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沖縄県における 「韓国語能力試験」 の実施状況及び今後の課題

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1. はじめに

沖縄県で 「韓国語能力試験」 を実施して、 今年で11年目を迎える。 つまり、 昨年の2009年は実施 10年目の節目の年であった。 沖縄県では2000年度に初めて沖縄国際大学を試験会場にして、 「韓国語 能力試験」 の4回目から行なわれた。 当時の応募者は、 48名に過ぎなかったが、 昨今は200名を越え るまでに増加している。 大学生は勿論のこと、 10代の中学生から70代までの幅広い年齢層の人々が この試験に臨んでいる。

現在、 韓国語の検定試験は 「韓国語能力試験」 の他に、 日本国内のみで行なわれている 「ハング ル能力検定試験」 や、 韓国の 「ハングル」 学会が主催し世界的に行なわれている 「世界韓国語認証 試験」 がある。 しかし、 日本の文部科学省にあたる韓国の教育科学技術部の認定を得て韓国教育課 程評価院が主催し、 そして実施されている国々の韓国大使館の後援で行なわれている韓国語の検定 試験は、 「韓国語能力試験」 のみである。

本稿の目的は、 2000年度に初めて 「韓国語能力試験」 が沖縄に導入されるまでの経緯を説明し、

併せて2009年までの10年間の実施状況を関連資料を基に現場責任者としての観点から分析を行い、

今後の課題について考察しようというものである。

2. 「韓国語能力試験」 が沖縄に導入されるまでの経緯 2.1 韓国の新聞 「東亜日報」 の記事(1)

筆者が沖縄国際大学で非常勤の韓国語講師として勤め始めた1995年は、 韓国語の受講生が非常に 少なく、 全学で初級の受講生が26名、 中級の受講生は10名という状態であった。 受講生の中には他 の外国語が登録できず、 仕方なく韓国語を取ったという学生さえもいた。 何とか学生の韓国語への 学習意欲を高める方法がないかと模索していると、 沖縄国際大学の図書館で、 韓国の新聞 「東亜日 報」 の12月2日付けの記事が目に飛び込んだ。

記事の内容は、 韓国政府が、 「ハングル」 の世界化推進作業の一環として、 また特に在日コリアン の韓国語教育を伸展させる目的で韓国教育財団を設立し、 韓国語検定の模擬試験を日本で実施する というものだった。 1996年に 「韓国語能力検定委員会」 が設置され、 委員長には当時の延世大学副 総長であった金錫得氏が任命され、 駐日大使館と当時の韓国教育部 (日本の文部科学省に当たる) が協力し、 本格的な準備作業に入るという記述だった。 日本で、 韓国政府主催の韓国語検定試験が 行なわれると知り、 やや興奮気味に新聞の記事をコピーしたことを鮮明に記憶している。

沖縄県における 「韓国語能力試験」 の実施状況及び今後の課題

― 「韓国語能力試験」 実施責任者10年間の経験を通して−

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2.2 「韓国語能力検定委員会」 への連絡

韓国語検定試験が正式に日本国内で実施される日を迎えた。 1995年に行なわれた初回の模擬試験 がカウントされ、 1997年5月25日、 第3回 「韓国語能力検定試験」 という名称で実施された。 各級 も現在の1級〜6級とは異なり、 1級から5級までにしかなく、 1級が上級で5級が初級のレベル として現在とは逆の区分方法であった。 当時の試験会場は、 札幌 (北海道大学)、 仙台 (東北電子計 算機専門学校)、 東京 (慶応義塾大学)、 新潟 (県立新潟女子短期大学)、 名古屋 (名古屋大学)、 大 阪 (浪速短期大学)、 広島 (広島修道大学)、 福岡 (九州大学) の8ヶ所であった。

沖縄でも是非実施して欲しいとの強い想いから、 「韓国語能力検定委員会」 への接触を試みたが、

なかなか上手くいかなかった。 思い余って、 1995年の新聞記事に名前の出ていた委員長の金錫得氏 (当時の延世大学副総長) に直接手紙を書いた。 その中で、 まず筆者自身のことを紹介し、 その上で 沖縄における韓国語学習者の状況、 そして特に沖縄国際大学の韓国の姉妹校である韓南大学との活 発な交流活動、 さらに沖縄と朝鮮半島の友好的な歴史的関係、 また地理的に日本本土から遠隔の地 にあるため航空運賃や宿泊費の過重な負担を強いられていることなどを強調した。 およそ 3 週間後、

金錫得氏自身からの丁重な返事をいただいた。 金錫得氏は、 すでに大学を定年退職し、 委員長の職 も退いていたが、 筆者の要望に応えて駐日大使館の首席教育官をはじめ、 検定の実務担当者にも連 絡を取って下さっていた。 一面識もない筆者のために、 これほど具体的な行動を取って下さったこ とに対し、 心から感動した。

2.3 沖縄が 「韓国語能力試験」 の試験会場として決定

1997年5月に第3回 「韓国語能力検定試験」 という名称で行なわれた時は、 主催は 「韓国語能力 検定委員会」 の韓国教育財団であったが、 1997年の10月に大韓民国教育部 (文部科学省に当たる当 時の名称) の韓国教育課程評価院に移管された。 つまり、 韓国政府の直轄の事業として位置づけら れたのである。 それと共に、 1997年度から名称も新たに 「韓国語能力試験」 となった。 試験実施回 数も 1997年度の試験が第1回検定試験となり、 試験級や認定基準も変更された。 1級から6級まで が設定され、 1級と2級が初級、 3級と4級が中級、 5級と6級が上級として扱われることになっ た。

