• 検索結果がありません。

土地信託の法的構造と間題点

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "土地信託の法的構造と間題点"

Copied!
30
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)(1). ﹁土地信託﹂具体化の背景. 土地信託の法的構造と間題点. 一. 土地信託の法的構成. 土地信託の類型. 土地信託の法構造. 二. O. ⇔. 信託終了時の土地所有権の復帰. 土地信託制度の問題点. 国公有地への土地信託導入の許容性. 土地信託における収益性の確保. O. 三. O. 土地信託制度に対する評価. ㊧. 四. ﹁土地信託﹂具体化の背景. 澤. 正. 男. 土地信託の法的構造と問題点. 三二七. 最近︑土地の有効利用︑開発の新しい手法として︑土地に信託の法理を利用した﹁土地信託制度﹂が信託銀行. 大.

(2) 早法六一巻三・四号︵一九八六︶ ︵1︶. 筋や都市開発関係団体の側から提案され注目を集めている︒. 三二八. ところで︑信託とは︑信託法に基づく財産管理のための制度で︑ある人︵委託者︶が法律行為︵信託行為︶によっ. て︑財産権を信頼でぎる他人︵受託者︶に引ぎ渡し︑その信託目的にそって︑その財産権︵信託財産︶を管理・処分. してもらう制度である︵信託法一条参照︶︒土地信託制度︵特に管理運用型土地信託く後述V︶は︑この法理を活用して土. 地の所有権を実質的には手放すことなく︑土地の有効利用を図る手法である︒すなわち︑この方式によれば︑①土地. 所有者は土地の有効利用についてのノウ・ハウや資金がなくても安定した収益が得られる︒②土地所有権は留保する. ので︑信託終了後土地は返還される︒③借入金は信託財産から差引かれるので相続税等が軽減される︒④受託者は︑ ︵2︶. ︵3︶. 信頼できる信託銀行であり︑テナソト募集をはじめ土地・建物の管理・運用すべてを行い︑信託財産は保護される︒ 以上のような点がメリットとして挙げられている︒. 元来︑わが国の信託には︑英米法におけるような伝統的な基礎がなく︑営業信託の内容も金銭信託に偏しており︑ ︵4︶ 不動産関係の信託には︑これまで実績として見るべきものは無かったといってよい︒では土地信託が︑今日これほど. 昭和五〇年代に入って地価が沈静化し︑地主は土地の値上り. 関心が持たれ脚光を浴びるようになった理由は何か︒その背景として次のような要因を挙げることができる︒. ⑥ 土地の資産的所有から有効利用への発想転換. 利益が期待薄となり︑かつ土地に対する税負担︵固定資産税・都市計画税・相続税など︶が重くなり︑土地を資産として. ︵5︶. 所有しているだけでは引き合わなくなった︒そこで︑土地を有効に活用して利益を得ようとする空気が出はじめたこ とである︒.

(3) ㈲信託業界が﹁ヒット商品﹂として登場させたこと. ㈲で述べた社会情勢を利用して︑信託銀行筋は今後の信. ︵6︶. 託業安定のための新商品として土地信託の実用化に取り組んだ成果でもある︒この手法によれば︑信託銀行は信託報. 住宅建設・公共開発の資金面での行きづまりの打開策としての期待. この方法によれば︑住宅建設企業にと. 酬が入るだけでなく︑多額の建築資金の貸付けもできるので︑今後のヒヅト商品となることを期待している︒. @. っても用地取得のため立上り資金を用意する必要がなく︑特に行革で緊縮財政を強いられている地方自治体にとって ︵7︶. は︑この土地信託方式を採れば︑公共開発の推進も民問活力の導入も可能になることに注目し︑法改正をしてでもこ. ところで︑わが国の土地信託制度は︑伝統が浅く︑実務例も少なく︑また信託法理についての資料にも乏しい. の方式を実施したいと︑すでに検討に入った地方公共団体も幾つかある︒. ②. ので︑この問題についての法律的検討は殆んどなされていない︒. 本稿では︑国土庁土地政策課および住友︑日本︑三井︑三菱︑安田︑東洋などの各信託銀行の協力を得て蒐集した. 資料をもとに︑わが国の土地信託の法的構造について整理し︑その類型化を試み︑そこに潜む法律上の問題点に関し て若干の検討をしてみたいと考える︒. ︵1︶国土庁調査︵昭和五九年一〇月現在︶によれば︑土地信託契約締結件数三八件︑その内訳は︑Oう管理運用型土地信託二一件︑ω地上げを目. 他︵分譲型︑等価交換型︑ピル信託︶二件となっている︵国土庁土地政策課提供資料︶︒六〇年二月現在では︑土地信託の類型別契約締結. 的とする土地信託二件︑㈲都市再開発を促進するための土地信託一件︑ω公団・公社の賃貸住宅供給制度等を活用した土地信託三件︑㈲その. 三二九. 件数七一件で︑うち管理運用型土地信託は四九件に及ぶ︵国土利用白書六〇年版一〇六頁︶︒財団法人・信託協会の六〇年七月三一目現在の. 土地信託の法的構造と問題点.

(4) 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 三三〇. ﹁土地信託契約を締結するに至った最大の理由﹂︵国土庁国土利用白書六〇年版一〇六頁︶︑﹁住友の土地信託アーチ﹂︵住友信託銀行︶︑﹁土. 調査では︑管理運用型土地信託の受託件数コニ件となっている︵信託協会提供資料︶︒ ︵2︶. 地信託方式のしくみ︑手順︑税務﹂︵安田信託銀行︶︑﹁三井の土地信託﹂︵三井信託銀行︶︑﹁BU﹂システム土地信託﹂︵目本信託銀行︶︑﹁ラ. 信託法にいう信託︵↓毎曾︶は中世イギリスに発達したもので︑英国衡平法が生んだ最大の制度で︑その歴史的な経過も個人的な信託が主. ソド・トラスト・システム﹂︵東洋信託銀行︶︑﹁三菱の土地信託のしくみ﹂︵三菱信託銀行︶等の資料による︒ ︵3︶. この場合︑Aは普通法上の︒ω鼠器を取得し︑Bのためにその土地を保有する︶で始まる︒これが一四世紀にはイソグランド全土に広がり︑. となっている︒それは︑二二世紀にユース︵臣Φ︶の慣行︵8︾8二8霧①9切という形の殆んどが不動産︽oω鼠冨︾を移転するもので︑. よってBは普通法上の①ω欝8を取得することになった︒そこでd器巷8二器︵二重のユース︶として︑8︾8夢Φ5①9ωε甚o. その結果生じた国王の収入減を防止するため︑ユース禁止法ともいうべきユース法︵ω$999q器巴器㎝︶が制定された︒このユース法に. 臣090︶の形が考案され︑ユース法の脱法がはかられた︒その結果一八世紀にはユースに代わるものとして︑近代信託の耳q馨の法理が認. ●︾塑ゆ9ωぎ℃oωop︾昌H旨33&op8夢①田ω8昌op冨冨且. められるようになった︵﹃甲O信嵩oPピ騨昌山ピ偶≦︵ω①8昌伍①P一鶏㎝︶づP匂o㎝〜o oぎ℃Pお一〜おω・冒げ昌ω・ω四ロロ仙R即竃o巴醸四⇔俳. ︒ 〜一雰甲斐道太郎﹁土地所有権の近代化﹂六六頁以下︑大澤正男﹁イギリス不動産法の変貌と展開−一九二五年財 ピ四毛︵一︒お︶宕﹂︒︒ し. ︒9&しS︒︶℃pωお〜巽 類算①一①矯.ω冨≦g&o轟¢︵︒. わが国の現在の信託制度は︑英米法の制度を明治の後半に導入したものといえる︒すなわち明治三八年に担保付社債信託法が制定され︑有. 産関係法改革を中心として﹂立正法学論集一六巻一・二号=二頁以下︶︒ ︵4︶. れたものである︒その後第一次大戦の前後を通じて︑信託会社と称する金融機関が数多く設立されたが︵四八八社に及ぶ︶︑全くの野放し状. 力銀行が営業免許を受けて信託業務を行うようになった︒これは︑目清︑目露の両戦争を契機に外資導入の必要性から信託法理が採り入れら. 態で資力も信用も不十分なものも多く︑その結果弊害も出た︒そこで︑それらを取締る目的で大正一一年に信託の一般的な基準法として信託. 一一頁以下︑山田昭﹁信託立法過程の研究﹂三頁以下︑一二頁以下︑五〇頁以下︑内藤七郎﹁信託の理論と実際﹂一三頁以下︑信託協会﹁信. 法と︑信託業者の規制法として信託業法が制定され︑信託概念が明確にされ︑わが国の信託制度が確立された︵原田豊次﹁信託法講義要綱﹂. 大澤正男﹁土地所有の構図﹂一九〇頁以下︑四八頁以下︒国土庁﹁国土利用白書六〇年版﹂一〇八頁︒. 託のはなし﹂一六頁以下︶︒. (( )). 住友信託銀行﹁﹃土地信託﹄の実務﹂二五頁以下︑その他前掲・注︵2︶の信託銀行関係資料による︒. 65.

