【一般概況】
平成26 年度は、財政健全化への挑戦に一定の成果を上げたところであり、平成 27 年度はその 延長線として各般の事業に取り組んだ年となりました。日本緑化センターは、これまで環境緑化 に関する調査研究、技術開発等への取組によって得られた知見や技術を活用しつつ、環境緑化に 対する要請の高まり等を踏まえながら、国土緑化や都市緑化に関する各種の事業や緑化情報の整 備・提供、さらに工場緑化表彰などの普及啓発活動に取り組んできました。また、人材養成事業 として、樹木医養成認定事業と各種講座の実施、松保護士養成認定事業、加えて自然再生士養成 認定事業も定着しています。その他、各種講習会・研究会の開催、緑化技術情報提供、工場緑化 推進全国大会の開催、記念林保育管理、広報活動等を行い、公益的事業の推進に取り組んできて います。さらに、新たな分野への挑戦も継続して取り組むべき課題です。 このため、平成27 年度においても、自然再生士の資格認定で、期間を 2 年と限定した特別認定 のための講座を実施し、資格取得のニーズの増大に合わせた取組で収支改善に努めたほか、東日 本大震災に起因する津波被害によって発生した放射能汚染地区の森林・林業の活性化の道を探る 実証事業にも継続して取り組みました。また、当センターが推進してきている「日本の松原再生 運動」の一環として、高田松原の再生に具体的に取り組み、現地での試験植栽においても、これ まで前例のない盛土の硬度に配慮したマサ土へのマツの植栽成績を実証し、平成29 年度からの本 格的事業の開始に大きな効果が上がることを期待しています。さらに、平成26 年度の「樹木医の 手引き」に続き作業を進めてきた「松保護士の手引き」の改訂版も完成を見ました。あわせて、「樹 木医の手引き」に関しては台湾林業試験所からの要請もあり、翻訳・転載による出版作業を承認 するとともに、将来にわたる連携強化を図ることとしています。 これらの事業での財政的改善をさらに進めるとともに、近年大きな柱になりつつある、道路事 業等への取組を強化し、安全で、安心できる都市のみどり環境を整備していくことにセンターを 上げて努力していくこととしております。 当センターでは、厳しい経済環境にはあるものの、これまで以上に重要となっている緑化運動 を支援するため、各般にわたる取組等を行い、公益的事業の推進に取り組むとともに、次年度も さらに国民の皆様の声に応えられるよう事業を展開してまいります。【事業概要】
Ⅰ 緑化専門技術者養成認定事業
1. 樹木医養成認定事業 (1) 樹木医制度の推進 樹木医制度は、平成3 年度に国庫補助事業としてスタートし、平成 13 年度から当センターの自 主事業として運営してきた。平成 27 年度は、24 回目の樹木医研修受講者の公募(5 月 1 日~6 月11 日)を行い、応募者 504 名を対象に全国 5 ヵ所(仙台・東京・名古屋・大阪・福岡)で選 抜試験を実施(7 月 26 日)し、樹木医研修受講者 120 名を選抜した。昨年度の最終不合格者 3 名を加え、123 名を対象に、樹木医研修(第 1 期 9 月 28 日~10 月 10 日、第 2 期 10 月 12~24 日)を実施し、研修修了者123 名を樹木医として認定した。この結果、本制度発足以来の樹木医 認定者総数は2,565 名となった。 樹木医認定・登録状況(人) 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 平成 27 年度 応募者数 407 393 439 504 樹木医認定・登録者数 122 119 116 123 認定者総数(女性) 2,208(172) 2,327(201) 2,443(218) 2,565(249) ※認定者総数は2,565(249)名であるが、物故者が 101(0)名となり、平成 27 年 12 月 1 日現 在の登録者数は、2,464(249)名である。 また、平成16 年度から「樹木医補資格認定制度」を発足させ、平成 17 年度 4 月期から認定申 請の受付を開始した。この結果、平成27 年度末現在、3,544(1,668)名の樹木医補が誕生した。 樹木医補資格認定状況(人) 年度 平成 26 年 4 月 平成 26 年 10 月 平成 27 年 4 月 平成 27 年 10 月 樹木医補認定者数 249(112) 83(54) 268(104) 81(37) 資格認定者総数(女性) 3,112(1,473) 3,195(1,527) 3,463(1,631) 3,544(1,668) (2) 樹木医 CPD 事業 樹木医自らが行う継続的な自己研鑽の支援、評価を通じて、樹木医全体の資質の向上及び樹木 医資格の社会的信頼の確保を図ることを目的として樹木医学会、(一社)日本樹木医会及び当セン ターの三者で平成23 年度より開始した樹木医 CPD について、当センターが事務局となって事業 の推進に努めた。