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首都圏鉄道全線の復旧時における

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中央大学大学院理工学研究科情報工学専攻 修士論文

首都圏鉄道全線の復旧時における 滞留を回避する帰宅経路実現モデル

A Study to Find an Order to Reopen Train Services with Little Congestion for Home-Coming Commuters in Tokyo Metropolitan Railway Network After Disaster

松本 徹朗

Tetsuro MATSUMOTO 学籍番号 11N8100034H 指導教員 田口 東 教授

2013 年 3 月

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i

概要

2011 3 11日に太平洋三陸沖を震源として発生した東北地方太平洋沖地震により,

首都圏では多くの路線で運転が休止し,運転再開に向けた点検・復旧作業などが度重なる 余震の中で進められた.また震災発生が平日の日中であったために,多くの通勤・通学者 がオフィスや学校にいる状況で鉄道という重要な公共交通機関を失い,通勤・通学客の帰 宅の足を奪うこととなった.

地震発生から約6時間後の2040分ごろ,東京メトロ銀座線と半蔵門線で運転が再開 されたが,運転再開から約 1 時間後,利用者が渋谷駅に殺到し,安全が確保できなくなっ てしまうほどの混雑に見舞われたため,再び運転を見合わせることとなった.これは,最 終目的地までの経路確保の見通しのないままに一部区間を運転したことによって,利用者 が途中駅に集中,滞留するという事態を引き起こしたことが原因である.そこで本研究で は,利用者が途中駅での混雑の影響でその駅に滞留することを回避して帰宅するためには どのような順序で路線を復旧させればよいか求めることを目的とする.

まず,全国JR 時刻表と私鉄時刻表をもとに首都圏鉄道の時空間ネットワークを構築し,

大都市交通センサスを用いて平常時の旅客流動を再現する.そして,再現した旅客流動の データを用いて,首都圏鉄道の全線が運転停止となった際の帰宅 OD を作成する.次に,

利用者が途中駅での混雑の影響でその駅に滞留することを回避する帰宅経路を再現する問 題を利用者均衡流を計算する問題として定式化し,Frank-Wolfe 法を用いて問題を解く.

この問題の解を用いて,先の駅が混雑しているために次の電車を待つという行動をとった 利用者が多くいる駅を時間経過とともに調査する.さらに,始発から8:00までの間に上記 のような駅の割合が高い路線に対して,7:00 まで運転を停止した場合のネットワークで同 じ問題を解き,運転を停止した際の利用者への影響を考察し,運転停止の有効性を検証す る.

キーワード:公共交通機関,鉄道ネットワーク,大規模輸送障害,帰宅困難者,時空間ネ ットワーク,ネットワークフロー

(3)

ii

目次

第 1 章 序論 ... 1

1.1 研究背景... 1

1.2 研究目的... 3

1.3 本論文の構成 ... 4

第 2 章 首都圏鉄道の時空間ネットワーク ... 5

2.1 時空間ネットワーク ... 5

2.1.1 駅ノード ... 6

2.1.2 走行リンク ... 7

2.1.3 待ちリンク ... 8

2.1.4 待ち合わせリンク ... 8

2.1.5 乗換リンク ... 9

2.1.5.1 同一視駅間乗換リンク ... 10

2.1.5.2 乗換可能駅間乗換リンク ... 12

2.2 構築した時空間ネットワーク ... 13

第 3 章 全線運転停止後の帰宅 OD ... 16

3.1 通勤利用者移動データ ... 16

3.1.1 大都市交通センサスデータ ... 16

3.1.2 乗車時刻の決定 ... 16

3.1.3 乗車時刻の平均化 ... 18

3.2 最短経路問題を用いた旅客流動の再現 ... 21

3.2.1 Dijkstra 法 ... 21

3.2.2 旅客流動の再現 ... 22

3.3 全線運転停止後の帰宅 OD の作成 ... 23

第 4 章 滞留を回避する帰宅経路実現モデル ... 27

4.1 ソース,シンクの付加 ... 27

4.2 リンクの容量 ... 28

4.3 リンクコスト関数 ... 30

4.4 利用者均衡配分 ... 31

4.4.1 利用者均衡モデル ... 31

4.4.2 利用者均衡の定式化 ... 31

(4)

iii

4.4.3 利用者均衡流を計算するための問題 ... 33

第 5 章 Frank-Wolfe 法を用いた解法 ... 35

5.1 Frank-Wolfe 法 ... 35

5.2 シミュレーション結果 ... 37

5.2.1 シミュレーションの概要 ... 37

5.2.2 シミュレーション結果 ... 38

第 6 章 結論 ... 50

6.1 まとめ... 50

6.2 今後の課題 ... 51

謝辞... 52

参考文献 ... 53

付録 鉄道定期券・普通券等利用者調査 ... 54

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1

第1章 序論

1.1 研究背景

20113111446分,日本の太平洋三陸沖を震源として発生した東北地方太平 洋沖地震によって,東北地方から関東地方北部の太平洋側を中心に甚大な被害をもたらし た.この地震は地震の規模を示すマグニチュードが9.0で国内観測史上最大規模の地震であ り,世界的に見ても1900年以降に発生した地震のなかで4番目の巨大地震であった.