(5) 土地信託とは︑土地の有効利用を図るため︑土地所有者︵委託者︶が土地を信託銀行︵受. 土地信託の法的構成. 京都有地︵長野県富士見高原用地︶︑更には分割︑民有化されたあとの国鉄用地の活用などに土地信託方式が検討中といわれる︒. ︵7︶例︑大阪府高槻市︵駅前の土地にホテルを建てる計画︶︑大分県別府市︵市役所跡地を第三セクター方式で土地信託する計画︶その他︑東. 二 0 土地信託の法構造. ω 土地信託の内容. 託者︶に信託し︑受託者は信託契約に定める目的に従って︑委託者に代わり土地の管理運営︵具体的には︑所要資金の. ﹁基本型﹂土地信託の仕組み. 土地信託の基本的方式は︑土地所有権を実質的に留保したまま土地の有効利 ︵2︶. 調達︑建物の建設︑テナントの募集︑建物の維持管理など︶を行い︑受益者︵土地所有者︶に賃貸料などの収益を配当︵信託 ︵1︶ 配当︶として交付する仕組みで︑信託終了時には土地︵信託財産︶を受益者に交付するという制度である︒. ③. 土地所有者と信託銀行との間で信託契約を締結し︑土地所有者︵委託者︶は土地を信託銀行︵受託者︶に信託す. 用を行なう︑建物建設賃貸型で︑本稿では基本型と称しておく︒次に︑図1に従って説明する︒ ①. る︒登記上は信託財産の保全のため所有権移転の登記および信託の登記がなされる︵不動産登記法一〇八条〜一一〇条 の一一︶Q. ②土地所有者は受益者︵兼委託者︶となり︑受益権を取得︵信託銀行より受益権証書を受領︶する︒. 三三一. ③信託銀行は信託契約に基づき金融機関から建築に必要な資金を借り入れ︑④建築会社と工事請負契約を締結し建 土地信託の法的構造と問題点.

(6) 〔土地信託の仕組み一基本型〕 図壌. 信託財産. 用. 信託契約の当事者. 一⁝三. 土地信託契約は︑土地所有者︵委託者︑兼受益者︶が信. 者と受託者﹂との間の契約として構成され︑英米型の﹁受託者と受益者﹂との関係. わが信託法では︑信託契約は法律行為の当事者としての地位を特別視して﹁委託. ︵3︶ 託者に同じ︶︑受託者︵信託銀行︶である︒. 定には他に遺言信託がある︶︒従って契約の当事者は委託者︵土地所有者︶︑受益者︵委. へ移転する代わりに︑信託受益権を取得する契約︵契約信託︶である︵土地信託の設. 託銀行︵受託者︶に土地︵信託財産︶を信託することにより︑土地所有権を信託銀行. ③. 有者への所有権移転登記がなされる︶Q. 売却先︶に現状有姿のまま土地・建物を返還する︵登記上も信託の登記は抹消され︑所. ⑫信託期間が終了したとき︑信託銀行は土地所有者︵受益権証書を売却した場合は. ︵土地所有者︶に交付する︒. 託報酬等を差し引き︑⑩借入金の返済に充当し︑⑪その残りを配当として委託者. ⑧信託銀行は賃貸料等の収入⑨の中から︑借入利息︑公租公課︑管理費および信. ⑦信託銀行は︑建物の維持・管理について管理会社と管理契約を締結する︒. ⑥信託銀行は建物を信託の目的に従ってテナソトに賃貸する︒. 築工事の発注︑代金の支払い︑⑤完成した建物の引渡しを受ける︒. 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 信託銀行. 撫躍. 霰. い. ⑨賃. 料. ナ. 」. 払. 冴. テ. r幡顧 一 I建物1 r l l土地l 』 1. ⑥賃貸. 〈受託者>.

(7) ︵4︶. よりも委託者を前面に出して信託設定後も委託者の関与を認めるなど委託者と受託者との対立関係に置く傾向が強. い︒これは大陸法系の契約構成である﹁委託者・受託者の当事者関係﹂を信託関係の基本的枠組みとして承継し︑信 ︵5︶ 託財産の保全と受益者保護を徹底させる趣旨より出たものと説明される︒. その点︑土地信託契約では︑本来は当事者である筈の土地所有者と利用者との直接的関係を信託銀行が信託契約を. 介して︑その間に入ることによって両者の関係は遮断され︑信託銀行は信託の目的に従って自己の名において主体的. に信託財産の管理・運営に当たるという仕組みである︒すなわち︑基本的賃貸型では︑委託者︵土地所有者︶は︑本. 来は利用者︵賃借人︶と直接設定する筈の土地の賃貸借を受託者︵信託銀行︶に︑利用者との間で設定させ︑権利金の. 受領︑地代の取立て︑その他賃貸借存続中の一切の業務を受託者に行わせる︒特に建物がマンショソの場合︑委託者 ︵6︶ は︑利用者が多数に及び賃貸借契約にかかわる業務から解放されるメリットは大ぎい︒これは︑土地信託制度では︑. 土地信託における当初信託財産は︑土地所有権と借地権である︵信託業法四条参照︶︒借家権の. 委任や代理と異なり︑受託者︵信託銀行︶は︑高度の信頼関係のもとに︑財産権の名義者となる点︑および受託者の ︵7︶ 行為の結果は信託財産に帰属し︑これを拘束するが︑収益帰属主体︵受益者︶を直接拘束するものではない︒ @ 当初信託財産. 借地権信託. 信託は信託業法上はでぎない︒ ⑥. 借地権が地上権である場合には︑借地権を信託のために譲渡する手続ぎは通常の借地権の譲渡に準ずるので︑. 受託でぎる財産として︑地上権と土地賃︑借権も認められる︵信託業法四条︶︒. ①. 三三三. 手続ぎ的には間題ではない︒特に︑わが国では現実には地上権そのものの設定が少ないため地上権の信託は殆んどな 土地信託の法的構造と問題点.

(8) ㎜. ㎜物︸. リロロドヨ. 産 一建㎜ オ﹁− ﹂. 羅⁝. 託−﹂ 鰭﹂. ◎讐払歯元利支梨登支薗青負契約. 三三四. 土地が賃借権の場合︑信託するには︑土地所有者の承諾が必要であるほ. が適切とされる︒. ㈲ 抵当権付土地の信託. なるか︒信託法一条によれば︑信託財産につき信託前の原因によって生じた権利. 抵当権付の土地を信託したとぎ︑その扱いはどう. ない︑それぞれの敷地の一部について完全な所有権を取得した後で信託する方法. ついて地主の承諾を得ること︶︒@土地所有者と委託者との間で権利割合の調整を行. 同時に委託させる︵借地権者が信託銀行に変わること︑堅固な建物に建て替えることに. そこで︑実際には借地権を信託する場合には︑④土地所有者から土地所有権も. 参照︶︒しかし︑借地権付きの土地だけの信託では︑土地の有効利用は困難である︒. を受益者である本来の借地権者に交付することになる︵図2﹁借地権信託の仕組み﹂. 託を受託した信託銀行は︑借地権者として地代を土地所有者に支払い︑信託配当. 場合でも︑基本的には従来の借地権の信託と同じである︒すなわち︑借地権の信. が少ないため︑信託の例は殆んどない︒土地信託において借地権の信託を考える. ︵8︶. って地主の承諾︑協力を必要とする︒しかし︑賃借権自体が登記されていること. か︑第三者に対抗するためには賃借権の移転登記および信託の登記が必要で︑従. ②. いと考える︒. 早法六一 巻 三 ・ 四 号 ︵ 一 九 八 六 ︶. テナント. 賃借料 信㎜地一. 当 配. 賃貸 行 銀 言毛 イ言. 貝. 受益権 借地権者. く受託者> 借地権の信託 〈委託者>. 〔借地権の信託の仕組み〕 図2.