平成26 年度は、樹木医 CPD 会員の新規会員 110 名の登録を行い、総登録者数 は2,118 名となった。樹木医 CPD プログラムは、樹木医 CPD 協議会、その他の団体、樹木医会各県支部より61 プログラムの提供を受け、審査委員会によるプログラム内容の審査を実施すると ともに、認定プログラム参加者について参加記録の登録等を行った。 2. 松保護士養成認定事業 (1) 松保護士制度の推進 松枯れ対策など松林の保護活動は重要な課題となっているが、平成16 年度から松くい虫防除を 含む松保護についての知識・技術を有する専門技術者を養成する「松保護士資格認定制度」を発 足させた。平成27 年度は、一般公募による選抜試験(9 月 6 日)と松保護士講習会(11 月 16~ 20 日)を実施し、新たに 43 名を松保護士として認定した。この結果、本制度発足以来の松保護 士の認定者総数は610 名となった。 なお、松保護士は5 年毎の更新制を採っており、27 年度末現在の登録者は 474 名(内女性 21 名)となっている。 松保護士認定状況(人) 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 平成 27 年度 応募者数 30 35 48 45 松保護士認定者数 30 35 48 43 認定者総数(女性) 484(20) 519(23) 567(26) 610(28) 登録者総数(女性) 419(18) 418(20) 452(22) 474(21) 3. 自然再生士養成認定事業 (1) 自然再生士制度の推進 人と自然が共生する持続可能な社会の構築とその根源である生物多様性の保全を推進するため、 自然再生に係る理念の啓発とその技術の普及を目的として、平成22 年度に「自然再生士養成認定 事業」を発足して 4 年が経過する。平成 27 年度は、自然再生士資格試験受験者の公募を 4 月 1 日~5 月 31 日まで行い、受験者数 10 名(応募者 12 名)を対象に東京で資格試験を実施(6 月 21 日)し、9 名を自然再生士として認定した。なお、平成 26・27 年度に限り、自然再生士特別 認定講習会を実施することとし、平成27 年度は大阪・東京・福井の 3 会場で実施した。 福井会場は、福井県里山里海湖研究所との共催により実施し、今後、福井県内の自然再生事業 への自然再生士を呼び込み、地域の生物多様性の向上と共に地域活性化を推進することとしてい る。 特別認定講習会の受講要件として、1 級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト (RLA)、樹木医のいずれかの資格を有している者が、講習会を受講することができ、登録申請書 を提出することで、自然再生士に認定される特別措置であり、平成27 年度の受講者数は 778 名 となった。この結果、本制度が発足して4 年目の自然再生士認定者総数は 1,372 名となった。
自然再生士認定状況(人) 年度・種別 平成 24 年度 (資格試験) 平成 25 年度 (資格試験) 平成 26 年度 特別認定 資格試験 平成 27 年度 資格試験 特別認定講 習会受講者 応募者数 31 27 486 12 778 自然再生士認定者数 25(10) 23(4) 485(50) 9(1) 778(83) 登録者総数(女性) 77(17) 100(21) 585(71) 1,372(155) 自然再生士補資格認定事業は、認定校方式とセミナー受講者の認定方式の 2 方式で運用している。 認定校方式は、平成 23 年度より自然再生士補資格養成機関登録を開始し、平成 26 年度に 46 大学等54 学部(大学院 2 大学含む)71 学科となった。平成 27 年度に、新たに 3 大学等(重複 を除く)、4 学部(学域)(重複を除く)、8 学科(学類)の申請をうけ、平成 27 年度末現在、49 大学(重複を含む)58 学部、79 学科の登録となった。 後者のセミナー受講者の認定は、平成26 年度、27 年度の 2 か年について特別認定講習会の開 催に伴いセミナー受講者による認定は行わない。 過年度までのセミナー受講者による補認定者数の累計は327 名(女性 79 名)である。 認定校方式による自然再生士補登録申請は、4 月期と 10 月期の年 2 回の募集を行っており、平 成27 年度の登録者数は 321 名で、合計は 1,206 名(女性 477 名)である。 これにより、自然再生士補認定者総数は、1,533 名(556 名)となった。 自然再生士補資格認定状況(人) 年度・種別 過年度(H23~H25)セミナー受講者 (H24.4 月期~過年度認定校 H26.10 月期 認定校申請 H27.4 月期 H27.10 月期 自然再生士補認定者数 327(79) 885(347) 185(74) 136(56) 補認定者総数(女性) 327(79) 1,212(426) 1,397(500) 1,533(556)
