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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 小 川 崇 徳

     学位 論文 題 名

EffectsofNonionicContrastMediaonPlatelet Aggregation : ASSeSSmentbyPartiCleCOunting      丶VithLaSer ‐ LightSCatterlng

     (血小板凝集に おける非イオン性造 影剤の効果:

     散 乱 光 に よ る 粒 子 計 測 法 を 用 い て )

学位論文内容の要旨

  非 イ オン性 造影剤の 使用頻度 の増加と ともに血栓 性合併症 の増加が 指摘され はじめた 。1987 年 にRobertsonは、 イ オン 性 造 影剤 に 比べて非 イオン性造 影剤の抗 凝固作用 が弱いた めに血栓 形 成の 可能 性がある と報告し た。血小 板凝集能の 検査法に は、吸光 度法、イ ンピーダ ンス法、

粒子数算定法、shear‑induced platelet aggregation (SIPA)法などがある。臨床では、この中で吸光 度 法が 最も よく用い られてき た。しか し、吸光度 法は数千 個〜数万 個の血小 板からな る巨大な 凝集塊 が形成さ れて初め て吸光度 の低下が みられるため、凝集塊形成と光透過性の相関が悪く、

ま た小 凝 集 塊の 検 出が で き ない な ど の難点があ る。Ozakiらは 、直進す る光が細 かい粒子 に当 た った 際に 生じる散 乱光の強 度は粒子 径の二乗に 比例する という特 性を用い て、新し い測定法

( 粒子 計 測 法) を 開発 し た 。検 出 感 度は30個 程 度 の血 小 板か ら なる 微小凝集 塊(直径10p m) が 下限 であ り、血小 板凝集の 初期過程 の解析検討 に有効で 、わずか な血小板 活性化を 感度良く 検 出で きる 。これま での研究 ではイオ ン性、非イ オン性造 影剤間で の比較は いくっか なされて いるが 、臨床上 主に使用 されてい る非イオ ン性造影剤の比較検討はされたことがない。今回我々 は 、左 室 造 影前 後 に大 動 脈 内よ り 採 血し、血小 板凝集に 対する3種 類の非イ オン性低 浸透圧性 造 影剤 によ る影響を 粒子計測 法で検討 した。また 血小板活 性化に及 ばす造影 剤の影響 は血小板 が 活 性 化 し た と き に 表 面 上 に 発 現 す る P‑selectinをflow cytometyで 測 定 し た 。 対象、方法

  1998年4月 よ り10月ま で の 間に 当 科 で左 室 造影 を 施 行し た 症例 よ り 無作 為 に37症 例を 抽 出 した。造影剤としては、Ioxilan、Iomeprol、Iohexolを用いた。

1.各種血液検査に及ばす影響の評価

  造 影 検 査前 後 で 、赤 血 球数(RBC)、 ヘマト クリット(Ht)、 自血球数(WBC)、GOT、GPT、LDH、 CPK、BUNCrを測定し比較検討した。

2血液凝集に及ぼす影響の評価

  左 室 造 影の 直 前 と造 影 終了 後3分 以 内の2点 で カテ ー テ ルを 用 いて大 動脈内よ り採取し た。

血 液検 体 は3.8% ク エン 酸 ナ トリ ウ ム 入り の 試験 管 に 採取 し た。 血液 検体を1000rpmで 遠心し

(2)

た上清をplatelet rich plasma (PRP)とした。またそれを3000rpmで10分間遠心しplatelet poor plasma (PPP)と した 。PRPをPPPで希 釈しPRPの血 小板 数を20万krirr13に 調節 した 。それ ぞれ のPRPにADPを 添 加 し(0.3、1、3、511M)、 血 小 板 凝 集 能 をOzakiら の 方法 に よ りKowaPA― 200に て測 定した 。凝 集塊は、その大きさから、小凝集(Small):5〜lO個の血小板塊、中凝集

(Middle):10〜100個の血小板塊、大凝集(Large):100〜1000個の血小板塊の3段階に分けた。

3.血小板活性化に及ぼす影響の評価

  健常 人か らPRPを調 整後 、各 種造 影剤16mg/mlでincubate後nowcnometryに よりP‐selectin を測定した。

結果と考察

  各群 を構 成す る患 者の 年齢 、造 影剤 使用 量に有 意な差はなかった。各種血液検査に及ぼす影 響 の評 価で も、 造影 検査 前後 でそ れぞ れの パラメ ーターについて優位な変化は認められなかっ た 。血 液凝 集に 及ぼ す影 響の 評価 ではADP(0.5ルM)添 加時 の血 小板 凝集 は、散 乱光を用いた粒 子 計測 法で は、 造影 剤使 用前 後の 血小 板凝 集の変 化率 で見 ると 小中 大凝 集の3っのカテゴリー に おい てIoxilanとIomeprolは 、使 用前 より 低下 する傾向が認められたがIohexolは、特に中大 凝 集で 使用 後に 凝集 が増加していた。吸光度による凝集では、IoxilanとIomeprolは凝集が低下 し てい た。ADP(3肛M)添加 時の 血小 板凝 集は 、Ioxilanは、大中小凝集のいずれにおいても使用 前より低下していた。Iomeplolは、小中凝集ではほぼ変わらないが、大凝集では増加していた。

