と 脳 機 能 研 究 と の 関 係 を 簡 単 に 紹 介したのち,本研究の 目的を述べ,全体の構 成を示す .

1.1 研究背景

20世紀の最後の10年間は「脳の10年 (decade of the brain) 」といわ れていた.ま た ,21世 紀 を 「 脳の 時 代 」 と 呼ん だ り し て い る . こ のよ う に , こ こ 数 十 年 で脳 に 関 す る 研 究 が 進 ん で き た . こ の 後 述 べ る よ う に , 現 在 は 臨 床 医 療 の 分 野 に お い て , ま た 工 学 の 分 野 に お い て 言 語 の 脳 機 能 研 究 や ア プ ロ ー チ の 方 法 , 技 術 に つ い て 研 究 す る こ と が 重 要 で あ り , 急 務 で は あ る . し か し , 脳 は 複 雑 な 構 造 を 持 ち , さ ら に 多 く の 学 問 的 領 域 と も 関 連 を 持 つ た め , 現 代 の 科 学 技 術 を も っ て し て も 脳 の 活 動 部 位 や 時 空 間 的 活 動 経 路 を は じ め 未 知 の 部 分 が 多 い . 実 際 に 脳 機 能 研 究 に お け る ア プ ロ ー チや応用には多くの 困 難を内包しているとい われている .

以 下 で は , 脳 機 能 研 究 と 他 の 学 問 領 域 で あ る 言 語 学 , 医 学 , 工 学 , 教 育 学 と の 関 連をいくつか絞って述 べる.

1.1.1 言語 学と 脳機能研究の関係

言 語 は ヒ ト に し か 持 ち 合 わ せ て い な い 機 能 で あ り , 知 的 活 動 , 感 性 ・ 情 緒 , コ ミ ュニケーション能力の 基盤と して,生涯を通 じて個人の自己形成に 関わるとともに,

文 化 の 継 承 や 創 造 に 大 き く 寄 与 す る も の で あ る . そ の た め 言 語 は , 言 語 学 と い う 学 問 領 域 に と ど ま る こ と な く , 医 療 , 工 学 , 教 育 の 分 野 な ど , あ ら ゆ る 分 野 で の 関 心 事となっている.

ま た , 言 語 は 心 と 体 か ら 切 り 離 す こ と が で き な い 活 動 で あ る . た と え ば , 考 え る という活動は,言語を 用いて心の中で考えて いる.他から発せられ た言語の情報は,

文 字 な ら 視 覚 , 音 声 な ら 聴 覚 , 点 字 な ら 触 覚 と い う よ う に 感 覚 器 官 を 通 し て 知 覚 さ れる. このそ れぞ れの 知覚を モダリ ティ ー (modality) とよぶが , 言 語は モダリ ティ ー だ け で は な く , 記 憶 に も 関 連 し て い る . つ ま り , 言 葉 は 音 声 パ タ ー ン や 文 字 パ タ ー ン な ど と し て す で に 記 憶 さ れ て い て , 別 に 記 憶 さ れ て い る 文 法 の 規 則 性 に 基 づ い て 解 釈 さ れ る . こ の よ う に 言 語 は 心 と 体 の 作 用 の 一 部 で あ る と い っ て も 過 言 で は な いであろう.

一 般 的 な 学 問 体 系 に お い て は , 脳 の 研 究 は 生 理 学 , 心 の 研 究 は 心 理 学 , 言 語 の 研 究 は 言 語 学 と い う 枠 組 み で と ら え ら れ て い る . し か し 言 語 化 の は た ら き は , 脳 か ら

(10)

心 へ , そ し て 言 語 へ と 至 る . 逆 に , 発 せ ら れ た 言 語 は 再 び 心 に 返 っ て 脳 で 理 解 さ れ る . し た が っ て , 言 語 に つ い て の 研 究 は 生 理 学 ・ 心 理 学 ・ 言 語 学 を 総 合 的 に 扱 う べ きであって,近年はそ のような 研究も増えて きている.

こ の こ と を 踏 ま え て , 酒 井 は 言 語 に つ い て ま ず , 「 言 語 と は , 心 の 一 部 と し て 人 間 に 備 わ っ た 生 得 的 な 能 力 で あ っ て , 文 法 規 則 の 一 定 の 順 序 に 従 っ て 言 語 要 素 ( 音 声 ・ 手 話 ・ 文 字 な ど ) を 並 べ る こ と で 意 味 を 表 現 し 伝 達 で き る シ ス テ ム で あ る . 」 と定義し,言語に関す る 研究として次の4つの柱を提言している[1].

第 一 の 柱 は , 言 語 の 現 象 を 体 系 的 に 扱 う 言 語 学 で あ る . 具 体 的 に は 言 語 に 見 ら れ る 法 則 性 を 文 法 理 論 と し て 体 系 化 す る こ と , 意 味 や 音 韻 な ど の 言 語 要 素 , 乳 幼 児 が 言語を獲得する過程な どである.

第 二 の 柱 は , 言 語 を コ ン ピ ュ ー タ ー で モ デ ル 化 す る 工 学 的 ア プ ロ ー チ で あ る . 現 在 こ れ ら は 自 然 言 語 処 理 (natural language processing) や , 自 然 言 語 理 解 (natural language understanding) と呼ばれているものである.

第 三 の 柱 は , ヒ ト の 脳 の 解 剖 学 的 構 造 と 言 語 の 生 理 学 的 脳 機 能 を 調 べ る ア プ ロ ー チ で あ る . 言 語 の い ろ い ろ な 要 素 が 脳 に ど の よ う に マ ッ ピ ン グ で き る か , ど ん な 情 報がどのように処理さ れているかを明らかに する.

第四の柱は,言語の遺 伝的基礎を研究するア プローチである.言語 障害の遺伝学,

遺 伝 子 発 現 を 調 べ る 分 子 生 物 学 , 双 生 児 を 対 象 と し た 遺 伝 因 子 と 環 境 分 子 を 分 離 す る解析などである.

そして酒井は,これら4つの学際的なアプローチを結集させること が言語の脳機能 を 解 明 す る う え で 重 要 な 研 究 戦 略 に な る と 述 べ て い る . 言 語 学 と 脳 機 能 研 究 の 関 係 はこの第三の柱に基づ いている .

ヒ ト の 脳 に お い て 言 語 で 必 要 と な る 機 能 は 大 脳 皮 質 の い く つ か の 場 所 で 分 担 さ れ て お り , 文 法 中 枢 , 文 章 理 解 中 枢 , 音 韻 中 枢 , 単 語 中 枢 , 文 字 中 枢 な ど が 知 ら れ て いる.いずれも主に脳 の 左半球に位置する. 文法中枢はBroca野とよばれる領域 あた り に あ り , 文 の 統 語 構 造 な ど の 文 法 を 処 理 し て い る と き に 活 動 が 表 れ る . そ の 下 に 文 章 理 解 中 枢 が あ り , 単 語 の 組 み 合 わ せ や 文 脈 か ら 意 味 を 汲 み 取 る と き に 活 動 が 表 れ る . 音 韻 中 枢 は 側 頭 葉 の 上 部Wernicke野 と よ ば れ る 領 域 あ た り に あ り , 発 音 や ア ク セ ン ト , イ ン ト ネ ー シ ョ ン な ど の ル ー ル の 判 断 を す る 時 に 活 動 が 表 れ る . 単 語 中 枢 は 側 頭 葉 か ら 頭 頂 葉 に か け て あ る . 音 韻 中 枢 の す ぐ 下 あ た り に 文 字 中 枢 が あ る . こ れ ら の 中 枢 は 互 い に 情 報 の や り 取 り を し な が ら 言 語 活 動 が 行 わ れ て い る . こ れ ら の活動領域を図示する と 図1.1のようになり,脳の言語地図とよば れている .

(11)

1.1.2 医学 と脳 機能研究の関係

医 学 の 特 に 臨 床 医 療 の 分 野 に お い て , 言 語 に 関 す る 障 が い と し て 脳 損 傷 に よ る 患 者 の 治 療 や リ ハ ビ リ , あ る い は そ れ に 起 因 す る 障 が い 者 を 支 援 す る 福 祉 介 護 機 器 の 必 要 性 が よ り 一 層 高 ま っ て き て い る . そ の う ち , 脳 の い わ ゆ る 「 言 語 野 」 と よ ば れ る 部 分 を 損 傷 す る こ と な ど に よ り 失 語 症 を 発 症 し た 患 者 に 対 し て , そ の 治 療 や 支 援 は重要な課題の一つで ある.