Ⅱ 緑化技術講座・研究会事業
1. 樹木医講演会の開催 平成27 年 6 月 5 日、埼玉県さいたま市大宮ソニックシティ(小ホール)において(一社)日 本樹木医会との共催により講演会を開催した。参加者総数は、樹木医会員を中心として359 名に のぼり、講演会は東京大学大学院農学生命科学研究科教授 下村彰男氏による「本多静六博士の 空間設計」について記念講演が行われた。また、さいたま市大宮盆栽美術館学芸員 田口文哉氏 による「<盆栽>の物語-さいたま市に根付いた盆栽の歴史」について講演が行われ、日本樹木医会埼玉県支部の梶川昭則、前田正明両氏による「さいたま新都心の「けやきひろば」」と題した事 例報告が行われた。 2. 樹木と緑化の総合技術講座 第17 回「樹木と緑化の総合技術講座」を開催した。本講座は前・後期あわせて 8 日間で構成さ れ、前期講座は6 月 9~12 日まで東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで樹 木の生態、特性を理解し、計画・設計から施工に係る課題、維持管理に係る基礎的な知識習得が 可能なカリキュラム構成とした。後期講座は9 月 1~4 日まで茨城県つくば市の(一財)筑波学都 資金財団 筑波研修センター、筑波大学構内、筑波実験植物園、(株)川上農場等において実技・ 実習を中心に行った。特に、植栽基盤の計画・設計に必要な現場での調査方法の理解、根回し工 法の「環状剥皮工法」の実践、生垣造成による植栽、剪定等の実習では、実習生を班分けし、必 ず自らの手で実践させることによる技術の習得、理解を深められるように配慮した。 カリキュラムの再構成により受講対象者を緑化行政、公園・緑地管理団体をはじめ緑化計画・ 設計者に広げ、広報活動を実施したこととカリキュラムを系統立てて配置し、一日単位での申し 込みに対応したため、当該年度の受講者数も大幅な伸びを見せた。 3. 都市環境緑化推進研究会 第38 回都市環境緑化推進研究会を、10 月 22 日に東京都港区の石垣記念ホールにおいて開催し た。本研究会は、四半世紀振りに改正された「道路緑化技術基準」の普及を図るとともに、これ に沿った新時代の道路緑化のあり方について、研究会に参加された皆様のご意見を拝聴・集約し、 情報を発信することにより、より望ましい道路緑化の推進に資することを期待するものである。 研究会では、藤井英二郎氏(千葉大学大学院園芸学研究科教授)による「道路緑化の意義と今 後への期待と課題」と題した基調講演を行い、国土交通省道路局環境安全課からは「道路緑化技 術基準の改正について」解説していただいた。また、「新時代の道路緑化のあり方を考える」をテ ーマに、藤井英二郎氏を座長として、濱野周泰氏(東京農業大学地域環境科学部教授)、池邊この み氏(千葉大学大学院園芸学研究科教授)、鈴木美緒氏(東京工業大学大学院総合理工学研究科助 教)によるパネルディスカッションを行った。 4. 松枯れ防除実践講座 第11 回松枯れ防除実践講座を 9 月 10~11 日の 2 日間、鳥取県鳥取市の鳥取大学農学部ならび に鳥取大学農学部乾燥地研究センターで開催した。松保護士、森林組合職員をはじめ県内、近県 の防除対策事業関係者、鳥取県、市町村職員を対象に松林の適切な防除計画の策定と的確な防除 の実施に必要な技術・知識の習得を目的として開催した。実践講座には森林組合職員、造園等施 工業者をはじめ鳥取県、市町村等行政職員、大学生(千葉大学、鳥取大学、神戸大学学生)等100 名を超える参加を得て、1 日目に「鳥取県における松枯れ被害の現状と対策について」鳥取県よ