首都圏においても図1.1に示すように広い範囲で震度5以上の強い揺れが観測され,沿岸 付近の路線では津波襲来に備える態勢が取られた.また,多くの路線で運転が休止し,運 転再開に向けた点検・復旧作業等が度重なる余震の中で進められた[8].また震災発生が平 日の日中であったために,多くの通勤・通学者がオフィスや学校にいる状況で鉄道という 重要な公共交通機関を失い,通勤・通学者の帰宅の足を奪うこととなった.

首都圏で日常的に電車を利用している通勤・通学客は約 800 万人にのぼる.その利用者 のうち,自宅の最寄り駅からオフィスや学校の最寄り駅までの距離が 20km 以上の利用者 は図1.2に示すように約70% を占める.そのため,ほとんどの鉄道が運転停止となったこ とで,多くの利用者は帰宅困難者となってしまった.

1.1:首都圏の震度分布[8]

(6)

2

1.2:通勤距離と利用者数の関係

地震発生から約6時間後の2040分ごろ,東京メトロ銀座線と半蔵門線で運転が再開 された.しかし運転再開から約 1 時間後,利用者が渋谷駅に殺到し,安全が確保できなく なってしまうほどの混雑に見舞われたため,再び運転を見合わせることとなった.その約1 時間後に運転を再開したが,1時間程度で再び渋谷駅のホーム混雑のために運転を見合わせ ることとなった.図1.3に東京メトロ銀座線の地震発生直後から翌日1時までの運転状況を 示す.

1.3:東京メトロ銀座線の運転状況

運転再開後に再び運転見合わせとなった理由として,東京メトロ銀座線の終着駅である 渋谷駅から郊外へ向かう路線である JR 埼京線や東急東横線などがまだ運転を再開してい

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3

なかったために,東京メトロ銀座線で渋谷駅へ出てきた利用者が先へ進むことができず,

渋谷駅に滞留してしまったためだと考えられる.このように,利用者の最終目的地までの 経路確保の見通しがないままに一部区間を運転したことによって,利用者が途中駅に集中,

滞留するという事態を引き起こした.また,運転再開後に再び運転見合わせを行なったこ とで情報が錯綜して,利用者に無用な混乱を招くこととなった.

首都圏における鉄道ネットワークは,世界的に見ても非常に緻密な作りとなっている.

特に都心部では,他路線への乗換や相互直通運転が多く存在するため,非常に複雑に絡み 合ったネットワークとなっている.そのため,首都圏鉄道の全線が運転停止となった際に 一部の路線だけ運転を再開させたとしても,首都圏鉄道のネットワークとしての機能が失 われてしまっているため,円滑な移動ができず鉄道事業者と鉄道利用者に無用な混乱を招 いてしまう.

今後数年以内に首都直下型地震や東海地震の発生確率が高くなっていることもあり,首 都圏鉄道の全線が運転停止となった際,首都圏鉄道がネットワークとしての機能を維持し て円滑な移動ができるように,鉄道事業者間が連携して運転を再開させる必要がある.

1.2 研究目的

本研究の目的は,利用者が途中駅での混雑の影響でその駅に滞留することを回避して帰 宅するためにはどのような順序で路線を復旧させればよいか求めることである.ここで,

当日の運転再開は見合わせ,翌日の始発から時刻表通りに運転を再開すると仮定する.ま た,利用者は先の駅が混雑しているために,電車が動いていても出発駅に留まり続けると いった行動を見ることができる.

そのために,まず全国JR時刻表と私鉄時刻表をもとに首都圏鉄道の時空間ネットワーク を構築し,大都市交通センサスを用いて平常時の旅客流動を再現する.そして,再現した 旅客流動のデータを用いて,全線が運転停止となった際の帰宅 OD を作成する.次に,利 用者が途中駅での混雑の影響でその駅に滞留することを回避する帰宅経路を実現する問題 を利用者均衡流を計算する問題として定式化する.ただし,すべての路線は運転停止とな った日の運転再開は行わず,翌日の始発から時刻表通りに運行を再開すると仮定する.そ して,この問題をFrank-Wolfe 法を用いて解き,その解を用いて各駅で待っている利用者 数が,時間が経過するにつれてどう変化するのか,また待っている利用者が多いにもかか わらず,その駅から出発した電車があまり混んでいないような状態がどの駅でどの時刻に 発生しているのかを調査し,全利用者が円滑に帰宅するためにはどの駅を封鎖して利用者 を待機させるべきなのかを調べる.さらに,利用者を待機させるために駅を封鎖しても,

封鎖していない駅へ利用者が移動すると考えられるため,駅単位での封鎖は行わずに路線 単位で封鎖することを考える.具体的には,始発から8:00までの間に上記のような状態に

(8)

4

なった駅の割合が高い路線に対して,7:00 まで運転を停止した場合のネットワークで同じ 問題を解き,運転を停止した際の利用者への影響を考察し,運転停止の有効性を検証する.

