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菊池川における河道内氾濫原再生のための基礎研究 熊本大学

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Academic year: 2022

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(1)VII‑019. 土木学会西部支部研究発表会 (2014.3). 菊池川における河道内氾濫原再生のための基礎研究 熊本大学. 学生会員. ○恒﨑大輔,正会員. 皆川朋子. 1. はじめに 氾濫原は,ナマズやドジョウ等の魚類の産卵場や,仔 稚魚の成育場,避難場等の機能があり,生物にとって重 要な役割を果たしてきた. 1). .しかし,市街化や堤防設置. 菊池川. 等により氾濫原は激減し,これに伴い氾濫原水域依存種. 熊本県. の絶滅が危惧され,近年,氾濫原の再生は緊急に対処す べき重要な課題とされている. 2). .また,氾濫原環境を市. 街化した堤内地に再生させることは難しいことから,河 道内にワンドやたまり等の氾濫原水域を代替する環境. 図-1 菊池川流域と対象区間. (以下河道内氾濫原)を創出させることが一つの対策と. プ別分類した.河道内氾濫原は,砂州上,高水敷上,支. してあげられる.. 川合流部に存在するもの,人工構造物(堰下流,用排水. 菊池川流域には九州に生息するタナゴ類 6 種が生息し, ドジョウ等の氾濫原水域依存種が多く生息するが,近年, 3). 路合流部,水制)由来のものに区分された.また,それ ぞれ,主流路との接続状況で区分し,主流路と接続して. 圃場整備や河川改修等により氾濫原の減少 が報告され. いるもので止水域のものをワンド,流水域であるが主流. ており,氾濫原水域依存種の保全のため河道内氾濫原の. 路とは別に存在する細流を二次流路,そして主流路と接. 創出が必要であると考えられる.氾濫原環境の再生にお. 続していない孤立しているものをたまりとした.砂州上. いては,河川改修等の人為的改変による河道内氾濫原へ. のワンドに関しては,開口部が上流側に向いているもの. の影響を定量的に把握し現況を評価すること,さらに氾. を砂州頭ワンド,対岸側のものを砂州中腹ワンド,下流. 濫原水域依存種の生息場として機能する河道内氾濫原の. 側のものを砂州尻ワンドとした.また,1947,1959,2009. 形状等,基礎的な情報を整理しておくことが必要である.. 年の空中写真から各氾濫原水域の大きさ(ワンドと二次. そこで本研究では,菊池川における河道内氾濫原再生. 流路は長さと最大幅,たまりは長径と短径)を測定した.. のための基礎知見を得ることを目的に,ワンドやたまり. 3.2 環境調査. 等の河道内氾濫原を成因等から分類し,過去と比較する. 分類した河道内氾濫原の水生生物生息場としての機能. ことにより現況を評価し,さらに,河道内氾濫原の水生. を評価するため,2013 年 12 月に魚介類,水質,河床材. 生物調査を行い水生生物生息場としての機能を評価した.. 料,水深,形状,水際植生等の調査を行った.魚介類は. 2. 対象区間. 電気ショッカー,たも網,鋤簾を用い採捕した.種はそ 2. 熊本県菊池川(流路延長 71km,流域面積 996km )に. の場で同定・計数し,体長あるいは殻長を測定した.水. おける河口から 7~14km のセグメント 2‐2,14~38km. 質は採水を行い,冷暗所で実験室に持ち帰り SS,VSS,. のセグメント 2‐1 を研究対象区間とした(図-1) .. chl.a を測定し,現地で水質計(HORIBA U-5000G)を. 3. 方法. 用いて水温,pH,濁度,DO 等を測定した.また,河床. 3.1 河道内氾濫原のタイプ別分類. 材料,水深,水面幅,河岸傾斜等を測定し,水際植生は. 氾濫原水域の水温,濁り,栄養塩,底質環境等は,河 川からの距離や河川との連結性,氾濫原水域の大きさや 1). 形,水の供給源によって変化する .これを踏まえ,1947. 目視により 5%ピッチで記録した. 4. 結果及び考察 4.1 菊池川の環境変化. 年,1959 年,2009 年に撮影された 3 時期の菊池川の空中. 各年代の河道内氾濫原のタイプ別出現数を図‐2 に示. 写真を対象に,1959 年測量の地形図,安政 2 年の古図,. す.河道内氾濫原は計 19 タイプに分類され,1947 年は. 1963 年から 2012 年までの菊池川横断図(国土交通省菊. 154 箇所,1959 年は 175 箇所,2009 年は 142 箇所確認さ. 池川河川事務所測量)を適宜用いて河道内氾濫原をタイ. れた.1947 年から 2009 年までに砂州上のものは 64 箇所. ‑801‑.

