熱傷ガイドライン
は じ め に
熱 傷 は 、日 常 的 な 家 庭 内 の 事 故 か ら 火 災、虐 待・労 働 災 害 な ど の 受 傷 原 因 、Ⅰ 度 熱 傷 の 発 赤 か ら 広 範 囲 熱 傷・気 道 熱 傷・併 発 外 傷 な ど 、傷 病 者 の 状 態 は 多 彩 を 極 め る 。現 場 活 動 の 中 で は 、自 ら の 安 全 確 保・傷 病 者 の 観 察 と と も に 情 報 収 集 を 行 い 、適 切 な 処 置・病 院 選 定 が 求 め ら れ る 。本 熱 傷 プ ロ ト コ ー ル は 現 場 活 動 に お け る 円 滑 な 情 報 収 集 に よ り 、適 切 な 救 急 処 置 と 湘 南 地 区 の 医 療 に 即 し た 病 院 選 定 が で き る こ と を 目 的 に し た 。 熱 に よ る 損 傷 で は な い が 、体 表 面 の 損 傷 で 必 要 な 情 報 収 集・処 置 方 法 な ど が 類 似 し て い る 化 学 損 傷・電 撃 傷 も 熱 傷 プ ロ ト コ ー ル に 含 め た 。化 学 損 傷 は 中 毒 プ ロ ト コ ー ル と 重 複 す る 部 分 で あ る が 、傷 病 者 に と っ て 化 学 物 質 暴 露 に よ る 体 表 面 の 変 化 が 主 た る 問 題 で あ る 場 合 は 、 本 プ ロ ト コ ー ル の 併 用 を 奨 励 す る 。A . 通 報 者 情 報 の 確 認 と 口 頭 指 導
指 令 員 は 、覚 知 内 容 か ら 熱 傷( 火 炎 、高 温 液 体 、高 温 固 体 、爆 発 )、化 学 損 傷 、 電 撃 傷 が 疑 わ れ る 場 合 、出 場 救 急 隊 に そ の 旨 を 連 絡 す る 。傷 病 者 が 複 数 で あ れ ば 、 複 数 の 救 急 隊 を 出 場 さ せ る 。 指 令 員 は 、 出 場 指 令 後 、 通 報 者 に 次 の 口 頭 指 導 を 実 施 す る 。 ① 現 在 患 部 を 冷 却 し て い る か 否 か を 確 認 す る 。 ② 熱 傷 部 位 を 水 道 水 で 冷 却 す る よ う に 指 導 す る ( 概 ね 5 分 程 度 )。 た だ し 、 環 境 温 度 が 低 い 場 合 は 低 体 温 を 生 じ る 可 能 性 が あ る た め 、 冷 却 を 指 導 し な い 。 ③ 電 撃 傷 、火 災 に よ る 熱 傷 、広 範 囲 熱 傷 の 場 合 は 冷 却 せ ず 、意 識 や 呼 吸 の 状 態 を 観 察 す る よ う 指 導 す る ④ 化 学 損 傷 で は 、汚 染 衣 服 の 除 去 と ぬ る ま 湯 の 流 水( 温 水 シ ャ ワ ー 等 )で の 洗 浄 を 指 導 す る 。特 に 眼 球 の 化 学 損 傷 が 疑 わ れ る 場 合 は 、救 急 隊 員 が 到 着 す る ま で 洗 浄 を 指 導 す るB . 状 況 評 価
1 . 感 染 防 御
標 準 予 防 策 に 基 づ き 、現 場 到 着 ま で に 完 了 さ せ る 。傷 病 者 の 受 傷 部 は 感 染 し や す い 状 態 に な り 、救 急 隊 員 も 受 傷 部 か ら の 浸 出 液 に よ り 感 染 に 暴 露 さ れ や す い 環 境 に な っ て い る と 予 想 さ れ る の で 、ガ ウ ン 、手 袋 、マ ス ク を 着 用 し 、必 要 に 応 じて ゴ ー グ ル も 着 用 す る 。
2 . 携 行 資 器 材 の 確 認