り報告が行われ、続いて「石川県における松枯れ被害の現状と対策について」石川県農林総合研 究センター林業試験場森林環境部長より研修を通した技術者の育成について報告があった。後半 は、「松枯れのメカニズムと防除・処理対策の課題と実践」、「松枯れのより完全な防除について」 と題した特別講演を座学にて実施した。 2 日目は、午前中に鳥取大学乾燥地研究センターにおいて「松林内の見学実習」を通して松枯 れの実態と割材によるマツノマダラカミキリの幼虫観察、小田式松脂滲出調査を実践した。また、 実際に現場で行われる①天敵微生物害虫防除剤、②防除方法として伐倒くん蒸、③予防処置とし て土壌灌注剤の施工、樹幹注入方式の具体的な施工方法、④ナラ枯れ防除薬剤の施工方法につい て受講生自らが実践する講座運営を行った。 5. 自然再生士特別認定講習会(自然再生セミナー) 自然再生セミナーは、平成 26・27 年度に限り「自然再生士特別認定講習会」という名称で受 講対象者を委員会において認定を受けた資格保有者に限って実施することとしたため、広く一般 の方も対象とした自然再生セミナーは実施しなかった。特別認定講習会は、東京会場(東京都渋 谷区の国立オリンピック記念青少年総合センター、6 月 25~26 日)、大阪会場(大阪市内の大阪 社会福祉指導センター、7 月 13~14 日)、福井会場(福井市内福井県国際交流会館、8 月 29 日~ 30 日)でそれぞれ開催した。 また、第一回目の東京会場では、キャンセル待ちが発生するなど受講希望者多数のため、2 回 目を国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて、11 月 5~6 日に開催した。特別認定講 習会では、森本幸裕京都大学名誉教授(大阪会場)、進士五十八東京農業大学名誉教授(東京会場) による自然再生の総論をはじめ、自然再生技術(計画・設計・設計監理、施工・管理)、いきもの 講座(植物・鳥類・昆虫)について、それぞれ専門の講師による講義を行った。福井会場におい ては、福井県の自然環境に特化し、福井県里山里海湖山里海湖研究所研究員、福井県自然保護セ ンター所長によるいき物講座が開催された。なお、特別認定講習会の平成 27 年度の受講者数は 778 名となった。 6. 樹木医技術普及講座 樹木医の知識と技術の研鑽ならびに指導能力の向上を図るため、1 月 25~27 日の 3 日間、国立 オリンピック記念青少年総合センター及び隣接する代々木公園において、樹木医と一般受講者67 名の参加により開催した。今年度より、参加要件として樹木医にとどまらず広く一般受講者の受 け入れを行い、樹木医の技術や活動内容を理解するための情報発信の場として位置づけた。 また、開講日数を3 日間とし、グループ討議を通して参加型、発表形式による自己開発を目的 としたカリキュラム構成とした。更に、公共事業等における安全管理、施工ミスなど技術者とし ての倫理について事例を通してグループ討議を通してあるべき技術者像を構築するカリキュラム に取り組んでいる。
7. 緑サポーター養成事業 緑化に関心の高い市民を対象に、樹木医の指導のもとに地域の緑化の推進、樹木の診断等を行 う緑サポーターの養成を目的とする「緑サポーター養成事業」は、林野庁の補助事業として発足 したが、平成23 年度より当センターの自主事業として都道府県が実施する研修会を緑サポーター 要請事業として認定しており、平成27 年度は山梨県と福岡県の 2 県のほか、東京都国立市役所よ り申請があり3 団体の実施となった。 養成事業は、研修会を予定する都道府県より提出される研修会プログラムを確認し、緑サポー ターに必要な知識、技術の習得に適応した講座を認定するものである。平成26 年度はこの認定を 受けたプログラム研修修了者のうち登録を希望する32 名を「緑サポーター」として登録した。 緑サポーター登録状況(人) 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 平成 27 年度 登録者数(女性) 36(7) 26(9) 22(7) 32(6) 登録者総数(女性) 1,238(249) 1,264(258) 1,286(265) 1,312(271) 8. 造園 CPD 協議会協力事業 造園CPD 制度は、造園関連分野の技術者が、日々自らの技術向上や知識の幅を広げる努力(継 続教育)を行い、その結果を第三者である日本造園学会が証明するもので、平成17 年 4 月から本 格実施された。近年、公共事業における現場代理人、管理技術者の評価基準に設定され、協議会 が推奨する単位数に応じ評価点が付けられる等、技術者の継続教育の意義が明確にされつつある。 多くの資格制度において、登録更新要件に位置付けられ、当財団が運営する自然再生士において も登録更新要件として導入されている。また、10 年目となった平成 27 年度は、当センターで資 格認定を行っている樹木医、松保護士及び自然再生士を対象に、継続会員 136 名、新規会員 35 名、退会者26 名、合計 171 名の登録手続きを行った。
Ⅲ 緑の価値啓発事業