1.3 本論文の構成

2章では全国JR時刻表と私鉄時刻表をもとに時空間ネットワークを構築する.第3 では,構築した時空間ネットワーク上で大都市交通センサスのデータに則して鉄道利用者 を移動させることにより,旅客流動を再現する.そして,再現した旅客流動をもとに全線 運転停止後の帰宅ODを作成する.第 4章では,利用者が途中駅での混雑の影響でその駅 に滞留することを回避する帰宅経路を実現する問題を利用者均衡流の問題として定式化す る.第5章は,第4章で定式化した利用者均衡流の問題をFrank-Wolfe法を用いて解く.

この問題の解を用いて,駅で待っている利用者数が,時間が経過するにつれてどう変化す るのか,また待っている利用者が多いにもかかわらず,その駅から出発した電車があまり 混んでいないような状態がどの駅でどの時刻に発生しているのかを調査する.さらに,始 発から8:00までの間に上記のような状態になった駅の割合が高い路線に対して,7:00まで 運転を停止した場合のネットワークで同じ問題を解き,運転を停止した際の利用者への影 響を考察する.最後に,第6章で本論文をまとめる.

(9)

5

第2章 首都圏鉄道の時空間ネットワーク

2.1 時空間ネットワーク

鉄道ネットワークとは,駅をノードとし,駅間にリンクを張ったネットワークのことで ある.鉄道利用者の旅客流動を再現するには,駅間の移動のような空間的変化だけでなく,

移動に伴って進行する時間的変化も考慮しなければならない.そのため,鉄道ネットワー ク上で動的にネットワークフロー問題を解かなければならないが,本研究で扱う鉄道ネッ トワークのような大規模なネットワークに対して,動的にネットワークフロー問題を解く ことは非常に困難である.

鉄道は時刻表に従って運行するため,鉄道ネットワークの時間的変化が確定的であると いう特徴を持つ.この特徴を利用して,鉄道ネットワークを時間軸方向に拡張することに よって,動的なネットワークを静的なネットワークとして構築することができる.この構 築したネットワークを時空間ネットワークと呼ぶ[3],[4],[5].

本研究では,2010年の全国JR時刻表と私鉄時刻表の2つの電子時刻表をもとに,2005 年に実施された第10回大都市交通センサス[2]の対象範囲である132路線1899駅で時空間 ネットワークを構築する.図2.1に対象範囲を示す.参考までに,図2.1(b)に都心部を拡大 したものを示す.図中の緑の線は山手線を示している.

2.1:対象範囲

(a) 対象範囲の鉄道網 (b)都心部拡大

(10)

6

鉄道利用者の利用開始から終了までの行動を以下のように分類することができる.

・ 電車に乗って次の駅へ移動する.

・ 駅で次の電車を待つ.

・ 駅で待ち合わせを行なう電車に乗り換える.

・ 駅で別の路線に乗り換える.

ここで,すべての駅に停車する各駅停車などの電車(以下,緩行電車とする)が急行などの通 過する駅がある電車(以下,優等電車とする)を待って発車することを待ち合わせと呼ぶ.こ れらの行動をネットワークで表すために,以下のノードとリンクを定義する.

・ 駅ノード :各駅における各電車の停車

・ 走行リンク :電車に乗って次の駅へ移動する行動

・ 待ちリンク :駅で次の電車を待つ行動

・ 待ち合わせリンク :駅で待ち合わせを行なう電車に乗り換える行動

・ 乗換リンク :駅で別の路線に乗り換える行動

2.1.1 駅ノード

駅ノードは,各駅における各電車の停車を表すものであり,以下の要素に分けられる.

・ 着ノード :各駅における各電車の到着

・ 発ノード :各駅における各電車の発車

・ 着発間リンク :駅での電車の停車

2.2に駅ノードのイメージを示す.

2.2:駅ノード

発ノード

着発間リンク 駅ノード 着ノード

(11)

7

電子時刻表には,電車が到着する時刻(以下,着時刻とする)と電車が発車する時刻(以下,

発時刻とする)が記載されている駅と,発時刻しか記載されていない駅がある.後者の駅で は,発時刻は記載された着時刻と同じであるとみなして駅ノードを作成する.また,電子 時刻表に記載されている着時刻と発時刻の単位は [分] であるため,ネットワークの基本単 位は [分] となっている.

2.1.2 走行リンク

走行リンクは,電車に乗って次の駅へ移動する行動を表すものであり,移動元の駅の発 ノードと移動先の駅の着ノードを繋ぐリンクである.走行リンクのイメージを図2.3に示す.