滅 菌 ガ ー ゼ 、生 理 食 塩 水 、蒸 留 水 を 十 分 に 準 備 し 、滅 菌 ア ル ミ シ ー ト 、毛 布 を 確 認 す る 。呼 吸 管 理 セ ッ ト を 準 備 し 、指 令 課 情 報 に よ り 、爆 発 、火 災 避 難 時 の 転 倒 な ど の 併 発 外 傷 が 疑 わ れ る 場 合 は 脊 柱 固 定 器 材 お よ び 外 傷 キ ッ ト 、電 撃 傷 や 心 肺 停 止 が 疑 わ れ る 場 合 は 電 気 的 除 細 動 器 を 準 備 す る 。3 . 現 場 確 認 と 安 全 確 保
熱 傷 の 受 傷 現 場 、特 に 火 災 現 場 は 傷 病 者・消 防 隊 員・救 急 隊 員 に と っ て 危 険 な 場 所 で あ る こ と が 多 い 。消 防 職 員 の 安 全 を 確 保 し な が ら 、傷 病 者 を 熱 源 か ら 救 出 し 遠 ざ け る こ と が 必 要 に な る 。 指 令 課 情 報・現 場 の 状 況 か ら 、消 防 職 員 は 高 熱 、化 学 物 質 、有 毒 ガ ス 、電 流 に 暴 露 さ れ る 危 険 の 有 無 を 速 や か に 判 断 し な け れ ば な ら な い 。危 険 因 子 が あ る 場 合 、 消 火 活 動 の 優 先 、救 助 隊 に よ る 救 助 、電 源 の 遮 断 も し く は 電 源 管 理 者 へ の 遮 断 依 頼 な ど を 考 慮 す る 。傷 病 者 が 電 源 に 接 触 ま た は 感 電 し て い る 場 合 は 、決 し て 傷 病 者 に 触 れ て は な ら な い 。 ま ず 、 電 源 を 遮 断 す る 。 傷 病 者 を 新 鮮 な 空 気 下 で 救 命 処 置 が 可 能 な 安 全 な 場 所 に 移 動 す る 。傷 病 者 の 受 傷 部 の 着 衣 を 脱 が す こ と は 、 燃 え た 繊 維 ( 熱 源 )・ 化 学 物 質 か ら 遠 ざ け る こ と に な り 、傷 病 者 に と っ て 安 全 確 保 の 一 種 で あ る 。ま た 、身 に つ け て い る 指 輪 や ネ ッ ク レ ス な ど は 浮 腫 が 進 行 す る と 除 去 困 難 に な り 、循 環 障 害 を 起 こ す 危 険 性 が あ る た め 、 早 期 に 除 去 す る 。 除 去 し た 衣 服 や 装 飾 品 は そ の 損 傷 の 程 度 、付 着 し た 物 質 の 特 定 な ど に 有 用 で あ る た め 、 ビ ニ ー ル 袋 に 入 れ て 病 院 に 持 参 す る 。4 . 受 傷 原 因 ・ 状 況
通 報 者 や 現 場 の 関 係 者 等 か ら 、 受 傷 時 刻 、 原 因 と な る 熱 源 や 状 況 を 確 認 す る 。 傷 病 者 へ 接 触 す る 前 か ら 、併 発 外 傷 の 有 無 を 念 頭 に 置 く 必 要 が あ る 。ま た 、自 傷 や 虐 待 に よ る 熱 傷 も あ る の で 、 受 傷 状 況 を 聴 く 際 に 注 意 す る 。 火 炎 な ら ば 、閉 鎖 空 間 か ど う か 、お よ そ の 延 焼 範 囲 、爆 発 の 有 無 の 情 報 が 必 要 で あ る 。ま た 、情 報 か ら 、気 道 熱 傷 や 一 酸 化 炭 素 等 に よ る ガ ス 中 毒 が 発 生 す る 可 能 性 が あ る か ど う か を 常 に 疑 う べ き で あ る 。 