幾何学的構造・空間パターンと統計
109模型粒子による振握とパッキングの実験について 統計数理研究所樋 口 伊佐夫
これは新しい研究成果の報告ではなく,幾何学的構造・パターンと統計の問題意識をもつ以 前に私が行っていた研究の紹介である.すたわち私にとっての幾何学的統計へのアプローチの 導入の記録である.
1.コロイド粒子の粒度分布と粒形の研究
実験を行うに到った背後には,そのまた前がある.それは,昭和28年頃行っていた,コロイ ド粒子の粒度分布に関する,日立中央研究所の牟田明徳氏との共同研究である(1〕{2).
わが国で原子炉用黒鉛の研究のはじまった頃で,特に品質についての研究が重要であった.
製品の品質には粒度分布が重要であるが,粒度分布はそれ自身が直接関与しているのでなく,
関接的な影響をもつものと考えられる.従って,もっと影響の直接的なパッキングの様相のよ うなものをできれぼ知りたいわけである.パッキングは当時までは,同一球のものが主で,理 論的にはオランダのPhi1ipsにいたWiseの四面体分布の理論というのがあったが(3),まだ研究 が進んでいたかった.それで取りあえず16種のボールベアリングで実際のものの分布にたぞら えて混合してみるということから実験をはじめたのである.
粒度分布の研究は遠心分離法による重量分布と,電子顕微鏡による数分布であるが,顕微鏡 写真については形に関する検討もいくらか行ったので,ここに三三付記しておく.
写真の上のLつの粒子の平均半径戸
月一 ?辯jθ
に対しどんな形も,同じ面積の円の半径より大きい半径をもち得ない.すたわち,面積5に対 しS≧π72が成り立つから
戸/π
が 丸さ roundnessの測度になり得るではないかと考えた.幾何図形の場合これがどういう値 になるかというと
長方形の場合,辺の長さの比λ≦1
とし,
楕円の場合,軸比κ≦1
とすると,
κの値 1.0 0.8 0.5 0.2
長方形のとき .9945 .9908 .9599 .834!
楕円のとき 1,000 .9969 .9708 .8587 であるから鋭敏ではない.
射影面積と平均直径の回帰は
1ogノ⊃=O.518109∫十0,104
であり1og Dと1og Sの相関は,0,953である.すべての粒子が円板たら∫とDの関係は
1ogD二〇.5109S+℃.121
110
統計数理 第34巻 第1号 1986
とたるべきである.もしSとDの分布が,2次元対数正規分布ならば,ブ=1/σ。は楕円の方程 式となるべきである.ここでσ8はsinθ1og∫十。osθ1og Dの分散である.実測値はほぼ楕円 であるが少し異なる.
そうすると対数正規について,とんだ量をとっても大体対数正規にたるのはなぜか? 理論 上は最大径と平均径がそうたることはあり得ない.それでは何が一番対数正規に近いか?とい
う疑問が残る.
カーボンブラックを粉砕する前と後では,粒度分布自体はあまりかわらたい.いろいろの方 向の径の規格化したものD(θ)//豆,sは面積のθをかえていったときの相関関数!(θ)を測 定し,!(θ)をフーリエCoS展開することをこころみた.低い周波数の係数は粒子の形に関する 影響,高い周波数のものは,ギザギザ度を示すはずである.写真では粉砕するとギザギザにな
るのがよくわかるか,それをこの方法で数値的に示すことは成功したかった.
2.ランダムパッキングの実験{4〕
粒子の位置の測定は非常にむづかしい.NSKのボールベアリング用の1inch−1/16inchの 16種を用い対数正規分布に似せて割合をきめ,混合し鉄製容器の中に入れボールとともに熱
し,WaXをとかして流し込み,徐々に冷却する.それをつぎつぎにボールを取り除きながら面 をきり出す.各面を石膏で型どり,それについて測定を行った.
実際には二つの対数正規モデルで行い,調べた面は6個および4個である.空隙率は正確に はかることは困難であるが充填率はO.643とO.5ブ0であった.
これに対し,粒子が独立に互いにかさたりあえるとし,半径,位置の同時密度を M →
γ一M r[!(ρ{)a7{aρゴ {三1
としていろいろの量について計算値と実測値を比較した.
(i)底面に平行た面に存在する円の数
(ii) 断面における被覆率
(iii) 断面にあらわれる切断円の分布
(iV)球としての半径と断面円の半径との比
(V) ランダムた線の切断部分との割合
(Vi) 切断面のラジアル分布
さらに数学的モデルと実際のパッキングとの不一致度を推定するために,どの程度ボールが 重なりあうかの計算を行った.重なる部分の容積
∫(U(α∩Cj))/γ 仲5
これは数N→∞のとき(1一θ){1−exp(1一θ)}で充填率1一θとともにO〜0,623まで変る.
亙(Σ(Cゴ∩C5))は近似的に(1一θ)2とたる.さらにVo1umeのかわりに交差する粒子の数の 5キ3
期待値も計算できる.
3.振渥による粒子の混合,分離,流動の実験(5〕
ランダムパッキングを実際つくるのは大変むつかしい.大きい粒子は浮き上り,小さい粒子
幾何学的構造・空間バターンと統計
111は底におちるからである.そこで,その現象をなるべく条件をととのえてしらべるため,プラ スチック粒子を用い,振盤機を特別に作って,振動数,振幅,振漫時間をかえて初期に入れた 粒子の状態がどのように変るかをしらべた.ごめ際,振盤の効果を測定する測度として,Max−
we11demonの勤勉度に対応する量を導入した.また時間を長くすると,大きな粒子は流れのお そい部分に押し出される傾向があることがわかった.
4.ランダムパッキング内の圧力分布(6〕
鉄パイプをランダムに重ね,二次元パッキングの圧力伝達をしらべようとした.Strainguage を用いる測定であるが,内部は成功したかったが壁圧分布については,大略に知ることができ
た.
参考文献
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(4)
(5)
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(7)
I.Higuti.Astatistica1researchoncolloida1graphite,λmn.∫msた∫左α泳たMα肋.,VI,2.
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I.Higuti(ユ960).A statistica1study of random packing of mequa1spheresλnm.〃∫左∫倣枇 Mα肋.,XII,3,
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ユ6肋ノ4力αmハ厄た Comgグプbγノゆカムルτecゐ.