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Analysis of the habitation policy and effect for the compact city in a local city *

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Academic year: 2022

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(1)

地方都市におけるコンパクトシティ実現のための居住誘導施策とその効果に関する分析*

Analysis of the habitation policy and effect for the compact city in a local city *

古澤浩司**・杉木 直***・青島縮次郎****

By Koji FURUSAWA**

Nao SUGIKI***

Naojiro AOSHIMA****

1.はじめに

地方都市圏では、近年自動車中心のライフスタイ ルが一般化し、それと同時に居住が郊外化すること によって中心市街の人口密度が低下している。その 結果として公共交通が衰退し、免許を保有している 人に対し、免許を保有していない人や免許を持って いても何らかの理由で自動車を利用できない人は、

日常生活を送る上で大きな不利益を被っている。ま た居住の郊外化は、移動距離の増大をはじめ郊外緑 地の減少、郊外部での急速な団地開発などに伴う都 市施設の整備不足など、都市としてのバランスの崩 れにつながる様々な問題を生じさせている。

そのような問題に対して、行政が行うことの出 来る対策としては「郊外部におけるバス交通や都市 施設の十分な整備」、「中心部における安価な住宅 の整備」といったハードウエアによるものから、

「都市計画マスタープラン」などによる都市のバラ ンス修正、「居住費用の補助による居住誘導」など のソフトウエアによるものまで、多種多様なものが 挙げられる。このような施策をそれぞれまたは組み 合わせて積極的に導入していくことにより、一人一 人の立場や境遇に関わらず、多くの人がより豊かな 生活を行うことが可能な都市を作り上げることがで きると考えられる。

しかし実際には、郊外部に様々な都市施設・利便 性の高い交通機関等を整備し、利便性を一定のレベ ルに保つためには莫大な資金が必要であり、それに 見合った公共の利益が得られなければならない。そ して都市全体での人口の減少・少子高齢化が進めば、

それが将来にわたって活用されるという保障はない。

そういったことも併せて考えると、一旦郊外に張り 付いた居住者を利便性の高い中心部へ呼び戻す施策 が効率的である。これにより、公共交通機関へのシ フトも期待できるため、今後地方都市においてはそ のような施策を通してコンパクトシティを目指して いくことが必要となってくると思われる。

本研究は以上のことから、コンパクトシティの実 現を地方都市で発生している様々な都市交通問題を 解決するための一手法としてとらえ、典型的な拡散 型都市である前橋市の全域で行った交通・居住環境 に関するアンケート調査の結果を用いて分析を行う。

まず住み替えに対する抵抗要因から、コンパクトシ ティ実現の鍵となる中心部への住み替え促進に有効 と思われる施策を抽出し、それらが投入された際の 住み替え需要の変化、及びその実現性に関して、施 策の投入パターン別に分析を行う。それらを通して、

対象地域の現状と今後の居住立地動向に関して検討 し、総合的にコンパクトシティ推進施策の可能性と 問題点について触れる。

2.調査概要および対象地域の概要

(1)アンケート調査概要

本研究で分析に使用したデータは、群馬県前橋 市を対象として平成 12 年と平成 13 年の2回にわた って行ったアンケート調査の結果を用いている。1 回目は主に住み替えの履歴とその際の意識、現在の

表1 アンケート調査概要

592世帯(約12%) 635世帯(約7%)

回収数

5,000世帯 9,720世帯

配布数

世帯票(1枚)、個人票(5枚)および 返信用封筒を訪問配布し郵送回収 調査方法

2001年12/20~25 2000年11/6~15

実施日

第二回 第一回

592世帯(約12%) 635世帯(約7%)

回収数

5,000世帯 9,720世帯

配布数

世帯票(1枚)、個人票(5枚)および 返信用封筒を訪問配布し郵送回収 調査方法

2001年12/20~25 2000年11/6~15

実施日

第二回 第一回

*キーワーズ:住宅立地,居住誘導施策

**学生員,修士(工),群馬大学大学院工学研究科 〒376-8515 群馬県桐生市天神町1-5-1 TEL 0277-30-1653 FAX 0277-30-1601

***正会員,修士(情報),群馬大学大学院工学研究科

****フェロー,工博,群馬大学工学部建設工学科

(2)