(2) VII‑019. 土木学会西部支部研究発表会 (2014.3). 出現数. 減少し,支川合流部のものは 9 箇所減少していた.その 要因として,河床低下による攪乱頻度の低下や砂州の高 水敷化,植生遷移の進行,支川合流部の改修があげられ. 40 30 20 10 0. 1947. 砂 州 頭 ワ ン ド. た.1947 年から 1959 年にかけての河道内氾濫原の増加. 砂 州 中 腹 ワ ン ド. は,高水敷上のものや人工構造物由来のもののみであり,. 砂 州 尻 ワ ン ド. 高水敷上のものは 40 箇所増加,人工構造物由来のものは. 砂州ワンド. 21 箇所増加していた.砂州の高水敷化や河道の拡幅によ. 止 水. 流 水. てあげられた.図-3,図-4 に 1959 年,2009 年の両年に. 高 水 敷 二 次 流 路. 支 川 合 流 部 ワ ン ド. 高 水 敷 た ま り. 止 流 水 水. 主 流 路 接 続. る高水敷増加,水制や用排水路合流部の増加が要因とし. 高 水 敷 ワ ン ド. 砂 州 た ま り. 砂 州 二 次 流 路. 孤 立. 支 川 合 流 部 二 次 流 路. 支 川 合 流 部 た ま り. 止 流 水 水. 主 流 路 接 続. 孤 立. 主 流 路 接 続. 堰 ワ ン ド. 堰 二 次 流 路. 1959. 堰 た ま り. 止 流 水 水 孤 立. 出現した河道内氾濫原の大きさ(ワンドと二次流路は長. 主 流 路 接 続. 砂州. 2-2 では砂州たまり,高水敷ワンドが縮小傾向,砂州ワン. 高水敷. 用 排 水 路 二 次 流 路. 用 排 水 路 た ま り. 水 制 ワ ン ド. 水 制 た ま り. 止 流 水 水 孤 立. 堰下流. さと最大幅,たまりは長径と短径)を示す.セグメント. 用 排 水 路 ワ ン ド. 2009. 主 流 路 接 続. 孤 主 孤 立 流 立 路 接 続. 用排水路 合流部. 支川合流部. 水制. 人工構造物. 図-2 各年代の河道内氾濫原のタイプ別出現数 長さ(m). ドは拡大傾向にあり,セグメント 2-1 では砂州上,支川 合流部のものが縮小傾向,高水敷上のものが拡大傾向に. 1959. 100. 2009. 50 0 最 大 幅. 長 さ. あった.砂州の形状別出現数及び河道内氾濫原の出現度. 砂州頭 ワンド. 合を図-5 に示す.いずれの砂州の形状についても減少傾. 最 大 幅. 長 さ. 最 大 幅. 長 さ. 砂州中腹 ワンド. 長 径. 最 大 幅. 長 さ. 長 径. 短 径. 最 大 幅. 長 さ. 砂州尻 ワンド. 砂州ワンド. 向にあるが,特に複列砂州については消滅しており,河. 短 径. 砂州 たまり. 高水敷 ワンド. 高水敷 たまり. 水制 ワンド 水制. 床低下等の河道横断形状の変化が要因として考えられた.. 砂州. 4.2 河道内氾濫原の環境と水生生物生息状況. 高水敷. 人工構造物. 図-3 セグメント 2-2 の河道内氾濫原の大きさ 長さ(m). 調査の結果,氾濫原水域依存種のタナゴ,ツチフキ, ドジョウ,メダカを含む魚類 8 種が確認された.二枚貝. 1959. 100. 2009. 