筆者は、 金錫得氏の紹介を得て、 「韓国語能力試験」 の窓口となっている韓国教育財団 (駐日韓国 大使館内) の担当者と連絡を取った。 しかし沖縄の状況は担当者が要求する条件に合致しなかった。

つまり、 受験者数を150名以上確保すること、 また公館である韓国教育院が存在する地域が試験会場 として望ましいとのことであった。 そこで筆者は、 予想受験者数に代わるものとして、 当時増加傾 向にあった沖縄県内の韓国語学習者の状況を(2)1997年から2000年まで、 毎年担当者に報告した。

さらに追い風となったのは、 1999年10月に設置された沖縄国際大学の外国語センターの初代所長 新里勝彦教授の尽力と大学の協力であった。 そしてついに、 2000年の第4回目の検定試験から沖縄 でも沖縄国際大学を試験会場にして実施される運びとなった。 とうとう沖縄国際大学の名称が 「韓

(3)

国語能力試験」 のパンフレットに記載されたのである(3)。 沖縄には韓国の領事館や韓国教育院も存 在せず、 筆者個人が責任者として管理せざるを得なかったので、 試験の当日は、 東京の韓国教育財 団から教育官一人が沖縄へ派遣され、 試験の運営などを手助けすることになった。 当時、 沖縄のよ うに個人が責任者となっていた地域は、 富山と愛媛であった。

3. 沖縄県における 「韓国語能力試験」 の実施状況

3.1 沖縄で初めて実施された2000年度の第4回 「韓国語能力試験」

実施される前に、 県内で韓国語教育に携わっている人々や、 韓国に強い関心を抱いている人々に 呼びかけて、 「沖縄地域実施委員会」 を立ち上げた。 その結果、 8名の方々の協力により、 筆者を含 めて9名のメンバーで委員会が構成され、 2000年5月13日に第1回の委員会を開催した。

委員会の目的は、 県内の韓国語学習者にこの試験の存在を周知し、 明確な目標を持って韓国語を 学習できるよう支援することであった。 そして委員会設置の波及効果として、 各委員の独自の教授 方法と教育内容を検定試験という共通の目標のもとに積極的に意見交換を行うようになった。 しか し、 独自に教えていた時よりもある程度の責任感が生じ、 また予想される検定合格率のプレッシャー などもあって、 検定試験導入に批判的な意見もあった。 しかし最終的には皆の理解が得られて実現 できた。

委員会の各メンバーは、 多くの県民に 「韓国語能力試験」 を知ってもらうため、 各自が出来るこ とをしようと話し合った(4)。 試験の過去問題を手分けして分析し、 語彙集を作成して希望者に無料 で配布したりした。 その甲斐あって、 沖縄で初めて行なわれた2000年度の第4回 「韓国語能力試験」

の志願者数は48名であった。

2000年度第4回 「韓国語能力試験」 の日本国内の試験場は16ヶ所だったが、 沖縄の志願者数は48 名で16ヶ所の内12番目だった。 志願者数が最も多いところは、 東京の675名で、 最も少ないところは 愛媛の4名であった。

さてここで、 日本全国と沖縄県の志願者数と合格率を比較するため、〈表1〉を作成し、 また沖縄 の志願者を学校機関で学んでいる学生とそれ以外の韓国語学習者の割合数を調べるため、〈表2〉を 作成してみた。 そして〈表3〉は、 一般人の志願者の年齢層を調べるため、 志願者を年齢別に分け てみた。

さらに、 2000年度の試験から2009年度の試験までの10年間の状況を示すため、 それぞれの年度の 下2桁を表示した。 つまり、 2000年度の表を〈表1−00〉、 2009年度の表を〈表1−09〉として示 した。〈表2〉と〈表3〉においても、〈表1〉と同じ方法で示した。 つまり、 最後に10年間のデー タを一括して表示するため、 各年度に同じ見出しの付いた、 〈表1〉、〈表2〉、〈表3〉を掲げた。

(4)

〈表1−00〉2000年度第4回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計 志 願 者 604名 405名 417名 314名 280名 219名 2,239名 合 格 率 67.6% 76.1% 54.4% 65.6% 41.8% 49.5% 61.4%

沖 縄

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計

志 願 者 26名 12名 6名 2名 1名 1名 48名

合 格 率 44.0% 60.0% 50.0% 100.0% 100.0% 0.0% 51.1%

〈表2−00〉第4回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

〈表3−00〉第4回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

(5)

3.2 2001年度の第5回から2005年度の第9回目までの実施状況 3.2.1 2001年 第5回 「韓国語能力試験」

沖縄県で実施されてから第2回目を迎えた 「韓国語能力試験」 を、 より多くの県民に知らせるた めに、 「沖縄地域実施委員会」 を早々と4月に開催した。 また、 前年度に受験した人々を招待して沖 縄国際大学の厚生会館の畳間で茶話会を開くことにした。 オープンな雰囲気で、 試験の失敗談や再 チャレンジのこと、 試験の内容に関すること、 学習方法など、 忌憚のない感想や要望などが出た。

勿論、 主催者としては、 口込みの効果も期待していた。

2000年度の 「韓国語能力試験」 の実施日は10月の半ばだったが、 2001年度から9月の第2、 もし くは第3の日曜日に実施されることになった。 2001年度に筆者は、 沖縄県国際交流人材育成財団か らの奨学金で海外派遣研究員としてハワイ大学へ短期留学をしていたが、 この試験に合わせて9月 の1週目に帰国できるように調整した。

2001年第5回 「韓国語能力試験」 の日本国内試験場は、 前年度の志願者が少なかった愛媛試験場 が廃止され15ヶ所となった。 沖縄の志願者数は57名で、 15ヶ所の中で12番目だった。 志願者数が最 も多い会場は、 東京の1,021名で、 最も少ないところは新潟の34名だった。 この年、 沖縄県では実施 2年目にして初めて、 上級合格者が一般人から二人誕生した。