(9) は︑信託財産に対し強制執行︑仮差押︑仮処分︑あるいは競売することがでぎると規定されている︒従って信託前に. 抵当権が設定されれば︵対抗要件を具備していること︶︑その土地が信託されても︑その抵当権は無効になるわけでな. く︑当然に信託後も信託財産に対して効力を有する︒しかし︑受託者︵信託銀行︶側からみると︑抵当権付土地を受. 託することは︑資金の借入れなど受託者の名において行なうので︑受託者としては大きな危険を負うことになる︵例︑. 委託者に支払不能が生じ︑債権者が抵当権を実行すると︑信託財産に対し信託前の原因にょって生じた抵当権の行使であるので︑. ︵9︶. 受託者はこれを拒否でぎない︶︒そこで︑抵当権など第三者の権利が付いていると︑信託財産は非常に不安定なものとな. るので実際には信託銀行は受託を拒むと考えられる︒. 英法上の信託︵ぼ仁馨︶は受託者︵叶益馨8︶が信託財産に対して普通法上の権利をもち︑その財産を受益者︵守霧浮す曙︶のために保有. し管理する関係で︑受益者は衡平法上の権利をもつ︒すなわち︑それは甲が丙の利益のために乙に土地所有権を譲渡することであり︑甲は乙. ︵1︶. 五年財産法の大改革では︑ユース︵霧o︶の廃止と︑コモソ・ロー上の不動産権としての生涯権︵oω鼠8︷9霞o︶および限嗣権︵o旨毘a. がその土地から生ずる利益を丙︵受益者︶に享有させるであろうことを信じてその土地の所有権を乙︵受託者︶に託する関係である︒一九二. ぎ8お馨︶の廃止を含んだので︑土地における将来権︵津9話ぎ件RΦ馨︶はコモン・ロー上の不動産権としては︑創設することがてきなく. なった︒かっω①蓬①ヨ①旨︵継承的不動産処分制︶による土地設定方法を不可能としたので︑そのような不動産権は︑現在では信託の方法に. ︒一騨還89穿αq一誓冒且冨ゑ︿毫㎝﹀暑﹂ω︒ム輿竃oNぴ還&譲耳︒一9︑ωピ署g鼠︒冨蔓︿︒︒島︒9. よって衡平法上の権利としてでなけれぽ設定でぎない︒︵国ダω接9竃①αq曽睡︾︑ω竃きq巴9爵oいき傷9閑Φ巴ギ8R身︿q9①9. §㎝﹀薯 . 誤 ム ω 鉾 峯 g. 三三五. 住友信託銀行﹁﹃土地信託﹄の実務﹂︑安田信託銀行﹁土地信託方式のしくみ︑手順︑税務﹂︑三井信託銀行﹁土地信託のご案内﹂三菱信託. 一零O﹀唱P曽O〜鴇尉いω・O¢嵩oPOPgfづやおO〜窃鉾o一お︶大澤正男﹁前掲﹂三八頁︑四一頁〜四二頁︒. 銀行﹁三菱の土地信託のしくみ﹂等参照︒. ︵2︶. 土地信託の法的構造と問題点.

(10) ︵3︶. ︵4︶. 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 一一⁝六. 信託業法二条では︑資本金一〇〇万円以上の株式会社であること︑また業として営むには大蔵大臣の免許を受けることを要する︵同法一条. 一項︶ので︑実際には信託銀行︵住友︑中央︑東洋︑目本︑三井︑三菱︑安田の各信託銀行七行︶のほか信託部門をもっ大和銀行に限られる. 英米法における信託財産の設定は︑信託財産と自己の財産圏から分離する行為と観念され︑信託関係発生後は︑信託目的は自立するため︑. ことになる︒. 田中実﹁土地信託1その法的仕組みと問題点﹂ジュリスト八二七号六頁以下︑稲本洋之助﹁土地信託制度﹂ジュリスト増刊総合特集三四号. シンポジウム﹁信託法改正の基礎間題﹂︵新法四七号︶四〇頁以下︒. ラストの伝統からぎていると理解でぎる︒. 信託を﹁受益者︵委託者でなく︶と受託者との対立関係﹂において構成する傾向が強い︵私法四七号四〇頁︶︒これはイギリスのユース︑ト. ︵5︶. 住友信託銀行編﹁前掲﹂七四頁以下︑安田信託銀行﹁前掲﹂二頁以下︒. 住友信託銀行編﹁前掲﹂五〇頁以下︒. 二四〇頁︒. ︵6︶. ︵7︶. 土地信託の類型. 国土利用白書によれば︑土地信託とは︑賃貸ビルや駐車場などの管理のみを目的とする﹁不. 住友信託銀行編﹁前掲﹂六六頁以下︒. ︵8︶. ⇔. 類型化の基準. ︵9︶. ω. 動産管理信託﹂とは異なり︑④土地の有効利用を目的とするいわゆる﹁管理運営型﹂のもの︑◎大規模開発等の際︑ ︵1︶. 複数の地権者から用地買収等を円滑に行うためのもの︑◎土地の上にマンショソ等を建設し付加価値をつけたうえ処. 分することを目的とするものなどをいうと説明する︵国土利用白書六〇年版一〇五頁︶︒従って︑土地信託は不動産信託. ρ一種であるが︑これまでの管理信託と異なり︑信託財産として土地からスタートし︑所要資金を借り入れ︑宅地造.

(11) 成や建物を建設するなどの土地を改良︑加工して付加価値を高める点で従来の不動産信託とは大きく異なる︒しかし. 土地信託といっても信託の目的が管理か処分か︑地権者が複数か単数か︑利用が個人か法人か等によって︑さまざま の態様が考えられる︒. 本稿では︑信託業界が実務上応用しつつある各種の信託方式を総合して︑信託目的が管理か処分かによって土地所. 有権の帰属が異なる点を基準として︑まずω管理運用型土地信託と︑③処分型土地信託に大別する︒前者を更に︑ω. 建物建設賃貸型︵①基本型と②市街地再開発型︶と︑@土地賃貸型︵①基本的賃貸型と②宅地造成賃貸型︶に分類す. る︒後者は︑ω宅地造成分譲型︑@建物建設分譲型︑の宅地建物整備分譲型︵④⑬の混合型︶︑⇔土地買収型︵地上げ. 型︶︑㈹等価交換型などに分類できる︒本来の土地信託は︑①の管理運用型がこれに該当し︑③の処分型土地信託は︑. ⑥ 建物建設賃貸型. ①. 基本型は土地信託により土地所有者が信託した土地に信託. 本稿では広義の土地信託の範晴として考える︒次に︑その類型について略述する︵表−参照︶︒. ③ 管理運用型土地信託. 銀行は自己の計算において賃貸ビルやマンションなどの建物を建築し︑これをテナントに賃貸する基本的タイプで. ﹁土地信託の仕組みー基本型﹂として図示した通りである︵前掲図−参照︶︒この場合︑土地建物の所有権は信託銀行. に留保され︑信託終了時︑土地建物とも受益者︵土地所有者︶に返還されるので︑土地所有者は土地の実質的所有権 ︵2︶ を留保したまま土地の有効利用がでぎる手法とされる︒. ②︑市街地再開発型は︑賃貸型の土地信託で︑基本的な仕組みは①と同じであるが︑異なるのは︑土地所有者等の. 三三七. 地権者︵委託者︶が複数である点である︒この手法により複数の土地所有者︵借地権者を含む︶による市街地開発や共 土地信託の法的構造と問題点.