言 語 機 能 に は 「 聞 く 」 「 話 す 」 と い っ た 音 声 に 関 わ る 機 能 と , 「 読 む 」 「 書 く 」 といった文字に関わる 機能がある .失語症 (aphasia) とは,感覚や 発声器官に は異常 がないのに,一旦獲得 した 音声に関わる言語 機能 に障害が現れる症 状のことである . そ の 原 因 と し て 脳 出 血 や 脳 梗 塞 な ど の 脳 血 管 障 害 か ら 起 因 す る も の が 多 い . こ れ と 似 た よう な 症 状 と して 字 を読 む 能 力 の 障害 で あ る失 読 症 (alexia) や ,字 を 書 く 能 力 の障害である失書症 (agraphia) がある.

失語症には発話の障害 が起こるBroca失語や,話し言葉の理解 ,発話時の言葉の選 択に障害が現れるWernicke失語,言語の理解と発話の両方が障害さ れる全失語(global aphasia) な ど が あ る . こ れ ら の 失 語 症 の 多 く は ,Broca失 語 に つ い て は 左 脳 のBroca

野に,Wernicke失語については左脳のWernicke野に,全失語についてはその両方に損

文法中枢

文章理解中枢

単語中枢

音韻中枢

文字中枢

図 1.1 脳 の 言 語地 図

Broca 野

Wernicke 野

(12)

表1.1 失語症の分類

失語のタイプ 自発発話 言語理解 復 唱 損傷部分

全失語 × × × Wernicke 野と Broca 野

Broca失語 × ◯ × Broca野

Wernicke失語 ◯ × × Wernicke 野

伝導失語 ◯ ◯ × 弓状束

超皮質性失語 × × ◯ (領域が孤立)

傷があることが原因に なっている.

これ ら以 外 にも , 言葉 の選 択や 復 唱に 障 害が 起こ る伝 導 失語 (conduction aphasia) や , 復 唱 の 能 力 は 障 害 さ れ て い な い が そ の 他 の 点 で は 全 失 語 と 同 様 の 症 状 を 示 す 超 皮質性失語 (transcortical aphasia) が知られている.伝導失語はWernicke野とBroca野 を 連 絡 す る 弓 状 束 と い う 神 経 線 維 に 損 傷 が あ る と い わ れ て お り , 超 皮 質 性 失 語 は Wernicke野,Broca野,弓状 束が他 の大 脳皮 質から の連絡 を絶 たれ て孤立 したも のと いわれている.これらをまとめると表1.1のようになる.この表ではおおむね正常か 否か を ◯×で 示し て あ る. な お, 表中 の ※印 (Broca失 語に お ける 言語 理 解) はお お むね正常ではあるが, 文法理解の障害を伴う ことが知られている.

さ ら に , 脳 の 特 定 部 位 の 損 傷 が 失 語 症 の 発 生 お よ び そ の 症 候 に 強 く 関 係 す る こ と が 分 か っ て お り , 物 品 の 呼 称 障 害 の よ う に 一 旦 獲 得 さ れ た 言 語 機 能 が 中 枢 神 経 系 の 損 傷 に よ っ て 言 語 の 理 解 と 表 出 に 障 害 を き た し た 状 態 を 引 き 起 こ す な ど の 症 例 が 知 ら れ て い る . こ の よ う な 症 例 は , 目 標 と す る カ テ ゴ リ ー ( 例 え ば 人 工 物 で あ る と か 生 物 学 的 物 体 で あ る な ど ) に 依 存 す る こ と も 知 ら れ て お り , こ れ ら の 徴 候 は カ テ ゴ リー特異性障害 (category-specific disorders) とよばれている[2].

1.1.3 工学と脳 機能研究の関係

近 年 , ヒ ト の 高 次 脳 機 能 に 関 す る 研 究 手 段 と し て 脳 機 能 の 非 侵 襲 計 測 法 が 進 展 し て い る . 非 侵 襲 計 測 に つ い て は 脳 波 の 方 法 , 脳 磁 図 の 方 法 , 近 赤 外 分 光 法 な ど い く つかその手法が知られ ている.これらについては詳しくは2.1節において述べる.こ れ ら の 手 段 を 用 い て 脳 信 号 を 読 み 取 る こ と に よ っ て , 脳 損 傷 患 者 と 健 常 人 に お け る 信 号 の 違 い を 比 較 解 析 す る こ と な ど を 通 し て , 脳 の ど の 部 分 ま た は ど の 過 程 で 問 題 を 生 じ て い る の か が わ か り , 治 療 の 効 果 や リ ハ ビ リ の 効 果 を 向 上 さ せ る の に 有 効 で あ る と 考 え ら れ て い る . 本 論 文 も , 非 侵 襲 計 測 法 を 用 い て 脳 信 号 を 読 み 取 り , 刺 激 の違いによる信号の違 いを比較した 研究に関 する ものである.

臨 床 医 療 分 野 に 関 連 し て , 頸 髄 を 損 傷 す る こ と な ど に よ り 四 肢 が 不 自 由 に な る 重

(13)

度 の 運 動 機 能 障 害 を 患 う 人 に 対 し て , そ の 支 援 は 重 要 な 問 題 で あ る . こ れ に 関 連 し て , 工 学 分 野 に お い て , 筋 力 を 通 さ ず に 言 語 的 作 業 を 用 い て 支 援 す る 方 法 も 研 究 さ れ て い る . 具 体 的 に は , 脳 機 能 の 非 侵 襲 計 測 法 を 用 い る こ と に よ っ て , 脳 波 を 活 用 したブレイン-マシン ・インターフェース (brain-machine interface: BMI) への応 用 と い う 活 路 が 開 か れ て い る . 最 近 は , ほ と ん ど の マ シ ン が コ ン ピ ュ ー タ ー を 介 し て い る の で , ブ レ イ ン - コ ン ピ ュ ー タ ー ・ イ ン タ ー フ ェ ー ス (brain-computer interface: BCI) とよ ばれるようになってい る[3].

BMI/BCIと は , 末梢 神 経 系 ,感 覚 器 , 運 動 器 な ど を介 さ ず に , 脳 波 の 微 細な 信 号 を 計 測 に よ っ て 取 り 出 し , 操 作 対 象 で あ る 機 械 ( マ シ ン ) と の 間 で , ヒ ト と の イ ン ターフェースをとると いうものである.

BMI/BCIユ ー ザ ーは , コ マ ンド を 入 力 す る 際 に , キー ボ ー ド や マ ウ ス , ハン ド ル の 操 作 や 発 声 な ど の よ う に 筋 力 を 働 か す 作 業 の 必 要 が な く , メ ン タ ル タ ス ク を 行 う の み で あ る . つ ま り , 「 言 語 を 用 い て 心 の 中 で 強 く 意 識 す る 」 と い う 作 業 の み を 必 要 と する の で あ る . こ のBMI/BCIに よっ て , 神 経リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン への 応 用 可 能 性 が 言及 さ れ る よ う に な っ てき た . す な わ ち ,BMI/BCIを 用い て , 運 動機 能 障 害 者 の 脳 活 動 の 中 か ら 目 的 と す る 情 報 を 抽 出 し , そ の 情 報 を 用 い て 運 動 器 の 代 わ り と な る外部機器を制御する など,医療・福祉技術 としての応用が期待さ れている.

1.1.4 教育学と 脳機能研究の関係

経済協力開発機構 (Organization for Economic Co-operation and Development:

OECD) と 教 育 研 究 革 新 セ ン タ ー (Centre for Educational Research and Innovation: CERI) は 1999 年に学習科学 と脳研究 (Learning Sciences and Brain Research) プ ロ ジ ェ ク ト を 発 足 さ せ た . こ の プ ロ ジ ェ ク ト は 読 み 書 き 能 力 (Literary) ,計算能力 (Numeracy) ,生涯 学習 (Lifelong learning) が主要な研究 課 題 と し て 設 定 さ れ て い る が , 一 生 を 通 じ て 教 育 は ど う あ る べ き か を 考 え る う え で 脳機能研究の知見が活 用されている .