Iohexolは 、小 凝集で は変わらないが中大凝集では増加しており、吸光度による凝集は有意に増 加 して いた 。ADP(5皿M)添 加時 の血 小板 凝集 は、IoxilanとIomeprolは、小中大凝集のいずれも 使 用前 後で 変化 がな かったがIohexolは、凝集が増加する傾向が認められた。以上の結果から、

IoxilanとIomeprolは 、通常の使用量において血小板凝集を有意に抑制することが示された。ー 方 、Iohexolに はこの 様な効果は認められなかった。フローサイトメトリーを用いたP‑selectin 発 現量 測定 によ る血 小板活性化の度合いに関する検討では、iohexolの血小板活性化作用が他の 2剤より大きい傾向を示した。

  イオ ン性 及び 非イ オン 性低 浸透 圧性 造影 剤の登 場により、従来のイオン性造影剤の高浸透圧 に起因する副作用が減少し、造影検査をより安全に施行できるようになった。しかし最近では、

非 イオ ン性 低浸 透圧 造影 剤の 使用 頻度 が増 すにっ れて、血管造影中の血栓性合併症の増加が報 告 され てい る。 その 原因 とし て非 イオ ン性 造影剤 は、イオン性の従来の高浸透圧造影剤や低浸 透 圧性 造影 剤に 比較 して 抗凝 固作 用が 弱い ためと する様々な研究報告がなされている。これま で の研 究で はイ オン 性、 非イ オン 性造 影剤 間での 比較はいくっかなされている。しかし、各種 造 影剤 間で の差 を血 小板 凝集 能を 濁度 法で 評価し た研究はあるものの、より鋭敏な散乱光を用 い た粒 子計 測法 によ る血 小板 凝集 能の 測定 での比 較検討はなされたことがない。今回我々は、

心 臓血 管造 影に おい て左 室造 影前 後に カテ ーテル を用いて大動脈内より採血し、それぞれの血 小 板凝 集能 につ いて 散乱 光を 用い た粒 子計 測法で 測定 し、 血小 板凝 集に 対す る3種類の非イオ ン 性低 浸透 圧性 造影 剤に よる 影響 を検 討し た。こ れまでの研究では採血針を用いて採取してお り19ゲ ージ 程度 の針 を用 いた 血小 板凝 集の 測定で は通常より高値に出ることがわかっている、

採 取に 当た って は心 カテ ーテ ル検 査に 使用 したシ ースを用いて採取し血小板凝集に与える影響

(3)

を少なくすることに配慮した。検討の結果、Ioxilan (Imagenil)とIomeprol (Iomeron)には、通常 使用量で有意な血小板凝集抑制作用を有することが示された。Iohexol (Omnlpaque)では、血小 板凝集は、他の2剤に比較し増加することが確認された。p−selectin発現量の検討から、Iohexol

(0mnipaque) に お い て は 、 血 小 板 活 性 化 作 用 も 他 の2剤 に 比 較 し 強 い こと が確 認さ れた 。

(4)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

     学位論文題名

Effects of Nonionic Contrast IVIedia on Platelet Aggregation:Assessment by Particle Counting     With Laser‑Light Scatterlng

     (血小板凝集における非イオン性造影剤の効果:

     散 乱 光 に よ る 粒 子 計 測 法 を 用 い て )

  非イオン性造影剤の使用頻度の増加とともに血栓性合併症の増加が指摘されはじめた。1987 年にRobertsonは、非イオン性造影剤は、イオン性造影剤に比べて抗凝固作用が弱いために、血 栓形成の可能性があると報告した。血小板凝集能の検査法には、吸光度法、インピーダンス法な どがある。臨床では、この中で吸光度法が最もよく用いられてきた。しかし、吸光度法は数千個

〜数万個の血小板からなる巨大な凝集塊が形成されて初めて吸光度の低下がみられるため、凝集 塊形成と光透過性の相関が悪く、また小凝集塊の検出ができないなどの難点がある。Ozakiらは、

直進する光が細かい粒子に当たった際に生じる散乱光の強度は粒子径の二乗に比例するという 特性を用いて、新しい測定法(粒子計測法)を開発した。これまでの研究ではイオン性、非イオ ン性造影剤間での比較はいくっかなされているが、臨床上主に使用されている非イオン性造影剤 の製剤間の比較検討はされたことがない。今回我々は、左室造影前後に大動脈内より採血し、血 小板凝集に対する3種類の非イオン性低浸透圧性造影剤による影響を粒子計測法で検討した。ま た血小板活性化に及ばす造影剤の影響は血小板が活性化したときに表面上に発現するP‑selectin をflow cytometyで測定した。1998年4月より10月までの間に当科で左室造影を施行した症例 より無作為に37症例を抽出した。造影剤としては、Ioxilan、Iomeprol、Iohexolを用いた。