2.3:走行リンク

各走行リンクは移動時間,列車種別,定員の情報を持つ.列車種別は,2005年に実施さ れた第10回大都市交通センサスを参考に,緩行電車,無料優等電車,有料優等電車,新幹 線に分類する.定員は車両定員に編成数を掛けた値とし,路線,列車種別ごとに値を定義 する.混雑率が100 [%] のとき,乗車人数は定員と等しくなる.図2.4に混雑率の目安を 示す[3],[5].(a)~(e)はそれぞれ以下のような状況を表している.

(a)座席につくか,吊革につかまるか,ドア付近の柱につかまることができる.

(b)肩が触れ合う程度で,新聞は楽に読める.

(c)体が触れ合うが,新聞は読める.

(d)体が触れ合い相当圧迫感があるが,週刊誌程度なら何とか読める.

(e)電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きができず,手も動かせない.

2.4:混雑率の目安

(a)100% (b)150% (c)180% (d)200% (e)250%

走行リンク

(12)

8

2.1.3 待ちリンク

待ちリンクは,駅で次の電車を待つ行動を表すものであり,各発ノードから次にその駅 を発車する同一路線の電車の発ノードへのリンクである.図2.5に待ちリンクのイメージを 示す.

2.5:待ちリンク

2.1.4 待ち合わせリンク

待ち合わせリンクは,駅で待ち合わせを行なう電車に乗り換える行動を表すものであり,

先に到着した電車の着ノードから,次に到着し,先に発車する電車の発ノードへのリンク である.図2.6に待ち合わせリンクのイメージを示す.図2.7(a)の紫の線は,待ち合わせに よる電車1から電車2への乗換の様子,図2.7(b)の紫の線は,待ち合わせによる電車2 ら電車1への乗換の様子を表している.

待ちリンク 時間

電車3

電車2

電車 1

(13)

9

2.6:待ち合わせリンク

2.7:待ち合わせによる乗換

2.1.5 乗換リンク

乗換リンクは,駅で別の路線へ乗り換える行動を表すものである.図2.8のように,路線

1と路線2B駅とB’駅で乗換が可能であるとすると,乗換リンクはB駅の着ノードか

ら,B’駅で乗換が間に合う最も早い電車の発ノードへのリンクである.図2.9に乗換リン クのイメージを示す.

電車2 電車1

電車2 電車1

(a) 電車1 から電車2 への乗換(b)電車2 から電車1 への乗換 時間 電車2

電車 1 待ち合わせリンク 緩行電車

優等電車 電車2 電車 1

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10

2.8:乗換可能な駅

2.9:乗換リンク

乗換リンクは,乗換に時間がかからない駅対(以下,同一駅対とする)と時間がかかる駅対 (以下,乗換可能駅対とする)でリンクの種類が異なる.同一駅対のリンクを同一視駅間乗換 リンク,乗換可能駅対のリンクを乗換可能駅間乗換リンクとする.

2.1.5.1 同一視駅間乗換リンク

同一視駅間乗換リンクは同一駅対の乗換リンクであり,すべての乗換が同一ホーム内で できる駅同士を繋ぐリンクである.同一駅対では乗換時間を0 [分] として考えるので,乗 換元の着ノードの時刻より遅い最初の乗換先の発ノードと乗換元の着ノードをリンクで繋

A

C

B D B’駅

E

路線 1 路線 2

時間

電車1b

電車1a

電車2b

電車2a

乗換リンク

(15)

11

ぐ.図 2.10 のような相互直通運行を同一ホームで行なう駅は同一駅対である.また,図

2.11(b)の駅B,B’,C,C’が図2.11(a)のようなホームの構造をしているとき,図2.11(b)

の駅Bと駅B’の駅対は同一駅対であるが,駅Cと駅C’の駅対は同一駅対ではない.利

用者が図2.11(c)の緑の矢印のような行動をする場合,駅Cに到着した際は図2.11(a)の上の

ホームへ降りるが,駅C’から出発するには図2.11(a)の下のホームへ移動しなければなら ない.そのため,駅Cと駅C’の駅対は同一駅対ではなく乗換可能駅対とする.

2.10:同一ホームでの相互直通運行

2.11:並走する路線の同一駅対と乗換駅対

路線 a 路線 b

(16)

12 2.1.5.2 乗換可能駅間乗換リンク

乗換可能駅間乗換リンクは乗換可能駅対の乗換リンクであり,違うホームへの乗換が 1 つでもある駅同士を繋ぐリンクである.乗換可能駅対では乗換にかかる時間があるので,

乗換元の着ノードに乗換時間を足した時刻よりも遅い最初の乗換先の発ノードと乗換元の 着ノードをリンクで繋ぐ.乗換時間は,2000年に実施された第9回大都市交通センサス[1]

と,2005 年に実施された第 10 回大都市交通センサスの鉄道ターミナル乗換施設実態調査 から抽出する.鉄道ターミナル乗換実態調査には,乗換時間や施設内容(水平・垂直方向の 移動距離,階段の段数など)が収録されており,乗換時間はピーク時・オフピーク時に分か れている.これらの乗換時間は,実際に測定者が旅客の流れに乗り,ストップウォッチに より計測した時間である.乗り換える駅が同じ場合でも乗換の際に使用した施設や上下線 などが異なれば,別データとして収録されている.そのため,1つの駅対に複数のデータが 収録されている場合もある.交通量配分において,鉄道利用者が乗換で利用する駅構造の 経路まで推定することは困難であるため,複数データがある場合はその平均値を用いる.

