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特集 太田先生_ indd

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Academic year: 2021

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環境にやさしい車のための

先進加工技術

太 田  稔

京都工芸繊維大学

1.はじめに

 昨年からの景気の悪化は、米国を筆頭に世界中の 自動車メーカーの環境に対する取り組み姿勢を見直 すターニングポイントになった。自動車メーカーは 競争力確保のために環境対応技術を第一優先課題と して取り組まざるを得ず、当該技術で優位に立つこ とが今後の成長の鍵を握ると思われる。全世界の自 動車メーカーが厳しい時期を迎えた中で、環境・エ ネルギー技術で先行している日本の自動車メーカー にとっては大きなチャンスがやってきたと考えるべ きであろう。  そこで本稿では、環境にやさしい車に関わる部 品技術と先進加工技術の動向について、ガソリン・ ディーゼルエンジン車および電動駆動車のパワート レイン部品を対象に述べる。また、それらの部品技 術に対応するマイクロ・ナノ加工技術についても言 及する。なお本稿の内容は、著者が講演した精密工 学会第335回講習会「自動車の環境対応・ものづく り技術」テキスト、「クリーンエネルギー車のため の先端加工技術の展望」1)の内容を転載、再編集した ものである。  自動車産業における環境対応ものづくり技術は、 環境にやさしい車を市場に投入すること、製造工 程で環境にやさしい工場を実現することに大別でき る。中心となる取り組みは、エミッションクリーン 化、CO2排出量削減、リサイクルである。自動車産 業全体のCO2排出量は全産業の20%程度を占めると いわれている。その大部分は走行中の車から排出さ れるため、環境にやさしい車を開発し、市場に投入 することが、優先すべき効果的な環境対応技術とさ れている。  環境にやさしい車は、ガソリン・ディーゼルエ ンジン車に排ガス対策を施した超低排出ガス車とク リーンエネルギー車に大別できる。クリーンエネル ギー車として認定されている車は、電気自動車、燃 料電池車、ハイブリッド車、天然ガス車、メタノー ル車、LPG車、水素自動車、などである。市場にお ける占有率はガソリン・ディーゼルエンジン車が圧 倒的に多いが、最近ではハイブリッド車の新車需要 が急速に拡大しており、電気自動車の量産化も計画 されているなど、クリーンエネルギー車の急速な需 要拡大が見込まれている。図 11)に、変わって行く 自動車の姿を整理した。時期の論議は別として、現 在主流を占めるガソリン・ディーゼルエンジン車か らハイブリッド車、新燃料車、電動車に移行してゆ くのは確実である。政府は環境・エネルギー対応戦略 図1 変わって行く自動車1)

2.自動車の環境対応技術と加工技術の動向

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特集 環境対応 ものづくり技術 として、2030年「次世代自動車・燃料イニシアチブ」、 2050年「美しい星」という名称の戦略をまとめた2) 図 21)は、その中から運輸部門に関わる重点技術を 抜粋したものである。上記のクリーンエネルギー車 に関わる技術が重点戦略に取り上げられている。重 点技術のほとんどはパワートレインやエネルギーに 関係する技術であるが、情報通信技術を駆使した円 滑な交通システムによるエネルギー消費の低減も含 まれている。環境対応技術は、内燃機関の効率化、 ハイブリッド車の拡大、そして電動車の開発促進・ 普及に伴う技術へと変化してゆく。それに伴い、パ ワートレインは内燃機関・変速機システムから電気 モータ等の電動システムに変化し、対応する加工技 術も変化するであろう。既存のパワートレイン工場 は機械工場そのものであるが、将来は電気・化学工 場の様相を持つかもしれない。一方で、グローバル 化の進展とともに、先端の環境対応技術をグローバ ルに展開できる生産技術が重要になるであろう。 ニーズは新材料や新形状への対応、超精密化、高機 能化、さらには機械的エネルギー+電気的・化学的 エネルギーを融合した複合加工の方向に変化するも のと思われる。また、加工技術の進化は、工作機械 ・工具・計測・制御等の技術の進化とともにあること はもちろんである。以下、現在主流のパワートレイ ンシステムである内燃機関 / 変速機と、拡大してゆ く新システムとしてのハイブリッド / 電動車に対応 する部品技術・加工技術の動向について述べる。 3.1 内燃機関 / 変速機  内燃機関を主体としたパワートレインについて は、究極の効率を目指して、①軽量化・小型化、② 新機構・可変機構、③フリクション低減・伝達効率向 上、を重点技術として開発が進められている。これ らの商品ニーズに対応する部品・システムの例を、図 41)に示す。軽量化・小型化に対しては、新材料への 代替が主な技術であり、マグネシウム合金やチタン 合金などの適用が進んでいる。図 53)に、エンジン 材料の変化を示した。スチール材料中心の構成から、 軽量・高強度材料への代替が進むものとみられてい る。課題はコストであるが、環境対応技術の重要性 が増す中で従来のコストの壁を固定概念として捉え ることには注意を要するであろう。一般的に、新材 料と呼ばれるものは難削材が多く、加工コストの点 で問題になることが多い。ニアネットシェイプ素形 図2 自動車に関わる環境・エネルギー戦略1)  パワートレインの新商品技術は、内燃機関・変速機 の効率化に関わる技術と電動車のそれとに大別でき る。図 31)に、変わって行くパワートレイン技術と加 工・計測ニーズについて整理した。内燃機関・変速機 駆動システムの効率化に対しては、軽量化、小型化、 新機構、可変機構、フリクション低減、伝達効率向上、 などが技術の方向性を示すキーワードといえる。ま た、ハイブリッド駆動システムや電気・燃料電池駆動 システムに対しては、電気モータ、2 次電池、インバー タ、燃料電池、水素貯蔵・供給システムなどが主要 な技術となる。新商品技術の変化とともに、加工