(12) 〔土地信託の類型〕 表1. (イ)宅地造成分譲型. 匡. 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. (イ)1建物建設賃貸型. 理運用型土地信託亡蹄街盃再1発型 (狭義の土地信託). L(ロ)土地賃貸型. ②宅地造成賃貸型. 土地信託の方式. ①基本的賃貸型. (2)処分型土地信託 (広義の土地信託). (ロ)建物建設分譲型. (ハ)宅地・建物整備分譲型 (二)土地買収型. (ホ)等価交換型. ︵3︶. 三三八. 同ビルの建設が可能となるとされる︵ωの⇔の土地買収型と基本. 的には類似のタイプ︶︒このタイプでは信託が終了すると︑普通は. 土地に関する権利関係は旧来のままで建物を共有することにな. ︵4︶. ①︑基本的賃貸型では︑土地所有者︵委. るので︑この点について事前に地権者全員が同意していること. 土地賃貸型. が必要である︒. ⑥. 託者︶は︑借地権の設定および底地の管理を目的として︑土地. ︵5︶ を信託銀行︵受託者︶に信託する︵土地所有者は受益者となり信託. 受益権証書を取得︶︒信託銀行はデベ博ッパーから借地権利金を. 受領して借地権を設定し︵デベ・ッパーは︑マソショソ等を建設し. 分譲する︶︑権利金︑地代等の収入から公租公課︑信託報酬等を. 差し引いて土地所有者に配当する点などは⑥の建物建設賃貸型 と同じである︒. ②︑宅地造成賃貸型では︑信託銀行︵受託者︶は︑信託され. ︵6︶. た土地を造成し︑個々に賃貸するが︑デベ・ッパーに一括賃貸. する︵デベ・ッパーは更に分譲マンションを建てて入居者に転貸する.

(13) ︵7︶. ⑧. 宅地造成分譲型. ︵8︶ 信託された土地を造成して︑分譲する方式︒その仕組みは︑①土地. 場合もある︶︒信託銀行は貸地の管理︑地代徴収などを行い受益者n委託者︵土地所有者︶に信託配当する方式である. 処分型土地信託. ︵①型と殆んど同じ︶︒. ③. の信託と引換えに受益者︵土地所有者︶は受益証書を取得する︒②信託銀行は建設会社に宅地造成工事をさせる︒③. 信託銀行は造成された土地を信託目的に従って分譲する︒④分譲代金の中から借入金返済︑公租公課︑管理費用︑信 託報酬等を差し引ぎ︑信託配当金を受益者に交付する︒. この場合︑分譲事業が国土利用計画法にかかわるとぎは︑分譲価格について事業収支の試算段階で事前に国土利用 ︵9︶. 土地所有者︵委託者︶から信託された土地に信託銀行︵委託者︶が建物を建築し︑これを分. 計画法に係る届出が必要である︒また宅地造成が開発行為に該当するとぎは︑土地信託契約を結ぶにあたり開発許可 取得が条件となる︒ ︵10︶. ㈲ 建物建設分譲型 譲するケースである︒. この場合︑土地・建物を分譲する場合と︑建物だけを譲渡し土地は一定期問賃貸する場合とが考えられる︒このタイ. 宅地・建物整備分譲型. 三三九. 複数の土地所有者から売却することを目的に信託された土地を開発許可取. 信託銀行のセールス商品の中には現在のところ見当らないが︑前掲@︑㈲を合併し. プの土地信託は︑信託銀行︵受託者︶がいわばデベロヅパーの役割を果たすわけである︒. ⑥. 土地買収処分型︵地上げ信託︶. たタイプの信託方式として考えうる︒. ⑥. 土地信託の法的構造と問題点.

(14) 早法六一巻 三 ・ 四 号 ︵ 一 九 八 六 ︶ ︵11︶. 三四〇. 得後にデベ・ヅパ1に一括売却することを内容とする方式︒この方法によれば︑従来の買収方法と異なり︑買収の過. 程で地価が上昇し︑当初に売った地主と最後に売った地主との間に不公平を生じるというデメリットが回避でぎる︒. また︑もし開発許可が得られないとぎ︑または一定期間内に予定の開発用地が土地信託によって確保できないとぎは︑. その開発は事実上不可能になるので︑それまで受託した土地は元の地主に返還できるのでデベpヅパーは不要な土地. 土地所有権者や借地権者等の複数の地権者が混在する土地をデベロヅパーが市街地を再開発す. 保有をするリスクを回避できる︒その他︑デベロッパーは買収から開発着手までの間の金利負担を軽減できる︑など の長所がある︒. ⑥ 等価交換型. るような場合︑信託銀行が地権者とデベ戸ッパーとの間に入って潤滑油の役割をしながら︑共通目的のもとに土地所 ︵12︶. 有権・借地権を一つの信託にまとめて︑それぞれの地権者の権利を受益権の持分割合として評価する権利調整のため. の土地信託である︒その仕組みは︑①信託銀行︵受託者︶が土地所有者︑借地権者等︵委託者︶から信託された土地に. ついてデベロッパーと等価交換契約を結ぶ︒②デベ巨ヅパーは建設会社に建築させ︑その建物の引渡しを受ける︒③. 信託銀行とデベロッパーとの間で等価交換を実行する︒④信託銀行は︑等価交換によって取得した土地︑建物を土地 所有者等地権者に交付し︑信託は終了する︒. この場合︑信託銀行には信託財産の分別管理義務︵信託法二八条︶があるので︑複数の地権者からの土地信託で合. 同運用が認められるには︑次のような条件を具備する必要があると解する︒①共同ビル建設・管理の目的という如き. 信託目的や信託財産の管理方法が同一であること︑②信託配当の配分の割合や信託財産の持分割合が客観的に評価で.

(15) ︵13︶. き︑その評価された権利割合に応じて信託配当がでぎること︑③委託者間で合同運用することに合意があること︒. ②建築譲渡のための土地信託︵土地信託←︹建築ー←︺建物譲渡の方式︶︑③建物収益管理のための土地信託︵土地信託ー←︹建築←︺. ︵1︶稲本洋之助教授︵ジュリスト増刊三四号壬二八頁︶は︑土地信託の態様として①収益管理のための土地信託︵土地信託←賃貸の方式︶︑ 建物賃貸の方式︶の三つに分類される︒ がある︵安田信託銀行︑三井信託銀行︑三菱信託銀行︑住友信託銀行提供資料による︶︒. ︵2︶具体例として︑安田信託銀行および三菱信託銀行の土地信託︑三井信託銀行の﹁民賃管理信託﹂︑住友信託銀行の﹁土地信託アーチ﹂など ︵3︶ 三井信託銀行の土地信託﹁応用類型①のタイプ﹂︒. ︵5︶. 東洋信託銀行の﹁ランド・トラスト・システム﹂のケース③﹁貸地型﹂に当たる方式︵同行発行資料参照︶︒. ︵4︶ 三井信託銀行資料﹁都市再開発と信託﹂︑住友信託銀行編﹁﹃土地信託﹄の実務﹂一五六頁以下︒. 三八頁︶︒. ︵6︶地上に建物が存する揚合︑土地・建物共に信託し︑建物のみを賃貸させるケースもある︵稲本洋之助﹁前掲﹂ジュリスト臨時増刊三四号二. ︵7︶具体例として︑①の型として東洋信託銀行︑日本信託銀行の土地信託︑②の型として三井信託銀行の土地信託などがある︵東洋信託銀行資. 三井信託 銀 行 資 料 ﹁ 土 地 信 託 の ご 案 内 ﹂ 参 照 ︒. 三井信託銀行の﹁宅地造成分譲型土地信託ス三井信託銀行資料参照︶︒. 料﹁ラソド・トラスト・システム﹂︑日本信託銀行資料﹁BU﹂システム﹂︑三井信託銀行資料﹁三井の土地信託﹂等参照︶︒. ︵9︶. ︵8︶. に当たる︒具体例として︑三井信託銀行の﹁建物建設分譲型土地信託﹂がこれに当たる︒. ︵10︶国土利用白書六〇年版︵一〇五頁︶にいう﹁土地の上にマンショソ等を建設し付加価値をつけた上で処分することを目的とする﹂土地信託. 梨県内と東京都内で実施︶がある︒. ︵n︶ 具体例として三井信託銀行の﹁土地買収型土地信託﹂のモデルがこれに当たる︵同行資料参照︶︒その他︑東洋信託銀行のケース︵例︑山. 三四一. 銀行の﹁勝どき橋都有地開発のケース﹂も同じタイプと見られる︵中島目出夫﹁土地信託の動きを追う﹂ジュリスト八二七号一六頁以下︶︒. ︵12︶具体例として東洋信託銀行の﹁ラソド・トラスト・システム﹂ケース②等価交換型がこれに当たる︵同行資料による︶︒その他︒安田信託. ︵13︶ 安田信託銀行資料﹁土地信託Q&A﹂四頁︒. 土地信託の法的構造と問題点.