また,乗換の方向(A駅からB駅への乗換と,B駅からA駅への乗換)は区別しない.

鉄道ターミナル乗換施設実態調査には,オフピーク時の乗換時間しか収録されていない 駅対がある.そのようなデータについては,オフピーク時の乗換時間からピーク時の乗換 時間を推計する.図2.12にピーク時とオフピーク時,両方の乗換時間がある駅対の散布図 を示す.このデータを用いて,ピーク時の乗換時間をtp,オフピーク時の乗換時間をtop して線形推定を行なうと,以下の式を得る.

op

p t

t 33.391.056 (2.1)

(2.1)式を用いてオフピーク時の乗換時間からピーク時の乗換時間を推計する.

(17)

13

2.12:乗換時間

ピーク時,オフピーク時両方の乗換時間のデータがない駅対に関しては,乗換駅s,tの座

(xs,ys)(xt,yt)から駅間距離d [m]

2

2 ( )

)

(xs xt ys yt

d (2.2)

により求め,歩行速度を55 [m/分](=3.3 [km/時]),改札や階段を通過するためにかかる時間

の合計を2 [分] として以下の (2.3)式で乗換時間を推計する.

乗換所要時間 [分] 2 55

d [分] (2.3)

2.2 構築した時空間ネットワーク

構築した時空間ネットワークを図2.13に,ネットワークの規模を表2.1に示す.対象と する電車は平日に運行する電車としている.図2.14に待ち合わせリンク,図2.15に乗換可 能駅間乗換リンク,図2.16に新幹線の走行リンクを拡大したものを示す.図2.14,図2.15,

2.16の橙色のリンクが待ちリンク,図2.14,図2.15の青色のリンクは緩行電車の走行

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14

リンク,図2.14の水色のリンクは優等電車の走行リンク,図2.16の赤色のリンクは新幹線 の走行リンク,図2.14,図2.15,図2.16の黄色のリンクは着発間リンク,図2.14の黄緑 色のリンクは待ち合わせリンク,図2.15の水色のリンクは乗換可能駅間乗換リンクである.

同一駅間乗換リンクは乗換可能駅間乗換リンクの乗換時間が0 [分] のものである.

2.13:時空間ネットワーク

2.1:時空間ネットワークの規模

ノード 1,085,212

リンク 3,511,062

走行リンク 540,975 着発間リンク 509,890 待ちリンク 573,474 待ち合わせリンク 15,603 同一視駅間乗換リンク 513,380 乗換可能駅間乗換リンク 1,357,740

時間

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15

2.14:待ち合わせリンクの拡大図

2.15:乗換可能駅間乗換リンクの拡大図

2.16:新幹線の走行リンクの拡大図

(20)

16

第3章 全線運転停止後の帰宅 OD

3.1 通勤利用者移動データ

3.1.1 大都市交通センサスデータ

大都市交通センサスは,首都圏,中京圏,及び近畿圏の三大都市圏における鉄道・バス 等の大量公共輸送機関について,鉄道ならびにバス・路面電車の利用者に対するアンケー ト調査や駅・停留所の乗降状況等を調査することにより,その利用実態を詳細に把握し,

三大都市圏における公共交通施策の検討に資する基礎資料を提供することを目的として,

昭和35年以来5年ごとに実施しているものである[8].本研究では,2005年に実施された 10回大都市交通センサスのうち,首都圏の鉄道定期券・普通券等利用者調査,鉄道駅名 コード,鉄道路線名コードの 3 つのデータを旅客流動の再現のために使用する.鉄道定期 券・普通券等利用者調査の調査期間は20051115日から17日である.全体で約800 万人にのぼる鉄道定期券利用者のうち,約14万人がサンプルとして選ばれている.鉄道定 期券・普通券等利用者調査のデータ・レイアウトと収録項目を付録に掲載する.

鉄道定期券・普通券等利用者調査には,首都圏の鉄道利用者を対象に,年齢,性別,居 住地,定期券保有状況,最大 2 回の鉄道利用状況,帰宅時の鉄道利用状況のデータとその 利用者のデータが何人分を代表するかを表す拡大率のデータがある.以降,これらのデー タを総称して,利用者データとする.本研究では,利用者データから表3.1の項目を抽出し,

旅客流動の再現に利用する.

ただし,乗車駅や降車駅が不明の場合や調査対象圏域外の駅の場合,鉄道利用の間にバ スを利用している場合はそのデータを持つ利用者データを除外する.