3.パワートレインの進化に対応する先進加工技術

高効率 内燃機関 ・変速機 ハイブリッド 電気・燃料電池 軽量化 小型化 新機構・可変機構 フリクション低減 伝達効率向上 ・・・ 電気モータ 高性能2次電池 高出力インバータ 燃料電池 水素貯蔵・供給システム ・・・ 加工ニーズ の変化 計測ニーズ の変化 新形状加工 新形状加工 高能率加工 高能率加工 高機能加工 高機能加工 超精密加工 超精密加工 新材料加工 新材料加工 高精度加工 高精度加工 超精密計測 (非接触・光学) 曲面形状計測 微細形状計測 ナノ表面計測 精密測定 (形状・寸法・粗さ) 三次元形状計測 表面性状計測 機能計測 (機械・電気・化学) パワートレインの変化 新商品技術 融 合 加 工 融 合 加 工 機械+電気・電子・化学の融合 図3 変わって行くパワートレイン技術と加工・計測ニーズ1) (経済産業省,資源エネルギー庁HP資料から作成) ○ 運輸部門の石油依存度80% ○ エネルギー効率30%改善 2050年 「美しい星50」が目指す世界 ○ 全世界2050年までにCO2半減 2010 2020 2030 2040 2050 【運輸部門におけるCO2排出量推移のイメージ】 100 50 2015年燃費基準 CO2▲25% 次世代自動車燃料 イニシアティブ 石油依存度▲20% エネルギー効率+30% 美しい星50 CO2▲50% 0 2030年 「次世代自動車・燃料イニシアティブ」が目指す世界 運輸関連重点技術分野【21の分野から抜粋】  1.高度道路交通システム  2.燃料電池自動車  3.プラグインハイブリッド・電気自動車  4.バイオマス代替燃料製造  5.高性能電力貯蔵  6.パワーエレクトロニクス  7.水素製造・輸送・貯蔵 5つの戦略  1.バッテリー  2.水素・燃料電池  3.クリーンディーゼル  4.バイオ燃料  5.世界一やさしいクルマ社会構想