〈表1−01〉2001年度第5回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計 志 願 者 767名 574名 546名 385名 380名 242名 2,894名 合 格 率 64.9% 74.8% 46.5% 27.2% 36.6% 65.6% 54.9%

沖 縄

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計

志 願 者 32名 8名 7名 5名 2名 3名 57名

合 格 率 34.5% 37.5% 25.0% 25.0% 0.0% 66.7% 34.0%

〈表2−01〉第5回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

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3.2.2 2002年 第6回 「韓国語能力試験」

2002年度は、 日・韓共同開催FIFAサッカーワールドカップで開催地の日本と韓国が世界から注 目され、 多いに盛り上がった年だった。 両チームが勝ち残るたびにお互いに応援し合う姿は、 大変 微笑ましいものだった。 さらに、 2002年度に韓国語が大学入試センター試験の外国語科目に追加さ れることになり、 高校生や中学生、 または小学生のような低年齢層から韓国語学習者が多くなるこ とが予想され嬉しくなった。

このような社会情勢を踏まえて、 沖縄での 「韓国語能力試験」 の広報活動を促進するため、 東京 の韓国財団から送られたポスターをカラーコピーし、 市町村の公民館や役場に願書のパンフレット を同封して送った。

インターネットの普及に合わせて、 沖縄国際大学外国語センターの了解のもとに、 外国語センター のホームページに 「韓国語能力試験」 の概要や申し込み方法などの情報を作成し、 誰もがアクセス できるようにした。

2002年第6回 「韓国語能力試験」 の日本国内試験場は、 前年度と同じく15ヶ所だった。 沖縄の志 願者数は71名で13番目だった。 志願者数が最も多いところは、 東京の1,259名で、 最も少ないところ は長野の34名だった。

沖縄県では、 沖縄国際大学の学生一人、 琉球大学の学生一人、 そして一般人から一人、 計3名が 最上級の6級に合格した(5)。 特に、 沖縄国際大学の学生が発奮し、 上級合格者を含め10名の合格者 が出た。

〈表3−01〉第5回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

(7)

〈表1−02〉2002年第6回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計 志 願 者 908名 707名 782名 596名 411名 319名 3,723名 合 格 率 74.3% 76.6% 53.0% 65.5% 47.3% 63.7% 64.9%

沖 縄

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計

志 願 者 32名 15名 9名 5名 4名 6名 71名

合 格 率 37.5% 53.3% 55.6% 40.0% 50.0% 50.0% 47.7%

〈表2−02〉第6回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

〈表3−02〉第6回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

(8)

3.2.3 2003年 第7回 「韓国語能力試験」

韓国のドラマ 「冬のソナタ」 が2003年にNHKの衛星放送で放映されて、 大きな反響を呼んだ。

純粋な愛の表現などに感動した日本の女性たちがヨン様 (主人公の男優、 ペヨンジュン) の虜にな り、 いわゆる韓流ブームが起こった。 日本人が韓国の社会や文化に興味を持ち、 韓国語の文字 「ハ ングル」 学習にも大きな関心を示した。 若い学生も、 韓国のドラマや映画をさらに理解しようと、

韓国語の学習を始める学生も少なくなかった。

沖縄の試験会場では、 毎回、 受験者を激励するために、 1時間目 (90分) と2時間目 (90分) の 間の休憩時間を利用して、 1個ずつ包んだお餅や飲み物を用意した。 このことが評判となり、 2003 年度は東京から首席教育官が来沖し、 試験場の様子に感激した様子だった。

2003年第7回 「韓国語能力試験」 の日本国内試験会場は、 前年度の15ヶ所に2ヶ所 (千葉:千葉 大学、 大分:別府大学) が増設されて17ヶ所になった。 沖縄の志願者数は80名で17ヶ所の内13番目 だった。 志願者数が最も多いところは、 東京の1,259名で、 最も少ないところは長野の34名だった。

〈表1−03〉2003年第7回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計 志 願 者 1,189名 1,034名 1,007名 712名 620名 424名 4,986名 合 格 率 76.3% 74.2% 45.5% 56.7% 59.7% 38.0% 61.3%

沖 縄

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計

志 願 者 41名 17名 8名 7名 3名 4名 80名

合 格 率 62.5% 76.9% 14.3% 100.0% 0.0% 50.0% 61.5%

〈表2−03〉第7回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

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3.2.4 2004年 第8回 「韓国語能力試験」

日本国内で 「韓国語能力試験」 を主管している財団法人韓国教育財団から、 筆者が在日韓国人教 育者に与えられる 「教育部長官賞」 に選ばれたという通知があった(6)。 また、 第41回在日本韓国人 研究大会 (2004年8月18日〜20日、 静岡県) で行なわれる授賞式で沖縄県の実践事例発表するよう 依頼された。 未熟者の筆者が日本の文部大臣賞に相当する 「教育部長官賞」 の授賞の対象になるこ とは、 嬉しいというよりも恐縮する気持ちの方が強かったが、 沖縄県の実践事例発表を通して駐日 韓国大使をはじめ、 多くの韓国の識者に沖縄のことを知ってもらうチャンスを得たことを素直に喜 んだ。 発表のタイトルは、 「沖縄県における韓国人の足跡及び韓国語教育の実状」 (長嶺聖子、 2004) にした。 早速韓国語の原稿を 「在日本韓国人教育者協会」 の機関紙担当者に送付し、 手始めに、 琉 球王朝時代と李王朝時代の交流の歴史を調べた。 さらに、 関連地域や足跡を写真に収めたり、 専門 家に尋ねたりなどして、 制限時間のあるプレゼンテーションに合わせて必要な準備をした。 是非と も沖縄の美しい海を映像で紹介したいと考え、 沖縄県庁の担当者の協力を得て、 最新の沖縄の映像 のダイジェスト版を使用することにした。 発表の当日は、 会場一杯の人々が非常に熱心に耳を傾け てくれたので、 しっかり伝えようという責任感からあまり緊張することもなく、 無事発表すること ができた。 発表後、 学校関係者から是非学生の修学旅行を沖縄にしたいという非常に嬉しい話も出 た。 一方、 2004年8月13日に発生した沖縄国際大学内での米軍のヘリ墜落炎上事故が話題となり、