3.1.2 乗車時刻の決定

本研究で行なう旅客流動の再現とは,大都市交通センサスデータに記載されている通り に鉄道利用者を移動させるものである.この方法で利用者の移動を再現することによって,

首都圏の鉄道利用状況を詳細に把握することができる.各利用者データに最大 3 つの電車 利用状況が収録されているので,1つの利用者データから最大 3つの電車利用のデータ(以 下,電車利用データとする)を作成する.しかし,定期券・普通券等利用者調査には乗車時 刻や降車時刻などが不明となっているデータや,乗車時刻よりも降車時刻の方が遅くなっ ているデータが存在する.

(21)

17

3.1:抽出したデータ

1回目の鉄道利用状況

出発地の出発時刻

出発地から鉄道駅までの合計所要時間 乗車時刻

利用経路数 乗車駅 降車駅 列車種別 降車時刻

2回目の鉄道利用状況

乗車時刻 利用経路数

乗車駅 降車駅 列車種別 降車時刻

帰宅時の鉄道利用状況

乗車駅 降車駅 乗車時刻 降車時刻 拡大率

このような誤りがある電車利用データを除外するため,図3.1や図3.2のような条件で電 車利用データをふるいにかける.図3.11回目の電車利用状況,図3.22回目の電車利 用状況と帰宅の電車利用状況の条件分岐である.ここで,鉄道駅に到着してから改札など を経由して乗車ホームに到着するまでの時間を2 [分] とする.図3.1と図3.2の青色のセ ルは出力されるデータ,赤色のセルは無効となるデータを表している.この操作を行なっ た結果,電車利用データ数が285,785個から265,927個に減り,19,858個の電車利用デー タが除外された.以降除外されなかった電車利用データを有効利用者データとする.

(22)

18

3.1:1回目の電車利用状況における乗車時刻の出力

3.2:2回目及び帰宅の電車利用状況における乗車時刻の出力

3.1.3 乗車時刻の平均化

前述したように,大都市交通センサスはアンケート形式で実施されている.したがって,

調査対象者の回答に誤りがあった場合,それが明らかな誤りであれば3.1.2項によって除外 することができるが,そうでない場合は判断することは難しい.特に,時刻に関しては分 単位で記入されているものの,分単位で生活時間を管理している人は多くないであろうこ とから,すべての対象者が最小単位まで正確に記入しているとは言い切れない.

ない ある

ある ない

0 or ある ない

0 or

ある ない

0 or

(23)

19

有効利用者データにおける乗車時刻別の移動人数を図3.3に示す.このグラフでは,各時 間の0分,5分,10分というように,5分刻みで高い山ができている.すべての電車が常 5 分刻みで運行してはいないので,アンケート回答者の人為的な問題があると考えられ る.かなりの利用者は,「何時何分の電車に乗る」という意識ではなく,「大体,何時何分 ごろに到着する電車に乗る」という意識で回答していると考えられる.また,時刻を正確 に記憶している人であっても,アンケートに記入する際に [分] 単位で正確に記入せず,0 分,5分,10分といった5分刻み,あるいは10分刻みで表現する人が多いと考えられる.

以上のことを考慮して,有効利用者データの乗車時刻を前後 4 分ずつに均等に振り分ける 操作を行なうと,図3.4のような乗車時刻分布を得られる.図3.4は図3.3に比べて5分刻 みの山がなくなり,自然な分布になることが分かる.

3.3:乗車時刻分布(基データ)

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20

3.4:乗車時刻分布(修正後)

そこで,各有効利用者データの乗車時刻を1 分ずつ,前後4分間までずらしデータを新 たに作成する.具体的には,1つの有効利用者データから9つのデータを新たに作成する.

このとき,各データの拡大率を9分の1にすることで総人数を変えずに乗車時刻のみを平 均化することができる.以降,新たに作成したデータを修正後データとする.

例えば,ある有効利用者データの乗車時刻が0648(648分),拡大率が00090(90人分) だったとする.このデータに対する修正後データの乗車時刻と拡大率を表3.2に示す.

3.2:修正後データの乗車時刻と拡大率

乗車時刻 拡大率 0644 00010 0645 00010 0646 00010 0647 00010 0648 00010 0649 00010 0650 00010 0651 00010 0652 00010

(25)

21

3.2 最短経路問題を用いた旅客流動の再現

3.1.3 項で作成した修正後データを出発地目的地(Origin Destination, OD)交通需要とし

て,第 2 章で作成した首都圏鉄道の時空間ネットワークを用いて旅客流動を再現する.た だし,利用者は乗車駅から降車駅まで最短経路で移動すると仮定する.そこで,利用者の 最短経路を求めるために,各辺の長さを所要時間としたDijkstra法を用いる.

3.2.1 Dijkstra 法

本項では,ネットワーク上のある 2 つのノード間の最短経路を探索する方法である

Dijkstra法について[7]をもとに説明する.