こ う し た 流 れ の 中 で , 日 本 に お い て も 教 育 側 か ら 脳 機 能 研 究 に よ る ア プ ロ ー チ が 行われてきた.

大 石 は 大 学 生 を 対 象 に , 英 語 学 習 を テ ー マ と し て , 光 計 測 装 置 に よ る 脳 活 動 計 測 実験を 行う 実証 的な 研 究を行 った[4].そ の 結果, 初級 学習 者か ら 上級活 動者 にな る につれて,酸素化ヘモ グロビン (oxygenated hemoglobin) の増加によって測定され る 脳 活 性 パ タ ー ン が , 無 活 性 型 か ら 過 剰 活 性 型 , 選 択 的 活 性 型 , 自 動 活 性 型 へ と 変 化 す る こ と を 確 認 し て い る . ま た , 黒 田 は 大 学 生 を 対 象 に , 算 数 科 の 中 か ら 幾 何 に 関 す る 内 容 を 課 題 に 用 い て , 光 計 測 装 置 に よ る 脳 活 動 計 測 実 験 を 行 う 実 証 的 な 研 究

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を行っ た[5].この 実 験から ,課 題を 解決 す るため の 方 略を 獲得 す る前は 脱酸 素化 ヘ モ グ ロ ビ ン(deoxygenated hemoglobin)の 増 減 幅 の 拡 大 と 上 下 変 動 の 増 加 が 確 認 さ れ る が , 方 策 の 獲 得 後 で は , 脱 酸 素 化 ヘ モ グ ロ ビ ン の 増 減 幅 が 収 束 す る と と も に , 上 下 変 動 が 沈 静 化 す る こ と を 確 認 し て い る . こ の こ と は 脳 活 動 計 測 を 通 し て 学 習 に よる変化を検出するこ との可能性を 示唆して いる.

1.2 研究の目的

本 研 究 で は , 上 述 し た 背 景 を ふ ま え て , 脳 の し く み を 解 明 す る と い う 観 点 に 基 づ き,以下に述べる 三点 について解明すること を 目的とする.

第 一 に , ヒ ト 脳 の 解 剖 学 的 構 造 と 言 語 の 生 理 学 的 脳 機 能 を 解 明 す る た め に , ヒ ト 脳 の 活 動 部 位 お よ び 時 空 間 的 活 動 経 路 を 推 定 す る と い う こ と で あ る . 具 体 的 に は 被 験 者 に 視 覚 刺 激 と し て 果 物 ま た は 四 足 動 物 の モ ノ ク ロ ー ム 線 画 画 像 を 提 示 す る . 被 験 者 は 提 示 画 像 の 形 を 認 知 し て 記 憶 し た の ち , そ の 画 像 と し て 描 か れ た 果 物 ま た は 四 足 動 物 の 名 称 を 想 起 し , そ の 名 称 を 強 く 意 識 ( 黙 読 ) す る . そ の 際 に 被 験 者 の 脳 波 (electroencephalogram: EEG) を計測す る.このEEGデータ に対して等価電流双 極 子 推 定 法 に よ る 解 析 を 行 い , 名 称 の 黙 読 と い う 言 語 活 動 を 通 し て 脳 内 の ど の 部 位 に お い て 活 動 が 行 わ れ て い て , ど の よ う な 時 空 間 的 活 動 経 路 を た ど っ て ゆ く の か を 検証する.

第 二 に , 実 験 に お い て 提 示 さ れ た 視 覚 刺 激 の カ テ ゴ リ ー , た と え ば そ の 種 別 , 形 状 な ど の 違 い に よ り , 脳 の 活 動 部 位 あ る い は 時 空 間 的 活 動 経 路 の 違 い が み ら れ る こ と は な い か ど う か 検 討 す る . さ ら に そ の こ と か ら ど の よ う な 傾 向 が あ る と 帰 納 さ れ るのか考察する.

第 三 に , 本 研 究 の 応 用 と し て , 言 語 野 を 損 傷 し た 失 語 症 患 者 に 対 す る 治 療 に 寄 与 す る た め の 基 礎 的 研 究 で あ る . 現 在 行 わ れ て い る 失 語 症 に つ い て の 研 究 と 本 研 究 と の 比 較 を 行 う こ と は 意 味 の あ る こ と で あ る . た と え ば , 本 研 究 に よ っ て 得 ら れ た 健 常 人 に つ い て の 脳 の 活 動 部 位 お よ び 時 空 間 的 活 動 経 路 の 結 果 に 基 づ き , 脳 損 傷 者 の 時 空 間 的 経 路 計 測 で , 健 常 人 と ど こ が 違 う の か , ど の 過 程 で 問 題 を 生 じ て い る の か 検 討 す る こ と に よ っ て , リ ハ ビ リ 方 法 に よ り ど の よ う な 経 路 が 代 償 さ れ て で き る の かなど,治療効果やリ ハビリ効果の判定に応 用できるのではないか と考えている.

1.3 本論文の構成

本論文は全 8 章で構成 される .各章の内容は 次のとおりである . 第 1章は序論である .

第 2章では,本研究で 必要となるヒト脳の構 造や機能と高次脳機能 に関する従来

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第 1章 序論

第 2章 ヒト脳の構造 と活動

第 3章 EEG の方法を用いた計測と解析手 法

第 4章 名称想起実験

第 5 章 果物名称想起時 における推定結果

第 6 章 四足動物名 称想起時 における推定結果

第7 章 考察

第 8章 展望

図1.2 本論文の構成

からの知見について述 べる.

第 3章では,脳活動の 計測,次章で行う実験 手順,EEG の計測法,および得られ たデータから電流源を 推定するための解析方 法について述べる.

第 4 章では,本研究 の目的を遂行するため に行った果物ならびに 四足動物名称想 起時における脳内活動 についての実験につい て述べる.

第 5 章では,第 4 章における実験において ,特に果物名称想起時 おける脳内活動 部位の推定結果などに ついて述べる.

第 6 章では,第 4 章における実験において ,特に四足動物名称想 起時おける脳内 活動部位の推定結果な どについて述べる.

第 7章では,今回得ら れた実験結果について 検討と考察を行う.

第 8 章では,本研究 の手法またはもっと大 きく脳活動を計測する 手法を用いて解 明できる可能性がある ことがらについて言及 し,これからの展望に ついて述べる.

付録 Aでは,ノイズ除 去に関わる EEG 信号処理の基本的方法 につ いて数学的な理 論を紹介する.

付録 Bでは,順問題 ・逆問題に関する補足 事項を述べる.

付録 Cでは,脳内等価 電流双極子推定ソフ ト SynaCenterPro における設定につい 付録 A

EEG信号処理

付録 B

順問題・逆問題 に関する補足

付録 C

SynaCenterPro における設定

付録 D 略語一覧

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て述べる.

付録 Dでは,本文で用いられる主要 な略語 とその意味の対照表を 掲載する.

図 1.2に本論文の構 成と関連を一覧にした 図を示す.

(17)

第2章 ヒト脳の構造と活動

本 章 で は , 本 研 究 に お い て 必 要 と な る 基 本 的 知 識 と し て , ヒ ト 脳 の 構 造 や 機 能 と 高 次 脳 機 能 に 関 す る 従 来 か ら の 知 見 に つ い て 述 べ る . は じ め に ヒ ト 脳 の 解 剖 学 的 な 区 分 を ま と め , 特 に 大 脳 の 構 造 に つ い て 詳 し く 説 明 す る . 次 に ヒ ト 脳 の 機 能 に つ い て述べ,最後に脳の活 動としてEEGについ て言及する.

2.1 ヒト脳の 構造

ヒ ト の 脳 (brain) は , 神 経 細 胞 が 凝 縮 し て 巨 大 な ネ ッ ト ワ ー ク を 構 築 し て い る 重 さ約1400g の 臓器 で ある . 脳は 柔 らか く, 重要 な 器官 な ので ,衝 撃や 揺 れか ら強 固 に 守 ら れ て い る . 脳 を 覆 っ て い る 構 造 物 に は , 硬 い 頭 蓋 骨 と そ の 外 表 の 毛 髪 ・ 頭 皮 な ど が あ る . 頭 蓋 骨 の 内 部 に は , 髄 膜 ( 硬 膜 ・ く も 膜 ・ 軟 膜 ) や 髄 液 な ど が あ り , これらが脳を保護して いる.