高 温 液 体 に よ る 受 傷 で は 、受 傷 時 の 液 体 の 温 度・量・性 質 、か か っ た 時 の 状 況 ( 直 接 か か っ た の か 、 テ ー ブ ル な ど を 流 れ た の か な ど ) の 情 報 が 必 要 で あ る 。高 温 固 体 の 場 合 、熱 源 の 温 度 、熱 源 と の 接 触 時 間 、圧 迫 の 有 無( 熱 源 の 重 量 )な ど の 情 報 が 必 要 で あ る 。 酸・ア ル カ リ 、フ ッ 化 水 素 等 の 化 学 物 質 に よ る 損 傷 の 場 合 は 、原 因 物 質 を 特 定 で き る 情 報 を 入 手 し 、 で き れ ば 原 因 物 質 の 入 っ た 容 器 を 病 院 へ 持 参 す る 。 電 撃 傷 の 場 合 、交 流 か 直 流 か 、電 源 の 電 圧・電 流 、受 傷 時 の 傷 病 者 の 手 袋・ゴ ー グ ル な ど の 防 護 用 具 の 使 用 状 況 、 火 炎 や 爆 発 の 有 無 等 の 情 報 が 有 用 で あ る 。 ま た 、救 急 隊 が 到 着 す る ま で の 状 況 を 確 認 す る こ と も 必 要 で あ る 。ど の よ う に 熱 源 か ら 救 出 し た か 、着 衣 を 脱 が し た か 、冷 却 し た か 、傷 病 者 の 意 識 レ ベ ル の 変 化 が あ っ た か 、 な ど を 聴 取 す る 。
5 . 傷 病 者 の 数 ( 応 援 要 請 の 要 否 )
傷 病 者 数 の 確 認 は 、 応 援 要 請 の た め だ け で な く 、 発 生 し た 事 故 の 規 模 の 把 握 、 ト リ ア ー ジ に 必 須 で あ る 。事 故 現 場 に い た 人 だ け で な く 、救 出 に か か わ っ た 人 の 中 に も 傷 病 者 が い な い か 否 か を 確 認 す る 。 応 援 要 請 に は 、救 助 隊 、救 急 隊 だ け で な く 、ド ク タ ー ヘ リ の 必 要 性 も 考 慮 す る 。C . 初 期 評 価
1 . 意 識 ・ ABC の 評 価
熱 傷 自 体 に よ り 、受 傷 直 後 に バ イ タ ル サ イ ン に 異 常 を き た す こ と は 少 な く 、一 定 時 間 を 経 て か ら 、熱 傷 性 シ ョ ッ ク に 陥 る 。従 っ て 、受 傷 直 後 、救 急 隊 接 触 時 に 意 識・気 道 、呼 吸 、循 環 に 障 害 が あ る 場 合 、常 に 、気 道 熱 傷 、喉 頭 浮 腫 に よ る 気 道 狭 窄 、一 酸 化 炭 素 等 の 有 毒 ガ ス に よ る 急 性 中 毒 、併 発 外 傷 、脳 血 管 障 害 な ど の 先 行 疾 患 の 存 在 を 疑 う 。 特 に 、 合 併 損 傷 を 伴 い 初 期 評 価 に 異 常 を き た す 場 合 は 、 外 傷 プ ロ ト コ ー ル GradeⅠ に 相 当 し 「 Load and Go」 の 適 応 で あ る 。 こ の 場 合 は 、 外 傷 プ ロ ト コ ー ル に 切 り 替 え て 現 場 活 動 を 実 施 す る が 、全 身 観 察 に お い て 熱 傷 部 位・面 積・状 態 の 確 認 を 怠 っ て は な ら な い 。 傷 病 者 と 初 め て 接 触 す る 際 、 先 ず 、 意 識 ・ 気 道 の 確 認 と な る 呼 び か け を 行 う 。 特 に 火 災 に お け る 受 傷 で は 、 嗄 声 の 有 無 、 鼻 ・ 口 腔 内 の ス ス の 付 着 を 観 察 す る 。 