Dijkstra 法は,起点ノードにより近いノードから順に,全方向に向かって最短経路を列

挙していく方法であり,1 つの起点からすべての終点までの最短経路とそのコスト(以降,

最短経路コストとする)を同時に求める方法である.解法の各段階ですべてのノードは,あ る起点oから最短経路と最短経路コストが決定したノードの集合Kか,最短経路が決定し ていないK のいずれかに含まれる.起点oを選んだときに,起点を中心にして外側に1 ずつ最短経路が決定したノードが増えていき,最短経路が決定したノードはK からKに移 される.最終的に,起点oから到達可能なすべてのノードについて,起点oからの最短経路 を求めることができる.

Dijkstra法の手順を以下に示す.ただし,Fiをノードiの先行ポインタ,timをノードi

らノードmへのリンクのリンクコストとする.

ステップ 1. すべてのノードnNに対して,部分的最小コストcn (または十分に 大きな値),Fn 0nKとする.起点をoとし,co 0ioとす る.ノードoを集合Kに移す(oKoK).

ステップ 2. ノ ー ドiを 始 点 と す る す べ て の リ ン ク の 終 点 ノ ー ドm に 対 し て ,

im i

m c t

c ならばcm ci timFm iとする.

ステップ 3. pK に対して, p

K

j p c

c min を満たすノード jを探す.

ステップ 4. pK に対して,cp 以外のすべてのノードがKに移されれば終了 する.そうでなければ,i jとしてステップ 2へ戻る.

起点oから到達可能なすべてのノードnoからの最短経路は,先行ポインタを起点に到 達するまで順にたどっていき,それを逆順に列挙することで求めることができる.

(26)

22

3.2.2 旅客流動の再現

前述したように,3.1.3項で作成した修正後データをOD交通需要として,第2章で作成 した首都圏鉄道の時空間ネットワーク上を用いて旅客流動を再現する.

OD交通需要の各データは以下の情報を持っている.

(1) 乗車時刻:on_time

(2) 利用経路数:route_num

(3) 乗車駅:on_sti (i1,2,,route_num)

(4) 降車駅:off _sti(i1,2,,route_num)

(5) 利用する電車の列車種別(各駅停車,急行等):tr_typei(i 1,2,,route_num)

(6) 拡大率:mag

(1),(2),(6)にはデータの値が入り,(3),(4)には駅コードが入る.また,(5)には利用する 電車が緩行電車ならば1,無料の優等電車なら2,乗車券の他に特急券等が必要な有料の優 等電車ならば3,新幹線ならば4が入る.これらの情報をもとに旅客流動を再現していく.

旅客流動を再現するためのアルゴリズムを以下に示す.ここで,リンクiを通る人数を

useriとする.

ステップ 1. すべてのリンクxに対してuserx 0とする.

ステップ 2. i 1とする.on_stion_time以降の最初の発ノードを出発ノードO

とする.

ステップ 3. off _stiの 着 ノ ー ド を 到 着 ノ ー ドDと し て ,OD間 の 最 短 経 路 を

Dijkstra法で求める.ただし,利用できる電車はtr_typei以下の列車種

別の電車に限る.

ステップ 4. 求 め た 最 短 経 路 に 含 ま れ る す べ て の リ ン ク y に 対 し , mag

user

usery y とする.

ステップ 5. もしiroute_numならば,この利用者の移動は終了する.そうでなけ れば,DOとし,ii1としてステップ 3へ戻る.

このアルゴリズムにより,各利用者の詳細な電車利用データを得ることができる.以降,

各利用者の詳細な電車利用データを利用者トリップデータとする.

大都市交通センサスの回答通りの旅行時間を横軸に,最短経路を用いて旅客流動を再現 するアルゴリズムで得られた旅行時間を縦軸にとり,利用者数が 1,000 人以上の組み合わ せを表示したものを図3.5に示す.図3.5の各点は,利用者数が多いほど赤く,尐ないほど 青く表示している.大都市交通センサスの乗車時刻,降車時刻の回答は3.1.3項でも説明し

(27)

23

た通り,きりのいい時刻の回答が多いために 5 分ごとに縦長の線が現れている.また,利 用者数が多いことを表している暖色系の点が45度線に沿って現れていることから,最短経 路を用いて鉄道利用者の旅客流動を再現できていることがわかる.

3.5:旅行時間の比較

3.3 全線運転停止後の帰宅 OD の作成

3.2節で求めた利用者トリップデータを用いて,全線運転停止時に各利用者がどの駅にい るのかを特定し,その駅を帰宅ODの出発駅とする.帰宅ODの到着駅については,利用 者が最後の電車利用で自宅の最寄り駅へ行くとは限らないので,修正後データの 1 回目の 鉄道利用の最初の乗車駅を帰宅ODの到着駅とする.

利用者トリップデータでは,各利用者の電車利用データが最大 3 つに分かれ,さらに出 発時間の平均化を行なったために各電車利用データが 9 つのデータに分かれている.そこ で,このデータを利用者と分割番号が同じものでまとめたデータを作成する.以降この作 成したデータを利用者・分割番号別トリップデータとする.利用者トリップデータの例を 3.3に,利用者・分割番号別トリップデータの例を表3.4に示す.