住宅への評価について、2回目は主に現在の住み替 え希望、中心部への居住誘導政策が導入された場合 の現在と高齢期における住み替え希望、およびその 際に望む施策について調査したものである。調査方 法は2回とも対象地区からランダムサンプリングで 抽出した世帯に配布し郵送で回収した。それらの調 査の概要については表1にまとめて示す。

(2)対象地域の概要とゾーニング

本研究では、詳細な町目地区レベルでデータを得 ているが、分析に際してはそれらを特性に基づいて 以下の4つのゾーンに分類している。

①中心市街:前橋駅から半径2km以内

②中心周辺:前橋駅から半径4km以内

③郊外宅地:前橋駅から半径4km以遠、

市街化区域が含まれる町

④郊外農村:前橋駅から半径4km以遠、

市街化調整区域のみの町 これを対象地区の概況と併せて図1に示す。

3.居住誘導施策の設定

郊外居住者を中心部へと呼び戻す方策として、本 研究では、潜在的な中心部への住み替え希望を何ら かの試作の投入により後押しすることにより具体化 させ、実際の住み替えに結び付けることを考えてい る。ここでは、潜在的な住み替え希望を顕在化させ る具体的な方法として、その希望の阻害要因、つま り住み替えにあたっての抵抗を取り除くことでそれ

を実現することを考えた。これにより、個人の住み 替え意思を優先した理想的な形でのコンパクトシテ ィの実現が可能になると思われる。

ここではそれを踏まえ、住み替え需要が実現され ず潜在化してしまう要因について分析を行い、住み 替え需要の顕在化に対して効果的な施策、つまり居 住誘導施策について検討する。

図2は、第一回目のアンケートの結果を用いて、

世帯主年齢階層別に住み替え希望が実現しない理由 を示したものである。ここで、「売買機会がない」

とは「買いたい土地や住宅が見つからない」または

「現在の住宅の買い手が見つからない」といった回 答である。これを見ると「費用がかかる」、「売買 機会がない」、「時期を検討中」などの理由がすべ ての年齢層で高い割合を占めている。特に若い世代 では「費用がかかる」が占める割合が高く、住み替 え抵抗を取り除くには金銭的な補助が効果的である ということがわかる。これに対して高齢世帯では、

「売買機会がない」が高い割合を占めており、売 却・購入時の双方において流動的な住宅市場の形成 を図ることも居住誘導施策として有効であると考え られる。

4.住み替え希望傾向

(1)施策の抽出

居住誘導施策については、第一回目のアンケー ト調査で得られた住み替え時の抵抗要因から抽出し、

以下の4項目を設定した。

a.居住費用の低減

・・・居住費用の補助や安価な住宅の整備 b.高齢者向け住宅の整備

・・・バリアフリー住宅やケア付住宅の供給等、

高齢期に安心して暮らせる環境の整備

費用がかかる 売買機会がない 利便性が下がる 移転労力がかかる 時期を検討中

35歳未満 35~64歳 65歳以上

市街化区域 市街化調整区域

R50 R17

4km圏内 2km圏内

4km 2km

0km 6km 8km

上毛電鉄

JR両毛線 JR上越線

前橋大島駅

駒形駅 前橋駅

新前橋駅 群馬総社駅

市街化区域 市街化調整区域

R50 R17

4km圏内 2km圏内

4km 2km

0km 2km 4km 6km 8km

0km 6km 8km

上毛電鉄

JR両毛線 JR上越線

上毛電鉄

JR両毛線 JR上越線

前橋大島駅

駒形駅 前橋駅

新前橋駅 群馬総社駅

図1 対象地区の概況とゾーニング 図2 住み替え希望が実現しない理由

(3)

c.中古住宅市場の活性化

・・・住宅所有者の住宅売却および貸借の促進 d.引越し費用の補助

・・・住み替え自体の抵抗を除去

(2)施策に対する要望

第二回目のアンケートでは、居住誘導施策に対す る反応と要望の実態を捉えることを目的として、

①何らかの施策が投入されれば、中心市街への住 み替えを希望するか否か

②具体的にどのような施策を望むか

の2つの設問を設定した。図3に施策投入の有無 による住み替え希望の変化を示す。なお、左側が現 在居住している地域、右側が希望住み替え先地域を 示しており、矢印はその住み替えが存在することを 表す。また、同地区内での住み替えは郊外化やコン パクトシティ施策への影響が少ないため、省いてい る。