危険と背中合わせの沖縄県民に対する同情の言葉もあった。

沖縄県内では、 この米軍の事故に対する宜野湾市市民の抗議大会が9月5日に沖縄国大学グラウ ンドで開催される予定だったが、 「韓国語能力試験」 の試験日と同じ日の9月12日に変更された。 受 験者たちの不安を和らぐために、 予定通り試験を実施するという内容や注意事項などを書いたハガ キを大急ぎで出した。

〈表3−03〉第7回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

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2004年第8回 「韓国語能力試験」 の日本国内試験場は、 前年度と同じく17ヶ所だった。 沖縄の志 願者数は124名で17ヶ所の内14番目だった。 志願者数が最も多いところは、 東京の2,024名で、 最も 少ないところは大分の51名だった。

2004年第41回 「在日韓国人教育研究大会」 にて

〈表1−04〉2004年度第8回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計 志 願 者 1,488名 1,329名 1,248名 825名 737名 563名 6,190名 合 格 率 71.6% 81.1% 49.1% 63.9% 48.5% 70.2% 65.2%

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計 志 願 者 69名 22名 12名 9名 10名 2名 124名 合 格 率 55.7% 71.4% 45.5% 57.1% 25.0% 50.0% 55.5%

〈表2−04〉第8回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

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3.2.5 2005年 第9回 「韓国語能力試験」

日本で2003年に大ヒットした韓国のドラマ 「冬のソナタ」 に続いて、 2004年には、 李王朝時代の 実在の人物をモデルにした 「チャングムの誓い」 という韓国の時代劇がNHKBSで放映され、 ま たも大きな反響を呼んだ。 特に、 漢方医学や医食同源の考え方に基づいた食べ物の作り方や、 色鮮 やかな当時の衣装などが話題になり、 今度は多くの男性が虜になった。 「韓国語能力試験」 の広報ポ スターにも変化がみられた。 8回までは主に韓国の文字 「ハングル」 や文化をイメージする絵柄だっ たが、 9回からは韓国の有名な芸能人が起用された。 それ以降、 ポスターを所望する人が多くなり、

時には貼られたポスターが紛失することがあった。

沖縄県立那覇国際高校は、 1999年、 韓国語を第2外国語として導入した当時沖縄県唯一の高校だっ た。 現在 (2010) は閉講になっているが、 2005年の第9回の試験では、 3名の那覇国際高校生が1 級に合格して話題になった(7)

2005年第9回 「韓国語能力試験」 の日本国内試験場は、 前年度の17ヶ所に2ヶ所 (神戸:甲南大 学、 埼玉:埼玉大学) が加わって19ヶ所になった。 沖縄の志願者数は202名で19ヶ所の内14番目だっ た。 志願者数が最も多いところは、 東京の2,223名で、 最も少ないところは大分の48名だった。

〈表3−04〉第8回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

〈表1−05〉2005年度第9回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計 志 願 者 1,897名 1,612名 1,724名 1,136名 966名 663名 7,998名 合 格 率 76.8% 76.1% 52.9% 64.3% 59.1% 71.7% 67.2%

(12)

3.3 試験の内容や級の評価基準が変わった2006年から2009年までの実施状況 3.3.1 2006年度 第10回 「韓国語能力試験」 から作文問題が導入

「韓国語能力試験」 に関する全ての業務は、 教育科学技術部 (日本の文部科学省に当たり、 2008 年に教育部から改名) の直轄機関である 「韓国教育課程評価院」 を通して行なわれている。 この機

1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 総 計 志 願 者 89名 54名 32名 13名 11名 3名 202名 合 格 率 65.8% 64.1% 30.0% 63.6% 27.2% 66.7% 52.9%

〈表2−05〉第9回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数 ( 学生は大部分が大学生だが、 第9回では13才の中学生もいた。)

〈表3−05〉第9回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

(13)

関は、 韓国の教科書の検定及び日本の大学センター試験に相当する大学修学能力試験 (略称:修能 試験) の試験問題出題など、 韓国の国家教育課程に関する業務を司っている機関で、 韓国の学校教 育の向上や韓国語の世界化を目標としている。 2006年度から 「韓国語能力試験」 が日本を含め、 世 界28ヶ国で行なわれるようになり、 同時に各級の評価基準や試験内容が変更され、 各級の試験の実 施時間も変わった。

2005年までは、 1級から6級の試験内容がそれぞれの級に合わせて異なっていたので、 1級、 3 級、 5級は午前の部として、 9:30〜12:55 (180分間) に実施し、 2級、 4級、 6級は午後の部と して、 14:10〜17:35 (180分間) に実施していた。 しかし2006年からは、 1級と2級 (初級)、 3 級と4級 (中級)、 5級と6級 (上級) の試験問題を初級、 中級、 上級問題に統一し、 得点による成 績評価となり、 それぞれの級が取得できるようになっている。 その結果、 各級の実施時間は初級 (1, 2級) と上級 (5, 6級) が午前の部になり、 9:30〜12:55 (180分間) に行なわれ、 中級 (3, 4級) は午後の部として14:10〜17:35 (180分間) に実施されるシステムに変わった。