2.1.1 ヒト脳の 解剖学的区分

ヒト脳の区分は解剖学 的区分(形態学的区分 ),発生学的区分,機 能的区分など い く つ か の 区 分 の 方 法 あ る が , こ こ で は , 解 剖 学 的 区 分 を 紹 介 す る . 解 剖 学 的 区 分 と は,図2.1のように 脳の形態によって区分す る方法であるが, 大き く言って 以下に述 べるような6つの部分 に分けられる.

大 脳 (cerebrum) は 左 右 の 大 脳 半 球 で 占 め ら れ て い る の で 大 脳 半 球 と も よ ば れ た り , 発 生 学 的 に 最 後 に 完 成 し た 脳 な の で 終 脳 と も よ ば れ た り し て い る . 総 脳 量 の 約 85% を 占 め て い る . 脳 の 中 の 最高 司 令 部 と で も い う 部位 で , 情 報 を 集 め , 思考 し , 判 断 し て 体 を 動 か し て い る . ま た , 感 情 の よ う な , 人 間 ら し い 機 能 を 司 っ て い る . 表面を覆う大脳皮質( 灰白質)とその内部に ある髄質(白質)で構 成されている.

間 脳 (diencephalon) は 中 脳 と 大 脳 の 間 に あ り , 細 胞 核 の 集 団 で あ る 視 床

(thalamus) ,視床の 下方にある視床下部 (hypothalamus) ,視 床の後背部にある視

床 上 部 (epithalamus) の3領 域 に 分 け ら れ る . 間 脳 は , 感 覚 情 報 の 中 継 と 処 理 , 本 能 , 情 動 を つ か さ ど る 場 所 で , 喜 怒 哀 楽 , 欲 望 な ど の 情 報 を 大 脳 へ 送 っ て い る . 自 律 神 経 機 能 の 中 枢 が あ り , ホ ル モ ン 産 生 の 調 節 な ど も 行 っ て い る . 疲 労 情 報 も 大 脳 に送っている.なお, 間脳は,広義には脳幹 に含まれることもある .

小脳 (cerebellum) は大脳の下背側にあり,表面は細かいひだ状に なっている.左

右 に 膨 ら んだ 小 脳 半 球 と 中 央 の 虫部 で 成 り 立 っ て い る .総 脳 量 の 約10% を 占 め る . 体 の 位 置 情 報 , 感 覚 情 報 を 大 脳 に フ ィ ー ド バ ッ ク す る と い う 感 覚 と 運 動 機 能 , お よ び体で覚えた運動記憶 を司っている.

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中脳 (mesencephalon) は視覚・聴覚情報の処理,体性運動反射,意識の保持に関 わっている.

橋 (pons) は,小脳と 視床への感覚情報の中 継を行い,無意識的体 性および内臓性

運動の中枢である.

延 髄 (medulla oblongata) は 脳 の 最 下 部 に あ り , 脊 柱 管 内 を 通 る 脊 髄 (spinal

cord) へとつながって いる.視床への感覚情 報の中継や,内臓機能 調節に 関わる自律

神 経 中 枢 ( 呼 吸 や 消 化 な ど ) で あ り , 意 識 , 体 温 調 節 な ど の 生 命 の 維 持 に 関 わ る 機 能を司っている.

なお,機能的には中脳・橋・延髄は一つにま とめられて脳幹 (brain stem) とよば れる.

2.1.2 ヒトの大 脳の構造としくみ

次に,大脳の構造とし くみを見て ゆこう[7].大脳は図2.2のように 正中部に大きな 裂け目がある.これを 大脳縦列 (longitudinal cerebral fissure) という.大脳縦列

図 2.1 脳の区分 [6]

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によって大 脳は左右 の 大脳半球 (cerebral hemisphere) に分かれ る.分 かれ た左右 の半球は ,脳 梁 (corpus callosum) とよば れる神経 線維 によっ て つながっ てい る.

左 半 球 は 言 語 を 司 る 言 語 野 で あ り , 論 理 的 思 考 を す る う え で 重 要 な 働 き を も つ . 右 半球は視覚情報の全体 的な把握や空間内の操 作,音楽を把握する能 力が優位である.

こ の よ う な 意 味 で 左 脳 は 「 言 語 脳 」 , 右 脳 は 「 感 覚 脳 」 と も い わ れ る . 後 方 は 視 覚 野の部分で一次視覚野 (V1) や二次視覚野 (V2) などがある .

大脳半球の表面の組織 は ,大脳皮質 (cerebral cortex) とよばれ,厚さは2~3 mm ほど ,約100~180億 個の 神経 細胞 (ニュー ロンneuron) によっ てつ くら れて いる.

大脳皮質には原皮質 (archicortex) ,古皮質 (paleocortex) ,新皮質 (neocortex) が あり,新皮質は 大脳皮質の約90%を占める.新皮質は 図2.3のように 大脳表面に平行 に重なる第Ⅰ層から第 Ⅵ層までの6つの層で 構成されている.第Ⅰ 層から順に分子層,

外 顆 粒 層 , 外 錐 体 細 胞 層 , 内 顆 粒 層 , 内 錐 体 細 胞 層 , 多 形 細 胞 層 と よ ば れ て い る . ただし,場所によって 層 の厚さは異なってい る.この6層が縦に連 絡し合う円柱はコ ラ ム (column) と よ ば れ て お り , こ の コ ラ ム が 一 つ の 機 能 単 位 に な っ て い る . コ ラ ムの直径は0.5~1mm程度で,大脳皮質全体 でコラムが数百万個存 在すると考えられ て い る . コ ラ ム 内 の ニ ュ ー ロ ン が 一 つ の 情 報 処 理 を 担 っ て い る . 原 皮 質 , 古 皮 質 で は3~5層構造になっており,3層の場合は分 子層,錐体細胞層,多 形細胞層で構成さ れている.

前頭葉左半球

・論理的思考

・言語

・計算

・正確な判断

前頭葉右半球

・直観的思考

・空間認知

・音楽

・曖昧な判断

図 2.2 大脳半球にお ける機能局在

後頭葉

・視覚野(V1~V5な ど)

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大脳皮質の主な神経 細 胞は錐体細胞 (pyramidical cell) ,顆粒細胞 (granule cell),

紡 錘細 胞 (spindle cell) で ある . 錐 体 細胞 は 細胞 体 の 形が 四 角 錐 に 見え る 細 胞で , 連 絡 す る 相 手 の 細 胞 の 働 き を 活 性 化 さ せ る . 顆 粒 細 胞 は 細 胞 体 が 小 さ く 粒 状 に 見 え る 細 胞 で , 情 報 処 理 に 関 わ っ て い る . 紡 錘 細 胞 は 細 胞 体 が 紡 錘 状 で 皮 質 の 真 相 に 見 ら れ る . 大 脳 皮 質 に は そ の 他 水 平 細 胞 (horizontal cell) , マ ル チ ノ ッ テ ィ 細 胞 (Martinotti cell) ,大 顆粒細胞 (large granular cell) など10種類ほどが確認されて いる.

大脳皮質には図2.4のように多数の溝があり ,それを脳溝 (sulcus) とよぶ.また,

それらに囲まれた隆起 している部分を脳回 (gyrus) とよぶ .代表的な脳溝 は中心溝 図 2.3 大脳皮質の層 構造 [8]

(21)

図 2.4 脳溝と脳回 [8]

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(central sulcus) ,外側溝 (lateral sulcus) ,頭頂後頭溝 (parieto-occipital sulcus) の3つである.中心溝 ,外側溝はそれぞれロ ーランド溝 (fissure of Rorando) , シ ルビウス溝 (sylvian fissure) ともよばれる .

これらの脳溝によって 図2.5のように4つの葉 (cerebral lobe) に分 けられ,それぞ れ後頭葉 (occipital lobe) ,頭頂葉 (parietal lobe) ,側頭葉 (temporal lobe),前頭 葉 (frontal lobe) とよば れる . 後 頭葉 は頭 頂後 頭溝 から 大脳 後端 まで の大 脳半 球の 最 尾 側 に あ り , 視 覚 形 成 の 中 心 で あ る . 頭 頂 葉 は 中 心 溝 か ら 頭 頂 後 頭 溝 ま で の 脳 上 部 に あ り , 痛 み や 温 度 な ど の 体 性 感 覚 を 司 る . 側 頭 葉 は 脳 の 側 面 , 外 側 溝 の 下 に あ り , 言 語 , 記 憶 , 聴 覚 に 関 わ っ て い る . 前 頭 葉 は 大 脳 前 端 か ら 中 心 溝 ま で の 大 脳 前 方 に あ り, 大 脳 皮 質 の 体 積 の 約3分 の1を 占 め る . 思考 や 判 断 な ど 高 度 な 知的 活 動 の 中枢であり,運動を司 る一次運動野などもあ る.