これをみると、施策なしの場合に中心周辺部や 周辺市町村など、土地の比較的安い地域への住み替 えを希望している世帯が多いこと、郊外から中心部 への住み替えを希望する世帯もある程度存在すると いうことがわかる。実際の住み替えにおいても同様 の傾向があるため、今後の住み替え動向を予測する にあたって、住み替え希望に着目した分析を行うこ とには大きな意味があると考えられる。また、全住 み替え希望世帯に占める中心部希望世帯の割合をみ ると、8.8%と低い値になっており、前橋市への転 入者も減少を続けているという現状も鑑みると、こ のままゆったりとした郊外化傾向と市全体での人口 減少が続いていくと思われる。

施策ありの場合をみると、施策なしの場合と傾 向が大きく変わり、中心部への住み替えを希望する 世帯が増加していることが分かる。しかし、郊外部

や周辺市町村への住み替え希望者はさほど減少して おらず、中心部への住み替え希望世帯の多くは新た に住み替え希望が発生した世帯であることが見て取 れ、このことから潜在的な中心部への住み替え希望 が多く存在しているということが分かる。また、と くに郊外宅地から中心部への住み替えを希望する世 帯が大きく増加したことにより、中心部への住み替 えを希望する世帯が実に全住み替え希望世帯の

56.6

%を占めるに至っている。このようなことから、

何らかの施策を投入することにより潜在的な中心部 への住み替え希望を顕在化させ、居住誘導を行って いくことは必ずしも不可能ではないと思われる。

(2)施策投入後の住み替え希望世帯率

図4に、地区別世帯主年齢階層別中心部への住み 替え希望率を示す。これをみると地域に関わらず若 年層で住み替え希望率が高くなっている。これによ り、郊外部の住宅団地等において、局地的に高齢化 の急速な進行を増長する恐れがある。このように、

実際に居住誘導によりコンパクトシティを目指す場 合は、起こりうる副作用的問題についても十分に検 討する必要がある。

185 72 230

56 10 7 世帯数

150 68 283

59

130 85 244

59 17 8

※ すべて の施策 を投入

住替後

中 心市街 希望数 全 住替希 望数 = 8.8%

住替後

5世帯未満:

10世帯未満:

15世帯未満 15世帯以上 凡 例

施 策 投 入 後 中 心市街

中 心周辺 郊 外宅地 郊 外農村 周 辺市町 村 そ の他地 域 中 心市街

中 心周辺 郊 外宅地 郊 外農村

中 心市街 中 心周辺 郊 外宅地 郊 外農村 周 辺市町 村 そ の他地 域 中 心市街

中 心周辺 郊 外宅地 郊 外農村 中 心市街 希望数 全 住替希 望数

=56.6%

世帯数 世帯数

150 68 283

59 世帯数

住み替え 希望世帯が

185 72 230

56 10 7 世帯数

150 68 283

59

130 85 244

59 17 8

※ すべて の施策 を投入

住替後

中 心市街 希望数 全 住替希 望数 = 8.8%

中 心市街 希望数 全 住替希 望数 = 8.8%

住替後

5世帯未満:

10世帯未満:

15世帯未満 15世帯以上 凡 例

施 策 投 入 後 中 心市街

中 心周辺 郊 外宅地 郊 外農村 周 辺市町 村 そ の他地 域 中 心市街

中 心周辺 郊 外宅地 郊 外農村

中 心市街 中 心周辺 郊 外宅地 郊 外農村 周 辺市町 村 そ の他地 域 中 心市街

中 心周辺 郊 外宅地 郊 外農村 中 心市街 希望数 全 住替希 望数

=56.6%

中 心市街 希望数 全 住替希 望数

=56.6%

世帯数 世帯数

150 68 283

59 世帯数

住み替え 希望世帯が

0% 20% 40% 60%

35歳未満 50歳未満 65歳未満 65歳以上 35歳未満 50歳未満 65歳未満 65歳以上 35歳未満 50歳未満 65歳未満 65歳以上

中心周辺郊外宅地郊外農村

0% 20% 40% 60%

35歳未満 50歳未満 65歳未満 65歳以上 35歳未満 50歳未満 65歳未満 65歳以上 35歳未満 50歳未満 65歳未満 65歳以上

中心周辺郊外宅地郊外農村

図4 地区別世帯主年齢階層別 中心部への住み替え希望率

図3 施策投入の有無による住み替え希望の変化(アンケート回答世帯の内訳)