さらに、 語彙・文法中心の問題にそれぞれの級に合わせて作文問題が導入された。 出題されるテー マに沿って、 初級は150〜300文字、 中級は400〜600文字、 上級は800〜900文字の範囲内で記述する 問題である。 答案用紙の裏の原稿用紙に記入する仕組みだが、 限られた時間内に要求された字数を 書き入れるのは、 なかなか容易なことではない。

2006年度からの韓流ブームの衰退現象が報道される中、 「韓国語能力試験」 の初級レベルにも作文 の問題が導入され、 試験のハードルが高くなったのは残念だった。 しかし、 2006年度沖縄県の 「韓 国語能力試験」 の志願者数は、 これまでの中で最も多い220名に上った。 2006年度の 「韓国語能力試 験」 のポスターが韓流スターのパク・ヨンハだったので、 ある程度その効果があったのかも知れな い。 沖縄の受験者のために用意するお餅の数も飲み物も余分に準備をして試験日に臨んだ。

2006年第10回 「韓国語能力試験」 の日本国内試験場は、 昨年と同じく19ヶ所だった。 沖縄の志願 者数は220名で19ヶ所の内14番目だった。 志願者数が最も多いところは、 東京の2,156名で、 最も少

2006年沖縄 「韓国語能力試験」 のポスターと休憩場の様子

(14)

ないところは新潟の71名だった。

〈表1−06〉2006年度第10回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

初級 (1, 2級) 中級 (3, 4級) 上級 (5, 6級) 志 願 者 3,666名 2,861名 1,620名 8,147名 合 格 率 65.2% 51.4% 55.9% 58.6%

初級 (1, 2級) 中級 (3, 4級) 上級 (5, 6級)

志 願 者 156名 50名 14名 220名

合 格 率 49.2% 30.0% 50.0% 43.1%

〈表2−06〉第10回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

〈表3−06〉第10回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

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3.3.2 2007年 第12回 「韓国語能力試験」

2007年度の回数が2006年度の10回から12回になったのは、 2007年度から上半期の4月実施と下半 期の9月実施の一年に2回行なうシステムに変わったからである。 4月に行なわれた第11回の 「韓 国語能力試験」 は韓国をはじめ、 14カ国で実施されたが、 日本は含まれていなかった。 日本と同じ く下半期の9月に行なわれた12回のみの試験を実施した国は、 日本、 台湾、 ベトナム、 インド、 ブ ラジル等の14カ国だった。 第11回と第12回とも実施した国は、 韓国や中国を含む9カ国で、 11回の み実施した国はアメリカ、 ドイツ、 イギリス、 カナダ、 フランスの5カ国だった。 結局、 2007年度 には4月の上半期と9月の下半期を合わせて世界28ヶ国で行なわれたことになる (韓国教育課程評 価院、 2007)。

日本国内の試験場は、 前年度と同じく19ヶ所だった。 沖縄の志願者数は163名で19ヶ所の内15番目 だった。 志願者数が最も多いところは、 東京の1,886名で、 最も少ないところは新潟の72名だった。

〈表1−07〉2007年度第12回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

初級 (1, 2級) 中級 (3, 4級) 上級 (5, 6級) 志 願 者 3,106名 2,959名 1,768名 7,833名

合 格 率 69.1% 62.3% 74.5% 67.8%

初級 (1, 2級) 中級 (3, 4級) 上級 (5, 6級)

志 願 者 104名 51名 8名 163名

合 格 率 43.8% 46.2% 62.5% 50.8%

〈表2−07〉第12回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

(16)

3.3.3 2008年 第14回 「韓国語能力試験」

2007年度から一部の国でスタートした 「韓国語能力試験」 の年2回実施が2008年度からは全世界 で実施されることになった。 日本国内では、 東京、 名古屋、 横浜、 京都、 千葉、 神戸、 埼玉、 福岡、

大阪、 下関の10ヶ所が上半期の4月に実施され、 その中の4ヶ所 (名古屋、 横浜、 神戸、 下関) は 上半期のみ行なわれた。

下半期の9月のみ行なった地域は、 沖縄を含めた16ヶ所であった。 従って、 2008年に13回目と14 回目の両方とも実施した地域は、 東京、 京都、 千葉、 埼玉、 大阪、 福岡の6ヶ所だけになる (韓国 教育課程評価院、 2008)。

しかし、 下半期には新地域7ヶ所 (神奈川、 愛知、 山口、 兵庫、 香川、 熊本、 島根) が加わり、

合計22ヶ所になった。 上半期のみ行なわれた4ヶ所を加えると、 2008年度には日本国内26ヶ所で実 施したことになる。 沖縄は、 下半期の9月の実施のみなので、 下半期地域22ヶ所と比較して沖縄の 志願者数は122名で岡山と並んで22ヶ所の内16番目だった。 志願者数が最も多いところは、 東京の 1,363名で、 最も少ないところは香川の42名だった。

〈表3−07〉第12回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

〈表1−08〉2008年度第14回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

初級 (1, 2級) 中級 (3, 4級) 上級 (5, 6級) 志 願 者 2,390名 2,442名 1,452名 6,284名

合 格 率 83.8% 55.7% 43.8% 63.6%

初級 (1, 2級) 中級 (3, 4級) 上級 (5, 6級)

志 願 者 80名 35名 7名 122名

合 格 率 61.4% 40.0% 40.0% 47.1%

(17)