(16) 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 三 土地信託制度の問題点. 三四二. 土地信託は︑土地を有効に利用して収益をあげたいという意欲を持ちながら手持ち資金や事業経営に必要なノウ・. ハゥや時間的余裕を持たない土地所有者が︑土地を手放さないで資産を殖やす方法として極めて効果的な手法である. ことが強調されている︒そこで︑この方式を国公有地に活用すれば︑土地所有権を実質的に保持しながら民間活力を. 導入でき︑行政サービスと土地の効率的利用が期待できるとして︑国や地方公共団体も土地信託に熱い視線を送って いる︒. では︑このように土地信託制度のメリットに挙げられるように︑①信託終了時に︑土地は確実に地主の手元に戻っ. てくるのか︒②地代・家賃などの収益は定期的に安定して得られるか︒③国公有地に土地信託制度を導入するについ. て法律上間題はないか︑など検討されるべぎ点は多い︒本稿では︑以上の三点に関して若干の考察を試みたい︒. O 信託終了時の土地所有権の復帰. 管理運用型の土地信託方式において︑信託契約が終了したとぎ︑土地は法律上︑自由な所有権として元の地主︵委 託者︶への複帰が可能だろうか︒. ω 建物建設賃貸型では︑信託期間中は土地・建物の所有権は信託銀行に留保され︑利用者︵賃借人︶は︑土地・. 建物とも受託者︵信託銀行︶より賃借している関係であるので︑信託終了時は︑信託契約における特約どおり︑土.

(17) 地・建物は受益者︵土地所有者︶に返還される︵法律手続上は信託登記抹消と所有権移転登記がなされる︶︒その場合︑建物. の賃貸借が継続中であるときはどうなるか︒. 土地信託は土地の管理運営の委託を目的とするので︑機能的には民法上の委任・代理と共通する︒しかし︑信託方. 式では目的財産権を他人︵受託者︶に移転し︑受託者は自己の自由な判断で︑デベ・ッパ1の選定︑賃借権の設定な. どの管理・処分をするので︑受託者は委任ないしは準委任契約上の地位にあるのとは基本的には異なる︒このように. 信託関係では受託者の相対的な決定権に基づいて受託財産︵土地︶について受託者は利用者と賃貸借契約を締結して. いるので︑委託者︵土地所有者︶と受託者︵信託銀行︶との間の信託契約上の特約︵﹁信託終了時にテナソトをクリアにして. 土地を引渡す﹂︶も信託土地上に建物が存し︑利用者の土地・建物の利用が継続している限り︑委託者︵土地所有者︶は ︵1︶. 信託契約上の特約を優先させて︑利用者の土地・建物利用を排除できる効力を認める根拠はない︒従ってその賃貸借. 契約は︑そのまま受益者︵土地所有者︶に承継されることになる︒すなわち︑土地は建物付き︑賃借人込みで返還さ. れるわけである︒特に︑利用者の居住する土地・建物の賃借関係に借地法・借家法が適用される場合は︑利用者が借. 地・借家関係の継続・更新を主張する限り︑土地は当初の特約通り地主に戻るとは限らない︒たとえ賃貸借契約で期. 間を定めておいたとしても︑受益者︵土地所有者︶が自用に供する必要性が借家人より強い︑いわゆる正当事由がな けれぽならず︑借家人に立退きを要求することはまず困難と解する︵借家法一条ノニ︶︒. ② 土地賃貸型︵基本的賃貸型︶においても︑信託期間終了時︑土地は土地所有者︵委託者︶に返還されるが︑借地. 三四三. 法との関係で委託者︵土地所有者︶は借地人から土地の引渡しを受けられるとは限らない︒特にデベ冒ッパーが宅地 土地信託の法的構造と問題点.

(18) 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 三四四. 造成し︑そこにマンションを建設して︑これを一括賃貸した場合︵例・宅地造成賃貸型︶︑デベロッパーが︑そこにマソ. ションを建設し︑これを借地権付ぎマソショソとして分譲した場合は︑信託期間が終了しても引ぎ続きデベロヅパー. と建物区分所有者との間には土地賃貸借契約が継続すると解されるからである︵従って︑この場合は借地権付ぎの土地所 ︵2︶ 有権の返還ということになる︶Q. ③ 処分型土地信託の範疇に入る宅地造成分譲型や土地建物分譲型では︑土地所有権は最終的には利用者に移転さ. せるから︑契約終了時︑土地は委託者には戻らないことは当然である︒従って︑この方式を採る地主は最初から土地. の売却利益だけを期待して土地の処分を信託目的としている︒従って︑この場合の土地信託は︑購入しやすいように. 延払い譲渡方式によって︑信託銀行が資金調達の機能を果すもので︑実質的にはリース販売契約と同じ機能を果すも. 建物建設分譲型では︑建物だけを分譲し︑土地は一定期間賃貸する方式であるが︑受託者︵信託銀行︶がその. のである︒. @. 建物を売却した場合︑その売却代金は土地所有者︵委託者︶にとっては受益権に対する大きな配当源となるが︑反. 面︑土地は信託銀行と建物の買主との間では賃貸借の形態がとられるので︑建物所有者︵買主︶は借地権を取得する. ︵3︶. ことになる︒この場合︑建物所有者の土地利用に対して︑信託契約上の﹁特約﹂を優先させて借地法の適用を排除で ぎると解せるだろうか︒. 結論からいえば︑信託方式を介しても借地法の適用を排除する効力はないと解する︒すなわち︑信託銀行と建物所. 有者との間の賃貸借は︑当事者間では土地所有者と賃借人との間の通常の賃貸借関係と異らないからである︒この関.

(19) 係は︑地主と信託銀行との信託期間が満了後も継続すると解しうるから︑土地所有権が地主に返還された場合でも借 ︵4︶. ︵5︶. 地法の拘束を受けるので︑建物所有者が対抗要件︵建物保存登記︶を備える限り︑地主は借地人に対して対抗でぎな. いと解する︵建物保護法一条︶︒従って︑信託方式を介した場合には信託終了時に﹁土地が地主に戻る﹂という土地信. 託のメリヅトは法律上の根拠に乏しいといえる︒もし︑土地信託のメリヅトとして契約時に法律上も実質上も土地が. 戻るということで︑この方式を推進するためには土地所有権を借地法・借家法など関連法規との関係においても︑法. 律上保障する制度的枠組みを今後さらに︑ぎめ細かに提示する必要があると考える︒一方︑土地信託は︑一般には土. 地の有効利用が目的であるから︑標準的な収益が得られている限り︑信託終了後もテナント︑借地人との問で賃貸借 契約を継続して利益を得ることを前提としてよいのではないかと考える︒. 稲本洋之助﹁土地信託制度﹂ジュリスト臨時増刊号三四号壬二七頁以下︒. (( )) ︵3︶. 稲本洋之助﹁前掲﹂ジュリスト臨時増刊三四号三四〇頁︒. 土地所有権は地主︵委託者︶に法形式上︵登記簿上︶は移転するが︑土地所有者が使用︑収益︑処分できる自由な所有権としてで. 安田信託銀行提供資料﹁土地信託Q&A﹂一六頁参照︒. の負担が加 わ る ︒. 土地信託の法的構造と問題点. 三四五. はなく︵借地権設定方式と結果としては変わらない︶︑むしろ信託による土地所有権の移転を伴う信託登記の登録免許税︵一〇〇〇分の六︶. ︵5︶. ︵4︶. 二二︑日本信託銀行提供資料による︶︒. 売買がないから︑信託終了時には地主が土地を返す特約を認める方向に判例は動いていると解釈しているとしている︵朝目新聞昭五九・五・. 日本信託銀行︵ミサワホームと提携の土地信託︶では︑通常は借地権が地価の六割〜八割で売買されているのに︑この信託方式では借地権. 21. 確かに、.