1.日本の松原再生運動事業 (1) 日本の松原再生運動 わが国の松原の多くは、マツ材線虫病の蔓延や広葉樹の侵入、さらには人々の生活と松原の関 係の変化などにより衰退・消失の危機にある。人々が松原に足を運び、さまざまな活動に参加す ることにより、もう一度白砂青松の松原と人との関係を再生する「日本の松原再生運動」を進め ている。 運動の第2 期は、東日本大震災により被災した海岸林の中から、希望の松保護対策を実施した陸前高田市の高田松原を対象として、市民による高田松原再生活動に着手した。 この活動は、NPO 法人高田松原を守る会を通して(一財)ベターリビングの進める「ブルー &グリーンプロジェクト」に当センターが技術協力を行い実施する。2 月に「第 2 回 高田松原 再生講座」を開催し、高田松原由来のマツ苗の樹脂道指数判定、本植栽に用いる竹簀づくりなど 活動報告、基調講演を行った。また昨年4 月に試験植栽したマツ苗の根系調査(1 回目)を行い、 土壌硬度と根伸長の関係を確認した。 (2) 希望の松保護対策 平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災による津波で被害を受けた「希望の松」の保全事業に ついては、後継樹の育成を、林木育種センター東北育種場と住友林業(株)において苗木の育成を 継続している。 (3) 宝くじ松配布事業 優れた景観の形成や国土保全に重要な役割を果たしてきた松林の保護・保全に取り組む市民活 動等に対する支援活動を行うため、(一財)日本宝くじ協会の助成を活用して宝くじ松配布事業を 平成 16 年度より実施している。今年度は、6 県、10 か所の公共施設等における植栽用として、 約7,300 本の苗木を配布した。 宝くじ松の配布状況 松苗木 平成 25 年度 平成 26 年度 平成 27 年度 配布か所数 3 8 10 配布数(本) 2,200 7,479 7,260 配布総数(本) 69,849 77,328 84,588 2. 企業緑地活用促進事業 (1) 工場緑化推進全国大会の開催 11 月 2 日、東京都港区の石垣記念ホールにおいて第 34 回工場緑化推進全国大会を開催し、経 済産業大臣賞 3 工場、日本緑化センター会長賞 13 工場(うち奨励賞 5 工場)の表彰を行った。 また、増澤直氏((株)地域環境計画)による「生物多様性を保全する工場緑化」と題した講演及 び受賞工場による緑化の事例発表を行った。
Ⅳ 緑化広報事業
1. 緑化に関する普及・広報事業 環境緑化の普及啓発を図るため、今年度は次の活動を行った。 (1) 広報活動事業 機関誌「グリーン・エージ」の発行、「松保護士の手引き改訂2 版」の発刊、「元気な森の作り 方(概要版)」「自然再生ガイドライン」「DVD 緑化樹木の樹勢回復技術」「DVD 緑化樹木の防除 技術」の増刷、各種情報の収集・提供及び広報活動を行った。 2. 緑化樹木供給情報提供事業 (1) 緑化樹木供給情報 「建設物価」「積算資料」に未掲載の樹種・規格の価格調査を行い、両誌 8 月号を通じて情報 提供した。また、(一社)日本植木協会と連携して緑化樹木供給可能量調査を実施し平成27 年度 の在庫数量を樹種別に公表し、国及び地方自治体、設計コンサルタント等、緑化の計画・設計業 務の円滑な遂行に貢献した。 (2) 「マツ再生プロジェクト」http://www.pinerescue.jp/による松原関連情報 ウェブサイト版「身近な松原散策ガイド」において全国122 ヵ所の松原を紹介している。Ⅴ その他の事業
1. 緑化計画等調査研究事業 (1) 緑化の計画手法等に関する調査・研究 1) 都市緑化施策の実績に係る調査・研究 本調査・研究では、地方公共団体を対象として都市緑化施策と緑地保全に関する諸制度の活 用実績について調査を行い、これらの集計・整理を行った。得られたデータについては、デー タベース化し一元管理するとともに、国土交通省のホームページ内に“都市緑化データベース” として整理した。 都市緑化データベースのURL http://www.mlit.go.jp/crd/park/joho/database/toshiryokuchi/index.html 2) 緑に求められる機能の整理と貴重な緑地の喪失事例に関する調査・研究 本調査・研究では、緑に求められている機能の最近の動向と、大都市における緑地の喪失状 況の把握という2 つの視点から調査を行った。三大都市圏を調査対象として、条例・要綱等に よる緑地保全制度に指定された民有地緑地のこの3 年間の解除状況を中心に調査し、大都市を中心とした緑地の最近の喪失状況と、喪失理由を把握した。首都圏の郊外部を中心に、年間70 ~80 件程度の緑地の喪失が起きている。緑地の面積規模は 1,000 ㎡未満の比較的小規模のもの が4 割を占め、喪失面積は年間で 20ha となる。指定解除や緑の喪失理由は、建築や宅地造成、 売却によるものが 55%と過半数を占め、指定解除後は建築や宅地造成が行われているものが 44%となっていることが確認された。 