その ほか にも ,大 脳中 央部 の大 脳辺 縁系 (limbic system) とよば れる 部分 を辺縁 葉 (limbic lobe) と よ ぶ こ と も あ る . こ こ は 帯 状 回 (cingulum) , 海 馬 傍 回 (parahippocampal gyrus) などか らな る . さら に, 側頭 葉 と頭 頂 葉 下 部を 分け る部 分にある島皮質 (insular cortex: Insula) も島葉 (insular lobe) とよばれたり,脳 回の一つとして島回 (insular gyrus) とよばれたりもする.

大脳皮質は図2.6のように部位ごとにそれぞ れ ある程度異なる 機能 を担っている.

図 2.5 大脳半球の構 造

頭頂葉

空 間 感 覚 や 体 性 感 覚 な ど に 関 す る処理

側頭葉

言 語 や 記 憶 な ど

に関する処理 後頭葉

視 覚 の 認 知 な ど に関する処理 前頭葉

運 動 ・ 思 考 な ど に関する処理

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これを機能局在 (functional specialization)という.その各領域を 野 (area) とよん でいる. 野を 機能面 で 大きく分 類す ると, 運 動野 (motor area) ,感覚野 (sensory area) ,視覚野 (visual area) ,連合野 (association area) ,言語野 (language area) な ど に 分 け ら れ る . 運 動 野 は 前 頭 葉 の 後 部 に 位 置 し , 運 動 を 司 る . 感 覚 野 は 中 心 溝 の 後 方 に 位 置 し , 皮 膚 や 関 節 , 筋 肉 か ら の 感 覚 情 報 を 処 理 す る . 感 覚 野 の う ち 体 性 感 覚 野 は , 皮 膚 か ら の 触 覚 や 痛 覚 に よ っ て 送 ら れ る 信 号 を 認 識 す る . 聴 覚 野 は 側 頭 葉に,嗅覚野は前頭葉 下部に,味覚野は頭頂 葉下部に位置する.視 覚野はV1 及び外 線 条 皮 質 (V2,V3,V4,V5) に 分 け ら れ ,V1は 後 頭 葉 に あ る 鳥 距 溝 の 周 り に 位 置 する. 連合 野は 大脳 皮 質で最 も広 い面 積を 占 め,前 頭連 合野 (anterior association area) , 頭 頂 連 合 野 (parietal association area) , 側 頭 葉 連 合 野 (temporal

association area) に分けられている.前頭 連合野は運動野の前方 に位置し,大脳皮

質 の 最 も 前 方 に あ る . 行 動 の 計 画 や 決 定 , 結 果 の 予 測 , 行 動 抑 制 , 視 覚 的 に 与 え ら れ た 目 標 へ の 眼 球 運 動 の 制 御 , 抽 象 的 思 考 な ど を 担 っ て い る . 頭 頂 連 合 野 は 後 頭 葉 の 前 方 , 背 側 で 感 覚 野 の 後 方 に 位 置 し , 空 間 情 報 ( 「 ど こ に 」 ま た は 「 ど こ へ 」 ) や身体の認識を担って いる.側頭連合野は後 頭葉の前方,腹側に位 置し,聴覚認知,

視覚認知,形態視覚( 「なにが」)やエピソ ード記憶を担っている . 図2.6 大脳皮質の機 能局在 [9]

(24)

こ れ ら の 領 野 は , さ ら に 身 体 部 位 に 対 応 し た 領 域 に 分 け る こ と が で き る . カ ナ ダ の脳神経外科医のWilder Graves Penfield (1891–1976) は,様々な皮質領域に対し て 電 気 刺 激 を 与 え , そ れ に よ っ て 起 き る 運 動 や 体 験 感 覚 等 を 詳 し く 観 察 , あ る い は 患 者 か ら 聞 き 取 っ た . 一 次 運 動 野 を 刺 激 す る と 運 動 が 生 じ , 一 次 体 性 感 覚 野 を 刺 激 す る と , そ の 刺 激 部 位 に よ っ て 刺 激 感 覚 が 生 じ た . こ の 現 象 を 基 に 彼 は 脳 の 中 の 小 人,ホムンクルス (homunculus) を描き,身体部位再現地図を表 した.

図2.7は,運動野と感 覚野の体部位支配を模 式的にあらわした図で ある.部位に対 す る 神 経 支 配 の 大 小 を そ の 部 位 の 面 積 の 大 小 で 表 し て い る . 手 や 顔 面 が 大 き く 描 か れているので,それら の部位に対する神経支 配が多いことを表して いる.

ま た , 大 脳 皮 質 の 別 の 区 分 の 仕 方 と し て ,20世 紀 の 初 め , ド イ ツ の 解 剖 学 者 Korbinian Brodmann (1868–1918) は 大 脳 皮 質 組 織 を 細 胞 の 配 列 構 造 に よ り 図2.8 の よ う に48の 領 域 に 分 け , 第1野 か ら 第52野 と 名 付 け た . た だ し , 第48野 か ら 第51 野までは欠番であ る. 大脳皮質が6層構造を していることを発見し ,さらに6層の順

図 2.7 運動野と感覚 野の体部位支配を模式 的にあらわした図 [8]

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表2.1 ヒト脳の大脳皮質部位の名称

№ 解剖学的名称 略称 Brodmannの脳地図の番号

1 上側頭回 superior temporal gyrus STG 22 2 中側頭回 middle temporal gyrus MTG 21 3 下側頭回 inferior temporal gyrus ITG 20 4 ウェルニッケ野 Wernicke’s area 22 5 上頭頂小葉 superior parietal loblus SPL 7

6 下頭頂小葉 inferior parietal loblus IPL 39の一部, 40の一部

7 角回 angular gyrus AnG 39

8 縁上回 supramarginal gyrus SMG 40

9 頭頂間溝 intraparietal sulcus IPS

10 中心後回 postcentral gyrus PstCG 1, 2, 3, 5 11 中心前回 precentral gyrus PrCG 4,6の一部 12 上前頭回 superior frontal gyrus SFG 8, 9, 46の一部

13 中前頭回 middle frontal gyrus MFG 10, 44, 45の一部, 46の一部 14 下前頭回 inferior frontal gyrus IFG 11, 45の一部

15 ブローカ野 Broca’s area 44, 45の一部 図 2.8 Brodmann の脳地図 [8]

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序 が 各 部 分 で 異 な っ て い る こ と を 確 認 し た . こ の こ と にBrodmannは 着 目 し ,1909 年に脳の地図を作った .これをBrodmannの 脳地図とよぶ.これに従うと,たとえば 第4野 は 運 動 野 に 対 応 し , 全 身 に 運 動 の 命 令 を 送 る 働 き を 担 っ て い る と さ れ て い る . また,中心溝をはさん で運動野と対峙してい る体性感覚野は第1野 ,第2野,第3野お よび第5野に対応して いる.

以 下 で は , 部 位 を 示 す 場 合 に は , こ れ ら の 詳 細 な 区 分 の 表 記 は せ ず , 解 剖 学 で 用 いられている大脳に関 する各部位の名称で示 す.表2.1に代表的な 大脳皮質部位の名 称を示す.

2.2 ヒト脳の機能

脳は全身の働きの大部 分を制御しており,自 発的な行動はもちろん のこと,身体の 内 外 か ら の 刺 激 に 対 し て , 眠 っ て い る と き も 起 き て い る と き も 身 体 が う ま く 対 応 で き る よ う に 働 い て い る . そ の た め , 常 に 集 ま っ て く る 情 報 を 分 析 し , 蓄 え , 思 考 ・ 学習している.