(20) ⇔. 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 土地信託における収益性の確保. 三四六. ω 実務上の対応 土地信託方式のメリヅトの一つとして︑信託銀行の持つノゥ・ハウ︑信用力︑取引き基盤を ︵1︶ 活用して土地の有効利用を行うので︑長期的に安定した収益が得られることが挙げられている︒従って地代等の収益. の確保の有無は今後の土地信託を占う重要な鍵である︒では︑土地信託によって地代等の収益性は確保されるか︒. 現在︑信託銀行が実際に採っている対応として︑そのOは土地を有効に活用できる場合だけ土地を受託するという. 原則である︒具体的には︑土地信託として受託可能な土地は︑①有効利用により高収益を安定的に確保できる見込み ︵2︶. のある土地︑②当該信託銀行で管理が可能な土地︑③適正な信託報酬が確保できる土地︑を条件として事前に立地調. 査︑事業収支の検討がされている︒その⇔は︑土地信託では︑毎期の信託配当は実績配当が原則で︑信託業法上も信. 託銀行は毎期の信託配当の保証はでぎないので︑安定的に配当を行うための手段として︑①借入金の返済額調整や一. 定額を越える配当分をプールする方法︑②事業収入を安定的にする方法︵例︑不動産会社に一括賃貸する手法︶により︑. 法制上の措置. 受託者は信託行為の定めに従って信託財産を管理処分でぎる唯一絶対の権利者となるため︑. 事業上︑信託配当が保証されるよう事前の検討が挙げられている︒このような具体的対応からは︑一応その収益の確 ︵3︶ 保が担保されているといえる︒ ③. 信託銀行には︑①善管注意義務︵信託法二〇条︶︑②分別管理義務︵同法二八条︶︑③忠実義務︵同法一三条︶︑④その他︑. 利益享受の禁止︵同法九条︶︑損失填補・信託財産復旧義務︵同法二七条︶︑書類設置義務︵同法三九条︶など厳格な義務 が課せられているo.

(21) ところで︑わが信託制度は前述したように英米信託法と異なり︑民事信託としてよりは商事信託として発足し普及. してきた︒従って土地信託について︑これら忠実義務︑分別管理義務等の民事の一般信託法の規定を︑そのまま商事. ︵4︶. ③ 税制上の問題. 土地信託方式における税制面での整備の立ち遅れが指摘されて. 信託の場合に︑その適用が可能かどうか︑それが可能であるとしても︑それらの規定が大まか過ぎないか疑問があ るo. ︵5︶. ③今後検討すべぎ間題. いる︒すなわち︑現行税法上︑土地信託による土地の有効利用の場合︑他の開発手法に比して不利な取扱いとして︑. 二︑三の点が特に業界筋から指摘されている︒例えば︑信託銀行と土地信託契約を結んだ土地所有者に対しては︑通 ︵5︶ 常の土地所有者が土地を売却したり建物を建てて事業を行なう場合に適用される税制上の優遇措置はない︒また︑土. 地.建物の信託登記における登録免許税︵一〇〇〇分の六︶︵信託法三条︑不動産登記法一〇八条以下︶は︑立上り期には. 採算面への負担が大きすぎる点︑また信託終了時には抹消登記料がかかる点︑その他︑建物保存登記にかかる登録免. 許税︑固定資産税︑都市計画税に対しては︑土地信託が宅地の流動化︑再開発事業の促進に貢献することから一定の. 受益権の流通市場の整備. 長期に及ぶ信託期間中︑土地所有権は信託銀行に移転しているので︑その間︑委. 条件のもとに減額措置が検討されるべきだとされている︒. ㈲. 託者︵土地所有者︶は︑土地の自由な処分はできない︒従って︑受益権の流通性がスムーズに行なえるよう市場性が. 要請されるQ現行法上は︑土地信託の受益権︵信託終了時の土地・建物などの元本と元本運用による果実に対する給付請求. 三四七. 権︶は︑債権的性格を有し︑信託銀行の承諾を得て譲渡可能であるが︑その市場性となると現状では︑なじみも薄く 土地信託の法的構造と問題点.

(22) 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 三四八. 特に住宅用賃貸マソショソの場合は︑将来性や借家権の面での制約も多く︑流通性に乏しいので︑当面は︑信託銀行. が中心となって譲渡の斡旋が期待でぎる程度である︒今後︑土地信託制度の普及には市場性を拡大し︑この受益権の. 土地信託制度の最大の不安点は︑信託された土地利用が計画通. 譲渡取引ぎを容易にすべきである︒その為めにはオープンな市場が形成され︑誰でも簡単に受益権に投資でぎるよう 流通市場を整備する必要がある︒. @鍵は長期信託期間中の社会経済状況の変化. り進行し︑収益が確保されるかという点である︒これは︑社会経済情勢に左右される問題である︒現在の需要状況で. ︵6︶. は︑確かにマンション建築をした場合の需要は多い︒しかし︑土地信託の期間は二〇年︑三〇年という長期契約が普. 通で︑何十年も先の社会経済状況は誰にも正確な予想はつかない︒実際には信託銀行は二〇年︑三〇年の信託期問の ︵7︶ 事業損益の収支のモデルを作成し配当見積もりを立てている︒しかし︑社会経済状況の変化で︑この計算の基礎が一. つでも狂うと︑この信託方式は崩壊する︒その最大のネックはテナソトの集まり具合である︒この点︑信託銀行は慎. 受託者に管理ミス等がなく︑信託財産の運用状況が悪化したような. 重な検討を踏まえて計算し︑その上で信託契約を結ぶわけであるが︑安全性の保証はない︒. ⑥ 信託財産の運用状況悪化の場合の措置. 場合︵例︑賃借人の入居率の悪化︶︑定期の信託配当は期待でぎないだけでなく︑借入金の返済も困難となる︒それが一. 過性のものである場合には︑借入期問を延長することにより借入金返済負担を減じ︑返済完了まで信託期間も延長す. るとか︑追加運転資金を調達し︑資金繰りをつけ事業の軌道修正が図れる︒しかし︑事態が回復しない最悪の場合︑. 借入金の債務は直接的には信託銀行が負担しているが︑最終的には受益者︵委託者でもある土地所有者︶の負担となり.

(23) 私有財産は正当な補償のもとに公共のために用いられるので. 信託銀行が固有財産︵銀行勘定に計上される資産︶で返済した場合は︑信託銀行は信託財産の全部または一部を処分し ︵8︶ て︑それをもって債務の弁済にあて︑信託を終了させ残金を引渡すことになる︒. ⑥ 土地収用の場合等の損失補償の帰属の間題. ︵9︶ ︵憲法二九条三項︶︑土地が土地収用法によって公共用地に収用された場合は損失補償がなされる︵土地収用法七一条︶︒し ︵10︶. かし︑具体的に補償額が決定される場合には多くの間題が存する︒ここでの問題は︑管理運用型の信託土地が公共用. に収用された場合︑損失補償︵あるいは開発利益︶は︑土地所有者︵委託者︶が独占して︑すべて取得できるのか︑そ れとも土地所有者と利用者︵借地人︶に分属することになるのかどうか間題である︒. 一般に︑都市計画において借地が用地としてデベ官ッパーによって買収された場合︑その補償金︵開発利益を含む︶. は原則として借地人︵借地権者︶と地主︵底地所有権者︶に帰属し︑その場合の補償額配分の比率は七対三程度とする. のが業界の常識となっている︒この点︑信託方式の場合は信託受益者︵土地所有者︶がすべて取得しうるだろうか︒. 実際には︑信託受益権譲渡の場合︑信託受益権には信託終了後に土地所有権の返還を受ける権利が含まれているの. で︑国土利用計画法にいう﹁土地所有権の取得を目的とする権利﹂に同法︵一四条参照︶の規制の対象となり︑土地. 利用者に賃借権が存在する限り︑その利用が信託方式によるか︑借地方式によるかは区別すべぎ理由はなく︑従って. 損失補償も︑いわゆる借地権割合に応じて土地利用者にも帰属すると解される︒結果として︑委託者である土地所有. 者は損失補償額のうち底地所有権割合分しか取得でぎない︒この意味から︑信託財産の賃貸借関係は土地所有権の一. 三四九. 部譲渡ともいえるもので︑信託受益権を底地額に押下げてしまうものである︒そこで︑受益者︵土地所有者︶の不利 土地信託の法的構造と問題点.