嗄 声 は 喉 頭 浮 腫 に よ る 気 道 狭 窄 を 示 唆 す る 所 見 で あ る 。ま た 、顔 面 の 紅 潮 が あ る 場 合 や 傷 病 者 が 多 弁 で 興 奮 し て い る 場 合 は 、急 性 一 酸 化 炭 素 中 毒 が 疑 わ れ る の で 、 注 意 し て 観 察 す る 。 顔 面 に 熱 傷 が あ る 場 合 、浮 腫 が 進 行 、分 泌 物 が 増 加 し 、気 道 閉 塞 を き た す こ とも あ る の で 、 経 時 的 な 観 察 が 必 要 に な る 。 呼 吸 状 態 を 観 察 し 、 SpO2 を モ ニ タ リ ン グ す る と と も に 、高 濃 度 酸 素 を 投 与 す る 。必 要 な 場 合 は 、補 助 換 気 を 実 施 す る が 、経 口 エ ア ウ ェ イ は 、傷 害 さ れ た 粘 膜 に 挿 入 す る と 出 血 さ せ や す い た め 、注 意 を 払 う 。 分 泌 物 吸 引 の 際 も 同 様 に 愛 護 的 に 実 施 す る 。 呼 吸 の 観 察 は 、合 併 損 傷 と し て の 緊 張 性 気 胸・血 胸・フ レ イ ル チ ェ ス ト な ど の 存 在 に 注 意 す る 。胸 部 の 全 周 性 深 達 性 熱 傷 が あ る 場 合 、拘 束 性 換 気 障 害 を 起 こ す こ と が あ る の で 、 観 察 し な が ら 速 や か に 搬 送 す る 。 循 環 の 観 察 で は 、シ ョ ッ ク の 有 無 を 評 価 す る が 、熱 傷 部 で の 血 圧 測 定 は 避 け る 。 四 肢 末 梢 へ の 循 環 を 観 察 す る 際 、全 周 性 熱 傷 が あ る と 、浮 腫 な ど で 脈 拍 が 触 知 し な い こ と が あ る が 、こ の 場 合 、シ ョ ッ ク も し く は コ ン パ ー ト メ ン ト 症 候 群 を 疑 う 。 熱 傷 の 傷 病 者 で 高 度 な 意 識 障 害 を 呈 す る 原 因 と し て 、一 酸 化 炭 素 等 に よ る ガ ス 中 毒 、低 酸 素 血 症 、頭 部 外 傷 な ど が 疑 わ れ る 。頭 部 を 含 め 合 併 損 傷 が 存 在 す る と き は 、 熱 傷 面 積 の 評 価 の 後 、 頚 椎 カ ラ ー 装 着 と 全 脊 椎 固 定 を 行 う 。
D . 全 身 観 察
1 . 衣 服 の 除 去 ・ 除 染
熱 傷 面 積 の 評 価 の 前 に 、救 出 時 の 安 全 確 保 の 一 環 と し て 、熱 や 化 学 物 質 に 暴 露 さ れ た 衣 服 は 除 去 す る 。時 に は す べ て 除 去 す る こ と に な り 、保 温 目 的 に 滅 菌 ア ル ミ シ ー ト で 覆 い 、毛 布 を す ぐ に か け ら れ る よ う に す る 。ま た 、燃 え た 衣 服 の 繊 維 が 熱 傷 を 負 っ た 皮 膚 に 密 着 し て い た り 、水 疱 形 成 が み ら れ た り す る の で 、慎 重 に 除 去 す る 。熱 傷 受 傷 直 後 や 、化 学 損 傷 の 場 合 、流 水( 水 道 水 )や 温 水 シ ャ ワ ー な ど で の 洗 浄 は 除 染( 熱 傷 の 場 合 は 荒 熱 を 取 る )に 有 用 で あ る 。