脳 の 主 な 機 能 と し て , 大 き く3つ あ る . 第 一 に , 脳 の 出 力 系 と し て の 働 き で あ る . こ れ は , 脳 が 身 体 の 末 梢 に 様 々 な 指 令 を 出 し て い て , 神 経 系 の 司 令 部 と し て 働 い て い る も の で あ る . 第 二 に , 脳 の 受 取 系 と し て の 働 き で あ る . こ れ は , 脳 が 身 体 の 末 梢 か ら の 情 報 を 受 け 取 る 場 所 で あ り , 情 報 収 集 の 場 と し て 働 い て い る も の で あ る . 第 三 に , 脳 の 統 合 ・ 貯 蔵 系 と し て の 働 き で あ る . 脳 は , 末 梢 か ら 集 ま っ た 膨 大 な 情 報 を ま と め , 分 析 し , 脳 内 の 各 部 同 士 と 互 い に 連 絡 を 取 り 合 い , 考 え る 場 所 で あ る と 同 時 に , 経 験 や 知 識 を 記 憶 と し て 蓄 え て お く 貯 蔵 庫 と し て の 働 き を 持 っ て い る の である.

本節ではヒト脳 の機能 として特に「視覚情報 の伝達」「言語処理と言語産出」「記 憶」の3点について述 べる.

2.2.1 視覚情報 の伝達

視 覚 情 報 は ま ず 視 細 胞 が 感 受 し , 網 膜 内 で 双 極 神 経 細 胞 に 伝 え ら れ る . さ ら に 神 経 節 細 胞 に 伝 え ら れ る . そ し て 視 神 経 線 維 と し て 眼 球 か ら 出 て ゆ く . 視 神 経 は , 眼 球後部の視交叉 (optic chiasm) で交叉して左半視野は右脳へ,右 半視野は左脳へ分 か れ る . 分 か れ た 情 報 は 視 索 (optic tract) を 経 由 し て 視 床 の 外 側 膝 状 体 (lateral

geniculate nucleus) に至る.ここで動きに 関する情報の経路 (M経路)と形や色に

関 す る 情 報 の 経 路 (P経 路 ) に 分 か れ て 放 射 線 状 にV1に 入 っ て ゆ く . 右 の 視 野 か ら の 刺 激 は 大 脳 の 左 半 球 の 上 で 処 理 さ れ , 左 の 視 野 か ら の 刺 激 は 大 脳 の 右 半 球 の 上 で 処理さ れる .V1に は それぞ れ特 異的 な光 を 担当す る細 胞が あり , これら が集 まっ て コラムを構築している .それぞれのコラムが 方向や色,明るさ,動 きなどを分析し

(27)

ている.

このあとの処理は背側 経路 (dorsal pathway) と腹側経路 (ventral pathway) の

2つの経路に分かれる (図2.9) .

背 側 経 路 の 視 覚 情 報 は 後 頭 葉 に お け るV1か らV2, 背 内 側 野 , 五 次 視 覚 野 (V5)

(middle temporal area: MT野ともいう) を通過し,終点の後頭頂 皮質へと向かう.

視覚情 報は ,出 発点V1では 純粋 に視 覚機 能 しかな いが ,終 点の 後 頭頂皮 質へ 向か う に つ れ て , 空 間 認 識 へ と そ の 機 能 が 移 っ て ゆ く . 背 側 経 路 の 情 報 は 運 動 の 知 覚 , 物 体 の 位 置 や , 眼 や 腕 の 制 御 に 関 連 す る と い わ れ て い る . 位 置 に 関 連 す る こ と か ら 背 側経路のことをwhere経路とよぶこともある .

腹 側 経 路 はV1よ り 始 ま り ,V2, 四 次 視 覚 野 (V4) を 通 過 し , 下 側 頭 回 (inferior temporal gyrus: ITG) ,下側頭葉皮質前部 (temporal area: TE) へと向かう.腹側 経 路 の 情 報 は 視 覚 対 象 の 認 識 や 形 状 の 表 象 と 関 連 し て い る . ま た , 長 期 記 憶 の 貯 蔵 場 所 で あ る 内 側 側 頭 葉 や 情 動 を つ か さ ど る 大 脳 辺 縁 系 と も 関 連 し て い る . 形 状 に 関 連することから腹側経 路のことをwhat経路とよぶこともある.

背 側 経 路 と腹 側 経 路 の2つ の 経 路 に 分 か れ る ま で の 処 理を 初 期 視 覚 認 知 と い い,2 つの経路後の処理過程 は高次処理といわれる .

V5

V3

V4 中心後 回 (PstCG)

下側頭 回 (ITG) 下側頭 回中 部

下側頭 回前 部

図 2.9 初期視覚認知

背側経路

腹側経路

下側頭 回後 部

V1・V2

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背側経路と腹側経 路の 二分法はUngerleiderとMishkinによって最 初に定 義された が,2つの経路は完全 に独立ではなく相互に 情報を伝達していると され,この二分法 は 現 在 で は , 視 覚 野 で の 実 際 の 出 来 事 を 単 純 化 し 過 ぎ て い る と 考 え ら れ て い る . 近 年 の 研 究 で は , ヒ ト の 大 脳 に お け る 視 覚 情 報 処 理 に は 大 き く 分 け て 腹 側 ・ 腹 背 側 ・ 背背側の3つの流 れで 処理されると されてい る[10].腹側の流 れは 後頭葉から側 頭葉 に 向 か い , 対 象 を 同 定 し た り 対 象 に つ い て の 知 識 を よ び 出 し た り す る た め に 色 や 形 を 分 析 す る . 腹 背 側 の 流 れ は 下 頭 頂 小 葉 に 向 か い , 対 象 の 位 置 や 運 動 を 分 析 し 対 象 を 意 識 す る こ と に 関 わ る . 背 背 側 の 流 れ は 頭 頂 間 溝 や 上 頭 頂 小 葉 に 向 か い , 対 象 の 位置や運動,形を分析 して対象に向けた行為 の無意識的なコントロ ールに関わる .

2.2.2 言語 処理 と言語産出

臨床医療の分野におい て ,言語能力が著しく 損なわれる失語症の原 因を調べて ゆく な か で , 脳 の 特 定 の 部 位 の 損 傷 と 失 語 症 に 強 い 関 係 が あ る こ と が わ か っ た . こ の こ と か ら , 損 傷 す る と 失 語 症 を 起 こ す よ う な 言 語 機 能 に 関 わ る 部 位 を 言 語 野 と み な す こ と が で き る . よ く 研 究 さ れ た も の にBroca失 語 症 とWernicke失 語 症 が あ り , そ れ らに関連する言語野を それぞれBroca野 (Broca's area) ,Wernicke野 (Wernicke's area) という.

Broca野は前頭葉の運 動野 の一部であり,前 頭葉の弁蓋部と三角部 を含み下前頭回

腹 側 部 に あ り ,Brodmannの 脳 地 図 に お け る44野 と45野 の 一 部 に あ た る . こ の 領 域 は口や唇の運動である 発話に関与していると 考えられている .その ため,Broca野は

「表出性言語野」とも よばれている .Broca失語症は運動性失語症 と もよばれている が , 言 語 理 解 は で き る も の の 発 話 や 書 字 の で き な い 患 者 に お い て 主 に 損 傷 し て い る 部位である.フランス の医師Paul Broca (1824–1880) の患者で ,「タン」としか発 音で き ない 患 者が おり ,1861年に 死 後解 剖 を行 っ たと こ ろ左 半球 の下 前 頭回 に脳 梗 塞を発見し,ここを運 動性失語の病巣および 発話等の中枢と推定し た .

Wernicke野 は左 脳 の 側頭 葉 上部 にあ る 側頭 平面 か ら上 側頭 回 後部 かけ て の領 域で , Brodmannの 脳 地 図 に お け る22野 に あ た る . こ の 領 域 は 入 力 さ れ た 音 声 を 言 葉 の 意 味 の 記 憶 と 関 連 付 け る と い う , 音 声 認 識 の 高 次 機 能 に 関 与 し て い る と 考 え ら れ て い る.そのため,Wernicke野は「受容性言語 野 」ともよばれている .Wernicke失語症 は 感 覚 性 失 語 症 と も よ ば れ て い る が , 単 語 の 発 話 や 書 字 は で き る も の の 意 味 を な さ ず , 言 語 の 理 解 も 困 難 に な る 患 者 に お い て 主 に 損 傷 し て い る 部 位 で あ る . ド イ ツ の 医師Carl Wernicke (1848–1905) が1874年に左半球の上側頭回か ら角回のあたりに 損 傷 が あ る と 感 覚 性 失 語 が 生 じ る こ と を 発 見 し , こ こ を 感 覚 性 失 語 の 病 巣 お よ び 言 語理解の中枢と推定し た .