(4)

5.住み替え希望の実現性 ③高齢単身・夫婦世帯では引越し費用の補助による 効果が高い

実際に住み替えを行う際,たとえば年収に対して 希望した住み替え先の土地取得費用や家賃等が高け れば実現し得ない.そこで,住み替えの実現性を金 銭面または住居の条件面に着目し判定する.また,

希望する施策については,住み替えに必要であると して回答を得ているため,設定した施策が満たされ ていない場合も実現性が無いものとして扱う.

といったことが見て取れる。

6.まとめ

(1)本研究の成果

本研究は、居住に関する意識やコンパクトシティ の可能性、居住誘導施策が導入された際の中心部へ の住み替え促進効果についてみることにより、以下 のような結論を得た。

図5は,表2で示した施策を組み合わせて投入し た際に、住み替え希望世帯のうち実現性がある世帯 の割合を示したものである。なお、中古市場の活性 化のみでは居住費用の補助のみの場合と差が見られ なかったため、ここには示していない。

①住み替えの抵抗要因としては、若い世代では費用 面が、高齢世代では売買機会の少なさが高く、費 用面は全年齢で総じて高かった。

この図からは, ②設定した居住誘導施策によって、中心部への住み 替え希望が大きく増加することが分かった。こ れにより、コンパクトシティ実現のために潜在 的な住み替え希望を顕在化させる居住誘導施策 が効果的であることが示された。

①居住費用補助の増減は若い世代に強く影響する

②居住費用補助のみでは施策投入効果が見られない

非高齢単身・夫婦世帯 非高齢2世代以上世帯

高齢単身・夫婦世帯 高齢2世代以上世帯 凡 例

補助 なし

月に 1万円

月に 3万円 補助

なし 月に 1万円

月に 3万円 100%

100%

引越し費用補助あり 居住費用補助のみ

補助 なし

月に 1万円

月に 3万円 補助

なし 月に 1万円

月に 3万円 0%

20%

40%

60%

80%

100%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0%

20%

40%

60%

80%

0%

20%

40%

60%

80%

補助 なし

月に 1万円

月に 3万円 補助

なし 月に 1万円

月に 3万円

補助 なし

月に 1万円

月に 3万円 補助

なし 月に 1万円

月に 3万円 高齢者向け住宅の整備

中古住宅市場の活性化

補助 なし

月に 1万円

月に 3万円 補助

なし 月に 1万円

月に 3万円

補助 なし

月に 1万円

月に 3万円 補助

なし 月に 1万円

月に 3万円 0%

20%

40%

60%

80%

100%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

高齢者向け住宅の整備

③住み替え希望の傾向は年齢階層によって大きく異 なること,また,居住誘導施策の組み合わせによる 住み替え可能世帯数変化の傾向には世帯構成や年 齢階層によって大きく差があることから,居住誘 導の方法によっては局地的な世帯構成の偏りを招 く可能性がある。

(2)今後の研究方針

現実にどの程度の居住誘導効果があるかをみるた めに、住み替え希望/現実性のある住み替え希望と 実際の住み替えとの間の関連性について分析を行っ て行く予定である。

【 謝 辞 】

本研究の遂行にあたり、前橋市役所都市計画部都市計 画課より、データの提供等に関して多大なご協力を頂い た。ここに記し感謝の意を表したい。

【 参考文献 】

1)松橋啓介:大都市圏の地域別トリップ・エネルギー から見たコンパクト・シティに関する考察,日本都 市計画学会学術研究論文集,第35号,pp.469-474,

2000.

2)古澤浩司・杉木直・青島縮次郎:地方都市における 住環境評価と住み替え意識の関連分析,環境情報科 学論文集,No.15,pp.149-154,2001.

3)谷口守:都市のコンパクト化と住宅需要マネジメン ト-住宅不動産市場の動向をふまえて-,日本不動 産学会誌,第15号,No.3,pp.33-38,2001.

図5 世帯主年齢別住み替え希望世帯率

参照

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