し か し 、三 次 救 急 医 療 施 設 へ 搬 送 す る 場 合 は 、病 院 到 着 を 優 先 し 、現 場 滞 在 時 間 を 延 長 し て 洗 浄 や 冷 却 を 実 施 せ ず 、 観 察 、 処 置 を 進 め る 。 こ の 際 、観 察 の た め に 受 傷 部 の 衣 服 を 除 去 す る が 、水 疱 が 形 成 さ れ て い る 場 合 、 感 染 予 防 や 今 後 の 治 療 の た め に も 水 疱 を 温 存 す る こ と が 望 ま し い 。衣 服 の 上 か ら 生 理 食 塩 水 や 蒸 留 水 を か け な が ら 施 行 す る と 、よ り 少 な い 疼 痛 で 水 疱 を 極 力 破 膜 し な い よ う に 除 去 す る こ と が で き る 。 汚 染 が ひ ど く 洗 浄 を 優 先 さ せ た い 場 合 は 、 登 録 指 示 医 師 に 指 導 ・ 助 言 を 要 請 し 、 そ の 指 導 に 従 う 。 三 次 救 急 医 療 施 設 へ の 搬 送 の 適 応 で な い 場 合 、四 肢 や 、頭 部 な ど 限 局 し た 狭 い 範 囲 な ら 洗 浄・冷 却 が 施 行 可 能 で あ り 、搬 送 に 差 し 支 え な い 範 囲 で 行 っ て も 良 い 。 複 数 個 所 で の 受 傷 や 熱 傷 部 位 が 広 範 囲 に わ た る 場 合 、ま た 、乳 幼 児・小 児 の 場 合 、 容 易 に 低 体 温 に 陥 る こ と が あ る た め 、必 要 最 小 限 に す る 。迷 う 場 合 は 登 録 指 示 医師 に 指 導 ・ 助 言 を 要 請 す る 。
2 . 熱 傷 面 積 の 評 価
熱 傷 面 積 の 評 価 は 、 熱 傷 の 重 症 度 判 断 に 必 須 の 項 目 で あ る 。 面 積 の 過 小 評 価 、 過 大 評 価 と も に 傷 病 者 の 不 利 益 に も つ な が る た め 、よ り 正 確 な 評 価 が 要 求 さ れ る 。 面 積 の 評 価 に は 、手 掌 法( 傷 病 者 自 身 の 片 方 の 手 の 平 と 指 部 1 枚 分 が 1% に 相 当 ) と 成 人 で の 「 9 の 法 則 」( 上 肢 1 本 で 9% 、 下 肢 1 本 で 18% 、 背 部 + 臀 部 で 18% な ど ) が 目 安 に な る 。 熱 傷 部 と 判 断 す る の は 浅 達 性 Ⅱ 度 以 上 と い わ れ る が 、受 傷 早 期 に は 、水 疱 が 形 成 さ れ な い こ と も あ る の で 、発 赤 部 を 熱 傷 部 と し て も 良 い( 冷 却 で 消 失 す る な ら 、 評 価 し な お す )。 Ⅲ 度 ( 黒 色 変 化 ・ 羊 皮 紙 様 変 化 ) も 確 認 す る こ と が 望 ま し い 。 背 部 は 、冷 却 や 洗 浄 を 実 施 し た 場 合 は 水 分 を ふ き 取 り 、滅 菌 ア ル ミ シ ー ト に く る む 。 受 傷 面 積 10% 以 上 ( Ⅱ 度 と Ⅲ 度 を 区 別 せ ず ) は 熱 傷 性 シ ョ ッ ク を 起 こ し や す い の で 、 三 次 救 急 医 療 施 設 搬 送 の 適 応 と な る 。 熱 傷 で は 、面 積 だ け で な く 、熱 傷 受 傷 部 位 が 治 療 方 針 を 決 め る に あ た り 、大 切 な 情 報 と な る 。特 殊 部 位 と さ れ る 顔 面 は 気 道 熱 傷 を 疑 わ せ 、気 道 の 確 保 に 留 意 す る だ け で な く 、耳 や 眼・鼻・口 唇 周 囲 は 機 能 的・整 容 的 に 治 療 が 必 要 で あ る 。