(29)

Broca野 やWernicke野 の 他 に も , 言 語 の 処 理 や 産 出 に 関 わ る 部 分 と し て よ く 知 ら れている領域がある (図2.10).ここではそのうちの代表的な2つ について述べる.

角回 (angular gyrus: AnG) は頭頂葉,側頭 葉,後頭葉が接する場 所に位置する.

一次視覚野で処理され た文字情報が届くと意 味的な処理を行うと考 えられている.

縁上回 (supramarginal gyrus: SMG) は外 側溝の上行枝の末端部 を囲むように存 在 し ,AnGに 隣 接 し , 外 側 溝 の 後 端 に 位 置 す る . 語 彙 の 検 索 に 関 連 し , 文 字 処 理 を 行 う ネ ッ ト ワ ー ク の 中 心 部 位 と 考 え ら れ て い る . こ の 部 位 の 灰 白 質 密 度 は 語 彙 の 量 と相関している.

視覚情報に関連した言 語理解の場合に限れば ,視覚刺激(信号)がV1に入った後,

Wernicke野やAnGなどの語彙の認知経路で 理解される.

さ て , ヒ ト が 言 語 を 認 知 す る 際 に は , こ れ ま で は 言 語 野 と 言 わ れ て き た 左 側 頭 に あ る 表 出 性 言 語 野 で あ るBroca野 や 受 容 性 言 語 野 と し て のWernicke野 が 担 っ て い る と い わ れ て き た が そ れ だ け で は な く , 様 々 な 大 脳 の 部 位 が 関 与 し て い る こ と が 明 ら かとなってきている. 現在では,入力に関し ては,

語音 → 語音の弁別・ 認知(上側頭回後部な ど)

→ 意味の認知(Wernicke野など)

を経る過程,出力に関 しては,

語の想起(Broca野な どの下前頭回と,下側 頭回後部,AnGなど)

→ 音の選択・配列(頭頂葉)

図2.10 言語処理と言語産出に関わる領域

縁上回 (SMG) Broca 野

Wernicke 野 角回 (AnG)

(30)

→ 発語コントロール(中心前回)

を経る過程が想定され ている.またBroca野に関しては,発語その ものではなく発語 の前段階,すなわち語 の想起などの処理に関 与していると考えられ ており,Wernicke 野 に 関 し て は , 音 の 弁 別 や 音 韻 的 処 理 後 の 過 程 , す な わ ち , 意 味 の 処 理 な い し 音 と 意味の連合などを司っ ていると考えられてい る[10]-[12].

な お , 言 語 処 理 を 行 う 言 語 野 に は 左 右 の 大 脳 半 球 で 優 位 性 が 存 在 す る . 脳 活 動 の うち , 右利 きの 人 の99%以 上 ,左 利 きの 人 の70% 前後 が 左半 球 優位 に 集中 する と い われている.

ま た , 一 般 に 話 す こ と , 読 む こ と , 書 く こ と な ど の 言 語 活 動 に お い て は 脳 に お い て は 左 半 球 支 配 で あ る と い わ れ て い る . 一 方 脳 の 右 半 球 は , 話 す こ と や 書 く こ と に は あ ま り 関 与 し な い が , 言 語 を 理 解 す る う え で は 大 き な 役 割 を 果 た し て い る . こ の よ う に 脳 は 左 右 の 半 球 で 役 割 に 非 対 称 性 が あ る が , 機 能 が 完 全 に 分 か れ て い る わ け で は な く , 機 能 を 互 い に 補 完 し て い る と 考 え ら れ て い る . さ ら に , 言 語 処 理 に お い て は 文 字 の 認 識 , 言 語 の 理 解 ( 発 音 や 文 法 な ど ) , 意 味 理 解 ( 語 彙 な ど ) と い う よ う な 複 数 の プ ロ セ ス が 複 雑 に 絡 み 合 っ て お り , 厳 密 に 各 現 象 を 分 離 す る こ と が 困 難 で あ る . さ ら に , 一 つ の 部 位 が 複 数 の 役 割 を 果 た す と い う こ と も 考 え ら れ る . そ の た め , ヒ ト 脳 に お け る 個 々 の 部 位 が ど の よ う な 処 理 を 行 っ て い る か を 明 確 に 示 す こ とは非常に困難とされ ている.

2.2.3 記憶

記 憶 と は , 新 し い 事 象 を 覚 え て 保 持 し , 必 要 な 時 に 想 起 す る 働 き の こ と で あ る . 記憶の分類にもいくつ かの方法がある .

一つの分類方法とし て記憶を宣言的記憶と 非宣言的記憶に分ける 方法である.

宣 言 的 記 憶 は , 意 識 を 伴 い , 覚 え た 知 識 や 過 去 の 体 験 な ど を 言 語 や イ メ ー ジ に よ っ て 表 現 で き る 記 憶 で あ り , 非 宣 言 的 記 憶 は そ う で は な い 記 憶 で あ る . 宣 言 的 記 憶 はさらに,意味記憶と エピソード記憶に分け られる .意味記憶は事 象や法則 ,概念,

言 葉 の 意 味 や 固 有 名 詞 な ど の 一 般 的 知 識 の 記 憶 で あ る . エ ピ ソ ー ド 記 憶 は 時 間 や 空 間が特定できる, 個人 に固有の経験や出来事 の記憶である .

非 宣 言 的 記 憶 に は 手 続 き 記 憶 が あ る . こ れ は , 自 転 車 の 乗 り 方 や ギ タ ー の 弾 き 方 の よ う に , 体 で 覚 え る よ う な 運 動 技 術 や , 問 題 の 解 き 方 の よ う な 認 知 技 術 な ど の 記 憶である.

他 の 分 類 方 法 と し て 記 憶 を 短 期 記 憶 と 長 期 記 憶 に 分 け る 方 法 で あ る . 私 た ち が 目 や 耳 な ど の 感 覚 器 か ら 得 る 情 報 は 常 に 膨 大 な 量 に な り , 特 に 意 識 し な い 場 合 , 感 覚 情報保存は1秒程度し か もたないといわれて いる .一方何らかの理 由で注意を向けた 事象は記憶が保持され る .

(31)

短 期 記 憶 は 数 十 秒 程 度 し か 保 持 で き な い 記 憶 の こ と で あ り , 例 え ば メ モ に 書 か れ た 電 話 番 号 を パ ッ と 見 て ダ イ ヤ ル す る よ う に , 電 話 を か け 終 え る と 番 号 を 忘 れ て し まうような記憶である .

長 期 記 憶 は 短 期 記 憶 を 何 度 も 繰 り 返 す ( リ ハ ー サ ル と い う ) こ と に よ り 長 期 間 に 渡 っ て 覚 え て い る 記 憶 の こ と で あ る . し か し , 長 い 間 リ ハ ー サ ル さ れ な い と や は り 記憶は忘却する.

記憶に関連してよく研 究されている部位とし て いくつか挙げる (図2.11) . 海馬 (hippocampus: HiC) は,大脳辺縁系 の一部であり,大脳皮 質の内側の端に 位 置 す る . 側 頭 葉 の 内 側 に 折 り た た ま れ た 状 態 に な っ て い る . こ の 領 域 で は エ ピ ソ ー ド 記 憶 に つ い て 出 来 事 の 時 間 と 場 所 を 整 理 し て , 想 起 し や す く す る と 考 え ら れ て い る . ま た , 空 間 学 習 能 力 に 関 わ る と い わ れ て い る . し か し こ の 領 域 で は 記 憶 の 固 定 ま で は 行 っ て い な い . 整 理 さ れ た 記 憶 は , 側 頭 葉 な ど の 大 脳 皮 質 に 固 定 さ れ る と いわれているが詳細は 分かっていない.

海馬 傍回 (parahippocampal gyrus: ParaHip) はHiCの周 囲に 存 在す る灰 白質の 大 脳 皮 質 領 域 で あ る . こ の 領 域 は 記 憶 の 符 号 化 及 び 検 索 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る . ま た , 視 覚 , 聴 覚 , 味 覚 な ど の さ ま ざ ま な 情 報 は , こ の 領 域 を 通 っ てHiC に流れる.