(24) 早法六岨巻三・四号︵一九八六︶. ︵11︶. 三五C. 益をカパーする方法として︑通常の賃借権設定と同じように︑ 賃貸借契約締結のとき初めに利用者から権利金の支払. 住友信託銀行編﹁﹃土地信託﹄の実務﹂八頁以下︑安田信託銀行﹁﹃土地信託﹄のしくみ・手順・税務﹂五頁︒その他︑三井信託銀行︑日本. いを受けておくという方法も一考に値しよう︒. ︵1︶. ︵2︶. シソポジウム﹁信託法改正の基礎問題﹂私法四七号二四頁︑二五頁〜二七頁︒住友信託銀行編﹁前掲﹂三七頁〜三九頁︒. 住友信託銀行編﹁前掲﹂九五頁〜九七頁︒. 住友信託銀行編﹁前掲﹂六〇頁以下︑安田信託銀行資料﹁Q&A﹂一頁︑八頁︒. 信託銀行等の資料参照︒. ︵4︶. 国土庁の﹁土地信託の実例等に関する調査﹂︵昭和五九年一〇月現在︶では︑管理運用型土地信託︵二四件︶における信託期間は︑平均一. 朝日新聞昭和六〇年九月二〇日朝刊︵一面︶︑同紙昭和六〇年九月二七日朝刊︵社説︶︒. ︵3︶. ︵5︶. 七年︑最長三五年︑最短一〇年となっている︵国土庁土地政策課提供資料による︶︒財団法人信託協会の資料︵昭和六〇年七月三一日現在︶. ︵6︶. 例えば︑安田信託銀行の投資計画︑資金調達計画では︑入居率を初年度九〇%︑二年目以降一〇〇%と想定して保証金︑敷金収入を計算︑. では︑管理運用型︵一二一件︶の信託期間は一〇年〜二〇年の契約期間が多く︵七三件︶︑最長三五年︑最短一年となっている︒. また事業損益の試算では︑賃料︑駐車場収入は三年毎に一〇%アップで計算︑賃貸期間中の信託報酬は毎年の賃料の一〇%で算出︑減価償却. ︵7︶. 住友信託銀行編﹁前掲﹂一三八頁以下︒. 費は建物部分は期問六五年︑設備部分は期間一五年で定額償却としている︵安田信託銀行提供資料による︶︒. (( )) ︵11︶. ︵10︶. 稲本洋之助﹁土地信託制度﹂ジュリスト臨時増刊三四号二四一頁〜二四二頁︒. 大澤正男﹁土地所有権制限の理論と展開﹂三四頁以下︑同﹁土地所有の構図﹂二八頁以下︒. 共事業の施行に伴う損失補償基準﹂︵昭和三八年三月二〇日建設省訓令第五号︶九条一項等による︒. 具体的な補償規準は︑﹁公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱﹂︵昭和三七年六月二九日閣議決定︶七条︑八条一項︑﹁建設省の直轄の公. 98.

(25) 9. 公共的分野での土地信託. 国公有地への土地信託導入の許容性 ︵1︶. 地方自治体が土地信託制度の導入によって︑民間の資金やノウ・ハウを利用して. ①. 市街地再開発︑あるいは公共施設の建築をしようとする気運が盛り上っている︒これまで︑国・公有地は︑﹁自ら管. 理して利用する方法﹂と﹁第三セクターや民間に払下げる方法﹂しかなかったが︑土地信託方式を活用すれば︑①将. 来の行政二ーズに備え︑土地所有権を実質的に保持しつつキメ細かい行政サービスと土地の効率的利用ができる︒②. 公共団体は自ら事業を営まないで済むから人員面の節約や財政負担の軽減が期待できる︒③土地の売買を伴わないの. 国公有地への土地信託導入の許容性. 国や地方公共団体が委託者として国・公有地を信託することが可能か. で高い地価が顕在化しないので地価の高騰が防げる︑などの点がメリヅトとして挙げられる︒土地信託を採用するケ ︵2︶ !スとしては︑高槻市︑東京都︑大阪・静岡・横浜の公社などのケースを挙げうる︒. ②. どうかについては︑国有財産法や地方自治法等に明文の規定がないところから次のように見解が分れている︒そのO. は︑国公有地の土地信託といっても︑土地所有者︵委託者︶が国・地方公共団体であるという点だけで通常の信託と. 特に異なる点はないとして︑これを可能とする見解である︒その⇔は︑国有財産の管理処分に関する国有財産法や地. 方自治法には制定当時︑公有地信託を想定していない︒従って信託制度導入には地方自治法等関係法規の改正が必要. ではないかという否定的見解である︒では国公有地の信託は国有財産法︑地方自治法上どう解すべぎか︒. 国有財産は行政財産と普通財産とに分けられる︵国有財産法三条一項︑地方自治迭⁝八条三項︶︒この区分は︑当該財. 三五一. 産の使用等の実態をもとに判断されるもので︑前者は公用︑公共︵例︑庁舎︑病院︑学校用地など︶に供される財産であ 土地信託の法的構造と問題点.

(26) 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 三五二. り︑その処分または私権の設定は制限されている︵国有財産法一八条一項︑地方自治法壬二八条の四第一項︶︒従って︑土地. 信託が可能と解することは難しい︒後者︵普通財産︶の処分等については︑これを﹁売払い﹂または﹁これに私権を. 設定すること﹂ができる旨定めている︵国有財産法二〇条一項︑地方自治法二三八条の五第一項も同趣旨︶︒問題は︑信託が. ここでいう﹁売払い﹂または﹁私権の設定﹂に当たるかどうかである︒否定説は︑売払いは︑通常の民事上の売買を. 指すので︑信託は含まれないと解し︑公有地の信託は法律上許されないとする︒肯定説は︑①信託は所有権移転を伴. うから売払いに含まれ︑売払いの中でも特に用途指定の売払い︵国有財産法二九条︶に当たるとする見解︑②売払いに. 該当しないと解した場合でも︑信託権ともいうべき権利の設定であるので私権の設定に当たるとする見解︑③売払. い︑私権の設定のどちらにも該当しないと解しても︑普通財産は︑いわば国の私産であり︑本質上私法規定の下に置か. れるべぎであるとの考え︵最判昭三五・七・一二民集一四巻九号一七四四頁︑同昭四一・=・一民集二〇巻九号一六六五頁︶. を根拠に︑国有財産法二〇条一項︵地方自治法二三八条五項第一号︶に列挙する行為を例示的規定と解し︑これ以外の私 ︵3︶ 法行為を排除する趣旨ではないから信託も当然可能とする見解などである︒. 結論として︑土地信託制度が民間活力の活用という観点から見直されてきた理由を考えれば︑個々のヶースにっい ︵4︶ て︑条件つぎで国・公共団体は︑これを認める方向で具体的問題点を検討すべぎであろう︒南博方教授︵ジュリスト. 八二七号一二頁以下︶は︑問題点として︑債務負担行為︑地方債︑信託契約の締結方法などを挙げられる︒次に︑これ. 信託契約の締結方法. 国・公有地への土地信託の導入が一応許容されると解した場合︑土地信託契約は随意. らの問題点について簡単に触れることにする︒. ③.