専 門 的 治 療 の た め に 、三 次 救 急 医 療 施 設 に 搬 送 す る の が 良 い 。四 肢 全 周 性 に 深 達 性 熱 傷 を 負 う と コ ン パ ー ト メ ン ト 症 候 群 を お こ す こ と が あ る 。手 足 あ る い は 四 肢 の 関 節 部 が 受 傷 す る と 拘 縮 を 起 こ し 、会 陰 部 の 受 傷 は 排 泄 機 能 に 関 わ り 、感 染 の 危 険 も 高 く な る た め 、 機 能 的 な 面 か ら 三 次 救 急 医 療 施 設 へ の 搬 送 が 望 ま し い 。 電 撃 傷 の 場 合 は 、電 流 の 入 口 と 出 口 が ど こ か 、化 学 損 傷 の 場 合 は 皮 膚 の 色 調 の 変 化 の 様 子 を 情 報 と し て 伝 え る 必 要 が あ る 。 意 識 消 失 が な く と も 、 受 傷 後 24 時 間 以 内 に 不 整 脈 の 発 生 が 想 定 さ れ る た め 、こ れ に 対 応 可 能 な 救 急 医 療 施 設 へ の 搬 送 を 考 慮 す る 。動 脈 瘤 、神 経 麻 痺 あ る い は 白 内 障 な ど の 遅 発 性 の 症 状 を 呈 す る こ と が あ る の で 、フ ォ ロ ー 可 能 な 医 療 機 関 へ 搬 送 す る 。意 識 消 失・障 害 を 呈 し た も の は 、三 次 救 急 医 療 施 設 ま た は 対 応 可 能 な 救 急 医 療 施 設 へ 搬 送 す る こ と が 望 ま し い 。 面 積・部 位 を 評 価 し た 後 に 、本 来 、熱 傷 部 は 冷 却 す る の が よ い 。し か し 、三 次 救 急 医 療 施 設 に 搬 送 す る 場 合 や 搬 送 時 間 が 20 分 以 上 か か る 場 合 は 、 現 場 滞 在 時 間 を 短 縮 し 、か つ 、低 体 温 に し て 全 身 状 態 を 悪 化 さ せ な い 目 的 で 受 傷 部 は 乾 燥 し た 滅 菌 ガ ー ゼ で 被 覆 ( 受 傷 部 に テ ー プ は 付 け な い 、 ガ ー ゼ を 当 て る だ け で 良 い ) す る 。搬 送 が 短 時 間 で 、受 傷 部 が 限 局 し て い る 症 例 で 冷 却 す る 場 合 、現 場 で 流 水( 水 道 水 )を 用 い て よ い が 、搬 送 中 は 、顔 面 な ど で 冷 や し に く い 部 は 清 潔 な ガ ー ゼ を 生 理 食 塩 水 や 蒸 留 水 で 濡 ら し 、 折 っ た ま ま か 、 3, 4 枚 束 に し て 、 熱 傷 部 に あ て る 。し か し 、冷 却 は 低 体 温 を 誘 発 し や す い の で 、ご く 限 ら れ た 範 囲 の み か 、四 肢 、 頭 頚 部 の み に 行 い 、全 身 は 、滅 菌 ア ル ミ シ ー ト で 覆 い 、上 か ら 毛 布 を か け る 。途 中 、震 え( 戦 慄 、シ バ リ ン グ )が み ら れ た ら 、冷 却 を 中 止 す る 。乳 幼 児 ・ 小 児 は 容 易 に 低 体 温 に な る の で 、 よ り 観 察 を 注 意 深 く す る 。
3 . 合 併 損 傷 の 評 価