  各群を構成する患者の年齢、造影剤使用量に有意な差はなかった。各種血液検査に及ぼす影響 の評価でも、造影検査前後でそれぞれのパラメーターについて優位な変化は認められなかった。

血液凝集に及ばす影響の評価ではADP(0.5ルM)添加時の血小板凝集は、散乱光を用いた粒子計 測法では、造影剤使用前後の血小板凝集の変化率で見ると小中大凝集の3つのカテゴリーにおい てIoxilanとIomeprolは、使用前より低下する傾向が認められたがIohexolは、特に中大凝集で 使用後に凝集が増加していた。吸光度による凝集では、IoxilanとIomeprolは凝集が低下してい

男 秀

和 慶

坂 田

宮 安

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

た 。ADP(3ルM)添加時の 血小板凝 集は、Ioxilanは 、大中小 凝集のい ずれにお いても使用 前より 低 下してい た。Iomeplolは、小中凝集ではほぼ変わらないが、大凝集では増加していた。Iohexol は 、小凝集 では変わら ないが中 大凝集で は増加しており、吸光度による凝集は有意に増加してい た 。ADP(5ルM)添加時の 血小板凝 集は、IoxilanとIomeprolは、小中 大凝集の いずれも 使用前後 で 変化がな かったがIohexolは 、凝集が 増加する傾向が認められた。以上の結果から、Ioxilanと Iomeprolは 、通常の使用量において血小板凝集を有意に抑制することが示された。一方、Iohexol に はこの様 な効果は認 められな かった。 フローサイトメトリーを用いたP‑selectin発現量測定に よ る 血小板活性 化の度合 いに関す る検討で は、iohexolの血 小板活性 化作用が他 の2剤より 大き い 傾向を示 した。これ までの研 究ではイ オン性、非イオン性造影剤間での比較はいくっかなされ て いる。し かし、各種 造影剤間 での血小 板凝集能の差を濁度法で評価した研究はあるものの、よ り 鋭 敏な散乱光 を用いた 粒子計測 法による 血小板凝 集能の測 定での比較 検討はな されたこ とが な い。今回 我々は、心 臓血管造 影におい て左室造影前後にカテーテルを用いて大動脈内より採血 し 、それぞ れの血小板 凝集能に ついて散 乱光を用いた粒子計測法で測定し、血小板凝集に対する 3種 類の非イ オン性低浸透圧性造影剤による影響を検討した。検討の結果、Ioxilan (Imagenil)と Iomeprol (Iomeron)には 、通常使用 量で有意 な血小板 凝集抑制 作用を有 すること が示された 。 Iohexol (Omnipaque)で は 、 血小 板 凝集 は 、 他の2剤 に 比較 し 増 加す る こと が 確 認さ れ た。

p‐selectin発現量の検討から、Iohexol(Omnipaque)は、血小板活性化作用も他の2剤に比較し強い ことが確認された。

  主査 (宮坂教授 )から紹 介があっ た後、申 請者はス ライドを 用いながら 約15分に渡 って学位 論 文内容の 発表を行っ た。その 後、副査 の安田教授からイオン性、非イオン性造影剤と血小板凝 集 抑制の関 連における 差(特に 臨床にお ける副作用の頻度や化学構造など)に関するについての 質 問があっ た。次いで 副査の北 畠教授か らイオン性、非イオン性造影剤と血小板凝集抑制の主原 因 、腎機能 に関する影 響につい て質問が あった。最後に主査(宮坂教授)から血小板凝集惹起剤 と し て使 用 し たADPと 日 内変 動 と血 栓症との 関連、こ れらの造 影剤の臨床 応用に関 する質問 が あった。これらの研究を踏まえた上で申請者は研究結果に基づいて、あるいは文献的知識により、

概ね適切に回答し得た。

  こ の論文は 、散乱光を 用いた粒 子計測法といった新しい手法を用いて非イオン性造影剤間の血 小 板 凝 集 抑 制 作 用 の 差 を 明 ら か に し さ ら に フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー を 用 い て 血 小 板 表 面 の P−Selectinの発現を検討し造影剤による血小板活性化機序の解明に示唆と方向性を与えた点で高 く 評価され た。審査員 一同は、 これらの 成果を高く評価し、大学院過程における研鑚や取得単位 な ど も併 せ 申 請者 が 博 士( 医 学) の 学 位を 受 ける の に 充分 な 資格を有 するもの と判定し た。

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