3.3.4 2009年 第16回 「韓国語能力試験」

日本は、 前年の2008年度から年2回実施のシステムを取り入れているが、 沖縄はまだ下半期 (9 月) の試験のみ実施している。 2009年からは、 新たに実務用の 「韓国語能力試験」 が日本でも実施 されるようになった。 実務韓国語能力試験とは、 級のレベル分けをせず、 得点の多寡による点数制 試験であって合否の基準はない。 この実務試験は、 2007年度から一部の地域だけ導入されたが、

2009年からは全地域で実施されるようになった。 「韓国語能力試験」 のパンフレットにも 「一般韓国 語能力試験 (S-TOPIK)」 の下部に 「実務韓国語能力試験 (B-TOPIK)」 の導入が紹介されている。

ここでいうS-TOPIKとは、 ‘Standard Test Of Proficiency In Korean’の略字で、 B-TOPIK ‘B’

Businessのことである。 沖縄では、 一人の志願者が受験した。

沖縄県で筆者が責任者として務めて10年目の節目を迎えるに当たり、 次年度の2010年度から責任 者としての役目を退きたいという意向を東京の韓国教育財団に伝えたところ、 お世話になった沖縄 国際大学の外国語センターの所長はじめ関係者及び後任の方々への挨拶を兼ねて、 駐日韓国大使館

〈表2−08〉第14回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

〈表3−08〉第14回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

(18)

の公使参事官が来学して下さった。

2009年の下半期第16回 「韓国語能力試験」 の日本国内試験場は、 23ヶ所だった。 沖縄の志願者数 は167名で23ヶ所の内11番目だった。 志願者数が最も多いところは、 東京の1,411名で、 最も少ない ところは山形の22名だった。

〈表1−09〉2009年度第16回 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率

初級 (1, 2級) 中級 (3, 4級) 上級 (5, 6級) 志 願 者 2,050名 2,174名 1,424名 5,648名

合 格 率 80.3% 56.3% 46.4% 62.6%

初級 (1, 2級) 中級 (3, 4級) 上級 (5, 6級)

志 願 者 106名 49名 11名 166名

合 格 率 68.8% 45.0% 33.3% 49.0%

(「実務韓国語能力試験」 の志願者数一人は、 総計の数に含まれていない)

〈表2−09〉第16回 「韓国語能力試験」 沖縄県志願者の学生と一般人の割合数

〈表3−09〉第16回 「韓国語能力試験」 沖縄県一般人の年齢別人数

(19)

4. 2000年4回目から2009年16回まで10年間の提示した表の比較と分析 4.1 〈表1〉からまとめた全国と沖縄の志願者数の比較

〈表1−00〉から〈表1−09〉までの 「韓国語能力試験」 の級別志願者数及び合格率の表から、

全国と沖縄の志願者数の10年間の推移を、 グラフを基に比較と分析を試みてみたい。 全国の2008年 度と2009年度の志願者数の数は、 2008年度から日本でも年2回の試験実施がスタートしたので、 こ の表では2008年上半期の4月に実施した際の志願者 (第13回:1,411名) や2009年上半期の志願者数 (第15回:4,513名) も加えて示した。

〈表1―全国〉

〈表1−沖縄〉

(20)

〈分析〉 全国の志願者数は、 2006年までの右肩上がりの状態から2007年度と2008年度は減少し、

2009年度から再び急激に増加している。 韓流ブームの動向に影響された現象と考えられな いこともないが、 2008年度から日本でも実施された年2回の試験のシステムが良い結果を もたらしたと言えよう。

一方、 沖縄の志願者数は、 試験が初めて導入された2000年度の48名から次第に増加し、

2006年度には当初の約5倍近い220名まで増えていた。

全国の傾向と同じく、 2007年度と2008年度は減少したものの、 人数的にはいずれも100名 を越えていた。 つまり、 沖縄県において 「韓国語能力試験」 の認知度が次第に高くなって きたためだと考えられる。 2009年度から再び増加している。

4.2 〈表2〉からまとめた10年間の沖縄県志願者の学生と一般人の割合の比較

〈分析〉 学生が一般人より志願者数が多かった年は、 2002年度の第6回 「韓国語能力試験」 の時 だけである。 この年の 「沖縄地域実施委員会」 では、 県内の大学や高校で教えている韓国 語の先生方にも参加してもらい、 当時の学生の韓国語学習者の人数を確認した (375名:

2002年現在)。 試験に受験した学生の数は、 全体の10分の1くらいだったが、 これは先生方 の協力の賜物である。

2005年以降の一般人の志願者数が学生数の約2倍になっている。 韓流ブームの影響もあ り、 県内でも一般人向けの韓国語学習グループの数が増えつつあり、 検定試験という明確 な目標を持って熱心に勉強している人が増えたことを裏付けていると考えられる。

〈表2〉

(21)

4.3 〈表3〉からまとめた10年間の沖縄県一般人の年齢別人数の比較

〈分析〉 2001年度と2003年度以外は、 20代よりも30代の志願者が多く、 さらに2007年からは、 50 代と40代が30代や20代の志願者を上回っている。

つまり、 韓国語は日本人にとって、 中高年の年齢でもチャレンジが可能な外国語である ことがよく理解できる。 これは韓国語の語順が日本語とほぼ同じで、 漢字の音読みを起源 とする語彙も多く、 また合理的に創られている韓国の文字 「ハングル」 も容易に覚えられ ることから、 中高年の学習者にとっても取り組みやすい言語であることが分かる。

特に、 50代の受験者が活発で60代との顕著な差をみせている。 また2005年から2007年ま では50代が40代よりも志願者数が多かった。 しかし、 2008年度からは60代同様、 減少傾向 に転じた。 その理由としては、 「韓国語能力試験」 がコンピューター用のOMRペンでのマー ク式で、 さらに2006年度から導入された作文問題によってハードルが高くなり、 受験者が 減少したと推測できる。 その一方で、 2008年と2009年に70代が受験していて、 年齢の定義 にかなり大幅な個人差があるようである。