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材を低コストで作る技術の重要性が増すことは疑い ないものと思われる。また、耐熱合金やセラミック スなどでは切削加工能率向上が重要な課題であり、 ダイヤモンドなどの超硬質工具による加工技術の開 発促進が望まれる。さらに、組立てカムや破断分離 形コンロッドのように、材料とともに設計、製造プ ロセスを変更して、コスト低減を同時に達成する例 もみられる。新材料の適用にあたっては、部品の設 計そのものを見直す必要があり、それに伴って加工 における品質保証も重要な問題となる。  新機構・可変機構の進化のイメージを、図 61) 示す。究極の効率を目指したシステムのキー技術と して、運転状態に応じた最適効率システム、最適燃 焼システム、最適伝達効率システムの追求が行われ ている。既に実用化されている機構を含めて、究極 の効率を目指して“可変”がキーワードとなってい る。図 74)に、新機構に対応した高精度・新形状加 工技術の例を示す。内燃機関 / 変速機システムでは、 効率向上の鍵は高速制御・可変技術にあるといえる。 可変動弁機構、可変気筒機構や可変圧縮比機構など は、従来の機構にリンク機構、センサーやアクチュ エータなどが加わるため、高精度小物部品を集約し た部品・システムとなる。この場合、システムはよ り複雑になり、部品の形状や精度も高いレベルが要 求されるため、複雑で高精度な部品を低コストに加 工することが求められる。  最適燃焼システムの代表として超高圧燃料噴射装 置の超精密加工技術の例を、図 84)に示した。摺動 特性、機密性、高速応答性などを実現する最先端の 超精密加工技術が駆使され実用化に至っている。ま た、ピエゾアクチュエータや高圧ポンプなどが組み 込まれるため、高速制御無しでは考えられないシス テム構成となり、機械と電子・電気システムの融合 技術が不可欠となっている。今後さらなる高圧化、 高速化が検討されており、超精密加工技術ならびに 融合システムの合理的プロセス技術の要求はますま す高まるものと予想される。  図 94)に、フリクション低減、伝達効率向上に関 わる加工技術の代表的な例を示す。幾何学的形状の 最適化と表面の平滑化、さらには機能を向上するた めの表面コーティングなどの技術が実用化されてい る。これらの部品加工技術の特徴は、比較的大きな 軽量化 小型化 溶射ボア,チタンバルブ 組立てカム,破断分離形コンロッド マグネインペラー,チタンアルミターボ コモンレール式高圧燃料噴射装置 ピエゾインジェクター 可変動弁機構,可変シリンダー機構 無断変速機 真円ボア,レーザーホーニング クランク/カムマイクロフィニッシュ マルチボーリングメタル軸受 MoS2ショットピストン DLCリフターシム 新機構 可変機構 フリクション低減 伝達効率向上 図4 パワートレインの進化に対応する部品技術1) 図5 エンジン材料の変化3) 図6 新機構・可変機構の進化1) 図7 新機構と高精度・新形状加工技術4) 部品の例 加工のニーズ ニーズに対応する加工技術の例 3次元曲面加工 曲面の鏡面加工 小物複雑形状加工 高精度加工 表面処理・改質 多軸制御工作機械 高速加工機 マイクロマニファクチャリング 小形高精度工作機械 高速コンタリング研削 マルチプロセシングセンタ 炭層固着ホイール研削 硬質皮膜コーティング (DLCなど) 強加工ナノ結晶化 部品の組合せ 部品点数増 小物部品・多種類 特殊形状 高強度材料 高い加工精度 可変動弁 機構 可変気筒 機構 トラクション ドライブ機構 可変圧縮比 機構