外 傷 患 者 の 全 身 観 察 と 同 様 に 頭 部・頚 部・胸 部・腹 部・骨 盤・四 肢 の 順 に 評 価 し 、神 経 所 見 、背 部 の 観 察 も 行 う 。外 傷 の あ る 場 合 、存 在 を 疑 う 場 合 は 、熱 傷 部 の 処 置 後 、全 脊 柱 固 定 を 行 う 。こ の と き 、ベ ル ト な ど が 水 疱 を 破 ら な い よ う 注 意 し な が ら 固 定 す る 。( 水 疱 は 皮 膚 組 織 が 脆 弱 し た た め 形 成 さ れ る も の で あ る の で 、 破 れ や す い 。破 れ た 場 合 は 外 気 に 放 置 せ ず 、滅 菌 ガ ー ゼ で 保 護 し て お く と 感 染 リ ス ク が 軽 減 さ れ る ) 熱 傷 で 重 症 外 傷 を 伴 い や す い の は 爆 発 で あ る 。胸 部 の み な ら ず 全 身 の 解 剖 学 的 な 異 常 所 見 の 有 無 を 確 認 す る こ と が 必 要 で あ る 。 ま た 、 火 災 で の 避 難 の 際 に 転 倒・転 落 も 起 こ り う る 。意 識 障 害 が 先 行 し た 熱 傷 傷 病 者 も 外 傷 や 脳 血 管 障 害 等 を 伴 っ て い る 可 能 性 が あ り 、本 人 か ら 聴 取 で き な い 場 合 は 、目 撃 者 や 周 囲 か ら の 情 報 収 集 が 合 併 損 傷 の 予 測 に 役 立 つ 。合 併 損 傷 の 重 症 度 緊 急 度 判 断 は 外 傷 プ ロ ト コ ー ル に 準 じ る 。4 . 既 往 歴 の 聴 取
熱 傷 の 治 癒 遅 延 の 原 因 に な る よ う な 既 往 歴 、即 ち 、糖 尿 病・透 析 患 者・心 疾 患 ・ 呼 吸 器 疾 患・肝 硬 変・出 血 性 疾 患 な ど の 有 無 を 確 認 す る 。ま た 、妊 娠 や 病 的 肥 満 、 超 高 齢 者 な ど も 生 命 予 後 が 不 良 で 、 治 癒 遅 延 を 起 こ す こ と が あ る 。E . 病 院 選 定
状 況 評 価 、全 身 観 察 の 結 果 、受 傷 面 積( % BSA)が 10% 以 上 ま た は 気 道 熱 傷 の 重 症 熱 傷 は 、三 次 救 急 医 療 施 設 を 選 定 す る 。そ の 他 、一 酸 化 炭 素 等 の ガ ス 中 毒 を 疑 わ せ る 意 識 障 害 を 伴 っ た 熱 傷 、閉 鎖 空 間 で の 火 炎 熱 傷 、顔 面 、関 節 、手 足 、会 陰 部 等 の 機 能 的・整 容 的 な 部 位 の 熱 傷 、全 周 性 の 熱 傷 、び ら ん・水 疱 を 伴 う 化 学 損 傷 、重 症 な 合 併 損 傷 の あ る 症 例 、透 析・妊 娠・心 疾 患・肝 疾 患 な ど の 特 殊 な 既往 歴 ・合 併 症 の あ る 症 例 、 意 識 障 害 の あ る 電 撃 傷 症 例 は 、 三 次 救 急 医 療 施 設 へ の 搬 送 を 考 慮 す る 。心 室 細 動 等 の 危 険 な 心 電 図 を 呈 す る 電 撃 傷 は 可 及 的 に 心 肺 蘇 生 プ ロ ト コ ー ル へ 変 更 し 、速 や か に 治 療 可 能 な 病 院 に 搬 送 す る 。ま た 、受 傷 時 に 併 発 し た 外 傷 が 重 症 度 判 断 Grade1 に 相 当 す る 時 は 外 傷 プ ロ ト コ ー ル に 変 更 し 、 Load and Go の 適 応 と す る 。 病 院 選 定 に 迷 う 場 合 は 、 躊 躇 す る こ と な く 、 登 録 指 示 医 師 に 連 絡 し 助 言 を 受 け る 。 