3) 広域連携会議による緑と水景の保全等の普及・啓発活動に関する調査・研究 本調査・研究では、東京都および神奈川県の 13 市町で構成する広域連携会議の主催により開 催されたウォーキングラリーおよびシンポジウムを通じて、市民に身近な緑と水景の魅力や大 切さの普及・啓発を行った。いずれも広域的に市民の参加があり、緑と水景の保全等に係る情 報交換や市民同士の交流が行えた。今後、このような活動の場が、広域的な市民同士の交流拠 点となる可能性が示唆された。 4) 黒川地区における緑の保全・活用のあり方に関する調査・研究 川崎市の黒川地区は、良好な自然環境を保全するため特別緑地保全地区その他の制度を活用 しており、市の買取りによる公有地化も進んでいる。しかし、25ha に及ぶ緑地の管理は行政の みでは困難であり、地元の農業地権者やボランティアの参画を受けた緑地管理体制作りが求め られている。本調査・研究では、緑地管理の現状を把握するとともに、将来的な緑の保全・管 理のあり方について検討を行った。 (2) 公園・緑地の整備手法に関する調査・研究 1) 海岸部クロマツ林造成のための試験施工等に関する調査・研究 飛砂等が著しい海浜部では、その後背部に立地する市街地等への飛砂抑制等をするための対 策が求められる。 本調査・研究では、このような対策のひとつとして考えられる防風林(ここではクロマツ林) の造成およびクロマツの健全な活着、さらに生育を促すための飛砂等抑制施設(ここでは人工 砂丘)の整備に向けた最適な手法を見いだすための試験施工計画やモニタリング計画を検討し、 これをとりまとめた。 2) 大径木の移植工法選定に関する調査・研究 本調査・研究では、道路の拡幅に伴い支障となる大径木について、移植の可否のほか、移植 場所および移植工法の選定ついての検討調査を行った。 大径木の移植の可否を検討するためには、そもそも対象木が移植に耐えられるのか、そして 移植可能なスペースはあるのか、また、どのような工法で移植可能なのか、その場合の費用は どの程度かかるのかが重要な課題となるため、これらの観点から比較検討を行い、適切な工法 の選定を行った。
(3) 公園・緑地の管理手法に関する調査・研究 1) 森林公園の樹林地における管理・更新に関する調査・研究 本調査・研究では、平成 26 年度に作成した植物管理計画(案)で示した試行計画を踏まえ て、国営武蔵丘陵森林公園の樹林地の生物多様性の回復に向けた下草刈り方法やアカマツ林の 再生に係る試行を行った。下草刈り方法の試行では、ササの存在が草本類の発芽や定着を制限 し多様性に大きく関わっていることが考えられた。アカマツ林の再生については、実作業によ り林床が明るくなったが、アズマネザサや蔓植物の繁茂しやすい光環境となったため今後の動 向が注目される。 2) 公園維持管理における生物多様性の保全に関わる調査・研究 本調査・研究では、国営滝野すずらん丘陵公園において現地の自然環境を保全・再生し、公園 利用に活用する形で整備されたエリアである「滝野の森ゾーン」を対象として、ゾーンの計画・ 設計段階で企図されていた利活用動植物の開園後における生育・生息状況を調査し、現状の保全 状況を評価するとともに生物多様性の保全と公園利用の活性化の調和をめざしてその対応事項 について技術指導等を行った。 3) 都市公園樹木点検診断マニュアル(案)策定に関する調査・研究 国営昭和記念公園では、植栽樹木の老齢化等に対応し、公園利用者の安全を確保することを 目的とし、樹木の点検診断をシステム化するためのマニュアルを検討することとなった。その ため本調査・研究では、本公園の樹木管理の現状や都市公園樹木の点検診断の全国的な動向を 調査し、その結果から抽出される課題を踏まえて、マニュアルの素案を作成した。なお、本マ ニュアルは、全国の都市公園にも応用することを念頭に置いて検討した。 4) 樹木の安全点検に係る都市公園と道路の比較研究 本調査・研究では、都市公園(国営昭和記念公園)の樹木点検診断マニュアル(案)の作成 と、道路管理者の活用を想定した道路植栽の点検に関する手引きの作成を、同一年度に実施す ることとなったため、それぞれの植栽樹木の点検システムに関する相違点の比較考察を行うこ とにより、技術面での共通化・共有化につながることを念頭に、それぞれの点検に係る留意事 項を明確にした。 (4) 道路緑化の整備・管理手法に関する調査・研究 1) 街路樹更新の取組に関する調査・研究 本調査・研究では、地方公共団体等において作成され、街路樹の更新に関する取組方法等が 記載されている道路緑化関連資料や、実際に更新を行った事例を収集し、街路樹の更新に関す る効果的な取組に資する情報整理を行った。 2) 都市内高速道路での効果的な緑化手法に関する調査・研究 本調査・研究では、都市内高速道路での良好な景観形成等に向け、求められる植栽効果の発 揮や持続的な維持に着目し、都市内高速道路に対応する基本的な緑化形態の検討と、各植栽対