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特集 環境対応 ものづくり技術 部品表面を精密に加工することにあり、自動車部品 特有の加工技術が要求される。従来からフリクショ ン低減には表面粗さの低減が有効な手段とされてき たが、最近ではDLCコーティングなどに代表される ように表面材質が重要な役割を占めるようになって きた。また、MoS2ピストンにみられるように、表 面形状とコーティングの組合せで摺動特性を向上さ せている例もある。さらに、トロイダルCVTディ スクの動力伝達面に微細テクスチャリングを施し、 トラクション係数を向上したという報告や3)、ベル トCVTプーリのシーブ面に対しても表面構造制御 の検討がなされている6)。将来的に表面材質と表面 微細形状の最適化は極めて重要な技術となるであろ う。以上のように、従来自動車メーカーが得意とし ていた大物部品の加工は付加価値が低くならざるを 得ず、マイクロ・ナノ加工などの超精密加工技術の 重要性が増すものと思われる。その意味では、部品 生産戦略の見直しの時期に来ているかもしれない。 3.2 ハイブリッド / 電動車  ハイブリッド車の新商品技術は、2 次電池やモー タなど電動車に不可欠な部品技術であるため、ここ では電動車に関わる部品技術・加工技術として述べ る。図101)に、電動車に対応する代表的な部品技術 を示した。電気モータ、インバータ、2 次電池、燃 料電池、水素貯蔵・供給システム等が主な商品技術で ある。図に示す部品・システムの例で分かるように、 従来の機械システムから電気・化学システムに変化 している。現在実用化されている電動駆動システム の完成度は燃料電池車などではまだまだ低いと言わ ざるを得ない。日進月歩で部品・システムは進化し ており、それらを製造する加工技術のニーズもダイ ナミックに変化している。電動車の主要素に対応す る加工技術の例を、図111)に示した。中心となる加 工技術は除去加工を主体とした機械加工から、電気 部品の加工や組立などの実装技術に移行する。しか しながら、精密金型や精密成形技術を必要とする積 層鋼板の打ち抜きやセパレータ成形など、精密機械 加工がキーとなる部品も少なくはない。また、高出 力インバータ用として期待されているSiC基板など は最先端の固定砥粒研磨加工が必要とされている。 図8 燃料噴射装置にみる超精密加工の例4) 図9 フリクション低減、伝達率向上に対応する加工技術の例4) 図10 電動車に対応する部品技術の展望1) 図11 電動車の主要素に対応する加工技術1) 部品の例 加工のニーズ ニーズに対応する加工技術の例 燃料噴射の最適化 ↓ 噴孔微細化・多噴孔化 テーパ面精度向上 高圧の確保 ↓ 形状精度・気密度の確保 表面粗さの向上 高速・高応答性の確保 ピエゾアクチュエータ 隙間の極小化 フリクションの低減 ↓ セラミックスの精密加工 小径物超精密加工・計測 超精密切削 超精密センタレス研削 内外径マッチング研削 超精密内面研削 超精密ホーニング 機能性セラミックス加工・組立 微粒固定砥粒研磨 微細孔加工  ドリル,レーザー,放電 微細孔エッジ仕上げ 精密洗浄 超精密形状計測 超高圧インジェクター ピエゾイン ジェクター 超高圧 ポンプ コモンレール 部品の例 加工のニーズ ニーズに対応する加工技術の例 クランク/カム 鏡面仕上げ 形状フィードバック加工 単層固着ホイール研削 ワイパー工具切削 レーザホーニング 高速鏡面研削 マイクロフィニッシュ 微粒砥石超仕上げ MoS2ショット DLCコーティング 形状の最適化 ↓ 形状精度の確保 形状制御加工 摩擦係数の低減 ↓ 表面粗さの向上 微細形状付与 低摩擦材 MoS2ピストン 真円ボア DLCリフターシム レーザホー ニングボア 摩擦特性と表面特性 の設計指針の獲得 ↓ 微細表面形状の加工 新商品ニーズ 部品・システムの例 電気モータ 誘導モータ 同期モータ(巻線,永久磁石,SR) インホイールモータ 高出力SiCパワーモジュール モータ・インバータコンパクト化 燃料電池スタック  セパレータ(カーボン,金属)  膜・電極接合体:MEA 高性能2次電池 燃料電池 高出力インバータ 水素貯蔵・ 供給システム リチウムイオン電池 キャパシタ 水素貯蔵タンク 水素ポンプ,水素センサ 冷却水ポンプ・・・ 部品の例 加工のニーズ ニーズに対応する 加工技術の例 積層鋼板打抜き精密金型 自動打抜き・積層システム SiC固定砥粒研磨 熱応力緩和接合 精密接合,異種材接合 高機能薄膜製造プロセス 微細エッチング カーボンセパレータ精密成形 金属セパレータ精密成形 微細形状加工,微細孔加工 微細表面加工 積層鋼板の高精度化 高速回転対応 ↓ ロータ・ステータ加工・組立 燃料電池 水素タンク リチウムイ オン電池 同期モータ 高出力 SiCインバータ モジュール高出力化 ↓ 異種材料接合 高密度実装 反応膜・電極新材料 組立 ↓ 新材料マイクロ・ナノ加工 高密度実装 CFRPタンク ↓ 新材料加工

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(Membrane Electrode Assembly)やセパレータな どの加工・組立には、新しい領域のマイクロ・ナノ加 工が必要とされるであろう。また、従来では機械シ 例が多かったが、今後はシステムの一体化とともに、 両者が混在した新しい形の製造プロセスが求められ るものと思われる。  従来から、自動車パワートレイン部品は、低コス ト・高品質量産加工技術のニーズを代表するものと して位置づけられてきた。しかしながら、前述のよ うに環境にやさしい車に関わる加工技術は、より精 密化、高度化しつつある。さらに、将来主流となる であろう電動車に関しては、機械システムと電気・ 化学システムが融合した新しいシステムが不可欠と なる。このような状況の中ではマイクロ・ナノ加工 技術の重要性が拡大するものと考えられる。ここで は、マイクロ・ナノ加工技術について概説し、自動車 部品への応用の可能性について述べる。マイクロ・ナ ノ加工において、超精密切削・研削・研磨加工などの 機械的エネルギーによる加工は、その一部をカバー するだけである。熱的・物理的・化学的エネルギーに よる加工の重要性が増すとともに、成形技術は極め て重要な位置付けを占める。マイクロ・ナノ加工の 部品への応用に際しては、量産効果が期待できる成 形技術を抜きにしては考えられないであろう。マイ クロ・ナノ加工の自動車部品への応用に対する考え 方について、図121)にまとめた。一般的な自動車部 品では、部品の大きさと加工精度はリンクするもの であり、部品が小さくなるほど加工精度は高くなる 傾向を示す。自動車部品へのマイクロ・ナノ加工の 応用を考えるとき、必ずしもその考え方は妥当とは いえず、大きな部品に微細加工が要求される例が増 大するであろう。部品への応用の考え方は以下のよ うに整理できる。  ① 表面機能応用:大面積表面の微細加工  ② MEMS応用: メカニカルシステムからマイクロ システムへ  ③ ナノ現象応用: ナノオーダーでの新たな現象の 発現  自動車への応用が期待される分野として、図13に 示すような用途が考えられる。表面機能の応用に関 しては現状でも様々な研究開発が進んでおり、トラ イボ機能や光学機能の革新につながる技術は実用化 される可能性も高いと思われる。表面機能応用に関 する代表的な例を、図141)に示す。現状では、加工 方法の制約から樹脂材料への適用が多いが、フェム