(27) 契約の対象となりうるか︒あるいは一般競争入札の方法にょるべきかという問題がある︒この問題について︑南博方. 教授は次のように説明される︒国・自治体による契約の締結は︑その公共性の点から機会均等を保持し︑その公正を. ﹁契約の性. 担保するために︑原則として一般競争入札によるべぎこととされている︵地方自治法二三四条一.二項︑会計法二九条の. 三第一項︶︒反面︑信託は本質的には当事老の高度の信頼関係を基礎とするので一般競争入札になじまず︑. 質または目的が競争を許さない場合﹂に当たるものとして随意契約の方法によるべぎだとして︑このための法令改正. ︵5︶ を必要とする見解があるとされる︵地方自治法二三四条二項︑同法施行令一六七条の二︑会計法二九条の三第四項参照︶︒ ︵6︶. ところで︑信託契約の性質については考え方の対立はあるが︑私法の規律︑すなわち民法総則の適用を排除する理. 由はないから︑随意契約は可能と考えられる︒もっとも随意契約を認める場合︑建物︑施設の建設に当たり信託銀行. 地方債︵債務負担行為︶との関係. 国公有地の土地信託の場合︑中途解約時や事業不振に陥ったとぎ︑借入. と施工や管理運営の営業との間の利権が絡む怖れがあり︑﹁競争入札逃れ﹂となることも懸念されるので︑随意契約 ︵7︶ を認めるには︑このような問題の解決を前提としなければならない︒. ㈲. 金等の債務を地方自治体が直接負うケースが考えられる︒民間資金の活用で自治体が起債しなくても事実上の起債行. 為と看徴される要素がある︒すなわち︑信託銀行︵受託者︶にょる建設資金等の借入れは︑いわば自治体に代って為. すものであるから地方債︵地方自治法二三〇条一項︶に該当︑従っで︑これを起こすには自治大臣の許可が必要︵地方自. 治法二五〇条︑同法施行令一七四条︶と解しうるからである︒この考え方に立てば︑国・公有地の土地信託は︑現行の. 三五三. 起債許可制度の網を逃れるヤミ起債に該当するのではないかとの疑間も出てくる︒このため︑債務負担行為として位 土地信託の法的構造と問題点.

(28) 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. ︵8︶. 三五四. 置づけられ︑国会や地方議会の議決を要すると共に︑起債ルールの脱法行為を防止する狙いの自治省通達﹁債務負担. 行為の運用について﹂︵昭四七・九・三〇︶の指導対象となる可能性がある︒これに対して︑信託銀行による借入れは. ︵9︶. 自治体そのものの起債でなく︑また第三セクターの借入れについては自治大臣の許可が不要とされている趣旨からみ て︑前者の見解 に 反 対 す る 立 場 も あ る ︒. 国や地方公共団体が土地信託を活用する場合は︑主に次の三形態である︒①国や地方公共団体が委託者となり︑国・公有地の信託により公. 共・公益目的を達成するケース︒②民有地の信託により︑国・公共団体が賃借人となって公共・公益目的を達成するケース︒③国公有地と民. ︵1︶. 昭和五九年二月︑政府の国有地等有効活用推進本部がまとめた報告では︑民間活力導入対象財産は全国べースで︑一六三件六五肱︑東京二. 有地とを合わせて信託することにより公共・公益目的を達成するケース︵住友信託銀行編﹁﹃土地信託﹄の実務﹂六〇頁以下︶︒ ︵2︶. 南博方﹁国公有地の土地信託iその問題点を探る﹂ジュリスト八二七号一二頁以下︒. 三区内で二三件一四︑三肱にのぼる︵三井信託銀行提供資料による︶︒. (( )) ︵5︶. 南博方﹁前掲﹂ジュリスト八二七号一五頁︒. 三井信託銀行提供資料参照︒. 朝目新聞昭和五九年一〇月一三目︵朝刊︶参照︒. 南博方﹁前掲﹂ジュリスト八二七号一四頁〜一五頁︒. 四宮和夫信託法︵増補版︶︵法律学全集︶三四頁以下︒. ︵8︶. ︵6︶. ︵9︶. ︵7︶. る予定で準備しているといわれる︵昭和六一年一月一一日付朝目新聞朝刊︶︒. 大蔵省は国有財産中央審議会の答申にょり︑国公有地にも信託制度を導入すべく︑それに伴う国有財産法改正案を第百四通常国会に提出す. 43.

(29) ω. 四. 土地信託制度に対する評価. 土地信託は︑所有権と利用権の分離などといわれている︒しかし︑土地所有権の所有と利用の分離という場 ︵1︶. 合︑普通は地主が土地所有権︵支配権︶を保有しながら他人に利用させる関係をいうのであって︑土地信託の説明と. しては適当でない︒すなわち︑地主︵委託者︶が所有権そのものを形式的には信託銀行︵受託者︶に移転して︑受託者 ︵2︶. 名義のもとに︑その土地の管理運営を委せ︑その実質的な利益を収益権の内容として取得させるものであるから︑む. また︑今回の土地信託の発想は︑信託銀行︑住宅建設会社などが市街化区域内に残る農地を住宅用︑事務所用. しろ所有権の一部譲渡という方が適当である︒. ③. に活用するのに︑どうしたら地主農民の協力が得られるかという点から出発したもので︑その根底は依然として土地. 所有権主義の枠内のものであることを考えれば︑本来の在るべき土地所有権思想よりスタートした土地の有効利用へ. の発想転換とはいい難い︒特に︑土地は手放したくないという地主の心情も配慮して依然として底地の実質的所有権 ︵3︶. は地主が持ち続け︑それに信託銀行が手を貸すという方式は︑イギリス土地所有権の利用権能と支配権能の分離の意. しかし︑今回新たに登場した土地信託は︑①土地負担の軽減のために︑土地を素材として賃貸借や延払譲渡の. 味とは本質的に異なる︒. ③. 諸方式を積極的に活用し︑運用しようとする動態的な信託である点で評価できる︒②土地信託の対象も都市再開発事. 三五五. 業︑テクノポリス建設︑公共施設の建設等に及び︑その場合︑信託銀行︵受託者︶は公平な第三者として当事者間の 土地信託の法的構造と問題点.

(30) 早法六一巻三・四号︵一九八六︶. 三五六. 直接的関係を切断して複数地権者と利用者の利益調整機能を果すので︑集団的土地利用には土地信託は新しい意味を. もつ︒とりわけ管理運営型土地信託による土地利用では︑原則として土地の売買を伴わないことから︑地価高騰の引. ぎ金とならない点で︑今後の土地の有効利用にとって魅力のある方法といえる︒しかし︑これが構想したように機能. ︵4︶. するためには︑今後︑信託銀行に土地信託の多面的活用方法を開発する努力を期待すると共に︑検討されるべき課題 も少なくない︒. @ ところで︑土地信託に関する文献等の資料は乏しく︑全く未開拓の分野が多いため︑本稿では個別的に検討す. るというより︑むしろ実務面での現状の把握と︑そこでの間題点の指摘という点にとどめた︒今後︑事例を蓄積して いく過程で︑これら問題点の詳細な検討を試みるつもりである・. 田中実﹁土地信託ーその法的仕組みと問題点﹂ジュリスト八二七号一〇頁︑ 日本経済新聞︵昭和五九年五月六日︶参照︒ 大澤正男﹁土地所有の構図﹂九頁︑三〇頁〜三六頁︑一九〇頁以下︒. 大澤正男﹁土地所有権制限の理論と展開﹂一七二頁︑一八一頁以下︒. 国土利用白書五九年版一二〇頁︑同六〇年版一〇八頁︒. ︵1︶. ︵3︶. ︵2︶. ︵4︶. ︵完︶.

(31)

参照

関連したドキュメント

5.本サービスにおける各回のロトの購入は、当社が購入申込に係る情報を受託銀行の指定するシステム(以

この見方とは異なり,飯田隆は,「絵とその絵

それでは,従来一般的であった見方はどのように正されるべきか。焦点を

ヨーロッパにおいても、似たような生者と死者との関係ぱみられる。中世農村社会における祭り

(1)

欄は、具体的な書類の名称を記載する。この場合、自己が開発したプログラ

[r]

  他人か ら産業廃棄物 の処理 (収集運搬、処 分)の 委託を 受けて 、その