紡錘状回 (fusiform gyrus: FuG) は後頭側頭回 (occipitotemporal gyrus) とよば れ る こ と も あ る . 色 情 報 の 処 理 , 顔 と 身 体 の 認 知 , 単 語 認 知 , 数 字 認 知 な ど 様 々 な 対 象 に 関 す る 認 知 に 関 与 す る と い わ れ て い る . ま た , 抽 象 化 に も 関 連 す る と い わ れ ている.

海馬 (HiC)

海馬 (HiC)

海馬傍回 (ParaHip) 紡錘状回 (FuG)

図2.11 記憶に関わる領域

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2.3 脳の活動

脳 の 活 動 は , 電 気 的 , 磁 気 的 な 活 動 を 発 生 さ せ る . そ れ ゆ え , 脳 活 動 を 研 究 す る 上 で , 異 な る 脳 の 部 位 , 異 な る 時 間 に お け る 電 気 的 , 磁 気 的 活 動 の 変 化 の 違 い を セ ン サー に よ って 捉 え る こ とが で き る. こ こ で は 脳の 活 動 とし て ,EEGと そ の 発 生 原 理について述べる.

2.3.1 神経細胞

脳は140億個ともいわ れる無数の神経細胞の かたまりであり,ヒト の思考や行動を 支 配 し て い る ば か り で は な く , そ の 情 動 面 や 自 律 機 能 を も 統 制 す る 最 高 の 中 枢 と い わ れ る . 神 経 細 胞 は , そ こ か ら で て い る 樹 状 突 起 を 介 し て 互 い に 微 弱 な 電 気 に よ っ て 連 絡 を 取 り 合 っ て い る . こ の 現 象 は 大 脳 皮 質 の 錐 体 細 胞 に 生 じ , そ の 電 気 活 動 は 全 体 的 に 重 な り 合 っ て 頭 の 表 面 に 伝 わ る . こ の 伝 わ っ た 電 気 活 動 を 測 定 し た も の が

EEGである.図2.12はその概念図である.

EEGは基本的に次の ようなパラメータで記 述される.

(1) 周波数 律動における1秒当たりの波の 数 (単位 Hz) (2) 振幅 波の谷から峰までの高さ (単位 μV)

図 2.12 神経細胞

(33)

(3) 波形 ひとつまたは一連の波の形

通 常 , 成 人 の 覚 醒 時 に お け るEEGは 周 波 数 が8~13Hz, 振 幅 が30~50μVの 正 弦 波に似た形をしている .

EEGはしばしばその 周波数によって分類さ れる.すなわち徐波帯 域のδ波 (0.5~

3 Hz) とθ波 (4~7Hz) ,中間周波数帯域 のα波 (8~13Hz) ,速波帯域のβ波 (13

~30Hz) とγ波 (30Hz~) に分類される . α波は目 を閉じ 安静に している 時,β波 は興奮状態や活発な 精 神活動時,θ波は睡眠 時に見られる.

EEGの 変 動 は 臨床 医 学 的な 診 断 の 一つ と し て 用い る こ と もあ る . た とえ ば , 発 現 部 位に 対 応 したEEGの ズレ や 左 右の 非 対 称 な どに よ っ てて ん か ん 発 作や 脳 腫 瘍な ど が発見できる.

2.3.2 EEGの 発生原理

EEGの発生に関与し ているのは 大脳皮質V層にある錐体細胞であ り,図2.13のよう

な 多 数 の ニ ュ ー ロ ン ( 神 経 細 胞 ) か ら 発 生 す る . ニ ュ ー ロ ン が 構 成 す る 複 雑 な 神 経 回路により脳機能が実 現されている.

ニューロンは細胞体 (cell body soma) ,核 (core) ,樹状突起 (dendrite) ,ミエ リン鞘 (myelin sheath) ,軸索 (axon) ,軸索終末 (axon terminal) からなる.神 経 細 胞 は 樹 状 突 起 で 他 の 神 経 細 胞 か ら の 情 報 を 受 け 取 り 統 合 す る . そ の 結 果 を 軸 索 から出力する.膨大な 数の神経細胞が互いに つながりネットワーク を構築しており,

複雑な情報処理を行っ ている.

細 胞 膜 は 細 胞 を 取 り 囲 み , 細 胞 内 の 環 境 を 外 界 と 異 な る 環 境 に 保 っ て い る . 細 胞 膜は厚さ5mm程度の脂質2重膜構造になっ ており,多数の イオン チャンネル が埋め込 ま れ て い る . イ オ ン チ ャ ン ネ ル は さ ま ざ ま な 刺 激 に 応 答 し , イ オ ン の 透 過 を 制 御 し ている.

図 2.13 神経細胞(ニューロン)

(34)

細胞膜の内と外では,Na,K,Ca,Clなどのイオン濃度が異なっ ている.そのた め 細 胞 外 を 基 準 と し た と き の 細 胞 内 部 と の 間 に は 電 位 差 を 生 じ て い る . こ の 電 位 差 を 膜電 位 と いう が , こ れ は通 常 は 約-70mV程 度で あ り ,こ れ を 静 止 膜電 位 と いう . こ の 静 止 膜 電 位 は 神 経 細 胞 の 膜 で 行 わ れ て い る ナ ト リ ウ ム - カ リ ウ ム ポ ン プ と よ ば れ る 細 胞 内 で の イ オ ン の や り 取 り で 発 生 す る . 樹 状 突 起 で は , 他 の 神 経 細 胞 か ら 神 経 伝 達 物 質 を 受 け 取 り , 軸 索 で は 他 の 神 経 細 胞 に 情 報 を 伝 え て い る . 細 胞 体 は 通 常 数 十 の 樹 状 突 起 を も ち , 他 の 神 経 細 胞 の 軸 索 と つ な が っ て い る が , そ の 情 報 伝 達 が なされる部分をシナプ ス(synapse) という.シナプスでは送り側の 軸索から神経伝達 物 質 を 分 泌 し , 受 け 取 り 側 で は 細 胞 膜 の イ オ ン 透 過 性 を 変 化 さ せ る .Naが 細 胞 膜 の 外 側 か ら 内 側 に 侵 入 し 膜 電 位 を 上 げ る も の を 興 奮 性 シ ナ プ ス 後 電 位 (excitatory postsynaptic potential: EPSP) とよび,Clが細胞膜の外側から 内側に侵入し,膜 電 位 を 下 げ る も の を 抑 制 性 シ ナ プ ス 後 電 位 (inhibitory postsynaptic potential:

IPSP) とよぶ.EPSPにより膜電位が上がる 場合,-55mV程度 を 超えて 上がるとイ

オ ン チ ャ ン ネ ル の 動 作 に 変 化 を 生 じ て 膜 の イ オ ン 透 過 性 が 変 化 す る . こ の 電 位 を 閾 値 (threshold) と い う . そ の 結 果 , 膜 電 位 が 正 に ま で 達 し て , 再 び 元 の 電 位 に 戻 る という現象が生じる.つまり振幅が40mVを超えるパルスがみられ る.このパルスは 1ms程度持続する.膜 電位がこのような変化 を起こしたとき,細胞 は発火したまたは 興 奮 し た と い い , 膜 電 位 が 正 に な っ て い る 部 分 を 膜 の 興 奮 部 位 と い う . さ ら に 正 に なったときの膜電位を 活動電位 (action potential) という.その後,膜電位は静止

図 2.14 活動電位 [9]

活動電位

閾値

静 止 膜

電 位 脱分極

過分極

時間 [ms]

電 位

[mV]

0 1 2 3 4

+20 0

-20

-40

-60

-80

-100

図 2.1  脳の区分   [6]
図 2.4  脳溝と脳回   [8]
表 3.1  脳信号の非侵 襲計測手法 の比較
図 3.4  本研究の電極 位置測定で用いた器具 左:  スタイラス(上)とトランスミッター( 下) 右:  トランスミッター装着時の様子図 3.3  本研究の実験 で用いた器具左上: Polymate AP1000  右上:  アクティブ 電極コネクター左下: アクティブ電極     右下: EEG 電極固定キャップ(水泳帽代 用)  図 3.5  電極位置の入 力
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参照

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