4.応用が期待されるマイクロ・ナノ加工技術

図12 マイクロ・ナノ加工の応用1) 図13 自動車への応用が期待される分野 図14 ナノストラクチャリング技術への期待1) 表 面 機 能 応 用 M E M S 応 用 強度機能 トライボ機能 面接触機能 光学機能 熱機能 流れ制御機能 感性機能 ・・・ センサー 高速制御システム 電動補機 ・・・ 部品・システムの機 能・性能の革新 クリーンエネルギー 車の性能向上 マイクロ・ナノ加工 ナ ノ 現 象 応 用 ・・・ ナノインプリ ントによる無 反射構造 ポリアルキ ルピロール 超撥水構造 ガラス成形 によるマイク ロアレイ構造 フェムト秒レー ザによるナノ 周期構造 陽極酸化に よるナノ周 期構造 車の機能革新

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特集 環境対応 ものづくり技術 ト秒レーザやナノインプリントなどにより、金属や 無機材料への適用が試みられている。ナノオーダー の加工現象や機能発現については未知の部分が多 く、今後の研究開発が期待される分野である。  MEMS については、加速度センサーなどが実用化 されているが、期待されたほど応用が進んでいない ため、今後の商品ニーズの掘起こしが望まれている。 ナノ現象の応用については、基礎研究として緒につ いたばかりの分野であろう。これら応用が期待 される分野は、部品・システムの機能や性能の 革新をもたらし、クリーンエネルギー車の性能 向上のために重要な役割を果たすものと考えら れる。  マイクロ・ナノ加工技術は、それ自体で部品 全体をカバーできる技術ではなく、部品の一部 に適用し、あるいは組合せにより、部品の機能 や性能を革新しようとするものである。部品製 造プロセスとして従来と異なる点は、成形技術 や接合・付着技術が部品の最終精度を決める場 合が少なくないということである。その意味か らも、個々のマイクロ・ナノ加工技術に留まら ず、一連のプロセスを通して技術を高める必要 があるといえる。  図151)に、新商品技術の進化に対応する加工技術 を整理した結果を示す。自動車のパワートレインは 内燃機関から、ハイブリッド、さらにはモータ駆動 へと確実に変化してゆく。その変化に対応できる加 工技術のキーとなるのは、超精密加工でありナノス ケール加工であるといえる。自動車の進化とともに、 いや進化を支える技術として、マイクロ・ナノ加工 技術の重要性はますます高まるものと考える。 図15 新商品技術の進化に対応する加工技術1)  環境対応技術力が自動車会社の競争力を左右する 時代に入っている。環境にやさしい車、すなわち超 低排出ガス車、超低燃費車、クリーンエネルギー車 などの開発に「ものづくり技術」は必要不可欠であ る。一方で、ナノテクノロジーの時代は機能の予測 が困難な側面を持っている。そこでは、「もの」を つくって、部品の機能を評価し、新しい機能を発見 しながら技術を開発して行くことが必要になる。環 境にやさしい車、その関連技術の開発・実用化のニー ズに合致した先進加工技術の開発が促進されること を期待したい。  参考文献 1 ) 太田稔:クリーンエネルギー車のための先端加工技術 の展望,精密工学会第335回講習会テキスト(2009). 2 )経済産業省,資源エネルギー庁 H/P.

3 ) M. Ota: Trends in diamond and cBN tool machining technology for automotive components, IDR, 3/07 (2007). 4 ) 太 田 稔: 自 動 車 部 品 加 工 技 術 の 展 望, 機 械 技 術, Vol.57, No.5 (2009). 5 ) 渡辺純ほか:トラクション係数向上のための表面微細 テクスチャの研究(第 2 報),日本機械学会 2004 年度 年次大会講演論文集,No.04-1 (2004). 6 ) 加藤芳章ほか:ベルト CVT プーリ表面構造制御によ る燃費の向上,自動車技術,Vol.62, No.4 (2008).

5.おわりに

参照

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