象地の特性を踏まえた適切な緑化形態の選定手法について検討を行った。 3) 道路植栽地における常緑キリンソウの導入適性についての調査・研究 本調査・研究では、近年開発された常緑キリンソウの道路植栽地への導入の適合性を検討す るため、試験緑化を実施した。常緑キリンソウの供給タイプから、地植え型と袋方式型に分け、 健全性と防草効果をモニタリングした。なお、今回は植栽後16 ヶ月までの生育状況結果を報告 した。健全性については、いずれの型も枯損株はほとんどみられず健全であった。防草効果に ついては、いずれの型も植栽後1年以上経過しないと茎が密にならず、除草効果が発揮されな いことが分かった。 (5) 森林資源の保全・活用に関する調査・研究 1) 森林資源の放射性物質の拡散抑制等に係る実証事業に関する調査研究 福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の影響は、広く東日本全域に及んでいる。事 故から5 年が経過し、森林内においても空間線量率は徐々に低減していることから、できるだ け早期に林業活動等を再開し地域の復興に加速化を図る必要がある。 福島県飯舘村は、全域が避難指示区域に指定されており、森林の整備や林業生産活動等が停 滞している人工林では、手入れの遅れなどから下層植生が衰退し、放射性物質を含む表土が拡 散するおそれがある。このため、本調査・研究では、表土に含まれる放射性物質の拡散の抑制 に効果を有する間伐作業を中心に技術的な実証を飯舘村大字臼石字田尻131 番地(70 林班)及 び平成26 年度実証事業箇所、飯舘村大字二枚橋字町 386 番地(74 林班)アカマツ人工林で空 間線量率などの測定を行うとともに、村内の林業生産活動等の再開に向けた資源量の把握等を 行った。また、帰宅困難区域を除く飯舘村全域の民有林における空間線量率や樹木の放射性物 質濃度を把握した。 (6) 民有緑地の保全管理に関する調査・研究 1) ゴルフ場の樹木管理に係る調査・研究 本調査・研究では、(一社)日本ゴルフ場経営者協会(NGK)・(公社)ゴルフ緑化促進会(GGG) による「ゴルフ場の樹木管理セミナー」(東日本・西日本の2 か所で開催)に協力した。これは、 ゴルフ場関係者に適切な樹木管理(マツ枯れやナラ枯れの防除、樹林の密度管理、広葉樹の管 理等)への理解を深めることを目的としたもので、当センターは企画・運営に協力した。また、 ゴルフ場の樹木の機能、樹木管理の現状、樹木管理の実際を解説する「ゴルフ場の樹木管理ガ イドライン」(GGG)発刊に協力した。 2) 庭木類補償単価に係る調査・研究 本調査・研究では、道路用地等の取得に伴う立木補償に係る市場価格調査や補償標準単価に ついて調査を行い、これを整理した。
2. 環境緑化普及推進事業 (1) 緑化思想啓発事業 1) 第 25 回森と花の祭典「みどりの感謝祭」等 環境緑化の重要性を国民の皆様に理解していただく活動への支援・協力推進の一環として、5 月9 日東京都内日比谷公園の日比谷公会堂において、名誉総裁の秋篠宮殿下、同妃殿下をお迎 えし、初めての室内行事として開催された第25 回森と花の祭典「みどりの感謝祭」及び併催行 事として5 月 9~10 日に開催された屋外での「みどりとふれあうフェスティバル」に共催者と して参加した。 (2) 記念林育成事業 当センターの設立10 周年記念事業として茨城県笠間市の国有林に造成した「グリーンライフ の森」(5.52ha)、及び設立 20 周年記念事業として静岡県長泉町の愛鷹山国有林に造成した「水 上記念の森」(3.15ha)の保育管理を実施した。 また、10 月 21 日に茨城森林管理署主催の環境フェスタが開催され、約 50 名の民間人による 間伐作業体験のためのフィールドとして「グリーンライフの森」を活用した。 3. その他の活動 平成19 年 2 月に発足した「松保護士会」事務局の業務支援を行った。 平成27 年度は、第 9 回通常総会(静岡県)、第 12 回交流研修会(鳥取県)及び第 13 回交流 研修会(静岡県)の開催などの業務支援を行った。
【主要会務】