50 0 長 さ. はイシガイ類のヌマガイが確認された.氾濫原水域依存. 長 さ. 最 大 幅. 長 さ. 最 大 幅. 最 大 幅. 長 さ. 最 大 幅. 長 径. 短 径. 長 さ. 長 径. 最 大 幅. 短 径. 長 さ. 最 大 幅. 長 さ. 最 大 幅. 長 さ. 最 大 幅. 砂州頭 砂州中腹 砂州尻 ワンド ワンド ワンド. 種が確認された場所は砂州尻ワンド,高水敷たまり等で. 砂州ワンド. 砂州 砂州 二次流路 たまり. あり,水域の面積や水深が大きく,河床材料のばらつき. 高水敷 ワンド. 高水敷 たまり. 支川 用排水路 水制 合流部 ワンド ワンド ワンド 用排水路 合流部. が大きいほど,確認魚種が多い傾向がみられた. 砂州. 5. まとめと今後の課題 菊池川の河道内氾濫原を分類した結果, 62 年間で砂州,. 高水敷. 支川 合流部. 水制. 人工構造物. 図-4 セグメント 2-1 の河道内氾濫原の大きさ. 10. 複列砂州. た,環境調査の結果,河道内氾濫原には環境省によって 絶滅危惧種に選定されているタナゴ類やツチフキ,メダ. 単列砂州. ポイント バー. ① セグメント 2-2. カが確認され,氾濫原水域依存種の生息場として機能し. 5. 複列砂州. 単列砂州. 2009. 1959. 1947. 0 2009. 2009. 1959. 1947. 2009. 1959. 1947. 2009. 1947. 大きく変わっていることが定量的に明らかとなった.ま. 1959. 0. 1959. 5. 15. 1947. 10. 2009. れ 3.7 倍,2.5 倍に増加していたことから,氾濫原環境が. 15. 1959. 出現数. 40%に減少し,高水敷上,人工構造物上のものはそれぞ. 河道内氾濫原が出現していない砂州数 河道内氾濫原が出現した砂州数. 20. 1947. 20. 出現数. 支川合流部上の河道内氾濫原はそれぞれ 1947 年の 42%,. 河道内氾濫原が出現していない砂州数 河道内氾濫原が出現した砂州数. ポイント バー. ② セグメント 2-1. 図-5 砂州の形状別出現数及び河道内氾濫原の出現度合. ていた.今後はさらに調査地点を増やし,河道内氾濫原. 参考文献. タイプ別に機能評価を行い,また,人為的な流量や土砂. 1) 水野信彦,川那部浩哉:河川生態学,講談社,. 動態の改変状況と河道の応答を考慮しながら,氾濫原再 生のあり方を検討していく予定である.. pp.193-198,2013. 2) 鷲谷いづみ:氾濫原湿地の喪失と再生-水田を湿地. 謝辞:国土交通省菊池川河川事務所の方々には空中写真. として活かす取り組み,国際環境研究協会「地球環. や測量図等多くの資料を提供して頂いた.心より謝意を. 境」12(1) ,pp.3-6,2007.. 表す.本研究は,国土交通省河川砂防技術研究開発地域. 3) 国土交通省九州地方整備局:菊池川水系河川整備計. 課題分野(河川生態)の一貫として行われたものである.. ‑802‑. 画(案) ,2011..

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