(28)

24

3.3:利用者トリップデータ

利用者通し番号 分割番号 電車利用状況 拡大率 リンク数利用リンク

1 1 1 3.5 32 1024 …

2 4 1 132.2 21 53 …

1 1 2 3.5 15 86954 …

2 4 2 132.2 10 623 …

1 1 3 3.5 43 297065 …

3.4:利用者・分割番号別トリップデータ

リンク数利用リンク 32 1024 … 15 86954 … 43 297065 …

21 53 …

10 623 …

3.5

132.2

3

2

1 1

2 4

利用者通し番号 分割番号 拡大率 電車利用回数 電車利用データ

利用者・分割番号別トリップデータから以下の情報を用いて帰宅 OD の出発駅を決定す る.

(1) 電車利用回数:use_num

(2) リンク数:link _numi(i1,...,use_num)

(3) 利用リンク:linkij(i1,...,use_num,j 1,...,link_numi)

帰宅 OD の出発駅を決定するアルゴリズムを以下に示す.ここで,各リンクは始点ノー ドと終点ノードの情報を持ち,各ノードは時刻と駅コードの情報を持つ.また,全線が運 転を停止した時刻をtdとする.なお,以下のアルゴリズム内である時刻は分単位で表した ものである.例えば,6:00360 [分],13:45825 [分] である.また,翌日の0時は24 時と考えて分単位で表す.例えば,翌日の1:0025時と考え,1500 [分] となる.

(29)

25

ステップ 1. i 1,j1と する.tmp_stlinkijの 始点 ノード の駅コー ドとし , 0

_time

tmp とする.

ステップ 2. linkijの始点ノードの時刻がtdよりも早ければステップ 3 へ.そうでな ければステップ 6へ.

ステップ 3. linkijの終点ノードの時刻がtdよりも早ければステップ 4 へ.そうでな ければ,その終点ノードの駅コードを帰宅ODの出発駅として終了する.

ステップ 4. j link_numiならば,ステップ 5へ.そうでなければ,j j1とし てステップ 3へ戻る.

ステップ 5. tmp_timeよ りもlinkij の 終 点ノー ドの時 刻が 早け ればtmp_time

st

tmp_ は変更せずにステップ 6 へ.そうでなければ,tmp_time

i

linkjの終点ノードの時刻とし,tmp_stlinkijの終点ノードの駅コー ドとしてステップ 6へ.

ステップ 6. iuse_numならば,tmp_stを帰宅ODの出発駅として終了する.そ うでなければii1,j1としてステップ 2へ戻る.

このようにして,全線運転停止後の帰宅ODを作成する.作成した帰宅ODの駅コード は同じ駅でも路線ごとに別の駅コードが割り当てられている.例えば東京駅では,東海道 本線の東京駅と中央本線の東京駅では別の駅コードが割り当てられている.このように複 数路線が通っている駅に対して,代表駅を 1 つ選び代表駅以外の駅コードを代表駅の駅コ ードに統一する.統一したデータで,出発駅の駅コード,到着駅の駅コードが両方同じデ ータに関しては1つのデータにまとめる.以降,まとめたデータを帰宅ODデータとする.

ただし,各帰宅 OD データの出発駅の駅コードが到着駅の駅コードと一致しているデータ についてはまだ出発していないかすでに自宅最寄り駅に到着していると考えて,帰宅 OD データから除外する.

本研究では首都圏鉄道の全線が運転を停止する時刻を13:00と仮定する.13:00時点での 利用者の位置分布を図3.6に示す.また,駅にいる利用者数が多い駅から順に10駅を表3.5 に示す.縦に伸びる線の高さと色はその駅にいる利用者数を表している.利用者数が多い ほど赤く,尐ないほど青く表示している.都心部を見てみると,特に山手線の駅に利用者 が多くいることがわかる.郊外を見てみると,大宮駅,千葉駅,横浜駅などの大きな都市 には利用者が尐々多くいるが,ほとんどの駅では青色の線で表されている.また,都心部 から出ている路線に沿って線が立っていることも見て取れる.このことから,13:00時点で 利用者の大半は都心部や郊外の大きな都市,都心部へ繋がっている路線の駅にいることが わかる.

(30)

26

3.6:13:00での利用者の位置分布

3.5:駅にいる利用者数

駅名 利用者数 [人]

新宿 210,133

東京 133,506

田町 120,661

渋谷 115,823

池袋 101,032

品川 98,399

新橋 87,733

浜松町 79,959

御茶ノ水 79,047

霞ヶ関 68,627

図 2.14:待ち合わせリンクの拡大図
図 5.2:6:00 での待ちリンクの利用者数
図 5.5:5:30 での出発待機状態の駅(首都圏全体)
図 5.7:6:30 での出発待機状態の駅(首都圏全体)
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参照

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