平成27 年度に開催された理事会及び評議員会の議事録の概要は、以下のとおりである。 1. 平成 27 年度第 1 回理事会 平成27 年度第 1 回理事会が、平成 27 年 5 月 26 日(火)、午後 4 時 00 分から 5 時 10 分まで、 三会堂ビル2 階会議室において理事 5 名、監事 2 名が出席して開催された。会長が体調不良で欠 席したため、理事の互選により山田理事が議長となり議事を進行した。 理事会では、①平成 26 年度事業報告、②平成 26 年度決算報告、③公益目的支出計画実施報告 書及び④評議員会の開催について審議された。 (1) 平成 26 年度事業報告 「平成26 年度事業報告書」(案)に基づいて、①緑化専門技術者養成認定事業、緑化技術講 座・研究会事業、緑の価値啓発事業、緑化広報事業 ②緑化計画等調査研究事業 ③環境緑化 普及推進事業等について説明された。 (2) 平成 26 年度決算報告 「平成26 年度決算書」(案)に基づいて、貸借対照表及び正味財産増減計算書などの各項目 を説明した後、野川監事から5 月 11 日に監事 2 名で監査を行い、財務諸表及び正味財産増減等 については適正に表示されているとの報告がされた。 (1)及び(2)については、いずれも異議なく提案どおり承認可決された。 (3) 公益目的支出計画実施報告書 当該年度終了後3 か月以内に内閣総理大臣に「公益目的支出計画実施報告書」の提出が義務 付けられていることから、この報告書について審議し、提案どおり承認された。 (4) 評議員会の開催 評議員会の開催は、定款17 条第 1 項により理事会の議決に基づき代表理事が招集することに なっていることを説明し、6 月 11 日の開催を提案したところ異議なく承認可決された。 2. 平成 27 年度第 1 回評議員会 平成27 年度第 1 回評議員会が、平成 27 年 6 月 11 日(木)、午後 3 時 00 分から 4 時 20 分ま で、三会堂ビル2 階会議室において評議員 8 名出席のもと開催された。議長に阿比留評議員が選 任され議事を進行し、議事録署名人には梶谷、櫻井両評議員が選任された。 評議員会では、①平成26 年度事業報告 ②平成 26 年度決算報告 ③理事の選任について審議された。 (1) 平成 26 年度事業報告 「平成26 年度事業報告書」(案)に基づいて、①緑化専門技術者養成認定事業、緑化技術講 座・研究会事業、緑の価値啓発事業、緑化広報事業 ②緑化計画等調査研究事業 ③環境緑化 普及推進事業等について説明された。 (2) 平成 26 年度決算報告 「平成26 年度決算書」(案)に基づいて、貸借対照表及び正味財産増減計算書などの各項目 を説明した後、5 月 11 日に監事による監査を受け、5 月 26 日の第 1 回理事会において監事か ら、「財務諸表及び正味財産増減等については適正に表示されている」との監査報告があったこ とについても説明された。 (1)及び(2)については、いずれも異議なく提案どおり承認可決された。 (3) 理事の選任 山田理事を除く8 名の理事が任期を迎えたことから、新たな理事を選任することとなった。 理事の選任に当たっては、篠田代表理事と麻生理事が次期就任を辞退し、後任理事として進藤 清貴氏及び安達育氏を推挙したいとの申し出があったことから、両氏を新任に迎え、小禄、郡 司、瀧、高梨、田丸、濱野の6 氏を再任することとして審議したうえで、採決を求めたところ 全会一致で承認された。 3. 第 2 回理事会 平成27 年度第 2 回理事会が、平成 27 年 6 月 11 日(木)、午後 4 時 30 分から 4 時 50 分まで、 三会堂ビル2 階会議室において理事 9 名、監事 2 名が出席して開かれた。小禄理事が議長に推挙 され議事を進行した。 理事会では、篠田前代表理事を始め8 名の理事が任期満了となり、新たに 8 名の理事が新任ま たは再任されたことから、進藤理事を代表理事(会長)に、小禄理事を業務執行理事(専務理事) に選定することで審議を行い、全会一致で承認された。 4. 第 3 回理事会 平成27 年度第 3 回理事会が、平成 28 年 3 月 25 日(金)、午後 3 時 00 分から 4 時 20 分まで、 三会堂ビル2 階会議室において理事 9 名、監事 2 名が出席して開かれた。規定に従い進藤代表理 事(会長)が議長となり議事を進行した。 理事会では、①平成28 年度事業計画、②平成 28 年度収支予算について審議された。
(1) 平成 28 年度事業計画 「平成28 年度事業報告書」(案)に基づいて、①緑化専門技術者養成認定事業、緑化技術講 座・研究会事業、緑の価値啓発事業、緑化広報事業 ②緑化計画等調査研究事業 ③環境緑化 普及推進事業等について説明された。 (2) 平成 28 年度収支予算 「平成28 年度収支予算書」(案)に基づき、公益目的事業とその他事業等についての収支予 算の説明がされた。 (1)及び(2)については、いずれも異議なく承認された。