5. 今後の課題

5.1 学生の志願者の数と合格率

沖縄県の 「韓国語能力試験」 志願者を学生と一般人に分け、 その割合を示した2000年度から2009 年度まで10年間のデータ (4.2.) からも判るように、 2002年度以外は一般人の志願者の数が常に 学生の志願者より多かった。 現在 (2010年) の韓国語学習者の学生数は、 「韓国語能力試験」 が初め て沖縄に導入された2000年度の沖縄県内韓国語学習者の状況 (学生:239名) と比較すると、 その数 は非常に多くなっている。 現在は、 沖縄県内の五つの大学と高等専門学校、 そして嘉手納高校で韓

(22)

国語が教えられている。 それぞれの学校の韓国語学習者の状況をクラスの数で示すと次のようにな る。

・沖縄国際大学:初級8クラス、 中級1クラス

・琉球大学:共通教育−初級1クラス、 中級1クラス 観光産業学部−ホスピタリティ韓国語1クラス

・沖縄大学:初級2クラス

・名桜大学:初級2クラス

・沖縄キリスト教学院大学:初級1クラス キリスト短期大学:初級1クラス

・国立沖縄工業高等専門学校:初級2クラス

・嘉手納高校:初級3クラス

沖縄国際大学は県内の大学の中で、 韓国語のクラスが際立って多い。 しかし、 沖縄県内において は、 沖縄国際大学をはじめ、 全体的に初級レベルのクラスが圧倒的に多く、 中級レベルのクラスの 数が非常に少ない。 他にも公民館やカルチャーセンター、 外国語専門塾等でグループ学習をしてい る人、 さらに、 個人的に学習している人などがいる。 以前、 沖縄県国際交流人材育成財団の語学セ ンターで韓国語の同時通訳基礎講座や実用韓国語クラスがあり、 レベルの高いクラスが存在してい たが、 都合により閉講になった。 今年2010年10月から再び韓国語の講座ができるので、 非常に期待 している。 ただ、 一般の韓国語学習者の全体の状況については、 正確に把握できないので、 ここで は、 学生を中心に今後の課題を述べたいと思う。

この検定試験は、 2008年度から日本においても年に 2 回実施されているが、 沖縄では試験場の管 理や運営の問題もあり、 下半期の9月のみ実施されている。 つまり、 4月の新学期から韓国語を学 び始める初級クラスの学生にとっては、 前期の学習内容の学習量だけでは、 質問自体も韓国語で行 なわれるこの試験を受験するのはなかなか困難である。 その上、 2006年度から導入された作文問題 もあり、 初級クラスの学生は、 本当に熱意のある学生が夏休み期間中に集中的に学習して試験に臨 んでいる状態である。 沖縄国際大学の場合、 毎年、 外国語センターの計らいで夏休み中に14時間の 検定対策講座が設けられ、 この試験に応募した多くの在学生がそれを活用し、 合格に結び付けてい る。 「韓国語能力試験 (Standard TOPIK)」 の級別の認定基準 (2009年現在) は、 次の通りである。

初級1級:800語程度の基礎的な語彙と基本文法の理解ができ、 簡単な文章を作れる 2級:2,000語程度の語彙を用いた文章を理解でき、 使用できる

中級3級:日常生活ができ、 公共施設の利用や社会的な関係を維持する言語使用可能 4級:ニュースや新聞をある程度理解でき、 一般業務に必要な言語が使用可能 高級5級:専門分野においての研究や業務に必要な言語をある程度理解でき使用可能

6級:政治・経済など全般的なテーマにおいて不便なく使用可能

(23)

初級の1級レベルでも800語の語彙を要するこの検定試験に、 大学の前期課程を修了した学生たち に、 試験に挑戦するよう勧めるには、 学習内容を工夫する必要がある。 全国と沖縄の10年間のデー タ (表1) からも判るように、 全国に比べて沖縄の合格率は低い。 何とか前期課程を終えた学生で もこの検定試験に挑戦できるように、 そして頑張る学生たちの熱意の一助にでもなればという想い から、 筆者は大学で使用するテキストを前期用と後期用に分けて2冊出版した (長嶺聖子、 2008)。

前期用にはテキスト (約450語) の巻末に初級1級用の語彙や慣用表現を紹介し、 後期用のテキスト (約850語) には語彙・文法の30問の模擬試験と作文の練習の実例文を盛り込んだ。 どちらもCD きのテキストであるが、 巻末に付けた語彙や模擬試験の部分には音声CDが付いていない。

「韓国語能力試験」 は、 初級から上級まで 「聞き取り」 の問題がある。 意思疎通中心の教授法 (Communicative Centered Language Teaching) に欠かせない 「聞き取り」 の学習活動を効率的に行 なうためには、 それぞれのレベルに合う評価基準を設ける必要があるが、 韓国語においての 「聞き 取り」 の基準は 「韓国語能力試験」 で提示しているものが一般的な評価基準となっている (カン・

ヒョンファ他、 2009) という。 チョウ・ヒョニョン (2006) は、 読解や作文力の基本となる語彙力 に触れ、 韓国語の語彙の約70%が漢字からできていることを活用すべきと述べている。 従って、 初 級レベルの学生の多くがこの検定試験に挑戦できるように、 また合格率を上げるためには、 語彙力 や聞き取りをも強化できる教材作りが望ましい。 また、 それぞれの学校がこの検定試験のレベルに 合わせた単位認定制度を導入すれば、 学生のモチベーションも上がると考えられる。