な お 、本 プ ロ ト コ ー ル の 作 成 に あ た り 病 院 選 定 基 準 に 参 考 と し た「 熱 傷 セ ン タ ー へ の 照 会 基 準 」( 米 国 熱 傷 学 会 ) を 次 に 示 す 。 1 ) 10 歳 以 下 も し く は 50 歳 以 上 で 総 熱 傷 面 積 ( TBSA) 10% 以 上 の Ⅱ 度 熱 傷 2 ) 総 熱 傷 面 積 ( TBSA) 20% 以 上 の Ⅱ 度 熱 傷 3 ) 顔 面 、 手 、 足 、 性 器 、 会 陰 部 、 大 き な 関 節 の 熱 傷 4 ) Ⅲ 度 熱 傷 5 ) 電 撃 症 6 ) 化 学 熱 傷 7 ) 気 道 熱 傷 8 ) 重 大 な 既 往 症 9 ) 合 併 症 や 生 命 予 後 に 重 大 な 影 響 の あ る 外 傷 を 伴 う 熱 傷 10) 小 児 の 診 療 に 十 分 な 人 材 ・ 機 器 の な い 医 療 機 関 に お け る 小 児 の 熱 傷 11) 社 会 的 、 経 済 的 ま た は 長 期 リ ハ ビ リ に 関 す る 介 入 が 必 要 な 患 者 の 熱 傷
F . 継 続 観 察 及 び 搬 送 中 の 処 置
心 電 図 の モ ニ タ リ ン グ の 際 、電 極 を 熱 傷 部 に 貼 付 し な い よ う に す る が 、無 理 な 場 合 は 、モ ニ タ リ ン グ を 優 先 す る 。特 に 呼 吸 の 状 態 の 変 化 に 注 意 す る 。ま た 、全 身 を 滅 菌 ア ル ミ シ ー ト・毛 布 で 保 温 を し て い て も 低 体 温 に な り 易 い の で 、車 内 温 度 は 高 め に 設 定 す る 。 熱 傷 部 は 冷 却 を 中 止 す る と 発 赤 し や す く な り 、逆 に 冷 却 を す す め る と 発 赤 が 消 失 し た り す る 。ま た 、非 熱 傷 部 も「 蒸 れ 」る と 発 赤 し や す く な る 。発 赤 は 経 時 的 に 消 失 ま た は 発 現 し 、変 化 す る 。こ の た め 、搬 送 途 中 で 熱 傷 部 位 を 確 認 す る こ と が 重 要 で あ る 。 眼 周 囲 の 化 学 損 傷 の 場 合( 特 に ア ル カ リ )は 、搬 送 途 中 の 車 内 で も 洗 浄 を 続 け る こ と が 必 須 で あ る 。登 録 指 示 医 師 に 眼 球・眼 周 囲 の 洗 浄 の 指 導・助 言 を 要 請 し 、 必 ず そ の 指 導・助 言 に 従 う 。搬 送 中 は 、傷 病 者 を 仰 臥 位 と し 、眼 窩 よ り 外 側 も し く は 顔 面 周 囲 に ガ ー ゼ ・ タ オ ル を 敷 き 詰 め 「 土 手 」 を 作 り 、 生 理 食 塩 水 500mlの ボ ト ル に 点 滴 ル ー ト を つ け て 、そ の 先 か ら 生 理 食 塩 水 を 適 当 量 、鼻 根 部 に 流 し 続 け る 。こ の と き 、傷 病 者 に は 瞬 き を し 続 け て も ら う 必 要 が あ る 。瞬 き の 協 力 が 得 ら れ な い 場 合 は 、生 理 食 塩 水 を 流 す の み で 良 い が 、眼 瞼 の 損 傷 が 少 な い 場 合 は 、 他 動 的 に 開 瞼 し て 洗 浄 し て も 良 い 。洗 浄 中 、ガ ー ゼ・タ オ ル に 吸 わ れ た 水 は 汚 染 物 質 が 混 入 し て い る の で 、 適 時 交 換 し 、「 土 手 」 を 作 り 直 す 。 ( 2009 年 8 月 26 日 )