5.2 沖縄県韓国語学習者の現状及び志願者募集の問題

この試験の受験者の条件は、 韓国語を母国語としない外国人及び在外コリアン (日本で居住する 場合は、 在日コリアンと言う) が対象である。 在日コリアンの人口は58万9,239名 (2008年現在) で あるが、 長い歴史の中で世代が変わり、 日本で生まれ育った韓国語を知らない3世や4世たちが多 いと言われている。 「韓国語能力試験」 の実施目的の一つは、 在外コリアンの韓国語教育を向上させ るために学習方向を提示することでもあるので、 在日コリアンの志願者数も少なくない。 しかし、

沖縄県は他府県と異なり在日コリアンが殆どいないので、 大半が純粋に韓国語を外国語として学ん でいる日本人が受験している。 それにもかかわらず、 全国の志願者数と比べて、 沖縄県の志願者数 は決して少なくない。

受験料は初級から上級まで級に関係なく、 個人申し込みは4,400円で、 団体 (10名以上) 申し込み は3,000円である。 個人と団体の申し込み料金が1,200円も違うので、 一般も希望すれば学生と一緒 に沖縄国際大学外国語センターの団体名で申し込んできた。 沖縄国際大学の外国語センターは、 本 学の学生だけのためではなく、 地域の人々のためにも大きく貢献したことになる。 沖縄国際大学の 外国語センターの団体名で郵送した団体申し込みの人数で最も多かったのは、 2002年度の志願者220 名の内の170名だった。 当時の志願者全体の約77%を占めていた。 今年の2010年は、 沖縄国際大学の 会計上の問題もあり、 別の団体名で90名分を郵送した。 検定試験の運営や管理を円滑に行なうため

(24)

には、 志願者の人数を確保できる団体申し込みが非常に重要である。 個人でも希望すれば、 団体申 し込みに加わる方法が望まれる。

6. おわりに

本稿は、 「韓国語能力試験」 が2000年度に沖縄で実施されるまでの経緯や、 実施されてから10年目 を迎えた2009年までの試験会場の実施状況を、 関連資料を基に責任者である筆者の自らの観点から 述べてきたものである。 10年間の関連資料や写真などに触れて、 当時の状況が走馬灯のように蘇り、

深い感慨を覚えた。

沖縄県における 「韓国語能力試験」 の発展のため、 共に試行錯誤を分かち合った 「沖縄地域実施 委員会」 の方々、 沖縄国際大学の外国語センターの関係者をはじめ、 同大学の広報課や管財課の職 員の皆様に心から感謝申し上げたい。 これらの方々の応援や協力がなければ、 検定試験をこのよう にスムーズに実施することはほとんど不可能であったと思う。

2010年の 「韓国語能力試験」 から、 沖縄の試験会場に関する全ての管理・運営を非常勤講師であ る筆者個人から沖縄国際大学外国語センターに移管することになった。 今後の実施責任者として、

外国語センターの副所長である李 准教授が快く引き受けて下さった。

沖縄県内の韓国語学習者は5.1で記述したように、 以前に比べてかなりの増加をみせている。 確 かに、 初級クラスの数に比べて中級レベルのクラスが少ないことが今後の課題であると指摘したが、

韓国語に興味をもって学び始めた初級クラスの学生が増加することは、 次のレベルへ進む前提条件 であり、 非常に重要だと考えられる。 実際に、 大学で初級課程を終えた学生が韓国の姉妹校へ留学 し、 沖縄へ戻って 「韓国語能力試験」 の中級や上級に受験し、 合格するケースが増えている。

2010年の資料によれば、 「韓国語能力試験」 は現在35カ国で実施されているという。 日本の試験会 場においても、 2009年9月実施試験会場23ヶ所から2010年9月の実施試験会場は、 29ヶ所までに増 加した。 まさに、 韓国政府は 「韓国語能力試験」 を通して韓国語の世界化を推進しているのである。

沖縄の多くの県民が韓国の文化や韓国語に関心を持ち、 「韓国語能力試験」 を学習目標としてチャ レンジすることを願っている。 言葉のコミュニケーションを通してお互いの社会や文化に対する理 解を深め、 韓国と沖縄の交流がより一層盛んになれば幸いである。

(25)

(注)

(1) 1995年12月2日付けの韓国の新聞 「東亜日報」 の記事

(26)

(2) 2000年1月9日に筆者が作成した県内の韓国語学習者の状況

(3) 2000年度第4回 「韓国語能力試験」 試験実施会場 (財団の細部計画から)

(27)

(4) 2000年8月16日付け 「琉球新報」 :受験を呼びかける筆者

(5) 2002年12月27日付け 「琉球新報」 :3名の6級合格者と筆者

(28)

(6) 2004年9月3日付け琉球新報:韓国の 「教育部の長官賞」 を受賞

(7) 2005年12月24日付け沖縄タイムス:高校生の合格者

(29)

(参考文献:記述順)

1. 長嶺聖子 (2004) 「

(沖縄における韓国人の足跡及び韓国語教育の実状)」 第41回在日本韓国人教育研究大 東京韓国学校、 39-42

2. (韓国教育課程評価院) (2007)

(第12回韓国語能力試験業務処理指針)

3. (韓国教育課程評価院) (2008)

(第14回韓国語能力試験業務処理指針)

4. 長嶺聖子 (2008) 日本人のためのチャレンジ韓国語1 (株) 沖縄教販 日本人のためのチャレンジ韓国語2 (株) 沖縄教販

5. (カン・ヒョンファ 他) (2009)

(韓国語理解教育論) (国際韓国語教育学会)

6. (チョウ・ヒョニョン) (2006) (韓国語教育の実際) Inc. (Ubiquitous Culture Leader Inc.)

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